『ラストパーティ』脚本㉘

徐々にジルドレイに押されていくラム隊長。
片手の剣を跳ね飛ばされるラム「くっ・・・!」
ジルドレイ「ぐはは・・・!衰えたなラム・・・!!」
ラム「もういい年なんでね・・・」
剣を振り上げるジルドレイ「なら往生するがいい!!」
その時、巨大なファイアーボールがジルドレイに飛んでくる。
ジルドレイ「ぐお!」
なんとかぎりぎりでかわすジルドレイ。
火球は鐘塔に当たり爆発、破片がガリア兵をおそう。
火球が飛んできた方向を振り向く。
ジルドレイ「し・・・死ぬところだったぞ・・・誰だ!!」

杖を向けているテスタメント「はあはあ・・・全盛期にあんたは火葬にするべきだったわ・・・」
ジルドレイ「テスタメント・・・なんだこれは?同窓会か?」
シルビア「テス・・・!そのケガでMPを消費しちゃダメ・・・!」
ラム「テスタメント・・・」
テスタメント「はあはあ・・・あなた・・・昔・・・勝敗は重要じゃないっていったわね・・・
冗談じゃない・・・あたしはあんたの葬式をするなんて絶対にいや・・・」
剣を捨てて、倒れかけるテスタメントを慌てて支えるラム「む・・・!」
テス「はは・・・シドニアの言ったとおりだわ・・・必殺の一撃がかわされたら・・・もう、おしまい・・・」
意識を失うテス。
シルビア「テス・・・!!」
ラム「らしくないことを・・・」

ジルドレイ「もう終わりだな・・・
まず、そこの小娘。回復役の貴様から真っ二つにしてやろう・・・」
シルビア「・・・!」
シルビアの前に立って両腕を広げる草薙。
草薙「てめえ、それでも男か!?男は女を守るものだろう!!」
ジルドレイ「くだらねえ、戦争は勝てばいいんだ。」
シルビア「無茶はやめてスパルタン・・・あんたでは勝てないわ!!」
草薙「あいつが疲れ果てるまで、お前の盾になることはできるさ・・・」
シルビア「あんたは馬鹿よ・・・」
草薙「かもな。」



作戦会議室
泥だらけのゼリーマンが駆けてくる。
ゼリーマン「旦那・・・まずいぞ!
最初は調子が良かったが数の暴力で押されている・・・!!」
ヨシヒコ「わかった・・・けが人を城内に誘導しよう・・・マイヤース。」
ルナ「救急車の出動ですね・・・」
ゼリーマン「そんな余裕はないっす!事態はすでに霊柩車の局面なんだ!!
ヴィンツァーお前の出番だ・・・一人異様に強い奴がいる・・・!あの化け物を倒してくれ・・・!」
ヴィンツァー「・・・ジルドレイ将軍・・・ふたつ名は黒羽のレイ・・・」
ヨシヒコ「知合いですか?」
ヴィンツァー「ぼくの師匠のパーティにいた男です・・・
あまりに強く・・・そして残酷で・・・
師匠のウィンロードは彼を追放した・・・」
ゼリーマン「あんたの実力なら倒せるだろ?」
ヴィンツァー「・・・ぼくには・・・無理だ・・・」
ゼリーマン「あ?」
ヴィンツァー「ぼくは・・・戦争で戦ったことがない・・・」
ゼリーマン「こんな時に冗談はよせ。王立騎士団で軍事顧問をやってただろ。」
ヴィンツァー「・・・兵の被害が極力出ないように陣形を考えていただけなんだ・・・
ぼくは・・・剣を人に向けたことはない・・・
君の言う通り・・・臆病者なんだ・・・」
ゼリーマン「てめえ・・・もう一度言ってみろ・・・」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
ゼリーマン「お前はなんで剣を下げているんだ!弱い者を守るためだろ!
お前がどう思おうが知ったこっちゃない!スナイデル・ヴィンツァーは世界を救った勇者なんだ!
その責任を果たしやがれえ!!!」
ヴィンツァーをぶん殴るゼリーマン。
吹っ飛ぶヴィンツァー。
慌ててゼリーマンを取り押さえるヨシヒコ
「熱くなるな!お前らしくもない!!」
ゼリーマン「離してくれ旦那・・・!」
ヨシヒコ「この戦いを判断したのは私だ!すべての責任は私にある!!」
ゼリーマン「そうだ、できることなら俺たちが戦いたいんだ・・・!
だが・・・お前しかできないんだ!!
お前は誰よりも強いからだヴィンツァー!!!」
頬の傷をおさえるヴィンツァー「・・・・・・。」




