地球物理学覚え書き

地球の形状

アリストテレス
哲学、政治学、生物学、物理学に続いてここでも登場!
紀元前330年頃、月食の際に月に映った地球の影が丸いことから、地球は球体であることをすでに見抜いていた。

エラトステネス
紀元前220年頃、シエネとアレキサンドリアの距離(925キロメートル)と、その二地点から見える太陽の位置のズレ(7.2°)から、中心角7.2°、弧の長さ925キロメートルの扇形を作り、地球の全周をかなり正確に算出した。

7.2:925=360:X
    X=46250キロメートル

ニュートン
物理学では重力加速度は9.8m/s2とされるが、厳密には場所によって若干異なり、赤道に近づくほど小さくなり(赤道では約9.78)、北極や南極に近づくほど大きくなる(緯度90°では約9.83)。
これは赤道の方が遠心力が高いためである(※)が、ニュートンはこの変化量を正確に求め、地球がちょっとだけ楕円であることを突き止めた。
その約50年後にフランス政府が調査隊を派遣し、ペルー、フランス、フィンランドでそれぞれ緯度一度あたりの経線の長さを測量したところ、緯度が高い国の方が罫線が長くなったため、地球が楕円であることが実際に証明された。

※実際には、地球の中心との距離が緯度によって異なるのが原因で(地球は楕円だから)、この影響は遠心力の影響の10倍もある。

ジオイド
地球の表面は7割が海、3割が陸であるが、これをすべて海の水に覆われた星と仮定して、その時の地球全体の平均海面をジオイド(ジオ=地球、イド=~みたいなもの)という。
平均海面とは、海面は波や潮汐によって変動しているが、その平均値をとり静水面としたもの。
しかし、地球内部はダイナミックな変動を繰り返しているため、平均海面も局所的に異なりボコボコになってしまう。
そのため、ジオイドに最も近い、綺麗な回転楕円体(地球楕円体)を作り、ジオイドとの差(ジオイドの高さ)を人工衛星によって測定すると、地球は洋なしというか肉まんのような形をしていることがわかる。
ちなみにジオイドの高さが最も凹んでいる場所はインド南部で、南極や北米もかなり凹んでいる。

扁平率
では地球はどれだけ潰れているかを計算すると

赤道半径(幅)=6387.137キロメートル
極半径(高さ)=6356.752キロメートル

扁平率=赤道半径-極半径/赤道半径≒1/300

なので、地球はほぼほぼ球形と考えていい。

重力異常
地球の形を地球楕円体と仮定したときの重力(引力と遠心力の合力)を標準重力というが、引力は物体の質量に比例するので地下に密度の大きな物質が存在する場合、局所的に重力の値は大きくなってしまう。この時の標準重力と実測値のズレを重力異常という。
初めて聞いた人は、だいたいKAGRAとかブラックホールとか、そういった類の宇宙物理学用語だと勘違いする(私だ)。
なんにせよ、この重力異常のせいで、重力の実測値をほかの地域と比べる場合は、ジオイド面上の値に変換する必要が出てくる。これを重力補正といい、以下の3段階で行われる。

①フリーエア変換
引力は重心から遠ざかるほど小さくなるため、この効果を取り除く。
重力は1メートル高くなるごとに約3.086×10-6m/s2小さくなるので、ジオイド面からHメートル高い場所の重力は3.086×10-6×Hだけ小さくなる。
ちなみにフリーエア変換とフーリエ変換は名前が似ているが、フリーエアとは人名ではなく自由大気という意味で、実測地の高さとジオイド面との高さの差をフリーエアと仮定することに由来する。

②地形補正
地表はジオイド面と平行ではなく凸凹しているため、測定地の高さHよりも高い場所にある物質は、高さHの平行面に引力をもたらし、測定値よりも低い場所にある物質は引力を及ぼさない(物質がないから)、こういった地形の効果を測定値から補正して、高さHのジオイドとの平行な面の重力値を求める。

③ブーゲー補正
最後に測定面とジオイド面との間にも物質があるため、その引力も差し引かなくてはならない。
間にある物質の密度を平均的な地殻の密度と仮定して、その値を測定値から取り除く。
ブーゲーとはこの計算を行った学者の名前。

フリーエア異常
フリーエア補正した値と標準重力との差のこと。
測定点の下にある物質が均質の場合は、測定地の高さを補正するだけで標準重力に一致するのでフリーエア異常は見られない。
アイソスタシーが成立している場合は高度によらずどこでもフリーエア異常は見られないが、日本列島は沈み込みプレートの境界にあるため、海溝付近は強制的に地球内部に引っ張る力が絶えず働いていて、アイソスタシーが成立せず著しいフリーエア異常が見られる。

ブーゲー異常
フリーエア補正、地形補正、ブーゲー補正して出した値と標準重力との差のこと。
ブーゲー補正は、ジオイドと測定値の間の密度を平均的な近くの密度と仮定して補正してしまっているため、鉱床のように地下に密度の高い物質が集まっている場合はプラスのブーゲー異常が見られる。
逆を言えば、ブーゲー異常が見られるところでは鉱床があるということで鉱床の探査に利用されている。
またカルデラや断層など、地下構造が水平的に変化する場所でもブーゲー異常が見られる。例えば、基盤が陥没していたり、断層がある場所では密度の大きな層が部分的に下がっているので、マイナスのブーゲー異常が見られる。

地球の内部
地震波の速度や、地球内部の化学組成から、地球内部の密度と圧力を算出すると、地球の中心密度は17g/cm3、圧力は4×1011Pa(≒400万気圧)に達する。
しかし地球内部の温度は直接測れないので推定幅が大きい。マントルと核の境界付近は3000℃、中心部は5000℃くらいだと考えられている。

地温勾配(地下増温率)
地下に行けば行くほど周囲の岩石の温度は上がるが、その割合を地温勾配という。
だいたい100メートル深くなる事に3℃上がる。

地殻熱流量
地球の内部の熱は、熱伝導によって表面に向かって逃げていき、最後は宇宙空間に放出される。
この時流れ出る熱量を地殻熱流量という。
地球全体では0.085W/m2(1平方メートルの面積から1秒間に0.085Jの熱が流出している)、大陸地域では0.065W/m2、海洋地域では0.1W/m2で、海洋地域の方が地表に放出される熱が大きい。これは海底に海嶺があるからである。
逆にプレートが沈み込む境界(=海溝)では地殻熱流量は低くなっている。

熱源
地球の熱源は、地球ができるときに蓄えられた熱エネルギー(=微惑星衝突の運動エネルギーと鉄がマグマーオーシャンの中に沈んでいった位置エネルギー)と、ウラン、トリウム、カリウムといった地球内部の放射性同位体が崩壊して発生した熱エネルギーである。
ちなみに、地球ができるときに蓄積された熱エネルギーと、放射性崩壊による熱エネルギーの比はちょうど1:1だという。

地球内部の化学組成
地球は原子太陽系星雲中の微粒子が集まって出来たと考えられているので、太陽系にある代表的な隕石と化学組成は似ていると考えられている。そのためイトカワなどの小惑星からサンプルと採取しようとしている。
また、出来たての地球は隕石の衝突エネルギーや大気の温室効果によって、ドロドロに溶けていたので、密度が高い(=重い)金属の鉄などはどんどん沈んで中心部に溜まっていった。
こうして現在の地球の化学組成が決定した。

地殻
二酸化珪素(55%)、酸化アルミニウム(15%)
大陸地殻は厚さが30~50キロメートルで、上部が花崗岩質、下部は玄武岩質。
海洋地殻は厚さが5~10キロメートルで、ほとんどが玄武岩質。

マントル
二酸化珪素(45%)、酸化マグネシウム(37%)
上部はかんらん岩(カンラン石、輝石)、下部はかんらん石が圧力によって相転移を起こしワズレアイト→リングッダイトといった高圧で安定する構造を持つ鉱物によってできている。


