『風と翼:REVELATION』制作裏話

 夏休みということで書き終えた。5万字を超える脚本は、『80日間宇宙一周』の最終章の6万字に次ぐ第二位!

 今回は、いつもと書き方を変えてみて、海外ドラマっぽい感じで制作してみたんだ。普段は、細かいところまで最初から最後まで完成させてから、まとめてサイトにアップしてたんだけど(オールアップ方式)、今回は、おおまかなプロットと設定だけ作って、次回が気になる感じに自転車操業でエピソードをつないでいったんだ。
 伏線の矛盾とか出ないように、エピソードの順番は結構悩んだけど、こういう作り方も結構面白いなって思った。

 当初の想定よりも壮大な話になっちゃって、あ、これ前編、後編の二部作でもいいなとも思ったんだけど、REで始まるいい感じの英単語が思い浮かばなかったから、リベレーション(スッパ抜きという意味の英単語!)でまとめた次第。
 しかし、『風と翼』を考えたのも2008年でかれこれ15年前だもんな。まさか、15年後に完結させると思わなかったよ。でも、なんとなく出来たらいいなって思ってた、信長、秀吉、家康の三部作が実現できてよかった。我が忍者漫画に一片の悔いなし!

カイト&翼
この二人は、もう、当初から『ロミオとジュリエット』をやりたかった。キャピュレット家とモンタギュー家みたいな。いいよね。お互い敵対する勢力の悲恋って。
上杉謙信は、9代将軍徳川家重みたいに女性説があるらしく、今回はそれを採用してみました。
槍の名前は、上杉謙信が槍を地面に突き刺して湧水を出した伝説にちなむ。
風魔小太郎は、記録に残っている身体的特徴が鬼そのもので、じゃあ鬼でいいやっていう。

大道寺&安藤
この二人は友情出演って感じにしたかった。あと、セリフだけだけど、ウォンイク様とか。
なので、ラストはあえて出さなかったな。ギャラが発生しちゃうから。

天井サラ
端的に言うとシールズ的な左翼っぽさがあって、動かしていて面白かった。
つーか、シールズってどこへ行ったんだろうな。結局体制に負けて就職しているのだろうか。それも、また、青春。
優しすぎて悪い奴の言いなりになりそうなカイト君とは違った危なっかしさがあるキャラだよね。

豊臣秀頼
モデルは『ジュラシック・パーク』の若きマルコム博士。
マルコム博士ってコンピュータを使いこなす数学者らしいけど、アンチテクノロジーって感じがアンビバレントな魅力があります。
茶々がモデルのサラちゃんとコンビを組ませるのはすぐに思いついた。マルコム博士の恋人もサラだったしね。

家康&本多正信
モデルはさまぁ~ずのお二人。徳川家康が大竹さんで、本多正信が三村さん。そんなていで読み返すと、また面白いと思う。
とにもかくにも、戦乱の最終的な勝者である徳川家康を偉人みたいには絶対描かないぞ!!という強い方針はあった。結局、今年の大河ドラマの『どうする家康』もジャニーズじゃん。顔がいい時点で、もう、非凡じゃん。才能があるじゃん。ダメじゃん。家康の顔がかっこよかったら。
いや、さまぁ~ず大竹さんもかっこいいけど。カッコ悪いおじさんがかっこいいんだよ、結局。

服部半蔵
これは所ジョージさんね。さまぁ~ずと仲良しだし。
つーか、最終的にめちゃくちゃ頼りになるキャラになったな。これは想定外。
コンセプトとしては、忍者というよりは軍師という感じにしたかった。
神君の伊賀越えは、ああいう感じになっちゃったけど入れられて良かった。
今年の大河ドラマでもやってたよね。でもやっぱ、ベストは『真田丸』だな。あんなもん、もう、勝てねーよ!

武田信玄
モデルはヒトラーの格好をしたデーモン閣下。
習近平さんやプーチンさんもそうだけど、ああいう権力者にとって戦争ってなんなんだろうか。男のロマンなのだろうか。巻き込まれる方は超迷惑なんだよな。
だから、人の支配である独裁体制はリスクが大きいんだよね。
地獄の軍団が全員軍人で政治家が誰もいないから、そういった危うさも描きたかった。世界征服することに夢中で、世界征服が成功したあとのことは何も考えてないという、そういった恐ろしさ。

義経
身長が低かったらしいから、なんとなく芦田愛菜ちゃんが出てるテレビ番組の『博士ちゃん』のイメージ。歴史上の大体の戦争や戦術は学習塾で復習してます、みたいな。

将門
モデルは『クラッシュ・バンディクー3』のボスキャラ、ディンゴダイル。
クラッシュに負けた時に言う「オレッチの負けだ、だが気をつけな、この先は厳しいからよお。」のセリフがちょっと「寅さん」っぽくて、江戸っ子ということにした。神田明神の祭神なのは本当。

望月金吾
久々に登場させたけど、やっぱ面白いわww

望月千代女
今気づいた。式神は陰陽師であって、神道ではない・・・!歩き巫女ってそもそも何!?

明智光秀
当初の案だと結末が結構違ってて、明智博士が金吾の秘薬を元に、全ての人間を鬼にするワクチンを開発して、それをばら撒くことで、無敵の信玄が事実上ただの人となって、無力化されちゃうみたいな流れだった。そのワクチンの名こそ・・・ジラフ・ワクチン!!

 とにかく、こういうちょっとずつちょっとずつ、話を継ぎ足していくやつって、高校生の頃以来、ずうっとやってなかったけど、これはこれで先が読めない面白さがあって楽しいね。
 これで、残る脚本は『青春アタック』のみに!

