パラダイムシフト

 「物事の変化、たとえば自然科学の発展や生物の進化は、秩序だって段階的に起こるのではなく、因果関係も解り辛く断続的に起きている」と言うこのクーンの指摘はとても興味深いものがあります。
 我々はついつい、一生懸命努力すればきっと報われると考えがちですが、そんな単純な因果関係で世界が成り立っているのなら、みんな苦労はしません。
 ぶっちゃけ「自分が努力していると思っている事」などと無関係に、何か小さなきっかけで、物事が大きく前進することすらあるのです。

 私は「絵画制作において“逃げ”の姿勢であり、より上達しようという意識が感じられない」と、絵画の教員に指摘されましたが、上達しようと思って上達できるのなら、あの先生だってもっと世の中に認められてプロとして食っていけてるはずです。
 私は「芸術家(ぶった偉そうな奴)」なんてなる気もないし、リードと同じくそんなものくそくらえと思っているのですが、振り返ってみれば、私も確実に絵は上達していると思います。そもそも私の絵の原点は「ゼリーマン」ですし、ジャンプの編集長に「この人絵がかけるの?」って言われたくらいでしたから。

 そしてその上達、進歩は、もちろん「上手くなったらいいな」とは思っていましたが、今の自分の画力を踏み越えてバシバシ挑戦的なことをしていたわけではありません。
 私は、とりあえず現時点で自分が描ける安全なレベルを常に模索していたんです。この姿勢は確かに保守的で、革新とは程遠いですが、ある時そのレベルに物足りなさを感じてきて「こういうこともできるんじゃないかな?」と言う余裕が生まれ「おお、やっぱりできた♪」って感じでカメの歩みではありながら、じっくりゆっくり積み重ねてきたような気がします。

 なので「お前は絵をなめている」と言われるのは全く侵害で腹立たしいなあ。私は私なりにいろいろ考えてはいるんですけどね。
 ちょっと私と考え方が合わないからって、嫌味や妬みや嫉妬がすごいんだ。若いプロのアスリートに「オレはあれはプロと認めない」とか言ってるし、そんなのどうでもいいじゃないですか、劣等感が強いよ。ちなみに彼ら彼女たちだって、逆に若さ、体の成長と戦って、ストイックに練習を重ねているわけだし・・・そこら辺はアスリートのK氏に今日聞いてみよう。
 すごく画力の高い人から言われるならまだしも、あの人自身若くてまだまだ作品のクオリティは未熟だと思うし、そんなこと「自分に言えよ!」って感じでした。

 もう相手にするのも馬鹿馬鹿しいから、あの人の件は今回で終わりにします。つまり本人が作家として自分に自信が持てていないだけだと。視野を広く見てください。
 あと偉そうに知識スノッブやるなら、ちゃんと勉強してきてよ。こっちが真面目に学ぶのが馬鹿らしくなるから。

地球温暖化について

 気象学の先生にいろいろ教えてもらったことをまとめます。

 まず地球が現在のように温暖になると・・・
①北極が大きく温度が上がる。
②海よりも大陸の方が上がる割合が高い。
③北極海が一番上がっている。
④グリーンランドは上がらない。
⑤冬ではモンゴルが近年最も温度が上がっている。
等のことが分かります。要約すれば、地球温暖化と言っても、その温度の上昇には地域によって大きく差があり、むらがあるという事です。

 なぜ北極海が、温度上昇の幅が大きいのかと言うと、北極の気温と海水温の差が激しいからだと言えます。北極の気温は約マイナス40度と言います。一方海水温はマイナス4度で、その温度差はなんと35度以上。
 熱力学的に、温度差のある二つの系が隣り合っていると、熱的平衡状態に向かうので、一般的に考えて、大気の冷たさを海水がうけ水温は下がり、海水の熱を大気が受けて気温は上昇するはずです。熱湯と冷水を混ぜたときを想像すれば分かりやすいです。
 しかし北極海には、海と大気の間に氷が浮いています。海氷はその内部に熱を伝えにくい空気をたくさん含んでいるので、海の熱を大気に伝えるのを阻害しており、35度の温度差を維持しているという事です。(この空気の蓄熱や断熱を利用して生きているのがホッキョクグマです。)
 また氷は色が白いので、光をほとんど反射してしまうというのも大きいみたいです。
 結論として北極海の温度上昇の大きな原因は、温暖化により、海氷が溶けていることだと言えます。

 次に地球温暖化の大スター、二酸化炭素について。なんか二酸化炭素が急激に増えているイメージがありますが、そもそも二酸化炭素ってその絶対数がとんでもなく少ない。
 現在の大気の水、水蒸気以外(変動が大きすぎて確定できないらしいです)の組成を調べると、ほとんどが窒素で78%、次に酸素で20.9%、不活性ガスのアルゴンが0.93%、二酸化炭素は大気中のたった0.0345%しかありません。
 ちなみに大気組成元素四天王のうち、反応性が高いのは酸素だけ。これは生命が作っているだけあって、大気組成元素の異色作なのでしょう。
 五位以下はネオン、ヘリウム(共にアルゴンと同じ不活性な希ガス)、二酸化炭素の20倍も温室効果があるメタンとなります。