(回想)
ウィンターズ城の中庭で剣の稽古に励む青年のヴィンツァー。
メイドのセレス「お上手ですわ!」
木刀を下ろすヴィンツァー「・・・おためごかしはやめてください・・・ぼくは暴力は嫌いだ。」
セレス「ヴィンツァー様・・・」
ヴィンツァー「ここでずっと家事手伝いをして暮らしていたいです・・・」
微笑むセレス「いけませんわ・・・わたくしの存在価値がなくなります。」
ヴィンツァー「ぼくは本気で言っているんです。」
真剣な表情になるセレス「・・・旦那様は言っておりました。
ヴィンツァー様は誰よりも優しいと・・・きっと自身の剣技を正しい道に使えるはず・・・
だから、あなたは今ここにいる・・・」
ヴィンツァー「ぼくには・・・人は斬れません・・・怖いんです・・・」
セレス「それはみんなそうよ。
だからわたしたちは戦うの・・・大切な人を守るために・・・」
中庭にやってくるウィンロード
「また2人でサボってるのか。セレスお前は甘いぞ・・・」
直立するセレス「も、申し訳ございません・・・!」
ウィンロード「お前は人を斬りたくないのか・・・なぜだ?」
ヴィンツァー「だって・・・相手は死んでしまうじゃないですか・・・!
ぼくは誰も殺したくない・・・!」
ウィンロード「そうか・・・なら、もっと剣の腕を磨け・・・この俺よりも。
そして・・・誰よりも圧倒的に強くなれ・・・」
ヴィンツァー「・・・え?」
ウィンロード「ゾウがアリを本気で殺そうとするか?」




ボロボロになる草薙「ぐはっ・・・!」
剣で草薙を何度も切り裂くジルドレイ
「なかなかタフじゃねえか・・・
てめえの筋肉は一体何でできてんだ・・・」
草薙「はあはあ・・・お、お前なんか素手で十分なんだよ・・・この卑怯者・・・」
ジルドレイ「じゃあ、こちらも素手で行こうか・・・」
そういうと、脇腹の傷に指を突っ込むジルドレイ。
草薙「ぎゃああああ!!」
シルビア「スパルタン・・・!」
とうとう倒れてしまう草薙。
ジルドレイ「手こずらせやがって・・・
(シルビアに)さあ、次はお前だ。
首をひねってやる・・・」
後ずさるシルビア「やめて!こないで!!」
草薙「に・・・逃げろシルビア・・・!」
シルビアに近づくジルドレイ
シルビアはあたりを見渡すが、ラムもテスもメドもガリア兵に倒されて地面に転がっている。
涙を流すシルビア「母さん・・・父さん・・・誰か助けて・・・!!」

その時、剣を握って飛び出してくるヴィンツァー。
ヴィンツァー「うおおおお!!お前なんか怖くないぞ!あっちいけえええ!!」
ものすごい勢いで剣を振るうヴィンツァー。
その斬撃を紙一重でよけるジルドレイ「おっとおおお!!」
シルビア「ヴィンツァー・・・!!」
ヴィンツァー「はあはあ・・・僕の後ろに!!」
ヴィンツァーの後ろへ駆けるシルビア。

ジルドレイ「ついに伝説の勇者のお出ましかい・・・さあ殺し合おうぜ・・・」
ヴィンツァー「ぼくは殺し合いは嫌いだ・・・」
ジルドレイ「が~はっは!!何を甘いことを・・・」
その時、ジルドレイの仮面と兜が木っ端みじんになる。
素顔を現すジルドレイ。

シルビア「え・・・?女・・・!?」
ジルドレイは美しいロングヘア―の美女だった。
ジルドレイ「見たな・・・てめえら・・・私の素顔を・・・!!
私の正体を知った者は全員死んでもらう・・・」
ヴィンツァー「もういい、勝負はついたんだ・・・これ以上はやめよう・・・」
意味が解らないジルドレイ「ああ?」
その時、ジルドレイが血反吐を吐いて膝をつく。
ジルドレイ「ぐはっ!きさまいったい何を・・・!!」
ヴィンツァー「君の実力じゃ殺し合いにはならない・・・」
意識が遠のくジルドレイ「馬鹿な・・・」
地面に崩れ落ちるジルドレイ。
ヴィンツァー「ゾウが本気でアリを殺すと思うか?」