鉄(90%)、ニッケル(9%)、コバルト(0.6%)
液体の外核と、固体の内核に分けられる。

アイソスタシー
密度の小さい岩石が、密度の大きいマントルの上に浮かんでいるとする考え方。
アイソスタシーによれば大陸も海洋も同じ浮力をマントルから受けていると考える。

マントルの密度:3.3
大陸地殻の密度:2.8
海水の密度:1.0
海洋地殻の密度:3.0
氷の密度:0.9

上のような密度のデータがある場合、地殻の厚さが36キロメートルで標高2キロメートルの大陸の地点Aから、水深が4キロメートルで海洋地殻の厚さがわからない海洋の地点Bの海洋地殻の厚さを求めることができる。

地点Aの地殻の質量は、密度×地殻の厚さで

2.8×36=100.8

地点Bの質量は海水と海洋地殻とマントル(海洋地殻は大陸地殻よりも薄いため勘定に入れる)の質量を合計して

海水・・・1×4=4
海洋地殻・・・3×X=3X
マントル・・・3.3×(30-X)=99-3.3X

4+3X+99-3.3X=-0.3X+103

大陸の質量=海洋の質量なので

100.8=-0.3X+103

0.3X=2.2

X≒7.3333・・・

したがって海洋地殻の厚さは約7キロメートルである。

また、20000年前には大規模な氷河で覆われていた大陸の土地が、氷河の消失により400メートル隆起したとする。氷河の厚さが1500メートルだった場合、今後さらにどれくらい隆起するかもアイソスタシーによって求めることができる。
氷河の質量分だけ隆起すると考えられるので、隆起する高さをXメートルとすると・・・

3.3X(マントルが氷河に与えた浮力)=0.9×1500(氷河の質量)

3.3X=1350

X≒409メートル

すでに20000年かけて400メートル隆起しているので、今後はあと9メートル隆起する。

さらに、氷河がない場所で土地が400メートル隆起した場合は地殻の厚さが増加したと考えられる。よって地殻の厚さをXメートルとすると下方向への増加幅はX-400メートルである。
アイソスタシーにおいて、地殻の質量と、マントルが地殻に与える浮力は等しいので・・・

2.8X=3.3(X-400)

-0.5X=-1320

X=2640

よって地殻の厚さは2640メートルである。

プレートテクトニクス
地球の表面を覆うプレート(リソスフェア)という15枚の固い岩盤がマントルの対流(上昇する熱いプルームと下降する冷たいプルーム)によって動くこと。

プレートと地殻の違い
一見同じようなものに思えるが、厳密には定義の仕方が異なる。
地殻やマントルは地震波の速度の違いや化学成分で分類されるが(地震波トモグラフィー)、プレートは力学的な区分、つまり硬いか柔らかいかで分類されている。

リソスフェア
地表付近の硬い岩石部分。硬い分割れやすい。
リソスフェアは地殻とマントル上部の硬い部分が合わさり出来ていて、このリソスフェアが十数枚に分割したものがプレートである。

アセノスフェア
リソスフェアの下にある柔らかい部分。アセノスフェアは一応固体ではあるが、溶けかけていて流動しやすい(対流をしている)。プレートがマントルの上を移動できるのはこのためである。

メソスフェア
アセノスフェアの下にある残りのマントル全て。かなり硬い。

①拡散する境界(広がる境界)
海嶺の活動によってプレートとプレートが遠ざかっていく。正断層ができる。
東アフリカ地溝帯、ギャオ(アイスランドの割れ目)、東太平洋海嶺など。

②収束する境界(狭まる境界)
プレートとプレートがぶつかっていく。ぶつかった部分が盛り上がり山脈を形成したり、地震が起こる。海洋プレートがほかのプレートの下に沈み込む場所は海溝と呼ばれる。逆断層ができる。
ヒマラヤ山脈、日本海溝など。

③すれ違う境界
横ずれ断層ができる。
サンアンドレアス断層が有名。

VLBI
ベリー・ロング・ベースライン・インターフェロメトリー。超長基線干渉計と言う。
宇宙から飛んでくる電波を地上の複数の箇所にあるパラボラアンテナで受信し、その到達時間の差からそれぞれのアンテナ間の距離を求めることができる。
例えば、宇宙で最も明るい星(そして遠い)であるクェーサーからの電波を2地点で受信した時、電波の速度をc、電波到達時間の差をt、2地点間の距離をL、パラボラアンテナの角度をθとすると、Lを斜辺、アンテナに届く電波の道筋を底辺とする、角度θの直角三角形を作ることができる。
この直角三角形の余弦は

cosθ=ct/L

Lcosθ=ct

L=ct/cosθ

となり、2地点の距離をパラボラアンテナの角度と電波到達時間の差から求めることができる。
これにより、地震などの地殻変動によってプレートがどれだけ移動したか、ミリ単位で算出することができる。

地磁気
地球は大きな磁石になっていて、これによって発生する磁気を地磁気という。渡り鳥なんかはこれを感じ取って目的地まで飛んでいるらしい(あと星座)。
地磁気は、ベクトルによって表すことができ、水平分力と垂直分力を合わせた合力の全磁力(平行四辺形の対角線にあたるベクトル)、対角線の水平分力からの角度を表す伏角、そして磁気の方位を示す偏角が、地磁気の三要素である。

双極子磁場
ダイポールとも言う。N極とS極の二つがある棒磁石で形成される磁場のこと。
ちなみに磁石には必ずN極とS極がセットで存在するが、どちらかの極しかない磁石をモノポールといい、その存在をスーパーカミオカンデで探している。

磁気圏
太陽から地球に飛来する荷電粒子の流れ(太陽風)をはねのけてくれる領域を、地球の磁気圏という。
磁気圏は太陽側では地球半径の10倍くらいだが、その反対側ではその数百倍に広がり、彗星のような形をしている。これは太陽側は太陽風は向かい風、反対側は追い風になって、磁気圏の形が変わるからである。

バンアレン帯
磁気圏の内側では、陽子や電子(いわゆる放射線)が地球の磁力線に捕まって二重のドーナッツ状に地球を取り巻いている。このドーナッツを(発見した物理学者の名前をとって)バンアレン帯という。
なんでドーナツ状になるのかというと、自転や公転軌道の関係で、極地域から太陽風が来ることはないからである(ただ極地域に荷電粒子が磁力線に引っ張られて飛来することはある。詳しくはオーロラの項で)。
バンアレン帯の放射線は自然放射線の一億倍以上にも登り、電子は地球の周りを東回りに、陽子は地球の周りを西回りで回転している。ただアポロ計画の宇宙飛行士は毎回ここを通過していたので、即死レベルの放射線ではないらしい。
ちなみに内側のドーナッツ(地球から4000キロメートル)は内帯と呼ばれ、高速の陽子と電子が、外側のドーナッツ(地球から)は外帯と呼ばれ、高速の電子が多い。

オーロラ
太陽風の強さは太陽活動によって変化し、たまにすごい強くなって地球の磁気圏を押しつぶし、地磁気を変化させてしまう。これを磁気嵐という。
このとき荷電粒子の流れが地球の磁力線に沿って北極や南極といった高緯度地域の大気に侵入することがあり、そこで大気粒子と荷電粒子がぶつかると発光してオーロラができる。
カナダのイエローナイフなどが有名(桃鉄知識)。

化学概論覚え書き②

参考文献:松井徳光・小野廣紀著『わかる化学 知っておきたい食とくらしの基礎知識』、井上祥平著『はじめての化学―生活を支える基礎知識―』

モル濃度
12本の鉛筆を1ダースというように6.02×1023個の粒子を1モル(mol)といい、6.02×1023という数字をアボガドロ数という。
また、1molの質量は原子量や分子量に等しく、さらに1lの水溶液の中に溶けている溶質のモル数はM(モル濃度)と呼ばれ、モル濃度(mol/l)=モル数(mol)÷水溶液の体積(l)である。
以上のルールに従うと、0.1Mの水酸化ナトリウム(NaOH)を200mL調製するには、まず200mLに含まれる水酸化ナトリウムの量を求め・・・

