夏休み2017

 イエーイめっちゃホリデイが終わった・・・

 今年は例年になく短く感じたなあ。おそらく、研修や講習や試験やスクーリングなどでスケジュールがデッドロックだったからだと思われる。
 しかしノルマの国語のレポート×20や、英語の試験×4、あとちょっとだけお絵かきもできて、まあ最善は尽くした。
 夏休み中にはこしさんなどいつものメンバーにも会えたし、また高校の頃の同士Y氏にも久しぶりに再会できたしね。Y氏はついに、高校時代の交換イラストノートをウェブで公開する大プロジェクトをやるらしいんだけど、高校の頃から絵心があった漫画少年のY氏とは違って、私は漫画で人物キャラをちゃんと出したのは高校からで、けっこう修行時代って感じで恥ずかしい(超下手)。
 ただ、この前自宅でY氏と400冊近くあるノートを読み返してて思ったのは、高校の頃でも動物と中年のおじさんの絵は上手いね。やっぱり好きなものはうまいんだろうなw

 あと、理科の授業の準備してたら、退職された高校の物理の先生の凄いサイト見つけちゃって、自分のサイトが3流、4流だっていうのをつくづく感じたね。攻殻機動隊フロッグ・イン・ザ・ウェルよ。
 この先生曰く、自分の数学力の無さを痛感して、研究者の道を断念したらしいのですが、このレベルで通用しないとは理学部っていうのはどんだけの数学バカの世界なんだっていうね。
 むしろ、この先生の性格上、十分研究者は実力的にやれたんだけど、自分に厳しくてあえて理科教育の道に行ったとかありそうだよな。
 で、専門書は難しいので、このサイトでは途中の式もわかりやすくちゃんと書いたとか言ってるんだけど、その途中の式からしてかなり数学に強くないと嫌になっちゃうっていうね。
 時間があったらじっくりゆっくり読んでいきたいんだけど、特にキャベンディッシュのねじり天秤で重力定数出した実験の詳しい内容とか、モルやアボガドロ数を出すための質量分析の仕方についていくつかのパターンを紹介してくれたり(アルファ崩壊利用するとか)、他のサイトや専門書籍にはまずない嬉しい項目盛りだくさんで、授業や教科書でスルーされがちな原理の説明に不満を感じている人はぜひ!っていうね。これでも自分にはかなり難しいけどね。
 ただ、どんなに昔の偉人の業績でも一次論文にあたってから説明してくれているのはかなりの偉業だと思う。私、自然科学系だと『種の起源』くらいしか読んだことないもん。

 さらに、今後授業では脊椎動物の分類をやるんだけど、そのためってわけじゃないんだけど爬虫類代表ってことでトカゲを捕獲してアボットと名づけて飼育することにしました。
 本当は、中学生にほとんど認知されていないニホンヤモリがこの前家の中に入ってきてさ、こいつを捕まえたくて水槽を買ったんだけど、まんまと取り逃がし(かなり素早い)、とりあえずアボットを入れとくか、みたいな。
 ニホンヤモリが無事捕まった際にはコステロって付けよう。独り身がペットを飼うともう破滅って言うけど、まあ仕事の一環としてってことでよろしく。

 とりあえず、この単元って進化とかもガッツリやるところなので、ポケモンカードバトル的な導入にすることにしました(去年の数学といいカードゲームをするが好きな私)。本当はチョコエッグの海洋堂のミニフィギュアを使う予定だったんだけど、分類的に広く持ってなくて断念、学研の生き物カードにした。
 まあ、一言で言えば、キャロル・キサク・ヨーンごっこです。

1 単元名 動物の生活と生物の変遷
  題材名 分類学者になろう!     

2 指導観(題材設定の理由)(主題設定の理由)
 本単元は、脊椎動物を中心に体の構造や機能を学習する単元であり、また単元後半では、生物がどのような歴史をたどって変化していったのか、その変遷やメカニズムを学習する。
 本時では、脊椎動物の分類の導入として、脊椎動物・無脊椎動物、さらに植物も含めた生物を、グループ活動を通して、生徒に実際に仲間分けさせ、さらに区別したポイントを班ごとに発表させる。
 生徒は一年次に植物の分類を学習しているが、一般的に、教科書や授業で取り上げていない植物種が出題されると、植物の分類群を見分けるポイントの確信が揺らぎ、正しい解答を導き出せないという点がある。これは、授業で習った知識を個別的な事例に当てはめて実際に活用する力が不十分であることを示している。
 このような実態を踏まえて、まずは個別的・具体的な複数の事項から、共通点を見いだしそれを一般的規則として抽象化する帰納法の思考方法に触れるきっかけを授業で提供したいと考え、本題材を設定した。
 また、この活動をしながら生命の多様性についても理解を深めたい。

