『ラストパーティ』脚本㉔

平原の真ん中で発炎筒を振るスパルタン草薙。
垂直着陸の態勢に入るクレイモアー。
草薙「オーライオーライ・・・!」
目を細めて着陸してくる宇宙船を眺めるローランド
「こいつは1890年にマダガスカルで狩った巨鳥ジャブジャブよりも少しだけでかいな・・・」
草薙「シンドバッドの冒険かよ・・・」

平原に着陸するクレイモアー。
ハッチが開いて、ヨシヒコとゼリーマンが降りてくる。
草薙「窓はおふきしましょうか?」
ヨシヒコ「レギュラー満タンで頼む。」
ゼリーマン「灰皿もよろしくな・・・」
最後に降りてくるルナ「これは核反応で動くから、トリチウムがあればいいのよ。」
ローランド「おや、これはずいぶん美しい婦人だ・・・」
ルナ「ありがとう・・・あなたも素敵な紳士ですよ。」
帽子をとって挨拶をするローランド「ビッグゲームハンターのペルトという。」
義手で握手をするルナ「ルナ・マイヤースです。泉さんにはお世話になってます・・・」
草薙「人類最強の格闘家、スパルタン草薙だ。
女、あんたも泉の知り合いか。話は聞いているか?」
ルナ「だ・・・だいたいは・・・」
草薙「そういうことだ。
敵兵は俺たちが全て倒すから、女、お前は黙って俺たちを魔王城へ運べばいい。」
ルナ「わ・・・わかったわ・・・」
草薙「頼むぞ、女。」
ローランド「女性を女と言うんじゃない。小学生かお前は。」
ローランドには頭が上がらない草薙「す・・・すいません・・・」
ヨシヒコ「ヴィンツァーさんは?」
ローランド「ヴィンツァー殿は城内がパニックにならないように誘導している。」
ゼリーマン「あれから何日たった?」
腕時計を見るヨシヒコ「5日だ・・・明日には到着しておかしくない・・・」
空に目をやると、ゴロゴロ・・・と灰色の雷雲が迫っている。



エゼルバルド城内
広場に領民を集めて拡声器で状況を説明しているヴィンツァー。
「え~・・ということで、みなさんは落ち着いて普段の生活を続けてください・・・
ただし、指示が出るまで絶対に城の外には出ないこと・・・
安全な篭城戦のご協力をお願いします。」
イエヤス「ガリア軍が攻めてくるだと?」
マサノブ「心配いらないっすよ、ここには王立騎士団が駐留しているらしいっすから。」
テスタメント「おとなりの公爵夫人が言ってたけど、王立騎士団は私たちを見捨てて逃げたそうよ・・・確かにここ数日衛兵の姿を見ないわ・・・」
イエヤス「なんだって!?じゃあ、この城は誰が守るのかね!!」
ヴィンツァー「王立騎士団はいませんが・・・みなさんは私たちが守ります・・・」
イエヤス「私たちって・・・3人しかいないじゃないか!」
シルビアと黒神を見てヴィンツァー「そ・・・そうですけど・・・」
イエヤス「相手は何人いるんだ!」
ヴィンツァー「(超小声で何かを囁く)」
イエヤス「聞こえない!!」
ヴィンツァー「・・・人。」
イエヤス「はっきり言え!」
マサノブ「自民党かお前は!!」
ヴィンツァー「・・・3000人です・・・」

悲鳴が上がる広場。パニックが起こる。
テスタメント「早く城から逃げないと!!」
ヴィンツァー「落ち着いてください・・・落ち着いて・・・!」
領民に突き飛ばされるヴィンツァー。
テスタメント「今なら間に合うわ!みんなで逃げましょう!!あたしはあと100年は生きるのよ!」
すると、シルビアが腕を上げて、空気の振動を起こし、広場中央の巨大な鐘を鳴らす。
ゴーンという爆音がなる。

静まる広場。
シルビア「ご注目ありがとう。
みなさんが互いに助け合う美しい姿が見られて嬉しいわ、このくそったれ。
こちとら5日かけて命懸けで町を守る作戦を考えたんだ。
それなのにあんたたちは鶏のように怯えて、どいつもこいつも自分のことばっか・・・!
ここはあんたたちの町でしょう、なんで自分たちでなんとかしようと思わないのよ!!」
マサノブ「お前バカかよ・・・!3000人にかなうわけ無いだろ!」
シルビア「このヴィンツァー卿がもしあんたらみたいな根性なしだったら、この世界はとっくに終わってたわ。いい?人生にはやらなきゃいけない正念場あるのよ。
人に頼って文句ばっかり言ってないで今こそ戦うのよ!」
イエヤス「シスターが暴力をけしかけるのか・・・!冗談じゃない!
俺は強い奴からはいつも逃げ続けてきたんだ!いこう、マサノブ。」
マサノブ「うす!」
黒神「ん~っふっふ・・・こういうシチュエーションで逃げた人物がだいたい最初の犠牲者になるのはミステリーホラーの定石です・・・」
マサノブ「確かに・・・イエヤスさん、オレ後で行きますから、一人で逃げていいっすよ。」
イエヤス「マサノブ・・・!」
テスタメント「わかった・・・で、あたしたちに何をしろって言うのシスターさん・・・
私たちはただの一般市民よ・・・」
シルビア「私だって一般市民よ・・・」
テスタメント「いいえ、私はあなたを知ってるわ。伝説の聖女リネット・アシュレイの娘よ・・・
私たちモブキャラとはちがうわ・・・」
マサノブ「なんだよ特権階級かよ!
それなら、おれたち市井の民の気持ちがわかるわけがねぇ!」
大ブーイング。

シルビア「・・・リネット・アシュレイの娘・・・本当にそうならよかった・・・」
テスタメント「・・・え?」
ヴィンツァー「シルビア・・・」
シルビア「私はただのケルト族の娘よ・・・アルバレイク戦乱で私の両親は殺され・・・それを不憫に思ったリネットが娘として拾ってくれた・・・」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
シルビア「意地悪言ってごめんね、ヴィンツァー。ずっと前から知ってたんだ・・・
でも・・・あたしはあの人の本当の娘でいたかったし・・・
あなたをお父さんだと思いたかったんだ・・・」
目を潤ませるシルビア。
シルビアを優しく撫でて微笑むヴィンツァー「ぼくだって、ただの農民の息子だ。」
シルビア「この世界に生まれつきの勇者なんていない・・・
でも、勇気は誰にだってあるはずでしょう・・・?お願い、力を貸して・・・!」

シーンとする広場。

口を開くイエヤス「勇気を出せば誰でも勇者か・・・
ガラじゃないが・・・やってやるかマサノブ・・・」
マサノブ「うす、手を貸すぜシスター!」
テスタメント「あたし・・・昔は黒魔術師をやってたのよ・・・攻撃魔法なら今も使えるけど・・・?」
シルビア「みんな・・・(涙を拭う)みんなで勇者になろう!!」
歓声が上がる。
冷静に勘定をする黒神(ん~っふっふ・・・60人生き残ればいいほうですね・・・)
ヴィンツァー(大惨事だ・・・)



エゼルバルド城
ヨシヒコ「・・・え?領民を逃がさない?」
ゼリーマン「シルビアがみんなを焚きつけちまったそうです・・・」
ヨシヒコ「まあ、どのみち味方を探し出すのに時間がかかりすぎた・・・
いまさら逃がしてもハイランドまでは逃げきれないか・・・」

作戦会議室に入るヨシヒコとゼリーマン。
机に地図を広げるゼリーマン
「これが地形図だ・・・」
机に集まってくるほかの世界の英雄たち。
ゼリーマン「敵の兵は3000・・・カタパルトなどの攻城兵器を持っている。
兵士の士気は高く、百戦錬磨の将軍は油断しない。
そして、こいつらは負けた敵には容赦しねえ。
例外なく皆殺しにする。」
ヴィンツァー「一方、こちらの戦力は、ぼくとシルビア、格闘家のスパルタンさん、ハンターのローランド氏、パイロットのマイヤースさん、名探偵の黒神警部・・・」
黒神「正しくは元警部補です。」
ヴィンツァー「失礼・・・黒神元警部補の6人・・・」
ゼリーマン「おい小僧、俺は戦力じゃねえのか。」
シルビア「あんた戦えるの?」
ゼリーマン「そこの勇者を最初に倒した魔物はこの俺だ・・・」
ヴィンツァー「じゃあ、ゼリーマンを入れた7人・・・それと2000人の民間人・・・」
シルビア「人数的にはいけそうじゃない?」
ゼリーマン「いけねーよ。お前がこの短時間で2000人の勇者を育てるのか?」
ヨシヒコ「だが・・・民間人の中を探せば戦える者もいるんじゃないか?」
シルビア「じゃあ、あたし探してきます。」
草薙「必要ねえよ。この俺が全員ぶん殴ってやる。」
ルナ「敵兵士の装備は・・・?」
ヴィンツァー「剣兵と槍兵、弓兵がそれぞれ1000人・・・」
首を振るルナ「スパルタンさん、素手では絶対無理です・・・」
草薙「凶器とは卑怯だぜ・・・男は己の拳で殴り合っての・・・」
ライフルを向けるローランド「ブチ抜かれたくないなら、お前は少しは黙ってろ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、ぼくお腹すいたよ・・・なにか甘いものない?」
ヴィンツァー「え・・・」
まとまりのない戦士たち。

