『下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち』

 どいつもこいつも刹那的。

 高校の頃、クラスのガリ勉タイプの子と議論したことがある。「田代は世の中舐めている。お前は授業中も漫画ばかり描いてて好きなことしかやらないけれど、少しは自分の将来を考えて嫌なこともやれよ」って言われたから「でもたった一度の人生なんだし夢のために好きなことやったっていいじゃん。将来のためにやりたくないこと我慢してやって、その将来が来る前に死んじゃったら嫌じゃない?」って返したんだけれど、確かに当時の私は自分の好き勝手に生きてて、やりたいことばっかりやってた気がする。逆に言えば「好き」という短絡的かつ主観的な感情だけで、何かに熱中できたってこと。
 そうやって生きないともったいないと思っていたし、まだ高校生なのに手堅い進路を選んだり、失敗したことを想定してリスク分散しているのは、自分の人生を見限るというかなんかつまらない生き方のように正直あの頃は思っていた。
 将来の夢は安定した公務員ですってなんだよって。おじいちゃんかよって。

 高校の頃そうやって意見が対立したその人とは、その後会ったことがないんだけど、風の噂では大学では博士課程に進んだらしい。で、私は教育学部に行って公務員である学校の先生の免許を取り、今に至るのだけど、どっちが結局クリエイティブな人生かっていったら、どう考えてもリスク分散を怠らなかったその安定志向の子だろう。これはなんとも情けない話だ。
 きっと高校時代生徒会やったりして、好き勝手に自由に生きていた(つもりの)私のほうが、学者になったその子よりも生涯年収はずっと低いだろうし、不自由な暮らしをせざるを得ないということ。自業自得だ、自己責任だって言われれば全くその通り。
 そう、このように、自由意志や自己責任論が大好きで、自分の好きなこと、自分が賞賛されるクリエイティブな仕事(だけが)したい人こそが、それこそ自業自得で下流に流されていくのだ。

 ――このメカニズムを著者の内田樹さんは下流志向と名付けた。
 ここでの「志向」というのは、自分からそこを目指すという意味合いよりも、もっと生物学的な・・・虫や植物が光の方へよれてしまうといった意味合いに近いと思う。下流志向とは意思ではなく構造やシステムの“傾向”のようなものだと考えればいいのかも。
 つまりハタから見れば下流に自ら突っ込んでいる「自称自由」なお間抜けさんは、自分が自分で下流へのルートを選んでいるとは全く自覚してないのだ。
 なにせ弱肉強食の強者の論理を振りかざしているのは下流に流された社会的弱者たちなのだから。
 で、若いうちは「社会なんて知ったこっちゃねえ。せっかくだから俺は自由に生きるぜ。夢が叶わなかったら死んでやるぜ、どうだワイルドだろ~?」とか、かっこいいこと言って結局将来を棒に振っちゃった人たち(青い鳥探しに行く人)を、「自分のためだけじゃなく社会のためにできることをやろう」って地道に働いてきた人(朝みんなが起きる前に雪かきをする人)が税金で間接的に面倒を見るという、本当とんでもない逆転現象がこれからの日本では起こるわけ。
 なんと日本にはチャンスは今までたくさん与えられてきたのにそれを自ら棒に振ったニートの人が計測不能なほどいるらしいから。
 そういった意味で新自由主義の改革は周到だったと思う。こういった構造的な格差社会の実現が全てネオリベの計画通りだとしたら世の中とんでもなく頭のキレる奴がいたもんだと感動すら覚えます。小泉さんただのXジャパンファンじゃないぞ!