3 本時の指導
(1)ねらい(目標)自分なりの基準を見つけて生物を分類してみよう

 (2)展開
1本時の「めあて」を確認する。(5分:一斉)

指導上の留意点
・一年次に植物の分類をしたことを振り返らせる。
・教科書125ページのイラストを見て地球上には様々な動物がいることを確認させる。

評価基準
・一年次に学んだ内容を振り返ることができている。[観察]

2生物のカードを一枚ずつ提示し、その生物の特徴について考える(15分:一斉&個人)

・ワークシートを配布し、各カードの生き物の体の特徴や生息している環境について書き留められるようにする。
・ワークシートの例「なまえ」「すみか」「からだのとくちょう」「のうりょく」「くらし」

・生き物の外形的特徴から、身体構造や生息場所について自分なりに推測している。
[作業用紙]

3生物のイラストだけが描かれたカードのセットを班ごとに配布しグループ分けする。
(15分:班)

・どういう基準で分類したのかが明確に説明できるようにすることを伝え、班員同士の議論が活発になるように促す。
・また、生物の分け方は基本的に学者でも恣意的に行っていることを説明し、気軽に行えるようにさせる。

・班員と協力して積極的に活動に参加している。[観察]

4どういう風にグループ分けをしたか、またその分類基準について班ごとに発表する。
(15分:班)

・上手く説明できない班、また生徒同士の議論の活性化のための適切な言葉掛けをする。

・分類の基準を明確に定めている。また適切に説明できている。 [用紙][観察] 

(3)評価 自分なりの基準を見つけて生物を分類することができる。

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アボット。

ワンダーウーマン

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 『肉体的快楽論』全12巻で読んだわ。

 うお~これが映画の記事の200本目になったか~
 というか、簡単な感想はほかの記事と一緒にあげちゃったりしてるから、実際は200本以上記事はあるんだけどね。
 ジェンダーとかセックスとかそういったバルカン半島的な一触即発イデオロギーを取り扱っているこの作品を、メンズデーの割引料金で見たオレはなかなか業が深いぜっていう。

 アメコミ詳しい人には、まさにガウタマ・シッダルタに説法なんだけど、アメコミにはDCとマーベルっていうツインタワーがありましての、DCがスーパーマンとかバットマン、マーベルがスパイダーマンとかキャプテンアメリカがキラーコンテンツで、さらに二社とも同じような超人チームがあるんだよ。
 マーベルはおなじみアベンジャーズで、DCはジャスティスリーグオブなんちゃら。で、構成メンバーのキャラもかぶってて、金持ち担当とか、フィジカル担当とか、宇宙担当とか、いるわけよ。
 で、どうやら神話担当っていうのもあるっぽくてさ。マーベルが北欧神話なら、こっちはギリシャ神話で行くぜ!みたいな感じなのが、このワンダーウーマン。
 だから神話の世界の神様がちょっと人間界に観光みたいなあらすじは『マイティ・ソー』と丸かぶりなんだけど、特筆すべきは、主人公がさ、女性なんだよ。アマゾネスなんだよ。お母さんがヒッポリト星人なんだよ。うそだけど。
 だから、ソーのテイストがちょっとシェイクスピア的というかオペラなら、こっちは『ローマの休日』だぜっていう。
 でも、そんな古い映画に遡らなくても、これってすごい『モアナと伝説の海』に似てるよなって。モアナと『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の20世紀の戦争映画テイストを組み合わせれば、この映画になるよなっていう。

 さて、戦う女性が主人公っていうのをアメリカがやるとさ、やっぱりジェンダーフリーとかのテーマは絶対あるわけでさ。
 今読んでて面白い本に『なぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす』ってのがあってさ。ちょっと高いんだけど、関心のあるテーマだから教員免許更新講習のときに大学で買ってきちゃったんだけどさ。
 この本、教育に世界の国々がどれだけ税金を投入しているかを、統計学を使って、財政面やら意識面やらで国際比較してるんだけどさ、この中で面白かったのが、アメリカって市場原理主義で政府の国民生活への干渉の範囲がすごい限定されていて、自由だ競争だ格差だ自己責任だっていう世知辛い社会構造にはなっているんだけど、じゃあ本当に何でもありなのかっていうと、ほかのどんな国(あの北欧よりも)よりも最も締め付けの厳しいところがあって、それが差別問題なんだよ。
 女性や人種、性的マイノリティなどへの差別是正に関する国民の関心・意欲・態度が、日本とは比較にならないほど高くてさ、だから今トランプさん大変なことになっちゃってるんだけどさ。
 つまり、そういう国で戦闘美少女なんかやるのは、サブカルだろうと、やっぱり何らかの社会的なステートメントとして受け取られてしまうリスクがあるわけで、これは、確かパキPさんに貸してもらった『スーパーゴッズ』で読んだと思うんだけど、この『ワンダーウーマン』ってさ、作品そのものよりも、これを書いた原作者の経歴が面白くて、確か社会学だか心理学の学者さんなんだよね。
 で社会的、心理的に、奴隷のように扱われていた女性の解放を学術的観点からやってるから、一般的なアメコミヒーローがメキシコのレスラーみたいに副面かぶっているのとは対極的に、彼女は露出するんだよ。この、人工知能だ、ディープラーニングだ、の2017年であえてのビキニ鎧なんだよ。
 原始女性は太陽だった、なんだよ。人は女に生まれるのではない女になるのだ、なんだよ。ありの~ままの~私見せるのよ~、なんだよ。