 私の好きな地球の歴史を見れば、史上最も二酸化炭素濃度が高かったのは、デボン紀後期から石炭紀前期にかけての濃度0.3%です。
 こういった大気中の二酸化炭素量が大きく増えている時代は、必ず大規模な火山活動が起こり、溶岩が噴出、大量絶滅が起きています。
 なんにせよ二酸化炭素の増減は人間が存在する以前から、今以上に大規模に変動しているという事です。億年スケールで見れば、ジュラ紀あたりから急激に大気中の二酸化炭素は減少し、今なお落ち続けています。
 さらに万年スケールでも氷河期が一万年ほど前に終わり、二酸化炭素の増加に伴う、気温の急激な上昇がみられますが、重要なのは一万年前から二酸化炭素は急激に増えているという事実です。どう考えてもこの時代に、人間がガンガンエネルギー資源の無駄遣いをやっていたはずもなく、二酸化炭素の大規模な増減は、実は人間の活動とはあまり関係がないんじゃないか、私はそう考えています。
 実際「ミランコビッチの仮説」は、「二酸化炭素が増えたことで、地球が温暖化した」と考えるよりも、「気温がまず変化して、二酸化炭素が増えた」としています。実際人間の活動の影響がほとんどない、ハワイのマウナロアや、南極の気温の周期を調べてみると、二酸化炭素量の収支決算に、植物の光合成(もちろん植物は、気温が暖かい時期にたくさん活動します)が大きく関わっていることも見て取れます。ただハワイのマウナロアでも平均気温は徐々に上がっている。
 また、このような気温の周期的な変動は、地球の自転等の天文的振る舞いによるもので、太陽の日射量が周期的に変動しているからだとミランコビッチ仮説は複雑な数理モデルを使って考えています。

 統計学と言うか、数字の恐ろしいところは、グラフのどの部分をクローズアップして見せるかで、受ける印象が大きく変わるという事です。
 億年スケールのグラフで見れば、急激に減少している二酸化炭素の量も、現代の部分に思いっきり寄っていって200年スケールで見ると、確かに産業革命以降、二酸化炭素は増えてはいます。しかしその増加量は億年、万年スケールでみればごく微小なものではあります。

不毛地帯

 これ一体何クールやるの?まさか年をまたぐとは・・・でもイケメンやジャニーズばかりのトレンディドラマとかやってたフジテレビとは思えない内容。
 結構こういうドラマ好きです。TBSの「官僚たちの夏」もアツくて、とても面白かったし。そういえば「官僚たちの夏」と「不毛地帯」って舞台の時代設定が、ほとんど一緒ですね。
 戦後から高度経済成長。この時代ってモノは無かったけど、夢や理想があったんでしょうね。
 歴史ドラマと言えば、「戦国」か「幕末」しかやらないイメージがあってマンネリだったけど、「高度経済成長」ってジャンルも追加されてもいいですね。

 しかし梶原善さんいい味出してるなあ。それとも私が三谷作品好きなだけ?

封建制度について

 論文やりながら、『水戸黄門』の再放送を見て、封建制度ってちょっと面白いな、と思いました。いや、あれは正確には幕藩体制ですけど。
 よく偉い人は水戸黄門の顔を知ってて、黄門「○○殿。久しぶりじゃの」、藩主「あ、あなた様はもしや・・・」という展開があります。今回がそうだったんですけど、下っ端の奉行や領民は、藩主の顔は知ってて「はは~」って頭下げるんですけど、黄門様はもう偉すぎて知らないんですよね。彼らにとって雲の上の存在である藩主様より偉いわけですから。

 イギリスでは、国王は領主に土地をやる代わりに主従関係を結ばせ、その領主は騎士に、騎士は領民を…と階層的に国家を統治していたんですけど、これは一応国王様が国を治めているには違いないですけど、領地を手っ取り早く拡大できるぶん、システムとしてはもろいですよね。
 なんというか栄養さえあれば、バシバシ猛スピードで増える無性生殖のアメーバみたいなもので、領地を増やすのは速いけど、なにか問題が起こったとき結束力がない。
 新紀元社の本に書いてあったんですけど、興味深いのは、騎士は領主や諸侯には仕えていますが、それより上の国王には直接仕えていないと言う事です。
 だからなんというか裏切りやすいんですよね。諸侯が、部下たちを引き連れて独立しちゃうとか。そういった動きを国王一人ではなかなか察知しにくい。