西の城壁
ライフルで敵を狙撃していくローランド
引き金を引くが弾が出ない。
「くそ・・・弾切れだ・・・!」
マサノブ「こっちもです!」
イエヤス「わしも終わった・・・!」
ライフルを棍棒のように握るローランド「くそ・・・ここまでか・・・!!」
すると、ガリア兵が慌てて引き上げていく。
雲の子を散らすように逃げていくガリア兵。
ローランド「・・・?敵が・・・消えたぞ・・・」



エゼルバルド城の主戦場となった中央広場
敵味方両軍の兵士の死体が地面を覆うように転がっている。
レンガの崩れた壁にラムのツインソードが突き刺さっている。
そのソードを無言で引き抜くヴィンツァー。
ラムとテスタメントがお互い寄り添うように死んでいる。

噴水のそばで串刺しにされたメドの死体を見つめるゼリーマン。
ハルがゼリーマンのそばに舞い降りて、彼を慰める。

傷ついた戦士たちを遠巻きで見つめる老勇者。
ランスロット「・・・長生きはするもんじゃないのうロビン・・・」
ロビンフッド「ああ・・・いったい何人もの戦士を見送ればいいのか・・・」




ウイリアム「こうして、わずか3時間でエゼルバルド城の戦いは終結した・・・
ブリジッド側の戦死者はモンスターを入れてわずか27人・・・
それに対して、ガリア帝国軍は合計2573人にも上った。
サー・イズミの歴史的な采配により、民間人の犠牲者はいなかった。」

『ラストパーティ』脚本㉗


エゼルバルド城の外に陣形を敷くガリア帝国軍800。
自軍を後に、馬に乗り城門に近づくジルドレイ。
大声を出すジルドレイ
「ずいぶん舐めた真似してくれるじゃねえか、ベオウルフ・・・!!
見てくれだけにこだわっていたおめえが、こんな悪知恵を働かせるようになったとはな・・・!
城を捨てたのはブラフだろ?そこにいるのは分ってんだ、姿を見せろい!!」

すると、城門の跳ね橋が下りる。
白いペガサスに乗ったヨシヒコがジルドレイに近づく。

ジルドレイ「ああん?なんだお前は。」
ヨシヒコ「泉ヨシヒコ。企業戦士(サラリーマン)だ。
きみたちに、わずかでも人間の心が残っているなら・・・
この城をよけて・・・国に帰ってほしい・・・」
ジルドレイ「ああん?帰れだと?聞いたか!?
この俺に帰れだとよ!!!
わかったぞ・・・ブリジッドのやつら・・・異国から加勢を連れてきたな・・・!
よくわからねえチュニックなんか着やがって・・・
てめえ一人が増えたところで、何ができるって・・・」

すると、城からヴィンツァーが現れる。
ヴィンツァー「一人じゃない・・・」
ジルドレイ「二人か・・・
ん??お前・・・知ってるぞ・・・
スナイデル・ヴィンツァー・・・ライアーナイト(嘘つき騎士)のスナイデル・ヴィンツァーだ!
邪神に怖気づいて味方を見捨てて逃げた腰抜けじゃねえか!
キサマなど俺の敵じゃねえ!失せろ臆病者!」

ゼリーマン「・・・そいつをそれ以上侮辱するなら、全モンスターの王である、この俺が許さんぞ。」
ジルドレイ「・・・!3人か・・・それもスライムだ!
こんな雑魚キャラなんか連れてきてどういうつもりだ?」

シルビア「雑魚キャラはどっちかしら・・・?」
ジルドレイ「4人・・・今度は女だ。しかも、レイプする気も起きねえケツの青いガキだ!」

指をぽきぽき鳴らす草薙「女性を女と呼ぶんじゃねえ・・・」
ルナ「ええ・・・女性との付き合い方を私が教えてあげますわ。」
ジルドレイ「どんどん増えやがる・・・」
ライフルを向けるローランド「とっととうせろ、坊や・・・」
青筋を立てるジルドレイ「坊や!!???てめえ・・・この俺に坊やと言ったのか!!」

