『恐竜大陸サウラシア』制作裏話

 ・・・とか言うけど、これまだ「制作」はしてないよねw執筆裏話だよねwその上執筆期間も5年前だから、何考えて書いたか忘れちゃったよw

 ん~まいった・・・とにかく私って恐竜が好きだから一度恐竜の漫画を書こうとは思ってたんだけど、この前見た映画『ダイナソープロジェクト』もそうだったけど、恐竜を題材にした映画を作るのってかなり難しいんだよね。
 あの『ジュラシック・パーク』でさえ一作目が奇跡の出来って感じで、続編はすごい映画だったかって聞かれれば、そうでもないし・・・
 それくらい物語の作劇構造に「恐竜」というのは合わせにくい。アボカドと違ってかなり使い勝手の悪い食材だと思う。だから『ダイナソープロジェクト』の失敗はしょうがないと思うんだ(失敗でいいよね?あれw)。

 これが哺乳動物ならラスカルとかフリーウィリーとか人と動物の交流にまつわる感動ドラマが描けるんだけど(日本人ってこういうのやたら好き)、恐竜って絶滅しちゃってるし、どっちかというと一般的には「でかい怪獣」のイメージが強い動物だからね。その点F先生の『のび太の恐竜』はうまくやったよね。
 でもあれは結構例外で(『REX恐竜物語』とかもあったけどさ)、恐竜映画って基本的にはB級モンスターパニック映画のコンテキストで作られることが多い。
 『ジュラシック・パーク』の上手かったところって、この人と恐竜の交流(動物映画の文脈)と恐竜の恐怖(モンスター映画の文脈)を半々でバランスよく取り入れたってことだよね。

 続編の『ロストワールド』では、今度は『ハタリ!』の恐竜版をやりたかったのかな?って気がする。
 だから恐竜そのものよりも、恐竜を人間たちがどう捉えるか、そのドラマをメインに持ってきた感じだったのかもしれない。
  あれは構成が下手だっただけで、もうちょっと練りこめばメッセージ性の強いいい映画になった気はするよね。ちょっと悪乗りしてモンスター映画にしちゃった感じがするけどね。そこがスピルバーグ監督なんだろうけどw(※無意味にグロい)

 あともうひとつのやり方といえば、ディズニーの『ダイナソー』のように動物生態映画みたいに作っちゃうことだよね。私が恐竜映画で一番好きなのが、この『ダイナソー』なんだけど、さすがはディズニー。動物映画の老舗だけあって映像の美しさは凄かった。
 一応アニメ映画ってことで恐竜喋らせてドラマも入れてたんだけど、今度は『ディープブルー』や『ライフ』みたいなガチの動物ドキュメンタリー映画の恐竜版を作ってはくれないだろうかw

 まあこんなもんかな。他にも恐竜の出し方としては、時代に取り残された場所があってそこに現代も恐竜が生き残っているという失われた世界タイプ(『ダイノトピア』なんかもこれ)や、ドラえもんみたいに現代人が恐竜の時代にタイムスリップしちゃうタイムマシンタイプ、そして本当クライトン先生はすごいなあって思ったんだけど、現代に恐竜を科学技術で再生させるクローニングタイプなどがある。
 もうどう考えても恐竜のクローン再生が恐竜と人間を出会わせる最後のアイディアなような気がして、私なんかはどうしよう・・・って悩んじゃったんですが、ある時「あ、これはもうファンタジーってことにして、最初から恐竜と人間が共存してればいいや」って発想を逆転させて、この漫画の設定を組んで行きました(やけになったとも言える)。

 だから、中途半端にSFな雰囲気を出しちゃって「なんで人間と恐竜がいるんだよ?」っていう読者の人のツッコミを極力喚起させないように、「ああこれはこういう世界観ってことなんだ」って、最初のシーンから恐竜がいることを前提として描きました。
 例えば『ハリーポッター』を見て「なんで魔法が使えるんだよ?」ってツッコミ入れる人はいないでしょ?それと一緒で、恐竜がもともといる世界なんだよって。

 まあ後半はけっこう世界観の謎が解けてきてSFっぽくもなっちゃうんだけど、それでも西部開拓時代にないものは極力出さないようにした。
 そもそも「恐竜」というとんでもないものを西部劇に出している以上、それ以外で変なことにはしたくなかった。これは戦国時代にマスコミとかを出しちゃった『風と翼』とは対照的なやり方をとったと言える。
 でも未知の島とかギアナ高地とか孤立した地域に恐竜が生き残っているってのは今までいろいろあったけど、大陸ひとつに恐竜が生き残っているという話は私が初めてだったと思う。自分でも思い切った設定にしたなあってけっこう満足してますw

 で、意外と「荒野」と「恐竜」っていうのが合うんだよね。『ダイナソー』でも荒野を恐竜の群れが歩いていくシーンがあるんだけど、そもそも恐竜の化石って「死の谷」とかそんな物々しい名前のついた荒地(バッドランド)から発掘されることが多いんだよw
 だから西部劇とは合わないこともないんだよね。エイリアンも出せるくらいなんだから。作劇万能ふりかけ、美少女の次は西部劇やで!

 ということで、いろんなことがもう開拓され尽くしている恐竜もので、なんとか知恵を絞ってオリジナリティを出したのが、『恐竜大陸サウラシア』なわけです。
 もうこれ以上のアイディアは私には出ないと思うから、恐竜漫画はこれで最初で最後になると思う。でも私よく頑張ったよ。ほかの人がどう思うかはわからないけど、私自身は結構面白い話だと思うし、生きているうちにこの漫画だけは仕上げたいからね。

 それにさ、けっこう動物ものとしてもいい感じにバランスとってると思うんだよ。日本の動物映画ってバクテリアの一つ覚えのように感動ものにしか仕上げないけどさ、それは一部の動物の一部の要素を拡大解釈しているだけであってさ、動物の中には不快なものもグロテスクなものもいるし、人間にとって迷惑なもの、人間にはとても制御できないものだっているわけだ。
 だから『ジュラシック・パーク』の原作で一番好きな一節なんだけど「恐竜にも人に懐いてかわいいやつもいれば、この手の動物園では飼育できないような凶暴なやつもいる」んだよ。
 最後の方ではあからさまにポケットモンスターのアンチテーゼをやっているけど、まあそういうことなんだ。自然界の全てを支配できるなんて思い上がりもいいところなんだよ。

