「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ TARSのキャラ☆☆☆☆☆」
オレたちが“橋渡し”だったんだ。
夢の階層構造という超独創的な設定を繰り出した、ロジカルな脚本の映画ならお得意のクリストファー・ノーラン監督による『2001年宇宙の旅』。
ノーラン監督って、観念に逃げずに広げた風呂敷は最後には論理的にきっちり畳むから、人類が星間飛行(インターステラー)して新たな段階に進化する、あの映画をどうやって料理するか、ちょっとだけ気になっていた。
けれど、自分もかつて宇宙旅行の漫画作って、最後は恒星間飛行をやったから思うんだけど、この手の宇宙旅行を題材にした物語って結局落としどころのパターンはある程度限られていて、大筋の内容は似てしまうんだよね。
漫画もそうですが現場のすぐれたクリエイターたちは「どっちの国が上」なんてことにはこだわらず、敬意あるパクリ合いに努めているわけですよ
SGA屋さんがこんなシニカルなツイートしてたけどさwパクリ合いっていうか、もうやれる選択肢が限られてるんだよね。収斂進化に近いというか。それこそスターチャイルドにでも進化しないと、人間の感覚的な枠組みでは到底無理っていう。
で、やっぱり自分が何年か前に書いたやつと一緒で、それはなにかっていうと、宇宙というすごいマクロなスケールをやろうとすると、それは人間の領域を遥かに凌駕するものだから、結局人間にもわかるように説明すると、微分するしかない。ほいで、すごいマクロとすごいミクロって、人間には未知のスケールである点では共通しているから、つなげてしまおう、と。
だから、なんだかんだで個人的な話、オレのアジフライに気づけ赤松的な、顕微鏡サイズのエモーションというか、ユング的なインナースペースにして、ごまかすしかない。
自分も、最終章で広大な宇宙とは真逆な微生物の世界を研究している人をキーキャラクターにしたり、最後の超高速飛行で主人公の夢を見せたのはそれであって、多分光を超えるとか、ブラックホールに落ちるとかっていうのはさ、死ぬのと一緒で、彼岸に行くようなものだと思うんだよね。
この前に亡くなっちゃったおじいちゃんが、亡くなる数日前に「白い光が見えたよははは」とか言ってたんだけど、あれはマジなのかっていう。死んで消滅すると闇じゃないんだっていう。
実際にこの映画のブラックホールも輝いててさ、あれは割と科学的には正しい可能性があって、漫画書くときに色々な宇宙の本読んだら、ブラックホールって実は吸い込み穴であると同時に光や電磁線の噴射口でもあってさ、だからダムみたいなものなんだよね。
もちろん重力がすごくて、光(およびそれを基準にする時間)すら脱出できないわけなんだけど、なにやらジェット噴射しているぞっていう。
この映画でもキーワードになった「重力」っていうのがネックで。あの力だけ未だによくわかってないからね。未だによくわかってないけど、めっちゃ身近なわけじゃん。電磁力や原子間力とかは論理的に決着ついているけど、なかなか実感できないじゃん。コンセントで感電とかすればあれだけどさ(^_^;)
でも重力はジャンプするだけで、あ、落ちてるってわかるもんね。なのに一番理論物理学者が手こずっているっていう。量子化できないんだよね。もしかしたら、あの力だけは、ニュートン物理学どころか、量子力学の分類にも収まらない対象なのかもしれない可能性はあるよね。となると、重力が一時期の「DNAの突然変異」とか「エヴェレットの多世界解釈」とか「エントロピーって知ってるかい?」みたいなインチキSFのマジックワードになる可能性はあるよね。
この『インターステラー』で一番『インセプション』らしいというか、お前こればっかやなって思ったのが通信技術のくだりだよね。地球からのビデオメッセージが別の銀河にいる宇宙船に届いてしまうっていう。
あれはどうなんだろう?例えば光通信を使ったとして、あの宇宙船が5光年くらい先にいるとしよう。で、地球からメッセージを送って宇宙船に届くと5年かかる。つまり宇宙船の人は、5年前の地球の人のメッセージを見ることになる。
ただし作中でも言っていたように、あっちの銀河の惑星は地球よりも何十倍も時間が経つのが早いから、そうなってくると、プラスマイナス、マイナスくらいでほぼリアルタイムで受信できても矛盾がないっていう。つーか原因と結果が逆転しないまでも、アキレスとカメのパラドクスというか、全然論理的にやりとりできるよっていう。
こういう相対性理論っていうのは、実際に超音速ジェット機で証明されちゃっているのが面白いよね。あ、時計の針ずれたっていうw
でもさ、私が一番面白かったのは、まああの板みたいなロボットの吹き替えなんだけど、それは最後に置いといて、科学的にいいなって思ったのは、冒頭なんだよね。
なんだか知らないけど、地球が砂嵐に襲われててさ。作物が育たないんだよ。土壌がダメになった未来の地球なんだよね。でもこれ、お前の国(アメリカ)でよくあることだろっていうw
アメリカの農業って適地適作ですごい大規模に同じ作物を大量に生産するから、土地がダメになって一時期すごい厳しい不作になった時があるんだ。ここらへんは中学生の地理でも習うんだけど。
で、じゃあどうするかっていうと、なんか農家をすごい増やそうという政策に打って出るんだよね。重農主義というか。役に立たない基礎理学は置いといて、まずは第1次産業を最優先で取り掛かろうって、なんと海兵隊とか軍隊も解散して、みんなで農業やってるっていう世界観。これがいいよね。
民主党政権の「スパコンは2位じゃダメなんですか?」発言とか、安倍政権の「三流大学は会計ソフトの使い方教えればいいだろ」的な。会計ソフトそのものは誰が開発するんじゃいみたいな。こういった、ある種反知性的な流れって日本だけじゃなくて、世界的にそうなのかなっていう。
アメリカでもコンステレーション計画とか「意味あんの?」みたいな感じで打ち切っちゃったしね。絶対この映画作った奴「おのれオバマ!」って思っているよねw科学を役に立つか立たないかで短絡的に判断するんじゃねえっていう。
でも流石にソ連のルイセンコイズムほど極端じゃなくて、一部の賢い奴はNASAでしっかり確保していて、いろいろ画策しているっていう。
ここらへんの社会的背景が、冒頭でさらっと流されるだけなんだけど、風刺的で好きだった。もうバカばっかの大衆民主主義はもう全然ダメで、こっそりエリートだけでやっちゃえっていう。まあこれは今もそうで(自説の小さなツリーと大きなリゾーム参照)、建前が歴史ごとに違うだけなんだけど、こういうのを贅沢にメインテーマとはあんま関係ない設定として使っているのがすごい。
で、最後ほんとに地球を捨てちゃうっていうのも、最後の結末をああするなら仕方がないとは言え、思い切ったなっていう。でもそのうち『WALL・E』みたいに探査機を出しそうだけどね。
地球に生まれたからといって地球で死ぬことはない。
本編の方はまあ、無難にまとめたな、みたいな感じだったんだけど。最初の本棚のシーンとかも最後にどうなっていくかは、割とすぐに展開が読めちゃったんだけど、あれももうちょい科学的な説明をして欲しかったかもしれない。
私、あのシーンは絶対にダブルスリット実験のメタファーだ!って思って勝手にはしゃいでいたからねwで、マイクル・クライトンの『タイムライン』みたいな解釈をするんじゃねえかっていう。
実際『インターステラー』もそういう回答だっただけに、マーフィーの法則までやるなら、コペンハーゲン解釈までやってほしかったよ。
で、人類を凌駕する存在が、スケールが違いすぎて、人類に直接干渉できないっていうのは、本当自分の漫画とかぶって悔しかったよ。 とうとうそこに気付く奴が現れたか!しかもクリストファー・ノーラン監督だったか!みたいな。
まあ自分が知らないだけで、いろんなSF作家がやってる気もするけど。そういうのがあるから私はほとんどSF読まないしね。科学の本とかで着想を得ているからなあ。
で、神における預言者みたいな文脈で、結局何が何やら意味不明だった『2001年宇宙の旅』のスターチャイルドを解釈したところは、さすが理屈型映画監督ノーラン!って感じだよね。
最後に一言。この映画にもHALみたいなモノリスというか人工知能が出てくるんだけど、こいつがね、すごいいいよ。
人工知能の設定をファジー理論みたいにパーセンテージで変更できるんだけど、なんか海兵隊のパイロットロボットの払い下げだから、「ロボットの支配下になる気分はどうだ?」みたいな軍曹的口調で、「頼むからお前のユーモアの設定レベル100から75に下げてくれ」みたいなw
で、正直レベルも100%にしちゃうと人間っていうのは関係がぎくしゃくしちゃうからあえて95%とか、あの板が気を利かせてるんだよ!!板が!!!なに、こいつのデリカシーw
『ガーディアンズオブギャラクシー』でロケットラクーンとかアイアムグルートとかが好きな人は絶対気に入るぜ。で、日本語吹き替えがオススメ。
人間信用レベルは?