0.1mol×200ml/1000ml

=0.02mol・・・①

次に水酸化ナトリウムの式量を求めれば良い。
水酸化ナトリウム(NaOH)は水素と酸素とナトリウムの化合物なので

1+16+23

=40g・・・②

①×②で

0.02×40=0.8

よって0.8gの水酸化ナトリウムが必要である。

こんな感じで、今度は塩化水素が7.3g溶けている水溶液が180mLあるときのモル濃度を計算してみる。

H=1、Cl=35.5なので、塩化水素の分子量は36.5

まずモル濃度は1lあたりの溶質のモル数なので、180mlで7.3gの溶質が溶けているなら、1lなら何gかを比で出してみる。

7.3:X=0.18:1
0.18X=7.3
X=40.5g

次に塩化水素は1lに36.5g溶けたときに1Mなので、40.5g溶けたら何Mかを求める。

1:36.5=X:40.5 
36.5X=40.5 
X=1.1

よってモル濃度は1.1Mである。

砂糖(ショ糖)171gに含まれる分子数
ショ糖の化学式はC12H22O11で、原子量12の炭素原子が12個、原子量1の水素原子が22個、原子量16の酸素原子が11個集まって出来ている。
したがってショ糖の分子量は

12×12+1×22×16×11=342

である。
つまりショ糖分子が6.02×1023個(1モル)集めるとその重さは342グラムになるというわけである。
問題ではショ糖の重さは171グラムで、ちょうど342グラムの半分なので、ショ糖の物質量は0.5モル、よって砂糖(ショ糖)171gに含まれる分子の数は6.02×1023個の半分=3.01×1023だということがわかる。

水と電気陰性度
一般的に物質は分子量が大きくなるほど沸点や融点は高くなる(固体は液体に、液体は気体にしにくくなる)。逆に言えば、軽い物質ほど気体になりやすいということである。
しかし、分子量18の水と、分子量32の酸素では、水は酸素の半分くらいしか重さがないのに、水は液体、酸素は気体として一般的に存在している。
実際、大気を構成する物質の中で常温で液体なのは水だけだという。
その理由は、水分子が、水素原子に比べて圧倒的に電気陰性度の強い酸素原子が水素の電子を引きつけており、電子を剥ぎ取られた水素原子はプラスに、酸素原子はマイナスに帯電しているからである。
このような状態の分子を極性分子といい、水分子それぞれがちょうど磁石のような状態になっているため、酸素よりも軽い分子にもかかわらず液体として存在しているのである。
ちなみに、水の表面張力(表面をできるだけ小さくしようと分子どうしがくっつく力)が高い理由もそのためである。


固体の氷が液体の水に浮くのは、氷の方が水よりも比重が軽いからである。
つまり同じ質量ならば水より氷の方が体積が大きいということである。実際、密封された容器に水を入れて凍らせると、容器が膨張し変形してしまう。
水も一般的な物質と同様に、温度を下げていくと分子の運動エネルギーが下がり、どんどん比重は重くなっていくのだが、その温度が4℃以下になると、今度は逆に軽くなっていってしまう。つまり水は4℃のときに最も重く、体積も縮小するということになる。
そのため4℃を下回った水は水面に浮いてきて、0℃になると凍りつく。
つまり水の場合は一般的な物質と異なり表面から凍っていく。だから氷点下20℃の湖も(表面にできた氷が蓋をするので)内部は凍らない。
このように固体の方が液体よりも比重が軽くなる物質は水やケイ素、ゲルマニウム、ガリウム、ビスマスなど僅かな種類だけである。

ではなぜ、水は固体の方が液体よりも体積が大きくなるのかというと、氷は水分子が水素結合で結びついて出来ているのだが、水分子のL字型の形状や、水素結合ができる方向が決まっているために、綺麗に並べても隙間が出来てしまい、そのため体積がかさばってしまうのである。
液体の場合は水分子は自由に動けるので、水分子の運動エネルギーが水素の結合エネルギーにまさっている4℃までなら温度を冷やせば冷やす分だけ隙間は小さくなり、密度は増えていく。

ちなみに、数千~数万気圧という強い圧力をかけて水を冷やせば結合が歪んだり重なったりして、水よりも比重が大きい氷を作ることができるらしい。

溶解
液体中にほかの物質が溶けて均一な混合物ができることを溶解という。
このとき、溶けている物質を溶質、溶かしている液体を溶媒という。
溶媒が水の溶液を水溶液というが、物質が水に溶けるしくみには、水分子の性質が大きく関係している。
水分子は、水素原子側がプラスに帯電し、酸素原子側がマイナスに帯電している極性分子であるため、塩化ナトリウムのようなイオン結晶を入れると、陽イオンのナトリウムイオンは酸素原子に、陰イオンの塩化物イオンは水素原子にくっついて、塩化ナトリウムは水分子に取り囲まれてしまう(水和)。
そのためイオン結晶は、水和分子となって水に溶ける。
しかし、水とグルコースが溶解してできた砂糖水や、水とエタノールが溶解してできたお酒など、イオンに分かれない物質でも水に溶かすことができる。
これはグルコースやエタノールの分子に、ヒドロキシル基という新水基があるからである。
ヒドロキシル基は水分子と同じく、水素原子側がプラス、酸素原子側がマイナスに帯電しており、ヒドロキシル基の酸素原子と水分子の水素原子、ヒドロキシル基の水素原子と水分子の酸素原子がそれぞれくっついて、水素結合が起こるため、エタノールは水によく溶ける。

炭酸
コーラのシュワシュワの正体は、液体中に強い圧力をかけて(沸点を上げられて)溶かされた二酸化炭素である。
つまり、二酸化炭素が気体となって液中から出て行ってしまうとシュワシュワはなくなってしまい、ただの黒い砂糖水になる。
気体となり膨張した二酸化炭素はペットボトルの上部にあるわずかな隙間に集まり、このためにペットボトルの内圧は上がる。栓を抜くとプシュッとなるのはこのためである。
このような炭酸ガスに限らず、温度が高くなり沸点を超えると液体は気体に状態変化をしてしまうので、炭酸飲料は冷蔵庫などで冷やして保存したほうが炭酸は長持ちする(ホットコーラが存在しないのもこのためである)。
とはいえ、一度栓を開けてしまったら炭酸ガスはキャップのわずかな隙間から抜けていくので、栓を開けてしまったものはお早めに飲んだほうが美味しい。
あと、ほんとどうでもいいけどコーラは昔薬局で売っていて、クリスマスのキャンペーンの際にはサンタクロースをコーラのイメージカラーであるレッドでコーディネートした。こうしてサンタの衣装は赤で定着した。

コロイド
コロイドとはろ紙は通過できるが、セロハン膜などの半透性の膜は通過できないくらいの大きさ(直径1ナノメートル~1マイクロメートル)の粒子である。
この粒子が溶媒中に均一に分散したものをコロイド溶液という。
コロイドは懸濁液(ほっておくとそのうち沈殿ができる溶液)の固体粒子よりは小さいが、真の溶液(溶質と溶媒の粒子の大きさが同じ)の中の粒子よりは大きい。
コロイド粒子には以下の3種類がある。