 とにかく「日本中の親、教師を震撼させたベストセラー」だけある。今まで読んだ本の中でもトップクラスに面白い。佐倉統さんの『進化論の挑戦』、橋爪大三郎さんの『はじめての構造主義』に匹敵・・・つーかちょっとしたホラーだよw
 最近感じていた世の中に対する違和感がめっちゃクリアになって、いやそこまでは分かりたくないってくらい分かって吐き気を催したくらいw
 ここまで完成度が高い本だと、もう私がここであれこれ言うよりも524円出して買って読んでくれって感じなんですよね。本当蛇足になっちゃうんで。
 とりあえず本書で私が気に入った部分をいくつか紹介。

 それが憲法に規定してあるというのは、“労働は私事ではない”からである。労働は共同体の存立の根幹に関わる公共的な行為なのである。(11ページ)
 
 大学入学者の学力低下は実際に教育の現場に立ってみると、しみじみ実感されます。(略)「小学生的」というのは自分の主観的な「好き/嫌い」「わかる/わからない」がほとんど唯一の判断基準になっているということです。(23ページ)

 「努力しても仕方がない」と結論を出しているのは、いちばん多くのリスクをかぶっている階層なのです。(99ページ)

 今日本で語られている自己決定論というのは「『他の人がなんと言おうと私は私の決めた通りのことをやる』というのを『みんなのルール』にしませんか?」というものです。これ変ですよね?(143ページ)

 仕事について「自己利益の最大化」を求める生き方がよいのだという言説はメディアにあふれていますけれど、「周りの人の不利益を事前に排除しておくような」目立たない仕事も人間が集団として生きてゆく上では不可欠の重要性を持っているということはアナウンスされない。(153ページ)


 でも「団結」って、もう死語ですよね。ポストモダン以降「みんなで仲良く支え合って生きる」という人間にとってほんとうにたいせつな生き方の知恵を私たちは文字通り弊履を棄つるがごとく棄ててしまったから。(239ページ)

 私も「協調性」という意味では胸を張れる立場じゃないけど、でも自分の意志で自分のやりたいことをやったのは、周りのクラスメイトがあまりにも保守的だったことに違和感を感じていたからだったりする。
 それが今の小中学校では、かつては少数派だった自分みたいな破天荒な奴が多数派になってしまった。みんなが「自由=自分の意志で好き勝手に生きること」こそが正しいと思っていて、そのためなら努力してでも納得のいかない苦痛に対して反抗&逃避を“選択”するわけだ。
 このような唯物論的かつ経済的な反応を「等価交換の原理」と言う(この言葉自体は、諏訪哲二著『オレ様化する子どもたち』からの引用)。
 このロジックはホントかどうかわからないけどすごい衝撃的で、まあ実際に自分勝手に行動して学校崩壊させている子がそういった現象学的なことを自覚しているわけないから確認のしようもないのだけれど。
 でも実際、私にもそういったことがあった。大学でパワハラやセクハラをする教授に食ってかかっていったのも、まあ教員として許せないっていう自己満足的な正義感もあったけれど、こっちが授業料払っているのに、こんな授業はねえだろっていう等価交換の原理が働いたからに違いない。
 しかし教育はコンビニや自動販売機のようなサービスではない。長いタイムスパンで考えないと評価のしようもないものなのに、私たちはまるでレジで卵を買うかのように教育を“購入”してしまう。で、数学を140時間買ったのにテストの点が上がらねえじゃねえか!ってクレームを付ける。
 そのような短絡的な判断が結果的にボクらを下流に押しやっているのだ。

 ・・・え?お前だけだって??

『ウルトラセブン研究読本』

 マロさん一押しの本。とにかく内容がすごく濃い。この本の影響で今ウルトラセブンにはまって全話DVD借りてきましたwウルトラセブンウィルス感染・・・!
 この本の詳細についてはマロさんのブログをあたってもらうとして、ここではウルトラセブンの考察なんかをちょっとだけ。

 そもそも私ってウルトラマンが好きって言いながら全話見ているのはそれこそウルトラマンだけなんですよ。本当にウルトラマン(だけ)が好き。
 だからウルトラセブンってちょっとしか見てなくて、まあ理由はウルトラマンと違って敵が宇宙人ばかりで怪獣がろくに出てこないじゃないですか。
 わずかに出てくる怪獣も宇宙人が連れてきた宇宙怪獣ばかりだから、形態につかみどころのないプログレ系ばっかりで・・・とにかく私は恐竜とか怪獣が好きだから人型の敵にあまり熱くなれないんですよね。おこちゃまだったんです。
 