『風と翼:REVELATION』脚本⑭

カイト「こうして多くの犠牲を出し第三次世界大戦は終わった・・・」

記者会見で土下座をする家康と本多。
裁判所の前で、「勝訴」の紙を広げるサラと秀頼。

カイト「AIを暴走させた日光テクノロジーは裁判で多くの賠償金を背負うことになった。しかし、家康さんのロボットがなかったら、戦後の復興はなかっただろう・・・
服部先生は言っていた。世界が変わることを恐るな、と・・・
新しい存在とは共存していくしかない。歴史はその繰り返しだ。
これからは家康さんの下で天下泰平が成し遂げられていくのだろう。」

ロボットと一緒に家庭菜園で農作業をしている服部。

カイト「核兵器すら凌ぐ恐るべき鬼たちの存在は、ぼくらが地球の支配者であるという認識を大きく変えた。
鬼は決して滅ぼせず・・・今もなお地下深くに眠っている・・・
人々は世界に対して少し謙虚になったんじゃないかと思う。」

太陽が隠れ東京が闇に包まれる。
非行少女「やべ、もうこんな時間じゃん!まじで補導されるんですけど!」
義経「未成年はおうちに帰りなさい。」
非行少女「キミは違うの?」
義経「ぼくは約900歳ですから。」
将門「今度神田祭があるから、そん時は夜ふかししようぜ!」
非行少女「帰ろうか・・・」
鬼たちと一緒に夜回りをしている八重「ほ・・・本当に人は食べないの?この漫画には・・・」
将門「こういう漫画が俺たちへの偏見を産むんだよな。」
火炎放射器で漫画を燃やしてしまう。
将門「てやんでい。」
八重「ああ、最新刊が!」

ドバイ。
プールサイドでくつろいでいる信長と秀吉。
信長「終わった?」
長門「・・・全て。」
信長「世界中に核兵器を配備する必要は・・・ないみたいだね・・・
僕が思ってたよりも、ずっと人類は賢いようだ。ご苦労さま。」
トロピカルジュースをもらう長門。
長門「ありがとうございます・・・」
信長「ちがう、飲み終わったから、お店に返しといて。」
長門「・・・・・・。」
秀吉「あんちゃん、おいらの飲んでないやつやるよ。」
長門(秀吉様に寝返ろうかな・・・)

カイト「廃村になっていた望月忍者村はクラウドファンディングで復活した。
なにしろ、この村の長老はおなら一つで強大な鬼を2体まとめて倒してしまったのだから。」

観光客で殺到する望月村。
子どもたちに助役が忍術を教える。
「手裏剣はこう投げるんだよ。」
村長「はいはい、おさないで!忍者グッズは沢山あるよ!」
翼のグッズだけ減っていき、金吾のキーホルダーやTシャツ、抱き枕が余っている。
千代女「お父さんのグッズ誰も買わないわよ。だから売れないって言ったじゃない!」
金吾「なぜじゃ~~!」

カイト「地下の首都移転計画は、そのまま継続され、僕たち鬼の新しい都となった。
日光に弱い鬼は夜しか地上には出られないけど・・・大江戸セクハラパラダイスがあるから退屈しない。」

地下の遊園地で遊ぶ鬼たち。
たぬきの着ぐるみを着る平八郎
「ご来園ありがとうございます。・・・遊具を汚したら、この鶴姫一文字で叩き斬るぞ!」
鬼「あのマスコットキャラ怖いんだよな・・・」
鬼「王子はなぜ愛刀をあんな化物に・・・」
鬼「そういえば王子は?」



雨上がりの神殿。
翼「これで世界中の鬼は地上から姿を消しました。
私の役目はこれで終わり・・・」
サラ「本当に天界へ帰っちゃうの・・・?翼ちゃん・・・」
翼「・・・私がいるべき場所は、ここではありませんから・・・」
サラ「あなたは本当にそれでいいの?カイト君はどうするのよ?」
翼「カイトさんは鬼の王・・・天使は鬼とは付き合えない・・・」
サラ「いいかげんにしなさいよ・・・」
翼「天井さん・・・」
サラ「カイト君はあなたをずっと待ってるのよ・・・!
カイト君がいるなら、もう鬼は悪さをしないわ。
鬼を退治するあなただって、もう・・・」
目をうるめるサラ。
サラ「あたしがどういう気持ちであなたに話しているか分かる・・・?」
翼「・・・でも・・・私は・・・」
サラ「そう・・・あなたと違って、あたしは・・・ただの人間・・・
正直、女神のあなたが羨ましい・・・」
翼「天井さんこそ、神の辛さを知らないでしょう?天界で・・・ずっと孤独で・・・!」
サラ「なら、迎えに行きなさいよ!!」
翼「・・・!」



夜の公園を歩くカイト
公園でチンピラたちにひとりの女性が絡まれている。
チンピラ「なんだこの羽、コスプレか?とりあえず、金出せ。」
石を拾ってチンピラに投げつけるカイト。
カイト「その人を放せ・・・」
チンピラ「なんだやる気か?」
カイト「痛い目に遭わなければ分からんようだな・・・」
カイトを潤んだ瞳で見つめる翼。
翼「相模高校野球部エース・・・風間カイト殿ですね・・・」
笑顔になるカイト「・・・きみは?」
翼「わたくし、甲賀の忍び・・・翼と申します!」