 で、何が言いたいかというと、『ズートピア』みたいにイデオロギーが満載だと思ってちょっと構えて観に行ったんだよ。私も一応、男の子だからね。そしたら『ローマの休日』だったっていうね。うお、サラエボ事件起きなかった!みたいな。
 だから、この企画を女性の監督に回したのは英断だと思うよ。こういう社会的な問題って、もう当事者だったり被差別の立場の人が絶対強いし、さらにそういう人たちの中でも問題に対する見解が違ったり、程度がグラデーションになってたりするじゃん。
 こういう問題の厄介なところは、そういう人たちを、ひとくくりにしてしまうところであって、これは差別してる側もされる側も、ぼく達○○芸人です!みたいにひとくくりにしてるのは一緒で、まあくくらないと政治的な効果がないっていう現実問題もあるんだろうけど、難しい。
 北野武さんが「おいら韓国人の友達たくさんいるけどよ、韓国って構えないで、その人その人で付き合えばすごいいいやつだぜ」とか言ってて、そうだよな、女性って言ったって人類の半分含まれるわけで、いい奴もやな奴もいるじゃんっていうね。外国人も障害者もみんなそうだろ。人によるっていう当たり前のところに着地するしかないんだよな。
 うまくコミュニケーションするには“くくらない”って大事なんだよ。難しんだけどさ。
 ほら、女性と付き合う時だって、「オレは女性を愛してるぜ」って口説かないじゃん。絶対ダメじゃん。水樹奈々じゃないけど、そこは「名前を呼んで」だろっていう。

 戦争は一人の悪者に責任を押し付けて終わるものじゃない。みんなに責任があるんだ。

 そういうことを、あの男代表のカーク船長は言いたかったんだろうけど、で、ちょっといい展開になるぞって思ったら、まさかのそのセリフを直後に覆す、戦争の責任を一人に押し付けられそうなイーブル登場でドラゴンボールドッカンバトル始まったからね。
 『マン・オブ・スティール』の時も思ったんだけど、DCって結局最後はこうなっちゃうから、興ざめなんだよな。人類の二軍感というか。やっぱり神様には感情移入できないじゃん。オレたちは神様じゃねえんだから。
 まあ、ギリシャ神話ってルネサンス的な解釈ではヒューマニズムで、神様は人間臭いところがあるから、感情移入できなくもないんだけど、そうなるとムカついてこない?
 軍神アレスとかの言い分って結局、親に「お前はなんでそんなバカなんだ」って言われてる感じでさ、それはてめーの子どもだからだろっていう。
 愛の戦士ワンダーウーマンも、アレスとたいがいなところがあってよ、あれじゃ愛のムチだとか言って生徒ぶん殴る体罰教師と一緒だよな。
 なんでみんな殺し合うの?ってお前が一番殺してるじゃんっていう。この前見た『スパイダーマン:ホームカミング』が不殺がモットーなヒーローだったから、余計でさ。神話のやつらはみんななにがしかのブーメラン持ってるよね。

 あと、最後に一言だけ言わせてくれ。この映画と全く同じ筋書きの回が水戸黄門にあります。水戸黄門は神話だったのである。神君家康公とか言うしな(^_^;)

 みんなは救えない。

講習メモ(素朴概念編)

 教育再生会議が贈る伝説の企画…それが教員免許更新講習!!ということでまた行ってきました。これって5コマ30時間も取らないと修了にならないんだけど、スケジュールがバッティングして1コマ取り逃したという・・・返せ、俺の6000円・・・!w