 でもやっと28にしてウルトラセブンがわかる歳になったわけですよwウルトラシリーズの最高傑作と言われるだけはある。とんでもなくクオリティが高い。
 そもそもウルトラシリーズってウルトラマンとウルトラセブンで完結させる予定だったそうなんですよ。だからやり残すことがないようにしようと、すっごい内容を濃く作っている。
 もう脚本から演出、音楽、特撮技術まで全力勝負、完全燃焼のとんでもないエネルギーを費やしているのがわかる。

 隊長!こうなったら玉砕戦法しかありません!
 バカを言うなソガ!


 ダン隊員なんて月収3万円で朝(=深夜)から晩(=深夜)まで働かされ、フルハシ隊員はダイビングシーンで酸素ボンベの代わりに塗装した消火器しょって水に飛び込まされたり・・・まあ唯一やる気がないのはひし美ゆり子くらいでw

 とにかくみんなが本気で取り組んでいる。いや今の人だって本気で一生懸命作っているんだろうけれど、かつてのクリエイターは社会のためにコンテンツを作っていたんだよな。それがガイナックスあたりから自分たちが楽しむためにコンテンツを作りだした。
 今の若者は人のためにも自分のためにもそこまで頑張れない。人生をかけてなにかひとつのことに打ち込めない。玉砕できない。

 この頃の円谷プロってとにかく円谷英二のオヤジさんがいて「子どもに夢を」という強い思いが存在した。それを作り手たちが共有できていたというのもすごい。
 ただ皮肉かな、ウルトラシリーズ完結編として作られたウルトラセブンのヒットで世は怪獣ブームになっちゃって、以降のシリーズではウルトラシリーズは金になるぞとマーチャンダイジングの論理が振りかざされ、ウルトラセブンに命をかけた職人達のいくらかは現場を去ったらしいんだけれど・・・

 ETが流行ったとき地団駄踏みましたね。あんなETレベルの話なら快獣ブースカで何本も書いてる。シナリオレベルなら全くルーカスやスピルバーグに負けてない(市川森一)

 こんなことを言えるなんて本当かっこいい。実際ウルトラセブンの何本かはスピルバーグ監督、影響受けたんじゃないかってほど画面の絵作りが似ている。
 例えばガッツ星人のバリアーを張る円盤にジープの大舞台が立ち向かい全く歯が立たないシーンなどは『宇宙戦争』でほとんど同じシーンがある。

 演出や特撮技術だけじゃなくウルトラセブンは脚本が子供向けと思えないほどガチンコで、とんでもなく骨太なプロットが数え切れないほどある。
 これはもう企画部の金城さんや上原さんが自分たちで子供向けの王道(勧善懲悪)を覆しちゃったらしい。
 プロとしては禁じ手って感じがするけど、それだけ強く訴えたいものがあったんだよね。今のクリエイターにはそういった厄介な気骨がないし、受け手もそういったお説教臭いテーマを必要としていない気がするからどうしょうもないんだけれど。なんか今のコンテンツって「メタ」はあるけれど「メタファー」がないんだよね。

 何のための観測なの?それはいずれ自分たちが利用するためにやっていること

 ノンマルトは悪くない!人間がいけないんだ!ノンマルトは人間より強くないんだ!攻撃をやめてよ!

 ウルトラセブン!どうやら我々ポール星人の負けらしい。第3氷河時代は諦めることにする。しかし、我々が敗北したのはセブン、君に対してではない、地球人の忍耐だ!人間の持つ使命感だ!
 