 さらにそれを生態系にまで広げれば、人間VS自然もしくは人間♡自然といった単純な二元論には還元はできないことがわかる。
 人間だって自然の一部なんだから、ある程度は自分の都合のいいように改変はできるかもしれないけれど、その結果が副作用としてブーメランのように跳ね返ってくることだってある。
 現代で快適な生活をしている私たちにはなかなか実感はできないけど、感謝祭のピルグリムファザーズだってアメリカに移住したときは相当苦労して、移民のほとんどが死んじゃったらしい。
 歴史の本によれば、インディアンと対立したり戦争で死んじゃったらしいけれど、それ以上にアメリカの大自然の厳しさが立ちはだかったんじゃないかなって思う。

 だからこの脚本を普通に読めば、作中の恐竜はインディアンの置き換えだってわかるんだけど、それと同時に私は恐竜を強大な大自然のメタファーとしても描いてみたんだ。
 宇宙にすら進出しちゃった私たちにどれだけのフロンティアが残されているかはわからないけど、それでも地球上で私たちが安全に暮らせるエリアはすご限られている。
 そして今の快適な生活があるのは、先祖の人がこうやって頑張って開拓してくれたからなんだよね。

 え~っと・・・なんかあまり裏話的な話をしてないぞwまあいいや。
 作中に登場する人物は、ほとんどが実在する古生物学者がそのまんま元ネタになっているので、詳しい人はすぐにわかると思う(『80日間宇宙一周』と名前のつけ方が一緒)。でもフィリップとリズリーとアニーだけは古生物学者が元ネタではないので、ここで説明。

 フィリップは昔フジテレビでやってた『世界超密着TV!ワレワレハ地球人ダ!!』って番組で「スネークハンター」ってコーナーがあったんだけど、そこで出てくるアナコンダ捕獲に異常な執念を燃やすスネークハンターの「わがままフィリップ」ってやつが元ネタ。あとはフィリップ・アストリーっていう近代サーカスの創始者からも取っている(もちろん古生物学者フィリップ・カリー博士からも!)

 リズリーは確か江戸時代に日本にやってきた最初のサーカスで「リズリーサーカス」ってのがあったんだって。リズリーって語感がかわいいし、小柄な女の子にぴったりだったから決めちゃったw

 アニーは西部劇ってことで「アニーよ銃をとれ!」からつけました。最初の設定ではコープのキャラも兼ねていて、銃を持つと性格が豹変する凄腕女性ガンマンだったんだ。でも書いてみてあまりに漫画っぽいキャラになっちゃったから、コープと役割を分担させることになった。
 だから、あのまま書いていたらコープはいなかったんだね。私コープのキャラが結構好きだから、やっぱ分離させてよかったなあって思うよ。キャラの数も減らしゃいいってもんじゃないよねw無意味にたくさんいるのは困りものだけど・・・

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑨

ジュラシックピット。
「第1試合!ステゴサウルス18500ポンド!対するはモノクロニウス!16000ポンド!」
「さあ500ドルからかけてくれ!」
「もうすぐ賭けは閉め切りだ!」
恐竜トレーナーがホルスターから薬莢をピットに投げつける。
割れた薬莢から恐竜が現れる。
「おおっとモノクロニウスかなり入れ込んでます!」
「どちらも気合十分・・・!それでは試合開始!」
ステゴサウルスが突進するモノクロニウスにむけて尻尾をふる。
尻尾の攻撃をまともに食らいモノクロニウスのフリルの一部が吹き飛ぶ。歓声。
怒り狂ったモノクロニウスは大きなくちばしでステゴサウルスの首にかみつく。
観客「やれ~ぶっころせ~!」

ジュラシックピットVIP席
カーネギー「どうです?ミセスブラウン。あなたには最高の席でショーを楽しんでいただきたいと思いましてね
この商売は間違いなく当たりますよ。ここ以外に闘竜場ジュラシックピットはニューヨーク、サンディエゴ、ロンドンにも建設を予定してましてね・・・」
アニー「おとなしい恐竜を錯乱状態にして殺し合いをさせるなんて・・・これは神に対する冒涜です」
カーネギー「いいや違う。連中はもともと私たちの時間軸には存在しない動物だ。存在しないものはどう使おうが知ったこっちゃない。トラやサイを戦わせるよりもずっと健全ですよ。」




フィリップ「!こ・・・こいつって・・・」
サーカスのアンガトラマ
フィリップ「おめえじゃねえか~!」
リズリー「あ、サーカスの!売られてこんなとこに来たのね・・・」
団長「いや~なんだかしらんが出れるようじゃな!」
リズリー「あ・・・グレゴリー団長!!」
団長「お・・・お前たち~!!」
コープ「誰?」
フィリップ「なに団長まで身売りしてんだよ!」
グレゴリー「だってお前がいないとショーにならないんだもん」
フィリップ「やっとわかったかこのオレのスター性・・・」
グレゴリー.「また空中ブランコをやっておくれリズリー」
フィリップ「おいハゲ」
リズリー「ほかの恐竜は?」
団長「2フロア下にいる。こいつらいかれてやがるぞ、ショーとはいえあんな過激なことを動物にやらせるとは、命を愛するわしとしては許せん・・・」
リズリー「ええと・・・いこうフィリップ」
フィリップ「おうよ」



VIP席に慌てて飛び込んでくるスタッフ。
スタッフ「会長大変です!Bエリアで恐竜が檻から逃げてます!」
カーネギー「ばかもの!さっさと戻さんか!?種類はなんだ?」
スタッフ「サーカスで使われていた恐竜共でして・・・」
カーネギー「あああのろくな戦力にもなりそうにないバカ恐竜か。なら殺しても構わん。
今は大事なときなんだ。絶対客の安全は守れ!」
スタッフ「は!」
アニー「フィリップ・・・」



