日本。
お台場の海岸に打ち上げられている鯨のような怪獣のグビラ。
地元の警察がやじうまを規制する。
「危ないですから・・・!」
ジープで浜辺にやって来るMRFの隊員たち。
リサ「あら、珍しい。深海怪獣グビラよ。本物を見れるなんて。」
クラウス「危険なのか?」
リサ「深海2000mでダイオウイカを食べていることしか知られていなくて・・・」
グビラの巨体を見つめるジャック「随分苦しそうだ。」
リサ「海洋生物ですからね。」
ジャック「あの巨体じゃブルドーザーでも海には返せない。
死骸の解体方法を今のうちに協議しましょう。」
クラウス「おい・・・なんだあれは。」
クラウスが指さす方向に、巨大なロボットが立っている。
リサ「ああ・・・あれは日本のアニメの・・・」
クラウス「違う・・・」
すると、お台場の実寸代ガンダムオブジェの後ろからソニックブレイドが歩いてくる。
ジャック「ソニックブレイド・・・」
クラウス「マルスのやつ、本当に作ったのか?」
リサ「ねえ・・・あれならグビラを海に返せないかしら?」
WEMA本部でお台場の様子を見る今日子と将軍
傍らではマルスが呼ばれてキーボードを打っている。
今日子「動かない怪獣なら、訓練にうってつけね。」
指示を出す将軍「ソニックブレイド。練習通りに落ち着いてやれば大丈夫。
あの気の毒なクジラを海へ返すんだ。」
両腕でグビラを押すソニックブレイド。
しかしびくともしない。
コックピットのえる「めちゃくちゃおもいです・・・!無理です・・・!」
必死に励ます将軍「大丈夫!いける、いけるよ!あきらめないよ!」
今日子「スペック的には可能なのよね?プロジェクトリーダー」
マルス「ええ。ベンチプレスで10万トンは持ち上げれる。
あのパイロットはとんだ根性なしだ。」
える「腕が痛いよ・・・もうダメ・・・」
WEMA本部
将軍「逃げちゃダメだ!もう少し追い込むよ!筋肉は裏切らないよ!」
ため息をつく今日子
怪獣図鑑を広げるマルス「グビラの体重は3万5000トン・・・」
今日子「時間切れだわ。」
ソニックブレイドの胸のランプが青から赤に変わる。
リサ「あれ?」
グビラを押すのを諦めて、トボトボと帰っていくソニックブレイド。
クラウス「・・・何しに来たんだ、あいつは・・・」
すると目を覚ましたグビラが潮を吹いて、その圧力に押されて吹き飛ぶソニックブレイド。
そのまま、お台場の実寸大ガンダム像にぶつかり、粉々にしてしまう。
意識を取り戻したグビラはヒレを使って体を起こし、自分から海へ帰っていく。
ジャック「あ・・・あのロボットが押したから、怪獣も起きてくれたんですよ!
ありがとう!ソニックブレイド!」
WEMA本部
言い合いを始める開発部と軍。
将軍「君はもうすこしパイロットのことを考えるべきだ!」
マルス「あなたたちは一体どんな役たたずをパイロットに選んだんです!」
今日子「大統領の視察は・・・?」
将軍「ごほん。二ヶ月後です。そこで対怪獣の主力兵器にするかが判断される。」
マルス「不採用なら?」
将軍「きみらは国庫から1000億ドルをドブに捨てたということで国家反逆罪だ。」
マルス「ならもっとマシなパイロットにしてくれよ!」
将軍「なら、もっとマシなロボットを作れ!」
今日子「はいはい・・・将軍、まずはパイロットを労ってあげてください。
乗ってくれて感謝していると。
マルスくん。動作データをロスアラモスに持ち帰って改善を。
スペック値が出ないというのは何か理由があるはずだわ。」
マルス「局長はパイロットの肩を持つんですか?」
微笑む今日子「ショベルカーの性能に乗り手の筋肉は関係ないもの。」
・
エリア51
ソニックブレイドから降りるえる。
将軍「おつかれさま。」
える「ライちゃん・・・何か言ってましたか?」
将軍「あ、ああ・・・自分のロボットに乗ってくれることをとても感謝していたよ。」
える「そっか・・・」
コックピットにいつも付けているマルスの写真を見つめる。
える「会いたいな。」
将軍「この実験が終わるまでは我慢してくれ。」
える「わかってます。
はやくうまく動かせるようにならないと・・・」
将軍「ゆっくりでいいさ。」
える「ありがとうございます。」
将軍「アイスでも食べに行こう。」
笑顔になるえる。
その様子をガラス越しに見る補佐官。
補佐官「将軍は、あの子にいささか甘くはないかしら。
実験動物に情がうつるのはいけないわ。」
兵士「将軍の失くなった娘さんが、あれくらいの年齢だったそうです。」
補佐官「じゃあめっちゃ情がうつってるじゃない。
サイボーグじゃなかったら、わたくしがひっぱたいてでも戦わせるのに。」
兵士「将軍も軍人です。わかっておられるかと。」
格納庫で並んでアイスを食べる
える「怪獣ってかわいそう。」
将軍「だが・・・場所によっては放置しておくわけには行かない。」
える「・・・できれば戦いたくないな・・・
どの子も苦しんでいる。なんで、ただ、そこにいるだけで暴力を受けるんだろうって。」
将軍「この地球は彼らには住みにくいのかもな。」
える「あたしといっしょだ。」
・
ロスアラモス
イライラしているマルス「なんだ、あのパイロットは、うちのロボットが何もできないと思われるじゃねえか。」
コーヒーを出すフェイ「珍しく機嫌が悪いわね。ボス。」
マルス「あれじゃあソニックブレイドの人工知能を教育するどころか、反面教師だ。
ぼくらがほしいのは戦闘データですよ?」
ロイド「パイロットが一人見つかっただけでも僥倖だって言ってたじゃねえか。」
マルス「あれなら僕が乗ったほうがはるかにマシだ。」
フェイ「では、コックピットの衝撃に耐えるために、体を機械にされてもいいんですね。」
マルス「・・・え?」
フェイ「生身であんなロボットに乗れるわけ無いでしょ。
体がうまく動かないのは改造手術の後遺症なのかも。」
カレル「パイロットの彼女には、俺たちは頭が上がらないはずざんす。
長い目で見るざんすよ。それが教育でございましょう?」
マルス「・・・?パイロットって女なんですか?」
カレル「そんな気がするだけ。」
フェイ「パイロットが操縦しやすいように、こちらもバックアップしてあげないと。
これが今回のデータです。目を通してください。」
マルスのデスクに書類を渡す。
・
夜。
ロスアラモスの居住区にある酒場
カレル「さあさあ、イライラは酒で忘れるざんす」
マルスに酒を注ぐロイド「せっかく飲める年になったんだ。のめのめ。」
マルス「・・・大統領の視察どうしよう・・・」
スタッフの女の子達「カレルちゃ~ん!」
カレル「わ~お、リンダ、スージー♡」
女の子を両脇にはべらせるカレル
ロイド「お前は真面目すぎる。あいつを見てみろ。なんも考えてねえぞ。
あれでフィールズ賞とってんだ。」
マルス「あの人は天才だから・・・ぼくは血反吐を吐いて東大に合格したんだ。
高校生までは・・・自分が世界で一番賢いと思っていたけど・・・
ここは天才ばかり。自分の不甲斐なさに嫌になる。」
肩をすくめるロイド。
女の子達「そんなことないわよ、ライちゃん、わたしたちと遊びましょうよ!」
「日本の彼女とは別れたんでしょう?」
マルス「振られたんです。せっかく忘れようとしてたのに・・・」
カレル「二人とも野暮なこと言うんじゃないざんす。
マルちゃんが好きなのはフェイ・ヤーメイ先生なんザンスから。」
マルス「ちょ・・・」
ロイド「坊やはわかりやすいな。」
カレル「いつもクールな彼女の目が、マルちゃんを見るときだけ慈愛に満ちてるざんす。」
マルス「一度だけ買い物に付き合ってもらっただけですよ。」
ロイド「そういや、お前だけコーヒー入れてもらってたよな。」
カレル「モテモテざんすな~」
女の子達「うぶでかわい~」
マルス「か・・・顔が赤いのは、ロイドさんの酒が強いからで・・・僕の意思では・・・」
その時、ふと冷静になって立ち上がるマルス。
ロイド「?どうしたい。」
酒場から出ていくマルス。
ロイド「怒らせちまったかな。」
カレル「あの顔は違うかな。」
・
薄暗いオフィスでソニックブレイドの動作データを漁るマルス。
フェイ「残業ですか。」
マルス「フェイ・・・
BMI開発者として・・・また医師としての意見を聞きたい。」
フェイ「なんでも。」
マルス「BMIとはパイロットの思考を電気信号に変えてロボットを動かす技術だよな。」
頷くフェイ
マルス「だから、ロボットを動かす際は足を交互に前に出すように思考しなければならない。」
フェイ「ええ。」
マルス「でも・・・ぼくらってすべての動作をそこまで意識的におこなっているのか?
自分の意思とは関係のない反応だってあるだろ・・・
その・・・好きな人と話す際には心拍数が上がるし・・・」
フェイ「今のあなたのように?」
マルス「あの日の買い物のあとのこと・・・みんな知ってるっぽい。」
フェイ「ソニックブレイドに自律神経のような仕組みを実装すると?」
マルス「例えば、重心が移動した際にバランスをとるとか、激しい動作の場合はリアクターの出力量を上げるとか・・・
そうすれば、この前のグビラは持ち上がったんじゃ・・・」
フェイ「あなたは賢いわ。だから好き。」
マルス「17で医学部を卒業した君には負ける。」
抱きしめあう二人。
・
二ヶ月後
パリのコンコルド広場のど真ん中でぐっすり寝ているガヴァドンB。
彼が起きないように優しく体を持ち上げ、安全な人気のない場所へ運んでいくソニックブレイド。
える「いい子ね・・・安全な場所に返してあげるから・・・」
WEMA本部
モニターでパリのようすを眺める上層部。
今日子「ご満足かしら?」
補佐官「ほほほ・・・ど・・・どうでしょう、大統領・・・」
国務長官「これなら、人的被害をほとんど出さずに怪獣の対応ができるかと。」
大統領「・・・俺は一体何を見せられてるんだ?」
補佐官「・・・へ?」
大統領「局長。あなたは対怪獣用の戦闘ロボットの開発をすると言ってなかったか。
それがこれなのか?
申し訳ないが、俺には酔っぱらいを介抱するおまわりさんにしか見えん。
俺が・・・いやアメリカ合衆国が欲しいのは凶暴な怪獣を一撃で粉砕する戦士だ。
おい、ストローズ。こんなものに俺は金を出したのか。」
補佐官「ひっ・・・深未局長・・・」
冷静な今日子「怪獣のほとんどは実は性質がおとなしいんです。
人間が下手に攻撃して興奮させない限り、日本のような悲劇は起きない。」
大統領「こんなもので中ロが牽制できるとは思えん。
EUの連中が黙ってないぞ。」
国務大臣「しかし、凶暴な怪獣がいない以上・・・」
大統領「どこかから見つけて用意しろ。巨大で獰猛な奴がいい。
そいつとあのロボットを戦わせるんだ。そしてその様子をNATO軍、いや世界に中継しろ。」
今日子「国連としては承諾できませんわ。」
大統領「あのロボットは完成した。もうこちらで好きに使わせてもらおう。
ブラッドリー将軍。」
将軍「は・・・」
大統領「お前はこの計画から外す。いの一番に嫌な顔をしやがった。」
将軍「いえ、私にやらせてください。
コスタリカ沖のジョンスン島にジュラ紀で最大最強だった古代の恐竜が生き残っているという極秘情報があります。」
大統領「なんてやつだ。」
将軍「ゴモラザウルス・メガロカウダリス。」
大統領「名前が強そうだ。よしお前に任せる。そいつを連れて来い。」
将軍「は。」
退室する大統領。
補佐官「失敗は許されないわよ・・・」
将軍「わかってます。」
国務大臣「いやはや、動物虐待だ・・・いい気分がしない。」
今日子「だいじょうぶ。動物虐待にはならないわ・・・
あの恐竜をアメリカ本土に持ち込んだら・・・虐待されるのは人類よ。」
・
ニューヨーク
マジソンスクエアガーデンに大規模な工事が入っている。
巨大な電気柵を設置している作業員。
ヘルメットをかぶるロイド「怪獣プロレス、電流デスマッチてところか。
脱走したら、あんたらの出番だ。頼むぜ。」
ジャック「狂ってる・・・」
・
ジョンスン島
熱帯のジャングルで覆われた火山島。
伝説のハンター、ローランドがUNG麻酔銃でゴモラザウルスを仕留める。
ローランド「あとは知らん。勝手にやってくれ。」
空輸されるゴモラザウルス。
・
クリスマス
ロックフェラーセンタービルのスケート場でフェイとデートをするマルス。
スケート初体験のマルス「ちょっと絶対手を離さないでよ!」
意地悪そうに笑うフェイ「さ~て・・・どうしようかしら・・・」
マジソンスクエアガーデンの方へ飛んでいく巨大ヘリ。
マルス「あれか・・・」
フェイ「気の毒な怪獣。」
マルス(この気の毒な怪獣こそがアメリカ合衆国を崩壊させるのだった。)
『超音速ソニックブレイド』脚本⑥
2025-10-31 21:10:47 (88 days ago)
アメリカ。ホワイトハウス
大統領「元気を出せよジュンちゃん。今度ゴルフにでも行こう。では。」
日本とのホットラインを切る大統領。
大統領「相当派手にやられたらしい。在日米軍に支援物資を送らせろ。トモダチ作戦だ。」
補佐官「かしこまりました。」
大統領「世界中どこもかしこも怪獣だらけだ。
誰だ、あれはフセインが作った生物兵器だと言ったやつは。お前だったか?」
補佐官「おほほ・・・」
大統領「お前のせいで、イラクでは無駄な戦争をしたもんだ。
世界の警察の名を汚すな。」
補佐官「お父様の代からの悲願だったではないですか。」
大統領「もはや、あんな国アメリカの脅威ではない。こいつらだ、こいつらをどうする?」
怪獣の写真をデスクにばらまく。
補佐官「そういえば・・・ソニックブレイドの試作機ができたとか。」
大統領「なんだそれは。」
補佐官「国連のアイディアで・・・人型ロボットを作って怪獣を無力化するという話があったじゃないですか。」
大統領「忘れた。」
補佐官「いやですわ・・・」
大統領「忌々しい怪獣どもを戦術核以外で倒せるというのなら好きにやれ。
イラク戦争ではしこたま稼いだんだろう?金は惜しむな。
愚鈍な恐竜どもをもう一度絶滅させろ。」
大統領執務室を後にする補佐官。
廊下では、ジム・グリーンスパン国務長官と、マイク・ブラッドリー将軍が立っている。
国務長官「ストローズ補佐官。大統領閣下はなんと?」
補佐官「ブラッドリー将軍。」
黒人の将軍「は。」
補佐官「ソニックブレイド計画の進展は?」
将軍「パイロットが見つかりません。
あんな得体のしれないロボットと自分の脳を接続したくないと・・・」
補佐官「なんとかしなさい。」
国務長官「自国の兵士を実験動物のように扱っていることが明るみになるのはまずいぞ。
ただでさえイラク戦争で政権に対する非難は高まっているのに。」
補佐官「あらそう。自国じゃなきゃいいのね。」
国務長官「私はここ数年で次々と怪獣が地底から目覚めている、その原因に対処すべきだと思うが。」
補佐官「地球温暖化に?中東の石油の利権を奪ったところよ、冗談じゃないわ。
あなたは大統領のやり方に文句があるわけ?」
国務長官「しかし・・・」
補佐官「断言するわ。二酸化炭素の排出は、怪獣の増加に一切関係がないわ。
将軍、パイロットを必ず見つけるのよ。」
廊下を歩いて行く補佐官を見送る、国務長官と将軍。
国務長官「君はどう思う?」
将軍「ロスアラモスで実物をご覧になったことは?」
国務長官「ない。」
将軍「あれに乗るもの好きは地球上にはいませんよ・・・」
・
ロスアラモス
輸送コンテナに格納されるソニックブレイドの機体。
それを見上げる開発メンバー。
ロイド「あれに乗るもの好きがいたとはなあ・・・」
カレル「どんなやつざんしょ。」
フェイ「頭おかしいんじゃないの?」
マルス「コックピットの衝撃吸収は問題ないんですよね?」
ロイド「できるかぎりのことはした。」
フェイ「しかし、戦闘時間は長くて3分よ。それ以上は脳に後遺症が残る。」
カレル「戦闘データはうちのサーバーに逐次送られてくるザンス。」
フェイ「とりあえず、マルスくん。お疲れ様。あとは軍に任せましょう。」
カレル「今夜はみんなで飲み明かすザンスよ!」
ロイド「おう、いこうぜ。」
マルス「つ・・・疲れた・・・でも・・・これでやっとえるに会える・・・
今年こそ日本に帰ろう。」
・
アメリカ
政府の公用車でネバダの軍事基地「エリア51」につれてかれるえる。
える「あれ?国連本部にはいかないんですか?」
黒服「・・・?(日本語がわからない)」
軍事基地には、ストローズ補佐官が笑顔で待っている。
車を降りるえる。
補佐官「いや~こんなかわいいお嬢さんが・・・!ほほほ!