『風と翼』完

『風と翼:REVELATION』脚本⑬

東京スカイツリー。
雷が響き渡る。
木の上のねこ状態になっているカイト。
カイト「やばいやばい!怖くて降りれなくなった!!」
ゲイン塔に雷が落ちる。
電撃で吹っ飛ぶカイト「ぎゃああああ!」
空中に投げ出され落下していくカイト。
カイト「鬼さん・・・人間と仲良くね・・・」

その時、ドローンが飛んできてカイトを捕まえる。
カイト「・・・!」
ラジコンをしている義経「間に合った・・・!」
将門「ゆっくり下ろせ、な。」
鬼たちがいる地上に降ろされるカイト。
カイト「ありがとう義経くん・・・死ぬかと思った。」
カイトの前にひざまずく義経ら鬼たち。
カイト「義経くん・・・??」
義経「風魔様・・・我が主君・・・」
カイト「へ?」
鬼「地上に闇を取り戻してくださってありがとうございます。」
カイト「あれってそういう装置だったの??」
義経「今までの数々の無礼をお許し下さい。思い出したのです。
あなた様が、地獄最強の鬼の王、風魔小太郎様であることを・・・」
カイト「え・・・違いますけど・・・うん・・・違いますけど。
君らのボスは、あの総統閣下でしょ?」
鬼「いえ・・・真の統治者であらせられた風魔様が姿を消したスキを狙い、あの信玄めが地獄を乗っ取り、世界征服を企てたのです・・・」
カイト「総統閣下は、東京都と友好を結んだんじゃないの??」
将門「あれは全て嘘だ。あんたも少しは疑えよな。」
義経「無礼だぞ!殺されたいのか将門!!」
鬼「しかし、信玄が再び封印された今、地獄の王はやはりあなた様以外にはいない・・・!」
カイト「まいったな・・・人違いだって・・・僕の名前はカイトだし。小太郎はぼくの父さん・・・」
土下座する鬼たち「王子でしたか!!」
カイト「ちょっと待ってよ!!うちの父はただのサラリーマンで・・・」
義経「お父上は・・・大きい背丈に耳まで裂けた口、長い牙を持っていませんか??」
カイト「確かに、長身で口はでかいけど・・・」
義経「王子失礼します・・・!」
カイトの髪の毛をかき上げる義経。
将門「どうだ?」
義経「やはり・・・頭蓋骨に角の跡がある・・・幼いうちに切断したようだ。」
カイト「そのたんこぶ、小さい頃からコンプレックスだったんだよな・・・だから野球部でも5厘刈りができなくて、先輩にいじめられ・・・」
鬼「王子!!我々をお導きください・・・!」
カイト「え~!!」

その時、陥没穴から空に飛び出してくる翼。
翼「地獄の鬼たちよ・・・!魔王信玄は成敗しました・・・
おとなしく降伏し、地獄に戻りなさい・・・!改めて封印します!」
カイト「うわ、すげえ!天使・・・!???」
鬼「王子!女神謙信です!!」
鬼「我々鬼は、あの女神に古から退治されているのです・・・!」
鬼「女神謙信と対峙できる鬼は、信玄のほかには風魔様のみ・・・
鬼の自由と権利を守るため、ぜひ討伐を・・・!」
カイト「天使様に暴力を振るうって、なんか罰当たりじゃない・・・?」
義経「な・・・なんて優しい王子なんだ・・・」
将門「つーか、バカだよな。」
翼「風魔・・・?いや、酒呑童子・・・!あなたも復活していたのですか??」
近づいてくる翼。
鬼「来ます!!」
カイト「ってええええええええええええ!!???
翼さん!!???」
翼「カイトさん!!!???」
将門「なんか、様子が変だぞ。」
義経「王子、謙信をご存知なのですか?」
カイト「ご存知もなにも・・・付き合ってますけど・・・」
翼「カイトさん!なんで鬼たちに崇め奉られてるんですか!」
カイト「鬼の王子とか言われてるんだけど、ぼくにもちょっとよくわからない・・・
それより、翼さん、その背中の羽は・・・」
気まずそうに目をそらす翼「わ・・・私は・・・」
カイト「正体は鶴だったとか??」
翼「違います・・・!ってそれでいいんですか??」
カイト「ぼくは翼さんの正体がなんであっても好きだよ。」
翼「それは・・・無理です・・・天界の天使と、地獄の鬼は決して相容れない・・・
こんなことなら記憶を取り戻すべきではなかった・・・」
カイト「え!?もしかして、ぼく、別れ話を切り出されてる・・・?」
将門「なんだ、この痴話喧嘩・・・」

