物理学概論覚え書き①

 ついに今月から、理科の一分野の単位取得大作戦を開始!
 なかなか勉強する時間がなくて、この三連休を使って、まずは物理学ってことなんだけど、レポートの出題範囲自体は意外と中学生三年生レベルで、こんなんで高校の理科も教えられるようになっちゃうの?オレって実は頭良い!?とか勘違いしてたら、小学校の振り子の運動で爆死。
 いや、確かに小学校で「振り子の揺れる周期っておもりの重さには関係ありません」ってやるけれど、なんでそうなるかさっぱりわからなかったし、理科に苦手意識のある先生が多いといわれる小学校でなんでこんな高度なもん扱うんだろうって前々から疑問には思ってたんだけど、やはり、三角関数と微分を普通に駆使しないと、説明できないという。小学生半端ねえ。

物理量
物理量とは、物理学で扱う、長さ、時間、速さ、力などの量のことで、単位を基準として、「50m」などのように「数値」×「単位」として表される。
従って、単位は定数(ある定まった一つの値をとること)であるのに対して、物理量は変数である。

さて、力と運動を扱う物理学である力学で出てくる物理量の単位は、長さ、質量、時間の三つの単位を決めれば、そこから全て定めることができる。
この時、長さの単位はメートル(光が真空中で1/299792458秒の間に進む距離)、質量の単位はキログラム(白金イリジウム合金の原器によって定義)、時間の単位は(セシウムが放射する光の周期の9192631770倍の時間)を、基本の単位にして、ほかの物理量の単位を定めた(例えば平方メートルなど)単位系は、MKS単位系と呼ばれ、さらにこれに電流の単位のアンペアを加えた四天王的なものはMKSA単位系と呼ばれる。

日本の計量法で採用されているのは、このMKSA単位系を拡張したSI単位系(国際単位系)で、メートル、キログラム、秒、アンペアに、温度のケルビン、光度のカンデラ、物質量のモルを加え、この七つの単位を基本単位としている。
これ以外の単位は、組み立て単位と呼ばれ、7つの基本単位を用いた式によってすべて表すことができる。組立単位は以下のものがある。

速さ=m/s(距離÷時間)
加速度=m/s2(速度の変化量÷速度の変化時間)
平面角(ラジアン)=m/m
立体角(ステラジアン)=m2/m2(球の半径の2乗の広さr2の面積をもつ球面上の面を球の中心から作る立体角)
周波数(ヘルツ)=/s(波の速さ÷波長)

面積=m2(長さ×長さ)
力(ニュートン)=m・kg/s2(質量×加速度)
エネルギー(ジュール)=m2・kg/s2(力×動かした距離)
仕事率、電力(ワット)=m2・kg/s3(エネルギー÷時間)
圧力(パスカル)=kg/ms2(ニュートン÷面積)

電荷(クーロン)=s・A(電流×時間)
電位、電圧(ボルト)=m2・kg/s3A(エネルギー÷電荷)
電気抵抗(オーム)=m2・kg/s3A2(電圧÷電流)
静電気量(ファラド)=s4・A2/m2kg(電荷÷電圧)

磁束(ウェーバー)=m2・kg/s2A(電圧×時間)
磁場、磁束密度(テスラ)=kg/s2A(磁束÷面積)
インダクタンス(ヘンリー)=m2・kg/s2A2(磁場÷電流)

光束(ルーメン)=cd・m2/m2(光度×ステラジアン)
照度(ルクス)=cd/m2(光度÷面積)
放射能(ベクレル)=/s(原子の崩壊量÷時間)
吸収線量(グレイ)=m2・s2(エネルギー÷質量)
実効線量(シーベルト)=m2・s2(エネルギー÷質量)


ちなみに物理量の桁が非常に大きかったり小さかったりする場合は、10のべき乗を使ったり(1の次に0がいくつ続くかを表す)、単位の前に接頭語(kmのkなど)をつけて、桁の数を調整する。
また、物理学の単位にはそれぞれ次元があり、異なる次元の単位は足し合わすことができないので、換算して同じ単位に表しなおす必要がある。
例えば、重さ+長さは計算できない。