サーカスの恐竜を逃すフィリップ
バッカーのスピーカーのハンドルを回すフィリップ
草食竜が誘導される。フィリップ「よーし逃げろ逃げろ~!」
銃撃するハンター「待てー!」
「げっ撃ってきた!」
リズリー「恐竜に当たっちゃう!」
銃で応戦するコープ
コープ「早く恐竜を逃がせ!!」

フィリップ「あ、あれ??」
リズリー「どうしたの?」
フィリップ「なんか胸がもぞもぞ・・・なんだ?」
胸のポケットから薬莢を取り出す
フィリップ「あ、これって・・・ティラノサウルスを撃った時の空薬莢だ」
コープ「!お、お前薬莢にヒビが入っているじゃねえか!」
フィリップ「おかしいな。俺別に何にもしてねえけど」
コープ「早くそいつを捨てろ!!」
「なんで!?」
「貸せ!!」

フィリップから奪った薬莢をハンター達の方へ投げるコープ
薬莢が割れて中からティラノサウルスのオスが現れる

「!!」
サーカスの恐竜が猛スピードで逃げていく
ハンター「ティ・・・ティラノサウルスだああああ!!」
銃撃するハンター達に襲い掛かるティラノサウルス

フィリップ「どうなってんだこれ!?」
リズリー「逃げないと・・・!」
コープ「そうか・・・薬莢の中にずっと閉じ込めておくことは出来ないんだ!」
コープ「そうなると・・・早く知らせないと大変なことになる!フィリップ!オレは会場の客を避難させる!!お前はアニーを救え!!」



VIP席
「会長!恐竜搬入通路にティラノサウルスがあらわれました!!早くショーを中止して観客を避難させてください!!」
カーネギー「なんだと!?どういうことだあああ!!!」
ライフルを掴むカーネギー「ええいディノトランス弾でもう一度捕まえればいいだろうが!もういいわしがやる!!お前も来い!」
アニーを強引に引っ張るカーネギー
アニー「きゃあああ」



ジュラシックピット
「さあそれでは第二試合です。今度は血湧き肉踊る肉食竜対決!」
ゴガア(ティラノサウルスの咆哮)
大歓声
ピットにティラノサウルスが入ってくる
観客「ティラノサウルスだあああ!」
Tレックスコール
係員が逃げ出す
ざわつく観客「?なんか様子がおかしいぞ・・・」
トレーナーにかぶりつくティラノサウルス
会場内が悲鳴に包まれる
トレーナーを荒々しく振り回しトレーナーが持っていた薬莢を散乱させるティラノサウルス。
会場内に散った薬莢が次々に割れていき恐竜たちが放たれる。

会場は大パニック。警報
ハンター「なんだこりゃああああ!!」
「皆殺しにしろ!!!」
ライフルを撃ちまくるハンター。
鞭のような尻尾を振り回して会場の柱をへし折るアパトサウルス。
巨大な足でハンターを踏みつぶす。
ハンターたちを追いまわすパキケファロサウルス。パキケファロサウルスの頭が銃弾をはじく。
「弾が効かねえ!」頭突きでつぶれるハンター。
オルニトミムスが素早い身のこなしで次々に人間たちを追い抜いていく。
基地をあきらめ逃げ出すハンター「駄目だああ!数が多過ぎる!ここは壊滅だ~!!」

避難通路に太っちょの鳥のヒナのような珍妙な恐竜がつったっている。
銃を向けるハンター「どけ!ペンギン野郎!殺すぞ!」
キリンのような首をかしげるノスロニクス「くけ?」
腕を広げると巨大なかぎづめが現れる。ハンターをひと薙ぎにするノスロニクス。
「ぎゃあああああ!」

観客に突進してくるパキケファロサウルスの群れ
リズリーが乗ったブラキオサウルスが体を盾にして食い止める
「頑張って!」

「早く逃げろ!」
観客を出口に誘導するコープ。

逃げる観客と逆走するフィリップ「アニー!どこだ!」
フィリップを見つけ叫ぶアニー「フィリップ!」



カーネギーの博物館
カーネギーに捕まっているアニー
博物館に入ってくるフィリップ「アニー!」
カーネギー「お前のせいだ!お前のせいでわしのビジネスはめちゃくちゃだ!」
フィリップ「俺が知るかよ恐竜のことなんて!俺だけじゃねえあいつらは誰の思い通りにもならないんだ!」
カーネギー「だがまだ終わったわけじゃないぞ・・・まだワシのコレクションは残っている」
フィリップ「そんな危ないもんとっとと捨てたほうがいいぞ!」
カーネギー「黙れ!これは誰にも渡さん!」

ムスサウルスが隙をついてカーネギーの薬莢のボックスをくすねる
カーネギー「貴様!返さんか!!」
ボックスを抱えるフィリップ「お前初めて役に立ったぞ!」
「アニーさんを離せ!さもなきゃこいつは下に捨てる!」割れたガラス窓から薬莢の箱を吊るすフィリップ
博物館の下のピットではティラノサウルスが暴れている
アニー「フィリップ・・・!」
カーネギー「そうか・・・ならお前も取りにいけ!」
ピットにアニーを放り投げるカーネギー
フィリップ「!」
アニー「きゃああああ」
フィリップ「アニー!」
箱を放り投げピットへ飛び降りるフィリップ

ピット
下でブラキオサウルスが二人をキャッチする
リズリー「落としたわよ」
フィリップ「リズリー・・・」
ピットの奥からティラノサウルスが接近してくる
リズリー「前より怒ってる・・・!」