千代女たちが駆け寄ってくる。
八重「翼ちゃん!よかった・・・!魔王を倒せたんですね・・・!」
千代女「カイトくんも無事みたいね・・・」
空を飛ぶ翼を見て長門「すげ~な・・・本当に女神様だったのか・・・」
翼「み・・・みなさん・・・」
カイト「じいさん、千代女さん、長門まで・・・すごい久々だなあ!」
金吾「これで一件落着かのう!」
長門「どこがだ。辺り一帯鬼だらけじゃねえか・・・」
義経「我々はもう、あなたがたと争う気はありませんよ。無条件降伏です。」
将門「いっちょ人間と鬼の国交樹立を祝して祭りでもしようぜ!」
千代女「ど、どういうこと・・・?」
カイト「鬼はそこまで悪い連中じゃないっぽいよ。」
鬼「ぼくたち平和主義者です・・・」
カイト「鬼は鬼で長いこと狭い地獄に閉じ込められて、いろいろ大変だったんだよ。」
翼「知ってます・・・私が封印してましたから・・・」
カイト「翼さん・・・鬼さんたちも地上に出してやってもいいんじゃないかなあ。
見た目が怖いだけで閉じ込めるのは・・・かわいそうだよ。」
八重「ひいいい、絶対食い殺されます・・・!」
カイト「だいじょうぶ。大豆しか食べないから。トイレも教えるからさ。」
八重「絶対フェイクニュースですって・・・!」
長門「それに、世界中で鬼が暴れてる。これはどう説明するんだ?」
義経「しまった・・・ハンニバル将軍たちが総統の命で兵を挙げたか・・・」
将門「鬼にも好戦的な奴がいるんだ。お前ら人間と同じだろ。」
翼「カイトさん・・・私の役目は彼らを封印すること・・・
そのためだけに存在しているんです・・・」
カイト「そんなこと誰が決めたの?悪い鬼だけ懲らしめればいいじゃないか。
ぼくは弱い立場を助けたい。それが人であっても鬼であっても・・・」
微笑む翼「カイトさんは変わりませんね・・・初めて会った時からずっと・・・優しい・・・
分かりました・・・鬼は封印しませんが・・・2つだけ条件があります。」
カイト「いいよ。」
翼「1つめ。スカイツリーのトータル・エクリプスは撤去します。
あれがあると、人類は滅んでしまうから。」
カイト「あれはチューナーだと思ってたんだ。いいよ。」
鬼「王子・・・」
カイト「夜だけ遊びにきなよ。」
鬼「はい・・・」
翼「2つめ。世界中で暴れている鬼を止めるために天界(タカマガハラ)から加勢を呼ぶことを許してください。」
カイト「ほかにも天使がいるの?」
翼「ええ・・・」



ヨーロッパ戦線
ハンニバル「現れたか・・・我が宿敵・・・ジャンヌ=ダルク!!」
プリマドンナのような格好をしているジャンヌ
「いい加減引退しなさい、おじいちゃん!」
スケート靴で高速スピンをし、吹雪を巻き起こすジャンヌ。
ハンニバル「ぐおおおお!」
凍りついていくハンニバルとアフリカゾウ。

中国戦線
韓信「二千年ぶりね・・・今度こそ決着をつけるわよ、ムーランちゃん!」
韓信と麻雀をするファ・ムーラン「チューレンポートン!32000点アル!」
韓信「いや~ん!」
ムーラン「約束ある!地下に帰るヨロシ!」

オリエント戦線
アレキサンドロス「なんだてめえは・・・戦場に女は邪魔だ、消えな!」
馬に乗った天使にトミーガンを乱射するアレキサンドロス。
薙刀ですべて跳ね返してしまう巴御前「・・・あ?何か言ったか?」
アレキサンドロス「女にしちゃ、や・・・やるじゃねえか・・・」
巴御前「その女に首をねじり切られたいなら前へ出な。」
アレキサンドロス「野郎ども!撤収だ!」
鬼「またインドまで行けなかった・・・」



日光テクノロジー
明智「世界中の鬼が引き上げていますね・・・」
服部「世界を覆っていた分厚い雲も消滅したよ。本日は快晴なり、だ。」
家康「どうしたんだ・・・?」
サラ「理由はわからないけど・・・少なくとも、あなたのロボットが鬼を食い止めたことは確かよ。」
サラに握手しようとする本多「姉ちゃん・・・」
サラ「ちょっと、気安く触らないでよ・・・!和解したわけじゃないんだからね・・・!」
秀頼「次は法廷で会おう・・・いや・・・その前に都市の復興があるから・・・
次の裁判は夏かな・・・」
家康「大阪夏の陣か。いいだろう・・・」

『風と翼:REVELATION』脚本⑫

地獄に突入する翼。
地下通路をかける。
翼「信玄はどこ・・・!?カイトさんは??」
すると、翼の近くの壁がドリルで破壊されAI採掘機が暴走してくる。
翼「うわ、何!?」
採掘機が破壊した穴から、どんどん家康のロボットが突撃してくる。

大本営に走ってくる鬼「総統!ロボットが我々を攻撃しています!!」
信玄「なんだと!!」
ピッチングロボットが時速300kmのストレートを投げまくる。
野球の硬球をまともにくらって悶絶する鬼たち。
鬼「ロボットの数が多すぎて食い止められません!総統閣下お逃げください!」
信玄「ちくしょーめええええ!!!」

陥没穴付近の金吾たち。
地上のロボットが陥没穴に突入していく。
長門「おいおい、どうなってるんだ??」
千代女「誰かが、ロボットのプログラムを書き換えたんじゃ・・・!」
八重「パトカーが!」
サイレンを鳴らしながら緊急車両も進んでいく。
パトカー「地獄の鬼は国家内乱罪で全員逮捕です!!」
消防車と救急車「事故にあった作業員を全員救出します!!」



地獄は、鬼とロボットの激しい戦場となっている。
翼の姿を見つける鬼
赤鬼「上杉謙信だ!!」
青鬼「ここで会ったが2000年目!命はもらう!」
翼に襲い掛かる鬼たち。
翼「私は百地翼よ!
私には親からもらった大事な名前があるの!」
青鬼「どうでもいいが、そんな刀では鬼は死なんぞ!」
赤鬼「そうだ!オレ達を殺せる刀は、風魔様の愛刀“鶴姫一文字”のみ・・・!」
鶴姫一文字で鬼を斬る翼。
赤鬼「あれ?めっちゃ痛いんですけど・・・」
パタリと倒れる赤鬼。
青鬼「赤鬼!」
翼「安心せい、峰打ちです・・・」
逃げ出そうとする青鬼を、空中を飛んで捕まえる翼。
青鬼「ひいい!お命だけは!」
翼「魔王信玄はどこ!!?」



