女性が嫌いな女性キャラを描く

 『走れシンデレラ2 イッツアドリームワールド』の敵は前回のケニアのハンターとはうって変わって、オタク受けしそうな美少女アイドル。
 男性をターゲットにした女性キャラって、女性には嫌われたり不快に思われたりします。これはアイドルやタレントでもそうで、ちょっと個人名は出せませんが・・・まあ、いるじゃないですか。なんたら四拾八とか。

 ああいうのってなんで女性に嫌われるかって、猫かぶって男性におもねって、そんなあざとい見え見えの戦法が、なぜか見事に男に通用して人気があるところが、女性が見てて腹立つところだと思います。
 だから「あんな奴に騙されて好きになっちゃう男も最低!」って思っていると思うんです。あんなぶりっ子、わざとに決まっているのに、なんで気付かないんだ!?と。
 まあ男もうすうす気づきながらも、夢見たいところがあるんだろうけど・・・

 今回そんなぶりっ子を研究して「秋葉原さん」を描いているのですが、このキャラ本当に描いてる私が腹が立つほどむかつきますよ(笑)。

 ちなみに彼女のモデルは『魔法少女リリカルなのは』っていうアニメで、私が2004年にこの脚本を書くときに「魔法少女は出したいけど、サリーちゃんやミンキーモモ、おじゃ魔女どれみ、みたいな有名な魔法少女キャラをモチーフにするんじゃなくて、すっごいマイナーなキャラをパロった方が知ってる人が笑うぞ」とネットで「魔法少女」って検索して、私が知らないキャラを選んだんです。
 名前もすごいじゃないですか「リリカルなのは」って。で、その番組データを見たらなんとたったの13回で打ち切られていて、これだ!!って即座に決定しました。

 その後、このアニメが女の子じゃなくてオタクに絶大な人気があり(違う意味で“カルト”だった)、続編も作られているということを知って意味が変わっちゃったんですけど(しかも13回も打ち切りじゃなくて元から1クールアニメだったらしい)ファンの人怒らないでね。

ヒックとドラゴン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 大嫌いなテレビゲーム「モンスターハンター」よりはマシ。

 面白い。久々に面白い!っていう面白い。つまり発想が何とか・・・とか小難しい面白さじゃなくて、ただ単純に面白い。
 深いテーマとかあったかもしれないけど、そんなの覚えちゃいない。楽しさにかき消されちまったよ。でもそんな事言うと、記事に書くことがなくなるから、いろいろ考えてみます。

 でもこの映画の楽しさって言葉にできるほど複雑なものじゃない。もっと単純。

 わ~ドラゴンだ~。かっけ~はえ~でけ~つえ~

 ・・・って感じ。ちびっこにはたまらないだろうな。

 私が特に心奪われたのは背景。景色がやたら凝ってる。ファンタジーの世界としてすっごいかっこいい。「ファイナルファンタジー12」みたい。
 村の家屋のデザインとか、ドラゴン試験の闘技場とか、海岸線の岩とか、森林の樹の配置に至るまですっごいかっこいい。
 行きたいもんここ。例え一年のほとんどが雪と氷に閉ざされてても。雹も降るらしいけど(笑)。
 そんなかっこいい世界をドラゴンでビュンビュン飛び回るわけで、もう最高。 

 あと音楽。音楽もいい。主人公の少年「ヒック」とドラゴン「トゥース」が友達になるシーンとかすっごい曲がいい。サントラ欲しい!

 ちくしょう漫画描いてて嫌になる(笑)。映像と音楽は漫画じゃ表現できないから、こういう映画の面白さはなかなか出せないと思うんだ。
 もちろんこの映画のテーマみたいなのは漫画でも表現できるし、実際似たようなテーマを書いたこともある。去年。
 
 でも書き手が違えば結論は異なるわけで、この映画の結論って意外と矛盾してるんだよね。
 いやその矛盾なんて、この映画の楽しさにかき消されて全然気にならないんですけど、でも心優しいヒックが、バイキングの敵であるはずのドラゴンを殺せないって言うところからドラマは始まるんだけど、結局ドラゴンたちに悪さをさせているボスドラゴンは躊躇なく殺すのよ。
 おいヒック!そいつもなにか事情があって、ドラゴンに食いもん運ばせているだけかもしれないだろ!(笑)
 私がいつもお世話になっている「ハピネス道」のYukiko T.さんの記事から、この映画は「善悪二元論」で完結せず「悪を悪たらしめる根本的な問題」と、ヒックとドラゴンは力を合わせて戦うんだと思っていたから、正直いい意味でハッタリをかまされた気分。

 結局この映画は、北欧神話「トールVSトロール」よろしく「善悪二元論」の新しいタイプなだけで、悪の上にさらなる悪がいたってだけ。
 つまり主人公が会社の平社員で、課長が主人公をすごいいじめるわけですよ。でも結局課長がいじわるするのは部長が課長をいじめているからで、そのストレスで課長は悪者になっていた。
 よし!じゃあ課長と共に諸悪の根源の部長を殺そう!って言っても問題は解決しないだろ。
 そこがいつもアメリカだなって感じするけど(『インデペンデンス・デイ』といい『アバター』といい)暴力で正義を啓蒙する以外になんか方法はないのか?