あんたよりかなり低い。
リアルとリアリティ新解釈
2014-11-07 11:32:10 (9 years ago)
よく漫画や映画、アニメで論じられる「リアル」と「リアリティ」の問題。私はせいぜい、リアルは客観的な事実で(リアリズムは美術では作者の主観を極力排除した写実主義ってことになる)、リアリティはフィクションにおけるリアルな度合い(逆にいえば作品に含まれる主観の度合い)、くらいにしか考えてなかったんだけど・・・
例えば実際に起きた歴史的出来事は「リアル」だけど、それを元に体系化された歴史学は「リアリティ」の文脈でしかないよなあとか。
そしたらパキPさんがすごい面白いこと言ってて
ツッコむと作品世界の前提が崩壊するのが「リアリズム」、ツッコんでもいいけど好みの問題だよねそれ、っていうのが「リアリティ」?
っていう新定義を発表してたんだよ。どういう流れでこんな話になったのか、仕事行っててよくわからないんだけど。
でも、そういう切り口でも考えられるよなあ、頭いいよなあって。さらに続けて・・・
大抵不満の槍玉に挙がってたり、作り手と受け手の感覚の祖語で悲喜劇が繰り広げられるのってリアリティの方?
いずれにせよ、世の作品評を眺めてて、「こんなのリアルじゃない」「こんなリアル求めてない」と「リアル感あって素晴らしい」が並立してしまっているのになんかすげーモヤッとするのよなぁ。
つまり、すごいマニアックなファンっていうのは、物語の本質的なテーマ、作り手がその作品で何を訴えたいのかとかじゃなくて、場合によっては交換可能な、すごい枝葉のところを喧々諤々と議論しているんじゃないかっていう、考察をしているのかもしれない。実際にパキさんがどう考えているかはわからないのですが。
少なくとも私はそう勝手に解釈して、面白い定義だなって。
例えば昨今恐竜マニアが集まっていろいろイベントできないとかって嘆いている人が多いけど(個人的には個人個人で楽しめばいいと思っている。べつにつるまなくてもアメリカの福音主義みたいなのでいいじゃんって)、『ジュラシック・パーク』なんかでブラキオサウルスはああやって立てないとか、ティラノサウルスが動かないものは見えないとかおかしいとか、そういうツッコミは「リアリティ」の話になるわけで、別に作品の本質的テーマにとってはディティールに過ぎないのかもしれない。もちろんディティールの積み重ねが本質的テーマを形成するのだろうから、おざなりにしすぎてもダメだけどさ。
逆に作り手・・・クリエイター同士の議論って「リアリティ」じゃなくて、作品の背骨の組み方である「リアリズム」の是非で争われている気もする。
言ってみれば作品って本来そこで勝負するものだし。ほとんどの人はディティールの是非は、その分野に詳しくない限り認識もされないから。
厳密にはリアリズムもリアリティも不可分な気もするけど、優先順位という意味ではやっぱり作品を作る場合は「リアリズム」の方をちゃんと組み立てられなきゃいけないんだと思う。
だからすっごいマニアックな人が作る作品って、あまり一般の人はついてけないんだよね。それは作品世界の前提の構成よりも、好みの問題を優先させちゃうから。
もちろんプロはどっちもちゃんと組み立てることができて、『トイ・ストーリー4』やるぞってさっき発表したジョン・ラセター監督なんかはマニアックかつみんなが楽しめる作品を作っているわけで。
あとさ、艦これみたいな本来ディープなミリタリーオタクしか受けないようなコンテンツが女子中学生とかにも受けてる秘密もこれでさ、戦艦はオタクしかわからないけれど、可愛い少女に興奮するのは普遍的なリアルなんだよ!
私は「もしドラ」の時から、こういう美少女付け合せ商法に辟易していたんだけど、艦これもアイドルマスターもさ、女の子の種類がポケットモンスター並みに多いじゃん。そこがうまいんだよね。
女性の好みこそ、人によって微妙に違うもんだからさ、その星の数ほどある「リアリティ」を、星の数ほどキャラクターを粗造乱造して、ひとつのコンテンツの枠の中で、対応させちゃうっていうのは、そりゃコンテンツの寿命も伸びるよなって。
そういや、アンパンマンも、こち亀も、プリキュアも、マーベルなんかもそうで、コンテンツビジネスの永久機関はそれしかないぞ!って気づきだしたのだろうか。
新しい作品よりは、かつてヒットした作品をうまく延命させる手法が確立した、というか。ただ「リアリズム」の部分をラディカルに脱構築し続けてしまうマーベルに比べて、アイドルマスターの「リアリズム」の調和性ってまだかつて(物語消費)のコンテンツ作りの枠組みに収まっているような気がする(マーベルよりはピクサーとかに近い)。それはマーベルとアイドルマスターの歴史の違いにもあるのだろうけど。
アイドルマスターでアイドルに全く関係ない魔法とか兵器とか戦国武将が出てきたら、いよいよ「輝きの向こう側」に行ったなって感があるけどね。
だから現代のコンテンツ消費のポイントは、何度か言うように、プロの腕の見せどころだった「リアリズム」よりも上位に、受け手の個人的なフェチポイントである「リアリティ」が来ちゃったってことなんだよね。
昔は王様の下に法律があったけれど、今は王様の上にみんなが作った法律があるじゃん。つまり作家の絶対王制(夏目漱石の時代)から、立憲主義に民主化されたわけだ。
もちろん民主化すればいいコンテンツができるとは限らないけれど(節操がなくなる)、ノージックによれば、コンテンツ作りに参加できる人数が増えれば増えるほど、名作が生まれる可能性は高くなるだろうから、なにより、作品の質どうこうよりも、みんなが楽しんで参加できる「場」ができるってのがいいんじゃないかって。
で、その「場」に濃ゆいオタクが集まると、核弾頭に核弾頭がぶつかる悲劇が起きるわけ(^_^;)今回のよくわからない話も、なまじ恐竜が好きっていう人の絶対数が少なくて、「場」が狭いから生粋のオタクの吹き溜まりになってるんだよ。
ライト化してしまったオタクにうんざりし『オタクはすでに死んでいる』を書いたオタキングこと岡田斗司夫さんは「どうやらオタク最後の楽園があったようだぞ!それは恐竜オタクだ!」って去年あたり感動してたけどな。だから誇りを持とうよ。
私は、別に狭い世界でわいわいどうでもいいことで喧嘩してるのもエネルギーがあっていいんじゃないかなあって思う。別にそんなつるまなくていいじゃんって。オレらはアイドルマスターのプロデューサー連合にはなれねえよって。
例えば実際に起きた歴史的出来事は「リアル」だけど、それを元に体系化された歴史学は「リアリティ」の文脈でしかないよなあとか。
そしたらパキPさんがすごい面白いこと言ってて
ツッコむと作品世界の前提が崩壊するのが「リアリズム」、ツッコんでもいいけど好みの問題だよねそれ、っていうのが「リアリティ」?
っていう新定義を発表してたんだよ。どういう流れでこんな話になったのか、仕事行っててよくわからないんだけど。
でも、そういう切り口でも考えられるよなあ、頭いいよなあって。さらに続けて・・・
大抵不満の槍玉に挙がってたり、作り手と受け手の感覚の祖語で悲喜劇が繰り広げられるのってリアリティの方?
