中間種が現在存在しない理由

 ここまで言わなきゃ分からんのか・・・?

 『進化の存在証明』第2章は家畜の交雑について。ここでのドーキンスは第1章とはうって変わって非常に丁寧。というかよくもまあ根気強く、分岐分類学についての基礎中の基礎を説明できるなあって感じです。
 これってはっきりいって小学校高学年でも理解できることなのに、やっぱり問題なのは頭ガチガチの創造論を支持する大人なのかな?
 とにかく算数で言えば、第2章の内容は掛け算99レベルで入門編です。この内容は私の著作(『ソニックブレイド』に出てくる「適応プログラム」や『優等生学』に出てくるウーマンジェネティック社の「天才児発生ビジネス」)でもとりあげたので、改めてここでいろいろ書くつもりはありません。強いて言うなら「バイオロジー」ですね。

 でもひとつだけ言うならば「進化でキリンの首が長くなったなら、首の短いキリンと、首が長いキリンの中間の動物がいるはずだ」という主張の答えについて書き留めておこうと思います。
 結論をいうならば「そのような中間種は“現在”存在しません」。しかしかつては存在しした(首が中くらいのキリンの化石は見つかっていませんが)。中間種は今はキリンとオカピになっちゃっていないってことです。
 こんな例えはどうでしょうか?今のガソリン式自動車のそもそもの元祖は、ドイツのベンツが1885年に開発した、ガソリンエンジンを取り付けた三輪車なのですが、このクラシックカーの構造を基礎として今日の様々なタイプの種類の自動車が生まれることになります。
 しかし現在トヨタと日産とホンダとフォードとGMなどをつなぐ“中間的な自動車”(ベンツのガソリンエンジン付き三輪車)は存在しません(博物館にはあるのかな?でもあれが公道を走ってるところは見たことないですよね?)。

 それと同じく、ヒトとチンパンジーの基礎となった動物も確かに“かつては”存在していたのです。ドーキンスが「まったくイライラするぜ!」と言った「ヒトがチンパンジーから進化したのなら、なんでまだチンパンジーがいるの?」という、たわけた反論も「そもそもヒトはチンパンジーから進化してない!親(祖先)が一緒なだけ!」で終わります。問いの前提からおかしかったんです。
 
 どんな動物でも、化石になって現代にその痕跡が残る確率はとても低く、現在のキリンやオカピのちょうど分岐点にいる動物の化石は見つかっていませんが、犬と猫の共通の祖先(ミアキス)は発見されています。
 ダーウィンの進化論の追い風となった、ドイツの「始祖鳥」は鳥と爬虫類を結ぶ中間の動物として有名ですが、あれはどうやら分岐点にちょうどいた動物ではなくて、恐竜の一種と言う話も最近ではあります。
 というか恐竜と鳥の区別が最近はかなり危うい(恐竜の種類によってはほとんど鳥でどっちだか分らない)というのも、進化がグラデーションのように徐々に変わっていったことを証明する強力な証拠なんだと思います。
 ティラノサウルスとニワトリのDNAってかなり近いらしいですからね。

面白さの犠牲にされる真実

 今日は久々に夏目房之介さんの『マンガ学への挑戦』の引用から、漫画で書かれている情報はどれだけ正確かを論じてみます。

 夏目さん曰く、かつて「読み捨ての娯楽だったマンガ、あるいは子供だましにすぎない漫画という文脈から、この国の社会生活に根差し、抜き難い影響を人の人生にも文化にも与えるメディアとして一定の認知をされるようになった(『マンガ学への挑戦』30ページ)」ということで、確かにマンガ大好き男K氏などをみていると、ある種の人生哲学のようなものを“本気で”漫画から学んでいて「そこまで漫画って人に影響を与えるんかい」と思う事があります。
 でも漫画の送り手は、全てじゃないだろうけど、まずは「読者を楽しませたい」という思いを優先して仕事をしているわけで、それ以外は言葉悪いですけど「けっこう適当」だと思うんですよ。
 特に少年漫画なんて「いかにハッタリをかますか」なんで、書いてある内容をそのまま鵜呑みにしないで、純粋に娯楽として楽しんでほしいな、と思うわけです。

 そもそも人生哲学ってマンガだけじゃなく、それこそ哲学書で学べるわけでもなく(あれも私が思うに知的娯楽にすぎません)、自身の経験から得るものが大きいし、そういう経験をして形成される想いと照らし合わせた上で、漫画で描かれるキャラクターの哲学や信念に「共感」すればいいんじゃないかと思うわけです。
 K氏はこの前「マンガには本当にいろいろ教えられるわ~」とか言ってたけど、私が見た限りK氏はフィクションの娯楽よりずっと尊い経験を現実に積み重ねていて、そこから学んだ教訓がマンガにそっくり描いてあって「共感」しているんじゃないかな?と。それは嬉しいですからね。「うん。俺もそう思う」と。
 だから漫画を人生の教科書に、まあ、してもいいけど、大体作り話だから、あまり実生活では役に立たないよって感じです。