 例えば「あのボスドラゴンは人間が勝てる相手ではない。そっとしておこう」って言って、人間の方が住処を離れたっていいわけじゃないですか。あいつはドラゴン達の神だって。
 だってバイキングの住む「バーク島」は寒くて正直住みにくい土地なんだから「じゃあ今度は南国に行くか!」でもいいじゃん。ラストシーンがアロハシャツ着ているバイキングってのもいいじゃないですか。

 私の去年の漫画の脚本では、この「自然VS人間」の根本的な問題を「人間が野生動物のすみかを奪ったり、ハンティングでむやみに虐殺したこと」として問題定義し、人間もある時点では引かなければ環境問題は解決しないと結論付けたんだけど、でもそれだと子供向け映画としてヴィジュアル的に弱いから、ああいう巨大な生物を殺す感じにしたんだろう。
 やっぱバトルってみんなワクワクするからね。
 
 ただあのボスドラゴンって、ヒックが言ってたけどドラゴンたちの「女王蜂」なんでしょ?ならばあいつを殺すってことは、ドラゴン全てを結局滅ぼしたってことだよな。
 ・・・いいんかな?いいんです!(c)川平慈英

 手足の無い狩りの先生といい、尻尾の片側の無いトゥースといい「障害者」の描き方は最高によかった。最後の最後は泣けたもん。

家族が破壊された時代に恋人を作る意味はあるのか

 お盆休みに入ってまた時間ができたので、特にお盆は予定がないし(さみしい)引き籠って漫画描いてます。『超音速ソニックブレイド』の小説から『イッツアドリームワールド』に再びバトンタッチ。

 vicさんが『80日間宇宙一周』を読んでくださって「こんなん、どこが強い女の話だ」ってがっかりさせちゃったみたいですが、女性が好きな男の為に命をかけるのは『イッツアドリームワールド』の『走れシンデレラ』シリーズでした。すいません。
 『80日~』は結局男に助けられてるもんな。こういうの女性にとっちゃ、もはや屈辱なのだろうか?(笑)そう考えると本当に時代は変わったかも。
 私もできれば強くて優しい女性に食わせてもらいたいけど(本心が出やがった)、そんなの「ヒモ」だって、まだ世間は許さないだろうな。「男として情けなくないの?」って。
 実際そんな女性はいないだろうけどね。

 こういう話をしていると恋人欲しくなってくるな。このままひとりで30代になっちゃうんじゃ、まじで自分の漫画の「ミグ」と一緒だよ。危ない奴って思われないかな?別にいいか。
 私は大学とかで、まわりがみんな女の子と付き合ってると、自分がすごいみじめに思えて嫌だったんだけど、こうやって居心地の悪いキャンパスライフからついに脱し、自分の周りにカップルがいなければ全然大丈夫。みんな持ってるおもちゃが欲しくなっちゃう現象なだけなのかもしれない(女性に失礼発言)。

 しかし思うんだけど、恋人って言うかつまりは「家族」がいないと人ってダメなんだろうな。頼れる人がいないとやっぱり人っておかしくなるじゃん。個人と個人を強く結ぶ関係性で最も強いのはやっぱり家族だし。家族だって煎じ詰めれば他人なのになんかみんなで世話焼きあって、腐れ縁だよね(くされてないかw)。

 んでリベラルだか知らないけど左翼的な流れで、家族をはじめとする共同体の形式がことごとく壊されて、「個人」のレベルにまで分解されてしまったのが現代だとしたら、これは「個人の自由」(バーガー)とセットで「孤独の恐怖」(ポテト)ももらったね。
 この現代特有の孤独は、ネットで補完しろって言っても、まあ無理。現実の友だちや家族の方が強固だもん(オフ会がある??)。そして友だちは「学校」という共同体が存在しなければ作れなかっただろうし、家族の絆だって良くも悪くも「家制度」が形成してたよね。

 民主党や一部の社会学者が言っている「夫婦別姓」も、私は大学の授業では「ああ平等でいいな~」って思ったけど、あれ面倒くせえよ。
 民主主義国家なのに、ろくに投票もいかない連中が「家族の形態」までいちいち個人で考えれると思う?
 つまり昔は「家族は、父親は、女はこうあるべきだ」っていう考え方の枠組みをトップダウンで個人はもらってそれを共有していたけど、今は個人それぞれが自分に合った生き方を考え選んでいくボトムアップをやれってことでしょ?