いずれにせよ、世の作品評を眺めてて、「こんなのリアルじゃない」「こんなリアル求めてない」と「リアル感あって素晴らしい」が並立してしまっているのになんかすげーモヤッとするのよなぁ。
つまり、すごいマニアックなファンっていうのは、物語の本質的なテーマ、作り手がその作品で何を訴えたいのかとかじゃなくて、場合によっては交換可能な、すごい枝葉のところを喧々諤々と議論しているんじゃないかっていう、考察をしているのかもしれない。実際にパキさんがどう考えているかはわからないのですが。
少なくとも私はそう勝手に解釈して、面白い定義だなって。
例えば昨今恐竜マニアが集まっていろいろイベントできないとかって嘆いている人が多いけど(個人的には個人個人で楽しめばいいと思っている。べつにつるまなくてもアメリカの福音主義みたいなのでいいじゃんって)、『ジュラシック・パーク』なんかでブラキオサウルスはああやって立てないとか、ティラノサウルスが動かないものは見えないとかおかしいとか、そういうツッコミは「リアリティ」の話になるわけで、別に作品の本質的テーマにとってはディティールに過ぎないのかもしれない。もちろんディティールの積み重ねが本質的テーマを形成するのだろうから、おざなりにしすぎてもダメだけどさ。
逆に作り手・・・クリエイター同士の議論って「リアリティ」じゃなくて、作品の背骨の組み方である「リアリズム」の是非で争われている気もする。
言ってみれば作品って本来そこで勝負するものだし。ほとんどの人はディティールの是非は、その分野に詳しくない限り認識もされないから。
厳密にはリアリズムもリアリティも不可分な気もするけど、優先順位という意味ではやっぱり作品を作る場合は「リアリズム」の方をちゃんと組み立てられなきゃいけないんだと思う。
だからすっごいマニアックな人が作る作品って、あまり一般の人はついてけないんだよね。それは作品世界の前提の構成よりも、好みの問題を優先させちゃうから。
もちろんプロはどっちもちゃんと組み立てることができて、『トイ・ストーリー4』やるぞってさっき発表したジョン・ラセター監督なんかはマニアックかつみんなが楽しめる作品を作っているわけで。
あとさ、艦これみたいな本来ディープなミリタリーオタクしか受けないようなコンテンツが女子中学生とかにも受けてる秘密もこれでさ、戦艦はオタクしかわからないけれど、可愛い少女に興奮するのは普遍的なリアルなんだよ!
私は「もしドラ」の時から、こういう美少女付け合せ商法に辟易していたんだけど、艦これもアイドルマスターもさ、女の子の種類がポケットモンスター並みに多いじゃん。そこがうまいんだよね。
女性の好みこそ、人によって微妙に違うもんだからさ、その星の数ほどある「リアリティ」を、星の数ほどキャラクターを粗造乱造して、ひとつのコンテンツの枠の中で、対応させちゃうっていうのは、そりゃコンテンツの寿命も伸びるよなって。
そういや、アンパンマンも、こち亀も、プリキュアも、マーベルなんかもそうで、コンテンツビジネスの永久機関はそれしかないぞ!って気づきだしたのだろうか。
新しい作品よりは、かつてヒットした作品をうまく延命させる手法が確立した、というか。ただ「リアリズム」の部分をラディカルに脱構築し続けてしまうマーベルに比べて、アイドルマスターの「リアリズム」の調和性ってまだかつて(物語消費)のコンテンツ作りの枠組みに収まっているような気がする(マーベルよりはピクサーとかに近い)。それはマーベルとアイドルマスターの歴史の違いにもあるのだろうけど。
アイドルマスターでアイドルに全く関係ない魔法とか兵器とか戦国武将が出てきたら、いよいよ「輝きの向こう側」に行ったなって感があるけどね。
だから現代のコンテンツ消費のポイントは、何度か言うように、プロの腕の見せどころだった「リアリズム」よりも上位に、受け手の個人的なフェチポイントである「リアリティ」が来ちゃったってことなんだよね。
昔は王様の下に法律があったけれど、今は王様の上にみんなが作った法律があるじゃん。つまり作家の絶対王制(夏目漱石の時代)から、立憲主義に民主化されたわけだ。
もちろん民主化すればいいコンテンツができるとは限らないけれど(節操がなくなる)、ノージックによれば、コンテンツ作りに参加できる人数が増えれば増えるほど、名作が生まれる可能性は高くなるだろうから、なにより、作品の質どうこうよりも、みんなが楽しんで参加できる「場」ができるってのがいいんじゃないかって。
で、その「場」に濃ゆいオタクが集まると、核弾頭に核弾頭がぶつかる悲劇が起きるわけ(^_^;)今回のよくわからない話も、なまじ恐竜が好きっていう人の絶対数が少なくて、「場」が狭いから生粋のオタクの吹き溜まりになってるんだよ。
ライト化してしまったオタクにうんざりし『オタクはすでに死んでいる』を書いたオタキングこと岡田斗司夫さんは「どうやらオタク最後の楽園があったようだぞ!それは恐竜オタクだ!」って去年あたり感動してたけどな。だから誇りを持とうよ。
私は、別に狭い世界でわいわいどうでもいいことで喧嘩してるのもエネルギーがあっていいんじゃないかなあって思う。別にそんなつるまなくていいじゃんって。オレらはアイドルマスターのプロデューサー連合にはなれねえよって。
秋の内田樹祭り
2014-10-30 22:40:19 (9 years ago)
やべ、10月大してブログ書かずに終わっちゃう。最近は落ち着いてパソコンやってる時間がなかなか捻出できないし、まあ多少時間あってもソニックブレイド描いているからブログが放置されちゃうんですが・・・というか、やっぱツイッターが良くないね。
あれで、短文書いてなんとなく満足しちゃうんだよな。ツイッターやめれば、この日記も更新頻度上がるんだろうけど。ツイッターやる前はほぼ毎日書いてたからね。ツイッターとブログを両立できるマロさんはすごいよ。
え~と、で、最近は病院で本読んでいることが多くて、主に内田樹さんの本なんだけど。『下流志向』で衝撃を受けてからすっかり「たつ兄」と勝手に慕っているんだけど、や、慕っている割には最近はまったくこの人の本読んでなかったけど、久々に内田樹分を補給したくなって。秋の内田樹祭り開催ってことで。実はちょっと前には夏の池田清彦祭りもやってたんだけど、理系の本って割と社会をメタに突き放したようなものが多くてさ、そのあっけらかんとした爽快さが欲しい時もあるんだけど、今は私生活的に文系を欲してるんだよな。
『寝ながら学べる構造主義』
構造主義をこしさんに教えた時に、こしさんが最初に読んでいた・・・気がする本(^_^;)私は最終的に橋爪大三郎でガッテンしたけど、やはりたつ兄の内田節で構造主義を知るのも切り口としては面白いかもしれない。
意外とたつ兄、構造主義に大しての自分の意見とかはこの本の中で一切書いていない。意外!しいて言えば歴史や社会の中で懸命に行動することを奨励したサルトルの主張は「こういうの私は大好きなんです」って言ったくらい。確かに好きそうだ。ちなみに私も好きですwつーかそれしか私たちには選択肢がないよね。他人事じゃないんだから。
あとは本文中で特に説明のキレが素晴らしかった箇所を、ちょと。
巷の入門書について
専門家のための書物は「知っていること」を積み上げてゆきます。そこには、「周知のように」とか「言うまでもないことだが」とか「なるほど…ではあるが」というようなことばかり書いてあり、読む方としては「なにが『なるほど』だ」と、しだいに怒りがこみ上げてきます。(8ページ)
そして、知性がみずからに課すいちばん大切な仕事は、実は、「答えを出すこと」ではなく、「重要な問いの下にアンダーラインを引くこと」なのです。(11ページ)
フーコーについて
制度に「疑いの眼差し」を向けているおのれの「疑い」そのものまでが「制度的な知」として、現に疑われている当の制度の中に回収されていくことへの不快。そのことに気づかずに「権力への反逆」をにぎやかに歌っている愚鈍な学者や知識人への侮辱。(112ページ)
ラカンについて
橋爪大三郎ですら「よくわからん」といい、当然私もこの人の言っていることがどこまで比喩で、どこまでガチなのかが分からなかったんだけど、さすがたつ兄。難解だし、ラカン先生の言いたいことのごく一部しか記述できませんとエクスキューズしながらも、丁寧に解説。