 マンガにしろ、他のどんな本でも言えることですけど、やはりメディアリテラシーって結構大切で、特に漫画や映画などの娯楽作品は、観客を楽しませるために、事実を犠牲にして面白さを取ることが往々にしてあるので、真に受けない方がいいと思います。
 マンガで出てくる「もっともらしいウンチク」もやはり、もっとも“らしい”のであって、正確であるとは限らない。そもそも漫画(『ゴーマニズム宣言』等を除く)には情報源のソース、「参考文献欄」が存在しないんです!これは前から不思議だったけど、まあ眉つばってことです。
 私だって、漫画を面白くするために(私は事実をあくまでふまえた上での)めちゃくちゃなウソを描きます。例えば『古代生物オパ』でオパは史上最弱最低の生物というキャラ設定ですが、実際のオパビニアはアノマロカリスと分類上近縁な由緒正しきハンターですからね(体長8センチだけど…)。
 逆にK氏だって、すごい幕末に詳しいから、私が三谷幸喜さんのドラマ『竜馬におまかせ!』を観て「竜馬と近藤勇とかって仲良し?」って聞いたら「田代、おそらく彼らは思想も違うし面識もないと思うぞ」と史実の情報を教えてくれました。
 リチャード・ドーキンスによれば「恐竜と人類は共存していた」と考える人は、情けないことに先進国イギリスで多く、その原因がテレビアニメ『フリント・ストーン』だというから、フィクションが人に与える影響は本当に大きいと思います(ちなみにこの問題をもっとも正確に答えられた人の割合が多い国はスウェーデンで、87%の人が間違っていると回答)。

 結論:漫画に描いてある情報を本気にしない方がいい。それを本気にするくらいなら、まだ学校の教科書を本気にした方がいい。

『進化の存在証明』

 これ原題の『THE GREATEST SHOW ON EARTH(すごすぎる地球のショー)』より邦題『進化の存在証明』のほうが確かに内容にあってますね。
 とりあえず昨日短い第1章を読みました。

 いや~ぶちギレとるじゃないですか、ドーキンスさん。

 確かにスティーブン・J・グールドと双璧をなすアメリカでもっとも人気知名度のある生物学者ですが、文面の印象は大きく違いますね。
 ここまで喧嘩腰の文章も『ゴーマニズム宣言』以来ですよ。副題もつけちゃってこの本のタイトルは『進化の存在証明―怒りのドーキンス―』で決まりですね!

 これを読むに進化論を取り巻く状況は日本とアメリカでは大きく違う事が解ります。それは主に教育現場においてなのですが、日本もアメリカも進化論をそこまで深く教えないのは同じだと思います。
 私は、中学校の教育実習で理科の授業を観察したのですが、あの教え方じゃあ教師の方だって進化を正確に理解しているかどうか怪しいし、子どもにしたって『ポケットモンスター』などの悪影響で進化を誤解しているような気もします(今はそうでもない?)。
 まあ、その点で言えば日本もアメリカも同じなのですが、大きく違う点が進化論を否定する抵抗勢力が存在すると言うこと。
 それが創造論者、いわゆるインテリジェントデザイン論なのですが、私が思うにアメリカだって信仰の自由があるのだから、キリスト教信者の人が創造論を信じるのは別にいいと思うんですよ。しかし「そんな甘い考えは悪しき価値相対主義だ!」とドーキンスは声高にそのような意見もボロッカスに批判します。

 これを読んで、私は進化論を信じてはいるものの「すごいな~宗教に徹底的にケンカ売るなんて、いくらなんでも飛ばし過ぎだろドーキンス・・・!」と思ったのですが、この過激なドーキンスの主張の理由は、おそらく進化論支持者が大人しいと、創造論主義者がアメリカから進化論の正当性を駆逐するほど、創造論の拡大運動を進めているからなんじゃないか?と思うわけです。
 つまりこれは科学の一大危機、進化論VS創造論の戦争であって、その戦いにおいてアメリカは日本より科学雑誌が多いんじゃないかな(啓蒙しなきゃ敵にやられちゃうから)と改めて竹内薫先生の話を思い出しました。