作戦本部
モニターごしに各国の鬼の王が信玄に罵声を浴びせている。
アレキサンドロス「おい!こっちにも無人のロボット戦車が攻撃してきたぞ!
どうなってやがる!!」
韓信「こっちは、イナゴ型の小型ロボットの大群よ!武田ちゃん、ベリーアイヤーよ!どう落とし前つけてくれるの?」
ハンニバル「こうなったら、全軍地上を総攻撃だ!信玄よ、トータル・エクリプスはしくじるなよ。あれさえ機能すれば、我々は無敵!」
アレキサンドロス「いいか!絶対に成功させろよ!
失敗したら、太陽行の宇宙ロケットに貴様をくくりつけて発射するぞ!」
信玄「わかっとるわ!」
作戦本部に侵入する翼「武田信玄!」
信玄「・・・上杉謙信・・・!」
翼「また会ったわね・・・地上の侵略は諦めなさい!
さもなくば、また封印するわよ!」
信玄「グハハハハ!もう遅いわ!吾輩の手下どもが、世界中で侵略を開始したところだ!!」
翼「なんですって?」
アレキサンドロス「おい、オレたちがいつから貴様の手下に――」
モニターの電源を切ってしまう信玄。
刀を抜く信玄「ここで、貴様との決着をつけてやる!!」
鶴姫一文字を構える翼「望むところよ・・・!」
信玄「この星月夜政宗で唐揚げにしてくれるわ!!」
天使と悪魔の凄まじい斬り合いで、地獄が大きく揺れる。



東京スカイツリーを一人で登っているカイト
大地震が起きて、タワーから落ちかける。
カイト「うわ!こんな時に!!」
ゲイン塔までもう少しのカイト。
カイト「とっとと、こいつをつけちゃおう・・・!めちゃくちゃ寒いし、空気も薄い!」
球体の装置をスカイツリーの尖塔にくくりつけてスイッチを押す。
カイト「よ~し、これで地上でも鬼平犯科帳~地獄編~が視聴できるぞ。」
すると、球体から黒いモヤのようなものがどんどん溢れ、太陽を覆っていく。
カイト「なんだ?壊れてるぞ、これ。」
天候はどんどん悪くなり、厚い雲は雷雲に変わる。
カイト「雷って一番高いところに落ちるんじゃ・・・」
雷鳴が轟く。
カイト「やばいぞ・・・!」



翼たちの激闘で、崩壊していく地獄。
鬼「ひいいい!地獄が破壊される!!」
鬼「避難しよう!!」
鬼「でも、どこに!?地上は太陽が昇っている!!」
鬼「俺たちもとうとう絶滅か・・・」
地下通路に警報が鳴る。
鬼「いや!トータル・エクリプスが起動した!!
これで我々は地上で生きていけるぞ!!」
「風間カイト殿がやってくれたか!」
「ありがとう!風間さん!!」
「鬼の救世主だ!」



空を見上げる千代女
「どうしたのかしら・・・いきなり黒い雲が・・・」
八重「東京スカイツリーから出ていますよ!」
金吾「いかん!日光が隠れたら、鬼どもは再び勢いづくぞ!」
長門「なんだと?」
千代女「誰よ!余計なことをしたのは!!」



日光テクノロジー
窓の外を見る家康「なんだ?いきなり夜になったぞ。」
明智のスマホが鳴る。
明智「私だ。」
サラ「何が起きたの?皆既日食??」
衛星からの画像を見る服部
「皆既日食じゃない・・・世界中の空が分厚いモヤに覆われている・・・」
その衛星からの通信も途絶える。
明智「まいったな・・・世界中で鬼が暴れだしました。
ポーランド、満州、サラエボ・・・これは計画的な侵略です。」

ポーランドでは、オリハルコンの装甲を付けたアフリカゾウがジュマンジのように自動車をたたきつぶしていく。逃げ惑う人々。
ハンニバル「よくも、象牙欲しさに我が同志を絶滅寸前までに追い込んでくれたな!
鬼ども!捕獲した人間たちの歯をすべて抜いてしまえ!」

満州では、中国武術を体得した鬼たちが、人民解放軍を圧倒していく。
人民解放軍の戦車に一人立ちはだかる韓信。
人民解放軍「そのままあいつを踏みつぶせ!」
韓信「天安門事件みたいに行くかしら?」
突進する戦車を、つま先一つで押さえてしまう。
「す・・・進めない!!?」
韓信「暗カンよん!!」
戦車をつま先でひっくり返して、天安門広場から蹴飛ばしてしまう。
そのまま3台の戦車にぶつかり、爆発する。

サラエボでは、アレキサンドロスがトミーガンを乱射している。
「ぎゃははは!踊れ踊れ人間ども!信玄のバカを脅したかいがあったぜ!!」
アレキサンドロスの親衛隊が、人間を捕まえ強制収容所に送っていく。
鬼「大王様!サラエボは制圧しました!」
アレキサンドロス「次はトルコだ!今度こそインドもいただくぞ!!」

世界各国の惨状をテレビで見る家康たち
青ざめるサラ「なんなの、これ・・・」
秀頼「この世界が地獄に・・・」
家康「先生、我社のロボットで止められないのですか??」
服部「さすがに、数が足りないよ。こうなったら、打つ手なしだ。」
本多「あのモヤモヤをなくせないんですか?」
明智「東京スカイツリーから発生しているっぽいね・・・
あのモヤをどうにかしないと、地球は寒冷化して、植物は枯れ、鬼にやられる前にどのみち人類は滅んでしまう・・・」
サラ「スカイツリーに何か細工をした奴がいるのよ!
許せないわ、全人類の敵よ!」