あなたの勇気には心から賞賛しますわ。
わたくし、大統領補佐官のレヴィ・ストローズと申します。
日米関係はあなたの自己犠牲で一層強くなると、大統領も申しておりましたわ。」
英語がわからないえる「?・・・マイネームイズペン。」
補佐官「ペンと言ったわ!とっとと書類を出しなさい!」
慌てる部下「は・・・」
補佐官「では、書類のここにサインを・・・」
える「・・・?名前書けばいいの?」
書類をしまう補佐官「よし、これでOK。将軍、あとは任せたわよ。」
将軍「彼女は任務の内容を本当に理解しているのですか?」
補佐官「理解しないでいい。このバカを絶対に逃がしちゃダメ。」
車に乗り込み帰ってしまう補佐官。
将軍「私の娘くらいか・・・戦いには犠牲がつきものだが・・・胸が痛いな。」
・
マルス(こうしてソニックブレイドの実地試験が始まった。
データ分析に主観が入らないように、テストパイロットの素性はWEMAには一切知らされなかった。)
・
東京のアパート
マルス「ただいま~・・・」
笑顔で出迎える中学生になったろな「おかえりなさいお兄ちゃん!」
マルス「パパとママは?」
ろな「御馳走を買いにヨーカドーに行ったよ。」
マルス「はいこれ、アメリカのおみやげ。」
野菜を置く。
がっかりするろな「・・・ジャガイモじゃない。」
マルス「うちの農場で作ったんだ。」
ろな「あ・・・ありがとう・・・(寺島先生からこの前大量にもらったんだよな・・・)」
マルス「北陸の方、大変だったんだろう?」
ろな「らしいよね。えるちゃんも被災地支援やってるんじゃない?連絡はつかないの?」
マルス「うん・・・ずっと着信拒否。」
ろな「あまりにお兄ちゃんが会ってくれないから、愛想つかしたんじゃない?」
マルス「オレは振られてしまったというのか・・・!」
ろな「だって卒業式以来一度も会ってないんでしょう?」
マルス「ここ数年はあまりに激動で、日本に帰るタイミングがなかった・・・」
慰めるろな「まあ、元気出しなよ。女の子は他にもいるさ。」
マルス「そんな・・・」
ろな「次はもっと彼女を大事にすることね。」
マルス「はい・・・」
・
エリア51
全裸で手術台に括り付けられるえる。
泣き叫ぶえる「やめて!やめて!!ライちゃん助けてえ・・・!」
医師が不気味な医療機器をえるの頭に取り付ける。
・
廃校となった高校に足を運ぶマルス。
季節は冬で枯葉が揺れる。
須藤「アニキも日本に帰ってたんすか?」
マルス「きみは・・・須藤君?」
須藤「お久しぶりっす・・・!」
ファミレス
ミックスグリルをむさぼる須藤「仕事は順調っすか?」
マルス「ひと段落はしたかな。きみはまだゲーマーで食ってるのか?」
須藤「世界大会で3回目の優勝をしたら、とんでもないところからオファーが来たっす。」
マルス「任天堂?」
須藤「アメリカ軍っすよ。この前終結したイラク戦争ってあるじゃないっすか。」
マルス「ああ。」
須藤「あの戦争でドローン兵器を操縦していたのは、何を隠そうこの俺っす。」
マルス「ドローンって・・・あのラジコンみたいなやつだろ。
あんなんで戦争ができるのか?」
須藤「アメリカの軍事技術はやばいっす。
そのうち巨大ロボットでも作るんじゃないっすか。」
マルス「ははは・・・そういう内部事情ってこんなところで話していいのか?」
立ち上がって大きな声で須藤「オレは世界中どこでも空爆できるっす!」
マルス「おい・・・」
須藤「どこで何を話していても、アメリカさんには筒抜けっすよ。」
マルス「その技術で、えるの気持ちを聞いてきてほしいよ。」
須藤「え?音信不通っすか?アニキの技術で携帯電話から追跡できないんすか?」
マルス「仮にできたとして・・・向こうが着信拒否をしているんだぞ。」
須藤「サイバーストーキング行為になるっすね・・・」
マルス「会って謝れば許してくれないかなあ・・・」
須藤「アニキ・・・男と違って女は過去を引きずらないっす。」
マルス「お前・・・知らない間にいろいろ経験したんだな・・・」
須藤「さあ、ここはオレがおごるっす。食べてください!」
えるとよく遊んでいた公園
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ小学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ中学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ高校生のえる。
マルス「あいつ・・・バカだったな・・・」
涙がにじむ。
マルス「だめだ・・・バカはオレだ・・・
もう忘れないと・・・」
・
改造手術を受けてソニックブレイドのコックピットに押し込まれるえる
「いやだあああ!!」
子どもの頃、いじめで跳び箱の中に閉じ込められた記憶がフラッシュバックする。
軍のスタッフが英語で叫ぶ。
「ふざけんじゃねえ、お前の改造手術に1000万ドルもかけたんだ!」
ガラス越しにソニックブレイドを見つめる補佐官
ため息をつく。「誰があの子を選んだの?」
将軍「実験は中止しますか?」
補佐官「そんなことしてみなさい。私は大統領に殺されるわ。
銃でもなんでも突き付けて、言うとおりにさせるのよ。」
将軍「それはすでにやりました。」
補佐官「じゃあ、手足に一発食らわせてやりなさい。」
将軍「それは絶対に許可できません。彼女の肉体はほとんど強化パーツにしてしまった。
コックピットの激しい振動に耐えるためにね。」
唾をのむ補佐官「・・・あの泣き虫に銃弾は効かないの?」
将軍「あの子がああいう性格でむしろ良かった。
もし、狂暴な人間がこの実験に選ばれていて・・・
銃器が効かないことに気づいたら・・・」
補佐官「わかったわ。暴力はなし。
あなたのやり方に任せるから、ソニックブレイドに乗せてちょうだい。」
将軍「・・・・・・。」
パーカーを羽織り、冷たいコンクリートの床にへたり込んで震えているえる。
将軍「彼女の来歴が書かれた資料を。」
兵士「は。」
資料を受け取る将軍。
将軍「母親はWEMAの局長なのか?」
兵士「幼少期から疎遠だったそうですが。」
将軍「この実験に娘が参加していることは絶対に秘匿しろ。」
兵士「大統領補佐官からも申し使っております。」
将軍「しかし、哀しい境遇の子だな・・・
よし・・・彼女に会おう。私の部屋に通してくれ。
そして温かい食事を用意してくれないか。」
ブラッドリー将軍の執務室。
える「失礼します・・・」
将軍「やあ、かけたまえ。」
ソファに座ろうとするが、苦痛で顔をゆがめるえる
将軍「だいじょうぶか?ゆっくり・・・」
える「体中が冷たくて・・・動くたびに痛いんです。」
将軍「そうか・・・気の毒に。」
える「あれ・・・?日本語がしゃべれるんですか?」
将軍「沖縄の那覇基地にいたことがあってね。ワイフも日本人だ。」
涙ぐむえる「やっとお話ができる・・・」
将軍「いくらでも聞くよ。」
える「あのロボットには乗れません・・・私は狭いところが怖いんです・・・
ずっと閉じ込められて・・・いじめられてたから・・・」
将軍「辛い思いをしたんだな。」
える「それでも・・・今回のいじめは過去最悪です・・・
さすがのわたしも・・・もう・・・死にたい・・・」
将軍「わたしにも、君と同じ年ごろの娘がいてね・・・
きみが嫌なら、もうあれには乗らなくていい。」
える「・・・え?」
将軍「わたしが大統領に直談判する。計画は中止だと。」
える「ほんとう?」
将軍「私も幼少期、この肌の色だろう?
白人の子にずっといじめられてきてね・・・
きみの気持ちも少しはわかるつもりだ。許してほしい。さあ、スープを飲みなさい。」
える「ありがとう・・・初めてこの国で優しい人に会えた。」
将軍「きみには愛する人はいるのか?」
える「アメリカに恋人がいます。国連本部で働いていて・・・
わたし・・・国連で働けると思ったから・・・この実験に参加したんです。
そしたら、砂漠につれてかれて・・・体を機械にされた・・・
こんな体のあたしなんか・・・きっとライちゃんは愛してくれない・・・」
号泣するえる。
将軍「そんなことはない。」
声を荒げるえる「なんでわかるんですか!」
将軍「ソニックブレイド計画の責任者は、きみの恋人、マルス・ライだからだ。」
ロスアラモスでのマルスの写真を見せる将軍。
言葉を失うえる「・・・え?」
将軍「彼もきみがパイロットであることを知ったら、すぐに計画を中止させるはずだ。
だから、もう乗らなくていい。」
える「私が乗らないと・・・ライちゃんはどうなるんですか?」
将軍「国家反逆罪になる。」
・
ロスアラモス
プリントをデスクに置くフェイ「ソニックブレイドの戦闘データが入ってきました。」
目を通すマルス「どれどれ・・・不安定な歩行・・・
すぐに転倒・・・パイロットはひどい頭痛と吐き気を訴える。
怪獣の方はロボットを脅威と認識せず素通り・・・」
ロイド「戦闘データなのか、それ。」
カレル「実験は失敗ザンス。」
マルス「いや・・・始まったばかりだ。」
大統領「元気を出せよジュンちゃん。今度ゴルフにでも行こう。では。」
日本とのホットラインを切る大統領。
大統領「相当派手にやられたらしい。在日米軍に支援物資を送らせろ。トモダチ作戦だ。」
補佐官「かしこまりました。」
大統領「世界中どこもかしこも怪獣だらけだ。
誰だ、あれはフセインが作った生物兵器だと言ったやつは。お前だったか?」
補佐官「おほほ・・・」
大統領「お前のせいで、イラクでは無駄な戦争をしたもんだ。
世界の警察の名を汚すな。」
補佐官「お父様の代からの悲願だったではないですか。」
大統領「もはや、あんな国アメリカの脅威ではない。こいつらだ、こいつらをどうする?」
怪獣の写真をデスクにばらまく。
補佐官「そういえば・・・ソニックブレイドの試作機ができたとか。」
大統領「なんだそれは。」
補佐官「国連のアイディアで・・・人型ロボットを作って怪獣を無力化するという話があったじゃないですか。」
大統領「忘れた。」
補佐官「いやですわ・・・」
大統領「忌々しい怪獣どもを戦術核以外で倒せるというのなら好きにやれ。
イラク戦争ではしこたま稼いだんだろう?金は惜しむな。
愚鈍な恐竜どもをもう一度絶滅させろ。」
大統領執務室を後にする補佐官。
廊下では、ジム・グリーンスパン国務長官と、マイク・ブラッドリー将軍が立っている。
国務長官「ストローズ補佐官。大統領閣下はなんと?」
補佐官「ブラッドリー将軍。」
黒人の将軍「は。」
補佐官「ソニックブレイド計画の進展は?」
将軍「パイロットが見つかりません。
あんな得体のしれないロボットと自分の脳を接続したくないと・・・」
補佐官「なんとかしなさい。」
国務長官「自国の兵士を実験動物のように扱っていることが明るみになるのはまずいぞ。
ただでさえイラク戦争で政権に対する非難は高まっているのに。」
補佐官「あらそう。自国じゃなきゃいいのね。」
国務長官「私はここ数年で次々と怪獣が地底から目覚めている、その原因に対処すべきだと思うが。」
補佐官「地球温暖化に?中東の石油の利権を奪ったところよ、冗談じゃないわ。
あなたは大統領のやり方に文句があるわけ?」
国務長官「しかし・・・」
補佐官「断言するわ。二酸化炭素の排出は、怪獣の増加に一切関係がないわ。
将軍、パイロットを必ず見つけるのよ。」
廊下を歩いて行く補佐官を見送る、国務長官と将軍。
国務長官「君はどう思う?」
将軍「ロスアラモスで実物をご覧になったことは?」
国務長官「ない。」
将軍「あれに乗るもの好きは地球上にはいませんよ・・・」
・
ロスアラモス
輸送コンテナに格納されるソニックブレイドの機体。
それを見上げる開発メンバー。
ロイド「あれに乗るもの好きがいたとはなあ・・・」
カレル「どんなやつざんしょ。」
フェイ「頭おかしいんじゃないの?」
マルス「コックピットの衝撃吸収は問題ないんですよね?」
ロイド「できるかぎりのことはした。」
フェイ「しかし、戦闘時間は長くて3分よ。それ以上は脳に後遺症が残る。」
カレル「戦闘データはうちのサーバーに逐次送られてくるザンス。」
フェイ「とりあえず、マルスくん。お疲れ様。あとは軍に任せましょう。」
カレル「今夜はみんなで飲み明かすザンスよ!」
ロイド「おう、いこうぜ。」
マルス「つ・・・疲れた・・・でも・・・これでやっとえるに会える・・・
今年こそ日本に帰ろう。」
・
アメリカ
政府の公用車でネバダの軍事基地「エリア51」につれてかれるえる。
える「あれ?国連本部にはいかないんですか?」
黒服「・・・?(日本語がわからない)」
軍事基地には、ストローズ補佐官が笑顔で待っている。
車を降りるえる。
補佐官「いや~こんなかわいいお嬢さんが・・・!ほほほ!