ゼリーマン「・・・旦那。提案があります。誰かがリーダーにならないと統制が取れん。」
ヨシヒコ「そうだな・・・」
ゼリーマン「旦那がまとめちゃくれませんかね?」
ヨシヒコ「ぼくが?」
ゼリーマン「この場のほとんどと知り合いなのは旦那だけだ・・・」
ヴィンツァー「それはいいアイディアだと思います。」
ヨシヒコ「ここは伝説の勇者であるアナタが・・・」
ヴィンツァー「ぼくは、ニャルラト・カーン戦でほとんどの仲間を死なせてしまった・・・
もともと人の上に立つのは向いてないんです・・・」
ヨシヒコ「そんなことないでしょう・・・」
ヴィンツァー「ここだけの話・・・ぼくは震えが止まらないんだ・・・」
ヨシヒコ「・・・え?」
ヴィンツァー「この人たちを見ていると・・・昔のパーティを思い出してしまって・・・
小さい頃からずっと僕を励ましてくれた幼馴染のリネット・・・
優しく気品があり、いつも献身的だったセレス・・・
短気だったけど、絶対に仲間を見捨てなかったヴォルスング・・・
寡黙だけど親切で、正確無比の狙撃手だったジークフリート卿・・・
誰よりも頭脳明晰で、邪神攻略の手がかりを見つけたヘルシング博士・・・
・・・もう誰も死なせたくない・・・
ヨシヒコさんなら、きっと冷静な判断ができる。」
ヨシヒコ「まいったな・・・」

すると、喧嘩をはじめる戦士たち。
シルビア「いいかげんに目を覚ましなさいよスパルタン!
戦国無双みたいなことは株式会社コーエイでしか起きないの!」
草薙「てめえ、誰がバンダースナッチから助けたと思ってやがる・・・!」
シルビア「ローランドさんよ!」
ローランド「そうだな・・・」
草薙「てめえ、シルビア・・・あのときションベン漏らしてたくせに・・・」
ルナ「もう、スパルタンさん!女性にそういうことを言うのはいけないですよ!」
シルビア「そーだそーだ!モラハラ!セクハラ!パワハラ!
あんた今すぐ、ハラスメント草薙に改名しなさい!」
草薙「てめえら・・・だから女どもと戦うのは嫌なんだ!もう俺は帰らせてもらうぜ!」
ルナ「ちょっと待ってください、力を合わせないと・・・!」
酒瓶を開けるローランド「あのバカはほうっておけ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、バームクーヘンとかない~?」
ヴィンツァー「そんなの中世の騎士は携帯してないですよ・・・!」

机をどんと叩くヨシヒコ
「いいかげんにしなさい!!
ぼくらの行動で2000人の民間人の生死がかかってるんだぞ!!」

静まる一同。

ヨシヒコ「・・・シスターシルビア、君は城下町に行って戦えそうな民間人を集めてくるんだ。
モンスターハンターのギルドには、まだ戦士がいるはずだろう。
HEROCON会場のお年寄りの元勇者だって、その経験は役に立つ。
なんでもいいからできるだけ集めてきなさい。」
シルビア「あ・・・はい!」

ヨシヒコ「ゼリーマン、君は城から出て、この付近の知り合いのモンスターを全て連れてくるんだ。ガリア軍の進撃は君たちモンスターにとっても脅威だろう?
もう、人間だ、モンスターだ言っている場合じゃない。力を合わせるんだ。」
ゼリーマン「任せてくれ旦那・・・」

ヨシヒコ「黒神警部補・・・あなたは知恵が回る・・・町の職人集団とともに城の周辺にブービートラップを仕掛けてください。特に、カタパルトの射程を計算してその射程範囲に敵が近づけないようにして欲しい・・・」
黒神「ん~っふっふ・・・いいでしょう・・・」

ヨシヒコ「マイヤース。」
ルナ「はい!」
ヨシヒコ「君は、領内のけが人や病人、妊婦、子どもをクレイモアーに乗せて、安全なハイランドの街に送ってくれ。ピストン輸送だ。できるか?」
ルナ「わかりました!」

ヨシヒコ「ローランド、あなたは街の屈強な男に銃の撃ち方を教えてあげてください。
もともとこの時代は戦争が起これば農民だって兵士になる・・・
血の気が多い男は多いはずだ。」
ローランド「心得た。」

スパルタン「泉よ、俺は何をすればいいんだ??」
ヨシヒコ「すぐにでも敵を殴りに行きたいんだろう?
偵察がてら、お前は敵の野営地を襲って来い。戦が始まる前に少しでも敵の戦力を削ぐんだ。
カタパルトを燃やしてきたらファインプレーだ、吉田沙保里さんに会わせてやる・・・」
スパルタン「おっしゃあ!!」

感動して拍手をするヴィンツァー
「・・・あなたがいたら・・・(涙をにじませる)ぼくの仲間はきっと死ななかった・・・」

『ラストパーティ』脚本㉓

「メガサターン」
ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」がBGMで流れる。
恒星間戦争の前線基地、宇宙コロニー「ビブリボン」
宇宙コロニーのなかは、遠心力によって重力を作り出すため円運動をしている。

コロニー内の戦闘宇宙船格納倉庫を歩く女性軍人と、ヨシヒコ。
アルテミス軍所属エースパイロット「ルナ・マイヤース」
「え?クレイモアー(戦闘宇宙船の名前)をですか??」
ヨシヒコ「3日だけ借りられないかな。」
ルナ「泉さんの頼みなので力にはなりたいのですが・・・(背後の巨大な宇宙船を見て)
このクレイモアーは私の所有物ではないですからね・・・」
ヨシヒコ「船のオーナーには話をつけておく。君に頼みたいのは、あれの操縦だ。」
ルナ「・・・いつからですか?」
ヨシヒコ「今からだ。」
ルナ「まいったな・・・」
ヨシヒコ「この時期は、星間戦争はオフシーズンなんじゃないか?」
ルナ「来週から、太陽系で「コズミックグランプリ」というレースに出場するんですよ・・・」
ヨシヒコ「それまでには済むと思う。」
ルナ「一体なにをするんです?」
ヨシヒコ「魔王の討伐だ。」
ルナ「あたし・・・戦争に行ってたけれど、あれはスポーツみたいなもので・・・
本当の戦場はちょっと・・・」
ヨシヒコ「知ってる。ぼくらを魔王城まで送ってくれるだけでいい・・・」
ルナ「それなら、多分5分で済みますけど・・・」

格納倉庫に歩いてくるゼリーマン「話はつきました?」
ヨシヒコ「オーナーの方はどうだったんだ?」
ゼリーマン「ビリオンパラダイスからふんだくった金をすべて出すと言ったら、レンタルどころか普通に購入できました。」
驚愕するルナ「へ!?クレイモアーを買ったんですか!!??
わたしの年棒でも手も足も出ないのに・・・!」
ゼリーマン「美しいあんたにプレゼントだ。」
ルナ「魔王城ですね・・・かしこまりました。
整備員さんにメルシーキリング爆弾を装備させましょう。」
ゼリーマン「なんだそら。」
ルナ「戦略核兵器です。これを魔王城に発射すれば一瞬で魔王は蒸発します。」
ヨシヒコ「やめてくれ。ガリア大陸もなくなってしまうよ・・・」