博物館
カーネギー「わしのコレクション・・・!」
フィリップが投げた薬莢のケースは壁に当たり中身がばらける
「はああ!スーパーサウルス、エパンテリアス・・・!」
椅子の下に転がっていくティラノサウルスの薬莢
「ティラノサウルス・・・!捕まえた!」
薬莢にヒビが入る
「な・・・?」
薬莢を捨てるカーネギー
薬莢から出てきたのはティラノサウルスの子供だった
カーネギー「は~・・・お前か・・・」
窓の外から叫ぶフィリップ「おい早く逃げたほうがいいぜ!」
カーネギー「うるさい!こんなやつ敵ではないわ!」
フィリップ「後ろ後ろ!!」
子供を蹴飛ばす「くピピー!」
カーネギー「いいか!お前のハッタリに乗るほどわしは」
背後から母親のティラノサウルスにかぶりつかれるカーネギー「ぎゃああああ」
カーネギーを咥えながらピットの方へ歩き出す母親。
ピットの方から父親が突進してくる。
カーネギー「やめろおおおお!!!」



第五鉱区にサイレンが鳴り響く
バッカー「アニキ!保安官を呼んできた!あとは公務員に任せましょう!」
シェリフ「まだ恐竜に食われてない悪党は全員逮捕だ~!」



壊滅する第五鉱区
コープ「結局またティラノサウルスの巣に戻ったってことか・・・」
アニー「私・・・残りの資産をすべて売却して鉱山労働者の給料にします。きっと・・・あの人が生きていたら、きっと同じことをしたと今は思えるから。」
フィリップ「そうか・・・」
アニー「そしてラムとここで恐竜を保護する活動をするつもりですわ」
コープ「柄じゃないがな」
フィリップ「いや案外似合ってるぜ」
アニー「フィリップ・・・ありがとう。」

リズリ―「フィリップ・・・」
フィリップ「ん?」
リズリ―「よかったらサーカスに戻らない・・・?
それとも・・・そんな小汚い所似合わないか・・・」
フィリップ「・・・契約しだいだな。」
リズリ―「え?」
フィリップ「お前と一緒にやりたい。」
手を握る



数年後
「ヘルクリークサーカス」のテント。
団員「よってらっしゃい!みてらっしゃい!空中ブランコに曲撃ちショー、猛獣使い・・・!ここでしかみられない曲芸ばかりだよ!」
テントに客が集まっている。立ち見もいる大盛況ぶり。
アクロバットショーのリズリ―。
銃を早撃ちするコープ「オラオラオラオラオラオラオラ!!」
大歓声が上がる会場。
団長「・・・どこでスカウトしてきたんだあの曲撃ち師・・・テクが半端ねえ・・・」
「さあそれでは空中ブランコ、曲撃ち芸とお楽しみ頂いた次はいよいよ我がサーカスの目玉・・・!恐竜使いミスター・フィリップ・バックランドの猛獣ショーです!」
生意気なガキ「ママ、あいつまた懲りずに魚しか食べない恐竜で猛獣ショーやるみたいだよ。」
観客「もうネタばれてんぞーフィリップ!」
観客「なんでそいつが目玉なんだー!いい加減そいつをひっこめろ団長!」
地面が大きく振動する。ステージにティラノサウルス・レックスの巨体が現れる。
失禁する生意気なガキ。
微笑むリズリ―とアニー。
フィリップ「イッツァショータイムだ・・・!ヒ~ハ~!!
おわり

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑧

オーテリーブに行商がやって来る

リズリー「フィリップ、あれはなに??」
フィリップ「お~ごくろー」
バッカー「言われた通りありったけ持ってきたよ」
リズリー「・・・この人はなんなの・・・?」
フィリップ「古い友人でな。舞台の小道具とか特殊効果をやってたんだよ」
バッカー「今は恐竜用の便利な道具を売ってます」
ガラクタのような商品を手にしてかぶりを振るリズリー「どれもとても役に立ちそうには・・・」
バッカー「ダメダメ、あなた全然客の心わかってない。これなんていいよ」
フィリップ「それよりもやっぱこれだろ。気に入った。」
「さすが兄貴!これはあの恐竜の王Tレックスの鳴き声が出るスピーカーだ!これ
さえあればたいていの恐竜は逃げてくぜ!」
スピーカーのハンドルを回るフィリップ。鳴き声がなる。
リズリー「・・・こんな鳴き声だった??」
フィリップ「うんこしてるみたいだな」
それに呼応して周りで恐竜が鳴く。
馬車の周りに草食竜が集まってくる。
フィリップ「おい全然逃げないぞ。」
バッカー「求愛コールだったかな」

リズリー「で、なにするつもり?」
フィリップ「カーネギーからアニーさんの財産を取り戻す」
リズリー「了解。」



第五鉱区。
カーネギー財団が大規模に採掘を開始している。
ダイナマイトで荒々しく岩盤を爆破する。

岩陰に隠れてその様子を見るフィリップ、リズリー
フィリップ「あいつら実力行使か。勝手に採掘しやがって・・・」
リズリー「ティラノサウルスがいなくなったからね・・・」

第五鉱区を回り込んで獣道の方へ向かう
フィリップ「いいか向こうに秘密の抜け穴があるんだ」
リズリー「なんで知ってるの?」
フィリップ「ティラ坊に教えてもらったんだ。いくぞ」



カーネギーのオフィス
カーネギーとともに椅子に座るアニーのそばに護衛のコープが立っている。
カーネギー「これはこれはブラウン夫人。ご機嫌いかがですか?オーテリーブの労働者はよく働いてくれて素晴らしい。彼らには給料を払わなきゃ・・・」
アニー「すぐに採掘をやめてください・・・!あそこは恐竜たちにとって神聖な場所です・・・あなたは知りませんがあそこには金塊どころか・・・」
カーネギー「ミリアタイト。」
アニー「え?」
ミリアタイトのかけらを取り出す
カーネギー「ウランの三倍もの比重を持つ新種の鉱物。」
アニー「はなからその鉱物が目的だったんですね・・・」
カーネギー「あなたはこの鉱物の本当の価値を知らない。」