 世論調査は、あらゆる生物が6000年前のたった一週間に出現したと信じる創造論者が多いことを示している。

 この本はそんな一文から始まります。

 「進化はあくまでも“論”、仮説であって真実ではない。大体実際に実験や観察ができないじゃないか」という批判に対して、ドーキンスは人間の先入観によって客観的な観察だってやすやすと崩壊することを、ダニエル・サイモンズ教授の心理実験によって説明します。
 この実験は、まあ、よくあるっちゃよくある奴で、一言で言えば少し前に流行った「アハ体験」です。その映像をずっと見せているのに、その映像にあるものに気付けない…
 サイモンズ教授の実験では、あるバスケットボールのビデオを被験者に見せるのですが、「映像中に何回パスが回ったか調べてください」と課題があらかじめ与えられます。
 そして被験者は一生懸命パスを追うのですが、ビデオが終わったら「では、このビデオにゴリラが映っていたのに気づいた人はいますか?」という質問をすると、バスケットプレーヤーの輪の真ん中に堂々といて、胸を挑発的に叩いていたゴリラに気付いた人はほとんどいなかったのだと言います。
 この話は勿論「進化論は実験はできない(長い時間がかかる)から真実だと言うのは言いすぎ」という反論に対する対応策に違いありません。

 つまり、時に、間接的な証拠に導き出される科学的推論は、直接的な観察にも勝る!と言う事であり、確かに進化による変化のほとんどは、ゆっくりすぎて一個人の目撃観察によっては確認できませんが、大陸移動説と同じく、それが起きた結果から導き出される「推測」(もしくは一つの仮説)が、後に「事実」に昇格することだって充分あり得ると言う事です。

 ドーキンスは「これから進化が疑いようのない事実であることを実証していくぜ、この野郎(かなり誇張してます)」と、自信満々のご様子。続きも楽しみです。

やはり1&2パックは存在した

 コラムの第二回でとりあげた映画『ナイトミュージアム』シリーズ。私はDVDを1と2のツインパックが出るとふんで、それが出たら購入しようと思っていたのですが、『2』のDVDとブルーレイ発売後もなかなかそういったものが店頭で見つからなかったので、そんな企画はないのか・・・と思っていたら、今日ついにナイトミュージアム1&2パックを発見!しかも20%オフの値段で買えました。これでdescf氏とナイトミュージアムが楽しめるぞ。

 それと今日は「ウチは漫画なんて売らねえ!」という硬派な本屋ブックマンズアカデミーでリチャード・ドーキンスの『進化の存在証明』を購入。
 この人の本を読むのは中学生以来。あの時も正確に理解していたかどうか怪しいし、何より読んだ内容も「生物は遺伝子を運ぶ機械にすぎない・・・」っていうテーゼ以外は忘れちゃっているので、いい機会なんで佐倉統さんが大好きなドーキンスに浸ってみようと思います。
 なによりこの本600ページ近い厚さだと言うのに価格が驚異の2800円!お得!あまり人気なくて部数を刷れない本は値段が高くなりがちなのですが、そこは有名人のリチャード・ドーキンス。早川書房も「けっこう売れる」とふんでの、この値段なのでしょう。この人の文章けっこう読みやすくて笑えるし、これは買いの本でしょう。

 追記:ブックマンズアカデミーは今は漫画を売っちゃっているらしい。うう・・・サブカルジャパン、情けねえ。

大きな物語と小さな物語に優劣関係はない

 コラムでポストモダン思想をとりあげたんですけど、大きな物語の視点よりも小さな物語の視点を現代人は持っている事は私も同感なんですけど、別に私は小さな物語を否定はしていません。
 ただ「大きな物語だって同じくらい面白いよ」ってだけです。だいたい国家や社会のことを考えても、日常の些細なことを楽しんでも、同じ一個人が考えることには限度があるし、やっていることはほとんど同じだと思うんです。例えるならば、肉も美味しいけど、魚も美味しいよっていう話なわけで。

 で、大きな物語を持つとなんかいいことあるのかな?って考えてみたんですけど、想像力は豊かになるんじゃないかと思うわけです。
 小さな物語は日常を感覚的に生きてるだけでもいいけど、大きな物語はある程度の知識が必須だから、いわば知性を鍛えることと同じだと仮定すると、小さな物語=感性、大きな物語=知性と(かなり強引に)定義できて、その二つの物語を極めることで想像力に昇華するんじゃないかと。勿論これはH・リードの芸術論の引用です。

 さらに「想像力って別に想像性を使う仕事につかなきゃいらないじゃん」て言う人もいるかもしれませんが、想像力ってけっこう人生を円滑に進める上で必要だと思います。
 いろんな視点で物事を考えられるから、人にやさしくもなれると思うし。でもそれには相手も想像力や広い視野が必要になるんですけど…

 この前「視野が広くても別にいいことないですし」とか書きましたけど、確かに自分にとっては虚しくなるだけであまりいいことないけど、人に対しては大切なんじゃないかと思いました。
 私は人に対するやさしさって、ある種の冷静さなんじゃないかと思っているので、客観的な知性ってやっぱり重要だと思います。
 一見いい子で大人しい子が、カッとなって人にとんでもないことやって「全然そんな風には見えなかった」っていう話も、視野の拡大不足なんじゃないかと。

 まとめるならば、私は「サブカル」を否定しませんが、「サブカル“だけ”」は問題なんじゃないかと考えているのだと思います。
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