ヨシヒコ「お互い無駄な血は流したくはないだろう・・・?
話し合いで済むなら・・・ぼくは応じるつもりだ。」
ジルドレイ「話し合いだあ?馬鹿言うな、城にオレたちを一歩も入れねえつもりだろ!」
黒神「ん~っふっふ・・・違います。一人も逃がさないつもりです・・・」
ジルドレイ「が~っはっは!!
(一瞬で表情が鬼のようになり剣を抜く)全軍突撃しろおおおお!!!」
怒号をあげながらガリア軍800人がエゼルバルド城に突っ込んでくる。

振り返るヨシヒコ「始まったぞ!!作戦開始!!!」

跳ね橋を上げて場内に引っ込むヨシヒコたち。
それを追いかけようと進軍してくるガリア兵たち。

ヘルゴートがカタパルトを引きながら暴走してくる。
しかし、黒神の落とし穴に足を取られて転び、カタパルトも横転、何人かの兵が下敷きになってしまう。
兵士「ぎゃあああ!!」
ジルドレイ「ひるむな!ただの落とし穴だ!!死にやしねえ、突っ込め!!」
軍曹「隊長、けっこう死んでます!」
落とし穴の下が竹槍になっており、串刺しになっている兵士。

どこに死の落とし穴があるか分からず、怯える兵士たち。
ジルドレイ「・・・100万だ!
最初に城内に到達した兵士には100万ゴールドを進呈!!」
兵士たち「うおおおおお!!!」
落とし穴に落ちて死んだ兵士を踏みつけて城壁に進んでくる。

城壁の上にいるシルビアとテスタメント。
シルビア「あいつら・・・なんて命知らずなの!!」
テスタメント「墓穴に自分から落ちてくれるんだから世話ないわよ。
シスターの得意な攻撃魔法は?」
シルビア「黒魔術はあまり得意じゃなくて・・・でも風なら起こせるわ。」
テスタメント「それはすごい。風ってどうして吹くか知ってる?」
シルビア「考えたことなかった・・・」
テスタメント「温度差よ。」

落とし穴地帯を突破しようとするガリア兵。
すると、突然目の前が真っ白になり、猛吹雪が発生する。
兵士「!!前が見えない!寒い!!うわ・・・!」
ホワイトアウトで視界が完全に遮られ、次々に落とし穴に落ちていくガリア兵たち。

軍曹「隊長!向こうに松たか子がいます!!」
ジルドレイ「魔女め・・・これ以上兵を無駄死にさせるわけには行かねえな・・・
俺が出る・・・!」

シルビア「すごい・・・!天候を変えるなんて・・・!」
テスタメント「あなたもやってみなさい・・・意識を集中させればオーロラだって作れるわ・・・」
あこがれの表情で魔女を見つめるシルビア。
その時、矢がテスタメントの太ももを貫く。
テスタメント「ぎゃあ・・・!」
シルビア「テス・・・!!」

葉巻を吸いながら弩を構えているジルドレイ。
「くそ・・・外したか・・・」
軍曹「お見事です!」
ジルドレイ「バカ!あの女の顔をぶちぬきたかったんだよ・・・!」

太ももをおさえるテスタメント「ぐあああ・・・!体が溶けるように熱い・・・!
矢に何か呪いがかけてある・・・!」
太ももに手をかざすシルビア「じっとしてて・・・今治療するから・・・!」
テスタメント「いけない・・・私はもう十分生きた・・・大切なMPをとっておきなさい・・・!」
シルビア「私は聖女リネット・アシュレイの娘よ。」



ヘルゴートが城門に突っ込み、扉を破壊してしまう。
城内に入ってくる兵士たち。
一番乗りのガリア兵士「やった~!俺が一番乗りだ~!!」
その兵士を弩で射殺するジルドレイ
「よかったな。
城内の人間、全員ぶち殺せええ!!!」

作戦会議室
駆けてくるルナ「城門がとうとう突破されました!!」
眉間に指を当て首を振る黒神「・・・・・・。」
ヨシヒコ「・・・いよいよとなったら君の出番だ・・・クレイモアーの発進準備を・・・」
頷くルナ。



城内になだれ込むガリア兵。
ガリア兵に立ちはだかるゼリーマンらモンスターたち。
ジルドレイ「てめえらか、俺たちをそうめんのように流しやがったのは・・・」
ゼリーマン「そんな風流なものじゃねえだろ。
お前らはクソそのものだ。水洗便所に流してやったのさ。」
ジルドレイ「それがお前の最期の言葉か?」
ゼリーマン「かもな。」
草薙「おい・・・あいつが大将か?」
ジルドレイ「ゴリラの魔物もいるのか・・・おもしれえ、剥製にしてやる・・・!」
乱戦になるガリア軍と魔物たち。