 今回は物理学の講習を選んだんだけど、物理の授業っていうのは力とか現象など目に見えないものを教えるので、学生は自分の主観や個人的経験、テレビCM、漫画などに基づく、誤った認識やストーリー(これを素朴概念という)を構築しがちで、しかもそれに固執する。
 にわかには信じられないが、大学の物理の先生、つまりその道のプロフェッショナルに対して、先生間違ってますよと平気でうそぶく大学生も少なくないという。
 権威を鵜呑みにしないといえば、かっこいいのだが、じゃあ白黒ハッキリつけようと物理を突き詰めて勉強することは当然しないので、結局放置、生半可な知識をツイッターなどに垂れ流すことになり、素人にとっては有害以外の何物でもない。
 本当、やめてくれって感じで、ほいで、自分くらいのレベルが見てもやっぱり間違っているところもあるんだけど、それを指摘しても彼らの自尊心に関わっているから、素直に受け入れないんだよな。で、なんかしばらくしたら時間が解決したのか、平気で意見すり替えてたりするからね。
 そういうのにうんざりしちゃったっていうのはあるよな。文責がないんだよ。でもSNSって発言の履歴が残るから、本当は最もそういうやりとりに注意しなきゃいけない場ではある。
 これは当然自分自身にも言えるから、一時期はSNSで学者さんとかと繋がれて楽しかったんだけど、専門的な話題はもっぱらブログに戻ったな。で、こういう場所のまとまった文章なんて、よほどのもの好きしか読まないから、やっぱり気が楽だっていうのはある。昔はテレビのディレクターさんとか読んでくれたことあったけどね。
 
 さて、以下の、平成教育委員会みたいな問題は、どれも非科学的な思い込みの素朴概念がしゃしゃりでがちな問題なんだけど、注目すべきは正解率で、この正解率は小学生でも、文系大学生でもなく、なんと理工学部の学生の正解率である。
 さらに、あの、日本の理系の最高学府と知られる京都大学においてもパーセンテージはほとんど変わらないという。いやいや、彼らはセンター試験や二次試験で物理をチョイスし、高得点をたたき出しているはずで、嘘だろってにわかに信じられないのだが、もう本当に受験の問題で点数を取るのだけに特化して、根本というか本質は深く考えていないってことなのだろうか。
 でも、これはちょっと安心したよ。高学歴大学生がちょっと身近になったというか。バカはオレだけじゃねえんだ、みたいな。
 これは結局、ヒトという種族に生まれた以上は陥りがちな現象なわけで、勉強ができようができなかろうがみんな同じ人間なんだねっていう。みんなみんな生きているんだ、友だちなんだっていう。

 ということで、現役理系大学生にレッツチャレンジ!※問題は群馬大学理工学部高橋学教授のレジュメによるものです。

参考文献:エドワード・F・レディッシュ著『科学をどう教えるか』、R.D.ナイト著『物理を教える』

Q1:国際宇宙ステーションの中の人や荷物が浮遊している様子はテレビ中継でお馴染みですが、その飛行高度は海面から数100km程度であり(実は大気圏内)、地球の半径6370kmと比べると、地球のすぐ近くを飛んでいることになります。つまり、国際宇宙ステーションの重力と大きさは、地上のそれと大差がないはずです。それなのに、ステーション内の物体が浮遊している理由はなぜでしょう?

 理系大学生の正解率:5%

Q2:二人の力持ちが両側から引っ張ってやっと切れるロープがあります。そのロープの一端を大木にくくりつけ、もう一端を力持ちが引っ張るとすると、ロープを切るのに何人の力持ちが必要でしょうか?

 理系大学生の正解率:60%

Q3:空気を抜いて真空にした室内で、1kgの鉄球、1kgのプラスチック球、1kgの羽毛布団、1gのガラス玉、1gの羽毛を床から1メートルの高さから回転運動しないように注意して同時に落下させます。どの順番で床に到着するでしょうか?そう判断した理由も簡潔に記述してください。

 理系大学生の正解率:60%

Q4:ガラス玉とコルク玉を入れた上で、水を満たし栓をしたペットボトルがあります。このペットボトルを横に倒し、地面と水平方向(※左から右に)にどんどん加速させます。加速している間、コルク玉とガラス玉はペットボトルの中のどの位置に移動するでしょうか?