更衣室で船外活動服を着るヨシヒコとゼリーマン。
ゼリーマン「なんでこんなもんを着るんだ?」
ヨシヒコ「宇宙船を転送するゲートはここから1億km先の宇宙空間に浮いているからだ・・・
そこまでクレイモアーで連れてってもらう。」
ゼリーマン「俺は宇宙空間も裸でいいすよ。」
ヨシヒコ「激しく爆発するからやめてくれ・・・」
ゼリーマン「あの美女と旦那はどういう関係で?」
ヨシヒコ「彼女が無名選手だった頃にコマキをスポンサーにさせたんだ・・・
彼女の出身地はこの広大な宇宙でもとりわけ辺境で・・・差別をされていたんだよ。
ただ・・・操縦スキルは本物だった。」
ゼリーマン「だから旦那に感謝してんだ。」

更衣室に入ってくるルナ「おじゃまします。」
そう言うと、女性なのにためらいなくヨシヒコの前で服を脱ぐルナ。
目をそらすヨシヒコ「おいおい・・・」
ルナ「なにか・・・?ああ・・・泉さんの世界では異性の前で裸にはならないんですよね・・・
でも安心してください・・・あたしの体はほとんどが機械・・・肌色なんてほとんどないから・・・」
ヨシヒコ「・・・君みたいなレーサーが大きな事故でもしたのか・・・?」
ルナ「私には生まれつき両腕がなかったんです・・・でも、泉さんのおかげで・・・
今はこんなにいい腕が二つも。」
そういうと、機械の腕を見せて微笑むルナ。
ゼリーマン「サイボーグ少女か。嫌いじゃないぜ。」
ルナ「ゼリーさん、本当にEVA服を着たほうがいいですよ・・・発進時に少なくとも10Gはかかるし、そのあとの0Gで球体になってしまいます・・・」
ゼリーマン「この俺の美しいプロポーションが星のカービィになるだと・・・!?それは捨て置けんな・・・」
いそいそと船外活動服を着るゼリーマン。
ヨシヒコ「・・・ありがとう。」
ルナ「可愛い宇宙人ですね。」



クレイモアーが滑走路に運ばれる。
クレイモアーのコックピットに乗っている3人。
計器をいじくるルナ。
ルナ「みなさん、宇宙経験は?」
ヨシヒコ「あるわけがない・・・」
ゼリーマン「そもそも宇宙ってなんだ?空の上なんだろ?なんで青くねえ。」
ルナ「それなら、感動すると思うわ・・・
(無線に向かって)デリバリー、こちらはクレイモアー07、ゲートF91より出航の承認をお願いします。レーダー識別記号は1984・・・」
管制官(クレイモアー07、ゲートF91より出航を許可します。
10番隔壁開放、減圧開始グリーン・・・9番隔壁開放・・・)
エンジンをイグニッションさせるルナ
船内が振動し、ブーンという起動音が響く。
管制官(最終隔壁開放・・・)
すると、クレイモアーの目の前の隔壁が開き、ゴオオオオという爆音で宇宙空間に空気が放出される。
管制官(グリーン。クレイモアー07、いい旅を。)
滑走路を疾走するクレイモアー。
一気に座席の背もたれに叩きつけられるヨシヒコとゼリーマン。
微笑むルナ
宇宙コロニーを飛び出し、漆黒の宇宙空間を飛行する。



宇宙を進むクレイモアー
遠くには美しい惑星が輝く。
ルナ「もうシートベルトを外していいですよ。」
するとコックピットのボールペンが浮き上がる。無重力になったのだ。
ゼリーマン「おい!とうとう俺は飛行系魔法を覚えたぞ!」
ヨシヒコ「重力から解放されただけだ・・・うぷ・・・(口を抑える)」
ルナ「宇宙酔いですか?」
ゼリーマン「旦那!ここでは勘弁してくださいよ・・・!俺にくっつく・・・」
ルナ「トイレはそこです。」
壁の手すりをつかみながらトイレに移動するヨシヒコ。
ゼリーマン「だから宇宙コロニーの食堂でチャーシューメンなんて食べなきゃよかったんだ・・・」
ルナ「無重力ではなかなか食事は楽しめませんからね・・・宇宙食はゼリー状のものばかりだし・・・」
ゼリーマン「ルナちゃん・・・あんた今なんて言った?」
ルナ「え・・・?ゼリー・・・」
壁を蹴って食料庫に突っ込んでいくぜリーマン「ヘアッ・・・!!」

その時、クレイモアーに接近してくる複葉機のような宇宙船。
相手の宇宙船からの無線をキャッチする。
?「おっ誰かとおもたらルナ・マイヤースやんけ・・・おでかけかいな・・・」
ルナ「あっ、その声は・・・地球の冒険家のライト・ケレリトゥスね・・・」
ライト「コズミックグランプリの秘密特訓かいな。」
ルナ「そんなんじゃないわよ・・・そっちは?」
ライト「暇なんで80日で太陽系でも一周しようかな、と・・・」
ルナ「あなたは自由でいいわね・・・」
ライト「にゃ~っはっは!あんたもぎょうさん年棒もらっとるんや!
とっととアルテミス軍なんてやめてFIREしたらどうや!」
ルナ「おあいにく様・・・わたしももう自由なの・・・」
ライト「ほえ?」
ルナ「じゃあ、ちょっと行ってくるね・・・」
ライト「どこに?」
クレイモアーを加速させ、ライトのライトフライヤー号を引き離すルナ「内緒。」

――「メガサターン」のエースパイロット、ルナ・マイヤースが仲間になった!




「マジックキングダム」
キャッスルヴァニア地方。
エゼルバルド城へ向けて進軍をしている、ジルドレイ将軍率いるガリア帝国軍。
伝令「報告!ベオウルフら王立騎士団は、エゼルバルド城を捨てて王都へ逃げたとのこと!」
葉巻をふかすジルドレイ「なんだと?あのかっこつけがか。領民は?」
伝令「2000人が城内に取り残されたままだと・・・」
ジルドレイ「領主が領民を見捨てたのか・・・ベオウルフめ・・・もう少し骨のあるやつかと思っていたが・・・これでブリジッド王国は終わりだな。兵たちに伝えろ。エゼルバルドについたらうまいもんが食えるぞ、と!」
伝令「は・・・!」
その時、ガリア軍の頭上を巨大な飛行物体が横切る。
驚く兵たち。
「何だあれは・・・!!」
「じゃ・・・ジャバウォッキーだ・・・!!」
ジルドレイ「騒ぐな・・・!お前らはドラゴンなんて一度も見たことがないだろう!!」
双眼鏡を眺める軍曹「・・・あれは・・・生き物ではないようです・・・乗り物??」
双眼鏡を奪うジルドレイ「見せてみろ・・・なるほど・・・あれは飛行機という機械だ・・・」
軍曹「飛行機?」
ジルドレイ「ストレイシープ村にあったパンフレットをよこせ・・・」
軍曹「はい・・・」
「ドリームワールド」のパンフレットを取り出す軍曹。
宇宙船のイラストを指差すジルドレイ「ほら・・・同じだ・・・安心しろ、火など吐かねえ・・・」
軍曹「危険はないのでしょうか・・・」
ジルドレイ「ストレイシープ村にあった、あの異文明の装置・・・そしてあの飛行機・・・
ブリジッド王国は神の使いでも味方につけたか・・・それとも・・・神の怒りに触れたか・・・」

『ラストパーティ』脚本㉒

闇の中で、名探偵黒神志郎がこちらを向く。

黒神
「え~みなさんはじめまして・・・ホーンテッドレジデンスへようこそ・・・
この常夜の世界には999の亡霊が存在し、あなたを1000人目の仲間にしようと狙っているのです・・・え?そんな怪談はありきたりで怖くない・・・?
ああ・・・失礼しました・・・あなたはすでに亡霊でしたね・・・」



大雨の夜。
不気味な針葉樹の森の車道で一台の車が立ち往生している。
助手席のヴィンツァー「あれ?動かなくなったよ?」
ハザードランプを付けるゼリーマン「くそ・・・こんなところでエンジントラブルとはな・・・」
ヴィンツァー「こんなところに本当に黒神さんは住んでいるの?」
ゼリーマン「警視庁の警部補を定年退職してからは・・・このあたりの洋館に隠居しているって聞いたが・・・」
ヴィンツァー「直せそう?」
車外に出てボンネットを開けるゼリーマン「なるほど・・・3番バーニアがディストリビュータしてATフィールドがファルシでコクーンしてるぜ・・・」
ヴィンツァー「つまり?」
ゼリーマン「ホワイトからもらったこのリムジンは廃車だ・・・残念だがな・・・
傘があったな。車から出ろ。ここからは歩きでいく・・・」
ヴィンツァー「風邪ひかないかなあ・・・」
リムジンを乗り捨てる2人。
運転席のメーターパネルには、ただ「ガス欠」と表示されている。