というかこの本を買ったのもたつ兄だったら強敵ラカンもうまいこと説明してくれるんじゃないかなっていう期待があったから。
ラカンの理解を助けるために、あらかじめフロイトの深層心理学を「構造主義に影響を与えた前史」ということで解説するのは見事としか言い様がない。
池田清彦さんの『構造主義進化論入門』もそうだけど、やっぱり思想や哲学(及びそれに付随する学術的見解)は当時の文脈、つまり歴史のバックボーンを抑えないとうまく解説できないんだよな。
感想としては、ラカンのカウンセラーの対話に対する考察って確かにロランバルトのテキスト論に似てる。患者さんと医師の共同作業なんだね。
相手の言っていることを理解したり病理の原因をつきとめたりするんじゃなくて、聞いてますよって返事をしてあげることがカウンセリングでは一番大事っていう話なわけだ。仮にそれが真実でなくても話すことで救われる、みたいな。
女性の愚痴を聴くときはちょっとそこらへんまで考えようと思ったけど、多分理解することをペンディングして熱心に聞くって、自分みたいな理屈人間には相当辛いと思う(^_^;)だから男と女は分かり合えないんだろうね。
そう考えると、この人はなんて心の広い人んだって尊敬しそうになったんだけど、カウンセリング受けて治療費払わない患者には容赦なく平手打ち。社会的コミュニケーションの枠内に戻してあげることがラカン先生のセラピーの最終目標なので、必ずサービスには料金を払わせたそうな。そこはスパルタなんかい!w
フロイトについて
「無意識の部屋」に閉じ込められて「冷凍保存」された記憶を「解凍」すると、「昔のまま」の記憶が蘇るというふうに考えるのは、おそらく危険なことです。記憶とはそのような確かな「実体」ではありません。(177ページ)
構造主義全体について
すでに見てきたように、構造主義は党派性やイデオロギー性とはあまり縁のない、どちらかといえば象牙の塔的な学術
これは私もこしさんに構造主義を紹介する時に力点を置いて説明したところ。現代の科学的アプローチと親和性が高いのも、構造主義が特定のイデオロギーを持たず、メタ的に相対化するからだろう。しかし当初はサルトルに代表される実存主義ブームと激戦を繰り広げたことは、実は高校倫理でも習う人は習っている。
『呪いの時代』
「言葉が届くとは分かり易く書くということではありません」と、わかりやすく書いている内田さん。尊敬だ。自分の世代的にポストモダンとかニューアカとかじゃないからな。こういったラディカルな記号化に対するアンチテーゼの方がしっくりくる。アニメとか映画とかでもSNSが出てくるとなんか抵抗があるし。
こんなに普及しているのになんでなんだろ?オレはもう時代おくれおじさんなのか!?って思って、ちょっと考えてみたんだけど、ネットってパブリックな場にプライベートな私念をぶちまけるから、あれなんだよね、その、美少女アニメで美少女がトイレでウンコしているところは書かないじゃん。そういうことです。わざわざウンコを作中取り上げることもないよなって。
そんな感じで第1章、第2章はネットプロレスへの批判。第3章は日本の政治家のリーダーシップについて。これは『補訂版政治学』第15章「政策過程」とほとんど同じ内容だけど、表現が面白い。
第6章は昨今話題・・・いや、もう廃れてる?の草食系男子について、ペルソナ的に考察。ペルソナは沢山あるに越したことはないっていう意見新しいなw
第10章と第11章は原子力問題と科学哲学なんだけど、原子力という制御できない強大な力に対する(内田さんが推察する)欧米と日本の対応の違いがすごい面白かった。
この内田説によればジュラシックパークは欧米よりも(戦後の)日本人のが心に突き刺さって、ゴジラは日本人よりも欧米の人のが感情移入するに違いない。恐竜という強大な力を前者は金儲けのビジネスに過ぎないと卑小化させて、現実的な恐怖心を押さえ込んだわけなんだから。
また、科学の説明がなかなかの内田節で面白かったので引用。
科学性というのは端的に言えば、「世界の成り立ちについてのあらゆる理説には賞味期限があり、かつそれが適用される範囲は限定されている」という肚のくくり方のことである。「言い換えれば、自分の使える知的な道具の有限性、自分が準拠している度量衡の恣意性、自分が自称を考量する時に利用する計測機器の精度の低さについての自覚のことである。さらににべもない言い方をすれば「自分のバカさ加減」についての自覚のことである。(300ページ)
この本では、フランス哲学の専門家だったたつ兄が特にレヴィナスに深い影響を受けているのもわかる。確かにポストモダン的でないエシカルな思想家という意味ではレヴィナスと共通点あるかも。・・・と、思ったら、『街場の共同体論』で「僕の哲学的な師はレヴィナス先生です」って公言してました(^_^;)
汝、呪うなかれ。
あれで、短文書いてなんとなく満足しちゃうんだよな。ツイッターやめれば、この日記も更新頻度上がるんだろうけど。ツイッターやる前はほぼ毎日書いてたからね。ツイッターとブログを両立できるマロさんはすごいよ。
え~と、で、最近は病院で本読んでいることが多くて、主に内田樹さんの本なんだけど。『下流志向』で衝撃を受けてからすっかり「たつ兄」と勝手に慕っているんだけど、や、慕っている割には最近はまったくこの人の本読んでなかったけど、久々に内田樹分を補給したくなって。秋の内田樹祭り開催ってことで。実はちょっと前には夏の池田清彦祭りもやってたんだけど、理系の本って割と社会をメタに突き放したようなものが多くてさ、そのあっけらかんとした爽快さが欲しい時もあるんだけど、今は私生活的に文系を欲してるんだよな。
『寝ながら学べる構造主義』
構造主義をこしさんに教えた時に、こしさんが最初に読んでいた・・・気がする本(^_^;)私は最終的に橋爪大三郎でガッテンしたけど、やはりたつ兄の内田節で構造主義を知るのも切り口としては面白いかもしれない。
意外とたつ兄、構造主義に大しての自分の意見とかはこの本の中で一切書いていない。意外!しいて言えば歴史や社会の中で懸命に行動することを奨励したサルトルの主張は「こういうの私は大好きなんです」って言ったくらい。確かに好きそうだ。ちなみに私も好きですwつーかそれしか私たちには選択肢がないよね。他人事じゃないんだから。
あとは本文中で特に説明のキレが素晴らしかった箇所を、ちょと。
巷の入門書について
専門家のための書物は「知っていること」を積み上げてゆきます。そこには、「周知のように」とか「言うまでもないことだが」とか「なるほど…ではあるが」というようなことばかり書いてあり、読む方としては「なにが『なるほど』だ」と、しだいに怒りがこみ上げてきます。(8ページ)
そして、知性がみずからに課すいちばん大切な仕事は、実は、「答えを出すこと」ではなく、「重要な問いの下にアンダーラインを引くこと」なのです。(11ページ)
フーコーについて
制度に「疑いの眼差し」を向けているおのれの「疑い」そのものまでが「制度的な知」として、現に疑われている当の制度の中に回収されていくことへの不快。そのことに気づかずに「権力への反逆」をにぎやかに歌っている愚鈍な学者や知識人への侮辱。(112ページ)
ラカンについて
橋爪大三郎ですら「よくわからん」といい、当然私もこの人の言っていることがどこまで比喩で、どこまでガチなのかが分からなかったんだけど、さすがたつ兄。難解だし、ラカン先生の言いたいことのごく一部しか記述できませんとエクスキューズしながらも、丁寧に解説。
というかこの本を買ったのもたつ兄だったら強敵ラカンもうまいこと説明してくれるんじゃないかなっていう期待があったから。
ラカンの理解を助けるために、あらかじめフロイトの深層心理学を「構造主義に影響を与えた前史」ということで解説するのは見事としか言い様がない。
池田清彦さんの『構造主義進化論入門』もそうだけど、やっぱり思想や哲学(及びそれに付随する学術的見解)は当時の文脈、つまり歴史のバックボーンを抑えないとうまく解説できないんだよな。
感想としては、ラカンのカウンセラーの対話に対する考察って確かにロランバルトのテキスト論に似てる。患者さんと医師の共同作業なんだね。