 教えてやろう、我々は人類が互いにルールを守り、信頼しあって生きていることに目をつけたのだ。地球を壊滅させるのに暴力をふるう必要はない。人間同士の信頼感をなくせばよい。人間たちは互いに敵視し傷つけあい、やがて自滅していく。どうだ、いい考えだろう

 どーも人間は物覚えが悪くていかん。コーヒーの味が毎日違うんだからなあ

 アンヌの部屋からこの爆弾を地球の中心にぶちこむことはできたんだ。それをしなかったのは最後の最後まで、私たちの科学の力がこの事態を何とかしようと・・・

 それは、血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ…


 と、とんでもない名セリフがウルトラセブンには数え切れないほどある。もう全部が秀逸なメタファーなんだ。
 私は例え作り話でも「リアル」とまったく接点がない物って感動しないって思うんだけれど、ウルトラセブンってその点社会科学の文脈のSFとしてすごい優れていてマイケルサンデル毎週やってるようなもんなんだよね。
 自分が描きたかったものって結局こういうものだったんだなあってなんか変に納得したというか安心できました。自分のやりたいことって時代錯誤かもしれないけれど決して間違ってないぞって。

 おまけ

個人的に好きなエピソードベスト5

第一位『人間牧場』
 サイエンスのSFとしてもっとも密度が濃いなあって思ったのがこの回。宇宙からやって来た知的生命体が若い女性を宿主にして自分たちのエネルギーを回収するというプロットは『魔法少女まどか☆マギカ』を40年以上先取りしている(つーかパクられた!??)。あと放射線治療とかやってるしね。私はやっぱりアイディア性のあるお話が好きなんだなあって。
 またウルトラ警備隊がクライマックスで大活躍してセブンの窮地を救う回でもある。科特隊もそうだったけど、まだセブンまでは彼らの存在意義がちゃんとあったんだよね。ポール星人だってウルトラセブンに負けたんじゃなくて地球防衛軍の根性に負けたって言ってるしw

第二位『明日を捜せ』
 自分で「私は古い人間だ」と言うキリヤマ隊長の意外な一面が楽しめる回。つーかオフのキリヤマ隊長もダンディw背広が似合うんだ。
 市川森一さんはインタビューで「怪獣や宇宙人が出なくてもウルトラセブンは成立した。登場人物がしっかり描かれていたから。」と言っていて、確かに納得の回でした。
 ウルトラセブンではウルトラ警備隊の各隊員を一人ずつフォーカスした回があって射撃の名手ソガ隊員がライバルと戦う回や、草食系のアマギ隊員の淡い恋のおはなし、フルハシ隊員のお母さんが箱根へやってくる回なんかもウェルメイドで感動しちゃった。人間ドラマだってやれるんだっていうw

第三位『V3からきた男』
 私が最も大好きなキャラ、アウトローのクラタ隊長登場回。とにかくキリヤマ隊長との男の友情が熱い!キリヤマ隊長を演じた中山昭二さんって戦争で戦っているから「貴様」っていうセリフがすっごいしっくりくるんだよね。もうこんなセリフが様になる人なんて現代にいないよねwあと「生きてたらまた会おうぜ」選手権やったら絶対クラタ隊長の右に出る者はいないよねw
 誠実&ワイルド、アイス&ファイア・・・本当名コンビだと思う。

第四位『狙われた街』
 もう言わずもがなの名作。最後の最後でナレーションにグサリとやられる。放送時間的にもう話は終わったなって安心したところをこうだよw
 画面、演出、脚本、すべてが独創的で素晴らしい。私があれこれ語るのは蛇足。見てくださいw

第五位『超兵器R1号』
 こういう『ジュラシックパーク』みたいな展開の話大好きです。だからこの前書いた『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』と似ている。ぐ・・・偶然テーマがかぶったんだよ!