あなたの勇気には心から賞賛しますわ。
わたくし、大統領補佐官のレヴィ・ストローズと申します。
日米関係はあなたの自己犠牲で一層強くなると、大統領も申しておりましたわ。」
英語がわからないえる「?・・・マイネームイズペン。」
補佐官「ペンと言ったわ!とっとと書類を出しなさい!」
慌てる部下「は・・・」
補佐官「では、書類のここにサインを・・・」
える「・・・?名前書けばいいの?」
書類をしまう補佐官「よし、これでOK。将軍、あとは任せたわよ。」
将軍「彼女は任務の内容を本当に理解しているのですか?」
補佐官「理解しないでいい。このバカを絶対に逃がしちゃダメ。」
車に乗り込み帰ってしまう補佐官。
将軍「私の娘くらいか・・・戦いには犠牲がつきものだが・・・胸が痛いな。」
・
マルス(こうしてソニックブレイドの実地試験が始まった。
データ分析に主観が入らないように、テストパイロットの素性はWEMAには一切知らされなかった。)
・
東京のアパート
マルス「ただいま~・・・」
笑顔で出迎える中学生になったろな「おかえりなさいお兄ちゃん!」
マルス「パパとママは?」
ろな「御馳走を買いにヨーカドーに行ったよ。」
マルス「はいこれ、アメリカのおみやげ。」
野菜を置く。
がっかりするろな「・・・ジャガイモじゃない。」
マルス「うちの農場で作ったんだ。」
ろな「あ・・・ありがとう・・・(寺島先生からこの前大量にもらったんだよな・・・)」
マルス「北陸の方、大変だったんだろう?」
ろな「らしいよね。えるちゃんも被災地支援やってるんじゃない?連絡はつかないの?」
マルス「うん・・・ずっと着信拒否。」
ろな「あまりにお兄ちゃんが会ってくれないから、愛想つかしたんじゃない?」
マルス「オレは振られてしまったというのか・・・!」
ろな「だって卒業式以来一度も会ってないんでしょう?」
マルス「ここ数年はあまりに激動で、日本に帰るタイミングがなかった・・・」
慰めるろな「まあ、元気出しなよ。女の子は他にもいるさ。」
マルス「そんな・・・」
ろな「次はもっと彼女を大事にすることね。」
マルス「はい・・・」
・
エリア51
全裸で手術台に括り付けられるえる。
泣き叫ぶえる「やめて!やめて!!ライちゃん助けてえ・・・!」
医師が不気味な医療機器をえるの頭に取り付ける。
・
廃校となった高校に足を運ぶマルス。
季節は冬で枯葉が揺れる。
須藤「アニキも日本に帰ってたんすか?」
マルス「きみは・・・須藤君?」
須藤「お久しぶりっす・・・!」
ファミレス
ミックスグリルをむさぼる須藤「仕事は順調っすか?」
マルス「ひと段落はしたかな。きみはまだゲーマーで食ってるのか?」
須藤「世界大会で3回目の優勝をしたら、とんでもないところからオファーが来たっす。」
マルス「任天堂?」
須藤「アメリカ軍っすよ。この前終結したイラク戦争ってあるじゃないっすか。」
マルス「ああ。」
須藤「あの戦争でドローン兵器を操縦していたのは、何を隠そうこの俺っす。」
マルス「ドローンって・・・あのラジコンみたいなやつだろ。
あんなんで戦争ができるのか?」
須藤「アメリカの軍事技術はやばいっす。
そのうち巨大ロボットでも作るんじゃないっすか。」
マルス「ははは・・・そういう内部事情ってこんなところで話していいのか?」
立ち上がって大きな声で須藤「オレは世界中どこでも空爆できるっす!」
マルス「おい・・・」
須藤「どこで何を話していても、アメリカさんには筒抜けっすよ。」
マルス「その技術で、えるの気持ちを聞いてきてほしいよ。」
須藤「え?音信不通っすか?アニキの技術で携帯電話から追跡できないんすか?」
マルス「仮にできたとして・・・向こうが着信拒否をしているんだぞ。」
須藤「サイバーストーキング行為になるっすね・・・」
マルス「会って謝れば許してくれないかなあ・・・」
須藤「アニキ・・・男と違って女は過去を引きずらないっす。」
マルス「お前・・・知らない間にいろいろ経験したんだな・・・」
須藤「さあ、ここはオレがおごるっす。食べてください!」
えるとよく遊んでいた公園
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ小学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ中学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ高校生のえる。
マルス「あいつ・・・バカだったな・・・」
涙がにじむ。
マルス「だめだ・・・バカはオレだ・・・
もう忘れないと・・・」
・
改造手術を受けてソニックブレイドのコックピットに押し込まれるえる
「いやだあああ!!」
子どもの頃、いじめで跳び箱の中に閉じ込められた記憶がフラッシュバックする。
軍のスタッフが英語で叫ぶ。
「ふざけんじゃねえ、お前の改造手術に1000万ドルもかけたんだ!」
ガラス越しにソニックブレイドを見つめる補佐官
ため息をつく。「誰があの子を選んだの?」
将軍「実験は中止しますか?」
補佐官「そんなことしてみなさい。私は大統領に殺されるわ。
銃でもなんでも突き付けて、言うとおりにさせるのよ。」
将軍「それはすでにやりました。」
補佐官「じゃあ、手足に一発食らわせてやりなさい。」
将軍「それは絶対に許可できません。彼女の肉体はほとんど強化パーツにしてしまった。
コックピットの激しい振動に耐えるためにね。」
唾をのむ補佐官「・・・あの泣き虫に銃弾は効かないの?」
将軍「あの子がああいう性格でむしろ良かった。
もし、狂暴な人間がこの実験に選ばれていて・・・
銃器が効かないことに気づいたら・・・」
補佐官「わかったわ。暴力はなし。
あなたのやり方に任せるから、ソニックブレイドに乗せてちょうだい。」
将軍「・・・・・・。」
パーカーを羽織り、冷たいコンクリートの床にへたり込んで震えているえる。
将軍「彼女の来歴が書かれた資料を。」
兵士「は。」
資料を受け取る将軍。
将軍「母親はWEMAの局長なのか?」
兵士「幼少期から疎遠だったそうですが。」
将軍「この実験に娘が参加していることは絶対に秘匿しろ。」
兵士「大統領補佐官からも申し使っております。」
将軍「しかし、哀しい境遇の子だな・・・
よし・・・彼女に会おう。私の部屋に通してくれ。
そして温かい食事を用意してくれないか。」
ブラッドリー将軍の執務室。
える「失礼します・・・」
将軍「やあ、かけたまえ。」
ソファに座ろうとするが、苦痛で顔をゆがめるえる
将軍「だいじょうぶか?ゆっくり・・・」
える「体中が冷たくて・・・動くたびに痛いんです。」
将軍「そうか・・・気の毒に。」
える「あれ・・・?日本語がしゃべれるんですか?」
将軍「沖縄の那覇基地にいたことがあってね。ワイフも日本人だ。」
涙ぐむえる「やっとお話ができる・・・」
将軍「いくらでも聞くよ。」
える「あのロボットには乗れません・・・私は狭いところが怖いんです・・・
ずっと閉じ込められて・・・いじめられてたから・・・」
将軍「辛い思いをしたんだな。」
える「それでも・・・今回のいじめは過去最悪です・・・
さすがのわたしも・・・もう・・・死にたい・・・」
将軍「わたしにも、君と同じ年ごろの娘がいてね・・・
きみが嫌なら、もうあれには乗らなくていい。」
える「・・・え?」
将軍「わたしが大統領に直談判する。計画は中止だと。」
える「ほんとう?」
将軍「私も幼少期、この肌の色だろう?
白人の子にずっといじめられてきてね・・・
きみの気持ちも少しはわかるつもりだ。許してほしい。さあ、スープを飲みなさい。」
える「ありがとう・・・初めてこの国で優しい人に会えた。」
将軍「きみには愛する人はいるのか?」
える「アメリカに恋人がいます。国連本部で働いていて・・・
わたし・・・国連で働けると思ったから・・・この実験に参加したんです。
そしたら、砂漠につれてかれて・・・体を機械にされた・・・
こんな体のあたしなんか・・・きっとライちゃんは愛してくれない・・・」
号泣するえる。
将軍「そんなことはない。」
声を荒げるえる「なんでわかるんですか!」
将軍「ソニックブレイド計画の責任者は、きみの恋人、マルス・ライだからだ。」
ロスアラモスでのマルスの写真を見せる将軍。
言葉を失うえる「・・・え?」
将軍「彼もきみがパイロットであることを知ったら、すぐに計画を中止させるはずだ。
だから、もう乗らなくていい。」
える「私が乗らないと・・・ライちゃんはどうなるんですか?」
将軍「国家反逆罪になる。」
・
ロスアラモス
プリントをデスクに置くフェイ「ソニックブレイドの戦闘データが入ってきました。」
目を通すマルス「どれどれ・・・不安定な歩行・・・
すぐに転倒・・・パイロットはひどい頭痛と吐き気を訴える。
怪獣の方はロボットを脅威と認識せず素通り・・・」
ロイド「戦闘データなのか、それ。」
カレル「実験は失敗ザンス。」
マルス「いや・・・始まったばかりだ。」
『超音速ソニックブレイド』脚本⑤
2025-10-30 21:14:12 (89 days ago)
ロスアラモスの荒野
オープンカーを走らせる今日子。その助手席にはマルスが座っている。
今日子「・・・機械に感情や知性を与えられると思う?」
マルス「哲学の話ですか?」
今日子「いえ・・・技術的な話。」
マルス「そもそもデジタル信号が、あいまいで複雑なものをどこまで理解できるか・・・」
今日子「機械に愛や平和、正義は分らない?」
マルス「数量的な定義ができないと。
誰かを救うために他の誰かを犠牲にしなければならない状況があったら・・・」
今日子「難しいわね。」
マルス「ファジー理論と言って確率的に判断しちゃうやり方もありますけどね。
なんでそんな話をするんですか?」
今日子「いえ、ちょっと興味があっただけ。」
農場のゲートを通過する。
今日子「ここがWEMAの極秘研究施設よ。」
マルス「ただの農場に見えるのですが・・・」
今日子「実際ただの農場ですわ。」
マルス「そういえば、ずっと聞こうと思ってたんですけど・・・
ぼくのパソコンにWEMAからメッセージがあったんですよ。」
今日子「ふふ。読んでくれた?」
マルス「どうやって、ぼくを知ったんですか?それに、ぼくだって素人じゃない。
ハッキング対策くらいはしている。」
農場内を走るオープンカー。
道の両側には研究スタッフが住む家屋が並んでおり、小さな村のようになっている。
今日子「ここにいる変人にとっては従来のハッキング対策なんて意味がありませんの。」
マルス「そんなハッカーが?」
今日子「というより、コンピュータね。
彼の技術は核兵器以上に国際関係を変えてしまうから・・・世界中が狙っている。
でも、カレル博士はアナーキスト。そういったきな臭い話は嫌いなの。」
マルス「カレル?もしかして・・・パリ大の天才数学者エバリスト・カレルのことですか?」
今日子「あら、ご存じ?」
マルス「もしかして、ここにあるんですか?」
今日子「ええ。世界中のすべての暗号を破ることができる究極のスパコン。
量子コンピュータよ。」
農場のガレージに車を止める今日子。
農場には似つかわしくない厳重な扉の前まで歩く2人。
「話は通してあります。このキーカードを持っていきなさい。
これで、ここのすべてのドアは開くわ。」
カードを受け取るマルス。
「極秘施設のマスターキーをいただけるんですか?」
今日子「当然よ。」
マルス「・・・?」
車に戻る今日子「では、ごきげんよう。」
マルス「局長はいかないんですか?」
今日子「おしりを触られたくないから。」
扉のロックを外して、中に入ると頭上から強風が吹き、体についたほこりを飛ばされる。
次の扉に入ると、今度は地下に続くエレベータがある。
エレベータの壁には紙が貼ってあり「地下3Fを押すこと」と書かれている。
地下3F
エレベータのドアが開くと、目の前に巨大な人型ロボットが立っている。
マルス「・・・これは・・・」
白衣の女性「対怪獣人型兵器ソニックブレイド。今はただの置物よ。」
マルス「なんでこんなものが?」
白衣の女性「これが人類のメシアになるか、粗大ごみになるかはあなた次第。
プログラマーのマルス・ライね?」
マルス「ええ・・・」
白衣の女性「フェイ・ヤーメイよ。歓迎するわ。可愛いリーダーさん。」
マルス「・・・え?」
電子頭脳実験室と書かれたガラス張りのラボに案内されるマルス
フェイ「まったく、どこで遊んでいるのかしら。」
すると、散らかったデスクから、アロハシャツを着たサングラスの男が、突然現れ、フェイのスカートをめくる。
アロハシャツの男「ぺローン」
おしりを隠すフェイ「・・・いい年してそんなことしかできないの?」
マルス「・・・え?この人が・・・?世界一の天才数学者でありコンピュータの王・・・」
フェイ「カレル博士・・・」
カレル「にゃはは!女がミニスカートをはくってパンツ見せたい願望の表出だろ?
フロイトがそんなこと言ってた。」
フェイ「何自分に都合のいい仮説立ててるんですか。殺すわよ?」
憧れの人物がただのセクハラ野郎だと知って、失望して泣いてしまうマルス。
カレル「うお!マルちゃんが俺に会えてうれし泣きを・・・!」
フェイ「よかったわね。」
エディ・ロイド「おっ、坊やじゃねえか。早かったな・・・なんで泣いてんだ?」
粗末なオフィス
カレル「この美人は、フェイ・ヤーメイ博士。医学者で専門は脳神経・・・」
訂正するフェイ「量子認識学。正しくは。
神経系の電気パルスが人間の主観的意識をどのように構築するかを・・・」
カレル「この分野のオーソリティざんすよ。」
フェイ「まだしゃべってたんだけど?」
カレル「しかし、人間の意識が物理的な電気信号に還元できるとは。
さすが中国人ザンス。冷たい唯物史観を持っていらっしゃる。
きみは徒歩や李白の詩が電気信号の産物とでもいうのかね?」
フェイ「ええ。ジャン・コクトーもね。」
マルス(仲悪り~・・・)
カレル「さて、ここでやっていることを簡単に説明しよう。
メインホールの巨人を見ただろう?
あいつを動かす人工知能を開発するのがうちのミッションざんす。」
マルス「あのロボットに知能を?」
カレル「あのソニックブレイドには、世界に一つしかないオレの傑作、ガイアシミュレータが搭載されているざんす。演算速度は従来のスパコンの1兆倍。
世界の連中は、オレの量子コンピュータがサーバールームのような場所にあると思っているようだが、まさかロボットの体内に隠されているとは思うまい。」
エディ「ソニックブレイドの動作制御は合計12000個を超えるサーボモーターが担っている。これをすべて同調させるだけでも大仕事だが・・・最終目標は怪獣どもとの戦闘だ。
となると、一般的な工業用ロボットのように、あらかじめエンジニアが動作パターンを網羅し、それをマシンに再生させるのは不可能。怪獣の行動なんか予測不可能だからな。」
マルス「それは・・・まあ・・・」
エディ「そこで坊やの出番だ。
いくら装備が一流でも、これを動かすコンピュータがヨチヨチ歩きじゃ話にならねえ。」
カレル「コンピュータは超一流ザンス。プログラムがないザンス。」
マルス「ちょっと待ってください・・・!つまり、戦闘状況に合わせて、出力内容を適切に変更していくような人工知能を作れと?フレーム問題は?」
フェイ「そこをなんとかするために、局長はここのボスにあなたを指名したの。」
マルス「・・・え?」
カレル「施設もスタッフも資金も、ムッシュの好きに使うザンス。
パトロンのアメリカ軍からいくらでも引っ張ってこれる。
ただし、絶対に成功させるザンス。これはマンハッタン計画、ヒトゲノム計画以上に重要なミッション。失敗したら国家反逆罪ザンス。」
マルス「ぼく・・・まだ19歳なんですけど・・・」
撤収していくスタッフ。
フェイ「よかったわね。好きなだけコンピュータをいじれるわよ。」
・
裁判所
裁判官「ロスアラモスで人工知能の開発を・・・?」
マルス「不可能だと思ったのですぐにやめた。オレは諦めが良くてね。」
裁判官「では、世界を滅ぼす人工知能がなぜ存在しているんです?」
マルス「開発ではなく教育をしたのさ。」
・
数日後
自分のオフィスで頭を抱えるマルス「知能そのものをコード化するなんて無理だ・・・」
ろくに睡眠も食事もとっておらず、部屋は散らかっている。
部屋に入ってくる酔っぱらっているカレル「いよ~う、マルちゃん、呑みに行こうぜ~!」
マルス「呑みに行こうぜって・・・もう吞んでるじゃないですか・・・
やっぱりムリだと思いますよ?