 理系大学生の正解率:20%

Q5:一つの質量が47gの同一規格のドーナツ型の磁石を2個用意し、N極どうしが向かい合うようになめらかな支柱がついた秤(支柱をつけた状態で0gになるようにセットされてます)に載せたところ、上の磁石が宙に浮いた状態で静止した。この時、秤は何gをさしますか。そう判断した理由も簡潔に記述してください。なお、秤は磁力の影響で狂うことはないとします。

 理系大学生の正解率:60%

Q6:カーリングのストーンにロープをつけて、スケートリンクの氷上の杭につなげて回転運動をさせた。ストーンはしばらく等速円運動をしていたが、途中で突然ロープが切れてしまった。ロープが切れたあとのストーンの運動はどのようになるでしょうか?ストーンの軌跡を書いてください。また、そう判断した理由も簡潔に記述してください。

 理系大学生の正解率:40%

Q7:水平方向に時速10kmの等速度で動いている動く歩道に、Aくんが砲丸を持って乗っている。Aくんは直立不動で手を伸ばし、そっと砲丸を落とした。砲丸はどのように落下しますか。そう判断した理由も簡潔に記述してください。空気抵抗の影響は極めて小さいとします。

 理系大学生の正解率:60%

Q8:同一規格のガスボンベABを用意し、Aにはヘリウムをいれ、Bの中は真空にしました。ふたつのガスボンベをプールに入れるとどちらも水中に沈みました。このガスボンベを水中でも正常に作動する秤(プールのそこに固定されている)の上に載せると、AとBのどちらのガスボンベが重く表示されるでしょうか?そう判断した理由も簡潔に記述してください。

 理系大学生の正解率:35%

Q9:真空に保たれている室内で砲丸を斜め上方向に発射しました。発射装置から放たれ右上向きに上昇中の砲丸と、その後右下向きに下降中の砲丸にはそれぞれどのような力が働きますか?

 理系大学生の正解率:50%

Q10:半径と質量とが等しい、ふたつの金属球があります。二つの金属球はどちらも重心は球の中心ですが、一方は中空(空洞内は真空とする)、もう一方は中心まで均一に金属が詰まっています。この二つの金属球を特別な道具を使わずに正確に区別するにはどうすればいいでしょうか?

 理系大学生の正解率:10%

 慣性モーメントとか知らないとちょっと思いつかないQ10はともかくとして、Q1の正解率が一番低いのがすごい意外。
 自分は6番が理屈では知ってるんだけど、なんとなく素朴概念的に引っかかってしまう。コリオリとかも苦手。
 例えば、ハンマー投げは前にハンマーを飛ばすには室伏は真横で手を離さないとダメじゃんっていうのはわかるんだけど、講習で高橋教授が言ってたように、食べかけのピザのような4分の1が欠けた円を描くと、どうしてもそのまま円周をなぞって物体は回転運動を続けるって考えちゃうんだよね。
 これがピザのひと切れのように、もしくはショートケーキ一個のように、中心角が小さい扇形になると、そうでもなくなるんだよな。つまり、あとちょっとだと書き足したくなるというw
 この心理現象をうまく利用するのが美術とかアートでさ、例えば石膏デッサンとかも迫力出すために、ちょっとだけ支持体(紙面)から石膏像の頭頂部とかをはみ出させるんだよね。
 でも、その欠けた、本来、物理的にはどうやっても見えない部分を、人間ってなんとなしに続きがあるものだと思い込んで、イメージで補完しちゃうんだよね。
 漫画の人物の顔の寄りのコマでも、ぎゃああコイツ首が切断されてる!って読者は思わないもんね。そういう認識の部分と、自然科学の理論が真っ向からぶつかるっていうのが興味深いし、おっかないところでもある。
 自分は何年か前に、実験で実際に見せれば人は納得するとかここで書いた記憶があるんだけど、自体はそう単純なものではなかったのである。そこまでやっても(実際にその目で見せても)、人間というのは自分が見たいものしか見ていない可能性があるから、気をつけろよって叱咤激励されました(^_^;)

※簡単な答え
Q1:実はスカイダイビングと一緒でISSは自由落下しているから。
Q2:1人で切れる。
Q3:質量に差があっても同時に落としているのですべて同時に着地する。
Q4:密度の関係で、ガラス玉が左に、コルク玉が右に動く。
Q5:磁石二つ分の重さの94g。作用反作用の法則。
Q6:ロープが切れた点から円の接線方向に等速直線運動をする。
Q7:慣性が働くのでAくんが放した真下に落下する。
Q8:ヘリウムが入っている方のガスボンベA。
Q9:砲丸自体に推進装置はないので重力のみ。
Q10:二つの金属球を坂で転がす。よく回る方が金属が詰まっている方。

講習メモ(メダカ編)

 安倍さんが第一次政権時に打ち出した伝説の企画…それが教員免許更新講習!!ということで行ってきました。
 これでもわたくし、就職活動でメダカの飼育員を本気でやろうとしていたこともあり(※決して観賞魚に詳しいわけではない)、メダカについての講義を選択してきました。