①分子コロイド
分子一つがコロイドの大きさのもの。デンプンやタンパク質など。

②会合コロイド(ミセルコロイド)
小さい分子が集まってコロイドの大きさになったもの。石けんなどの界面活性剤。

③分散コロイド
不溶性の固体(無機物質)がコロイドくらいの大きさになったもの。多くの金属。

また、コロイドは分散質と分散媒の組み合わせで8つに分類される。

①エアロゾル(分散媒が気体)
分散質:液体 分散媒:気体 霧、雲、蒸気、スプレー
分散質:固体 分散媒:気体 煙、粉塵

②泡沫
分散質:気体 分散媒:液体 スプレーフォーム(ムース状のやつ)

③エマルション(どちらも液体)
分散質:液体 分散媒:液体 牛乳、クリーム、マヨネーズ

④サスペンション
分散質:固体 分散媒:液体 ペンキ、印刷インク、墨汁

⑤ゲル(分散媒が固体)
分散質:気体 分散媒:固体 スポンジ、ウレタンフォーム、木炭
分散質:液体 分散媒:固体 寒天、ゼラチン、含水シリカゲル

⑥固体コロイド(どちらも固体)
分散質:固体 分散媒:固体 色ガラス、オパール

さらにコロイド溶液には以下のような特徴がある。

チンダル現象
コロイド溶液に光を当てると、コロイド粒子によって散乱した光の通路が見えること。
発見者のイギリスのジョン・チンダルに由来。

ブラウン運動
分散媒粒子とコロイド粒子との衝突で生まれる、コロイド粒子の不規則な運動。
発見者のイギリスのロバート・ブラウンに由来。

吸着
コロイド粒子の内部には微小な空間があるため、単位質量あたりの表面積は非常に大きい。
そのため、コロイド粒子はほかの物質に大量に吸着できる。これを利用したものが、消臭のための活性炭や、湿気を取り除くシリカゲルである。

電気泳動
コロイド粒子は電荷を帯びているため、電流を流すと自らが帯電している電荷とは逆の電極側に移動する。
また、コロイド溶液に逆の電荷を帯びた電解質を加えるとコロイドは沈殿する。
このとき少量の電解質を加えるだけで沈殿するコロイドを疎水コロイド、大量の電解質を加えて、塩析しないと沈殿しないコロイドを親水コロイドという。
さらに、沈殿しやすい疎水コロイドに、沈殿しにくい親水コロイドを加えて安定させたものを保護コロイドという。

太陽電池
太陽電池はアインシュタインの光電効果によって、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変えることができる装置である。ちなみに電池というが電気を貯めることは原理的にできない。
太陽電池は、太陽光で最も強い波長である緑色で光電効果を起こすシリコンの半導体で出来ている。
もう少し詳しく説明するとn型半導体とp型半導体を重ねた構造になっていて、p-nの接合部は電気的に打ち消されて空欠層という領域ができる。
これによりn型半導体のp型半導体に近い部分は相対的にプラスに、p型半導体のn型半導体に近い部分は相対的にマイナスになり、接合部分に電界ができる。
この接合部に太陽光が当たると、シリコンの結合が太陽光のエネルギーによって一部切断されて、自由電子と正孔が増える。
このとき出来た正孔(プラス)はp型半導体へ、電子(マイナス)はn型半導体へ引き寄せられ、導線に電気が流れる。
太陽電池は理想のエネルギー源だが、大量のエネルギーを作り出すとなると広大な面積の太陽パネルがいること、また、半導体を作るために多くの費用とエネルギーを必要とすることなど、課題は多い。

化学肥料
光合成に必要な炭素、水素、酸素は二酸化炭素や水の形で地球上にたくさんあるが、タンパク質を作るのに必要な窒素は空気中の窒素分子ではなくアンモニアの形でなくてはならず、その合成にはリンカリウムが必要になってくる。
そのため農業で使う肥料には窒素を始め、リンやカリウムが含まれている。
窒素肥料の代表は硫酸アンモニウムと尿素で、尿素はアンモニアと二酸化炭素を高温高圧で反応させて合成される。
硫酸アンモニウムは土の中で分解されると硫酸が残って土が酸性化してしまう。
そのためアルカリ性の石灰をまいて土を中和するが、不溶性の硫酸カルシウム(石膏)ができて土が固まってしまう。
しかし尿素は土の中で分解してもアンモニアと二酸化炭素を出すだけなので、こういった心配はない。
リン肥料の代表はリン鉱石と硫酸を反応させて作った過リン酸石灰で、リン酸の一カルシウム塩や硫酸カルシウムなどを含む混合物である。
またリン酸アンモニウムのように窒素とリンをどちらも含んでいる複合肥料も存在する。
カリ肥料はリン酸二水素カリウムや硝酸カリウムなどが含まれている。

農薬
農薬には殺菌剤、殺虫剤、除草剤などがある。
そのどれもが、細菌やカビ、虫を殺し、雑草を枯らすが、作物には影響が出ないように作られている。しかし、作物と、作物に害を与える病害虫や雑草は、同じ生体物質で出来ているため、これを区別して効果を発揮する農薬を作ることは難しい。
殺虫剤には天然物と、それに由来するピレスロイド系、有機塩素系、有機リン系などがある。これらのほとんどは昆虫の神経系に作用し、人畜への毒性は低い。
除虫菊の花にはピレトリンという有効成分があり、この構造をもとに合成されたものがピレスロイドである。
有機塩素系殺虫剤はイネの害虫防除に使われてきたが、殺虫成分が農作物の中に残留し、人間にも害を与える可能性があるとして、現在ではほとんどが使用禁止となっている。
代表的なものがDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)で、これはカの駆除に優れた効果を発揮し、熱帯でのマラリアを激減させた。
この功績を称えられ、発見者のミュラーはノーベル医学生理学賞を受賞したが、大量に使用されたDDTが生物濃縮を繰り返していることがわかり、現在では多くの国においてDDTは禁止されている。反面、マラリアの発生は増えている。
有機リン系農薬は、強い殺虫力を発揮し、1930年代以降たくさんの種類の有機リン系殺虫剤が合成された。たとえばパラチオンは殺虫力も強いが人畜への毒性も強く、中毒事故も少なくなかった。
これをうけて、毒性が低く散布されて効果を発揮したあとは自然に分解されるようなものを求めて、マラチオンやフェニトロチオンが開発された。
除草剤は作物と雑草を区別し、後者だけを作用しなければならない。特に水田の雑草の除草剤は、同じイネ科でもイネ以外の植物だけに効果を発揮するものが開発されてきた。
ちなみに、もともと水田は雑草対策という一面がある(雑草の種は水中では呼吸ができないため育たない)。
除草剤の作用機構で植物特有なものは光合成への作用が挙げられる。
農薬は、化学的な構造が似た物質が同じような効果を示すだろうということで開発がされているが、ピレトリンと似ていないフェンバレレートのように、あまり似ていない化学構造の物質が同じような効果を示すこともある。

物理学概論覚え書き③

 来月の試験に向けて物理学演習百人組み手を開催中です(百問も解くかどうかはかなり怪しい)。

運動

平均加速度
①静止していた自動車が5秒間で時速45kmまで加速されるとき、この自動車の平均加速度を求めよ。

45÷5=9km/s2

②速度30m/sで移動していた自動車が6秒間で停止する時の平均加速度は、どの方向にどれだけの割合で減少するか求めよ。

30÷6=5km/s2

進行方向に5km/s2減少する。

③傾斜30°の斜面を滑っている質量1kgの物体の加速度を求めよ。

g×sin30°=9.8×0.5=4.9m/s2

④新幹線こだまは駅を発車後、時速198kmの速さに達するまでに1秒あたり0.25m/sの割合で一様に加速していく。こだまの速度が時速198kmになるまでにかかる時間と、それまでの走行距離はいくらか。