ロボットにパイロットを乗っけちゃダメなんですか?」
カレル「ははは!マルちゃんはミキサーを使ったことはおあり?」
マルス「ええ・・・」
カレル「あのサイズが激しく動くザンスよ?パイロットはスムージーザンス。」
マルス「遠隔操作は?」
カレル「軍は通信電波の傍受を危惧してるザンス。」
マルス「カレル博士はいつも遊んでばっかりですね・・・」
カレル「もともとこの計画には乗り気じゃないザンスよ。
自分の技術が軍事兵器に応用されて嬉しい科学者はいないザンス。」
マルス「だから適当に仕事をしてるんだ。」
カレル「それよりも、ムッシュが国連のサーバーにアタックしたプログラム。あれに興味があるザンス。あんたは情報だけ奪って痕跡一つ残さなかった。」
マルス「ああ、あれは相手がこちらの攻撃をたどろうとすると、プログラム自身がソースコードを変えるような仕組みを作ったんですよ。刺激を受けて色を変えるカメレオンみたいな。」
カレル「プログラムがプログラムを書くってことざんすか。」
マルス「ええ・・・もともとは大学でそんな研究がしたかったんです。」
カレル「では、それを今すぐ研究するザンス。」
マルス「・・・え?」
カレル「刺激に対して適応をする・・・それこそが知性ではなくて?」
マルス「あのプログラムは別に外界の刺激に適応をしているわけじゃないですよ。
あくまでもサイバー空間での・・・」
カレル「ソースコードはどこにあるざんす?」
マルス「・・・家ごと破壊されちゃったんです。」
カレル「あら、ざんねん。」
マルス「待てよ。高校のパソコン室に・・・」
・
ソニックブレイドが大地を踏みしめる。
電子頭脳実験室で、人間の脳波でロボットが動く実験を見るマルス。
ソニックブレイドの25分の1のサイズのマケットが、MRIから送られてくる電気信号によって操作されている。
フェイ「ブレイン・マシン・インターフェイス。あの医療機器が検体の脳波を読み取り、それを電気信号に変えてロボットを操作する。
わたしはもともとホンダでそんな研究をやってて・・・」
マルス「すごいな。」
フェイ「ほら、お客様にごあいさつ。」
小さなソニックブレイドがマルスにコーヒーを注ぐ。
フェイ「この技術が発展すれば、究極の義手が作れるわ。いえ、人体をほとんどサイボーグ化できるかも。」
マルス「これを使わないなんてもったいない。」
フェイ「上から遠隔操作はリスクが大きいと却下されちゃってね。
まあ、わたしの技術は本来、医療目的だから。別にいいんだけど。」
・
ソニックブレイドがある地下3Fホール
アクチュエータ―開発部のオフィスには、ドラフターや製図用具が転がっている。
エディ「よお、順調そうだな。」
マルス「そう見えますか。」
エディ「全く見えん。フェイから聞いたぜ?遠隔操作を考えているそうだな。」
マルス「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を使わないのは損です。」
エディ「あのお嬢ちゃんには言うなよ。オレは反対だ。」
マルス「なぜ?」
エディ「あんたが最初に関わった怪獣は何だ?」
マルス「キングザウルスなんちゃらだったかな・・・
あの時は怪獣からの電波障害がすごくて・・・あ。」
エディ「そういうことだ。」
マルス「では、BMIの装置をコックピットに搭載するのはどうです?」
エディ「カレルに聞かなかったか?」
マルス「スムージー。」
エディ「そうだ。まあ、ボスはあんただ。判断は任せるよ。」
・
ロスアラモスの居住区にやってくる寺島先生「はい、約束のもの。」
古いハードディスクをマルスに渡す。
マルス「ありがとうございます。」
寺島「どういたしまして。航空便じゃダメだったの?」
マルス「世界の命運を握るプログラムなんで。
みんなは元気ですか?」
寺島「少しは手紙くらい出しなさい。」
マルス「ここは田舎すぎて、外部との情報が完全にシャットアウトなんですよ。」
寺島「ちゃんとご飯食べてる?少しやせたんじゃない?」
マルス「高校の頃と変わらないなあ・・・」
寺島「そうだね・・・ちなみに高校はなくなっちゃったよ。
今は教育委員会で働いてる。」
マルス「そうなんですか・・・」
寺島「しかし、散らかっているわねえ。掃除してあげる。」
マルス「だいじょうぶですって・・・」
寺島「いいから。もっと私を頼ってよ。わたしの・・・最後の教え子なんだから。」
・
マルス(こうして、通称“適応プログラム”の開発が始まった。
適応プログラムとは簡単に言うと箱庭だ。
プログラムの中には自然環境に当たる管理プログラムと、生物に当たるエージェント群が存在する。各エージェントには個性があり、演算結果には多少のばらつきがある。
管理プログラムはユーザーの意向に沿った演算を行ったエージェントを評価し、エージェント群の分布バランスに修正を加えるのだ。
これを繰り返すことで、エージェント群全体の知性を底上げしていく。
プログラムがプログラムを書くというのはそういった意味だ。
量子コンピュータはとりわけこの手のシミュレーションに強く、天文学的なエージェント群の進化を可能とする。
ただし、問題はこの知性は常にユーザーの評価を必要とすることだった。
ユーザー・・・すなわち知性を持つオレたち人間だ。)
・
施設のゲート
寺島「じゃあ、体に気を付けてね。」
マルス「先生も。」
寺島「ねえ・・・えるちゃんに会ってあげなよ。」
マルス「この仕事が終わったら。」
寺島「約束だからね。
まったく・・・マルスくんは先生が教えてやらなきゃ何もわからないんだから。」
マルス「あとで農場の野菜を送りますね。」
寺島「しかし、国連に就職して食糧問題に携わるとはね・・・すばらしい仕事よ。」
マルス「先生のおかげです。」
寺島を見送る。
マルス「今でも教師なんだな・・・はっ教師か。」
・
ソニックブレイドのあるメインホール
マルス「ロイドさん。やはりパイロットの路線で行きましょう」
エディ「だからそれは・・・」
マルス「開発段階だけです。人間のパイロットに実戦での動きをさせて、それを人工知能に学ばせる。そして、十分に知性が進化したら、操縦席をつぶせばいいじゃないですか。」
エディ「ほう。」
マルス「そもそもムリに知能を定義しようとしていたのが間違っていた。
知能がどんなものかわからないのだから、不可能なんです。
しかし・・・ぼくらには知能があることは明白・・・
ならば、ぼくらが教育すればいい。」
エディ「素晴らしいアイディアだが・・・(ソニックブレイドに目をやる)
あの棺桶に誰が乗るんだ?」
マルス「なんとかパイロットがスムージーにならないようにしてください。」
エディ「一つ聞かせてくれ。
仮に安全性が確保されたとして・・・あんたはこれに乗って戦おうと思うか?」
マルス「絶対に嫌だ。」
・
日本の自衛隊基地
教育訓練を終えて整列する新兵
敬礼するさくら「今日で教育訓練は終了です。新しい部隊での活躍を祈ります。
よく頑張ったわね。」
新兵に一人ずつバッジをつけてやるさくら。
涙ぐむえる「教官・・・ありがとうございました・・・」
微笑むさくら「強くなりなさい。あなたをいじめるやつが地球からいなくなるまで。」
配属先が書かれた掲示板を見に行く隊員たち。
「輸送科だ。お前は?」
「通信科。」
自分の名前を探すえる。しかし、どこにも書かれていない。
京冨野「深未二士はいるかな。」
える「は・・・はい!深未えるです!」
京冨野「来なさい。」
える(怒られるのかな・・・)
指揮官室
京冨野「まあ、座って。」
える「失礼します。」
京冨野「きみのことは神宮司陸曹長から聞いている。根性の塊だとね。」
える「はあ・・・」
京冨野「君はどうして自衛隊に入った?」
える「怪獣から町を守るためであります。」
京冨野「だとしたら、自衛隊にその仕事はない。
グドンの件で怪獣との交戦権は剥奪された。最高裁で違憲判決が出たからな。」
える「怪獣と戦えないのですか?」
京冨野「事後的な被災地支援、復興援助に留まる。
原則自然災害と同様のミッションとなるわけだ。」
える「では暴れる怪獣を誰が止めるんですか?」
京冨野「そこでだ。
怪獣と戦いたいという強い覚悟がきみにあるならば・・・うってつけの任務がある。」
える「え?」
京冨野「国連に出向という形になるが・・・どうかね。」
える「こ・・・国連・・・?
いかせてください!」
笑顔で退室するえるを見送る京冨野。
「すまない。他の優秀な隊員は失いたくない。」
オープンカーを走らせる今日子。その助手席にはマルスが座っている。
今日子「・・・機械に感情や知性を与えられると思う?」
マルス「哲学の話ですか?」
今日子「いえ・・・技術的な話。」
マルス「そもそもデジタル信号が、あいまいで複雑なものをどこまで理解できるか・・・」
今日子「機械に愛や平和、正義は分らない?」
マルス「数量的な定義ができないと。
誰かを救うために他の誰かを犠牲にしなければならない状況があったら・・・」
今日子「難しいわね。」
マルス「ファジー理論と言って確率的に判断しちゃうやり方もありますけどね。
なんでそんな話をするんですか?」
今日子「いえ、ちょっと興味があっただけ。」
農場のゲートを通過する。
今日子「ここがWEMAの極秘研究施設よ。」
マルス「ただの農場に見えるのですが・・・」
今日子「実際ただの農場ですわ。」
マルス「そういえば、ずっと聞こうと思ってたんですけど・・・
ぼくのパソコンにWEMAからメッセージがあったんですよ。」
今日子「ふふ。読んでくれた?」
マルス「どうやって、ぼくを知ったんですか?それに、ぼくだって素人じゃない。
ハッキング対策くらいはしている。」
農場内を走るオープンカー。
道の両側には研究スタッフが住む家屋が並んでおり、小さな村のようになっている。
今日子「ここにいる変人にとっては従来のハッキング対策なんて意味がありませんの。」
マルス「そんなハッカーが?」
今日子「というより、コンピュータね。
彼の技術は核兵器以上に国際関係を変えてしまうから・・・世界中が狙っている。
でも、カレル博士はアナーキスト。そういったきな臭い話は嫌いなの。」
マルス「カレル?もしかして・・・パリ大の天才数学者エバリスト・カレルのことですか?」
今日子「あら、ご存じ?」
マルス「もしかして、ここにあるんですか?」
今日子「ええ。世界中のすべての暗号を破ることができる究極のスパコン。
量子コンピュータよ。」
農場のガレージに車を止める今日子。
農場には似つかわしくない厳重な扉の前まで歩く2人。
「話は通してあります。このキーカードを持っていきなさい。
これで、ここのすべてのドアは開くわ。」
カードを受け取るマルス。
「極秘施設のマスターキーをいただけるんですか?」
今日子「当然よ。」
マルス「・・・?」
車に戻る今日子「では、ごきげんよう。」
マルス「局長はいかないんですか?」
今日子「おしりを触られたくないから。」
扉のロックを外して、中に入ると頭上から強風が吹き、体についたほこりを飛ばされる。
次の扉に入ると、今度は地下に続くエレベータがある。
エレベータの壁には紙が貼ってあり「地下3Fを押すこと」と書かれている。
地下3F
エレベータのドアが開くと、目の前に巨大な人型ロボットが立っている。
マルス「・・・これは・・・」
白衣の女性「対怪獣人型兵器ソニックブレイド。今はただの置物よ。」
マルス「なんでこんなものが?」
白衣の女性「これが人類のメシアになるか、粗大ごみになるかはあなた次第。
プログラマーのマルス・ライね?」
マルス「ええ・・・」
白衣の女性「フェイ・ヤーメイよ。歓迎するわ。可愛いリーダーさん。」
マルス「・・・え?」
電子頭脳実験室と書かれたガラス張りのラボに案内されるマルス
フェイ「まったく、どこで遊んでいるのかしら。」
すると、散らかったデスクから、アロハシャツを着たサングラスの男が、突然現れ、フェイのスカートをめくる。
アロハシャツの男「ぺローン」
おしりを隠すフェイ「・・・いい年してそんなことしかできないの?」
マルス「・・・え?この人が・・・?世界一の天才数学者でありコンピュータの王・・・」
フェイ「カレル博士・・・」
カレル「にゃはは!女がミニスカートをはくってパンツ見せたい願望の表出だろ?
フロイトがそんなこと言ってた。」
フェイ「何自分に都合のいい仮説立ててるんですか。殺すわよ?」
憧れの人物がただのセクハラ野郎だと知って、失望して泣いてしまうマルス。
カレル「うお!マルちゃんが俺に会えてうれし泣きを・・・!」
フェイ「よかったわね。」
エディ・ロイド「おっ、坊やじゃねえか。早かったな・・・なんで泣いてんだ?」
粗末なオフィス
カレル「この美人は、フェイ・ヤーメイ博士。医学者で専門は脳神経・・・」
訂正するフェイ「量子認識学。正しくは。
神経系の電気パルスが人間の主観的意識をどのように構築するかを・・・」
カレル「この分野のオーソリティざんすよ。」
フェイ「まだしゃべってたんだけど?」
カレル「しかし、人間の意識が物理的な電気信号に還元できるとは。
さすが中国人ザンス。冷たい唯物史観を持っていらっしゃる。
きみは徒歩や李白の詩が電気信号の産物とでもいうのかね?」
フェイ「ええ。ジャン・コクトーもね。」
マルス(仲悪り~・・・)
カレル「さて、ここでやっていることを簡単に説明しよう。
メインホールの巨人を見ただろう?
あいつを動かす人工知能を開発するのがうちのミッションざんす。」
マルス「あのロボットに知能を?」
カレル「あのソニックブレイドには、世界に一つしかないオレの傑作、ガイアシミュレータが搭載されているざんす。演算速度は従来のスパコンの1兆倍。
世界の連中は、オレの量子コンピュータがサーバールームのような場所にあると思っているようだが、まさかロボットの体内に隠されているとは思うまい。」
エディ「ソニックブレイドの動作制御は合計12000個を超えるサーボモーターが担っている。これをすべて同調させるだけでも大仕事だが・・・最終目標は怪獣どもとの戦闘だ。
となると、一般的な工業用ロボットのように、あらかじめエンジニアが動作パターンを網羅し、それをマシンに再生させるのは不可能。怪獣の行動なんか予測不可能だからな。」
マルス「それは・・・まあ・・・」
エディ「そこで坊やの出番だ。
いくら装備が一流でも、これを動かすコンピュータがヨチヨチ歩きじゃ話にならねえ。」
カレル「コンピュータは超一流ザンス。プログラムがないザンス。」
マルス「ちょっと待ってください・・・!つまり、戦闘状況に合わせて、出力内容を適切に変更していくような人工知能を作れと?フレーム問題は?」
フェイ「そこをなんとかするために、局長はここのボスにあなたを指名したの。」
マルス「・・・え?」
カレル「施設もスタッフも資金も、ムッシュの好きに使うザンス。
パトロンのアメリカ軍からいくらでも引っ張ってこれる。
ただし、絶対に成功させるザンス。これはマンハッタン計画、ヒトゲノム計画以上に重要なミッション。失敗したら国家反逆罪ザンス。」
マルス「ぼく・・・まだ19歳なんですけど・・・」
撤収していくスタッフ。
フェイ「よかったわね。好きなだけコンピュータをいじれるわよ。」
・
裁判所
裁判官「ロスアラモスで人工知能の開発を・・・?」
マルス「不可能だと思ったのですぐにやめた。オレは諦めが良くてね。」
裁判官「では、世界を滅ぼす人工知能がなぜ存在しているんです?」
マルス「開発ではなく教育をしたのさ。」
・
数日後
自分のオフィスで頭を抱えるマルス「知能そのものをコード化するなんて無理だ・・・」
ろくに睡眠も食事もとっておらず、部屋は散らかっている。
部屋に入ってくる酔っぱらっているカレル「いよ~う、マルちゃん、呑みに行こうぜ~!」
マルス「呑みに行こうぜって・・・もう吞んでるじゃないですか・・・
やっぱりムリだと思いますよ?