相手の言っていることを理解したり病理の原因をつきとめたりするんじゃなくて、聞いてますよって返事をしてあげることがカウンセリングでは一番大事っていう話なわけだ。仮にそれが真実でなくても話すことで救われる、みたいな。
女性の愚痴を聴くときはちょっとそこらへんまで考えようと思ったけど、多分理解することをペンディングして熱心に聞くって、自分みたいな理屈人間には相当辛いと思う(^_^;)だから男と女は分かり合えないんだろうね。
そう考えると、この人はなんて心の広い人んだって尊敬しそうになったんだけど、カウンセリング受けて治療費払わない患者には容赦なく平手打ち。社会的コミュニケーションの枠内に戻してあげることがラカン先生のセラピーの最終目標なので、必ずサービスには料金を払わせたそうな。そこはスパルタなんかい!w
フロイトについて
「無意識の部屋」に閉じ込められて「冷凍保存」された記憶を「解凍」すると、「昔のまま」の記憶が蘇るというふうに考えるのは、おそらく危険なことです。記憶とはそのような確かな「実体」ではありません。(177ページ)
構造主義全体について
すでに見てきたように、構造主義は党派性やイデオロギー性とはあまり縁のない、どちらかといえば象牙の塔的な学術
これは私もこしさんに構造主義を紹介する時に力点を置いて説明したところ。現代の科学的アプローチと親和性が高いのも、構造主義が特定のイデオロギーを持たず、メタ的に相対化するからだろう。しかし当初はサルトルに代表される実存主義ブームと激戦を繰り広げたことは、実は高校倫理でも習う人は習っている。
『呪いの時代』
「言葉が届くとは分かり易く書くということではありません」と、わかりやすく書いている内田さん。尊敬だ。自分の世代的にポストモダンとかニューアカとかじゃないからな。こういったラディカルな記号化に対するアンチテーゼの方がしっくりくる。アニメとか映画とかでもSNSが出てくるとなんか抵抗があるし。
こんなに普及しているのになんでなんだろ?オレはもう時代おくれおじさんなのか!?って思って、ちょっと考えてみたんだけど、ネットってパブリックな場にプライベートな私念をぶちまけるから、あれなんだよね、その、美少女アニメで美少女がトイレでウンコしているところは書かないじゃん。そういうことです。わざわざウンコを作中取り上げることもないよなって。
そんな感じで第1章、第2章はネットプロレスへの批判。第3章は日本の政治家のリーダーシップについて。これは『補訂版政治学』第15章「政策過程」とほとんど同じ内容だけど、表現が面白い。
第6章は昨今話題・・・いや、もう廃れてる?の草食系男子について、ペルソナ的に考察。ペルソナは沢山あるに越したことはないっていう意見新しいなw
第10章と第11章は原子力問題と科学哲学なんだけど、原子力という制御できない強大な力に対する(内田さんが推察する)欧米と日本の対応の違いがすごい面白かった。
この内田説によればジュラシックパークは欧米よりも(戦後の)日本人のが心に突き刺さって、ゴジラは日本人よりも欧米の人のが感情移入するに違いない。恐竜という強大な力を前者は金儲けのビジネスに過ぎないと卑小化させて、現実的な恐怖心を押さえ込んだわけなんだから。
また、科学の説明がなかなかの内田節で面白かったので引用。
科学性というのは端的に言えば、「世界の成り立ちについてのあらゆる理説には賞味期限があり、かつそれが適用される範囲は限定されている」という肚のくくり方のことである。「言い換えれば、自分の使える知的な道具の有限性、自分が準拠している度量衡の恣意性、自分が自称を考量する時に利用する計測機器の精度の低さについての自覚のことである。さらににべもない言い方をすれば「自分のバカさ加減」についての自覚のことである。(300ページ)
この本では、フランス哲学の専門家だったたつ兄が特にレヴィナスに深い影響を受けているのもわかる。確かにポストモダン的でないエシカルな思想家という意味ではレヴィナスと共通点あるかも。・・・と、思ったら、『街場の共同体論』で「僕の哲学的な師はレヴィナス先生です」って公言してました(^_^;)
汝、呪うなかれ。
ジャッキー・チェンメモ
2014-10-02 23:36:49 (9 years ago)
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カテゴリタグ:
- 映画
地球には間違いなく引力があるよ。
先月、本で何万円も使っちゃったのに、懲りずにコンビニで『ジャッキー・チェン物語』を衝動買いしてしまった私。その上、あさって宿敵法律学の試験なのに(三度目)全然勉強せずジャッキー・チェンの映画ばっかり見ている始末。
というのも香港映画って、メソッドできっちり脚本の展開がパターン化されたハリウッド映画と違って、なんか読めないじゃん(^_^;)ライバル倒したら余韻なく「終劇」!ジャーン、とかで終わったり、エンドロールとエンディングテーマの尺があってなくて、最後は静止画像を延々と見せたり。
それがマーベル映画に食傷気味だった自分には面白くてさ、昔は脚本をきっちり書かずにインスピレーションだけで展開を組み立てちゃう宮崎駿があんま好きじゃなかったんだけど、まあ今ではあの人をすごい好きな人が多いのもなんとなくわかるかな、というか。
映画館に見に行ったけどブログでは取り上げなかった『X-MEN:フューチャー&パスト』や『マイティ・ソー ダーク・ワールド』、ほんで最新作の『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』も決してつまらなかったわけじゃないんだけどさ。話の構成がどれもほとんど一緒でさ。時間的にそろそろ総力戦が始まるぞ、ボスとの決闘が始まるぞ、はい逆転勝ちするぞ、とかもう予想がついちゃってさ。立て続けに見ちゃった自分が悪いんだけど、あんまドキドキしないんだよね。
だからまあ、ジャッキー・チェンの昔のカンフー映画とかは良くも悪くもゆるくてさwかえって新鮮なんだよね。最初に出したキャラが途中全然出てこなくて、最後は活躍するだろとかハリウッド的に予測していると、そのまま出ずに終わったりさwすごいいいんだよw
スネーキーモンキー蛇拳
言わずもがなジャッキーの出世作。
心は優しいがいじめられっ子の青年が、街を徘徊する住所不定無職の浮浪者と仲良くなり拳法を教えてもらい、たくましく成長する話。
う~んベタベタ&シンプル!だがそれがいい!!
師匠に厳しくしごかれる睡拳とは異なり、ユエン・シャンティエンの師匠と「友達」というところがハートウォーミング。これはウィル・スミスの息子と共演した『ベストキッド』でオマージュされていたりする。
そういやアメトークでジャッキー芸人が『酔拳』のパロディやってたけど、宿敵役の中川家礼二さんが演じていたのはこちらのキャラに近い(ジャッキーの歯を蹴り折った)。
ちなみに『蛇拳』とか言うけど、後半は猫拳で戦っていたりする。でもそれはまずいだろ、と、師匠が「いやこれ蛇形刀手にしようよ」って言って終わった。
拳精
五獣の拳の妖精と少林寺の門下生ジャッキーとのコメディファンタジー映画。
ブルース・リーやジャッキーとひと悶着あったロー・ウェイ監督作品。
ロー・ウェイ監督は金づるのジャッキーをマフィアに拉致させたり、白紙の契約書にサインさせてその後契約内容を改ざん(金額を二桁増やした)したりと、かなりの悪徳映画監督だったらしいけれど、この映画自体は笑えて面白い。
少林寺の裏切り者は誰だ?というなかなかのミステリー展開だし、白塗りでピンクの髪というジャパニメーションでもなかなか出てこないであろうデザインの妖精たちがすごい可愛い(&むかつく)。特に本の中に隠れている妖精たちが、最後の戦いの最中、本を黒幕に殴られて、本の中で白目むいてるのに大爆笑wwwバカ殿といい白塗りの破壊力は恐ろしいものがある。
ドランクモンキー酔拳
言わずもがなジャッキー映画の日本初公開作。
憲法の素質はあるがチンピラ崩れという設定にされた中国史上の英雄ウォン・フェイフォンがユエン・シャンティエン(また出た)の師匠に根性を叩き直され、まっとうな人間になる話。
う~んベタベタ&シンプル!だがそれがいい!!