カーネギー「なぜこの大陸に本来は化石で見つかる太古の生き物が生息しているか、その理由を教えてしんぜよう。
この鉱物はもともと地球上に存在しないものです。おそらく世界中に恐竜が存在していた遙か昔、この大陸に衝突した巨大隕石が運んできたのでしょう。
この鉱物には時間と空間を歪ませる性質があってね、つまりあのミリアタイト鉱床は現代と太古の世界をつなぐ門のような役割をしていると考えられる。」
アニー「ミリアタイトを採掘して何を企んでいるんです!?」
カーネギー「ドン見せてやりなさい。」
透明の弾丸を銃に装填するマーシュ。壁が動きアロサウルスの入った頑丈な檻が出てくる。
アニー「この弾丸は・・・」
檻の中のアロサウルスに向けて銃を撃つ。
光を放って消えるアロサウルス

カーネギー「ミリアタイトの結晶で作ったこの銃弾は、異なる時間軸からやってきた恐竜どもをもとの時代に強制的に送り返す性質があるのです。」
アニー「そんな・・・」
カーネギー「これで誰でも安全に恐竜狩りが楽しめるってわけです。子供だってティラノサウルスが狩れる・・・!」
コープ「・・・・・・。」
カーネギー「恐竜大陸サウラシアは危険な無法地帯ではなくなった・・・!世界中の誰もがビッグゲームハンティングを楽しめるテーマパークになったのです!」
アニー「恐竜はあなた型のおもちゃじゃない・・・!この大陸を太古から支配していた野生動物ですよ・・・!」
マーシュ「あんただんだん旦那に似てきたな・・・」
カーネギー「面白いのはこれからです。ドン・マーシュ、アロサウルスの薬莢を」
「おう」
檻の中に入って薬莢を拾いに行くマーシュ
薬莢の入ったケースを取り出す「ディノトランス弾の薬莢は特殊でしてね。送り返した恐竜の種類を記憶しているんです。
これはステゴサウルス、これはディプロドクス、そして・・・ティラノサウルス。ドンマーシュの協力で地獄谷に生息するほとんどの恐竜が捕獲できました」
銃を握るカーネギー
「ではその薬莢を割るとどうなるか・・・」
檻が締まり、檻の中の薬莢を銃で撃つカーネギー
マーシュ「!どういうつもりだ!!」
薬莢が割れてアロサウルスが戻ってくる
「!!」
カーネギー「恐竜を再び呼び出すことができる・・・」
マーシュ「出してくれ!」
アニー「なんてことを!」
カーネギー「もはやプロのハンター等必要ないのですよ。ごくろうさまでした。」
コープ「檻を開けろ!」
マーシュ「裏切ったなジジイ~~~!!!」
アロサウルスに食べられるマーシュ「ぎゃああああ」
カーネギー「さんざん恐竜を殺してきたんです。当然の報いですよ・・・なんならあなたも餌になりますか?
西部一の恐竜ハンター・・・ラム・コープ」



第五鉱区の坑道。
ミリアタイトがトロッコに乗って運ばれていく
フィリップ「よしこれに乗っていこう。この石が奴らの目的ならボスのところに運ばれるはずだ」
「そうね」

ホーナー「それはいらねえ土砂だぜ。カーネギーのところに行きたかったらそっちのトロッコに乗りな」
フィリップ「あんたは・・・」
ホーナー「今度は何をするつもりだ・・・?」
フィリップ「アニーさんを助けに行く」
ホーナー「あの女はもう破産したんだぞ。助けて何の意味がある?」
フィリップ「約束したのさ・・・命にかけても守るってな!はあっ!」
さっそうとトロッコに乗り込むフィリップ
ホーナー「だからそのトロッコじゃないって!!!」



マーシュの手下「てめえはそこに入ってろ!」
恐竜の檻に入れられるコープ
つかまっている牢屋の外にも洞窟を利用した檻が並び、まるで恐竜の刑務所のようになっている。
コープ「ここは・・・」
檻の奥で不気味に光る肉食竜の目
「俺も餌か・・・!」



トロッコに乗ってミリアタイトと共に運ばれていく一行。
線路が複雑に絡み合い、ミリアタイトをふるい分けている
フィリップ「すげえな。ビッグサンダーマウンテン作ってら」
線路の下を指差すリズリー「フィリップあれ・・・!」
闘技場が建造されている。
フィリップ「アメリカンフットボールもあんのか」
リズリー「もしかして恐竜同士を戦わせるんじゃない?」

リズリー「みて!あそこの檻にコープさんが!」
フィリップ「本当だ。あいつなにやってんだろ」
リズリー「捕まっちゃったのよ!助けないと!!」

ポイントを切り替え恐竜の檻の前に止まるトロッコ。
リズリー「コープさん・・・!」
フィリップ「鍵はどこだ!?」
コープ「来るな!檻の中に肉食竜がいる!」
リズリー「なら早く開けないと!」
コープ「私はいい!開けたらみんなやられるぞ!!」
フィリップ「いいから黙って待ってな!ヒーハー!」
ムチで扉を叩くフィリップ
フィリップ「・・・鍵を探さなきゃ・・」
リズリー「どいて」
ごつい銃で檻の蝶番を吹き飛ばす
フィリップ「やるな」
リズリー「だからこっちにすればよかったのに。」