まずMKSA単位系を使わなきゃいけないので、時速198キロを秒速に直すと、55m/sになる。
時間tは速さv÷加速度aなので

55÷0.25=220秒

走行距離dは(1/2)×加速度a×時間tの二乗なので

(1/2)×0.25×220×220=6050メートル

仕事とエネルギー

仕事率
クレーンが1000kgのコンテナを20秒間で25mの高さまで吊り上げた時の、クレーンの仕事率を求めよ。
仕事Wは力×移動距離なので

力mg=1000kg×9.8m/s2=9800N

9800N×25m=245000J

仕事率は仕事を所要時間で割ればいいので

245000÷20=12000W

周期運動

等速円運動
車が円形の道路を20m/sで走っており、1秒あたり0.1radの割合で進行方向を変えている。乗客の加速度の大きさを求めよ。

加速度a=速度v×角速度ωなので・・・

    =20×0.1
    =2m/s2

ちなみに1ラジアンは弧の長さが半径と等しくなる時の扇型の角度で57.3°くらい。
つまり0.1radは5.7°くらい。

ばね定数
ばねに吊るした質量2kgのおもりの鉛直方向の振動の周期が2秒であった。ばね定数はいくらか求めよ。
ばね定数kとは、ばねの種類によって決まっている弾性定数で、これにばねの変形量Xをかけたものがそのばねの弾力Fになる。

F=-k×X

また、ばねの単振動の周期Tは

T=2π√m÷√k

つまり、周期はおもりの重さに比例して、ばね定数に反比例する。
よって

2=2π√2÷√k

2√k=2π√2

√k=π√2

k=π2×2

k=2π2

k≒19.7192kg/s2

連続体力学

ヤング率
かっこよくいうと伸び弾性係数という。その物体を引っ張った時の歪みにくさを表す。
ヤング率2×1011Pa、長さ1m、直径0.2cmの鋼鉄製の針金に1kgのおもりを吊るしたとき、針金がどれだけ伸びるかを考える。

棒の伸びΔL=(1/ヤング率E)×力F×もともとの長さL÷断面積A

に数値をそれぞれ代入すると

ΔL=1÷(2×1011)×1kg×9.8m/s2×1m÷(0.001m×0.001m×π)

  =1.6×10-3メートル

だいたい1.6ミリメートルってことになるので、さすが鋼鉄、細い針金といえど1kgのおもりごときでは全然伸びない。

流体力学

流体連続方程式
途中で太さが狭くなる円筒内を流体が流れるとき、内径20mmの断面Aでの平均の速さが5cm/sのとき、内径10mmの断面Bの平均の速さを求めよ。

流体の連続方程式によれば、流管のすべての断面を1秒間に流れる流体の質量は同じである。つまり、流管内の流体は、狭いところは早く、広いところは遅く流れる。

断面積A×断面Aでの速さvA=断面積B×断面Bでの速さvBなので・・・

vB=vA×断面積A÷断面積B

 =5×(10×10×π)÷(5×5×π)

 =20cm/s

トリチェリの法則
水面が下がり高さが低くなると、水の流出する速度は低下するというもの。
たとえば、深さhの貯水槽の底にある穴から水が速さvで流出している場合、ベルヌーイの法則から水の深さと流出する水の速さが導ける。
ベルヌーイの法則によれば、運動している完全流体(粘性がゼロの仮想流体のこと)の圧力は、高さが高いほど、流速が速いほど小さい。
したがって流速0、高さh、圧力p0(=大気圧)の水面と、流速v、高さ0、圧力p0(=大気圧)の穴の関係は・・・

p0+pgh=p0+(1/2)×pv2

v=√(2×g×h)

よって、水面が低くなればなるほど水が流出する速度は減少することがわかる。
ここで水で満たしたビニール管の両端を閉じ、一端を水の入ったタンクの水面下0.02メートルのところに置き、もう一方の端をタンクの外側で水面よりも0.5メートルだけ下のところに置く。
ここでビニール管の両端を開いたとき、管から外へ流れ出す水の速度は・・・

v=√(2×9.8×0.5m)=3.1m/s

波動

縦波と横波
縦波・・・媒質の運動方向が波の進行方向と同じ(疎密波。音や地震のP波)
進むスピードは速い。
横波・・・媒質の運動方向が波の進行方向と垂直(電磁波や光、地震のS波)
進むスピードは遅い。弦楽器の場合、弦を強く引っ張った方が速度が上がる。
魚の縦ジマ横ジマ並みにわかりづらいけど、波の立場で考えてみるとなんとなく分かります。縦波はストライプ、横波はボーダーになります。

節と腹
弦の振動のように、同じようなところで振動して進まない波のことを定常波というが、定常波の振動しない部分(つまり真ん中の直線と交わる部分)を節、振幅が一番大きいところを腹(山の一番高いところ、谷の一番低いところ)という。

定常波と移動波
水面上で12cm離れた2点A、Bから、波長4cmで振幅の等しい波が同位相で送られてくる。線分AB上での節の位置を求めよ。
同位相とは波の波長が全く一緒のことを言う。しかもAとBからやってくる二つの波は振幅も同じなので、違うのは進行方向が真逆ということだけである。
ちなみに一定方向に動き続ける波のことを、定常波に対して移動波という。
点Aと点Bにそれぞれ波の腹がある場合は二つの波がお互いに相殺されて打ち消しあってしまうが、4分の1周期、もしくは4分の3周期だけ波を進めると、二つの波はぴったりと重なって、大きな定常波が生まれる。
この定常波はAとBを腹にする、波長4cm、振幅2倍の波なので、節の位置は1、3、5、7、9、11cmの場所ということになる。

基本振動数
長さ50cm、質量5gのピアノ線が張力400Nで張ってあるときの基本振動数を求めよ。
まずピアノ線の密度μを求めなければならない。

密度=質量÷長さ

μ=5×10-3kg÷0.5m
 =0.01kg/m

波の速さv=√張力S÷√密度μなので・・・

v=√(400÷0.01)
 =√40000
 =200

振動数f=音の速さv÷2÷長さLだから・・・

f=200÷(2×0.5)=200Hz

ドップラー効果
どちらも時速72kmの速度の電車がすれ違ったとき、一方の電車は振動数500Hzの警笛を鳴らしていた。もう一方の電車の乗客には何Hzの音として聞こえたか。
音速は340m/sとする。
ドップラー効果により、音源が観測者に接近すると音は高くなり(振動数が上がり)、音源が観測者から遠ざかると音は低くなる(振動数は下がる)。
どちらも時速72kmを20m/sに直し、振動数=音速÷波長で求めればいい。

①接近時
音の速さは電車の速度分だけ増加し、波長は電車の速度分だけ減少するから

振動数f’=500Hz×(340+20)÷(340-20)=563Hz

②遠ざかるとき
音の速さは電車の速度分だけ減少し、波長は電車の速度分だけ増加するから

振動数f’=500Hz×(340-20)÷(340+20)=444Hz

光の屈折
波が媒質1から媒質2へ入射角45°で入射した。媒質1→媒質2のときの屈折率nが1.41の場合、屈折角はいくらか。

スネルの法則から、屈折角が小さくなればなるほど、光は大きく折れ曲がっていることになるので・・・

入射角θ1÷屈折角θ2=屈折率n

45÷θ2=1.41

1.41×θ2=45

θ2=31.9

熱力学

熱量
cal/gをJ/gに変換する際は

1カロリー=4.2ジュール

とする。

融解熱
固体が液体に相転移(状態変化)するときに必要な熱のこと。
水の場合は80cal/g=334J/g

気化熱
液体が気体に相転移(状態変化)するときに必要な熱のこと。
水の場合は540cal/g=2260 J/g

潜熱
0℃の氷500gを加熱して100℃にして、全部水蒸気にするのに必要な熱量を求める。

➀1グラムの水を1℃上げるための熱量は1カロリーなので
500グラムの水を100℃上げるための熱量は
1×500×100=50000カロリー

次に潜熱を加算する。
②氷→水に状態変化する際に1グラムあたり80カロリーの熱が必要なので
80×500=40000カロリー

③水→水蒸気に状態変化する際に1グラムあたり540カロリーの熱が必要なので
540×500=270000カロリー

これらの熱量の合計は

50000+40000+270000=360000カロリー

ちなみにカロリーをジュールに変換すると

360000×4.2=1512000ジュール

ケルビンとファーレンハイト
摂氏30℃をケルビン(K)とファーレンハイト(F)で表すとそれぞれ何度か計算して求めよ。
ケルビンは絶対零度(=-273℃)を基準(ゼロ)とするので、セルシウス温度に273を足せばいい。よって