ニュートンの運動の法則
ペストの流行でケンブリッジ大学が閉鎖され、仕方がないから故郷に帰ってきたニュートンは、力と質量と加速度が物体の運動を理解する鍵であることに辿り着き、力学を確立、1687年(日本では元禄時代)に『プリンキピア』を出版した。
これまでの力学では、物体が落下するのは、その物体が元いた場所に帰ろうとしているからである、また、ものが落下する垂直運動と、ものが横に移動する水平運動は全く別の力である(リンゴのように月が地球に落下してこないのはそのため)などと考えていた。
しかしニュートンは、これまでのガリレオやケプラー、コペルニクスといった物理学者の功績を踏まえて、力の概念を明確に定義しなおし、以下の三つの運動の法則を唱えた。

運動の第一法則は、一般的に慣性の法則と呼ばれているものである。

外力が作用していない物体、もしくは外力の合計が0に相殺されている物体は、静止している場合は静止し続け、運動をしている場合は等速直線運動を続ける。

等速直線運動を続ける物体など日常ではまず目撃しないので、にわかには受け入れられない法則だが、それは等速直線運動を妨げる、外力があるからである。
しかし、場合によっては地球上でも等速直線運動的な運動は起きる。わかりやすいのはスカイダイビングで、地球の重力が働き続けるならば、ダイバーの落ちる速度は地面にぶつかるまで無限に大きくなってしまうが、物体の速度に比例して大きくなる空気抵抗が重力とは逆向きに働き、ある値で釣り合うので、最終的にはダイバーが落ちる速度は一定(うつ伏せバンザイポーズでだいたい時速200キロメートルで頭打ち)になる。
ガリレオは、物体に外力が働かなければ、その物体はやがて運動をやめて静止してしまうと考えたが、ニュートンは運動している物体が止まるのは、外力が働かないからなのではなく、まったく逆で、運動を妨げる力が働くからだと考えたのである。

運動の第二法則は、外力が働く場合の物体の運動を説明するものである。
一般的に運動の法則と言った場合はこの第二法則を指す。

物体の加速度(運動量の時間変化)は、その物体に作用する外力に比例し、物体の質量に反比例する。

つまり、加速度a=力F÷質量mという式が成り立ち、これを変形するとF=m×aという有名な運動方程式が出てくる。
こちらの法則は日常的にも理解がしやすい。例えば、自転車を加速させる場合、強い力でペダルをこいだほうがどんどん加速するし、自転車自体を軽くすれば、さらに加速はしやすくなる。
ニュートンは、質量という概念を、物体の慣性、物体の速度の変化のしにくさ(=動かしにくさ)の指標として考案している。ちなみによく似た概念の重さは重力によって値が変化するが、質量は変化しない。

運動の第三法則は、二つの物体が作用し合う力についての法則で、一般的には作用・反作用の法則と呼ばれる。

物体Aが物体Bに力を作用すれば、物体Bも物体Aに力を作用する。二つの力の向きは互いに逆で、その大きさは等しい。

例えば、手で壁を押そうとするとき、壁によって押し返されているように感じるが、これも自分が与えた力と同じだけの力を壁から受けているからである。
また二つの物体のあいだで摩擦力や質量に差があると、摩擦力や質量が小さい方の物体は、同じ力を受けても大きく動いてしまう。
体重の軽い人と重い人が互いに押し合う場合、作用反作用の法則で同じ力を与え合っているのに、重い人がびくともしないのはそのためである。

自動車の力学
運転手がアクセルやブレーキなどを使って自動車の速度を変えることで、自動車は動いたり止まったりすることができる。
このときの自動車の速度は、タイヤと路面に働く摩擦力によって変化する。

まず、止まっている車が走り出す場合を考える。
エンジンによって回転したタイヤは、道路に対して後ろ向きの力fを与え、作用反作用の法則によって、タイヤは道路に前向きに押し返される。
この時、fと同じ大きさで逆向きに働く力は静止摩擦力Fで、この限界値である最大摩擦力(F最大は、タイヤの接地面に作用する垂直抗力の大きさに比例する。
タイヤの後ろ向きの力fがこの最大摩擦力を超えた時に、自動車は前進を開始する。よって自動車と道路のあいだに摩擦力が作用しなければ自動車は動かない。

次に自動車が加速する場合である。
回転数が上がったタイヤは、道路からさらに大きな前向きの摩擦力を受けるので、自動車は加速していく。その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向と同じ前向きである。
また、カーブに差し掛かりハンドルを切って曲がる場合は、加速度を表すベクトルと道路がタイヤに及ぼす摩擦力は、自動車の進行方向とは横向きになる。
よって速度を落としつつハンドルを切らないと慣性の法則で横転する危険性がある。