好きな怪獣ベスト5も・・・どうでもいいだろうけど

第一位「核怪獣ギラドラス」
 どうやったらこんな造形思いつくんだってくらいかっこいい。後ろ脚がじつはないんだよね。だからゾウアザラシやトドといった海生哺乳類を思わせる。
 ちなみにギラドラスは『ウルトラセブン研究読本』でも表紙を飾った!つーかだから買ったっていうのもありますw

第二位「メカニズム怪獣リッガー」
 知名度、人気ともにウルトラセブンではワーストな怪獣だけれど、こういう首の長い恐竜タイプの怪獣ってウルトラシリーズの初期って必ずひとシリーズに一体いてそれがどれもかっこいいんだよ。また作中ではかなり強い。みんな忘れてるけどw
 成田亮さんから怪獣デザインを引き継いだ池谷仙克さんはこのリッガーをさらに発展させ『帰ってきたウルトラマン』の名作「キングザウルス三世」を生み出すわけで。ちなみに『ウルトラセブン研究読本』ではカプセル怪獣アギラは池谷さんがデザインしたって書いてあるけど池谷さんいわくアギラのデザインは成田さんの置き土産だったそうな。

第三位「宇宙蝦人間ビラ星人」
 これもすごいデザインだよね。第一回目のクール星人からそうだけど中に人入ってないもんね!!そこらへんからもウルトラセブンとの差別化を試みたのかな。
 ウルトラセブンの宇宙人って荒事は苦手だけど頭だけは切れるずる賢いタイプが結構いて、この手の侵略者は万策尽きるとセブンに円盤ごとあっさりぶっ殺される確率が高い(なんか可哀想。自業自得だけど)。
 ちなみに喋り方がまんま「ワレワレハウチュウジンダ」で大爆笑wさらにテレビで放送してるからねw

第四位「宇宙竜ナース」
 とぐろ巻いて円盤とか発想がすごい。ウルトラセブンってけっこうメカの敵が多いんだけどその中でもこれは異色作だと思う。人入ってないしね!(二回目)
 デザインは印象に残っているけどナース戦ってイマイチ印象に残ってないwあっさりやられちゃったような・・・ヘビのような長い胴体でウルトラセブンを絞め殺そうとしたら「フン」って感じでバラバラにされちゃてw

第五位「双頭怪獣パンドン」
 私は改造ではない方のが好き。『研究読本』の怪獣評論家は着ぐるみが「串カツみたいになっちゃった」って否定的だったけど私はこのなにがなんだからわからない頭の部分が結構好きですw結局パンドンって目はあるんだっけ?そういう好奇心をくすぐる形態だと思います。モグラの目みたいなもんだよね。あっても小さすぎてよくわからないっていうw

 モグラめ、元気か!?

 追記:一日経って気づいたんだけど好きな怪獣にエレキングを入れるのを忘れた!そしてなんで第三位にビラ星人なんかを入れてるんだろう・・・冷静になってみればそれほど好きじゃねえやこいつwウチワエビをモチーフにしたデザインはユニークで面白いけどね。でもこういったデザインの崩し方って私も中学生の頃オパビニア(『古代生物オパ』)で試みているんだよw
 で、エレキングだけど、あれ、色がいいよね。宇宙ホルスタインって感じでw実際ピット星人のポケットモンスターか家畜って感じだったし・・・また尻尾が普通の怪獣よりも長いのも特徴的。武器に使ってるんだなっていうのがわかる。
 しかしピット星人って軽い奴らだったよな。女子大生が「週末地球侵略行っちゃう?」みたいなノリで来てるもんね、それくらい宇宙人からしてみれば地球なんて道端に咲いた小さな花みたいなもんなんだろうね。

『ウェブはバカと暇人のもの』

 揚げ足取りが大好きで、怒りっぽく、自分と関係ないくせに妙に品行方正で、クレーマー気質、思考停止の脊髄反射ばかりで、異論を認めたがらない(略)決定的な特徴は「暇人である」ということだ。書き込み内容や時刻から類推するに、無職やニート、フリーター、学生、専業主婦が多いと推測できる。『ウェブはバカと暇人のもの』59ページ

 あ、オレだ。

 著者はニュースサイトの編集者中川淳一郎氏。もうタイトルからしてすごいよね。ネットで話題になるには何をすればいいか心得ている人のタイトルのつけ方だよ。こういうのをバカと暇人への燃料投下というらしい。
 案の定「てめーに言われたくねーよ」とか「バカや暇人に食わしてもらってるのはお前だろ」とか大騒ぎになってビジネス的には大成功?