ニコ・ティンバーゲン
トゲウオの信号刺激で知られる動物行動学者だが、彼は自然科学でたびたび起きる(今もツイッターで起きる)論点のずれた不毛な泥仕合に心を痛めていた。そこで自然界の問いに対する答え方には4つの種類があり、これを一緒くたにしてしまうことが原因だと考えた。

①至近要因
致命的に言葉がわかりづらいが、メカニズムの観点からの答え。
ホタルが光る理由は、ルシフェリンというタンパク質が酸化する際に光エネルギーが放出するため。

②究極要因
致命的に言葉がわかりづらいが、役割や利点の観点からの答え。
ホタルが光る理由は、オスとメスが出会うための同種間のコミュニケーション。
この観点が、一般的には最もウケがいいが、マニアを相手にするといろいろめんどくさいことになる。

③発達要因
ややわかりやすいが、発生、学習、獲得など後天的な観点からの答え。
ホタルが光る理由は、卵の時から光り続けているので、生まれた時から持っている。

④系統進化要因
ややわかりやすいが、進化の過程をふまえた先天的な観点からの答え。
ホタルが光る理由は、もともと昼行性の祖先から夜行性のタイプが生まれ、ある時光る形質を獲得したから。

メダカのうろこの観察実験
小学校では5年生で飼育、中学校では2年生でちょっとだけ観察に使用される魚類…メダカ。
中学校では血管を流れる赤血球の様子を調べるために、彼らは生きたままスライドガラスに乗せられるのだが、このたびメダカのプロによる正しい作法が公開されました。

メダカの静止方法
メダカをたもを使って捕獲し、麻酔薬の2‐フェノキシエタノール1500倍希釈溶液が入ったシャーレに放り込む。体力が少ないヒメダカは即寝ちゃうし、たくましいクロメダカも2分ほどで寝る。10分以上放置しちゃうと永眠してしまう。
麻酔薬がない場合は、変温動物のメダカは水温19℃以下で動かなくなるので、氷水で代用できる。
動かなくなったメダカは呼吸ができるように水で濡らしたガーゼやティッシュをえらの上にやさしくかけたあとに、スライドガラスに乗せる。

うろこの採取
うろこは動かなくなったメダカのうろこをピンセットで軽く逆なでするととれる。うろこは年輪状に大きくなるので、一個だけ観察すると指の指紋みたいに見える。
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うろこをいくらかはがした後は、傷がついているので、メチレンブルー溶液で消毒してあげる。ここにいれると、ほどなくしてメダカの意識も回復する。メチレンブルーは熱帯魚屋さんなどでよく売っているが1~2%の食塩水でも代用が効く。

クロメダカとヒメダカ
日本にいる一般的な野生種は広義にはクロメダカという。名前の通り、全体的に黒い。
哺乳類では黒色素胞という黒い色素細胞しか持っていないが、魚類は割とたくさんの色素細胞を持っており、メダカでは黒、黄、白、虹(バルールがなく乱反射できらきらする)の4種類の色素細胞を持っている。
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クロメダカが黒いのは、このうち黒色素胞の数が多いからである。
しかし、クロメダカの一部には黒い色素細胞をあまり持っていない個体がいる。彼らは黄色、オレンジに見えるのでヒメダカという。
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ヒメダカは劣性形質なので、近親交配になりがちで体が弱く、麻酔にも弱ければ、低酸素状態で真っ先にギブアップしてしまう。シャケのように飛び跳ねるクロメダカのたくましさと比較すると、本当にか弱い。
しかし、ヒメダカは色がきれいでレアキャラということから、江戸時代に西日本を中心に大量生産。劣性遺伝子同士をガンガン交配させて観賞魚ブームの一翼を担った。現在みられるヒメダカはこの時の子孫であると考えられている。
また、黄色色素もない個体をシロメダカ、突然変異で青くなった個体はアオメダカと呼ばれ、アオメダカはヨーロッパで愛好されているらしい。

クロメダカの遺伝子解析
クロメダカとヒメダカの体色にかかわる遺伝子(slc45a2)を比較する実験。
両者の尾びれを切断し三万円の専用のキットで採取したDNA1マイクロリットルをプラスチックのチューブに入れて、そこにさらにPCR反応液19マイクロリットルを加える。
このチューブを電動のバイブレーターで軽く撹拌、さらに遠心分離機で液をすべてチューブの底に落とす。
これをPCR用のサーマルサイクラーに入れて、95℃(3分)→95℃(30秒)→65℃(15秒)→72℃(15秒)→72℃(5分)の温度変化を35サイクル行う。
こうして特定の塩基配列のみ増幅されたDNAに蛍光色素を加え、1%アガロースゲルのスロットにクロメダカ(ただし遺伝子型は純系ホモ)、ヒメダカのDNAをマイクロピペッターで入れて、電気泳動を行う。
電気泳動では、塩基対=ベースペア(bp)の小さいDNAから順にゲルの中をたくさん泳いでいくので、これを踏まえると、ヒメダカの体色原因遺伝子は786bpで、クロメダカのそれ(910bp)よりも短いことがわかる。
よって、その分だけ黒色の色素を作る物質が働くコードの領域が狭いことになり、ヒメダカはクロメダカよりも黒くなりにくいことが遺伝子の面からもわかる。