最後にブレーキを踏んで自動車が止まる場合である。
ブレーキを踏むと速度は下がるので、その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向とは逆向きである。
この時に急ブレーキを踏むと、静止したタイヤは自動車の進行方向へ引きずられ、路面とのあいだに強い摩擦がかかる。
そのため、タイヤは道路に前向きの、道路はタイヤに後ろ向きの摩擦力を作用させ、自動車の速度は落ち、最終的に自動車は停止する。


単振り子の等時性
周期運動とは、時計の針やブランコなど、一定の間隔(周期)で同じ動きを繰り返すことで、物体の位置と速度が、一周期前の位置と速度に等しい運動のことである。
振動とは、物体が元の位置に戻ろうとする復元力によって、同じ道筋を上下もしくは左右にくり返し動く運動であるが、復元力の強さが元の位置とのズレの大きさに比例する場合(ゆーとぴあのネタ)を単振動という。

振り子は、外部からエネルギーを補給しない限り、振れ幅はどんどん小さくなっていき最後には止まってしまう(減衰振動)。そのため、振り子をいつまでも振動させるためには、周期的に変動する外力を加えなければいけない(強制振動)。

さて、長さLの糸に質量mのおもりを取り付けて、振れ幅の小さい振動をさせる振り子を単振り子という。
おもりは、糸がおもりを引っ張る力(張力)Sと、おもりに働く重力mgの作用によって、半径Lの円弧上を往復運動する。
振り子が鉛直線(糸が真下に垂れた時の線)から角度θだけずれた時のおもりを左右に振動させる力Fは、張力Sと重力mgでできる平行四辺形の対角線で、かつ、張力Sはおもりの運動方向に垂直なので(おもりの運動方向は円弧の接線だから)、角度θ、斜辺の長さmg、高さ(対辺)Fの直角三角形ができ

sinθ=F÷mg

という式が作られる。これを力を表す式に変形すると

F=mg・sinθ

この力の向きが、おもりのズレの向き(変位)と逆向きの時(つまり中央に戻ろうとしているとき)は、マイナスの符号をつけて

F=-mg・sinθとする。

ここで、振り子の振れ幅が極めて小さい場合は、おもりの往復運動は円弧上の曲線ではなく、ほぼ直線の水平運動とみなせないこともない(数学や物理学のこういう考え好きくない)。
この時の移動距離をXとすると

sinθ=X÷L

これを、さきほどの

F=mg・sinθ

のsinθに代入すると

F=-mg・X÷Lとなる。

これをF=m×aの運動方程式に代入すると

-mg・X÷L=m×a

両辺をmで割ると

a=-g・X÷L・・・①

等速円運動の加速度a(向心加速度)は半径r×角速度ω(オメガ。一秒間に回った角度のこと)の二乗なので

a=r・ω2

さらに単振動の加速度aはrω2の変動をX軸上に表したものなので(回転運動の中心角は角速度ω×時間t)、したがって

a=rω2・sin・ωt

a=-ω2・X(※X=r・sin ωtを代入)・・・②

この②を①に代入すると

-ω2・X=-g・X÷L

となり

ω2=g÷L

ω=√g/L

単振動の周期Tは、一週分の道のり2πr÷速さrωなので

T=2π÷ω

よって微小振動の単振り子の周期はω=√g/Lを代入して

T=2π×√L/g

この式には、おもりの質量や振れ幅がないので、振り子の周期には糸の長さと重力加速度しか関係しないことがわかる。
これを振り子の等時性(糸の長さが同じなら、振れ幅が小さかろうが大きかろうが、揺れる周期は等しいということ)という。

逆に言えば、この式を

g=4π2・L/T2

に変形すれば、糸の長さと振り子の周期から地球の重力加速度を求めることができる(単位はもちろんメートルと秒を使う)。
この実験は、振り子とストップウォッチさえあれば手軽にでき、振り子の周期の測定についてもおもりが軽ければ空気抵抗はほとんど無視できる。ただ、糸の長さの測定や糸の伸びやねじれによって、周期の測定結果に誤差が出るので、何回か計測して、その平均値を式に代入しなければならない。

角運動量保存の法則
固定された軸に取り付けられたプロペラ(回転しても質量分布が変化しない剛体とする)がちょうど一秒で1回転するとき、0.5秒では180°、0.25秒では90°回転することになる。
このように角度θが時間とともに変化する変化の割合は、角速度ωと呼ばれ