檻の奥から肉食竜が出てくる
コープ「みんな下がるんだ・・・!」
リズリー「逃げて!」
ムチを構えるフィリップ「俺に任せろ!」

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑦

アニーの屋敷。
寝室のベッドで横になるリズリ―。
フィリップが心配でなかなか寝付けない。
リズリ―「あいつ・・・どうしたんだろう・・・」
屋敷が揺れる。
リズリ―「地震…?」
アニー「静かに・・・」
リズリ―「アニーさん・・・?いつの間にここに・・・」
リズリ―のベッドのわきで屈むアニーは黙って窓を指さす。
窓のカーテンにはティラノサウルスの巨大な頭部のシルエットが映っている。
リズリー「・・・ティラノサウルス・・・なんでここに・・・」
アニー「わかりません・・・しかし確かなのは・・・あなたを探してる・・・」
リズリ―「な、なんで私を狙って・・・!」
アニー「音を立てずにそうっと屈んでついてきて・・・一階にライフルがある。」
窓の外で頭を振るティラノサウルス。しかし意を決したように窓を突き破って室内に頭を突っ込んでくる。悲鳴をあげるリズリ―。
リズリ―を見つけるティラノサウルス。唸り声をあげて短剣のような牙をつきだしてくる。
リズリ―にかみつく刹那アニーがベッドを持ち上げティラノサウルスの攻撃を防ぐ盾にする。
しかしティラノサウルスはベッドごとアニーを壁に叩きつける。
リズリ―「アニーさん!」
アニー「私に構わず逃げなさい!」
部屋から廊下に出るリズリ―。
ティラノサウルスは部屋から頭を引っ込め、廊下の窓を突き破り廊下を走るリズリ―に追いすがってくる。
恐竜の攻撃を何とか身のこなしの良さでかわしながら逃げるリズリ―。
彼女の背後で次々に窓ごと吹っ飛ぶ壁。
リズリ―「なんでわたしが・・・!」
一階のエントランスにつながる螺旋階段を降りようとした時、ティラノサウルスが背後のステンドグラスをぶち割り、その衝撃で一階のエントランスに吹っ飛ぶリズリ―。
割れたステンドグラスから怒り狂ったティラノサウルスが屋敷の中に入ってくる。
床に勢いよく叩きつけられなかなか立ち上がれないリズリ―。エントランスで向かい合うリズリ―とティラノ。
リズリ―「もうだめだ・・・」
フィリップ「リズリ―!」

その瞬間反対側のステンドガラスが割れてトリケラトプスがエントランスに突っ込んでくる。
トリケラトプスにまたがるフィリップ「正義の猛獣使いフィリップ・バックランド只今参上!」
リズリ―「ふぃ、フィリップ・・・!?」
フィリップ「やいティラノザウルス!お前の相手はこっちだ!」
怒りが全く収まらないティラノサウルス。リズリ―を噛み殺そうと突っ込んでくる。
リズリ―「きゃああああ!」
フィリップ「やむおえねえ突撃!」
果敢に吠えながらティラノサウルスに体当たりし攻撃を食い止めるトリケラトプス。
しばらくティラノサウルスと互角の攻防を繰り広げるが、ティラノサウルスが頭突きでトリケラトプスをふっとばし、フィリップは床に落ちる。逃げていくトリケラトプス。
リズリ―「フィリップ!」
トリケラトプスを蹴散らしたティラノサウルスがなおもリズリ―に襲い掛かる。
しかしフィリップが飛び出してリズリ―をティラノサウルスの牙から救う。
リズリ―「フィリップ!し、しっかり!」
フィリップ「や、やっぱ、俺に美女を守る英雄は似合わないか。」
リズリ―「・・・・・・!」
傷を負ったフィリップの下にティラノサウルスの子供が駆け寄ってくる。
フィリップ「よお、チビすけ・・・」
子どもの姿を見たとたんティラノサウルスの動きが止まる。

街の住人が武器を持って集まってくる「殺せ~!!」
ティラノサウルスの前で腕を広げるフィリップ「待て!待ってくれ!こいつは子供想いな良いやつだ。ただちょっとでかくて家を壊しちゃっただけなんだよ。」
フィリップの背後のティラノサウルスの口から人間の足が落ちてくる。
フィリップ「い、いや二、三人食べちゃったかもしれないけど・・・でもそれはお前らが襲い掛かったからだろ!」
村人「何言ってるんだ!あんた恐竜ハンターじゃないのか!」
村人「こいつを倒せば金が手に入るんだぞ!!」
村人「あんたどっちの味方だ!?」
フィリップ「こ・・・こいつを殺してなんになるんだよ!」

労働者に責められるフィリップを見て夫の姿とかぶるアニー。
ホーナー「あんたはどうなんだ?ブラウン夫人。旦那の敵を取りたくはないのか」
アニー「わ・・・わたくしは・・・」
リズリー「アニーさん・・・」
しばらく考えながらフィリップの方につくアニー。

労働者「恐竜の味方をしたいなら勝手にしろ!お前から殺してやる!」
銃を向けられるアニー
フィリップ「や・・・やめろ!!」
住人のライフルが銃に撃たれて吹き飛ぶ「!」

煙を上げるコープのピストル「やめろ・・・」
労働者「あんたまで・・・」
ティラノサウルスに顎をやるコープ「これ以上アイツを怒らせるな、返り討ちじゃすまないぞ。」
屋敷から出て引き返していくティラノサウルス。
労働者「本当に帰っていった・・・」



野外。街を歩き帰っていくティラノサウルス。
突如街がまばゆいライトで照らされる。
警戒するティラノサウルス
ティラノサウルスの前にマーシュの一味が立ちふさがっている。
引き返すティラノサウルスにディノトランス弾を撃ち込む
マーシュ「いただきだ」
コープ「マーシュ!!」
薬莢の中に消えていく親ティラノサウルス。
薬莢をひろうマーシュ「あのティラノサウルスもあっけないもんだぜ」
親が消えて泣き喚く子供
ハンター「ボスこいつはどうします?」
マーシュ「貴重なトランス弾を使うまでもねえ。ネットで捕獲しろ。」
マーシュ「カーネギーに連絡しとけ。これでティラノサウルスのメスと子供が手に入った。あとは父親だ。」
コープ「なるほど、その銃弾にはそんな効果があるんだな・・・」
マーシュ「いっただろ?この新兵器さえあればどんな恐竜も敵じゃねえ・・・
てめえらがティラノサウルスを誘導してくれたおかげで仕事が楽になったぜ。残念だったな恐竜ハンター・・・」
あかんぼティラノを荒々しく捕獲するマーシュの手下たち。足から取れるスカーフ。
フィリップ「なにしやがる!あいつは怪我してんだ!」
フィリップを殴るマーシュ「うるせえ!」
リズリー「フィリップ!」
マーシュ「いいかヒーロー気取りも大概にしろ小僧。てめえはオンボロサーカスでムチでも振ってりゃいいんだ」
住民「え・・・?サーカス・・・?こいつハンターじゃないのか・・・?」
ざわざわ
マーシュ「カーネギーはショウビズ界に革命を起こそうとしている。この前格安で買収した貧乏サーカスに俳優崩れの猛獣使いがいたんだとさ、名前はフィリップ・バックランド!
それも猛獣ショーとは名ばかりのヤラセだってよ!」
村人「ほ、本当かよ・・・俺たちを騙してたのかよ・・・」
アニー「ち、違うんです彼は私が・・・」
フィリップ「アニーさん・・・
そうだ。お前らを騙してたんだ。悪かったよ・・・」
村人「この詐欺師!お前のせいで街は・・・!」
ホーナー「もうやめろ!」
村人「ホーナーさん・・・」
ホーナー「終わったんだ・・・すべて・・・・」
アニーの方を向くホーナー「・・・ブラウン夫人・・・残念だ」
街から出て行く労働者。
アニー「・・・・・・。」