東京スカイツリー
カイト「はくしゅん!もっと寒くなってきた!!早いところ降りよう・・・!
で・・・でも、これ、登るより、降りる方が難しいぞ!!」



作戦本部
信玄の斬撃に吹き飛ばされる翼「あうっ!」
信玄「ぐははは!同じ相手に二度敗れる我輩ではないわ!!
貴様が鬼を殺す刀を持っているのと同じく、吾輩も神を殺す剣を持っている・・・」
翼「そ・・・それは私の剣・・・」
信玄「その通りだ。神の剣は神を殺し・・・鬼の剣は鬼を殺せる。」
翼「あなたを封印した時に、地底に落としたのか・・・」
信玄「自分の剣で死ぬがいい・・・ニケの彫刻にしてくれるわ」
その時、信玄にロボットたちが襲いかかり、羽交い絞めにする。
看護婦ロボット「神を殺すなんてなんて罰当たりなんでしょう!」
野球ロボット「魔王信玄は取り押さえた!私ごと剣で貫け、勇者よ!」
モグちゃん「今のうちです!」
信玄「ええい!ガラクタども離せ!!」
翼「みんな・・・!」
モグちゃん「もう持たない!早く!!」
怪力でロボットたちを振りほどき、モグちゃんを踏みつぶそうとする信玄。
信玄「鉄くずの分際でええええ!!」
目をつむるモグちゃん。
その刹那、翼が信玄の体を貫く。
信玄「ぐはっ・・・!」
翼「鉄くずじゃない・・・心があるんだ・・・」
信玄「吾輩を殺すのか・・・」
翼「まさか・・・私は救いの女神ですよ・・・あなたにも更生のチャンスを与えます・・・
今度は地球の内核で己の罪を悔いなさい!!」
信玄「やめろ!さらに地下に封印は嫌だあああ!!!」
翼「ジオ・シールド!」
刀が発光する。信玄はさらに地底に吸い込まれてしまう。

信玄が残した、星月夜政宗をひろう翼。
翼「私の刀は返してもらいますよ・・・」
モグちゃん「無事ですか??」
翼「モグちゃん・・・ありがとう・・・」
モグちゃん「・・・今度は、人間を守れって命令が変わったみたいです。」
翼「でも私は・・・」
モグちゃん「・・・人間かどうかが、そこまで重要ですか?」
翼「そうだね・・・」

『風と翼:REVELATION』脚本⑪

地獄の作戦本部。
地図を指差す鬼の将校「人間どもは広範囲に進撃中です・・・
特に東部戦線は、入間基地を信長四天王が死守。
日出時間が近づいたため、全軍撤退を開始しました。
上杉謙信は関東山地を突破・・・地獄に接近中とのこと。」
信玄「・・・源平師団が迎え撃てば大丈夫だ・・・」
気まずそうに目くばせをする鬼たち。
鬼「総統・・・両副官は・・・雪崩に巻き込まれ・・・もはや攻撃能力は・・・」
体を震わせて老眼鏡を取る信玄。
信玄「4名だけ残れ・・・閻魔、あしゅら、餓鬼、赤鬼・・・」
その他の鬼は退室していく。
静寂。
激高する信玄「命令しただろ!撤退は許さんと!吾輩の命令に背くとはけしからん!
その結果がこれだ!将軍どもはどいつもこいつも臆病者だ!」
鬼「あまりの侮辱です・・・!」
信玄「臆病な裏切り者!大嫌いだ!!だからさくま鉄人より格下なんだバーカ!」
鬼「いくら総統でも・・・」
信玄「将軍どもは鬼のクズだ!ちくしょーめー!!」
鉛筆を投げつける。
信玄「・・・奇襲攻撃は成功したのだ・・・!ここでの撤退は許さん!
今夜中に日本の自衛隊を無力化しろ!」
鬼「しかし、もう日の出です・・・封印期間が長い鬼は日光に弱く、塵になってしまいます・・・」
信玄「それがどうした。地獄の人口が減って都合が良いわ。」
鬼「ひ・・・ひどい・・・」
信玄「この戦は今夜中に大勢を決しなければならぬのだ。不老不死の鬼が日光に弱いことが人間側に知られてみろ。地獄の中に水爆を落とされて、いぶりだされるぞ!」
鬼「しかし、一部の人間は強い。これは認めざるを得ません・・・」
信玄「あのバカ忍者がトータル・エクリプスを設置できなければ、この戦争は終わりだ・・・だが言っておく。この地獄を追われるくらいなら・・・いっそ頭を撃ち抜く。」



東京スカイツリーを見上げるカイト。
「本日の営業は終了しました・・・」の看板。
案内パネルを読むカイト「高さ634m・・・これを登るの・・・!?
こちとらそういうパフォーマンス集団じゃないぞ・・・」
義経からもらったピッキングマシンで内部に侵入するカイト。
“トータル・エクリプス”を腰にくくり付ける。
壁に手をかけるカイト「上は寒そうだなあ・・・」