不気味な屋敷にたどり着くゼリーマンとヴィンツァー。
ゼリーマン「化物がいそうな薄気味悪い洋館だぜ・・・」
ヴィンツァー「化物の君が言うんならそうなんだろうな・・・」
チャイムを鳴らして、扉をどんどん叩くゼリーマン
「お~い!出てこい名探偵!チンケな殺人事件よりも戦場で大量虐殺を解決しないか!!」
ヴィンツァー「チンケって・・・」
その時、屋敷の中で悲鳴が上がる。
2人「!!」
ゼリーマン「惨劇の舞台の幕が上がったようだぜ・・・めんどくせえから帰るか。」
扉を蹴破るヴィンツァー「女性の声だ!!今助けに行きます!!」
ゼリーマン「おい、馬鹿!!」
メインエントランスに飛び出すと、傍らに地下室への小さな扉が空いているのに気づく。
ヴィンツァー「きっとあそこだ・・・!女性を守らなくては・・・!」
そう言うと剣を抜き地下室に降りていく。

地下室には、不気味な拷問器具が並んでいる。
その内の一つ、アイアンメイデンの扉がしまっており、隙間から血液が流れ出している。
ヴィンツァー「!!」
アイアンメイデンを開けるヴィンツァー。
すると、串刺しになった少女が現れる。
少女(小石川ちおり:元少女漫画家)「超いて~」
ヴィンツァー「け・・・怪我の手当を・・・!」
地下室を眺めるゼリーマン「なんつー悪趣味な部屋だ・・・」
その時、ぞろぞろと屋敷にいた他の人間も地下室に入ってくる。
屋敷の人間は7人で全員が若い女性である。
女2(井口ひろみ:元ピアニスト)「きゃああああ!!
悲鳴を聞いて駆けつけたら小石川ちおりちゃんが串刺しに・・・!!」
ヴィンツァーを指差す双子の女性3・4(鏡さき・鏡みき:元脚本家)「あなたがやったの・・・?!!」
ヴィンツァー「え・・・ちが・・・」
ちおりの脈を見る白衣の女性5(小田嶋さくら:元医師)「ご臨終です・・・」
ちおり「え~生きてるよ!」
ちおりの首に手刀を入れて気絶させるさくら「ふん!・・・ご臨終です・・・」
ひろみ「きゃあああ殺人事件ですわ・・・!!」
双子「あの騎士が殺したのよ・・・!凶器はあの剣よ・・・!」
ゼリーマン「鉄の処女じゃないんかよ・・・」
女6(宇佐美よわか:元高校教師)「ひいいい!!こっちには硫酸で溶けた死体が・・・!」
ゼリーマン「俺のこと言ってんのか?」
宇佐美「死体が・・・しゃべって・・・はわわ・・・」
心臓麻痺を起こして倒れてしまう宇佐美。
脈をとるさくら「こいつもご臨終です・・・」
女7(鳳桐子:元華道家)「・・・この屋敷でみんな死ぬのよ・・・
そして、私の灰色の脳細胞がこう言っている・・・犯人はあなたたちだってね!」
桐子に指をさされるヴィンツァーとゼリーマン。
さくら「うん。ほぼほぼ現行犯だしね。」
ヴィンツァー「ちょっと待ってください・・・!ぼくは屋敷の中から悲鳴が聞こえたので助けに駆けつけてただけで・・・!」
桐子「初めて屋敷に入った割には、随分スムーズにこの隠し部屋に来たわね・・・」
ヴィンツァー「そ・・・それは・・・昔こんなようなお屋敷に住んでいて、そこにも隠し部屋が・・・」
桐子「苦しいわね・・・」
剣を見せるヴィンツァー「それに見てくださいよ!この剣には血痕はついていない・・・!」
さくら「こんなところで剣を抜くんじゃない!!」
ひろみ「暴力反対ですわ・・・!」
慌てて剣をしまうヴィンツァー「あ、ああ・・・ごめんなさい!!」
桐子「簡単よ・・・あなたはその剣で小石川先生を脅して、アイアンメイデンに押し込んだのよ・・・封印された地下室の鍵は、そこの珍生物が体を変形させて、ドアの隙間から侵入し、内側から開錠・・・訳はないわ・・・」
ゼリーマン「密室トリックやりたい放題ってか・・・では聞こう。俺たちの犯行動機はなんだ?」
桐子「小石川ちおり先生の漫画は連載休止が多かった・・・
しかも直近の休載理由は、取材という名目のハワイ旅行・・・
作品への愛が憎悪に変わるのに時間はかからなかった・・・
それじゃ不十分かしら?」
ゼリーマン「不十分だよ!!バカバカしい、いこうぜヴィンツァー。黒神を連れて帰っちまおう。」
無言で出口に手をやる桐子「・・・・・・。」
ゼリーマン「いや・・・そこでスタッフロール出しても警察には行かねえぞ!!」

桐子「では、心臓麻痺に見せかけた第二の殺人はどう言い訳するのかしら・・・」
ゼリーマン「コイツが勝手にオレに驚いてくたばったんだろ、これはこれでひどい差別だかんな・・・?
それよりも、あんたらはなんで女ばかりでこの屋敷に集まってるんだよ・・・」
桐子「・・・ちょっとした同窓会よ・・・」
ゼリーマン「そうかな・・・?見たところ、年齢も職業もバラバラだ・・・全員大学のクラスメイトってわけじゃねえだろ・・・?」
ひろみ「謎の人物から招待状が届いたんです・・・」
ゼリーマン「招待状?そんなもん届いて、のこのこ本当に足を運ぶバカがいりゃあ詐欺師は苦労しねえんだ・・・その招待状を見せてみろ・・・」
ひろみ「それは・・・家に置いてきましたわ・・・」
ゼリーマン「くくく・・・読めたぜ・・・てめえら、この俺をはめようとしやがったな・・・
俺たちが来る前に、ちおりは・・・ちゃんと死んでなかったけど・・・アイアンメイデンの中でとっくに死んでたんだ・・・
そして俺がチャイムを鳴らしたタイミングで、てめえらは自身の犯行を俺たちに擦り付けることを思いついたんだ。てめえらこそ、ちおりの漫画のファンクラブなんだろ?
見てみろ、どいつもこいつも辛気くせえ根暗な女どもじゃねえか・・・」
鏡姉妹「ひどいわね・・・うんひどいわ・・・」
桐子「私たちが小石川先生のファンだという証拠はないわ・・・」
ゼリーマン「そりゃお互い様だろ。だが、これはオリエント急行殺人事件だ。てめえらがいくらでも口裏を合わせられるんだ・・・」
桐子「そのとおりよ・・・
そしてか弱い乙女たちと、醜い魔物のどちらの証言を裁判所は聞くかしら?
少なくとも、あなたは一人は確実に殺している・・・」
ゼリーマン「痛いところつくな、こいつ・・・」
ヴィンツァー「ゼリーマン頑張れ・・・!」
ヴィンツァーに囁くゼリーマン「俺たちが勝てる手がひとつだけある・・・」
ヴィンツァー「ほんとう?」
ゼリーマン「ここでお前がメイルシュトロームを打って、このバカ女どもを皆殺しにしちまえ。
作戦名は『そして誰もいなくなった』だ。」
ヴィンツァー「勘弁してよ・・・!!」
ゼリーマン「考えろ・・・俺たちがちおりを殺していない以上、犯人はあいつらなのは確定だ・・・
となると、連中は人を殺めるのに躊躇がない手練ということ・・・
人は見た目じゃねえ・・・甘い考えをしていると本当に消されかねないぞ・・・」
ヴィンツァー「でも・・・もし他に犯人がいたら・・・?
それにちおりちゃんがふざけて自分で鉄の処女に入ったってことはないの?」
ゼリーマン「それで痛くて叫んでたってか・・・糞馬鹿だな・・・
(何かに気づく)叫んだ・・・?」