もう何度も見てるんだけどやっぱり面白い。つーか蒸しタオルってある種の凶器だな。
蛇拳とは対照的な生意気な青年を演じているのも面白い。実際ジャッキーは若かりし頃相当のワルだったらしいからこっちのほうが実態に近いのかも・・・でも地獄の養成所で子どもの頃しばき倒された辛い経験は蛇拳にも踏襲されてるんだろうな。
あとライバルの殺し屋・・・この人なんか人相がすごいいい人そう。
ヤングマスター
ライバルとの最後の決闘の決着がなかなかつかず・・・本当にマジでなかなかつかず何十分もアチャアチャ言ってる衝撃的な映画。
ジャッキーは足技の使い手には苦戦する傾向があるらしい(^_^;)
しかも最後はテクニックではこいつには勝てないからと、駄々っ子のように腕振り回してよくわからない気合でゴリ押しで勝利。カンフー映画史に残る泥試合と言えよう。
「人を刺して傷が治れば無罪になるのか」と、道場を破門された兄弟子を探しに行く話で、最後は兄弟で戦うのかな?みたいな予想は完全に裏切られます。ただこの映画時間に収めるためにめちゃくちゃカットしたらしい。
センスを使って戦うのは孔雀のように優雅。その後、椅子やスカートも武器にし出す。で、その流れは自転車、ナポリタンとエスカレートした。
プロジェクトA
言わずもがな代表作。でも内容ほとんど忘れていた。こんなパイレーツ的な物語だったとは。
ローワンアトキンソンもだけど、厳しい学校出た人はその辛い経験をコメディにしたいのだろうか。こういう意地悪な先生を生徒がからかうのはドリフ大爆笑と似ているよね(ユンピョウがいかりやw)。
将校の人に「海賊を倒す具体的な作戦は?」と聞かれて「ありません!」って言って「よし!お前に海賊退治を任せる!」みたいな超展開が発生。
最後の海賊の兄貴との戦いは本当ひでえ殺し方で衝撃的(^_^;)
ちなみにこの映画ちゃんとした続編があって、そこでは兄貴を失ってすっかり落ちぶれた海賊たちが復讐をしようとするんだけど、なんかグダグダになるというなかなかの名作。
モノホンの唐辛子を一気食いしたり、腐敗しきった警察のシーンとかなかなか風刺が効いてて続編の方も好きなんだけど、やっぱり劇団員時代の仲間のサモハンとユンピョウが出ないのが残念。ちょっとだけでもカメオ出演して欲しかったなあ。
スパルタンX
全編スペインロケ。スケジュールや予算をオーバーするジャッキー監督と違い、予定通りにキッチリ仕上げるサモハン監督作。
自分が監督している割にジャッキーを立ててコメディリリーフに回っちゃうところが面白い。でもなんか太った探偵物語みたくて面白かったぜ。
ラストはジャッキーとベニー・ユキーデとの一騎打ちか!?と思いきや、最後によくわからないザコキャラみたいなのが残っていて、そいつをサモハン。ジャッキー、ユンピョウでにじりよって降参させるというハリウッド映画じゃ絶対にやらなさそうな構成w
ちなみにスパルタンXってなんなんだろうってずっと思ってたんだけど、ジャッキーとユンピョウの移動式軽食屋さんの改造ワゴンの名前が「スパルタン号」だった。古代ギリシャがどうとか、そういう深い意味はないらしい(^_^;)
そういや小さい頃『スパルタンX』っていうファミコンがあったけど、あれジャッキー映画っていうよりはブルース・リー作品に近かったような・・・(死亡遊戯っぽい)
ガチでテレビゲーム化するならやっぱり『ランナバウト』みたいなやつになるのだろうか。
ファイナル・プロジェクト
ここら辺になるとすごい金がかかっている。一応『ポリスストーリー4』って位置づけらしいが、ジャッキー版007と言ったほうがピンとくる。筋書きはほとんど一緒だし(核ミサイルの発射ボタンえらくぞんざいに扱ってるけど)。
なんでファイナルなんだろうと思ったら、この年(1997年)に香港がイギリスから変換されたんだよね。だからジャッキー最後の香港映画ってことでファイナルって付けたらしい。
それはともかく、この時代の携帯電話はマナーモードとかバイブレーション機能はなかったのだろうか。潜入中にいちいち呼び鈴が鳴るのはスパイグッズとしてあかんやろw
スノーモービルがジャッキーにスレスレで飛んでいくシーンは舞台がロシアじゃなくても背筋が凍った。本当この人はなんなんだ!
しかしジャッキー、役名考えるのが面倒になったのか、ジャッキー・チェン捜査官でそのまま出てる。確かにどんな役やっても「ジャッキー」だもんねw
あと『ヤングマスター』の獅子舞が出てくる。
先月、本で何万円も使っちゃったのに、懲りずにコンビニで『ジャッキー・チェン物語』を衝動買いしてしまった私。その上、あさって宿敵法律学の試験なのに(三度目)全然勉強せずジャッキー・チェンの映画ばっかり見ている始末。
というのも香港映画って、メソッドできっちり脚本の展開がパターン化されたハリウッド映画と違って、なんか読めないじゃん(^_^;)ライバル倒したら余韻なく「終劇」!ジャーン、とかで終わったり、エンドロールとエンディングテーマの尺があってなくて、最後は静止画像を延々と見せたり。
それがマーベル映画に食傷気味だった自分には面白くてさ、昔は脚本をきっちり書かずにインスピレーションだけで展開を組み立てちゃう宮崎駿があんま好きじゃなかったんだけど、まあ今ではあの人をすごい好きな人が多いのもなんとなくわかるかな、というか。
映画館に見に行ったけどブログでは取り上げなかった『X-MEN:フューチャー&パスト』や『マイティ・ソー ダーク・ワールド』、ほんで最新作の『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』も決してつまらなかったわけじゃないんだけどさ。話の構成がどれもほとんど一緒でさ。時間的にそろそろ総力戦が始まるぞ、ボスとの決闘が始まるぞ、はい逆転勝ちするぞ、とかもう予想がついちゃってさ。立て続けに見ちゃった自分が悪いんだけど、あんまドキドキしないんだよね。
だからまあ、ジャッキー・チェンの昔のカンフー映画とかは良くも悪くもゆるくてさwかえって新鮮なんだよね。最初に出したキャラが途中全然出てこなくて、最後は活躍するだろとかハリウッド的に予測していると、そのまま出ずに終わったりさwすごいいいんだよw
スネーキーモンキー蛇拳
言わずもがなジャッキーの出世作。
心は優しいがいじめられっ子の青年が、街を徘徊する住所不定無職の浮浪者と仲良くなり拳法を教えてもらい、たくましく成長する話。
う~んベタベタ&シンプル!だがそれがいい!!
師匠に厳しくしごかれる睡拳とは異なり、ユエン・シャンティエンの師匠と「友達」というところがハートウォーミング。これはウィル・スミスの息子と共演した『ベストキッド』でオマージュされていたりする。
そういやアメトークでジャッキー芸人が『酔拳』のパロディやってたけど、宿敵役の中川家礼二さんが演じていたのはこちらのキャラに近い(ジャッキーの歯を蹴り折った)。
ちなみに『蛇拳』とか言うけど、後半は猫拳で戦っていたりする。でもそれはまずいだろ、と、師匠が「いやこれ蛇形刀手にしようよ」って言って終わった。
拳精
五獣の拳の妖精と少林寺の門下生ジャッキーとのコメディファンタジー映画。
ブルース・リーやジャッキーとひと悶着あったロー・ウェイ監督作品。
ロー・ウェイ監督は金づるのジャッキーをマフィアに拉致させたり、白紙の契約書にサインさせてその後契約内容を改ざん(金額を二桁増やした)したりと、かなりの悪徳映画監督だったらしいけれど、この映画自体は笑えて面白い。
少林寺の裏切り者は誰だ?というなかなかのミステリー展開だし、白塗りでピンクの髪というジャパニメーションでもなかなか出てこないであろうデザインの妖精たちがすごい可愛い(&むかつく)。特に本の中に隠れている妖精たちが、最後の戦いの最中、本を黒幕に殴られて、本の中で白目むいてるのに大爆笑wwwバカ殿といい白塗りの破壊力は恐ろしいものがある。
ドランクモンキー酔拳
言わずもがなジャッキー映画の日本初公開作。
憲法の素質はあるがチンピラ崩れという設定にされた中国史上の英雄ウォン・フェイフォンがユエン・シャンティエン(また出た)の師匠に根性を叩き直され、まっとうな人間になる話。
う~んベタベタ&シンプル!だがそれがいい!!