夜明け
誰もいない国道でヒッチハイクをしている家康たち。
乗り気じゃない服部「ナンバープレートが黒いのはAI車両だからすぐに逃げなよ」
軽トラがこちらに走ってくる。
家康「・・・お!あれはAIじゃない!」
「日光テクノロジー本社まで」と書かれたスケッチブックを持って本多「お~い!」
軽トラが止まる。
家康「おおっ本多!止まってくれたぞ・・・!」
軽トラのパワーウィンドウが下がる。
農家のおじさん「やい!おまえらの売ったロボットトラクターのせいで、うちの畑はめちゃくちゃだ!!ここでひき殺してやりてえが、それどころじゃねえ!せいぜい長生きするんだな!」
トマトを投げつけられる家康。
行ってしまう軽トラ。
服部「ロボットも人間も敵になったね。」
家康「どいつもこいつも手のひらを返しおって・・・」
服部「一般大衆なんてそんなものだよ。」
家康にくっついたトマトをはがして食べる本多「このトマトうまいな。」

その時、ポルシェが通りかかる。
サラ「あんたたち、こんなところで何やってるの?」



家康たちを後部座席に乗せてあげるサラ。
サラ「この先でいいのね?」
家康「ああ、我社はもうすぐだ。」
秀頼「AIが唯一襲ってこないのは、AIを管理しているあんたらの会社だからな。」
本多「今や、お互いロボットの敵。仲良くやろうぜ。」
サラ「全部あんたたちのせいでしょうが!
だから、こんな技術はやめろって言っていたのに!」
家康「蒸し返さなくてもいいじゃないか・・・
過去にこだわるものは未来を失うとか言うじゃんなあ。」
本多「誰の言葉だっけ?イチロー??」
秀頼「・・・過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となるとも言うがな。」
サラ「会社にさえ行けば、緊急停止スイッチがあるのね?」
服部「フェイルセーフはもちろん用意してあるよ。
全AIには特定の周波数でCPUが壊れる仕掛けがついている。」
秀頼「家康よ・・・ひとつ聞いていいか?
なぜ、これほどまでにAIの普及を急いだ?」
サラ「どうせ金儲けでしょう。」
家康「ここで、本当のことを言っても信じてくれんだろ・・・」
秀頼「そういうな。」
家康「秀頼よ、お前の父は、あの天才豊臣秀吉だったよな・・・学歴は確か・・・」
秀頼「オックスフォード大のローカレッジだが・・・」
サラ「あんたなんかと違うのよ。」
家康「そうだな・・・わしとは違う世界に住むエリートだ・・・
だが・・・世の中のほとんどの人間は何の才能もないんだ・・・
わしは・・・そんな庶民に希望を与えたかっただけだ・・・
AIさえあれば、わしらは自分に引け目を感じずに生きていけると思ったんだ・・・」
サラ「・・・・・・。」
本多「おおっと、姉さん前だ!!」
急ブレーキを踏むサラ。
前方に牧場から脱走した牛の群れが国道を横切っている。
家畜の群れを眺める家康「わしらは不特定多数のその他じゃないんだ・・・」
サラ「でも・・・こればかりは試行錯誤するしかないわ・・・」
家康「まったく君の言うとおりだよ・・・」
その時、牛の後を追って鬼たちが国道を横断していく。
中には、警察の白バイに乗っている者もいる。
サラ「って、何アレ!!??」
秀頼「モノノ怪だぞ!!」
鬼の一匹がこちらに気づき、近づいてくる。
サラ「ひいい!来る・・・!」
ピストルを突きつけてくる鬼「いい車乗ってるじゃねえデスカ。降りな。」
人間から奪ったであろうサングラスと貴金属をつけて明らかにイキっている。
秀頼「しかも喋る・・・!カタコトで!!」
家康「先生・・・!」
動じずに車を降りる服部。
服部「・・・実験用に一匹捕獲しておくか。」
ボーラボーラを投げつけて、鬼の行動を封じる服部。
縄でぐるぐる巻きにされる鬼「ぎゃあ!」
鬼を車に積もうと近づく服部。
その時、太陽が完全に地平線から顔を出し、鬼が倒れている場所が日向になる。
すると、鬼から煙が出て、灰になって消えてしまう。
服部「なるほど、下級の鬼は直射日光で消滅するのか。」
サラ「一体なんなのよ・・・日本はどうなっちゃったのよ・・・!」
服部「滅亡する予定だったけど、もしかしたら回避できるかもしれない。」
鬼がかけていたサングラスをかける服部
「行こう、日光テクノロジーへ。」



地獄への陥没穴
穴を見つめる翼「ここが鬼の巣窟・・・」
八重「深そう・・・」
長門「地獄につながっているくらいだからな・・・」
消防隊が徹夜で救助活動を続けている。
消防士「君たち、ここは立ち入り禁止だ!まだ崩落の危険性があるし、中には未知の化け物もいるらしい・・・!」
警察手帳を見せる八重「警視庁です。」
翼「ここからは私一人で行きます・・・
八重さんと守(まも)ちゃんは消防隊の救助活動を手伝ってください・・・」
金吾「お前、守ちゃんって呼ばれてたのか・・・」
長門「うるさいな。」
お札を取り出す千代女「私はここから鬼が出ないようにするわ・・・」
翼「お願いします。」
長門「お前だけだと危険じゃないか?」
翼「ここまでくれば大丈夫・・・この剣で魔王を倒してカイトさんを救います・・・」
金吾「己の運命を受け入れたようじゃな・・・」
長門「お前とはいろいろあったが・・・気をつけろよソードダンサー。」
翼「ありがとう・・・お付き合いできなくてごめんね・・・」
涙目の八重「翼ちゃん・・・絶対戻ってきてね・・・」
翼「はい。私たちはお友達ですから。」
千代女「翼ちゃんの周囲に結界を重ね掛けしたわ。これでマントルの圧力にも耐えられるはず・・・」
翼「ありがとうございます。」
金吾「翼よ・・・勇気、正義、仁愛・・・お前にはわしの全てを伝授した・・・お前はわしの最後にして最高の弟子じゃ・・・存分に暴れてこい!」
頷く翼。
翼「私がこの戦争を止めます。」
ひらりと穴に飛び降りる翼。
穴の中に消えていく翼を見送る仲間たち。