PCR
ポリメラーゼ連鎖法。高温で働く酵素と、DNAは高温だとほどけるという性質、そしてDNAはチェーンが一本だけあれば、もう片方の塩基配列は確定するという塩基対ルールを利用することにより、温度のアップダウンのサイクルを与えるだけで、任意の塩基配列だけを大量にコピーすることができる。今回は35サイクルなので、2の35乗倍の塩基配列ができる。
シータス社のサーファー、キャリー・マリスが考案。

反応液の内訳は以下のとおり。
TaKaRa Taq HS:DNAを増やすための酵素。高温で働く。
10× PCR Buffer:反応調整剤。ペーハーや塩濃度を調整する。
dNTP Mixture:材料。たとえるならコピー紙。ATCGの化合物。
滅菌蒸留水:汚染対策。
プライマーForward&Reverse:複製エリアの指定をする合成オリゴヌクレオチド。短い一本鎖のDNAで、任意の配列を両端から攻める。
今回使ったプライマーは
Fが「5-GGA GCA GCM TCT GTG AGA ACA-3」
Rが「5-GGT CCT CTG ACA GCA GGG TC-3」
※MはAとCの混合塩基

体色変化のメカニズム
クロメダカはカメレオンのように周りの風景の色に合わせて体色を白っぽくしたり黒っぽくすることができる。しかもけっこう早くて1~2分で色が変わる。
例えば、白いカップと黒いカップにそれぞれクロメダカを一匹ずつ入れて、3分ほど経ったら、その二匹を同じ水槽に戻すと色の変化が一目瞭然となる。
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これは生理的な現象で、背中から受ける光の強さと、下から跳ね返る反射光の強さのギャップが大きいほど、メダカは周囲の景色は黒いと判断し、色を暗くする。
至近要因的に言うならば、反射光のギャップが大きいと交感神経が抑制され、ノルアドレナリンの分泌が止まり、また別ルートで脳下垂体から黒色素胞刺激ホルモンが出て、色素の拡散(黒ブチが広がる)が起こる。
反射光のギャップが小さいとこれの真逆のメカニズムで、色素の凝集(黒ブチが小さくなる)が起こる。また、この際にカリウムイオンが交感神経を刺激し、ノルアドレナリンの分泌を促すため、黒色素胞を持つうろこのサンプルにカリウムイオン溶液をスポイトで滴下しても、同じ現象が起こる。ただちょっと反応は鈍い。

カウンターシェーディング
魚は背中の色が暗く、おなかの色が白っぽいこと。捕食者の目を紛らわすための工夫。
上からは暗いほうが見づらいし、下からは白いほうが太陽の光に紛れてこれまた見づらい。
このカラーリングが本当に自然選択に効果があるのか、ある研究者がプールにカラフルなグッピーと地味なグッピーを入れてどっちが生き残るか、マイティグッピーバトルロイヤルをしたことがあるらしいが、貪欲なサギによってあっという間にどちらも全滅したらしい。水曜日のダウンタウンのVTR的なオチである。

国語科教育法覚え書き③

 ワン・モア・ソウセキ。

夏目漱石『こころ』の授業計画

学年:高校2年
時数:4時間

作者の紹介
明治~大正時代の作家。本名は夏目金之助。
金之助は、母親が年をとってから生んだ子で、それが原因か、幼い頃に里子に出されてしまう。しかし、里親の夫婦仲は悪く、結局孤独な幼年期を過ごす。
学生時代は、とにかく成績優秀で、特に英語の成績は並外れたものがあったらしいが、神経が細かったのか、たびたび神経衰弱に悩まされていた。
また大人になって結婚した妻もヒステリー持ちで、人生に対する厭世感をさらに強めていった。漱石の作品は時にユーモアがあるが、それは漱石が現実に踏みとどまって生きるために切実に必要なものであったのである。

漱石の作家人生は4期に分けられる。※
第一期は、『吾輩は猫である』を書いた明治38年から、朝日新聞社に入社する明治40年まで。ニヒルな現実的傾向と、詩情的なロマン的傾向が表裏をなしている。