 イギリス(ここではイングランドとしてください)はエドワード三世の時、スコットランドと闘ったり、フランスと百年戦争をやったわけですけど、国王が独断で「みんな!戦争やろうぜ!」とできたわけではなく、結構周囲の諸侯といちいち交渉しながら、協力を取り付けるという…そんな現実があったようです。
 戦争にかかるお金の工面にしても、貿易国家のイタリアの商会を、イギリスご当地産業「羊毛」を武器に、上手くだまくらかして調達したらしいですし。もはや国王ぐるみの詐欺です。

 そう考えると、政治っていつの世も本当に大変ですよね。国のトップの総理大臣になったとしても、自分の好き勝手に国を支配できるわけではなく、いろいろ根回ししなきゃいけないし。
 総理大臣だってただの人ですから、利己的な欲望もあるだろうし、国の為“だけ”に人生かけれないよなあ。
 国民としては頑張ってほしいけど。でも鳩山さんをアンドロイドにする訳にもいかないですよね。

 さて『水戸黄門』に戻りますが、結局江戸時代って260年くらい(でしたっけ?数字に疎い)続いたわけだし、幕藩体制ってなかなかうまく機能していたと思うんです。
 『水戸黄門』を見ていると「本当に江戸時代って地方分権なんだな~」と言う事がよく分かります。参勤交代があるとはいえ、藩の自治を藩主に独立させてかなり任せていますよね。少なくともあのドラマでは。
 『水戸黄門』を見ると、日本も中央集権をやめたほうがいいのかな?とも思うんですよね。あ、でも州の独立性がかなり強いアメリカって、そんなシステムいいとも思わないなあ。国民性の違いなのかな?
 なら日本人に合ったシステムを考えた方がいいですね。どの国にも合うような普遍的な国家システムがあると勘違いしているのが、日本やイラクに、自国で作った憲法を強要するアメリカって気もしますし。
 でも行く先々、どの藩も問題抱えていて、もっと綱吉さん頑張れよって思っちゃいますけどね。「古畑現る所、死あり」の法則ですね。

“責任”について

 私は変わりものなのか、年上の人と接する時、すっごいウマが合う人と合わない人がいます。絵画の教員の言っていることが、どうしても承服できないのは、あの人が気位の高いアーティスト気質で、私はどっちかと言うと大衆娯楽的と言うか、エンターティナー気質だというのが原因なのかな?と一晩かけて分析してみたんですけど、あの先生って対話ベタで、私以上に子供っぽいと思うんです。だって私みたいなガキの戯言、「ハイハイ」と余裕を持って受け流せばいいじゃないですか。

 そしてあの先生の持論が個人主義と言うか、「自分の責任は責任転嫁せず、自分(だけ)で負え!」と言う自己責任の考え方。
 私は屁理屈野郎で、生意気な奴と言うのは十分承知しています。しかしちょっと考えれば自己責任論ほど馬鹿馬鹿しいものはないのに、それを信じ込んでしまっている。
 一言で言えば「小さな政府」にしろ「自己責任論」にしろ、あれは責任を個人に要求する魔女狩り敵な、閉じた思想なんです。私は個人と社会は不可分だと思っています。
 ですからあの先生のよく言う「他者にある程度、強制されたとしても、それを最終的に選んだのは自分なんだから、その責任は自分一人で負うべきだ」という考え方は、はっきり言って戦後民主主義教育にどっぷりつかっちゃった浅い考え方だと思うんです。

 高校の頃、とんでもなく勉強のできるクラスメイトがいて、その人が夜騒ぐ暴走族を見て、「こいつら皆死刑にしちゃえ」とマジな口調で言っていて、夜通し議論になっちゃったことがあります。この様な考え方は、大阪府の橋下知事や教育再生会議もしていて、戦後民主主義は突き詰めれば、社会における異分子は排除しちゃえばいいという差別主義につながるのだな、と考えさせられました。
 学校において問題のある学生はバシバシ退学にさせればいい。いじめっ子はいじめをした責任を自己に追わせればいい。という発想の恐ろしいところは、学校から排除された子どもたちの行く末を全く考えていない、想像力の欠如にあります。

 そしてここが重要なのですが、学生よりも立場が高い教員自身が積極的かつ謙虚に、学校と言う組織や、教育現場の現状をメタ的に見つめて内省しないで、今の学校に合わない学生に振る舞いを強制させる。これがもっとも愚かな行為だと思います。
 そういうことやっている人に限って、みんな平等だ。という左翼的思想を持ってたりもするから、二枚舌と言うかよく分からない。まあ平等だから、各々で責任を負えってことなのでしょうか。
 かつてジャコバン派がフランス革命の名のもとに、虐殺を繰り返した歴史を忘れてはいけないと思います。
 システムや権威にあぐらかいてる教員は、大学にしろ、学校は誰のためのものかもう一度考えた方がいいと思います。それは第一に、学生の為にあるべきものなのです。
 あなた方教員の生活の為にあるわけではないのです。
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