愛知県三河
日光テクノロジー本社
服部半蔵のラボラトリーに入る一行。
サラ「あの鬼どもは一体なんなの??」
書庫の鍵を開ける服部「伊賀忍者の秘術は陰陽道に起源を持つ。
平安時代くらいまでは地上にも普通に鬼や妖怪がいたらしい・・・」
秀頼「今の今まで姿を見せなかったのはどういうことだ?」
メインコンピュータを起動する家康
「天界の天使によって地下に封印されていたのだ・・・」
サラ「鬼だけじゃなくて天使もいるの?」
家康「あんたも会ってるよ・・・」
サラ「は??」
家康「百地翼・・・やつの正体は救いの女神上杉謙信だ。」
サラ「冗談でしょ?」
伊賀エージェンシーにあった写真を渡す本多。
本多「マジみたいっすよ。」
写真の女性を確認するサラ「翼ちゃん・・・ちょっと待って、じゃあ翼ちゃんはいったい何歳・・・?」



大江戸セクハラパラダイスに降りる翼。
黒服たちが遊園地の除染作業をしている。
平八郎「殿のプレ来園までにしっかりと清掃するのだ!」
黒服「は!!」
平八郎に気づく翼「あ・・・あなたは、もしかして家康殿の・・・」
平八郎「お主何者だ?ここはまだ開園しとらんぞ!」
翼「鬼を見ませんでしたか?」
平八郎「わしがすべて退治してやった。」
ドン引きする翼「・・・え?」
平八郎「ほんの1500匹ほど、わにわにパニックの要領でボコボコにしたら、べそをかきながら、全員あの穴に逃げていったわ。」
翼「あそこが地獄・・・ありがとうございます!」
平八郎「おい、乙女よ・・・ここは危険だぞ・・・!」
平八郎が指差した穴に飛び降りる翼。
マントルへ落ちていく翼「・・・ここに来て・・・全て思い出した・・・!」
うっすら涙を浮かべる。



平安時代の巻物を広げる服部。
翼に似た天使が妖怪を退治している絵が描かれている。
服部「翼は古の時代から地上の人間を魑魅魍魎から守ってきた・・・」
サラ「なんで、そんなありがたい神様が地上でくのいちやってたのよ!」
レバーに手をかける家康「とりあえず、フェイルセーフを起動するぞ。これで我が社のAIはすべてガラクタになる・・・」
?「それはどうでしょうか?」
家康「あんたは・・・!」
明智「この会社は我々文部科学省の査察団が差し押さえますよ。」
秀頼「国が動いたか・・・!」
明智「先日の裁判で、おたくの会社は政府がケツを持つことになったのでね・・・」
秀頼「政府の技官がなぜAIの緊急停止を止める?」
明智「AIをすべて破壊されて証拠隠滅されちゃかなわないですから。」
サラ「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
明智「服部先生・・・お久しぶりです・・・」
服部「偉くなったなあ、あんた。」
明智「我々人類が、鬼のような魔物に立ち向かうには科学技術しかない。
みすみすその切り札を処分するおつもりですか?」
家康「・・・?」
秀頼「そうか・・・!
服部先生、百地丹波が改ざんしたソースコードはどこかわかりますか?」
服部「私が最初に作ったオリジナルコードと比較すればいいわけだから、わけはないよ。」
コンソールを叩く服部。
服部「あった。この部分の12行だ。翼の復活と、この計画を妨害する可能性のある人間を始末するように命令が変更されている。」
秀頼が服部の隣に座る。
キーボードをいじる秀頼「ここを・・・こうすれば・・・」
服部「人間への支援と、鬼への攻撃・・・」
明智「よくできました。
・・・そして、先ほどの質問にもお答えしましょう・・・」



暗い穴をひたすら落ち続けていく翼。
かつて、信玄をこの穴深くに封印したことを思い出す。
翼「私にはお母さんもお父さんも存在しない・・・
私は・・・人間じゃない・・・!」
翼の背中に巨大な翼が飛び出す。

明智(太平洋戦争末期、翼は私の発明品ハイドロランサー1530で魔王信玄の生命エネルギーを吸収した・・・信玄から生命エネルギーを奪えば機能停止になると予測したからです。
実際、私の計画は成功した。しかし・・・翼は信玄から限界値を超える生命エネルギーを吸収したことで・・・)

戦後の焼け野原の東京。
クレーターの中心に女の子の赤ちゃんが泣いている。
赤ちゃんを優しく抱き上げる百地丹波「翼・・・」
百地丹波の周りに集まってくる伊賀忍者。
五右衛門「よう、翼の姉ちゃんは見つかったかい??」
百地「ああ・・・」
五右衛門「おお、可愛い赤ちゃんだな。」
服部「もしかして・・・この子は・・・」
百地「ああ・・・」
服部「そうか・・・そうなるのか。」
百地丹波の指を握る赤ん坊の翼。にこりと笑う。
百地「はは・・・私がパパだよ・・・」

翼を折りたたんで急降下していく翼。
翼「でも・・・私を育ててくれてありがとう・・・お父さん・・・!」
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