 でも、そこまで個人って忍耐強くないよ。だから今って鬱病になったり、自殺する人が多いんじゃないの??
 そもそも哲学が好きでもない限り「自分に合った生き方・・・」の“自分”がどういう存在なのか分からないもん。
 もし本当に個人単位に自己実現のレベルを落とすならば、学校で哲学は絶対やらせるべきだ。んで狂って自殺する奴がいようとも、それはそれで仕方がないと。

 私は明治や昭和に戻りたいとは決して思わないけど「個人が自由=幸せ」だって言う短絡的主張は現代において反省しないといけないかもしれない(保守のじいさんみたいな事言ってるのかな?)。
 だってほとんどの人って一人で生きていけるほど才能もないし精神的に強くないもん。

 まあだから私は強い女性に甘えたいってこと。この思いはかなり「革新」だよね。

 追記:ピクサー映画を別タグにまとめようと思ってます。暇だから。

レミーのおいしいレストラン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 変わっていくのが“自然”じゃないの?ぼくたちさえその気になればね。

 ピクサーがついにクリエイター論を放ったのが、この作品。正直『レミーのおいしいレストラン』と『カールじいさんの空飛ぶ家』は事前に内容が全く予想できず、いい意味で期待を裏切られました。

 まず害獣のネズミに料理やらせるって言う発想がすごい。たとえ思いついても実行しない。それをやるのがイエス、アメリカ。
 なにしろ世界は広い。この映画の舞台フランスには『オギー&コックローチ』っていうゴキブリが主役のアニメもあるくらい。これがまたゴキの野郎が小憎たらしくて見ててムカつくんだ(笑)。トムとジェリーの可愛さなんて微塵もナッシングザンス。
 だから日本もロボットと美少女ばっかやってないで見習った方がいいよ。

 さてゴキの話はほっといて(お前がふったんだろ!)「レミー」の話に戻りますが、この映画って高級フレンチのフルコースのように内容が盛りだくさん。
 とりあえず主人公のネズミの青年「レミー」と家族(群のリーダーである父親)の葛藤、これはすなわち鼻と舌が肥えた高貴な美食家で、料理の才能もある自分が、なぜ「フランス人」ではなく、「ネズミ」という低俗で下品な種族に生まれたのか!?というアイデンティティクライシスにつながるのですが、その「青年期」を共に乗り越える相棒となるのが、フランス人でレストランで働いているけど料理の才能がない「アルフレド・リングイ二」くん。

 このリングイ二くんが、また内向的でウジウジで、日本に数万人はいそうな草食系男子。このタイプのヒーローって最近アメリカでも増えているけど、今って世界的に草食系男子が増殖しているのかな?
 漫画雑誌の編集者が昔「漫画の主人公には二つのタイプがある」と言っていて、一つが「憧れ型」もう一つが「共感型」だそうです。
 「憧れ型」とは、いわゆる強くて優しい完全無欠のヒーローで、読者が「オレもこうなりたい!」って思うタイプ。
 それに対して「共感型」は、読者が「オレもこうだよな」って主人公の情けなさに共感して、友達になりたいと思うタイプなんだそうです。 
 少年ジャンプでは今なお「憧れタイプ」のヒーローが人気があるそうですが、最近のテレビに出ているタレントでも、アイドルでも、芸人でも、視聴者が親近感を抱くようなヒーロー然としていない人が人気があるような気がします。
 凡人オブ凡人のリングイニくんもこの流れを汲んでいるのでしょう。まあメートル・ド・テル(給仕担当)の才能があったけど。

 料理の才能があるが機会に恵まれないレミーと、機会はあるが料理の才能のないリングイニ。このふたりがまるで『ミドリのマキバオー』のようにドッキングし、料理をするシーンは抱腹絶倒。
 ああ、この映画って料理で「曲がれ、たれ蔵!」「んあ~負けないのね~!」をやっている映画なんだなと、私は解釈しました。

 レミーによって天才シェフの名をほしいままにしたリングイニ。気分も大きくなり女もゲットした彼は「ぼくはキミの操り人形じゃない!」と反旗を翻し、2人の間に隙間風が・・・
 そんな中、やたら冷凍食品にこだわるシェフ・ド・キュイジーヌの「スキナー」(ネズミの実験のスキナー箱が元ネタですね)と、“死神”の異名を持つ辛口料理評論家「アントン・イーゴー」が襲いかかる・・・!
 また家族と再会したレミーは父親にネズミの暗い現実を受け入れろと言われるが、やっぱり受け入れられなくて・・・