 まあ数年前に「週刊フジテレビ批評」でも取り上げられ賛否両論となった本だから、アマゾンのレビュー欄に星の数ほど感想はあるので(大体が脊髄反射的な酷評。きっと、無職やニート、フリーター、学生、専業主婦なんだろうな・・・)ここではこの本の内容についてというよりは、この本を読んで私が考えたことをいくつか。

 とりあえずウェブでもなんでもバカは目立つということ。で多分ずっとバカな人はいない。RPGのステータス異常みたいなもんでバカって言う状態がある。でウェブはそのバカな「状態」をデータベースとして記録してしまう。

 ガウス分布的に賢い人は全体に比べて少ない。賢くない人(≒バカ)がとにかく人口が多く、そういったひとが気軽にほぼノーリスクで匿名で発言できるようになっちゃった。だから下からの権力がものすごい。時に社会全体の不利益になるようなブレーキをかけてしまう。

 結局正論だったり偉そうなこと言っても責任の矢面にはみんな立ちたくないから、集団のできるだけ後ろの方で先頭に向かって石を投げている。
 戦略的にそのポジションが一番今はいいんだろうけれど群全体が崖に少しずつ近づいていることを知らない。このままじゃ遅かれ早かれみんな崖から落ちる。
 これをイグアノドン(ベルニサルテンシス)のジレンマと名付ける。後ろにメガロサウルスはいないけれど。メガロサウルスはイグアノドン自身だというね。

 あとウェブって同調圧力(ピアプレッシャー)が半端ない。これって中学生の集団とかに使う言葉だけどウェブの集団にも当てはまる。この圧力はプロフェッショナルというものを産まない。
 プロっていうのはみんなが真面目だったらバカなことやって、みんながバカになったら真面目なことやる。プロは大衆に同調しない。
 でもそういうプロはウェブではなかなか成功しないし、本当のプロはウェブに頼らなくてもリアルで評価される。

 ウェブで勝利するのは恥も外聞も捨てた「迎合」。あえてバカに徹することでバカにバカにされればクチコミが発生する。上から物を言われるよりバカな人は自分よりバカな人をバカにしたい。
 バカはバカの嗅覚でバカっぽい情報を嗅ぎつける。確かにほとんどのネットユーザーはためになる情報を欲してない気がする。それよりも上から目線でツッコめる対象を探している。
 自分がバカだってことにバカな人は気づいていないから。作り手としてはどう考えてもマーケティング丸出しで恥ずかしくてやってられないよっていうのをやっちゃえばいいんだよな。結局はバカを気持ちよくさせるのが勝利の鍵。

 典型的なのが今のエヴァンゲリオンだろうけれど。めっちゃ手の内がわかるけれど結局あの手法は強い。エヴァンゲリオンってコンテンツとしては大して質は高くないと思うんだよ。あれはコンテンツじゃなくてプラットフォームなんだよね。初音ミクとかもそう。そこに徹しているのがすごい。プロじゃなくてプロっぽいアニメオタクが作ったって感じ。

 でもコンテンツの究極進化系ってそれなのかもしれない。たけしさんは日本人からどんどん「間」がなくなったって論じたけれどそれはよく言えば無駄なものが排除されて洗練されたとも言えるんだよね。それが文化として豊かかどうかはわからないけど。

 ただ個人的には「そんなことやってよく恥ずかしくないよなあ」って。露骨に欲望を刺激するものに単純に反応してしまう。作り手の立場を想像するとなんかそれをやっちゃお終いよって。
 だから東浩紀氏の指摘はその点正しい。見方を変えれば「動物化」しているように見える。微分するとそうでもないけれど積分するとバカに見えちゃう。