もう何度も見てるんだけどやっぱり面白い。つーか蒸しタオルってある種の凶器だな。
蛇拳とは対照的な生意気な青年を演じているのも面白い。実際ジャッキーは若かりし頃相当のワルだったらしいからこっちのほうが実態に近いのかも・・・でも地獄の養成所で子どもの頃しばき倒された辛い経験は蛇拳にも踏襲されてるんだろうな。
あとライバルの殺し屋・・・この人なんか人相がすごいいい人そう。
ヤングマスター
ライバルとの最後の決闘の決着がなかなかつかず・・・本当にマジでなかなかつかず何十分もアチャアチャ言ってる衝撃的な映画。
ジャッキーは足技の使い手には苦戦する傾向があるらしい(^_^;)
しかも最後はテクニックではこいつには勝てないからと、駄々っ子のように腕振り回してよくわからない気合でゴリ押しで勝利。カンフー映画史に残る泥試合と言えよう。
「人を刺して傷が治れば無罪になるのか」と、道場を破門された兄弟子を探しに行く話で、最後は兄弟で戦うのかな?みたいな予想は完全に裏切られます。ただこの映画時間に収めるためにめちゃくちゃカットしたらしい。
センスを使って戦うのは孔雀のように優雅。その後、椅子やスカートも武器にし出す。で、その流れは自転車、ナポリタンとエスカレートした。
プロジェクトA
言わずもがな代表作。でも内容ほとんど忘れていた。こんなパイレーツ的な物語だったとは。
ローワンアトキンソンもだけど、厳しい学校出た人はその辛い経験をコメディにしたいのだろうか。こういう意地悪な先生を生徒がからかうのはドリフ大爆笑と似ているよね(ユンピョウがいかりやw)。
将校の人に「海賊を倒す具体的な作戦は?」と聞かれて「ありません!」って言って「よし!お前に海賊退治を任せる!」みたいな超展開が発生。
最後の海賊の兄貴との戦いは本当ひでえ殺し方で衝撃的(^_^;)
ちなみにこの映画ちゃんとした続編があって、そこでは兄貴を失ってすっかり落ちぶれた海賊たちが復讐をしようとするんだけど、なんかグダグダになるというなかなかの名作。
モノホンの唐辛子を一気食いしたり、腐敗しきった警察のシーンとかなかなか風刺が効いてて続編の方も好きなんだけど、やっぱり劇団員時代の仲間のサモハンとユンピョウが出ないのが残念。ちょっとだけでもカメオ出演して欲しかったなあ。
スパルタンX
全編スペインロケ。スケジュールや予算をオーバーするジャッキー監督と違い、予定通りにキッチリ仕上げるサモハン監督作。
自分が監督している割にジャッキーを立ててコメディリリーフに回っちゃうところが面白い。でもなんか太った探偵物語みたくて面白かったぜ。
ラストはジャッキーとベニー・ユキーデとの一騎打ちか!?と思いきや、最後によくわからないザコキャラみたいなのが残っていて、そいつをサモハン。ジャッキー、ユンピョウでにじりよって降参させるというハリウッド映画じゃ絶対にやらなさそうな構成w
ちなみにスパルタンXってなんなんだろうってずっと思ってたんだけど、ジャッキーとユンピョウの移動式軽食屋さんの改造ワゴンの名前が「スパルタン号」だった。古代ギリシャがどうとか、そういう深い意味はないらしい(^_^;)
そういや小さい頃『スパルタンX』っていうファミコンがあったけど、あれジャッキー映画っていうよりはブルース・リー作品に近かったような・・・(死亡遊戯っぽい)
ガチでテレビゲーム化するならやっぱり『ランナバウト』みたいなやつになるのだろうか。
ファイナル・プロジェクト
ここら辺になるとすごい金がかかっている。一応『ポリスストーリー4』って位置づけらしいが、ジャッキー版007と言ったほうがピンとくる。筋書きはほとんど一緒だし(核ミサイルの発射ボタンえらくぞんざいに扱ってるけど)。
なんでファイナルなんだろうと思ったら、この年(1997年)に香港がイギリスから変換されたんだよね。だからジャッキー最後の香港映画ってことでファイナルって付けたらしい。
それはともかく、この時代の携帯電話はマナーモードとかバイブレーション機能はなかったのだろうか。潜入中にいちいち呼び鈴が鳴るのはスパイグッズとしてあかんやろw
スノーモービルがジャッキーにスレスレで飛んでいくシーンは舞台がロシアじゃなくても背筋が凍った。本当この人はなんなんだ!
しかしジャッキー、役名考えるのが面倒になったのか、ジャッキー・チェン捜査官でそのまま出てる。確かにどんな役やっても「ジャッキー」だもんねw
あと『ヤングマスター』の獅子舞が出てくる。
猿の惑星: 新世紀
2014-09-23 15:33:18 (9 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 映画
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」
エイプは全てにおいて人間に勝ると思っていた。だが我々も人間と同じだ。
前作はマイクル・クライトンの『NEXT』か!?と勘違いしてしまうほどの医学スリラーだったけど、今回はお猿軍団の進化(=擬人化)が進んだことで、類人猿の恐怖というよりは、お馴染みの猿の惑星シリーズのテイストに戻って安心して見れる・・・というか冒頭の猿インフルと医者猿がマスクしているシーンで爆笑w「あ、これ、つの丸先生往年の名作モンモンモンの世界を実写映画化してんだ」と。原崎山おさる軍団VS人間じゃねーかってw
ジャンプの編集者が言ってたけれど、『モンモンモン』のおさるってほとんど人間と一緒だからねwそうなると人間とコミュニケーションもできるし、和解の可能性もあるから、前作にあったような、種族の絶望的断絶の恐怖はあまり感じない。
だいたい、これくらいの断絶は人間同士でも今なおあるし、なにより『セデック・バレ』の台湾人の方がよっぽど分かり合えなさそうで怖い!
そもそもこのシリーズって、類人猿を自然科学的に描いた作品というよりは、大戦中に日本軍の捕虜収容所に捕まっちゃった人の悲惨な思い出話を聞いた作者さんが、野蛮で残酷な日本人のイメージをおさるにして描いた、なかなか人種差別的な問題を含む社会派SFで、そうなってくると当時の白人の人が黄色人種に対してどういう感情を持っていたか興味深い。
多分、スーサイドアタックとかを空母に繰り出してくる日本軍に対して、絶望的な分かり合えなさや恐怖を感じていたに違いない。あの自爆攻撃はなんか薬か何かをやらせて正常な判断能力を奪わせた上でやってたんじゃないか?とか考えていたらしいし。
もちろん今は世界大戦なんかはやってないけれど、イスラム国家っていう、なにやら金回りの良さそうな過激派テロ組織がネットの力でにわかにできちゃっておっかないし、そういった恐ろしい対立勢力とどうやって和解の道を探すかが今後の国際社会にとって重要になってくるに違いない。
だいたい、この映画もうまく描いていたけれど、人間VSエイプなんていう単純な対立構造ならまだ「全面戦争だ~!」とかも(善し悪しは別として)選択肢として有効な気もするけれど、現代の世界はもっと複雑で多極化しているからなかなか難しい。
なにしろ、イスラム国家って国籍問わずいろんな人が同調しているらしいから、欧米VS中東みたいに戦えばいいってもんじゃないもんね。
この前の『キャプテン・アメリカ』じゃないけれど、自軍の内部にも敵が混ざっているかもしれない。そんなモザイク状の乱戦状態で相手陣営を殲滅するような作戦なんて現実問題として可能なのか?って言う。
今までは国民国家っていうのがあって、その枠組みで戦争をしていたわけで、まあ冷戦だってイデオロギーの戦いなんだろうけれど、国民国家の連合軍同士(東西陣営)の戦いと考えれば、その延長線上なわけで。
でもイスラム国家ってなんなんだっていう。911を起こしたアルカイダですらテロのフランチャイズ経営とか言われていたけど、フェイスブックで離合集散を繰り返すような「集団」(もはや組織と言えるのか?)をどう相手にすればいいんだっていう。
溝口敦さんによれば、日本でも今は暴力団みたいな組織犯罪って減少してて、今厄介なのはそういうキッチリとしたヒエラルキーができた大きな組織じゃなくて、組織化されていない「半グレ集団」らしい。
この人たちは言ってみれば一般人と暴力団の中間的なポジションで、暴対法の適用外になり、もうやりたい放題らしい。犯罪をするときだけ集まり、終わったら一般人の中に紛れてしまうという巧妙なやり方で、今後この戦法をイスラム国家が世界各国でとったら恐ろしいことになる。
思想や信条は心の中の問題で外見に表れないから、空港で止めるわけにもいかない。そうなると、やっぱり『フェアゲーム』みたいにスパイの人が地道に、こいつはイスラム国家の構成員だとかデータベースを作っていくしかないのだろう。
不思議なのはスノーデンさんとかが言ってたように、アメリカって世界中のネットを覗くことができるんだから、ネットを駆使しているテロ組織は逆に情報を把握しやすいんじゃないかって思うのだけど、どうなんだろう?それともシールドみたいにすでにCIAもNSAもハイルヒドラに乗っ取られているのだろうか??
あれれ?なんか全然『猿の惑星』の話ししてないぞ・・・(^_^;)まあ、だからいいサルばかりじゃないけど悪いサルばかりでもないってことだよ。
しかしアメリカってこういう人種問題みたいなテーマを真摯に作るよなあ。『エックスメン』なんかもそうだしね。
結局自分が理解できないものを排斥しようとする気持ちってどんな人間にも等しくある心の基盤だから、こういう映画をコンスタントに作り続けないといけないのかもなあ。
本当すっごい小さなことでも私たちはああでもない、こうするべきだとか演説しているもんね。多分それはそれでメタ的に見れば、実は重要な機能なんじゃないかって気もするけどね。対立があって初めて物事は進んでいく感じもするからなあ。
バベルの塔では人の言葉をばらばらにしたけど、案外現実は逆で、みんなが同じ考えをしていて分かり合える状態よりは、なかなか分かり合えず葛藤していたほうが社会を動かすエネルギーが生まれるのかもな。『デザーテッドアイランド』の完全な平和を得た存在も、緩やかに滅んじゃったしな。
まあ、んなこと言っても、私たちはメタな存在じゃないから、何かしらの対立には巻き込まれちゃうんだけどね(そこがオタク気質の奴の限界であり、悲しい現実である)。重要なのは、その時どういう判断を主体的に行うかだよね。
與那覇潤さんは強い勢力に出会ったら、そいつらを徹底的におだてて、持ち上げて、で、その後で、彼らの建前や理想を持ち出して「素晴らしいあなたがたなら、当然自分たちが打ち立てた理想も守ってくれますよね?」みたいな懐柔をするべきとか言ってたけど、私はその勢力の言い分を全面肯定した時点で奴隷への道な気がするけどな。一度下手に出た上で、そんな皮肉めいたことを言ったら絶対殺されると思うけれど。
イスラム国家だって、そもそもイスラム教ってほかの民族や価値観に寛容な宗教だからね。でもそんなこと、あんな怖い人たちに言っても射殺されちゃうリスクの方が大きくないか?