30℃=303K

ファーレンハイトはいわゆる華氏のことで、水銀温度計を考案し色々なものの温度を測ったドイツ人の物理学者ファーレンハイトに由来する。
ファーレンハイト度は人間の体調を基準にしていて、風邪をひいた時に使う氷枕の温度を華氏0度、平熱を華氏98度、風邪で熱が出た場合を華氏100度としている。
摂氏を華氏に変換する場合は
摂氏に9/5をかけて、それに32を足せばいい。
よって

30℃×9/5=54

54+32=86F

熱機関
カルノーの原理により、熱機関の効率は高温熱源と低温熱源の差が大きいと効率が良くなる。したがって400℃の高温熱源と50℃の低温熱源のあいだで働く最大効率は・・・

η=T高-T低/T高

 =400-50/400

 =0.875

電磁気学

電場
電場とは、電荷に電気的な力を与える空間のことで、物質とかじゃないので真空中にも働く。これは電磁場も同様で、そのため電磁波は真空中(媒体なし)でも伝わるというわけ。
さて、電子の電荷は-1.6×10-19クーロン(C)で、質量は9.1×10-31kgである。
この電子に9.8m/s2の加速度を与える電場の強さを求めてみる。

電場E=質量m加速度g÷電荷e

なので・・・

E=(9.1×10-31)×(9.8)÷(1.6×10-19
=5.6×10-11N/C

また、電子が10000N/Cの一様な電場の中にあるときの電気力による加速度は、先ほどの式を等式変形して・・・

ma=eE

a=eE÷m

=(1.6×10-19)×(10000N/C)÷(9.1×10-31

=1.8×1015m/s2

磁場
長さ30cm、巻き数6000の中空のソレノイドに3Aの電流を流したとき、内部に発生する磁場の強さを求めよ。

磁場B=磁気定数μ0×1mあたりの巻数n×電流I
   =(4π×10-7)×6000÷0.3×3
   =(4π×10-7)×60000
   =24π×10-3
   ≒75.36×10-3T

磁気力
地球の磁気は4.6×10-5Tである。ここに垂直に導線を吊って10Aの電流を流すとき、この導線1mに働く磁気力の強さを求めよ。

磁気力F=電流I×長さL×地球の磁気B

    =10×1×4.6×10-5
    =4.6×10-4N

平行電流
フレミングの左手の法則により、平行な導線にそれぞれ電流が流れている場合、二つの直流電流の間には磁気力が働く。この強さは導線の間隔が狭いほど強く、広いほど弱い。そして二つの電流の積と導線の長さに比例する。
間隔が10cmの平行な導線のそれぞれに100Aの電流が反対向きに流れている。この導線10mに働く力の強さは・・・

F=磁気定数(4π×10-7)×電流I1×電流I2×導線の長さL÷二つの導線の間隔d÷磁場の直径2π

F=2×10-7×100×-100×10÷0.1

 =0.2N

理科教育法覚え書き③

 戦後の日本の理科教育の変遷について覚え書き。大まかな流れは社会科教育の歴史と似ている。

参考文献:畑中忠雄著『若い先生のための理科教育概論』

1945~1950年代(昭和20年~30年代前半)生活単元学習
終戦からしばらくは、理科教育にとっても混乱の時代であり、明確な指針がないまま、墨塗り教科書(戦中の軍事色の強い部分を黒で消した教科書)による教育などが行われた。
その後、新しい学校制度への移行に伴い、経験主義、道具主義を基礎とする子どもの自己・自発活動を尊重した生活単元学習、問題解決学習が進められた。
これは生徒主体の教育が叫ばれた時代の流れに歓迎され、当時の貧しい日常生活の改善につながる実用的な理科としても受け入れられた。
こうして生活単元学習は次第に日本に定着していったが、本家のアメリカで様々な問題点が指摘され、系統だった知識の伝達を求める声が高まった。

1960年代(昭和36年頃~)系統学習
生活とのつながりを重視しすぎたために散漫になってしまった生活単元学習の反省から、体系的な知識の伝達とそれに伴う確かな学力の定着を試みる系統学習が導入された。
この頃の理科の授業時間は週に4時間(※小学校高学年と中学校)もあり、教科書も活字だらけで分厚かった。
また中学校の理科で学習する内容も現在に比べてかなりレベルの高いものが含まれていた(熱機関や比熱、スペクトル、寄生と共生、腐敗と発酵など)。
しかし、系統学習が定着した頃、日本は高度成長期に入り、理科教育で扱う科学の情報量は飛躍的に増大、限られた時間やカリキュラムでは対応しきれなくなっていった。

1970年代(昭和45年~)探求学習
膨大な知識の注入より、科学の方法の習得を重視するのが探求学習である。
問題の発見、予測、観察、実験、記録、分類、グラフ化、推論、モデル化、仮説、検証といった科学の方法さえ身に付ければ、全てに渡る知識がなくとも科学的な問題を応用的に解決できるだろうという考え方に基づく。
しかし、ブルーナーの理論を応用した探求学習も、選ばれた素材をいじくりまわすだけ、豊かな枝葉を落とした幹と大枝だけの理科、日常生活からかけ離れ学校でしかできない理科の教育は、子どもの理科嫌いや理科離れを助長した、などの批判が挙がった。

1980年代(昭和55年~)ゆとり学習
いわゆるゆとり教育で、子どもの個性や能力に応じた教育を行い、人間性豊かな児童生徒を育てるという考えのもとに、授業時数や教科内容が削減された。
高校では、中学校で削減された内容を補う総合科目である理科Ⅰが新たに設けられた。
“薄い教科書、楽しい学校”というのが当時の謳い文句であった。

1990年代(平成2年~)ゆとり選択学習
自己教育力の育成、基礎・基本の徹底、個性と創造性の伸長、文化と伝統の尊重という4つの基本方針と隔週学校5日制のもとに行われた。
小学校低学年では理科が廃止され生活科が新設され、中学校では選択教科が拡充、高校理科Ⅰは廃止され、科目は再編成された。これにより高校では理科の4つの領域をすべて学習させる機会がなくなり、地学を全く学ばないで卒業する高校生も現れた。
授業時数は、たとえば中学校では70~105時間と幅を持たせられ、学校によって授業時数を選択でき、浮いた時間は選択教科に当てられた。

2000年代(平成12年~)生きる力と総合学習
隔週だった学校5日制が完全5日制になった。
生きる力の育成や総合的な学習の時間が新設された。子どもの個性をより重視する総合学習の導入は、さらなる教科の授業時数減少と、学力の低下をもたらした。
また、小学校4年の年間授業時数90時間や、中学3年の80時間は、一年35週で割り切れないため時間割を組むことすら難しく、現場を混乱させた。

2009年~(平成21年~)確かな学力
国際的な学力調査で、子どもたちの学力低下が問題視され(科学技術の恩恵の理解や科学者志向が諸外国に比べて格段に低かった)、授業時数や指導内容が大幅に増えた。中学校ではイオンや進化が復活し、充実した理科教育への回帰の時代と言われている。
高校の理科は内容に大きな変更はないものの、なぜか科目の名称だけ変わった。こういうことは現場がすごい迷惑するからやめてくれという意見が多い。