 まあとにかく『アベンジャーズ』のコピーといいウェブの世界ではバカにされれば勝ちってことだよ。みんな何かをバカにしてツッコミたいわけで。
 ウェブってそういう現象を可視化しちゃうからなあ。ウェブの動向を間にうけない方が絶対にいいな。ごく一部の世界だったりするし。それこそウェブでは暇な人が最強になるわけで。

 だからウェブにどっぷり浸かると人間がバカに見えてきちゃう。でそれは自分がバカになっているってこと。人間の心理はそんな単純なものじゃなくてもっと繊細で複雑ってことを見失っちゃう。だから実際に会ってコミュニケーションとったほうがいいよ。暇なら外へ出ろw
 ウェブにもそのコミュニティのルールはあるけれどそれってリアルの社会と互換性悪そうだし・・・

30代に向けて

 教習所の空き時間になにもやることないので、一昨日買ったビートたけしさんの新書『間抜けの構造』を読んでいるんですけれど、たけしさんがツービートを結成したのって27歳の頃なんですね、それまではずっと鳴かず飛ばずだったらしくて・・・
 あんな大天才でも20代は苦労したんだ、我慢の時期だったんだって思うと、ちょっと希望が湧いてきました。ということで私もまだまだ創作活動を続けていくぞって。
 とはいえYELLでも謝ったんですが最近学校と塾と家庭教師のトリニティアタックで漫画を描く時間的余裕があまりない。
 いやてめえ『メン・イン・ブラック3』リピート鑑賞している暇があるなら描けるだろってツッコミが来るのはわかるんですが、どうもストレスが多くてねw
 ・・・すいません漫画も真面目に頑張ります。こうやって言い訳しちゃうのいくないね。

 で、昨日知って驚いたんですが、教習所の教官の息子さんが漫画家やってて、しかも自分と同い年、さらに自分と同じ年齢で新人賞とって、その後萌え漫画でスマッシュヒット、作品はアニメにもなってるそうなんですよ!
 私はその点、みみっちい経済観念が働いて「つぶし」が効くように国立大学に行っちゃったけれど、なんかその漫画家さんと見事に明暗が別れたなあって・・・
 で、自分の作品がアニメやゲームにもなったなら「一生食っていけるんじゃないんですか?」って聞いたら、ピークでも年収一千万ほどでその後の見通しは立ってないって。天下のアニメ化でも一生安泰ってわけではないんだなあって。

 でも一日の睡眠時間はたった3時間で、それこそ命をすり減らして描いているのに常に将来の不安がつきまとうって本当過酷な職業ですよね。
 しかも漫画家ってめちゃくちゃ自殺率が高いんだって。ほとんどがペンネームだから知らずに死んでいるんですよ。精神的に参っちゃって欝で死んじゃうんだって。
 私は連載経験とかないからそこまでは解らなかったんだけれど、そりゃ担当の編集者はそんなこといきなり言わないよなあ・・・萎えちゃうもんw
 私は少なくとも漫画家は身が持たないから本業にはしないほうがいいなって、しみじみ思いました。プロになるなら絶対原作者だなあって。話考える方が絵を描くよりもずうっと好きですし。

 さて、そんな感じで残り少ない20代、これからどうしていくかって考えているんですよ。
 とりあえずYELLの『超音速ソニックブレイド』を描きながら、学校行って家庭教師やって塾講師をやるのは変わらないんですけれど、今考えているのは美術の先生ってあんまり楽しくないなってw
 中学生くらいだと別に「美とは何か?」なんて話に興味もないから教員採用試験でみっちり勉強するとんでもなく専門的な美術の知識が現場で全く役に立たない。キュビズム?アルカイックスマイル??なんだそりゃってw受験にも必要ないしね。

 だから中学校の数学と理科と社会の免許も取っちゃおうかなあって。なんか通信教育で取れるらしいんですよ、15万払えば。
 なんだかんだ言って複数の仕事掛け持ちしながら自動車の免許通えたから、教習所卒業したら多少暇もできるしやれないことはないなって。
 通信教育ってことだから家から通うってこともないし。15万払って職業選択の自由が増えるなら安いもんだなあって。
 まあ私もいい歳だからフラフラしてないで、もう少し社会貢献したほうがいいしね。頑張ります。