ロボットにパイロットを乗っけちゃダメなんですか?」
カレル「ははは!マルちゃんはミキサーを使ったことはおあり?」
マルス「ええ・・・」
カレル「あのサイズが激しく動くザンスよ?パイロットはスムージーザンス。」
マルス「遠隔操作は?」
カレル「軍は通信電波の傍受を危惧してるザンス。」
マルス「カレル博士はいつも遊んでばっかりですね・・・」
カレル「もともとこの計画には乗り気じゃないザンスよ。
自分の技術が軍事兵器に応用されて嬉しい科学者はいないザンス。」
マルス「だから適当に仕事をしてるんだ。」
カレル「それよりも、ムッシュが国連のサーバーにアタックしたプログラム。あれに興味があるザンス。あんたは情報だけ奪って痕跡一つ残さなかった。」
マルス「ああ、あれは相手がこちらの攻撃をたどろうとすると、プログラム自身がソースコードを変えるような仕組みを作ったんですよ。刺激を受けて色を変えるカメレオンみたいな。」
カレル「プログラムがプログラムを書くってことざんすか。」
マルス「ええ・・・もともとは大学でそんな研究がしたかったんです。」
カレル「では、それを今すぐ研究するザンス。」
マルス「・・・え?」
カレル「刺激に対して適応をする・・・それこそが知性ではなくて?」
マルス「あのプログラムは別に外界の刺激に適応をしているわけじゃないですよ。
あくまでもサイバー空間での・・・」
カレル「ソースコードはどこにあるざんす?」
マルス「・・・家ごと破壊されちゃったんです。」
カレル「あら、ざんねん。」
マルス「待てよ。高校のパソコン室に・・・」
・
ソニックブレイドが大地を踏みしめる。
電子頭脳実験室で、人間の脳波でロボットが動く実験を見るマルス。
ソニックブレイドの25分の1のサイズのマケットが、MRIから送られてくる電気信号によって操作されている。
フェイ「ブレイン・マシン・インターフェイス。あの医療機器が検体の脳波を読み取り、それを電気信号に変えてロボットを操作する。
わたしはもともとホンダでそんな研究をやってて・・・」
マルス「すごいな。」
フェイ「ほら、お客様にごあいさつ。」
小さなソニックブレイドがマルスにコーヒーを注ぐ。
フェイ「この技術が発展すれば、究極の義手が作れるわ。いえ、人体をほとんどサイボーグ化できるかも。」
マルス「これを使わないなんてもったいない。」
フェイ「上から遠隔操作はリスクが大きいと却下されちゃってね。
まあ、わたしの技術は本来、医療目的だから。別にいいんだけど。」
・
ソニックブレイドがある地下3Fホール
アクチュエータ―開発部のオフィスには、ドラフターや製図用具が転がっている。
エディ「よお、順調そうだな。」
マルス「そう見えますか。」
エディ「全く見えん。フェイから聞いたぜ?遠隔操作を考えているそうだな。」
マルス「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を使わないのは損です。」
エディ「あのお嬢ちゃんには言うなよ。オレは反対だ。」
マルス「なぜ?」
エディ「あんたが最初に関わった怪獣は何だ?」
マルス「キングザウルスなんちゃらだったかな・・・
あの時は怪獣からの電波障害がすごくて・・・あ。」
エディ「そういうことだ。」
マルス「では、BMIの装置をコックピットに搭載するのはどうです?」
エディ「カレルに聞かなかったか?」
マルス「スムージー。」
エディ「そうだ。まあ、ボスはあんただ。判断は任せるよ。」
・
ロスアラモスの居住区にやってくる寺島先生「はい、約束のもの。」
古いハードディスクをマルスに渡す。
マルス「ありがとうございます。」
寺島「どういたしまして。航空便じゃダメだったの?」
マルス「世界の命運を握るプログラムなんで。
みんなは元気ですか?」
寺島「少しは手紙くらい出しなさい。」
マルス「ここは田舎すぎて、外部との情報が完全にシャットアウトなんですよ。」
寺島「ちゃんとご飯食べてる?少しやせたんじゃない?」
マルス「高校の頃と変わらないなあ・・・」
寺島「そうだね・・・ちなみに高校はなくなっちゃったよ。
今は教育委員会で働いてる。」
マルス「そうなんですか・・・」
寺島「しかし、散らかっているわねえ。掃除してあげる。」
マルス「だいじょうぶですって・・・」
寺島「いいから。もっと私を頼ってよ。わたしの・・・最後の教え子なんだから。」
・
マルス(こうして、通称“適応プログラム”の開発が始まった。
適応プログラムとは簡単に言うと箱庭だ。
プログラムの中には自然環境に当たる管理プログラムと、生物に当たるエージェント群が存在する。各エージェントには個性があり、演算結果には多少のばらつきがある。
管理プログラムはユーザーの意向に沿った演算を行ったエージェントを評価し、エージェント群の分布バランスに修正を加えるのだ。
これを繰り返すことで、エージェント群全体の知性を底上げしていく。
プログラムがプログラムを書くというのはそういった意味だ。
量子コンピュータはとりわけこの手のシミュレーションに強く、天文学的なエージェント群の進化を可能とする。
ただし、問題はこの知性は常にユーザーの評価を必要とすることだった。
ユーザー・・・すなわち知性を持つオレたち人間だ。)
・
施設のゲート
寺島「じゃあ、体に気を付けてね。」
マルス「先生も。」
寺島「ねえ・・・えるちゃんに会ってあげなよ。」
マルス「この仕事が終わったら。」
寺島「約束だからね。
まったく・・・マルスくんは先生が教えてやらなきゃ何もわからないんだから。」
マルス「あとで農場の野菜を送りますね。」
寺島「しかし、国連に就職して食糧問題に携わるとはね・・・すばらしい仕事よ。」
マルス「先生のおかげです。」
寺島を見送る。
マルス「今でも教師なんだな・・・はっ教師か。」
・
ソニックブレイドのあるメインホール
マルス「ロイドさん。やはりパイロットの路線で行きましょう」
エディ「だからそれは・・・」
マルス「開発段階だけです。人間のパイロットに実戦での動きをさせて、それを人工知能に学ばせる。そして、十分に知性が進化したら、操縦席をつぶせばいいじゃないですか。」
エディ「ほう。」
マルス「そもそもムリに知能を定義しようとしていたのが間違っていた。
知能がどんなものかわからないのだから、不可能なんです。
しかし・・・ぼくらには知能があることは明白・・・
ならば、ぼくらが教育すればいい。」
エディ「素晴らしいアイディアだが・・・(ソニックブレイドに目をやる)
あの棺桶に誰が乗るんだ?」
マルス「なんとかパイロットがスムージーにならないようにしてください。」
エディ「一つ聞かせてくれ。
仮に安全性が確保されたとして・・・あんたはこれに乗って戦おうと思うか?」
マルス「絶対に嫌だ。」
・
日本の自衛隊基地
教育訓練を終えて整列する新兵
敬礼するさくら「今日で教育訓練は終了です。新しい部隊での活躍を祈ります。
よく頑張ったわね。」
新兵に一人ずつバッジをつけてやるさくら。
涙ぐむえる「教官・・・ありがとうございました・・・」
微笑むさくら「強くなりなさい。あなたをいじめるやつが地球からいなくなるまで。」
配属先が書かれた掲示板を見に行く隊員たち。
「輸送科だ。お前は?」
「通信科。」
自分の名前を探すえる。しかし、どこにも書かれていない。
京冨野「深未二士はいるかな。」
える「は・・・はい!深未えるです!」
京冨野「来なさい。」
える(怒られるのかな・・・)
指揮官室
京冨野「まあ、座って。」
える「失礼します。」
京冨野「きみのことは神宮司陸曹長から聞いている。根性の塊だとね。」
える「はあ・・・」
京冨野「君はどうして自衛隊に入った?」
える「怪獣から町を守るためであります。」
京冨野「だとしたら、自衛隊にその仕事はない。
グドンの件で怪獣との交戦権は剥奪された。最高裁で違憲判決が出たからな。」
える「怪獣と戦えないのですか?」
京冨野「事後的な被災地支援、復興援助に留まる。
原則自然災害と同様のミッションとなるわけだ。」
える「では暴れる怪獣を誰が止めるんですか?」
京冨野「そこでだ。
怪獣と戦いたいという強い覚悟がきみにあるならば・・・うってつけの任務がある。」
える「え?」
京冨野「国連に出向という形になるが・・・どうかね。」
える「こ・・・国連・・・?
いかせてください!」
笑顔で退室するえるを見送る京冨野。
「すまない。他の優秀な隊員は失いたくない。」
『超音速ソニックブレイド』脚本④
2025-10-29 22:04:02 (90 days ago)
雨の降る路地裏
いじめられて泣いている、小学生時代のえる。
小学生時代のマルスが散らばったノート類をえるのランドセルに戻してやる。
える「わたしがくさいんだって。」
マルス「気にするなよ。」
える「ライちゃんも私といるとバイキンがうつるよ。」
マルス「バカバカしい。なんでやり返さないんだ。」
える「怖いもの。」
マルス「負けちゃだめだ。戦わないと。」
・
自衛隊の立川駐屯地
整列する新兵たち。そこには、えるも混ざっている。
ショートカットの精悍な女性が前に立つ。
「おはようございます。今日から皆さんの訓練教官を務めます、神宮司さくらです。仲よく楽しくやりましょう。」
える(女性だ・・・)
おしゃべりをするヤンキー上がりの新人隊員「なんだよ、女かよ。」
「お前、やらせてもらえよ。」
無視をするさくら「まずは皆さんには基本教練・・・整列、気を付け、敬礼、行進の仕方を教えますので、私に倣って・・・」
ヤンキー「その訓練に何の意味があるんですか?」
「オレは早く銃を撃ちたい。」
さくら「私語は慎むように。」
ヤンキー「格闘技とかやんないんすか?オレ、地元の暴走族でケンカ最強だったんすよ」
える(こ・・・怖い人がいる・・・)
いきのいい新人の前に立つさくら「ねえ。きみはなんで自衛隊に入隊したの?」
ヤンキー「オレ、自衛隊で天下取りたいんすよね。」
える(しかもあたしより頭が悪いよ・・・やだなあ・・・)
さくら「きみは地元に残るべきだったわね。」
ヤンキー「なんだと?」
さくら「それなら、ずっとケンカ最強でいられたのに・・・」
ヤンキー「先生、それケンカ売ってんすか?」
さくら「いいよ。格闘訓練しようか。」
ヤンキー「女だからって容赦しねえぞ」
そう言うと新人のパンチをあっさりかわして、カウンターを決めてしまうさくら。
地面に突っ伏す元ケンカ最強。
地面に転がるヤンキーにけりを入れ続ける。
ヤンキー「や・・・やめろ・・・訴えてやる・・・!」
さくら「やめろだと?戦場の敵がそれでやめるかよ。」
圧倒的な暴力にドン引きする新兵たち。
さくら「私はね、お前みたいなやつをいじめるのが大好きなんだ。」
ヤンキーのパンツを脱がせてしまう。
ヤンキー「やめてくれ・・・!」
はしゃぐさくら「今日からお前の名前はフルチンライダーだよ!」
ヤンキー「もう除隊させてくれ!」
さくら「させてくれ?お前、口のきき方がなってねえな。」
ヤンキー「除隊させてください・・・!」
・
食堂
新人隊員たち「あの教官には逆らわない方がいいな・・・」
「嬉々としてパワハラするタイプだぞ・・・」
食事に集中するえる
女の子「となりいいですか?」
える「は、はいどうぞ。」
すると、えると同じく入隊したばかりの女の子が席に着く。身長はかなり高い。
「私以外に女の子がいてホッとしちゃった。わたし、佐藤レイって言います。
あなたは?」
える「ふ・・・深未えるです・・・」
レイ「そんなに怯えないでよ。わたし、背は高いけどいい人だから。」
える「すいません、つい癖で・・・」
レイ「あなたも、衣食住につられて入隊したくち?」
える「ま、まあ・・・」
レイ「私も。怪獣で家族が大けがを負ってさ。私がお金を稼ぐしかなくて。
ここなら、お金ももらえて生活ができるからね。
それ目当てで、今朝みたいな不良も入ってきちゃうわけ。」
える「本当にやめちゃったんでしょうか。」
レイ「泣きながら荷物まとめていたよ。」
える「あんなに強そうな人が、あの程度のいじめでやめちゃうんだ・・・」
レイ「あの程度・・・?」
える「わたし、いじめられた経験だけは質・量ともに負けないんです。
パンツは10回は脱がされました。」
レイ「あはは、なにそれ。深未さんとは同じ班だけど、足を引っ張らないようにするね。」
すると、いつの間にか食事を終えて立ち上がるレイ。
全然食べきっておらず、慌ててかき込むえる。
行進の訓練
ひとりだけ足が逆なえる。
さくら「D班!連帯責任!1時間追加!」
3000m走。
他の隊員からどんどん遅れていくえる。
さくら「D班!連帯責任!10周追加!」
腕立て伏せ
一人だけ全然できないえる。
さくら「D班!連帯責任!100回追加!!」
宿舎
える「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
優しいレイ「だいじょうぶ。おかげでたくさん鍛えられるから。」
レイ「制服はこうやってアイロンをかけると奇麗になるよ。」
える「佐藤さんはなんでもできますね・・・」
レイ「下の子が多かったから。私がお母さん代わり。
わたし・・・貯金をして、やりたいことがあるんだ。」
える「やりたいこと?」
レイ「ツインテールって怪獣がいるじゃん。あれのフライって食べたことある?」
える「ないです・・・」
レイ「エビフライの概念が変わるよ。めちゃくちゃ美味しいのよ。
だから、あたし、でっかい漁船を買って、ツインテールをたくさんとってツインテール屋さんを開きたいんだ。」
える「佐藤さんは、料理もうまいからなあ。」
レイ「よかったら、えるちゃんも一緒にやらない?」
える「いいんですか・・・?」
レイ「友だちじゃない。」
・
グラウンド
整列する新兵たち。
さくら「来月いよいよ体力検定がある。設定された基準に達さないものには、このあたしがパワハラをしまくって任意除隊してもらうからな。お前のこと言ってんだ、深未三等兵!」
える「は!」
さくら「あんたみたいなのがいると、実戦で部隊を危険にさらす。とっととやめてくれない?」
える「やれます!」
さくら「お前の意思なんか知ったこっちゃないわよ。結果が出せるのかって言ってんだ。」
える「出せます!」
さくら「出せなかったら、除隊するというまであんたの指を一本ずつ折ってやるから。」
える「はい!ありがとうございます!!」
その様子を眺めている大佐
京冨野「・・・面白い奴がいるな。」
新兵を解散させて歩いてくるさくら「あら京ちゃん。来てたの。」
京冨野「ものになりそうなのはいるか?」
さくら「精神的に弱いのは男の方ね。ほとんどがやめちゃったわ。」
京冨野「お前さんがいじめるからだろ?」
さくら「でもわたしは火も熱線も吐かないわ。」
京冨野「女の方は?」
さくら「佐藤さんっていう子が優秀。心技体、どれをとっても優れてる。
立派な女性兵士になると思うわ。」
京冨野「お前が人を褒めるとはね。
さっきのもう一人の方はどうなんだ?」
さくら「あの子は狂ってるわ。どう考えても適性がないのに、どんなパワハラをしても辞めてくれない。もはや殺すしかない。」
京冨野「不祥事はやめてくれ・・・」
さくら「あの子にあった仕事を探してあげたいんだけど・・・京ちゃんなんかないかな。」
京冨野「わかった。彼女の履歴書をFAXで送っておいてくれ。」
さくら「ありがとう。」
・
時間外でえるのトレーニングの手伝いをしてやるレイ。
レイ「がんばれ!あと1回・・・!」
泣きながらえる「もうだめです・・・」
レイ「負けちゃだめだ!」
マルスの言葉と重なる。
・
高校の卒業式の回想
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」
・
える「こんなんじゃ・・・ライちゃんを安心させられない・・・!」
レイ「えるちゃんがんばれ!そしてライちゃんって誰?」
・
数日後、体力検定の結果が基地に張り出される。
ギリギリの成績で合格するえる。レイと抱き合う。
その様子を見つめるさくら。
さくら「よくやった。明日からは長期休暇を許す。家族と過ごすのもよし、恋人とデートするもよし。全力で遊んできなさい。」
喜ぶ新兵たち。
える「佐藤さんは実家に?」
レイ「うん。えるちゃんは?」
える「家族も恋人もアメリカなんですよ・・・」
レイ「遠距離恋愛ってすごいなあ・・・さみしくないの?」
える「心が引きちぎれてます。」
レイ「アメリカに行けば?」
える「怪獣襲来アラートがでているから・・・」
レイ「じゃあ、クリスマスも年末年始も一人なの?」
頷くえる
レイ「ねえ、よかったら私の故郷に来ない?
一緒に海でツインテールを釣ろうよ。」
える「いいんですか??」
・
海岸
軽トラックで女子旅をする、えるとレイ。
小さな港。
釣りの道具を置くレイ「ここが穴場なんだ・・・美味しいの食べさせてあげるね」
わくわくするえる「はい!」
のどかな景色。
釣り糸を垂らすレイ「えるちゃんの恋人ってどんな人?」
える「頭が良くてスポーツも万能で、イケメンで超優しいです。」
レイ「なにそれ。めちゃくちゃうらやましいんだけど。
どうやってゲットしたのよ。」
える「確かに謎です・・・なんでわたしなんかと付き合ってくれたのかな。」
レイ「でも、その人の気持ちわかるかも。
えるちゃんってなんか危なっかしくてほうっておけないから。」
える「ごめんなさい・・・」
レイ「うそうそ。きっと、みんなに勇気をくれるからだと思うよ。」
える「わ・・・わたしが?」
レイ「えるちゃんってどんなにつらくても絶対くじけないじゃん。」
える「泣き虫ですけど・・・」
レイ「でも、諦めないでしょ?