夜明け
墓地で夫の墓に花を手向けるアニー
コープ「街の労働者たちのほとんどはカーネギーに引き抜かれた。」
アニー「ごめんなさいあなた・・・屋敷も街も全て失ってしまった・・・」
コープ「いやひとつだけ残っている。第五鉱区だ・・・あそこだけは守らなきゃいけない、だろう?」
アニー「・・・・・・。」
コープ「つきあうぜ」



昨晩騒ぎがあった街の中心部
ティラノサウルスの子供が付けていた破れたスカーフをひろうフィリップ「・・・・・・・。」
隣に座るリズリー
「助けてくれてありがとう。」
フィリップ「ごめんな、お前のお守りあいつのケガを治すのに使っちまった・・・」
首を振る。
リズリー「ううん。で、どうするの?」
フィリップ「どうにもならねえよ・・・俺は恐竜ハンターなんかじゃない。」
リズリー「それでいいじゃない。」
フィリップ「え?」
リズリー「恐竜ハンターじゃなくてもあなたは十分私のスターだよ。
ファン第一号が言うんだ、信じてよ、ね?」
テンガロンハットをかぶせる。

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑥

アニー「くれぐれも気をつけて・・・」
フィリップ「いってきます。」
アニー「フィリップ・・・酒場で私をかばってくれてありがとう・・・嬉しかった」
抱きしめる
フィリップ「・・・いくぜえ!」



バリケードを抜けて村の外へ出る。
フィリップはトリケラトプス、コープはユタラプトルにまたがる。
ティラノサウルスの足跡をたどる二人。
コープ「・・・第五鉱区の方へ向かってる・・・怖いか?」
フィリップ「そんな感情とうに忘れたぜ・・・」
茂みがゆれる
フィリップ「きゃああああああ!!」
コープ「静かに・・・気をつけろ・・・」
フィリップ「ティラノ?」
コープ「わからん」
茂みの中へ飛び出すフィリップ「よっしゃあ!とっ捕まえたる~!」
コープ「バカ野郎!」
フィリップ「ヒ~ハ・・・・」

茂みの奥が崖で転がり落ちるフィリップ「ああああああ!」
コープ「おい!」

フィリップ「あたたた・・・ハッ殺気!」
崖の下には巨大な塚が掘ってあり、その中心に、ふわふわの毛で覆われたぬいぐるみのような小さな恐竜が座っている。
フィリップ「あ・・・あれ?こ、このチビころが・・・ティラノザウルス~!!??なんじゃそりゃ~!
世界三大がっかりやんけ!!こんなん中学生でも勝てるで~!おらおら観念せんかい!」
フィリップにすり寄ってくるティラノサウルス「クピ~」
フィリップ「な、なんじゃお前・・・なんか可愛いやんけ・・・はっ、もしやこれがこいつの戦法か!
さては、ぶりっこして相手を油断させてかみつく気だな!死ねや~!」
銃を向けるフィリップ。ティラノの目が潤む。
ティラノ「クピピ~・・・」
フィリップ「・・・・・・。ちくしょ~!!俺には撃てね~!!!!
あんなに恐竜を憎んだ俺を骨抜きにするとは・・・確かにこいつの可愛さは最強だ~!!!」
ライフルを地面に叩きつける。哀しく泣き続けるティラノ。
フィリップ「おいおい、そんな悲しい顔するなよ~・・・ん?お、お前怪我してるじゃねえか。」
見るとティラノサウルスの脚から血が出ている。
フィリップ「それでお前立てないんだな。待ってろ。今手当てしてやるからな。ええと添え木と…」
近くに落ちている枝をとるフィリップ「あとは、包帯だな・・・なんかねえか・・・。あ。」
お守りのスカーフに気付くフィリップ。
「あいつには悪いけどこいつを使うか。」
スカーフを広げるフィリップ。スカーフには見覚えのあるサインが書いてある。
フィリップ「なんだこりゃ、ガキみてえな下手な字だな・・・あ・・・」
スカーフに書かれたサインを思い出すフィリップ。

幼少時代のフィリップ「いいかリズリ―。俺は大人になったら絶対スターになってやるからな。」
幼少時代のリズリ―「すごいすごい!ええと・・・じゃあこれにサインちょうだい!」
スカーフを差し出すリズリ―。
スカーフにサインを書くフィリップ「なはは・・・これはプレミアがつくぜ~!」
リズリ―「ありがとう!絶対大切にするね!」


フィリップ「あいつ・・・こんなもん、ずっと持っていてくれてたのか・・・(じ~ん)」
哀れな声を出すティラノ「クピ~・・・」
フィリップ「でもいいや、使っちゃえ。」
お守りのスカーフを引き裂いて包帯に使ってしまうフィリップ。
フィリップ「よっしゃ、治療完了。」
フィリップにすっかりなつくティラノ。

ロープで降りてくるコープ「なにやってるんだお前は・・・」
フィリップ「ティラノ飼い慣らしてやったぜえ?」
コープ「・・・それは別の恐竜だ・・・大きさが違うだろ・・・それよりここは・・・?」
フィリップ「さあ。」