ヴィンツァー「ゼリーマン・・・?」
ゼリーマン「おい、女ども・・・お前ら何が聞こえて地下室に駆けつけたって言った?」
鏡姉妹「え?え?」
唇を噛み締める桐子。
ゼリーマン「おい、ピアニスト・・・お前最初にこう言ってなかったか?
悲鳴を聞いて駆けつけたと・・・」
ひろみ「ええ・・・それが何か・・・?」
ゼリーマン「アイアンメイデンはエレガントな拷問器具だ。犠牲者の悲鳴は決して外には漏れない・・・」
ひろみ「・・・え?」
ゼリーマン「お前らは一体なんの悲鳴を聞いたんだ??」
桐子「・・・バレてしまったら仕方がないわね・・・」
2人に近づいてくる女たち。
ヴィンツァー「ゼリーマン、まさか本当に彼女たちは・・・」
ゼリーマン「ああ・・・プロのアサシンどもだ・・・
なあ・・・殺される前に、あんたらがこの屋敷に集まった理由を教えちゃくれないかね・・・」
桐子「・・・復讐よ。」
ゼリーマン「復讐?」
桐子「私たちは全員、この屋敷の主、黒神警部補に完全犯罪を崩されて逮捕されたのよ・・・」
ひろみ「ええ・・・毎週たった40分で・・・」
さくら「わたしたちが殺人事件起こすと必ずあの刑事いるからな。」
鏡姉妹「私たちなんてわざわざオーストラリアで手の込んだ双子トリックをやったのに・・・!!」
ゼリーマン「なるほど、読めたぜ・・・」
ヴィンツァー「どういうこと?」
ゼリーマン「こいつらの目的も黒神志郎なんだ・・・
殺人犯どもが事件を起こす前に、名探偵の自宅に殴り込んできやがったのさ・・・」
膝を打つヴィンツァー「それ、なんで今まで誰もやらなかったんだろう・・・!」
ゼリーマン「・・・で、ターゲットは殺せたのかい?」
桐子「襲撃を事前に察知したのか、屋敷内のどこにもいなかったわ・・・」
ひろみ「そして、最後にみなさんでこの隠し部屋を捜索していたら・・・
ちおりちゃんがまちがってアイアンメイデンに挟まっちゃったんですわ・・・」
ゼリーマン「ふつうに馬鹿だろ・・・」
ヴィンツァー「でも、犯行前に間に合ってよかったね・・・
黒神さんはまだ生きているってことだもん・・・」
ゼリーマン「だが、この屋敷にいないとなると・・・一体どこだ?」

その時、拷問室の隅にあった柩が開く。
一同「!!!」
柩から起き上がる紳士「さっきからうるさいな~君たちは・・・」
桐子「いたわ!!黒神警部補よ!!」
黒神「・・・?おや、ご無沙汰しております。お元気でしたか?」
ゼリーマン「おい・・・あんた、今、名探偵人生で一番危険な状況にあるぞ・・・」
ヴィンツァー「逃げてください!この人たちみんな殺人犯です・・・!!」
黒神「心配はいりません・・・
これまで私が関わってきた多くの犯罪者たち。彼らに共通しているのは、誰一人逮捕の瞬間、悪あがきをしなかったと言うこと。誇り高き殺人者。そして、それが私の自慢でもあるのです。」
なぜかじ~んとしてしまう犯人たち「・・・・・・。」
微笑む黒神「・・・さあ、同窓会を開きましょう。」
歴代犯人たち「は・・・はい・・・!」
ヴィンツァー&ゼリーマン「・・・なんだこれ・・・」

――「ホーンテッドレジデンス」の名探偵黒神志郎が仲間になった!

『ラストパーティ』脚本㉑

「ジャングルツアーズ」
前人未踏の密林を探検し、伝説の秘宝を手に入れるアドベンチャーエリアである・・・!
ちなみに、来場者の10人に9人はなんらかの伝染病にかかり、この世の地獄を味わう!!

ジャングル奥地の船着場。
ボロボロだが無骨なクルーズ船が1隻停泊している。
船に資材を詰め込む黒人のポーターたち。
船着場の床板を歩く、初老の白人ハンター。
ライフルを肩に担ぐハンター「断る。」
その後ろをヨシヒコとシルビアが追いかける。
ヨシヒコ「今度は何処へ行くんです?ローランド・・・」
凄腕ハンターのローランド・ペルト
「ハタリ遺跡にある3万カラットのダイアモンド、アフリカの女王をいただく・・・」
シルビア「その冒険の前にドラゴン狩りでもしない?」
ローランド「ははは・・・冗談はよせ。」
肩をすくめるシルビア「・・・信じてくれないわ。」
ヨシヒコ「じゃあ、こうしましょう。
ぼくらもその秘宝探しに協力したら、オファーを引き受けてくれませんか?」
タバコを川に投げ捨てるローランド
「ひと狩り行こうぜってか・・・くだらん。足でまといになるだけだ・・・」
ヨシヒコ「ヒヒイロカネの冒険の時は同行させてくれたじゃないですか・・・」
ローランド「あの時とは危険度が違う・・・ハタリ遺跡には秘宝の守り神がいる。」
シルビア「守り神?」
ローランド「バンダースナッチ。牙だらけの猛獣だ。
一度きりの人生、食われて終わりは嫌だろう?」
シルビア「あなたは食べられないの?」
ローランド「獲物じゃない。ハンターだからな・・・」

出航するローランドの船「ガンツ&ローゼス号」
船を見送るヨシヒコとシルビア。
シルビア「行っちゃった・・・諦めるしかないわね・・・」
ジャングルの地図を広げるヨシヒコ「いや・・・確かハタリ遺跡の近くに・・・転送ゲートがあったはず・・・先回りをしてアフリカの女王を見つけてやろう・・・」
シルビア「なんちゃらっていう守り神はどうするの?」
ヨシヒコ「こっちには霊長類最強がいるからなんとかなるだろ・・・」
ジープを停車させるスパルタン草薙「おい・・・結局このジープは使うのか?」
ヨシヒコ「使うことになりそうだ・・・ぼくらも乗せてくれ。」



ジャングルを進むジープ
シスターのローブを触ってベロを出すシルビア「うげ~・・・暑い・・・」
ペットボトルを差し出すヨシヒコ「水分補給をまめにした方がいいぞ・・・」
ハンドルを握る草薙「オレのようにタンクトップを着ればいいだろ。」
シルビア「どこの世界にそんなシスターがいるのよ・・・」
ヨシヒコ「ジャングルで最も危険なのは熱中症と、マラリアや西ナイル熱などの感染症だ・・・宗教的な事情はあるだろうが、無理はしないでくれ・・・」
シルビア「大丈夫です・・・
それに、少しMPを回復させたら、車内が涼しくなる魔法をかけてあげるわ・・・」
草薙「・・・こいつは何を言ってるんだ?」
ヨシヒコ「魔法少女なんだよ・・・」
草薙「うそくせえ・・・女、今見せて見ろ。」
シルビア「あんたの悪趣味なタワーのせいで魔力が消耗したのよ。
あと、女を女って呼ぶのはやめなさい。」
草薙「悔しかったら、このオレを超えてみるんだな、女。」
シルビア「・・・なんであたしも格闘家になんなきゃいけないのよ・・・」
コンパスを見るヨシヒコ「プライド・キャニオンに入ったら南東へ進んでくれ・・・
ガニメデ大瀑布の中に転送ゲート「セリャラントスフォス」が隠されている・・・
そこに入れば、陸路で30時間かかるハタリ遺跡にワープができる。」
草薙「よお、泉・・・この世界にはこの俺を楽しませる強者はいないのか?」
ヨシヒコ「かつては、ホルス族という戦士がいたが・・・コマキ社と接触したことで、現在ではTシャツ、エアマックス、アップルウォッチを身に付け、Instagramに夢中だ・・・戦士としての面影はもうない・・・」
草薙「じゃあ、猛獣は?猛獣はいるんだろう?戦わせてくれ!」
シルビア「こいつはバカなの・・・?」
ヨシヒコ「この世界の野生動物には手を出さない方がいい・・・
どいつもこいつも異常に狂暴で、サファリツアーでは彼らに近づきすぎたことで、多くの観光客が犠牲になっている・・・だから、この世界の常連は多少のギャラを払ってもローランドのような腕利きのハンターを雇うわけだ・・・」
草薙「オレは霊長類最強だ。問題はねえ。」
シルビア「でも、哺乳類最強ではないんでしょ?」
草薙「ほざいたな・・・」
すると、けもの道の真ん中に巨大なサイの群れが道をふさいでいる。
ブレーキを踏む草薙。
草薙「通行止めだ。どうする?」
動物図鑑をめくるヨシヒコ「・・・ライノセラス・ユニコニスか・・・
これ以上近づかない方がいい・・・ゆっくりと、リバースレンジに入れて迂回しよう・・・」
草薙「あんたらは時間がないんじゃなかったのか?」
ヨシヒコ「そうだが・・・」
シルビア「スパルタン、あんたの出番よ。あのモンスターたちをどかしてきなさい。」
ヨシヒコ「やめろ・・・!」
そう言うと、シルビアが助手席からクラクションを鳴らしてしまう。
サイたちの耳が一気に起き上がり、警戒態勢に入る。
ヨシヒコ「君はなんてことをするんだ!!この世界では絶対に自然を侮ってはいけない!!」
シルビア「だって・・・このスパルタンにバカにされて・・・」
草薙「泉よ、まあ見てなって・・・サイの1,2頭、このオレの剛拳で何回かぶん殴れば逃げていくさ・・・」
そう言うと車を降りて、指をぽきぽき鳴らす。
ヨシヒコ「ダメだ!車から離れるな!戻って来い!!」
サイの群れと対峙するスパルタン草薙。
人差し指をクイとやる。
草薙「来い・・・」
前脚を踏み鳴らし、最初の一頭が草薙に突進してくる。
「百獣の王に・・・オレはなる!!!」
そのサイの眉間に全力の拳を叩きこむ草薙。