エゼルバルド西ゲート
城壁に近づく敵を銃で防いでいるローランドたち。
ハルが飛んでくる。
ローランドに耳打ちするハル。
ローランド「何?正門が突破された!?お前たち、ここを任せられるか?」
ライフルを構えているが腰が引けているイエヤス「・・・え?」
マサノブ「旦那がいないとちょっと・・・」
両手剣を握るラム「俺が助けに行こう・・・モンスターたちには借りがある・・・」



作戦会議室
ヨシヒコ「・・・ヴィンツァー卿。
城内は多勢に無勢・・・ついに、あなたの力が必要だ・・・」
ヴィンツァー「ヨシヒコさん・・・実は私には・・・ずっと隠してきたことがあるんです・・・
あなたにだけは打ち明けなければならない・・・」
ヨシヒコ「・・・・・・?」
ヴィンツァー「実は・・・今まで一度も、人を斬ったことがないんです・・・」
ヨシヒコ「・・・え?」



中央広場。
モンスターたちを圧倒するジルドレイ将軍。
息を切らせる草薙「なんだこのおっさん、めちゃくちゃ強いぞ!!」
ジルドレイ「ケダモノどもが・・・!」
メド「な・・・なんで石化しないの・・・!?」
ラム「・・・悪魔だからだ・・・」
草薙「なんだと??」
ジルドレイ「久しぶりだな、ラムマヤ・・・いつからモンスターの味方になった?」
ラム「お前は相変わらず残酷だな・・・
シドニア殿のパーティでも、お前は敵に敬意がなかった。」
ジルドレイ「人を殺すのに敬意の有無が重要か?」
ラム「モンスターたち、下がっていろ・・・こいつは私が相手をする・・・」
ゼリーマン「いや・・・全員でリンチにしたほうがいいだろ・・・」
ラム「全員でリンチしても敵わないからそう言っている・・・」
ジルドレイ「わかってるじゃねえか・・・!久々にやるか、ラムマヤ・・・!!」

とんでもない斬撃の応酬をはじめる2人。

草薙「うお・・・!桜庭VSグレイシーを見ているようだぜ・・・!!」
メド「ほかの兵士は私たちが食い止める・・・!
ゼリー・・・あんたは伝説の勇者を呼んできなさい!!」
そう言うと石化光線を放ち、ガリア兵士たちをまとめて石化させ、城内までの道を確保してやるメド。
ゼリーマン「メド・・・死ぬなよ!」
メド「あんたもね。」

『ラストパーティ』脚本㉖

夕方
暗視ゴーグルをつけて付近の空をパトロールするハル。
何かに気づく。

作戦会議室
部屋に入ってくるヨシヒコ「・・・スパルタン、仕事だ。」
草薙「いよいよか、待ちかねたぜ。」
ヨシヒコ「付近に偵察兵が3人来たらしい・・・ローランド」
壁に寄りかかっていたが、呼ばれて立ち上がるローランド
「生け捕りだな。敵の野営地を吐かせよう・・・」
帽子をかぶり部屋から出ていく2人。
ヨシヒコ「ヴィンツァー卿。念のため、城内の警備をお願いできますか。」
ヴィンツァー「もちろん・・・いこうシルビア。」
シルビア「ええ・・・」



茂みに隠れる草薙とローランド。
ローランド「お前・・・一撃で相手をのせるか?」
草薙「任せてください・・・」

ガリア軍の偵察兵「どうだ?」
双眼鏡を除く偵察兵「・・・おかしい・・・やけに静かだ・・・
王立騎士団が逃げ出したら今頃はパニックになっているはず・・・」
兵士「・・・空城の計か?」
兵士「馬に乗って突撃しかできないバカなベオウルフがそんな策略はできんだろう・・・」
兵士「しかし、先日の鉄のドラゴンのこともある・・・油断しないほうがいいだろう・・・」
その時、兵士たちに草薙が近づく。
剣に手をかける兵士「なんだ、あの男は?」
胸を叩く草薙「うっほうっほ・・・」
兵士「なんだ・・・ただの野生のゴリラか・・・」
その瞬間、兜ごと敵兵をぶん殴る草薙。
一瞬で二人をノックアウトさせてしまう。