鳴く子ティラノ
フィリップ「付いてこいって」
コープ「いやまて武器を置いてきた・・・」
フィリップ「怖いのか?」
コープ「何を言いやがる・・・」



オーテリーブのアニーの屋敷。
リズリ―「アニーさん・・・フィリップがまだ帰ってこないんですけど・・・」
アニー「大丈夫。心配いりませんよ。彼は最高のハンターですから」
リズリ―「・・・。あの・・・アニーさん・・・実はフィリップのショーって・・・」
アニー「・・・あの恐竜は人は襲わないのでしょう?」
リズリー「知ってたんですね・・・それなのになんで、こんな危険なことを・・・!」
アニー「私はあの人の真っ直ぐな心に魅せられたんです」」
リズリー「向こう見ずでバカなだけですよ・・・」
「あなたも彼のそんなところが好きなんじゃないんですか?」
「え・・・」
アニー「・・・私の夫もそんな人だった・・・」
リズリー「・・・・・・。」

アニー「また今日も保安官にかけ合うのですか?」
バーナム「ああ・・・手遅れになる前に狩りを取り締まってもらう。
これ以上人間が草食恐竜をむやみに殺し続けたらどうなると思う?アニー。」
アニー「列車も止まらなくなるし・・・生活がずっと快適になると思います。」
バーナム「違うな。草食恐竜が減れば、それを餌にする肉食恐竜は飢えに苦しみ、餌を求めて俺たち人間の街を狙うだろう。
ハンターはなぜそれが分からないんだ。必ず自然は帳尻を合わせるものだ。
それを分からせなくてはならない。いってくるよ。」


アニー「あの人は守ろうとした恐竜に殺されたのよ・・・ほんとバカみたいでしょう?」
首を振るリズリ―。
「一体、アニーさんたちは第五鉱区で何を見たんですか・・・?」
「・・・・・・奇跡ですよ」



フィリップとコープは暗いトンネルを入っていく。
フィリップ「ずいぶん古い坑道だな。」
コープ「閉鎖して何年もたったみたいだ・・・第五鉱区の地下にこんな場所があったのか・・・」
フィリップ「おい、みろよ。」
鉱石を拾い上げる。
コープ「とんでもなく重い・・・。見たこともない鉱物だ・・・ここは一体・・・」

月明かりでトンネルが照らされる。
巨大なミリアタイトの鉱床が広がっていることがわかる。
「すげえ・・・」
光りだすミリアタイト
光の中から翼竜が飛んでくる。
「!なんだ!!?」
コープ「見ろ・・・!恐竜だ!」
フィリップ「なんだここ?恐竜が湧いて出る洞窟か?」
コープ「もしかして・・・この石なんじゃないか・・・?この石の力で恐竜共が地獄谷へ・・・」
フィリップ「光ると恐竜になる石?お前結構頭悪いな。」
コープ「じゃああれをどう説明する!?」

ミリアタイトから出てきた恐竜を捕まえるティラノサウルス
「!!」
コープ「隠れろ!!」

体長12メートルのティラノサウルスの親がつがいで戻ってくる。
子ティラノが親の方へかけていく。

フィリップ「やめろ!食われちゃうぞ」
コープ「いや、あいつ・・・もしかして親子なのか?」
フィリップ「あの親子は全然似てないな」
「ここがティラノサウルスの巣だったのか・・・一旦引き上げだ・・・」

親ティラノサウルスが犬の何倍も利く鼻で子供のにおいをかぐ。
巣に変わったにおいが漂っている事に気付く。鼻づらを引き裂かれたリズリ―のスカーフに近づける。
人間の匂いを確認し、怒号をあげる。

「まずい気づかれた!」
ティラノサウルスが突進してくる。付近の壁が崩れ閉じ込められる二人。
坑道が邪魔で顎が届かないティラノサウルス。
コープ「何か武器は!?」
フィリップ「ええと・・・ピストルがある」
コープ「撃て!」
フィリップ「でもあいつ子供守っているだけだぜ・・・!」
コープ「こっちは自分の命守ってるんだ!!」
岩を破壊して接近するティラノ。
坑道を逃げ出す二人。
コープ「これに乗れ!」
トロッコに乗り込む二人
コープ「よし出せ!」
トロッコのレバーを二人共押している。
コープ「馬鹿同時に押してどうするんだ!交互にやるんだよ!」
下りに入ってトロッコが加速する
ものすごいスピードで追ってくるティラノサウルス。
線路が二手に分かれている
コープ「おい右のルート線路がないぞ!」
フィリップ「大丈夫だって、ポイントは左になってるから」

ティラノサウルスが石柱を破壊する。
分かれ道の上から石が落ちてきて偶然ポイントが切り替わる。
フィリップ「やばいよ?」
コープ「ブレーキだ!」
車輪から火花が散る。
レバーがぽきりと取れる「あ、折れた!」

ティラノサウルスと線路をはさんで反対側でコープのユタラプトルが並走している。
コープ「おいお前は飛び降りてあいつに乗れ!」
フィリップ「あんたは!?」
「その銃を俺にかせ!俺がやつの気を引く!その隙にお前は逃げろ!」
「いや、その格好良い役は俺だろ!」
「うるせえ!いいから貸せ!」

二人ともトロッコごと線路から落っこちる。
地面に叩きつけられる二人。
フィリップ「コープ!」
コープ「足が・・・」
地面に転がるピストル。
コープの方へ突進してくるティラノサウルス。

コープに襲い掛かる直前ピストルを取りティラノを撃つフィリップ。

発光。

消えるティラノサウルス。
コープ「こ・・・これは・・・!」
薬莢をつまむフィリップ。薬莢の中にはティラノサウルスが入っている「バッカーすごい弾じゃねえか・・・」



肩を貸して廃坑から出る二人。
もう一頭のティラノサウルスが廃鉱を離れオーテリーブに向かっていく。
コープ「大変だもう一頭のティラノサウルスが巣を離れた!オーテリーブに向かってる!
はやく街の連中に知らせないと、皆殺しにされるぞ!」
薬莢をポケットに入れるフィリップ「あんたは・・・!」
「俺のことはいい!街を救え!!」
トリケラトプスにまたがるフィリップ「・・・ヒーハー!!」
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