仮免許取得

 よりにもよって修了検定の前日に風邪をひいちゃって、多分寒い中ヤンキーの人と喋ってたからなんだろうけれど・・・とにかく今朝も鼻水と頭痛がひどくてフラフラ。
 大体せっかくの休日が病気で動けないって最悪だよね。私の友達ってもうほとんど家庭を持ってて会う機会が全然ないんだよ。で、やっと遊べるって日に風邪。コノヤロウって。
 しょうがないから家にこもってツイッターとかテレビゲームの『免許を取ろう!』やって時間潰してたんですが、それで「みきわめ」と「修了検定」をプレイしたのが良かったのか、とりあえずコンディション最悪ながら仮免許は取得できました。

 ありがとう三石琴乃教官。

 で、修了試験合格者は夕方の講義を三時間取らなきゃいけなくて、結局フラフラながら帰りがのびて、今やっと終わって帰ってきたところなんですよ。
 なんか受かるんじゃなかったなあ、とか本末転倒な気分で講義を耐えてましたw

 さてこのブログをこれから教習所に通おうとしている人が読むかどうかは分からないけれど、まあそういう人のために修了試験の内容をちょっとだけまとめます。

 まず実技のコースなんだけど、これは「みきわめ」のコースと全く同じコースを一周するだけ。だから「みきわめ」のように授業時間が終わるまでコースを何周もグルグルはしない。一発勝負。
 私なんか「みきわめ」で4周も同じコース走らされて4周目でもう飽きてきちゃって気を抜いたらクランクから脱輪したからねw
 で修了試験は減点方式で、最初100点持っててミスするごとに点数が引かれる感じ。特に脱輪してそのまま行っちゃったり、一時停止の無視は31点マイナスで一発でステージフェイルド。
 脱輪に関しては修了検定はかなりシビアで、私の前の人が脱輪してバックしてリトライしたんだけど落ちちゃってたからね。
 そもそも「脱輪(小)」って項目ですら「脱輪しかけている」なんだよ。だから本当に脱輪しちゃうと合格はかなり厳しいのかも。

 ちなみに実技試験を担当してくれた教官は、前にこのブログでも取り上げた、物腰が柔らかくとっても教え方が丁寧なんだけど、怒らすとヤンキーも震え上がらせる先生で、その後の教習で分かったんだけど、なんと元数学者。地球上の炭素原子の数を数えたことがあるらしい。なんでそんな人が教習所教官にw人に歴史ありだよなあ・・・
 で、この実技で11人いた受験生が7人にまで減って、その実技試験合格者7人で学科試験って感じ。

 学科試験は教本を読んでもはっきり言って役に立たなくて、受付で売っている問題集からそのまま出るって感じ。これをやっておけば結構簡単に学科は合格できる。とりあえず教本は役たたず。だって問題の答えが書いてないんだもん。
 あとプレステの『免許を取ろう!』は免許センター監修だけあって試験問題がほぼ一緒。これも役に立った。ありがとう三石琴乃教官。
 で全部で50問、一問2点って感じ。合格ラインは90点で、つまり6問間違うと不合格になっちゃう。私はバスの優先道路の問題で間違っちゃったんだけど(バスが近づいたら直ちに優先道路から出なきゃいけない)、合格者の4人のうち2人はなんと満点を叩きだしてた。すげえ。

 まあなんにせよ修了検定は無事一発で受かったわけで、あとは教習所で路上教習と残りの学科をやって、で、免許センターにいって最後に筆記試験やるって感じ。
 つまり教習所で行う学科試験はこれでおしまいってこと。それは良かった。あと免許センターで実技試験はないっていうのも意外だった。
 この調子でとっとと取れりゃいいけど・・・ホノオモユルルートだけは勘弁。
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