わたしなんか釣りが全然ヒットしないから、早くもくじけそうなのに・・・」
える「ま・・・負けないでください・・・!」
レイ「おかしいなあ。前はツインテールの稚魚が入れ食いだったのに。」
える「また、楽しみにしてますよ。もう寒くなってきたし帰りませんか?」
レイ「ごめんね。」
港を立ち去る2人。
海の中では巨大な怪獣の影が泳いでいる。
・
アメリカ
MRFの詰所
部屋に入ってくるジャック
「・・・日本海沖で怪獣による津波が発生。
その後、怪獣は上陸し市街地に甚大な被害・・・」
クラウス「マルスの国じゃねえか。あいつの恋人は無事かな。」
リサ「東京に住んでいるって言ってたから、大丈夫よ。
で、怪獣の種類は?」
ジャック「地底怪獣グドンです。」
表情がこわばるリサ「なんですって。」
クラウス「どんなやつだ?」
リサ「悪意の塊みたいなやつよ。知能が高く・・・好んで人間を殺す。」
ジャック「局長は対怪獣核兵器の使用も許可すると。」
リサ「それを知ってて市街地で暴れるのよ。くそったれ。」
クラウス「ロスアラモスのマルスには知らせるか?」
ジャック「それは局長に任せましょう。出撃です。」
・
市街地
怪獣が両手のムチを一振りするとビルが木っ端みじんになる。
人々を救出しようとする消防車や救急車を狙って攻撃をするグドン。
燃える街に向かう軽トラック。
える「レイちゃん、あぶないよ・・・!」
レイ「みんなを助けないと・・・!」
すると、軽トラックの方に回転しながら吹っ飛んでくる救急車。
える「危ない!」
急ハンドルを切るレイ。
ギリギリでよけると、後方で救急車が爆発する。
レイ「むこうには赤十字病院がある!なんとかしないと!」
える「でもどうやって・・・あんな狂暴な怪獣、殺されちゃうよ!」
レイ「私の家族がいるの!」
える「・・・え?」
車を止めて、燃える救急車からけが人をひきずりだしてトラックに載せるレイ。
レイ「しっかりしてください・・・!」
けが人「あいつは悪魔だ・・・緊急車両ばかりを襲ってくる・・・」
える「・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」
レイ「えるちゃん、みんなを怪獣の進行方向とは逆に誘導して!
同時に、けが人や死者をトリアージするの!早く!」
避難する人を誘導するえる「こ・・・こちらです・・・!」
するとパニックになった市民に体当たりをされ地面に転んでしまう。
けが人を担ぎながら、燃える救急車両を見つめるレイ。
レイ「パトランプが嫌なのかも・・・」
地面に横たわりながらえる「ここにもけが人がいます・・・!」
レイ「わかった、私がトラックに載せる!
えるちゃん・・・マニュアル車は運転できるよね?」
える「何とか免許は・・・」
レイ「さすが自衛隊・・・!この車でけが人を別の病院に運んでほしいの。
救急車の代わりに。」
える「こ・・・怖い・・・怪獣が追いかけてきたら・・・」
レイ「おそらくだけど・・・あの怪獣は赤い光が嫌いで叩き潰しているのよ。
ウシと一緒。わたしは緊急病院に急行して、あの看板の照明を消させる!」
レイが指をさす方向に、赤十字の赤い点灯看板がある。
涙を流すえる「そんなの、わからないじゃないですか!」
えるに怒鳴るレイ「あなたはなんのために自衛隊に入隊したの!
ここでべそをかいてる間にこの人たちは死ぬのよ!」
涙をぬぐうえる「・・・・・・。
絶対戻ってきてよ。」
微笑むレイ「ちょっとお見舞いに行ってくるね。」
すると、振り返って病院の方へ――怪獣の暴れる方へ駆けだすレイ。
トラックに乗り込むえる「もうしばらくのしんぼうです。」
怪獣とは逆の方向へトラックを発進させるえる。
丘を下り港の方へ進んでいくえるのトラック。
自衛隊の部隊とすれ違う。
丘の向こうは赤く燃え、自衛隊の車両は次々とあの赤に消えていく。
える「お願い・・・あの怪獣を倒して・・・」
頭上では戦闘機と戦闘ヘリコプターが怪獣を強襲する。
・
市街地に転がっているグドンの死骸。
この戦闘は怪獣による史上最悪の犠牲者を出した。
死者の数は2万人。
さらにグドンの死骸から深刻な毒ガスが発生し、災害関連死はその2倍以上となった。
政府の有識者委員会は、自衛隊による攻撃は、かえって怪獣を刺激させ、市街地の被害を大きくしてしまったと、その対応を非難した。
世間の自衛隊に対する目は一層冷たいものとなった。
戦場の跡を眺めるMRFの隊員。
十字架を握りしめるジャック「彼らの魂に平和を・・・」
クラウス「この悪魔を殺せたんだから、日本の自衛隊も大手柄じゃねえか。
なぜ非難される?」
リサ「・・・そうね。攻撃をしなかったら、もっと多くの人が死んでいたかも。」
クラウス「怪獣オタク。こいつはなんでそんなに機嫌が悪かった?」
リサ「海水温の変動で、海洋プランクトンを食べるツインテールという怪獣の個体数が減ったの。エルニーニョ現象って聞いたことない?」
クラウス「オレも学校は出てるんだ。」
リサ「で、このグドンはツインテールの成体を捕食していたから・・・深刻な飢餓状態となり・・・人間のコミュニティを狙った・・・
彼は知ってしまったの。ツインテールよりも人間の方がたやすく殺せることを。」
クラウス「ぞっとする話だ。」
ジャック「さらに、彼らは赤い光を嫌います。自分が暴れたことで街に火の手が上がり、いっそうパニックに陥ってしまった。
最後は・・・アドレナリンショックで・・・」
クラウス「オレたちはどうすれば正解だったんだ?」
ジャック「地球環境を守るしか・・・」
・
佐藤レイの葬儀会場。
参列者「遺体の半分は食いちぎられていたそうよ・・・」
涙を流すえる「レイちゃん・・・」
会場の外で煙草を吸う喪服のさくら。
京冨野「タバコはやめたんじゃねえのか?」
煙草を向けるさくら「・・・いじめやケンカってどうすればなくなると思う?」
首を振る京冨野「なんかのたとえ話か?」
さくら「圧倒的に強い奴がどっちもぶっ飛ばせばいいのよ。
わたしは今までそうやって生きてきたし、あの子にもそう教えた。
いじめられたくなければ殴り返せって。
話し合いで今までお前のいじめがなくなったことはあるのかって。」
京冨野「そうだな・・・」
さくら「しかし、それは私の人生で圧倒的に強い奴がいなかっただけなのかもしれない。圧倒的に強い奴に殴り返した結果がこれだったとしたら・・・」
京冨野「お前らしくねえな。
ただ、一つだけ言えるのは・・・人間が地球の支配者だったのは過去の話だってことだ・・・」
・
自衛隊の駐屯地
大雨の降る中、訓練を行なう隊員たち。
とくに体力のないえるにしごきを入れるさくら。
えるに怒鳴るさくら「お前みたいなやつに国は守れない!辞めると言え!!」
泥だらけで叫ぶえる「嫌だ!」
さくら「なぜ諦めない!」
える「わたしにはここしかないんだ・・・!」
いじめられて泣いている、小学生時代のえる。
小学生時代のマルスが散らばったノート類をえるのランドセルに戻してやる。
える「わたしがくさいんだって。」
マルス「気にするなよ。」
える「ライちゃんも私といるとバイキンがうつるよ。」
マルス「バカバカしい。なんでやり返さないんだ。」
える「怖いもの。」
マルス「負けちゃだめだ。戦わないと。」
・
自衛隊の立川駐屯地
整列する新兵たち。そこには、えるも混ざっている。
ショートカットの精悍な女性が前に立つ。
「おはようございます。今日から皆さんの訓練教官を務めます、神宮司さくらです。仲よく楽しくやりましょう。」
える(女性だ・・・)
おしゃべりをするヤンキー上がりの新人隊員「なんだよ、女かよ。」
「お前、やらせてもらえよ。」
無視をするさくら「まずは皆さんには基本教練・・・整列、気を付け、敬礼、行進の仕方を教えますので、私に倣って・・・」
ヤンキー「その訓練に何の意味があるんですか?」
「オレは早く銃を撃ちたい。」
さくら「私語は慎むように。」
ヤンキー「格闘技とかやんないんすか?オレ、地元の暴走族でケンカ最強だったんすよ」
える(こ・・・怖い人がいる・・・)
いきのいい新人の前に立つさくら「ねえ。きみはなんで自衛隊に入隊したの?」
ヤンキー「オレ、自衛隊で天下取りたいんすよね。」
える(しかもあたしより頭が悪いよ・・・やだなあ・・・)
さくら「きみは地元に残るべきだったわね。」
ヤンキー「なんだと?」
さくら「それなら、ずっとケンカ最強でいられたのに・・・」
ヤンキー「先生、それケンカ売ってんすか?」
さくら「いいよ。格闘訓練しようか。」
ヤンキー「女だからって容赦しねえぞ」
そう言うと新人のパンチをあっさりかわして、カウンターを決めてしまうさくら。
地面に突っ伏す元ケンカ最強。
地面に転がるヤンキーにけりを入れ続ける。
ヤンキー「や・・・やめろ・・・訴えてやる・・・!」
さくら「やめろだと?戦場の敵がそれでやめるかよ。」
圧倒的な暴力にドン引きする新兵たち。
さくら「私はね、お前みたいなやつをいじめるのが大好きなんだ。」
ヤンキーのパンツを脱がせてしまう。
ヤンキー「やめてくれ・・・!」
はしゃぐさくら「今日からお前の名前はフルチンライダーだよ!」
ヤンキー「もう除隊させてくれ!」
さくら「させてくれ?お前、口のきき方がなってねえな。」
ヤンキー「除隊させてください・・・!」
・
食堂
新人隊員たち「あの教官には逆らわない方がいいな・・・」
「嬉々としてパワハラするタイプだぞ・・・」
食事に集中するえる
女の子「となりいいですか?」
える「は、はいどうぞ。」
すると、えると同じく入隊したばかりの女の子が席に着く。身長はかなり高い。
「私以外に女の子がいてホッとしちゃった。わたし、佐藤レイって言います。
あなたは?」
える「ふ・・・深未えるです・・・」
レイ「そんなに怯えないでよ。わたし、背は高いけどいい人だから。」
える「すいません、つい癖で・・・」
レイ「あなたも、衣食住につられて入隊したくち?」
える「ま、まあ・・・」
レイ「私も。怪獣で家族が大けがを負ってさ。私がお金を稼ぐしかなくて。
ここなら、お金ももらえて生活ができるからね。
それ目当てで、今朝みたいな不良も入ってきちゃうわけ。」
える「本当にやめちゃったんでしょうか。」
レイ「泣きながら荷物まとめていたよ。」
える「あんなに強そうな人が、あの程度のいじめでやめちゃうんだ・・・」
レイ「あの程度・・・?」
える「わたし、いじめられた経験だけは質・量ともに負けないんです。
パンツは10回は脱がされました。」
レイ「あはは、なにそれ。深未さんとは同じ班だけど、足を引っ張らないようにするね。」
すると、いつの間にか食事を終えて立ち上がるレイ。
全然食べきっておらず、慌ててかき込むえる。
行進の訓練
ひとりだけ足が逆なえる。
さくら「D班!連帯責任!1時間追加!」
3000m走。
他の隊員からどんどん遅れていくえる。
さくら「D班!連帯責任!10周追加!」
腕立て伏せ
一人だけ全然できないえる。
さくら「D班!連帯責任!100回追加!!」
宿舎
える「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
優しいレイ「だいじょうぶ。おかげでたくさん鍛えられるから。」
レイ「制服はこうやってアイロンをかけると奇麗になるよ。」
える「佐藤さんはなんでもできますね・・・」
レイ「下の子が多かったから。私がお母さん代わり。
わたし・・・貯金をして、やりたいことがあるんだ。」
える「やりたいこと?」
レイ「ツインテールって怪獣がいるじゃん。あれのフライって食べたことある?」
える「ないです・・・」
レイ「エビフライの概念が変わるよ。めちゃくちゃ美味しいのよ。
だから、あたし、でっかい漁船を買って、ツインテールをたくさんとってツインテール屋さんを開きたいんだ。」
える「佐藤さんは、料理もうまいからなあ。」
レイ「よかったら、えるちゃんも一緒にやらない?」
える「いいんですか・・・?」
レイ「友だちじゃない。」
・
グラウンド
整列する新兵たち。
さくら「来月いよいよ体力検定がある。設定された基準に達さないものには、このあたしがパワハラをしまくって任意除隊してもらうからな。お前のこと言ってんだ、深未三等兵!」
える「は!」
さくら「あんたみたいなのがいると、実戦で部隊を危険にさらす。とっととやめてくれない?」
える「やれます!」
さくら「お前の意思なんか知ったこっちゃないわよ。結果が出せるのかって言ってんだ。」
える「出せます!」
さくら「出せなかったら、除隊するというまであんたの指を一本ずつ折ってやるから。」
える「はい!ありがとうございます!!」
その様子を眺めている大佐
京冨野「・・・面白い奴がいるな。」
新兵を解散させて歩いてくるさくら「あら京ちゃん。来てたの。」
京冨野「ものになりそうなのはいるか?」
さくら「精神的に弱いのは男の方ね。ほとんどがやめちゃったわ。」
京冨野「お前さんがいじめるからだろ?」
さくら「でもわたしは火も熱線も吐かないわ。」
京冨野「女の方は?」
さくら「佐藤さんっていう子が優秀。心技体、どれをとっても優れてる。
立派な女性兵士になると思うわ。」
京冨野「お前が人を褒めるとはね。
さっきのもう一人の方はどうなんだ?」
さくら「あの子は狂ってるわ。どう考えても適性がないのに、どんなパワハラをしても辞めてくれない。もはや殺すしかない。」
京冨野「不祥事はやめてくれ・・・」
さくら「あの子にあった仕事を探してあげたいんだけど・・・京ちゃんなんかないかな。」
京冨野「わかった。彼女の履歴書をFAXで送っておいてくれ。」
さくら「ありがとう。」
・
時間外でえるのトレーニングの手伝いをしてやるレイ。
レイ「がんばれ!あと1回・・・!」
泣きながらえる「もうだめです・・・」
レイ「負けちゃだめだ!」
マルスの言葉と重なる。
・
高校の卒業式の回想
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」
・
える「こんなんじゃ・・・ライちゃんを安心させられない・・・!」
レイ「えるちゃんがんばれ!そしてライちゃんって誰?」
・
数日後、体力検定の結果が基地に張り出される。
ギリギリの成績で合格するえる。レイと抱き合う。
その様子を見つめるさくら。
さくら「よくやった。明日からは長期休暇を許す。家族と過ごすのもよし、恋人とデートするもよし。全力で遊んできなさい。」
喜ぶ新兵たち。
える「佐藤さんは実家に?」
レイ「うん。えるちゃんは?」
える「家族も恋人もアメリカなんですよ・・・」
レイ「遠距離恋愛ってすごいなあ・・・さみしくないの?」
える「心が引きちぎれてます。」
レイ「アメリカに行けば?」
える「怪獣襲来アラートがでているから・・・」
レイ「じゃあ、クリスマスも年末年始も一人なの?」
頷くえる
レイ「ねえ、よかったら私の故郷に来ない?
一緒に海でツインテールを釣ろうよ。」
える「いいんですか??」
・
海岸
軽トラックで女子旅をする、えるとレイ。
小さな港。
釣りの道具を置くレイ「ここが穴場なんだ・・・美味しいの食べさせてあげるね」
わくわくするえる「はい!」
のどかな景色。
釣り糸を垂らすレイ「えるちゃんの恋人ってどんな人?」
える「頭が良くてスポーツも万能で、イケメンで超優しいです。」
レイ「なにそれ。めちゃくちゃうらやましいんだけど。
どうやってゲットしたのよ。」
える「確かに謎です・・・なんでわたしなんかと付き合ってくれたのかな。」
レイ「でも、その人の気持ちわかるかも。
えるちゃんってなんか危なっかしくてほうっておけないから。」
える「ごめんなさい・・・」
レイ「うそうそ。きっと、みんなに勇気をくれるからだと思うよ。」
える「わ・・・わたしが?」
レイ「えるちゃんってどんなにつらくても絶対くじけないじゃん。」
える「泣き虫ですけど・・・」
レイ「でも、諦めないでしょ?