しかし、一人が馬に乗って逃げてしまう。
草薙「すまねえ一人逃がした・・・!」
馬に向かって銃をかまえるローランド「静かにしろ!」
狙いを合わせて引き金を引く。
馬から落ちる兵士。
草薙「すげえ・・・」
ローランド「失敗した。全員生け捕りのはずが、一人殺しちまったぜ・・・
お前はゴリラの真似が下手だな。」
草薙「え・・・師匠に教えてもらったようにやったんですが・・・」
ローランド「ドラミングは手は開くんだ。」
草薙「押忍、勉強になります・・・」



エゼルバルド城
作戦会議室
ローランド「連中の野営地が分かったぞ・・・」
ヨシヒコ「さすがだ・・・」
ローランド「部隊を500人ずつに分けて6箇所の村で野営している・・・」
ルナ「すでに6つの村は虐殺されてしまったのね・・・ひどい・・・」
ローランド「最後のひとつは、これから皆殺しにされるところだった・・・」
ヨシヒコ「・・・・・・。」
草薙「なので、壊滅させてきた。カタパルトってやつも燃やしてきたぞ。」
ローランド「このバカの無謀な行動を許して欲しい。
だが天候が不安だったんでな・・・雨が降る前に火をつけさせてもらった・・・」
草薙「村民は全員救助して城に連れてきたぜ。今、シルビアが手当をしている。」
ローランド「この男・・・実力は本物だ。格闘戦になれば一騎当千・・・適う者はいまい・・・」
草薙「し・・・師匠・・・嬉しいっす!」
地図にバツを付けるヨシヒコ「これで残るは2500人・・・黒神警部補。」
黒神「ん~っふっふ・・・ずいぶん派手にやりましたね・・・
これでこちらの戦力が相手に伝わった・・・
相手は警戒し、戦力をひとつにまとめるはずだ・・・」
ヨシヒコ「どの村かわかりますか?」
黒神「地理的にハッピーハッピー村でしょう。
すべての村の中央にありハブになっている・・・
まあ、私ならば高台のヒナガタ村に集めますが・・・
崖の上にカタパルトは引き上げられないでしょう・・・」
ヨシヒコ「なぜヒナガタ村なんですか・・・?」
黒神「ん~っふっふっふ・・・」



雨雲が発達し、とうとうにわか雨が降ってくる。
強い雨が地面を叩きつける。

ハッピーハッピー村
雨を払ってテントにかけてくるジルドレイ
「くそが!もう少し早く雨が降れば、第6師団は焼き討ちされずにすんだのに!
ついてねえ・・・!」
軍曹「すべての部隊は、我が第1師団に合流させました・・・!!」
ジルドレイ「ごくろう・・・軍曹・・・おめえはどう思う?」
軍曹「500人の一個師団が何者かによって壊滅させられたのですから、ここは兵を集め大勢を立て直すのは正しい判断かと。さもなければ、ひとつずつ師団を失います。」
葉巻に火をつけるジルドレイ「・・・だが、嫌な予感がする・・・こういうのは結局は運なのだ。
わかるだろう、軍曹。昨日までは連戦連勝・・・しかしここに来て500の兵を失った。
今、俺たちはツキがない・・・」
空を見上げるジルドレイ。
軍曹「隊長は天空の神を信じておられるので。」
ジルドレイ「・・・まあな。」
そう言うと椅子に座り、机に肘をついて考え込むジルドレイ。
軍曹「・・・隊長・・・考えすぎでは・・・」
ジルドレイ「大切な兵の命を預かっているんだ・・・考えすぎることはなかろう。座りない。」
椅子に座る軍曹「はい・・・」
ジルドレイ「我々の弱点はなんだと思う?」
軍曹「・・・う~ん・・・」
ジルドレイ「考えるんだ・・・なぜ、第6師団は敗れた?」
軍曹「・・・王立騎士団はまだエゼルバルドに駐留している・・・?」
ジルドレイ「・・・かもしれん・・・」
軍曹(まだ納得してないな・・・どうしよう・・・隊長の慎重さにも困ったもんだ)
ジルドレイ「しかし、この雨では進軍は困難だ・・・
ブリジッドではこの時期にこんな大雨が降るのかい・・・」
軍曹「ガリア大陸と気候が違いますからね・・・」
ジルドレイ「それだ。」
軍曹「え?」



デスフラッド川
河川がせき止められている。
どんどん増水していく河川。
濡れながら叫ぶ魔物たち。

エゼルバルド城内の広場
黒神「ん~ふっふ・・・いい時間だ・・・」
黒神に頷くヨシヒコ。テスタメントの方を向いて叫ぶ。
「合図を!」
テスタメントが杖を振り上げる。