角速度=角度の微分÷時間の微分
ω=dθ/dt

と表される。
角速度は単位時間あたりに何度回転しているかを示すので、角速度は単位時間あたりの回転回数fに360°をかけた値になる。
ちなみに三角関数的には、360°は2πラジアンとされるので

ω=2π・f・・・①

ちなみに、プロペラの長さをrとして、f回転をさせた場合、このプロペラのブレードの先端の速さVは、一周分の道のり(=円周の長さ)×回転数なので

V=2π・r・f・・・②

①を②に代入して

V=r・ω・・・③

これから、ブレードの先端の運動エネルギーは

E=1/2×m×V2

という、運動エネルギーの式のVに③を代入して

E=1/2×m×(r・ω)2

となる。

プロペラの回転エネルギーは、そのプロペラを粉々にして、粉ひと粒ひと粒にかかる運動エネルギーの合計として計算できる。
こういう無限に小さくしたものを無限に足し合わせると有限の値が出るよっていう数学的なハッタリがどうにも私はわからん。まあいいや。

質量mi、回転軸から距離がriのプロペラの破片iを考えると

プロペラ全体の運動エネルギーEは

E=∑i 1/2×mi×(ri・ω)2

E=1/2(∑i mi・ri2)ω2

ここでカッコの中の∑i mi・ri2はプロペラの慣性モーメントI(イナーシャ)なので

E=1/2・I・ω2

慣性モーメントとは、回転を始めたり、回転を止めたりするのに必要な力の量のことで、これは剛体の重さmと、回転軸から剛体までの距離rの二乗に比例して大きくなる。

このように、物体に作用する力が物体を回転軸の周りで回転させようとする能力Nは、力の大きさFと回転軸からの距離rに比例し

N=F×rとなる。

この時のNを力のモーメントという。長い棒を使えば重いものも持ち上がるよという、テコの原理がまさにこれ。

ちなみに、角運動量Lは運動量p×距離rなので

角運動量Lを時間微分すると

dL/dt=d(p・r)/dt 

微分の公式から

   =dr/dt・p+dp/dt・r

F=dp/dtの運動方程式から

   =dr/dt・p+F・r  

N=F×rより

   =dr/dt・p+N

等速円運動の場合、中心からの距離rは一定のため(円運動の半径は変わらない)、dr/dt・p=0

   =N           

したがって

N=dL/dt

つまり、力のモーメントNと角運動量Lの関係は、力Fと運動量pの関係と同じであることが分かり、運動量同様に外部からの力が加わらない限り、その値は変化しないことがわかる。

例えばフィギュアスケートで両腕を折りたたむと回転速度ωが上がるが、外力のモーメントNはかかっていないので、角運動量Lが変化しているわけではない。
したがって

L=pr
 =mvr  ※p=mvより
 =mrωr ※v=r・ωより
 =mrrω
 =Iω  ※慣性モーメントI=m・r2より

からL=Iωであり、慣性モーメントIは角速度ωが上がった分だけ、低下しなくてはいけない。
逆に、慣性モーメントは回転軸からの距離が短くなれば小さくなるので、両腕をたためば慣性モーメントIも低下、しかし全体の角運動量自体は保存されるので、そのぶん角速度ωが増加する。

地図図法覚え書き

メルカトル図法
すごい一般的な四角いやつ。16世紀に軍用として開発され、羅針盤による航海に使っていた。
地球を円柱に変換して、それを平面上に広げている。
そのため、角度は正しいが、面積が南北に行けば行くほど広がってしまい、南極大陸の大きさがえらいことになる。また北極点や南極点が描けない(点ではなく地平線的な直線=無限遠点になってしまう)。

モルワイデ図法
楕円状の地図で面積が正しい。

グード図法
りんごの皮を綺麗にむいたような形の地図。面積が正しい。

サンソン図法
かどの丸いひし形のような形の地図。面積が正しい。

ボンヌ図法
ハート型の地図。地球を円錐に見立てて、その展開図を丸くしたもの。面積が正しい。

正距方位図法
任意に選んだ基準の地点(円の中心地)からの距離と方位が正しい地図。国際連合のロゴがこれ(国連は北極点が円の中心)。
円の中心(例えば北極点)から別の場所(例えば日本)の距離と方位が正しいが、その逆――日本→北極点からの方位は正しくない(ただし距離は正しい)。
この図法では、地球の裏側が円周(無限遠点)になる。