わたしなんか釣りが全然ヒットしないから、早くもくじけそうなのに・・・」
える「ま・・・負けないでください・・・!」
レイ「おかしいなあ。前はツインテールの稚魚が入れ食いだったのに。」
える「また、楽しみにしてますよ。もう寒くなってきたし帰りませんか?」
レイ「ごめんね。」
港を立ち去る2人。
海の中では巨大な怪獣の影が泳いでいる。
・
アメリカ
MRFの詰所
部屋に入ってくるジャック
「・・・日本海沖で怪獣による津波が発生。
その後、怪獣は上陸し市街地に甚大な被害・・・」
クラウス「マルスの国じゃねえか。あいつの恋人は無事かな。」
リサ「東京に住んでいるって言ってたから、大丈夫よ。
で、怪獣の種類は?」
ジャック「地底怪獣グドンです。」
表情がこわばるリサ「なんですって。」
クラウス「どんなやつだ?」
リサ「悪意の塊みたいなやつよ。知能が高く・・・好んで人間を殺す。」
ジャック「局長は対怪獣核兵器の使用も許可すると。」
リサ「それを知ってて市街地で暴れるのよ。くそったれ。」
クラウス「ロスアラモスのマルスには知らせるか?」
ジャック「それは局長に任せましょう。出撃です。」
・
市街地
怪獣が両手のムチを一振りするとビルが木っ端みじんになる。
人々を救出しようとする消防車や救急車を狙って攻撃をするグドン。
燃える街に向かう軽トラック。
える「レイちゃん、あぶないよ・・・!」
レイ「みんなを助けないと・・・!」
すると、軽トラックの方に回転しながら吹っ飛んでくる救急車。
える「危ない!」
急ハンドルを切るレイ。
ギリギリでよけると、後方で救急車が爆発する。
レイ「むこうには赤十字病院がある!なんとかしないと!」
える「でもどうやって・・・あんな狂暴な怪獣、殺されちゃうよ!」
レイ「私の家族がいるの!」
える「・・・え?」
車を止めて、燃える救急車からけが人をひきずりだしてトラックに載せるレイ。
レイ「しっかりしてください・・・!」
けが人「あいつは悪魔だ・・・緊急車両ばかりを襲ってくる・・・」
える「・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」
レイ「えるちゃん、みんなを怪獣の進行方向とは逆に誘導して!
同時に、けが人や死者をトリアージするの!早く!」
避難する人を誘導するえる「こ・・・こちらです・・・!」
するとパニックになった市民に体当たりをされ地面に転んでしまう。
けが人を担ぎながら、燃える救急車両を見つめるレイ。
レイ「パトランプが嫌なのかも・・・」
地面に横たわりながらえる「ここにもけが人がいます・・・!」
レイ「わかった、私がトラックに載せる!
えるちゃん・・・マニュアル車は運転できるよね?」
える「何とか免許は・・・」
レイ「さすが自衛隊・・・!この車でけが人を別の病院に運んでほしいの。
救急車の代わりに。」
える「こ・・・怖い・・・怪獣が追いかけてきたら・・・」
レイ「おそらくだけど・・・あの怪獣は赤い光が嫌いで叩き潰しているのよ。
ウシと一緒。わたしは緊急病院に急行して、あの看板の照明を消させる!」
レイが指をさす方向に、赤十字の赤い点灯看板がある。
涙を流すえる「そんなの、わからないじゃないですか!」
えるに怒鳴るレイ「あなたはなんのために自衛隊に入隊したの!
ここでべそをかいてる間にこの人たちは死ぬのよ!」
涙をぬぐうえる「・・・・・・。
絶対戻ってきてよ。」
微笑むレイ「ちょっとお見舞いに行ってくるね。」
すると、振り返って病院の方へ――怪獣の暴れる方へ駆けだすレイ。
トラックに乗り込むえる「もうしばらくのしんぼうです。」
怪獣とは逆の方向へトラックを発進させるえる。
丘を下り港の方へ進んでいくえるのトラック。
自衛隊の部隊とすれ違う。
丘の向こうは赤く燃え、自衛隊の車両は次々とあの赤に消えていく。
える「お願い・・・あの怪獣を倒して・・・」
頭上では戦闘機と戦闘ヘリコプターが怪獣を強襲する。
・
市街地に転がっているグドンの死骸。
この戦闘は怪獣による史上最悪の犠牲者を出した。
死者の数は2万人。
さらにグドンの死骸から深刻な毒ガスが発生し、災害関連死はその2倍以上となった。
政府の有識者委員会は、自衛隊による攻撃は、かえって怪獣を刺激させ、市街地の被害を大きくしてしまったと、その対応を非難した。
世間の自衛隊に対する目は一層冷たいものとなった。
戦場の跡を眺めるMRFの隊員。
十字架を握りしめるジャック「彼らの魂に平和を・・・」
クラウス「この悪魔を殺せたんだから、日本の自衛隊も大手柄じゃねえか。
なぜ非難される?」
リサ「・・・そうね。攻撃をしなかったら、もっと多くの人が死んでいたかも。」
クラウス「怪獣オタク。こいつはなんでそんなに機嫌が悪かった?」
リサ「海水温の変動で、海洋プランクトンを食べるツインテールという怪獣の個体数が減ったの。エルニーニョ現象って聞いたことない?」
クラウス「オレも学校は出てるんだ。」
リサ「で、このグドンはツインテールの成体を捕食していたから・・・深刻な飢餓状態となり・・・人間のコミュニティを狙った・・・
彼は知ってしまったの。ツインテールよりも人間の方がたやすく殺せることを。」
クラウス「ぞっとする話だ。」
ジャック「さらに、彼らは赤い光を嫌います。自分が暴れたことで街に火の手が上がり、いっそうパニックに陥ってしまった。
最後は・・・アドレナリンショックで・・・」
クラウス「オレたちはどうすれば正解だったんだ?」
ジャック「地球環境を守るしか・・・」
・
佐藤レイの葬儀会場。
参列者「遺体の半分は食いちぎられていたそうよ・・・」
涙を流すえる「レイちゃん・・・」
会場の外で煙草を吸う喪服のさくら。
京冨野「タバコはやめたんじゃねえのか?」
煙草を向けるさくら「・・・いじめやケンカってどうすればなくなると思う?」
首を振る京冨野「なんかのたとえ話か?」
さくら「圧倒的に強い奴がどっちもぶっ飛ばせばいいのよ。
わたしは今までそうやって生きてきたし、あの子にもそう教えた。
いじめられたくなければ殴り返せって。
話し合いで今までお前のいじめがなくなったことはあるのかって。」
京冨野「そうだな・・・」
さくら「しかし、それは私の人生で圧倒的に強い奴がいなかっただけなのかもしれない。圧倒的に強い奴に殴り返した結果がこれだったとしたら・・・」
京冨野「お前らしくねえな。
ただ、一つだけ言えるのは・・・人間が地球の支配者だったのは過去の話だってことだ・・・」
・
自衛隊の駐屯地
大雨の降る中、訓練を行なう隊員たち。
とくに体力のないえるにしごきを入れるさくら。
えるに怒鳴るさくら「お前みたいなやつに国は守れない!辞めると言え!!」
泥だらけで叫ぶえる「嫌だ!」
さくら「なぜ諦めない!」
える「わたしにはここしかないんだ・・・!」
『超音速ソニックブレイド』脚本③
2025-10-28 19:57:14 (91 days ago)
国際刑事裁判所
マルス「彼女とはそれ以来会っていない。」
裁判官「本当に?」
マルス「就職してから、ずっとアメリカ暮らしだ。」
裁判官「では、最後の日に何を話しましたか?」
・
2003年 卒業式の日
桜の木を眺める二人
マルス(アメリカにいっしょに来てほしい。)
える(アメリカに行かないでほしい。)
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」
マルス「・・・」(せっかく決心しているんだから、えるの意思を尊重しよう。)
える(・・・ほんとうはずっとそばにいてほしい・・・でも、泣かないって決めたんだ)
マルス「・・・日本はきみに任せた。ぼくは世界のほうをなんとかするよ。」
える「お母さんをお願いします。仕事に夢中になって自分を犠牲にしちゃう人なんで。」
さくらを見上げるマルス「アメリカにもソメイヨシノはあるのだろうか。」
マルスの手を握るえる「わたしのこと忘れないでね。」
・
裁判所
裁判官「それであなたは何と?」
マルス「いってきます。」
裁判官「それだけ?」
マルス「もう二度と会えないなんて思ってはいなかったから。」
裁判官「当時、深未えるが残虐性を垣間見せたことは?」
マルス「虫も殺せない女の子ですよ・・・」
裁判官「では、あなたが変えてしまったのでは?」
マルス「あいつは何も変わっちゃいない。だから苦しんだんだ。」
被告席に戻るマルス。
弁護士がマルスにささやく「元来、残酷な人間だったと証言すべきだったな。」
マルス「なぜ?」
弁護士「きみの容疑をなすり付けられた。」
・
2004年
ニューヨーク 世界危機管理局本部
サーバールームの横を通り過ぎる今日子とマルス
目を輝かせるマルス「こんなところでプログラム開発がやれるなんて・・・」
今日子「ここがオペレーションルームです。
世界中の大規模災害を、GPSを用いてリアルタイムでモニタリングしています。
地震、火山活動、山火事、異常気象・・・今では怪獣も。」
ガラスの向こうにオペレーションルームがある。
ガラスをコンコンと叩いて、中の人物を呼ぶ今日子。
メガネをかけた気弱そうな美青年がこちらに気づく。
今日子「あの人が、マルスさんの上司です。イギリス英語は大丈夫?」
マルス「よかった・・・優しそうな人だ・・・」
美青年が廊下に出てくる。
今日子「彼が噂の新人ですわ。」
ハーヴァー「マルスくんですね。ジャック・ハーヴァ―と言います。
ようこそ世界危機管理局へ。お待ちしておりました。」
握手するマルス「よ・・・よろしくお願いします。」
ハーヴァー「歓迎のお茶会でもしましょう。どうぞ、こちらへ。」
今日子「では、わたしはこれで。よろしくね、隊長。」
マルス(・・・?“隊長”?)
MRFと書かれた部屋に案内される。
ジャック「中で待っていてもらえますか?お茶を入れてきますね。」
マルス「はあ・・・」
部屋に入ると、酒とたばこ、火薬のにおいが漂う。
そこは兵士の更衣室のような場所で、武器庫やロッカーが並んでいる。
マルス「・・・ファイトクラブ感がすごい・・・」
すると、ドッグタグをぶら下げた若い屈強な男女が部屋に入ってくる。
男「なんだてめえは。どこから入ってきた。」
マルス「このドアから・・・」
女「おどしちゃダメよクラウス、歓迎してあげないと。
この坊やがきっとスタンレーの代わりじゃない?」
男「ガキじゃねえか・・・うちもなめられたもんだぜ。」
女「スタンレーはね、怪獣に踏みつぶされて死んじゃったの。
きみは足は速い?怪獣に近づくときは気を付けてよね。」
マルス「・・・部屋を間違えました・・・」
笑顔で部屋に入ってくるジャック「紅茶が入りましたよ。」
青ざめるマルス「間違えてなかった・・・」
お茶会
女「私はリサ。カナダ出身の23歳。怪獣行動学者。マルスくんは中国人?」
マルス「日本です・・・」
クラウス「マジか?おい、マルス、ニンジャって本当にいるのか?」
マルス「・・・え?ま、まあ・・・」
クラウス「やっぱり強いのか?
オレはな、ニンジャになりたくて特殊部隊に入ったんだ。」
マルス(こいつ結構バカだな・・・)「ええ・・・日本政府がその存在を隠していますが・・・
増税に反対する国民は、彼らによってみな消されています。」
紅茶を飲みながら話を合わせるジャック「だから、日本国民は政府に従順なんですね・・・」
クラウス「恐ろしい国だな。」
マルス「ちなみにぼくも甲賀流忍者の末裔です。」
クラウス「無礼な態度を許してくれ。」
笑いをこらえるリサ
マルス「あの・・・MRFとは?」
ジャック「モンスター・レスポンス・フォース、怪獣即応部隊です。」
クラウス「怪獣退治の専門家ってとこだな。」
リサ「いえ、怪獣保護よ。」
ジャック「怪獣が出現した際に現場に急行し、WEMA本部に状況を報告、指示を受けて対処を行ないます。」
マルス「・・・現場?」
・
アメリカ中西部の山岳森林地帯
キングザウルス3世が原発を狙って侵攻している。
(オレの国連での最初の仕事は、荒くれ者の部隊の通信エンジニアだった・・・)
怪獣に並走するMRFのジープ。
クラウス「おいニンジャ!無線が使えないぞ!!」
通信機をいじるマルス「あの恐竜から出てる電磁波の干渉がひどいんですって!
なんか放射能も出てるし!」
クラウス「なんとかしろ!」
マルス「ロケットランチャーの射程まで近づけっていったの、あんたじゃないですか!!」
リサ「怪獣を傷つけるのはダメよ!うまく誘導して自然に返すわ・・・!」
クラウス「バカ女、あいつが原発を壊せば、カリフォルニアは停電だぞ!」
リサ「バカはあんたよ!そんなロケランでキングザウルス3世が倒せるわけないでしょ!」
ハンドルを握るジャック「2人とも冷静に・・・!本部からの指示を待ちましょう・・・!」
クラウス「ニンジャ!無線を直せ!!」
マルス「忍者でも無理!」
ジャック「これ以上怪獣の接近を許すと、こちらも危険です・・・!」
ヘッドセットをつかんでマルス「本部からの指示は攻撃です!」
リサ「無線が直ったの?」
マルス「直ってない!でも、通信機器の故障を見越して本部とモールス信号を決めたんです!」
ロケランを構えるクラウス「よし来た!」
ジャック「耳をおさえて!」
クラウス「ジャベリン発射!!」
ロケットランチャーが火を吹き、怪獣の方へ飛んでいく。
すると、怪獣の周囲にある見えない壁に阻まれて、ロケット弾が爆発する。
リサ「怪獣にダメージなし!」
クラウス「この距離で外すわけねえだろ!」
リサ「怪獣にダメージなし!!」
クラウス「うるせえ!二回言うな!」
マルス「バリアを張るんだ・・・!」
リサ「思ったとおりね。」
怪獣の目標が原発からジープになる。
クラウス「これも思った通りか?」
ジープに突進してくる怪獣。
マルス「追いつかれる・・・!」
ジャック「エサの劣化ウラン弾を切り離して!」
車両後部に身を乗り出すマルス「なんで、オレがこんなことを・・・!」
・
WEMA本部
モニターにロケット弾をバリアで防ぐ怪獣の様子が映し出される。
今日子「まあ、厄介だわ・・・」
ボロボロのマルスが戻ってくる。
マルス「ただいま・・・」
今日子「おかえりなさい。お手柄ね。」
マルス「こういう時はアナログの方が強いんです。
怪獣はウランを食べたら満足して巣穴に帰りましたよ。」
バリアの映像を指さして今日子「どう思います?」
マルス「ぼくの専門は数学だ。怪獣じゃない。リサに聞いてください。」
今日子「リサは、ある種の捕食回避行動だと言っていたわ。
硬い甲羅を持つカメやアルマジロと変わらないと。」
マルス「こいつを捕食するやつがいるんですか?」
今日子「全長105mの古代恐竜を?いるわけないわね。
では、彼らはなぜこんな能力を進化させたのかしら・・・」
マルス「ぼくらに攻撃をさせたのは、バリアの証明をしたかったのと、怪獣のおとりをさせたかったからですか?」
今日子「・・・大停電は回避できたわ。」
マルス「こんなことやってたら遅かれ早かれ死んじまう。
ぼくはプログラマーだ。こんな仕事向いてない。事務方にしてください。」
今日子「まだ入職してひと月も経ってないのに?」
マルス「そうそう・・・あいつがなぜバリアを張るか。ぼくには分かりましたよ。」
今日子「教えていただける?」
マルス「自分の生き方を干渉されたくないんです。」
ホワイトボードに数式を書いて立ち去るマルス。
今日子「ロイドさん、これは何?」
作業着の男性エディ・ロイド「核分裂反応の公式だ。
なるほど、やっこさんは、あの怪物は動く原発だと言ってるんだ。体内の核反応を制御するためには外的な要因を遮断する必要がある。連中の好物はウラン。ありうる話だぞ。」
今日子「彼、確かに賢いわ。」
ロイド「ロスアラモスのカレルに会わせてもいいんじゃないか?」
今日子「あの子に世界の命運を握らせる?」
・
MRF詰所
リサ「異動願を出したの?もう??」
クラウス「そこまで俺たちが嫌いか?」
マルス「そういうわけでは・・・」
クラウス「うちのボスはあんたを気に入ってる。離さないと思うぜ。」
マルス「そんな役にたってました?」
リサ「もちろん。うちは人数が少ないから。
ライが入ってくれなかったら、なくなっちゃうところだったの。」
マルス「なんでもっと人員を増やさないんですか?」
クラウス「お前と同じ理由だよ。みんな怪獣どもに近づきたくないのさ。
誰もが安全地帯で好き勝手なことを言いやがる。あの女のように。」
リサ「局長を悪く言わない。でも、MRFがなくなったら・・・軍が初動に当たるわ。
彼らは怪獣のことなんか知らないから・・・」
ジャックが部屋に入ってくる。
「キングザウルス3世の頭上からナパーム弾を落として核爆発です。」
リサ「隊長。」
ジャック「偉大なるアメリカ軍は自国で歩く核爆弾を起爆させたいようです。
我々があの怪獣をひと月以内に無力化できなければ、MRFは解散。
怪獣の対処は国連から、各国の軍隊に移譲されると。
局長も辛い立場みたいですね。なんとかひと月までねばったようだ。
マルスくん、こうは考えられませんか?