まあひとつの駆け引きとしては時と場合によっては有効かもしれないけれど。
でも本当に必要なのはリアルで価値観の異なる勢力にそういう交渉を試みることができる勇気だと思うんだ。人間側のマルコムは、なによりそういった勇気があったからシーザーに認められたんじゃなかろうか。ロジック云々じゃなくてね。
シーザーは古代ローマの人だけど、古代ギリシャには4元徳っていうのがあって、勇気は向こう見ずと臆病の中庸であるから尊いとか言ってるんだよね。
自分は、もう、セデックバレの時代の台湾にすら行く勇気がないからね。なによりセデック族もエイプも、勇気のない腰抜けには最大の軽蔑を贈りそうなコミュニティなのが怖いよ。
エイプは強い枝に群がる。
エイプは全てにおいて人間に勝ると思っていた。だが我々も人間と同じだ。
前作はマイクル・クライトンの『NEXT』か!?と勘違いしてしまうほどの医学スリラーだったけど、今回はお猿軍団の進化(=擬人化)が進んだことで、類人猿の恐怖というよりは、お馴染みの猿の惑星シリーズのテイストに戻って安心して見れる・・・というか冒頭の猿インフルと医者猿がマスクしているシーンで爆笑w「あ、これ、つの丸先生往年の名作モンモンモンの世界を実写映画化してんだ」と。原崎山おさる軍団VS人間じゃねーかってw
ジャンプの編集者が言ってたけれど、『モンモンモン』のおさるってほとんど人間と一緒だからねwそうなると人間とコミュニケーションもできるし、和解の可能性もあるから、前作にあったような、種族の絶望的断絶の恐怖はあまり感じない。
だいたい、これくらいの断絶は人間同士でも今なおあるし、なにより『セデック・バレ』の台湾人の方がよっぽど分かり合えなさそうで怖い!
そもそもこのシリーズって、類人猿を自然科学的に描いた作品というよりは、大戦中に日本軍の捕虜収容所に捕まっちゃった人の悲惨な思い出話を聞いた作者さんが、野蛮で残酷な日本人のイメージをおさるにして描いた、なかなか人種差別的な問題を含む社会派SFで、そうなってくると当時の白人の人が黄色人種に対してどういう感情を持っていたか興味深い。
多分、スーサイドアタックとかを空母に繰り出してくる日本軍に対して、絶望的な分かり合えなさや恐怖を感じていたに違いない。あの自爆攻撃はなんか薬か何かをやらせて正常な判断能力を奪わせた上でやってたんじゃないか?とか考えていたらしいし。
もちろん今は世界大戦なんかはやってないけれど、イスラム国家っていう、なにやら金回りの良さそうな過激派テロ組織がネットの力でにわかにできちゃっておっかないし、そういった恐ろしい対立勢力とどうやって和解の道を探すかが今後の国際社会にとって重要になってくるに違いない。
だいたい、この映画もうまく描いていたけれど、人間VSエイプなんていう単純な対立構造ならまだ「全面戦争だ~!」とかも(善し悪しは別として)選択肢として有効な気もするけれど、現代の世界はもっと複雑で多極化しているからなかなか難しい。
なにしろ、イスラム国家って国籍問わずいろんな人が同調しているらしいから、欧米VS中東みたいに戦えばいいってもんじゃないもんね。
この前の『キャプテン・アメリカ』じゃないけれど、自軍の内部にも敵が混ざっているかもしれない。そんなモザイク状の乱戦状態で相手陣営を殲滅するような作戦なんて現実問題として可能なのか?って言う。
今までは国民国家っていうのがあって、その枠組みで戦争をしていたわけで、まあ冷戦だってイデオロギーの戦いなんだろうけれど、国民国家の連合軍同士(東西陣営)の戦いと考えれば、その延長線上なわけで。
でもイスラム国家ってなんなんだっていう。911を起こしたアルカイダですらテロのフランチャイズ経営とか言われていたけど、フェイスブックで離合集散を繰り返すような「集団」(もはや組織と言えるのか?)をどう相手にすればいいんだっていう。
溝口敦さんによれば、日本でも今は暴力団みたいな組織犯罪って減少してて、今厄介なのはそういうキッチリとしたヒエラルキーができた大きな組織じゃなくて、組織化されていない「半グレ集団」らしい。
この人たちは言ってみれば一般人と暴力団の中間的なポジションで、暴対法の適用外になり、もうやりたい放題らしい。犯罪をするときだけ集まり、終わったら一般人の中に紛れてしまうという巧妙なやり方で、今後この戦法をイスラム国家が世界各国でとったら恐ろしいことになる。
思想や信条は心の中の問題で外見に表れないから、空港で止めるわけにもいかない。そうなると、やっぱり『フェアゲーム』みたいにスパイの人が地道に、こいつはイスラム国家の構成員だとかデータベースを作っていくしかないのだろう。
不思議なのはスノーデンさんとかが言ってたように、アメリカって世界中のネットを覗くことができるんだから、ネットを駆使しているテロ組織は逆に情報を把握しやすいんじゃないかって思うのだけど、どうなんだろう?それともシールドみたいにすでにCIAもNSAもハイルヒドラに乗っ取られているのだろうか??
あれれ?なんか全然『猿の惑星』の話ししてないぞ・・・(^_^;)まあ、だからいいサルばかりじゃないけど悪いサルばかりでもないってことだよ。
しかしアメリカってこういう人種問題みたいなテーマを真摯に作るよなあ。『エックスメン』なんかもそうだしね。
結局自分が理解できないものを排斥しようとする気持ちってどんな人間にも等しくある心の基盤だから、こういう映画をコンスタントに作り続けないといけないのかもなあ。
本当すっごい小さなことでも私たちはああでもない、こうするべきだとか演説しているもんね。多分それはそれでメタ的に見れば、実は重要な機能なんじゃないかって気もするけどね。対立があって初めて物事は進んでいく感じもするからなあ。
バベルの塔では人の言葉をばらばらにしたけど、案外現実は逆で、みんなが同じ考えをしていて分かり合える状態よりは、なかなか分かり合えず葛藤していたほうが社会を動かすエネルギーが生まれるのかもな。『デザーテッドアイランド』の完全な平和を得た存在も、緩やかに滅んじゃったしな。
まあ、んなこと言っても、私たちはメタな存在じゃないから、何かしらの対立には巻き込まれちゃうんだけどね(そこがオタク気質の奴の限界であり、悲しい現実である)。重要なのは、その時どういう判断を主体的に行うかだよね。
與那覇潤さんは強い勢力に出会ったら、そいつらを徹底的におだてて、持ち上げて、で、その後で、彼らの建前や理想を持ち出して「素晴らしいあなたがたなら、当然自分たちが打ち立てた理想も守ってくれますよね?」みたいな懐柔をするべきとか言ってたけど、私はその勢力の言い分を全面肯定した時点で奴隷への道な気がするけどな。一度下手に出た上で、そんな皮肉めいたことを言ったら絶対殺されると思うけれど。
イスラム国家だって、そもそもイスラム教ってほかの民族や価値観に寛容な宗教だからね。でもそんなこと、あんな怖い人たちに言っても射殺されちゃうリスクの方が大きくないか?
まあひとつの駆け引きとしては時と場合によっては有効かもしれないけれど。
でも本当に必要なのはリアルで価値観の異なる勢力にそういう交渉を試みることができる勇気だと思うんだ。人間側のマルコムは、なによりそういった勇気があったからシーザーに認められたんじゃなかろうか。ロジック云々じゃなくてね。
シーザーは古代ローマの人だけど、古代ギリシャには4元徳っていうのがあって、勇気は向こう見ずと臆病の中庸であるから尊いとか言ってるんだよね。
自分は、もう、セデックバレの時代の台湾にすら行く勇気がないからね。なによりセデック族もエイプも、勇気のない腰抜けには最大の軽蔑を贈りそうなコミュニティなのが怖いよ。
エイプは強い枝に群がる。
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