アントマン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 オレは使い捨てだ。だからオレなんだよ。

 人間っていうのは結局、働きアリと一緒でさ、一生のほとんどを労働に費やすわけで、となれば、その労働に生きがいを見いだせたら、それこそクオリティ・オブ・ライフ、人生を楽しむことができるのは間違いない。
 労働を罰ゲームとして考える聖書や、働いたら負けとうそぶくニートの思想と、この意見は相容れないところがあるんだけど、本当に働くっていうのは苦痛しかないのだろうか。
 となれば、働かずに暮らしているニートの人は、人生の勝者と言えるんだけど、『愛するということ』の記事でも言ったように、どうもそんな風に人生を有意義に楽しんでいるニートはあまり見かけない。なんでなんだろう?

 結局、私たちが苦痛なのは、労働そのものではなくて、自分のことを誰にも承認されないということなんじゃないだろうか。
 そう言う意味で、フォードが自動車を大量生産するために導入した、メカニックのド素人でも「この部分のネジを締めればいいんだよ」的な、車を分業して組み立てるライン工程は、人々から働くことの素晴らしさを奪い、引き返せない大きな楔を打ち込んでしまった。
 誰でも気軽にやれる初心者大歓迎労働は、逆に言えば、お前の代わりなんていくらでもいるんだという、労働者の承認欲求を踏みにじる、恐ろしい仕事のあり方を生み出してしまったのだ。

 確かに、人間の集団は正規分布で、ほとんどの人のスペックは普通で能力的にはみんな大体似通っている。だから、大量生産された交換可能な部品のように、資本家は労働者を捉えてしまう。もちろん、そこまで露骨に言うと、さすがにプロレタリアート革命が起きそうだから、「雇用の流動化」みたいなダブルスピークで置き換えるんだけど。
 しかし、お前の代わりはいくらでもいるというなら、働いている方だって、オレが抜けてもどうせ別の人を補充すればいいじゃんと、会社への愛着はなくなるし、労働意欲だって上がらないだろう。

 コーポラティズムとか言うけど、資本家と労働者がこのように対立路線をとってしまうのは、パレート最適とはどうにも言い難い。
 そこで、戦後の日本企業は合理的な戦略として、年功序列賃金や終身雇用をとっていた。これらの雇用慣行は、会社が社員を育て、守ってくれるような親切な制度というよりは、将来社員に支払う予定の高い賃金を“人質”にして、有能な人材を手放さない、かなりクレバーなシステムだった。
 これが、バブル崩壊後にアメリカ型のドラスティックなリストラを導入したことで、労働は裏切り御免の非協力ゲームに代わり、生きがいの一つではなくなった。

 ここまでのお話をまとめると、私たちの人生の目的とは、我慢して働くことでも、働かずに楽をすることでもない。あなたの代わりは誰にもできないと、かけがけのない存在として承認される事なんだ。

 さて、アントマンとしてピム博士に選ばれるスコットは、これまでのマーベルヒーローと違って、北欧神話の神様でも、フォーブス誌に載りそうな金持ちでも、科学者でも、はたまた凄腕の軍人や、諜報員でもない。
 メキシコの刑務所から出所して、パナマ海峡をわたってアメリカに戻り、サーティワンアイスクリームを前科持ちということでクビにされた、ただのチンピラだ。
 つまり、彼がアントマンである必要ははっきり言って、全くない。
 これは、お前の代わりなんて他にもいるんだ、どころの話じゃない。アントマンという死の危険すら伴う、極めてブラックな職業を娘にやらせたくないがためにピム博士が選んだ捨て駒が、スコットだった。
 スコットは、空き巣やってただけあって身のこなしはいいけれど、それならもっとすごい運動選手にオファーすればいい。しかし、そういう有名な人を巻き込むのは罪悪感がある。なら、元犯罪者にやらせて、万が一そいつが小さくなりすぎて変死しても、別に胸も痛まないもんね、みたいな。
 そういうロジックをおこなえる、ピム博士はまったく冷徹な人なわけよ。そりゃあ息子のように可愛がった弟子もああなるよみたいな。