化学概論覚え書き①

 みなさんお元気ですか。私はぼちぼちです。最も苦手意識があり、単位が取れるかどうか不安だったケミカル概論ですが、大学のテキストが専門書というか雑学本で、すごい面白くて(著者の科学技術や環境問題に対する思想も全く同感!)有意義な読書の秋を楽しんでいます。
 さて、読書といえば、文化祭の古本市でデューイとかイスラームとか朝鮮半島とか、ユダヤの歴史とか10冊くらい古本を買っちゃったので、それも読みたいところですが、今週末にバイオロジー概論の単位修得試験がやってくるのをすっかり忘れていて、受験票が届いてアタフタしています。まさにバイオハザードです。

参考文献:井上祥平著『はじめての化学―生活を支える基礎知識―』

 初めてのことだけど、参考文献についてちょっとだけ紹介。
 物質についての科学であるケミカルを、あくまでも身近な生活をささえる産業技術として分りやすく紹介。本書に取り上げられる内容は、衣服からはじまり、住居や容器、食品、医薬品、エネルギー、環境問題、はたまた情報技術!まで非常にレンジが広い。
 高校などの化学の教科書では、単純な構造の物質から複雑な構造の物質という順番で教えていくので、日常生活とのつながりがわかりにくく、睡眠学習突入だが、本書では第2章でいきなりナイロン糸から話が始まるので、ああ、あれね!と親近感が半端ない。
 そして私たちは一本の糸のことすらよく分かってなかったんだ・・・と目からウロコの連発。さらに難しい化学反応式や構造式はほとんど掘り下げず、まあ大体こんな感じとサラッと流しちゃうのも男らしくて良い。
 自然科学の単位ではトップクラスに面白かった本なのでオススメです!

藍染め
そもそも色とは可視光線の波長の長さによって決まるが、その波長は、物体色の場合、光が当たった物質が特定の波長の光を吸収し、それ以外の波長の光を反射することによって決められる。
衣服の材料として使われている絹や羊毛や木綿、ナイロンは、もともと無色かほとんど色のない物質なので、染料によって着色をする。

古来から、糸や布を染めるためには植物の色素が用いられてきたが、葉を鮮やかな緑色にする色素のクロロフィルは、すぐに分解して黄褐色になってしまうため染料にはならなかった。そこで、植物の染料として古くは奈良時代から用いられてきたのが藍である。
藍染の場合は、その染料の色素が藍色であり、このとき黄色の光を吸収し、藍色の光を反射するため、私たちの目には藍色に見える。

しかし、藍染めの染料の原料であるインド原産の植物、タデアイの葉は緑で藍色ではない。
実はタデアイの葉の中にあるインディカンという無色の水溶性の物質が加水分解されると、インドキシルというグルコースができ、そのインドキシルが酸化されることで、青色の色素のインディゴになる。
この一連の反応は、タデアイを刈り取りそれを刻んで、天日乾燥し葉のみを集めて、それに水をかけて発酵させることで進んでいく。こうして約100日ですくもという保存が効く藍の染料が出来上がる。

藍の成分のインディゴは不溶性だが、アルカリ還元状態(水素と化合すること)で水に溶けるインディゴロイコになるため、かつては葉の醗酵菌、今では還元剤を用いてインディゴを還元させている。
インディゴロイコはアルカリ性の水溶液によく溶ける黄色い物質である。このインディゴロイコが溶けた溶液に布や糸を浸したあと、それを引き上げ、空気に触れさせる(酸化させる)ことでインディゴに戻し、藍染めが行われる。
ちなみにロイコ化合物の「ロイコ」とは「白」という意味で、その還元型に無色が多いことに由来している。

現在では、インディゴも茜染めのアリザリンも簡単な原理で合成できる。二重結合と単結合が交互に長くつながった構造の分子を作ればいいので、アシッド・レッド1のような人工的な合成染料もたくさん生まれている。

プラスチック
金属やセラミクス(無機物を焼いたもの。陶磁器)に比べてプラスチックはずっと柔らかく、ポリエチレンのフィルムはどんな形状にも変えられる。
セラミクスで最も硬い水晶と、プラスチックのポリエチレンを化学的な構造で比較してみると、水晶(二酸化ケイ素SiO2)はケイ素原子と酸素原子の共有結合で出来ており、ひとつのケイ素原子を中心に四面体があり、その頂点には4個の酸素原子がある。
一方のポリエチレンでは、炭素原子と炭素原子、炭素原子と水素原子の共有結合で出来ていて、ひとつの炭素原子を中心に四面体があり、その頂点には二個の炭素原子と二個の水素原子がある。
このように、水晶とポリエチレンの化学的な構造は非常によく似ている。

しかし、水晶が、それを構成する酸素原子に二個の結合部があるために、全体として巨大な網目構造になり、小さい力では分子の形に変化が起こらないのに対して、ポリエチレンのフィルムでは、それを構成する水素原子にたったひとつの結合部しかないために、線状の分子の集合体になり、この分子の形はわずかな力で変えられるために、プラスチックは軟らかいのである。

ちなみに、プラスチックを燃やすとダイオキシンが出るのでヤバイというイメージがあるが、これは別にすべてのプラスチックではない。
ダイオキシン類には必ず塩素が含まれているため、塩素を含まないプラスチック(ポリエチレン、ポリスチレン)を燃やしてもダイオキシンは発生せず、一般化するのはとんでもない間違いである!・・・と井上祥平さんが言ってた。

3大栄養素の生理的燃焼値
3大栄養素とは人間が食べる食べ物の中でエネルギー源になる糖質、脂質、タンパク質の三つの栄養素のことで、このうち糖質と脂質は、すべて炭素と水素と酸素の三種類の元素で作られているため、どちらも最終生成物は二酸化炭素と水になり、発生するエネルギー量もほぼ等しい。
しかしタンパク質は、炭素、水素、酸素の他に窒素も含まれているので完全燃焼させると一酸化窒素や二酸化窒素が生じるのだが、生体内ではタンパク質は完全燃焼せず、尿素、尿酸、クレアチンなどの窒素化合物が作られ、最終的に尿として排出される。
つまり、タンパク質の場合は、物理的に完全燃焼させて発生するエネルギーよりも、生体内で酸化還元されて発生するエネルギーの方が小さくなる。
さらに、タンパク質に限らず、摂取した栄養素は100%消化吸収されるわけではないので、物理的な燃焼値を補正する必要がある。このとき算出された燃焼値を生理的燃焼値、もしくはアトウォーター係数という。
これによると

糖質は4キロカロリー/グラム
脂質は9キロカロリー/グラム
タンパク質は4キロカロリー/グラム

となる。
したがって、糖質25グラム、脂質30グラム、タンパク質20グラムからなる食品があった場合、そのエネルギー含量は、4×25+9×30+4×20=450キロカロリーとなる。

食品添加物
食品添加物にはいくつかの目的がある。

①食品の製造に必要なもの
②食品の栄養価を保つのに必要なもの
③食品の保護に必要なもの
④食品を魅力あるものにするため必要なもの

①の代表は乳化剤と增粘安定剤である。牛乳は水と乳脂肪が混ざったものだが、このように本来は混ざらない水と油を分離させずに保つのが乳化剤である。
增粘安定剤は食品を粘っこくしたりゼリーを作るときに用いられ、天然のペクチンや合成物のアルギン酸ナトリウム(どちらも炭水化物)がある。このように食品添加物がないと製造できない食品は多い。

②については、アミノ酸、ビタミン、ミネラルを添加した食品がたくさんあるが、その理由には、食品の製造や加工で失われた栄養分を補ったり、ゆっくり食事が取れない忙しい人の栄養バランスを保つため、などが挙げられる。飽食といわれる現在の食生活の裏側である。