 つまり『レミーのおいしいレストラン』のテーマはパラダイムシフトなんだと思う。考え方の枠組みが断続的に変わること。価値観の変革。
 そしてパラダイムシフトは新しい発想と勇気だけでは成し遂げられない。それを支える環境――理解者、協力者がいてはじめて世の中を変える力になる。
 たとえば最大のパラダイムシフトといわれる「進化論」のアイディアは、おそらくダーウィン以前にも幾度となく考えられていたと思う。それこそ古代ギリシャや中世から。
 でもそれを受け入れる環境がヴィクトリア朝時代までなかった。だから社会の固定観念を覆すまでに至らなかった。

 それを鋭く論じたのが、ラストのアントン・イーゴーの評論パート。私も含まれるけど、テレビ番組で辛口映画批判している評論家の人たちに正座させて見せた方がいいよ。

 評論家というのは気楽な稼業だ。危険を冒すこともなく料理人たちの必死の努力の結晶に審判を下すだけでいい。
 辛口な評論は書くのも読むのも楽しいし、商売になる。

 だが評論家には苦々しい真実が付きまとう。例え評論家にこきおろされ「三流品」と呼ばれたとしても料理自体の方が評論より意味がある。

 しかし時に評論家も冒険する。その冒険とは「新しい才能を見つけ守る」ことだ。世間は往々にして新しい才能や創造物に冷たい。新人には味方が必要だ。


 映画や漫画のヒーローに「憧れ型」と「共感型」という二つのタイプがあるように、テキストからコンテキストを形成する評論家にも、コンテキストである(でしかない)評論を「テキスト」に昇華させてしまうようなタイプの評論家と、誰もが共感する記事を書く評論家がいる。

 そしてインターネットやブログがここまで普及し「一億総批評家時代」となった現代、プロの評論家に求められているのは前者だと思う。
 だからテレビに出演する“プロの”評論家は、視聴者の思いを代弁する以上に(そんなものはブロガーさんでも出来る)「模倣の時代」におちたとも言われる現代の芸術界を脱構築するため、アントン・イーゴーのような評論魂を見せてほしい。

 評論家が新しい芸術を見出すきっかけを積極的に作らなければ、小さな才能・・・少数派は少数派のまま儚く消えてしまうから。

ハマコーさん逮捕

 もっとも大好きな政治家が捕まっちゃったよ~!

 でもロッキード事件の時といい、ハマコーさんの金の汚さってスケールが違うから、「ハマコーなら仕方がないか~(笑)」って感じで許されちゃうようなところがある・・・少なくとも私の中では。

 それはどうしてか?って言えば、この人は「とどのつまり人間は金でしか動かない」って断言し、テレビ番組でどんなに理想主義の爆笑問題の太田さんに「いやもうそんな時代じゃないよ」と否定されてても「政界ではまだまだそれが当たり前」って譲らなかった。

 そして政権交代後のごたごたを観る限り、やはり今なお政界は「金」や「議席」や「ポスト」という明確なうまみがなければ、誰も力になってくれないことが分かる。管さんちょっと気の毒になってきたぜ。
 つまりハマコーさんは一切ウソを言っていなかった。いつだって本音で喋っていた。そこが大好き。

 だから私から見れば、テレビという公共の場でウソ(偽善)を本気で言っている太田さんの方が気味が悪いな。
 太田さんははっきり言ってガチでピュアな人。人間臭い欲望(リビドー)があまりない。女性(奥さん)に対してもお金に対しても、なんというかプラトニック。
 でもそんな稀有な人は太田さんくらいで、大体の人間は、はっきり言ってハマコー提唱型人間。
 まあ結局理想主義者(タレント、文化人)と現実主義者(政治家、軍人)の違いなんだけど。

 ハマコーさんは「俺は金に汚いぞ!」っていつも言ってたんだから、五年前に知り合いの企業から株やお金をちょろまかしちゃっても「おお有言実行!」ってなる。
 しかし最近のハマコーさんは体調が悪そうで心配だったから(TVタックルにも出ないし)、これで拘置所とかにぶちこまれちゃってそこで亡くなっちゃうのは絶対に嫌だな。
 せめて高級ホテルのスウィートで金にまみれて「ガッハッハ」って笑った表情で死んでてほしい(不謹慎な)。

 ・・・いやハマコーさんは俺の中では不死身。

 田中角栄といいああいう良くも悪くもスケールの大きい政界のカリスマがいなくなるのはさみしい。
 ただでさえヒーロー不在の時代とか言われているんだから!オレ男は60代以上が好きなのに!
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