エゼルバルド上空に豪音が鳴り稲妻が光る。
ゼリーマン「今だ!決壊させろ!!」
ミノタウロスやサイクロプス、サイコゴーレムらが力づくで堰を切ってしまう。
鉄砲水が発生し、下流の村に襲いかかる。



ハッピーハッピー村
ジルドレイ「地図をよこせ。」
机に地図を広げるジルドレイ。
自分のいる村の近くに河川があることに気づく。
ジルドレイ「・・・やられた!!すぐに各師団引き返させろ!!」
軍曹「全軍撤退!!」



びしょびしょになって高台へ逃げていくガリア軍。
高台の上にはすでにモンスターが待ち構えている。
ゼリーマン「デスフラッド川が氾濫したらここに逃げるしかねえよな?」
ガリア軍兵士「ま・・・魔物だ!!」
ゼリーマン「降参するか?それとも痛い目にあいたいか?」
剣を抜く兵士「おのれ!成敗してくれる・・・!」
高台に向かって襲ってくるガリア軍の残党。
ゼリーマン「生粋のドMのようだ・・・やってくれ。」
すると、ミノタウロスたちが岩石を高台から落下させる。
岩石は斜面を転がり兵士たちを襲う。
兵士「うあわああ!!」
しかし、斜面を下りて逃げようにも、低地は濁流となっており行き場がない。
ある者は岩石にぶつかり、ある者は川に落ちていく。
兵士「ぎゃあああ!」

森を逃げ惑う兵士「助けてくれ・・・!」
その兵士の肩を弓矢で射るメド。
倒れる兵士「ひいい!石化はやめてくれ・・・!」
兵士にささやくメド「ボスに伝えなさい・・・
今度わたしたちの住処を戦場にしたら、全員セメントにしてやるって・・・」
兵士「わ・・・わかった・・・!」
恐怖の雄たけびをあげて一目散に逃げていくガリア軍。
サイクロプス「モンスターの勝利だ!」
歓声をあげる魔物たち。
遠くで見つめあうゼリーマンとメド。



作戦会議室
ヴィンツァー「ハッピーハッピー村の野営地は壊滅!作戦成功です!!」
ヨシヒコ「よし・・・」
シルビア「カタパルトのほとんどは土石流で破壊。兵の半分も流されたそうよ。」
ヨシヒコ「よし・・・」
草薙「この機を逃しちゃならねえ・・・!全員で打って出て、ガリア軍を全滅させようぜ!」
ルナ「危険ですよ・・・!クレイモア―も飛べないこの嵐じゃ、いっしょに流されちゃいますよ!!」
草薙「こんなもんただのシャワーだ。」
ローランド「自然を甘く見るな。」
草薙「はい。」
ヴィンツァー「ガリア軍も甘く見ない方がいい・・・」
草薙「・・・おう・・・」
ヨシヒコ「・・・ヴィンツァー卿、これで敵は引き上げると思いますか?」
ヴィンツァー「軍の指揮系統が崩れ空中分解してくれれば・・・
しかし・・・ガリア軍を指揮しているのは名将ジルドレイ将軍です・・・
もし、兵士の士気が維持されたなら・・・背水の陣で襲い掛かってくるでしょう・・・」
ローランド「なぜわかる?」
ヴィンツァー「ここエゼルバルド城で略奪できなければ、兵のほとんどが飢え死にするからです・・・指揮官としてそれだけは避けなければならない・・・」
シルビア「王立騎士団の誰かみたいに、みんなを見捨てて逃げてくれればいいのにね。」
ヴィンツァー「逃げて部下が助かるのなら・・・ジルドレイ将軍も兵を引くはず・・・
しかし、その退路はこの豪雨で絶たれた・・・」
ヨシヒコ「激突は避けられない・・・?」
ヴィンツァー「残念ながら。
・・・ヨシヒコさん・・・ご指示を。」
ヨシヒコ「・・・スパルタン・・・ゲリラ戦の極意はロビンフッド老に教わったな。」
草薙「ああ・・・」
ヨシヒコ「雨が上がったら、敵陣を偵察してこい。ただし深追いはするな。」
草薙「任せろ。」
ヨシヒコ「黒神警部補。トラップの方は?」
黒神「完了しております。しかし・・・この豪雨で落とし穴がいくつか心配です。」
ヨシヒコ「ではその補修を。ローランド、銃が使える人員は?」
ローランド「30人は戦力になりそうだ。」
ヨシヒコ「落とし穴が少ない西側を守ってくれませんか。」
ローランド「心得た。」
ヨシヒコ「マイヤース、避難の方は?」
ルナ「雨が降る前に終わらせました。」
ヨシヒコ「この世界の人間は飛行機を知らない。
もし、戦況が苦しくなったら低空飛行でガリア軍を脅かしてくれ。核爆弾は無しだ。」
ルナ「分かりました。」
シルビア「あたしたちは?」
ヨシヒコ「トラップを突破した兵士が城内に入らないように、テスタメントさんと一緒に攻撃魔法で防いでほしい。そして・・・考えたくはないが、城壁を突破されたら・・・」
剣をかざすヴィンツァー「市民はわたしが守ります。」