局長はあなたの才能を見越して、あえてここによこしたのだと。」
マルス「・・・一つだけ教えてください。
みなさんは怖くはないんですか?なんで誰もやりたがらないことをやるんです?」
3人「・・・・・・。」
リサ「私は怪獣が好きなの。」
クラウス「ここは給料がいい。」
マルス(思っていた答えと違う・・・!)
ジャック「わたしは・・・故郷が怪獣に破壊されて・・・妻子が死んじゃったんです。
だから・・・怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス(この人・・・えると同じことを言ってる・・・)
リサ・クラウス「しょうもない理由を言ってすいませんでした・・・」
マルス「一か月以内に、あの怪物をおとなしくさせればいいんですよね?」
リサ「ライ・・・」
マルス「ぼくに考えがあります。」
・
臨海エリアにあるWEMAの工場
マルス「あなたはWEMAで最も優秀な工学者だと聞きました。」
エディ・ロイド「お世辞はいい。用件は何だ?」
マルス「害虫駆除に日本ではホウ酸団子っていうのがありましてね。」
ロイド「お前、面白いこと言うな。」
マルス「どれくらいでこしらえられますか?」
・
コロラドスプリングス
キングザウルス3世の巨大な巣穴
巨大なブルドーザーが穴に使用済みの核燃料を入れる。
マルス「ほら、飯だぞ。」
クラウス「食うかな。」
リサ「バリアを発生させるのは、かなりのエネルギーを使うから・・・空腹なはず。」
ジャック「祈りましょう。」
・
(ホウ素入りの核燃料を食べたキングザウルス3世は、体内の中性子が吸収されたことで、ほどなく核反応を停止させた。古代の巨竜は地中で永い眠りについたのだ。)
・
作戦が成功し、抱きしめあうMRFの隊員。
涙目のジャック「マルスさん、あなたのおかげでMRFが続けられます。
本当にありがとう。」
マルス「やめてください。誰かがやらなきゃいけない仕事じゃないですか。」
リサ「もし、あの怪獣が爆発していたら・・・
多くの人が被ばくして家や家族を失っていたわ。」
クラウス「お前、この仕事向いてるよ。もう少し頑張ってみたらどうだ?」
マルス「・・・ぼくが日本でどんな仕事をしていたか知ってますか?」
3人「?」
微笑むマルス「ガラクタ拾いですよ。
そんな仕事でも感謝してくれる人がいた。なんで忘れていたんだろう・・・
ええ・・・そうですね。みなさんが一緒なら。」
喜ぶMRFの3人。
マルス(ロスアラモスの極秘研究施設に辞令が出たのは、この3日後だった。)
マルス「彼女とはそれ以来会っていない。」
裁判官「本当に?」
マルス「就職してから、ずっとアメリカ暮らしだ。」
裁判官「では、最後の日に何を話しましたか?」
・
2003年 卒業式の日
桜の木を眺める二人
マルス(アメリカにいっしょに来てほしい。)
える(アメリカに行かないでほしい。)
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」
マルス「・・・」(せっかく決心しているんだから、えるの意思を尊重しよう。)
える(・・・ほんとうはずっとそばにいてほしい・・・でも、泣かないって決めたんだ)
マルス「・・・日本はきみに任せた。ぼくは世界のほうをなんとかするよ。」
える「お母さんをお願いします。仕事に夢中になって自分を犠牲にしちゃう人なんで。」
さくらを見上げるマルス「アメリカにもソメイヨシノはあるのだろうか。」
マルスの手を握るえる「わたしのこと忘れないでね。」
・
裁判所
裁判官「それであなたは何と?」
マルス「いってきます。」
裁判官「それだけ?」
マルス「もう二度と会えないなんて思ってはいなかったから。」
裁判官「当時、深未えるが残虐性を垣間見せたことは?」
マルス「虫も殺せない女の子ですよ・・・」
裁判官「では、あなたが変えてしまったのでは?」
マルス「あいつは何も変わっちゃいない。だから苦しんだんだ。」
被告席に戻るマルス。
弁護士がマルスにささやく「元来、残酷な人間だったと証言すべきだったな。」
マルス「なぜ?」
弁護士「きみの容疑をなすり付けられた。」
・
2004年
ニューヨーク 世界危機管理局本部
サーバールームの横を通り過ぎる今日子とマルス
目を輝かせるマルス「こんなところでプログラム開発がやれるなんて・・・」
今日子「ここがオペレーションルームです。
世界中の大規模災害を、GPSを用いてリアルタイムでモニタリングしています。
地震、火山活動、山火事、異常気象・・・今では怪獣も。」
ガラスの向こうにオペレーションルームがある。
ガラスをコンコンと叩いて、中の人物を呼ぶ今日子。
メガネをかけた気弱そうな美青年がこちらに気づく。
今日子「あの人が、マルスさんの上司です。イギリス英語は大丈夫?」
マルス「よかった・・・優しそうな人だ・・・」
美青年が廊下に出てくる。
今日子「彼が噂の新人ですわ。」
ハーヴァー「マルスくんですね。ジャック・ハーヴァ―と言います。
ようこそ世界危機管理局へ。お待ちしておりました。」
握手するマルス「よ・・・よろしくお願いします。」
ハーヴァー「歓迎のお茶会でもしましょう。どうぞ、こちらへ。」
今日子「では、わたしはこれで。よろしくね、隊長。」
マルス(・・・?“隊長”?)
MRFと書かれた部屋に案内される。
ジャック「中で待っていてもらえますか?お茶を入れてきますね。」
マルス「はあ・・・」
部屋に入ると、酒とたばこ、火薬のにおいが漂う。
そこは兵士の更衣室のような場所で、武器庫やロッカーが並んでいる。
マルス「・・・ファイトクラブ感がすごい・・・」
すると、ドッグタグをぶら下げた若い屈強な男女が部屋に入ってくる。
男「なんだてめえは。どこから入ってきた。」
マルス「このドアから・・・」
女「おどしちゃダメよクラウス、歓迎してあげないと。
この坊やがきっとスタンレーの代わりじゃない?」
男「ガキじゃねえか・・・うちもなめられたもんだぜ。」
女「スタンレーはね、怪獣に踏みつぶされて死んじゃったの。
きみは足は速い?怪獣に近づくときは気を付けてよね。」
マルス「・・・部屋を間違えました・・・」
笑顔で部屋に入ってくるジャック「紅茶が入りましたよ。」
青ざめるマルス「間違えてなかった・・・」
お茶会
女「私はリサ。カナダ出身の23歳。怪獣行動学者。マルスくんは中国人?」
マルス「日本です・・・」
クラウス「マジか?おい、マルス、ニンジャって本当にいるのか?」
マルス「・・・え?ま、まあ・・・」
クラウス「やっぱり強いのか?
オレはな、ニンジャになりたくて特殊部隊に入ったんだ。」
マルス(こいつ結構バカだな・・・)「ええ・・・日本政府がその存在を隠していますが・・・
増税に反対する国民は、彼らによってみな消されています。」
紅茶を飲みながら話を合わせるジャック「だから、日本国民は政府に従順なんですね・・・」
クラウス「恐ろしい国だな。」
マルス「ちなみにぼくも甲賀流忍者の末裔です。」
クラウス「無礼な態度を許してくれ。」
笑いをこらえるリサ
マルス「あの・・・MRFとは?」
ジャック「モンスター・レスポンス・フォース、怪獣即応部隊です。」
クラウス「怪獣退治の専門家ってとこだな。」
リサ「いえ、怪獣保護よ。」
ジャック「怪獣が出現した際に現場に急行し、WEMA本部に状況を報告、指示を受けて対処を行ないます。」
マルス「・・・現場?」
・
アメリカ中西部の山岳森林地帯
キングザウルス3世が原発を狙って侵攻している。
(オレの国連での最初の仕事は、荒くれ者の部隊の通信エンジニアだった・・・)
怪獣に並走するMRFのジープ。
クラウス「おいニンジャ!無線が使えないぞ!!」
通信機をいじるマルス「あの恐竜から出てる電磁波の干渉がひどいんですって!
なんか放射能も出てるし!」
クラウス「なんとかしろ!」
マルス「ロケットランチャーの射程まで近づけっていったの、あんたじゃないですか!!」
リサ「怪獣を傷つけるのはダメよ!うまく誘導して自然に返すわ・・・!」
クラウス「バカ女、あいつが原発を壊せば、カリフォルニアは停電だぞ!」
リサ「バカはあんたよ!そんなロケランでキングザウルス3世が倒せるわけないでしょ!」
ハンドルを握るジャック「2人とも冷静に・・・!本部からの指示を待ちましょう・・・!」
クラウス「ニンジャ!無線を直せ!!」
マルス「忍者でも無理!」
ジャック「これ以上怪獣の接近を許すと、こちらも危険です・・・!」
ヘッドセットをつかんでマルス「本部からの指示は攻撃です!」
リサ「無線が直ったの?」
マルス「直ってない!でも、通信機器の故障を見越して本部とモールス信号を決めたんです!」
ロケランを構えるクラウス「よし来た!」
ジャック「耳をおさえて!」
クラウス「ジャベリン発射!!」
ロケットランチャーが火を吹き、怪獣の方へ飛んでいく。
すると、怪獣の周囲にある見えない壁に阻まれて、ロケット弾が爆発する。
リサ「怪獣にダメージなし!」
クラウス「この距離で外すわけねえだろ!」
リサ「怪獣にダメージなし!!」
クラウス「うるせえ!二回言うな!」
マルス「バリアを張るんだ・・・!」
リサ「思ったとおりね。」
怪獣の目標が原発からジープになる。
クラウス「これも思った通りか?」
ジープに突進してくる怪獣。
マルス「追いつかれる・・・!」
ジャック「エサの劣化ウラン弾を切り離して!」
車両後部に身を乗り出すマルス「なんで、オレがこんなことを・・・!」
・
WEMA本部
モニターにロケット弾をバリアで防ぐ怪獣の様子が映し出される。
今日子「まあ、厄介だわ・・・」
ボロボロのマルスが戻ってくる。
マルス「ただいま・・・」
今日子「おかえりなさい。お手柄ね。」
マルス「こういう時はアナログの方が強いんです。
怪獣はウランを食べたら満足して巣穴に帰りましたよ。」
バリアの映像を指さして今日子「どう思います?」
マルス「ぼくの専門は数学だ。怪獣じゃない。リサに聞いてください。」
今日子「リサは、ある種の捕食回避行動だと言っていたわ。
硬い甲羅を持つカメやアルマジロと変わらないと。」
マルス「こいつを捕食するやつがいるんですか?」
今日子「全長105mの古代恐竜を?いるわけないわね。
では、彼らはなぜこんな能力を進化させたのかしら・・・」
マルス「ぼくらに攻撃をさせたのは、バリアの証明をしたかったのと、怪獣のおとりをさせたかったからですか?」
今日子「・・・大停電は回避できたわ。」
マルス「こんなことやってたら遅かれ早かれ死んじまう。
ぼくはプログラマーだ。こんな仕事向いてない。事務方にしてください。」
今日子「まだ入職してひと月も経ってないのに?」
マルス「そうそう・・・あいつがなぜバリアを張るか。ぼくには分かりましたよ。」
今日子「教えていただける?」
マルス「自分の生き方を干渉されたくないんです。」
ホワイトボードに数式を書いて立ち去るマルス。
今日子「ロイドさん、これは何?」
作業着の男性エディ・ロイド「核分裂反応の公式だ。
なるほど、やっこさんは、あの怪物は動く原発だと言ってるんだ。体内の核反応を制御するためには外的な要因を遮断する必要がある。連中の好物はウラン。ありうる話だぞ。」
今日子「彼、確かに賢いわ。」
ロイド「ロスアラモスのカレルに会わせてもいいんじゃないか?」
今日子「あの子に世界の命運を握らせる?」
・
MRF詰所
リサ「異動願を出したの?もう??」
クラウス「そこまで俺たちが嫌いか?」
マルス「そういうわけでは・・・」
クラウス「うちのボスはあんたを気に入ってる。離さないと思うぜ。」
マルス「そんな役にたってました?」
リサ「もちろん。うちは人数が少ないから。
ライが入ってくれなかったら、なくなっちゃうところだったの。」
マルス「なんでもっと人員を増やさないんですか?」
クラウス「お前と同じ理由だよ。みんな怪獣どもに近づきたくないのさ。
誰もが安全地帯で好き勝手なことを言いやがる。あの女のように。」
リサ「局長を悪く言わない。でも、MRFがなくなったら・・・軍が初動に当たるわ。
彼らは怪獣のことなんか知らないから・・・」
ジャックが部屋に入ってくる。
「キングザウルス3世の頭上からナパーム弾を落として核爆発です。」
リサ「隊長。」
ジャック「偉大なるアメリカ軍は自国で歩く核爆弾を起爆させたいようです。
我々があの怪獣をひと月以内に無力化できなければ、MRFは解散。
怪獣の対処は国連から、各国の軍隊に移譲されると。
局長も辛い立場みたいですね。なんとかひと月までねばったようだ。
マルスくん、こうは考えられませんか?
局長はあなたの才能を見越して、あえてここによこしたのだと。」
マルス「・・・一つだけ教えてください。
みなさんは怖くはないんですか?なんで誰もやりたがらないことをやるんです?」
3人「・・・・・・。」
リサ「私は怪獣が好きなの。」
クラウス「ここは給料がいい。」
マルス(思っていた答えと違う・・・!)
ジャック「わたしは・・・故郷が怪獣に破壊されて・・・妻子が死んじゃったんです。
だから・・・怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス(この人・・・えると同じことを言ってる・・・)
リサ・クラウス「しょうもない理由を言ってすいませんでした・・・」
マルス「一か月以内に、あの怪物をおとなしくさせればいいんですよね?」
リサ「ライ・・・」
マルス「ぼくに考えがあります。」
・
臨海エリアにあるWEMAの工場
マルス「あなたはWEMAで最も優秀な工学者だと聞きました。」
エディ・ロイド「お世辞はいい。用件は何だ?」
マルス「害虫駆除に日本ではホウ酸団子っていうのがありましてね。」
ロイド「お前、面白いこと言うな。」
マルス「どれくらいでこしらえられますか?」
・
コロラドスプリングス
キングザウルス3世の巨大な巣穴
巨大なブルドーザーが穴に使用済みの核燃料を入れる。
マルス「ほら、飯だぞ。」
クラウス「食うかな。」
リサ「バリアを発生させるのは、かなりのエネルギーを使うから・・・空腹なはず。」
ジャック「祈りましょう。」
・
(ホウ素入りの核燃料を食べたキングザウルス3世は、体内の中性子が吸収されたことで、ほどなく核反応を停止させた。古代の巨竜は地中で永い眠りについたのだ。)
・
作戦が成功し、抱きしめあうMRFの隊員。
涙目のジャック「マルスさん、あなたのおかげでMRFが続けられます。
本当にありがとう。」
マルス「やめてください。誰かがやらなきゃいけない仕事じゃないですか。」
リサ「もし、あの怪獣が爆発していたら・・・
多くの人が被ばくして家や家族を失っていたわ。」
クラウス「お前、この仕事向いてるよ。もう少し頑張ってみたらどうだ?」
マルス「・・・ぼくが日本でどんな仕事をしていたか知ってますか?」
3人「?」
微笑むマルス「ガラクタ拾いですよ。
そんな仕事でも感謝してくれる人がいた。なんで忘れていたんだろう・・・
ええ・・・そうですね。みなさんが一緒なら。」
喜ぶMRFの3人。
マルス(ロスアラモスの極秘研究施設に辞令が出たのは、この3日後だった。)
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