 実際に、スコット・ラングの二代目アントマンっていうのは、原作コミックではあまり人気が出なかったらしく、そういうメタな見方をしても、この人選は涙を誘うわけなんだけど、ところがどすこい、今回の映画は、これまでのマーベルヒーローに匹敵するほどの魅力的なキャラクター付けがされている。
 例えば、彼は暴力沙汰を好まない空き巣犯なんだ。本来防具である盾を武器として用いるキャプテンアメリカだって、ヒドラをバシバシ殺すのに、彼はマーベル映画初の不殺のヒーローなんだよな。 

 正義のヒーローだからって高潔なわけじゃない。犯罪者だからって残虐非道なわけじゃないっていう、相対化をこの映画は見せてくれる。

 スコット・ラングは、ピム博士のそんな思惑を踏まえたうえで――自分が捨て駒であることを理解した上で、アントマンを引き受ける。いや、わかったからこそ、彼は引き受けた。
 スコットも、娘を持つ一人の父親だったから。そう、この世の中には、あなた以外には代わりがいないという仕事がちゃんとある。
 山田洋次監督は、「家族を描くとお話は締まる」と言ったけど、まさにそう。この映画は『アイアンマン』に一見構造がよく似ているけど、むこうが描けなかった「親子」をメインテーマに描いており、マーベル映画でトップクラスに脚本がいい。
 あ~はいはい、じゃあ面白い作品を作るなら、とりあえず親子やっておけばいいのねって思うかもしれないけど、こういうシンプルかつベタなテーマこそ、実は組み立てるのは難しいもんなんだ。この映画の上手なところは、登場人物の配置がすべて親子関係のメタファーになっているところだろう。

 つまり、『アントマン』ってアメコミ映画というよりは、脚本の構造、作風、吹き替えなどの面で、かなり『ナイト・ミュージアム』とかのファミリーコメディ映画を意識していて、スコットを演じる、ポール・ラッドはどことなくベンさんっぽいし(つーかこの人は『ナイト・ミュージアム』で出演もしている)、スコットの吹き替えの木内さんってのは、ベンさんの吹き替えをやっていた故・檀臣幸さんと声や演技が似てるし、サーティワンアイスクリームのイヤミな上司の吹き替えは自然史博物館のマクフィー博士と一緒だし・・・
 さらに、毎回ネットを燃え上がらせる芸能人吹き替え枠だけど、スコットの相棒(なんかの映画で見たなって思ってたけど、思い出した『フューリー』!!)の吹き替えを担当した、ひらパー兄さんもすごいひょうひょうとした演技で、この役に合ってて、(つーかうまい)、ヒロインの声なんて『パシフィック・リム』の林原めぐみだと思ってたからね。内田有紀さんだったっという。芸能人も結局キャスティング次第なんだよな。

 とにかく、『進撃の巨人』とぶつかって、いまいち地味な進撃の小人の『アントマン』だけど、単体の映画としてもクオリティの高い映画なので、大味なアクション映画とかマニアックなアメコミヒーロー映画だと思わずに、残りのシルバーウィークに観に行ってみたらどうでしょうか?
 最後に一言。この記事でついにブログの記事が1000になりました!ヒーハー!!

研修メモ(LINE編)

 昨今、子どもだけじゃなくて、お母様方の間でもトラブルになっていると言われるメトロン星人的なアプリ――LINE。
 今日は、そんな株式会社LINEがSNSとの付き合い方を教育関係者向けに講演してくれました。

 私もLINEは女の子に勧められて、去年やり始めたんだけど、やっぱりSNSでメインに使っているのはツイッターだな。LINEってフェイスブック同様、リアルな人間関係をベースにしたコミュニケーションアプリだから、リアルじゃ絶対に仲良くなれないような、医者の卵とか、テレビマンとか、アニメーターとか、漫画家とか、大学院生とか、大学教授とか、そういう人とは繋がれないんだよな。
 やっぱりLINEは女の子向けっていうか、リア充のツールよ。あのスタンプの世界観とかちょっと抵抗があってね(^_^;)
 とうとうこいつら、文字も打たなくなったのかっていう。

 以下は講演内容をメモしたもの。

・LINEが開発されるきっかけは東日本大震災で、もともと災害時向けの通信アプリだった。だからメトロン的な炎上システムになってしまっている既読システムは、災害時の生存確認のためのもの。

・LINEは全国では80%の教員が利用しており、高知中央高等学校などでは、いっそ公式にLINEの使用を認めて、連絡網的に使っちゃってる。また生徒のトラブルも逆に教員が把握しやすくなったという。