プライド・キャニオン
暴走するサイの群に追いかけられているジープ。
ハンドルを握りアクセルを踏み込むヨシヒコ「逃げろおおおお!!」
後部座席で腕を握りしめる草薙「あいつら化け物か・・・オレの拳が粉砕した・・・!!」
手当をするシルビア「大げさね・・・突き指してるだけよ、情けない・・・!」
草薙「女!お前がホーンを鳴らしたせいだぞ!責任を取れ!!」
シルビア「何言ってるのよ!サイにケンカ売ったのはあんたじゃない!!」
父親が出てしまうヨシヒコ「いい加減にしなさい!!」
しばらくすると、巨大な滝つぼが見えてくる。
ヨシヒコ「ガニメデ大瀑布だ・・・!!」
川に飛び込むジープ。そこで、川底にタイヤを取られる。
アクセルを踏むヨシヒコ「まずい!」
後ろを振り返るシルビア「きゃああ!サイが来るわ!!」
ヨシヒコ「車を捨てるぞスパルタン!あの木に登れ!」
そう言うと、シルビアを抱きかかえる草薙「女!俺につかまれ!!」
川岸にある木に駆けだす3人。
ヨシヒコから木に登っていく。
シルビアを持ち上げ、ヨシヒコに引き上げてもらう草薙。
ヨシヒコ「OKだ!スパルタン、君も!!」
草薙「おうよ!」
最後に木を登る草薙。
3人がよじのぼった木の周りをうろつくサイ。
木から降りれなくなってしまう3人。
草薙の尻を角でつつくサイ。
草薙「やめるんだ・・・!やめ・・・あ・・・」
ケツの穴にすっぽりとハマってしまう角。



ガニメデ大瀑布の滝の裏にある転送ゲート
サイにアナルを責められるという屈辱を受けて、しおらしくなる草薙
「泉さん・・・シルビアさん・・・オレ・・・自然舐めてました・・・・・・」
シルビア「・・・どうしちゃったのかしら・・・」
ゲートを起動させるヨシヒコ
「このリージョンのジャングルは広大すぎるから、従業員専用のショートカットゲートがいくつかある・・・よし、エネルギーは来ている・・・いくぞ。」



夕日で赤く染まるハタリ遺跡
ジャングルの真ん中にインドのアジャンター石窟寺院のような巨大な遺跡が鎮座している。

遺跡のそばにある、探検隊のベースキャンプをイメージしたコマキ社の中継基地。
探検隊の死体が転がっており、ジープは横転し、めちゃくちゃに荒らされている。
草薙「・・・死んでる・・・」
シルビア「わかるわよ・・・半分骨になってんだから。」
膨大なハエを払い除けてヨシヒコ「この社員証・・・」
シルビア「知り合いですか?」
ヨシヒコ「・・・ジャングルツアーズ担当の川口だ・・・」
弔うシルビア「川口隊員に主の平安が訪れますように・・・」
草薙「しかし、死体が変じゃないか?なんというか・・・」
ヨシヒコ「ああ・・・溶けてる・・・地獄の苦しみだったろうに・・・」
シルビア「この人たちは何をしていたの・・・?」
テントのテーブルの上にあるハタリ遺跡の内部を記録した図面を手に取るヨシヒコ。
ヨシヒコ「ハタリ遺跡が来場者にとって安全かどうか、調査していたのだろう・・・」
草薙「・・・で、なんでこんなところで溶けて死んでるんだ?」
テントのそばに宝箱が転がっているのに気づくヨシヒコ。
ヨシヒコ「・・・ハタリ遺跡の秘宝を持ち出そうとしたんだ・・・」
シルビア「中身はどこに行ったの?」
ヨシヒコ「取り上げられたんだろう・・・」
シルビア「誰に?」
地面に懐中電灯を照らすヨシヒコ「バンダースナッチだ・・・」
巨大な動物の足跡が遺跡まで続いている。
地平線に太陽がすっかり隠れ、あたりは突然闇に覆われる。
全自動でベースキャンプ周辺に照明が灯る。
一気に不気味になる密林。
シルビア「ね・・・ねえ、本当に秘宝を取りに行くの??」
ヨシヒコ「そうでもしないと、ローランドには認められないだろう・・・」
草薙「おもしれえ・・・」
シルビア「わ・・・わたしはここで待っていていい?
昔、遺跡で巨大な馬の化物に殺されかけたことがあって・・・」
ヨシヒコ「ああ・・・幸い川口が引いた遺跡の図面がほとんど完成している・・・
すぐに戻ってくるよ・・・」
草薙「守り神の相手は俺に任せろ・・・」
ヨシヒコ「相手を無理に倒そうとするなよ・・・
戦闘が回避できるならしないに越したことはない・・・」
草薙「サイで懲りたから大丈夫だ。あんたの護衛に徹するよ・・・」
ヨシヒコ「よろしい。アフリカの女王を奪ったら、すぐに転送ゲートまで逃げよう。
そして転送後すぐにゲートの電源を落としてしまえば、確実に逃げ切れる・・・」
すると、3人の背後にある照明の前を何かが横切り、一瞬だけ光が遮られる。
シルビア「・・・!なに・・・」
草薙「クマか?」
ヨシヒコ「いや・・・ゾウの大きさだったぞ・・・」
再び静寂になるジャングル。虫の合唱が再開する。
ヨシヒコ「・・・・・・。」
草薙「・・・・・・。じゃあ行ってくるから・・・」
慌てるシルビア「ちょ・・・!ちょっと~~!!!」



遺跡の中に入る3人。
図面を見るヨシヒコ「アフリカの女王が元の位置に戻っているなら・・・ここを右折して・・・
スイッチBを押して、迫り来る壁のトラップを解除して・・・それからフロア12に戻ると、3つの扉が現れるが、一番右以外は串刺しにされるから無視か・・・」
草薙「あの溶けた人・・・全部解いてくれたんだな・・・」
シルビア「この攻略本がなかったら11回は死んでたわ・・・」

ハタリ王の間
ヨシヒコ「ここがゴールだ・・・」
シルビア「・・・出口があるだけで何もないわよ。」
ランタンを掲げる草薙「場所が変わったんじゃないか?」
何かに気がつくヨシヒコ「スパルタン、明りを消してくれないか・・・」
草薙「え?ああ・・・」
ランタンを消す草薙。
すると、出口の方に蛍のような光が無数に輝いていることがわかる。
シルビア「あれって・・・」