③は食品の流通・消費に関わることで、大量の食品をなるべく生に近い状態で、一定期間保存するために用いられている。
無添加で保存期間が少ない食品を長期間保存するためには、細菌の発生を抑えたり、油脂の酸化を防ぐことが必要だが、これを酸化防止剤や、保存料、殺菌剤、防カビ剤などの食品添加物が担っている。

④には、食品の味を魅力的なものにする甘味料や調味料と、食品の見かけをよくする着色料や漂白剤、発色剤の二種類がある。

以上が食品添加物の役割、メリットだが、当然デメリットも存在する。
ひとつめが、素材本来の香りや味ではなく、化学調味料の人工的な味に味覚が慣れてしまうこと。
ふたつめが、安全性である。食品添加物の使用については各国で制限がかけられているが、その基準も絶対に安全だとは限らない。
例えばハムやソーセージの発色をよくする亜硝酸塩(NaNO2)は、食物に含まれるアミンと反応して発ガン物質のニトロソアミンになるため、亜硝酸塩の使用基準と残存料は厳しく定められている、またニトロソアミンの生成を抑えるためにビタミンCが必ず同時に使われている。
しかし、体内の酵素反応でもニトロソアミンは発生し、さらに肝臓で分解されることも分かっているので、パッとしない色のハムやソーセージを食べるか、見栄えのいいハムやソーセージを食べるかは消費者個人の判断となってくる。

整腸剤
胃酸は塩化水素が主成分で、肌を火傷させたりコレラ菌を殺菌するほどの強酸性を示すが、胃の表面はアルカリ性の胃粘液に覆われているので、胃のペーハーは中性に保たれている。
しかし刺激物やストレスなどが原因で、胃酸の分泌量が増えすぎると、胃痛や胸焼けを感じてしまう。
この時、服用するのが、炭酸水素ナトリウムや水酸化マグネシウムなどのアルカリ性の物質が主成分の整腸剤で、過剰に分泌された酸を中和し、胃痛を和らげる。

炭酸水素ナトリウムの整腸剤は吸収性制酸薬に分類され、胃酸を急速に中和するが効果の持続時間は短い。
また、中和に使われなかった余りの成分が体内に吸収され、代謝性アルカローシス(血液や体液のペーハーバランスがアルカリ性に傾くこと)が起こる。
さらに、中和時に発生する二酸化炭素(げっぷ)によって胃が刺激されて二次的に胃酸が分泌されたり(リバウンド現象)、胃が膨張することによって胃潰瘍が悪化する可能性もある。
以下は炭酸水素ナトリウムの整腸剤を服用した時の化学反応式である。

NaHCO3(整腸剤)+ HCl(胃酸) → NaCl + H2O + CO2(げっぷ)

水酸化マグネシウムの整腸剤は非吸収性制酸薬に分類され、吸収性制酸薬と比べると効果は穏やかで、胃酸の分泌を中和しペプシンの作用を和らげ、胃の表面を保護する。
副作用としては、吸収阻害や便秘になる可能性がある。また体内に吸収されないので尿がアルカリ性になる。
以下は水酸化マグネシウムの整腸剤を服用した時の化学反応式である。

Mg(OH)2 (整腸剤)+ 2HCl(胃酸) → MgCl2 + 2H2O

ブレンステッド=ローリーの酸塩基理論では、酸性とは水素イオンを与える物質、アルカリ性とは水素イオンを受け取る物質であると定義されている。
つまり中和反応とは、酸からアルカリへ水素イオンの移動が起こることで溶液が中性となり、塩と水の生成物ができる反応を言う。

ペニシリン
ペニシリンはフレミングによって世界で初めて発見された抗生物質の一種で、風邪をこじらせた際などに、飲み薬として処方されたり、点滴と一緒に投与される。抗生物質は微生物が作り出し、ほかの微生物の生育を阻害する物質のことである。
ペニシリンはアオカビの一種ペニシリウム・クリソゲナムが作り出し、ブドウ球菌などの病原菌の細胞壁を作るのに必要な酵素を阻害して殺してしまう。高等動物の細胞にはこのような酵素はないので人間に対しては毒性はない。
ペニシリンは細菌(病原微生物)による感染症に対して素晴らしい効果を発揮してきたが、長いあいだ使っているうちにペニシリンに抵抗できる耐性菌が現れた。
これに対して、化学的な合成によってペニシリンの分子構造を一部変えたものが半合成ペニシリンである。
例えばメチシリンは天然のペニシリンをもとに作られた半合成ペニシリンである。
しかし、メチシリンにも耐性のある黄色ブドウ球菌(MRSA)が現れ、病原菌と抗生物質の戦いはいたちごっこになっている。
ペニシリンには、フレミングのようにアオカビ培養液から精製した天然ペニシリン、アオカビの培養液に別の原料を人為的に加えて、それをアオカビに合成させたものを精製した生合成ペニシリン、天然ペニシリンや生合成ペニシリンをもとに化学的な構造を変化させた半合成ペニシリン、すべてを化学的に合成した全合成ペニシリンがあり、同じ抗生物質を長期間使わないようにして耐性菌の出現を回避することが必要である。

半導体
現代の電子機器の核となる物質がシリコンの結晶などの半導体である。シリコンの構造はダイヤモンドと同じく、シリコン同士の共有結合(電子を共有する結合)でできた巨大な網の目である。
しかしシリコンの結合は、ダイヤモンド(炭素)の結合よりも少し弱く、結晶の一部は結合が切れている。この部分では電子は動けるので、シリコンは導体でも絶縁体でもない、ある程度の導電性を示す。もう少し正確に言うと、結合の切れた部分が隣へ隣へと移ることで結果的に電子が移動する。
半導体の興味深く、重要な点は微量な不純物を加えることで導電性が大幅に変えられるということである。もともとはシリコンの導電性を調べている時に再現性が乏しく、それが微量の不純物によるものであることがわかったのだが、今ではあえて不純物を加えている。

シリコンに加える不純物は周期表の族番号でシリコン(14族)の左隣り(13族)か、右隣り(15族)の元素である。
13族の元素(例えばインジウム)はシリコンよりも結合に関係する電子の数(電子価)がひとつ少なく、14族の元素(例えばアンチモン)はシリコンよりも電子価がひとつ多い。
したがってシリコンの中にアンチモンを加えると、その場所では電子がひとつ余ることになる。これが自由電子となり電気が流れやすくなる。
逆に、インジウムを加えると、その場所では電子がひとつ不足することになる。このような場所は正孔と呼ばれる。正孔はいわば電子が抜けた穴で、そのために電子が入りやすい。
正孔の隣りの原子にあった電子が正孔に移動すると、隣りの原子の場所が正孔となるため、正孔の移動は、電子の移動であると考えられる。
こうして半導体は伝導性を上げることができる。

ちなみに、正孔を持つ半導体をp型半導体(ポジティブ型半導体)、電子を余計に持つ半導体をn型半導体(ネガティブ型半導体)という。この二種類の半導体を組み合わせて、電子機器に必要な素子、ダイオード(交流を直流に変換する際、電流を一方通行にする素子)やトランジスタ(回路のオンオフを切り替える素子)が作られる。
ラジオやテレビでは、音や光を変換した信号を電波として発信し、ここから必要な信号を選んで(同調)、元の信号を取り出し(検波)、増幅して、音や光の形に戻しているが、このとき、検波や増幅のような働きをするのが半導体である。
ダイオードでは微弱な電流で大きな電気回路のスイッチを入れることで、電気信号を増幅している。

半導体に使うシリコンは高純度である必要があり、不純物を加える前に不純物があってはならないので、原材料のケイ砂(石英=二酸化ケイ素)を炭素で還元して、純度98~99%のシリコンを作る。
また、シリコンから不純物を取り除くことは固体の状態では難しいため、還元したシリコンを塩化水素と反応させて液体のトリクロロシランにしたあと、これを蒸留させることで不純物を取り除き、最後に水素と反応させ高純度のシリコンが手に入る。
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