・フェイスブックやツイッターにもある、タイムライン機能だが、LINEではタイムラインが共有されるのは友達リストのメンバーまで。

・LINEが個人情報を勝手に吸い取っていると取りざたされる、友達の自動追加機能だが、これは設定でオフにできる。しかしデフォルトではオンになっているので、設定をいじらないずぼらな人は(私だ)、電話帳に登録した人が片っ端にLINEでともだちんこにされてしまう悲劇が起きる。なんでデフォルトでオフになってないんだって話しだけど、その理由はだいたいわかる。

・またID検索機能も実は設定でオフにできる。これは悪徳業者がコンピューターでランダムにIDを打って片っ端から検索をしてくるのを防ぐため。そしてID機能は18歳未満の人や年齢認証がされていない人は使えなくなった。

・LINEを使っていて、子どもが感じる最も嫌なことは、意外にも既読スルーやグループ外しではなく、知らない人からの友達追加だった。これもデフォルト設定のまま使っているためであるが、やっかいなのは、過去に同じ電話番号を使っていた人のアドレス帳のデータでつながってしまうということもあるということ。なんにせよ全く見に覚えのない人ととも友達としてつながってしまうのはちょっと危ない。

・GPSを利用したふるふる検索機能というものがある。こんなのニンテンドーDSの通信プレイ的に、繁華街でやれば不特定多数の人と偶然つながっちゃうんじゃないかって感じもするけど、時間と場所がかなり限定されているらしく、シンクロ率は低いらしい。

・LINEでは良い子のみんなのための啓発ガイドを開発している。現在は第二弾を製作中。悪口、炎上などのコミュニケーションに関わる問題、著作権侵害行為などのネットモラルに関わる問題(全世界に公開される、記録されてしまう、匿名でもバレる、拡散される)、高額の請求が来たなどの使いすぎの問題などをゲーム感覚でお勉強できるらしい。

 SNSはやっぱりニュースなどでも度々問題になるから、取り締まりをしようとしている学校もあるんだけど、客観的な数字の問題として、高校生の90%以上がスマートフォンを持ち、SNSをやっているという現実があり、もはや、そういうものを使うのは当たり前だという前提で、対応をしていく時代になってしまったんだと思う。
 というか、ほとんどの子どもは、SNSを友達と遊ぶ約束とか、すごい牧歌的に使っていて(友達の家に電話する手間が省けただけみたいな)、政治的なツイートとかそういう炎上紙一重な危ない使い方をしているのは、大人の方が多かったりする。・・・私か。

戦争法案について

 最近、ゆっくりニュースを見る時間もなくて、社会のことにどんどん疎くなる社会の先生なんだけど、今日帰ってきてテレビつけたら、国会がすごい熱いことになってる(^_^;)
 でも、これ、議員が国会に行けないようにデモ隊が妨害してるけど、警察官の人も大変だよな。19世紀のフランスのパリコミューンとかだったら構わん!撃てー!!とかなんだろうけど、そんなんできないし、この人数じゃ公務執行妨害で逮捕もできないだろうし、んなことしたら安倍政権はいよいよヒールになっちゃうし・・・

 まあ、おかげで、参議院の特別委員会?が開催できずに今(午後8時)も中継されてるんだけど、こんな感じで毎回、夜に国会やってほしいよな。
 昼間しか国会中継が見れないってほとんどの社会人が見れなくてひどいし(日本で一番政治に詳しいのはニートだと思う)、夜に議会やれば、働いている人が兼業的に議員やれて、副業ってことになるから国会議員の歳費も安上がりになって(第二種兼業議員)、みんなで夜に国会中継が見れていいことばかりだと思うんだけど。

 私もシールズとかあんまよくわからなくて、安保問題を追ってないんだけど、なんでいつのまにか「戦争法案」みたいにされちゃったんだろう。この法案が正しいか間違っているかは置いておいて、安倍さんはイメージ戦略で負けちゃった感じがあるよな。
 今回はもうどうにもならないから、一度引っ込めるしかないんじゃないか。そもそも、おじいちゃんの時(のぶすけ)も国会取り囲まれたし、因果なもんだよ。つーかシールズの若者と同調しているシルバー世代が安保闘争とかの世代と一致すんのかな、だとしたらすごい興味深いよな。