遺跡を出ると、絶壁と小さな滝があり、ほのかに発光している鉱石がそこらじゅうに転がっている。
草薙「おい・・・もしかして・・・この石がすべてダイアモンドなんじゃねえだろうな・・・!!」
シルビア「うそでしょ!!」
ヨシヒコ「秘宝というからてっきり古代文明によって加工されたものかと思っていたが・・・
原石なのか・・・」
ダイアモンド原石をひろうシルビア「すごいすごい!!全部持って帰って宝石にしましょう!
あははは・・・あははははははは!!」
草薙「おい、峰不二子が狂っちまったぞ・・・」
微笑むヨシヒコ「どれか一つにしなさい・・・」
シルビア「女の子はね、欲張りなの!これであたしもお姫様・・・」
そう言って振り返ると、シルビアの背後に巨大な猛獣が立っている。
ヨシヒコ「!!!」
猛獣はヘビのような舌を伸ばして、シルビアが持っていた鉱石をつかみ、そのまま口の中に運ぶ。サメのような鋭い歯と巨大な顎で、鉱石をバリバリを噛み砕いて食べてしまう猛獣。
恐怖で動けない人間たち。
小声でヨシヒコ「・・・あの怪物が秘宝を守る理由がわかった・・・」
草薙「俺もだ・・・食いもんなんだ・・・」
硬直しているシルビアの体をチロチロと舌で舐めまわす怪物。
涙目のシルビア「あ・・・ああ・・・」
コンピテンシーリーダーを怪物に当てるヨシヒコ。
「学名アンドリューサルクス・インペリオス・・・神獣網、鯨偶蹄目・・・
現地では神として崇められる・・・通称バンダースナッチ・・・」
シルビア「ヨシヒコさん助けて・・・」
ヨシヒコ「動くな・・・哺乳類に見えて、神経系統は両生類に近いそうだ・・・
動いていないものは見えない・・・」
草薙「だめだ・・・シルビアのやつ膝はガクガクで失禁してやがる・・・!
今にも倒れちまうぜ・・・!」
ヨシヒコ「スパルタン馬鹿な考えはやめろ・・・!」
草薙「あんたらは何で俺を呼んだんだ?」
そう言うと、鉱石を拾って思い切りバンダースナッチにぶつける草薙。
草薙の方を瞬時に振り向きシルビアから離れていくバンダースナッチ。
草薙「そうだ!こっちだガマガエル!!」
ヨシヒコ「スパルタン動くな!!」
シルビアとは逆の方向へ走っていく草薙「シルビアを連れて逃げろ!!」
巨大な口を開け唸り声を上げるバンダースナッチ。
いきなり走りだし草薙に襲い掛かる。
草薙「きやがれ!この俺の拳でぶっ飛ばしてやる!!」
すると、遠くから無色透明のよだれを吐きかけるバンダースナッチ。
とっさによける草薙「うわ、なんだきたねえ!!」
よだれは絶壁に当たりはねる。
飛び散ったよだれが数滴、草薙の衣服に着くと、刺激臭と煙を上げてタンクトップをとかしていく。
草薙「あちち!なんだこれ!!」
ヨシヒコ「すぐにその服を脱げ!探検隊を溶かしたのはそのよだれだ!!」
服を脱ぎ半裸になる草薙「てめえ、その見た目で飛び道具使うのか、このやろう!!上等だ!」
ヨシヒコ「スパルタン逃げるぞ!無茶するんじゃない!!」
怪物に飛びかかり背中にしがみつく草薙「おらあああ!」
ヨシヒコの方へかけてくるシルビア「あいつ、本当に馬鹿よ!!」
草薙「オレに構わずいけ~!!」
シルビア「ヨシヒコさん!これじゃあ本末転倒よ!」
草薙にしがみつかれたバンダースナッチが暴れ、ロデオのようになる。
わざと壁にぶつかり草薙を潰そうとする怪物。
とうとう、バンダースナッチに振り払われ、地面に叩きつけられる草薙。
草薙「うーあうーあ!!」

その時――
滝から、「ガンツ&ローゼス号」が降ってきて、船に乗ったローランドが一発の弾丸を放つ。
その弾丸は正確に怪物の眉間を捉え、そのままクルーズ船で怪物を叩き潰してしまう。
巨大な水しぶきが上がる。
ポカンとする3人。
表情一つ変えず、バンダースナッチの死体の前で記念撮影をするローランド。
3人に気づくローランド「・・・あんたら、こんなところで何をしてるんだ?・・・」
ヨシヒコ「いやちょっと・・・」
鉱石をひろうローランド「・・・む?」
ヨシヒコ「どうしたんですか?」
ルーペを取り出すローランド「これはダイアモンドではない。」
シルビア「え?」
ローランド「・・・フルオライト・・・フッ化カルシウム・・・蛍石だ。結晶構造は似てるがな・・・」
シルビア「え~~!!」
ローランド「なるほど・・・確かバンダースナッチの胃液は塩酸ではなく硫酸・・・
あのよだれはフッ化水素酸だったわけか・・・どうりで危険なわけだ・・・
世界を溶かす恐るべき神の怒りも、結局はただの化学反応か・・・つまらん・・・」
そう言うと石を放り投げてしまう。
その石が当たる地面に倒れたままの草薙「いて・・・」
ローランド「・・・で?本物のドラゴンはどこにいるんだ?」
ヨシヒコ「それって・・・」
ライフルを肩に乗せるローランド「仕事は済んだ。」

――「ジャングルツアーズ」伝説のハンター、ローランド・ペルトが仲間になった!

『ラストパーティ』脚本⑳

プライズ・メダルゲームエリア「ビリオンパラダイス」
コマキ社の隠し資産が秘密裏に転送されている脱法ギャンブルエリアである・・・!
カジノに入るヴィンツァーとゼリーマン。
エントランスのバニーガールにおしぼりをもらう2人。
ゼリーマン「バニーガールごときに頬を赤らめるんじゃない・・・」
ヴィンツァー「エッチなお店じゃないよね・・・??」
ゼリーマン「これだから中年の童貞は・・・」
ヴィンツァー「童貞じゃないって・・・!リネットとキスもしたし、手だって握った・・・!」
無視するゼリーマン「まず、ミニマムベットを確認しよう。」
ヴィンツァー「ミニマムベットとは?」
ゼリーマン「最低賭け額だ。地道に増やしてから最後に大勝負をする。」
ヴィンツァー「もう全部君に任せるよ・・・」
ゼリーマン「いや、何も知らないあんたみたいなやつの方がビギナーズラックで勝っちゃったりするんだ・・・さて、メドの裏カジノもコマキ社のメダルを使っていたから、ここで使えるはず・・・」
ヴィンツァー「それやっていいの?」
メダルを握るゼリーマン「バレなきゃいいんだ。」

エントランスの監視カメラが2人を捉える。
即座に2人の顔データが顧客リストと照会される。
バックヤードでモニターを眺める白いウサギ。
「ふむ・・・新規客か・・・」
従業員のウサギ「ホワイト様・・・どういたしますか?」
ホワイト「おそらく、最初はミニマムベットのスロットに座るだろう。
台が決まったら設定を変更して、機械割を1000%にしてやれ。
特に、あの真面目そうな甲冑騎士はいいカモになる・・・」

スロットコーナーに行く2人。
ヴィンツァー「これは見たことがある・・・」
ゼリーマン「ここはハイローラー(ハイベッター)のエリア・・・初心者向けは一般的なカジノでは奥にある・・・ついてこい・・・」
スロットに熱中する客の3月ウサギ「がっ・・・がっ・・・勝たねばゴミ・・・負ければ誰かの養分・・・!」
客を見てヴィンツァー「・・・ギャンブルにのめり込む人の気持ちがわからない・・・
お金というのは地道にコツコツ働いて手に入れるものだろう?」
ゼリーマン「地道にコツコツ働いてお前は戦闘宇宙船を買う金が貯まるのか?」
ヴィンツァー「そうだけど・・・ぼくは一生こういうのにはハマらないと思うな・・・」

1時間後・・・
大量のチップを抱えているゼリーマン「おい、もういい加減に移動するぞ・・・」
すっかりハマっているヴィンツァー「いや、まだ放出期は続いている・・・!!」
ゼリーマン「こういうギャンブルは勝ってるうちにやめるのが定石だぜ・・・」
ヴィンツァー「周期的に1万枚負けたら777が揃うから・・・
次のフリーゲームで取り返せるはずだ・・・!」
ゼリーマン「その前にメダルが全部溶けちまうよ!」
ヴィンツァー「ぼくを誰だと思っている?奇跡を起こす勇者スナイデル・ヴィンツァーだ・・・!」

さらに30分後・・・
メダルを全てとかして泣いているヴィンツァー
勇者に肩を貸して、おしぼりで涙を拭いてやるぜリーマン
「気にするな・・・みんなそうやって一人前のギャンブル依存症になるんだ・・・」
ヴィンツァー「うう・・・」

バックヤード
タバコに火をつけるホワイト「な・・・なんてちょろい野郎なんだ・・・」



カウンターで高額メダルに両替してもらうゼリーマン
「ヴィンツァーが大当たりした時に半分以上取り上げといてよかったぜ・・・」
ヴィンツァー「増えたの?」
ゼリーマン「ああ・・・24000ゴールド分のメダルが30万ゴールドになったぜ・・・」
めまいを起こすヴィンツァー「あの短時間で・・・」
ゼリーマン「お前がティルト(熱くなること)しなければ50万ゴールドだったんだよ・・・」
ヴィンツァー「じゃあ、もう帰ろうよ・・・」
ゼリーマン「バカ野郎、ギャンブルはこっからが楽しいんだろ!
これでハイローラーのVIP席に座れる・・・ディーラーとの一騎打ちだ・・・」