第二期は、朝日新聞社に入社して『虞美人草』を発表してから、『門』を書いた明治43年まで。恋愛を主要テーマにしている。

第三期は、修善寺の大患が癒えて、『彼岸過迄』から『こころ』を書いた大正3年まで。一作ごとに現実を深く凝視し、生と死の関連から人間探求に深く食入り、心理的傾向を帯びるようになった。

第四期は、『硝子戸の中』から『明暗』を書いて没するまでの晩年である。自己を越えた普遍的な世界を望んだ。その可能性を信じたればこそ、漱石は執拗に自己に固執し、自我の可能性の極限にまで登ろうとしたのである。

※参考文献:筑摩書房編『名指導書で読むなつかしの高校国語』

1時限め
めあて:一通り音読ができるように、漢字や語句の下調べをする。

まずは本文に段落番号をつけさせ、漢字の読み書きと語句の意味を確認し、一通り音読できるようにする。
・厭世:この世を嫌なものだと思うこと。
・平生(へいぜい)。読みに注意。いつもという意味。
・咀嚼:噛み砕くこと。
・悄然:しょげているさま。
・彷徨:あてもなくさまようこと。
・外套:コートなどの防寒着のこと。
・煩悶(はんもん):悩み悶えること。
・懊悩(おうのう):悩み悶えること。
・拘泥:ひとつのことにこだわること。
・曠野(こうや):広野のこと。

教師が本文を一度音読し、生徒に分からない漢字や語句をチェックさせる。
授業で取り上げなかったものについては、残り時間、もしくは宿題で辞書などを使って調べる。
内容そのものについては2時限め以降に譲る。

2時限め
めあて:物語のあらすじを理解する。

第三部の一部分とは言え、テキストの量はかなり多いので、いくつかの設問に答えさせながら、本文の大まかなあらすじを読み取らせ、まとめさせる。
一般的な小説の授業では、登場人物の心情を的確に読み取ることが目標とされるが、それは最終的にはアンビバレントに否定されなければならない。なぜならば、優れた文学作品とは、多面的かつ重層的な解釈を可能にするからである。
特に、タイトルでわかるように、この作品の主題は人間の「こころ」である。本来心というのは「この時点ではこう思っていた」と明確に分かるようなスタティックなものではなく、常にうつろいゆく流動的でダイナミックなものである。
よって、登場人物の心情については教師が特定の見解を誘導することがないように留意し、本時では、客観的な状況、場面についての問いかけを中心に授業を進めていきたい。

3時限め
めあて:キャラクターの人物像を探る。

登場人物の設定を履歴書(ワークシート)にまとめ、漱石がどういった人物像をイメージしてキャラクターを構築したのかを追体験する。

「わたくし(先生)」
・新潟県出身の金持ち。それなりの教育を受け一通りのモラルもある。

・20歳にならない時分に両親を病気で亡くし、人生を他人事のように客観視するニヒルな癖がついた。
・自分の財産を管理していた叔父に騙され、いよいよ人間を信じられなくなる。

・倫理的な理由だけではないだろうが、困窮する友人のKに住む場所を提供してやる。でも、相手にもプライドがあるだろうし、ひざまづいたとはいえ、ここら辺は審議がつくところだろう。

・今まで自分を裏切り騙してきた人物と同様に、Kを欺きお嬢さんと結婚してしまう。
自分自身が築いた、もしくは思い込んでいた誠実なキャラを失いたくなかったのか、Kの自殺の真相について奥さんに打ち明けられず、ひとり罪悪感に苛まれることになる。

・天皇の崩御と乃木大将の死をきっかけに「明治の精神とともに死ぬ」と最後までカッコつけて自殺する。個人的な葛藤だったはずなのに、前近代的な国家や時代、歴史といったものと殉死するという結末は、作者の皮肉が効いているようにも解釈できるが、読んだ人の受け取り方によるだろう。

相棒のKについても、こんな感じで履歴書を作成する。
おおむね、どちらも純粋で傷つきやすい近代的な自我をもつ若者であることがわかる。彼らはトラディショナルな歴史や慣習に自分の判断を丸投げすることができない悲しき個人主義者である。
ただし、Kいついては、先生の遺書でしか言及されていないので、先生というレイヤーを通した存在であるということは留意しなければならない。

4時限め
めあて:作品について主体的に考察する。

3時限めに作成した履歴書を参考し、「なぜKとわたくしは自殺したのか」「二人の自殺にはどんな共通点、もしくは相違点があるのか」をテーマに議論し、班ごとに意見をまとめて発表する。
また、「作者の夏目漱石がこの作品で最も伝えたかったことは何か」もしくは「無意識的に作品に表出している作者の観念とは何か」について言及させても良いだろう。
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