 日本を軍国主義に戻す考えみたいにされているけれど、国際政治学的には、集団的自衛権って考え方自体は国連憲章の51条にも書かれている、そんなにラディカルで過激なものではないんだ。
 むしろ、平和のための実力行使(=暴力)の手段が、かつての国際連盟にはなかったから第二次世界大戦が止められなくてズルズル行っちゃったって説もあるわけだし。
 今はそう言う意味で多機能型PKOとか憲章6章半の活動とかで、わりと積極的な活動ができるんだけど、テロや紛争の地帯で、丸腰で行ってさ、「話せば分かるラブ&ピース」なんて言っても、ランボー4みたいになるのは目に見えるわけであってね。

 結局、私も含めて、大衆というか、庶民の人たちは政治学そのものに興味はなくてね、理屈じゃなくて感情論なわけで、自分と、自分の身近な大切な人さえ助かればいいやという、環世界センスなわけ。
 これが仮に日本が、地理的にイスラム国とかのエリアと近くて陸続きなら、あっけなく軍備増強してくれ!ってなるんだよな(^_^;)あんなやつら入れずに国境警備をテコ入れして、徹底排除してくれ!みたいな。
 で、安倍さんの方は多分、“国際社会の世間体的”に、どうしてもこれを通したいんだろうなあ。安倍さんは国会でうまく答弁ができずに、ガリ勉っぽい共産党議員に苦戦しているけど、安倍さんだって学者じゃないからね。どう考えても、圧力かけられてるんだよね。ジャパンもひとつ頼むよ、みたいに。
 
 でも、ここまで安倍さんが逆境になるとは思わなかった。結局ネット世論って、リアルの人達と合計すれば全然マイノリティなんだな。そこを安倍さんも私もかんちがいしてたな。もっとガンガン行っちゃうと思ってた。若い人が具体的な運動をやったってのもすごい。
 正直自分も学生時代に学生運動とかに憧れがあったからなあ。若いうちは一度くらいはエスタブリッシュメントに弓引いといたほうがいいっていう。大学生の頃、「学生運動があった教授の時代が羨ましいです」とか言ってたけど、じゃあ、今お前も混じってくればいいじゃんって言われちゃいそうだけどさ、大学生の頃だったら記念に行ってみるかって行ってたかもしれないけど、今は私も少しは賢くなったからね。
 シールドがそもそも一体何に反対しているのかよくわからなくて、リア充のラッパーというイメージしかない(^_^;)

 あいのり≒テラスハウス≒シールズみたいな。

 憲法学者に違憲と言われちゃったのに、強引に法案を通そうとしているのが、法の支配の危機である!ってことなのかな。なら、ロジックとして分かるな。で、この反対派のパーセンテージでは、憲法改正も可能性ないし、どうにもならない。

 そしてすごい逆説的なこと言うけど、安倍さんってそう言う意味ですごい誠実な人なんかもな。なんというか、このつまびらかな態度ってネットの人が好きなの、なんとなくわかるんだよね。
 もっと普通の悪徳政治家なら、こういう法案はこっそり通しちゃうよね。冷めたピザですとか言って、すごいいい人そうで頼りないキャラクター付けをして、重要な法案をどさくさに紛れて通しちゃった小渕さんみたいに。
 だいたいシールズのリア充を国会に呼んでちゃんと話聞くってえらいよ。だから、ここまでみんなが全く興味がなかった安全保障問題を大ごとにしてくれた安倍さんって、公民科の教育的効果としてはいい影響を与えたんじゃないかっていう。社会科の教員免許を持つ私には朗報だよ。本当に社会の授業って人気1%もないからね。
 
 で、もうちょいリアルな展開を想像するとさ、数の理屈でこの法案通っちゃう気もするんだよ。で、通ったら通ったで、日本人って戦争=火垂るの墓で思考停止しているから、な~んだ、別にサイパンから飛び立ったB29爆撃機が東京に焼夷弾落としてこないじゃん、集団的自衛権なんてできても日常生活あんま変わらねえやって安心しちゃってさ。あのデモはなんだったんだっていう。
 結局現代の戦争を踏まえると、自衛隊の海外派兵なわけで。自衛隊員のご家族は不安で仕方ないと思うんだけど、それ以外の人はニュースで「どこどこの国で自衛隊員数名が亡くなりました」っていうニュースも最初は衝撃的かもわからないけれど、すぐに慣れちゃてさ、向こうの国も大変だなあとか、さあ次はスポーツです、とかで終わっちゃいそうなのが一番怖いよ。
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