ディーラーゲームエリアを物色するゼリーマン
「バカラ、ブラックジャック、ポーカー、クラップス(西洋チンチロ)・・・
それとルーレットか・・・」
ヴィンツァー「バカラ?」
ゼリーマン「2枚のカードの合計が9に近いほうが勝ちになるカードゲームだよ。
ブラックジャックは21、ポーカーは役がある・・・
カードゲームはやめよう・・・胴元はいくらでもイカサマができる・・・」
ヴィンツァー「そうなの?」
ゼリーマン「お前はトランプマンを知らないのか?
おい、そこのバニーちゃん!」
バニー「あ・・・はい・・・!」
ゼリーマン「このカジノで最もハイリスクでハイリターンなゲームはどれだ?」
バニー「ちょっと確認しますね・・・(無線連絡をする)・・・アニマリング~おとぎの国の沼~というビンゴルーレットだそうです・・・」
ゼリーマン「よし案内しろ。」
ヴィンツァー「なんでハイリスクなギャンブルを・・・」
ゼリーマン「重要なのはハイリターンということだ・・・」
ヴィンツァー「ぼくはさっきギャンブルの恐ろしさを知った・・・!絶対そんな大当たりは出ない・・・!」
ゼリーマン「お前も少しは賢くなったな。その通りだ。」
ヴィンツァー「じゃあなんで・・・」
ゼリーマン「カジノ側に立って考えてみろ・・・カジノが潰れるような大当たりは絶対に阻止するだろう・・・イカサマというのはな・・・相手が絶対にやってくるとわかれば簡単に見抜けるもんなんだ。」
ヴィンツァー「イカサマを見抜いたら・・・?」
ゼリーマン「いくらでもふっかけれる・・・」
すると、さっきのギャンブル依存症の3月ウサギが話しかけてくる。
「悪いことは言わねえ・・・あのアニマリングはやめるニョ・・・」
ゼリーマン「何だお前・・・」
3月ウサギ「オイラは週7でこのカジノに通っているが・・・アニマリングのイカサマを暴いたギャンブラーはいねえ・・・」
ゼリーマン「なんだ・・・ただのクズか・・・こっちはこのカジノの親会社に恨みがあるんでな・・・
ほっといてもらおう・・・」
3月ウサギ「どうしてもやるってんなら・・・わかったニョ・・・
まずオイラがやってやるニョ・・・それを見てから決めることニョ・・・」
ゼリーマン「お前・・・胡散臭いな・・・カジノ側のサクラじゃねえだろうな・・・」

アニマリングに座る3月ウサギ「姉ちゃん!ベットするニョ!」
バニーガールがルーレットを起動させる。
バニー「ベット額はいかがしましょう・・・」
3月ウサギ「100ゴールドニョ!」
そこそこ当たるアニマリング。
ヴィンツァー「なにも違和感を感じないけど・・・」
3月ウサギ「見てるがいいニョ・・・よし、じゃあこれを全てかけるニョ!」
メダルすべてを突っ込んでしまう3月ウサギ。
バニー「3番ステーション、エクストリームジャックポットチャンスです!
60球のボールが1球でも20番のポケットに入ればジャックポット!
573万枚の獲得です!さあ、スパイラルスロープからボールがやってきました!」
ヴィンツァー「573万・・・」
ゼリーマン「1/25の抽選を60回外し続けない限りはジャックポットか・・・」
全然20番ポケットに入らないボール。
ゼリーマン「ふうん・・・」
3月ウサギ「いけ・・いけ・・・!!!」
最後の2球になってしまう。
3月ウサギ「これがオイラの全財産・・・!星野家の借金はオイラが返すニョ・・・!!」
すると、ボールは綺麗に20番を避けて19番と21番に入ってしまう。
バニー「あ~惜しい!!あと少しでした~!!」
真っ白に燃え尽きる3月ウサギ。そして失禁してしまう。
バニー「きゃあああ!」
3月ウサギ「・・・せねえ・・・」
バニー「・・・え?」
バニーに掴みかかる3月ウサギ「許せねえ・・・!!なんだこのイカサマは~~!!」
醜くバニーガールに八つ当たりをする3月ウサギ。
バニー「ひいい!警備員さん!!」
すると、3等身の可愛い動物キャラ達が現れる。
見た目と裏腹にかなりガラが悪い動物キャラ
「なんだてめえ、毎日遊ばせてやってるのにイカサマだと!?ぶち殺すぞこの野郎!!」
動物キャラ「てめえの舌は何枚あるんだこのやろう!!」
かわいい動物たちに取り押さえられる3月ウサギ。顔がぐにゃりと歪む「うわああ・・・・!!!」
どこかに連れてかれてしまう3月ウサギ。
ヴィンツァー「・・・・・・。」
ゼリーマン「・・・なるほど・・・確かにやっているな・・・面白い・・・」

高級そうな身なりの白ウサギがゼリーマンたちの方へ近づいてくる。
ホワイト「アニマリング・・・お楽しみいただけてますか?
わたくし、このカジノの店長を仰せつかっておりますホワイトというものです・・・」
ゼリーマン「あんた・・・可愛い顔して随分アコギなことしてるじゃねえか・・・」
ホワイト「なんのことでしょう・・・」
ゼリーマン「そう言うなら、そのルーレットの中身を見せてくれねえか?」
ホワイト「それはコマキ本社から禁止されております・・・
物理抽選の操作を疑うのならばやらなければいいだけ・・・ギャンブルはほかにもございます。」
ゼリーマン「あんたら・・・もしかして・・・ヴィーナス・スプリングスの森の仲間たちなんじゃねえか?」
ヴィンツァー「ヴィーナス・スプリングス?」
ホワイト「・・・・・・。」
ゼリーマン「ドリームワールドには、そんな名の7つめの世界・・・かわいい動物や優しい妖精と楽しくお話できる転送エリアがあったそうだが・・・」
ホワイト「何が言いたいのかね・・・」
ゼリーマン「あんたもコマキに住処を奪われて、こんなところで雇われ店長をやらされているクチだと思ってな・・・違ってたら悪いな。」
ホワイト「私は雇われているわけではない・・・コマキと対等な業務提携をしただけだ・・・」
ゼリーマン「そうかい・・・じゃあ、コマキの有り金をすべて奪ってもいいわけだ・・・」
ホワイト「なんだと?」
ゼリーマン「青天井で行こう。20番ポケットに30万ゴールド全ベットだ。」
ゼリーマンを止めるヴィンツァー「ちょっと待った~~!!」
バニーガールたち「ホワイト様・・・!やめましょう!!」
ホワイト「君たちはアニマリングに操作はあると思うか・・・?」
バニーガール「・・・え?」
アニマリングの分厚い説明書をめくるホワイト
「コマキ社の説明書にはそんな機構は書かれていない・・・
つまり、24/25の確率で我々は勝てる・・・」
従業員のウサギ「向こうがゴト行為を仕込んだのでは・・・」
ホワイト「あの2人は抽選器に触れたか?」
バニー「い・・・いえ・・・」
ホワイト「・・・客が落とした金を数えるだけの毎日・・・君たちももう飽きたんじゃないか?
久しぶりにドキドキしたくはないかね・・・」
従業員ウサギ「し、しかし、もし負けたら・・・」
微笑むホワイト「相手がツイていたとコマキに報告すればいいさ・・・
さて・・・イカれたギャンブラーの名を聞こうか・・・」
ゼリーマン「ゼリーマン・・・ただの雑魚キャラさ・・・」

バニーガール「そ・・・それでは、スペシャルミラクルアメイジングジャックポットチャンスです!
20番ポケットにボールが入れば9999万枚のメダルを獲得!
しかし、抽選球はたったの1球!
失敗したら、ゼリーマンさんは1050年地下行きとなります・・・!緊張の瞬間です!ボール発射お願いします!」



ビリオンパラダイスをあとにするゼリーマンとヴィンツァー
ヴィンツァー「ま・・・まだ脚がガクガクしてるよ・・・正直、邪神ニャルラト・カーンと対峙した時より怖かった・・・」
ゼリーマン「これでコマキの汚ねえ金はオレのものだ・・・」
ヴィンツァー「しかし、どういう自信があったんだ・・・?1/25なんて当たるわけが・・・」
ゼリーマン「あの白ウサギも救われたがってたのさ・・・コマキからな・・・」
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