夜が明けて、雨が上がる。
満身創痍のガリア軍。
ジルドレイ「戦える者は?」
軍曹「は・・・800名とカタパルトが2基のみ・・・!」
ジルドレイ「・・・・・・。」

士気が低下する軍隊
兵士「この戦はもう終わりだ・・・!逃げようぜ・・・!」
兵士「ああ、ジルドレイの運も終わった・・・!落ち目の軍にいつまでもいることはねえ!」
兵士「村で奪ったお宝持って逃げるなら今のうちだぜ!」
兵士「そうだ、逃げよう!」

逃げようとした兵士の頭に弩を撃つジルドレイ。
弩を軍曹に返す。
ジルドレイ「たかが雨に濡れただけで家に帰りてえだと・・・!?
そんな腰抜けは、この俺が全員ぶち抜いてやる!
それと、軍の規律を乱すやつも許さん!
目標のエゼルバルド城はすぐそこだ!てめえら、死んだ仲間のカタキを取りたくねえのか!
オレは絶対に許さん・・・!全員皆殺しにする!
金玉のついている奴は全員俺についてこい!!!」
雄たけびを上げるガリア軍。

茂みの中で偵察する草薙。
草薙「・・・むしろ殺気が上がりやがった・・・どうすんだこれ・・・」

『ラストパーティ』脚本㉕

なおも書斎で歴史書を執筆している歴史学者ローワン・ウイリアム
「エゼルバルド城の戦いは1370年の8月18日に起こった。
この戦いは歴史上特筆すべき点がいくつかあった。
ひとつめに、一般的に長期化する篭城戦が短期間で終わったこと。
ふたつめに、戦争に徴兵された人員のほとんどに兵役経験がなかったこと。
みっつめ・・・そんな絶望的な状況で奇跡が起きたということ・・・」



エゼルバルド市民ホール
HEROCONの会場に集まっている元戦士たち。
ランスロット翁「ほう・・・たった7人で3000人の軍隊を倒す方法とな・・・」
シルビア「はい・・・」
ロビンフッド翁「それならひとつだ。ゲリラ戦じゃ。
このわしが最も得意とした戦術じゃ・・・」
ランスロット「騎士道精神がみじんもない卑怯な方法じゃが・・・確かにそれしかないじゃろう。
このロビンはシャーウッドの森で100倍以上の敵を撃破したからの。」
シルビア「お願いできますか?」
ロビン「ほっほっほ・・・血が騒ぐのう・・・」
ランスロット「やめておけ、おまえさんこの前心臓が止まって障害者手帳をもらったばかりじゃろう・・・」
ロビン「そうじゃったか?」
草薙「死ぬぞ、じいさん・・・」
シルビア「じゃ、じゃあ、このゴリラにゲリラ戦の秘訣を伝授してくれません??」
ロビン「ほう、人の言葉を操るゴリラにか・・・面白いのう。」
草薙「おい・・・」
シルビア「しっかりと教わるのよ。ゴリラ。」
草薙「ゴリラにゴリラと言うんじゃねえ・・・」
店からありったけの武器を運んでくるマスター
「これでうちの在庫は全てだ・・・」
シルビア「ありがとうございます・・・」
武器を手に取るランスロット「随分懐かしい武器もあるのお・・・」
マスター「じいさん・・・ポールアーム(薙刀)を扱えるのか?」
シルビア「町の男性に教えてくれませんか?」
ランスロット「いいの?」
シルビア「伝説の勇者に教われて嫌な人はいませんよ。」
薙刀を軽々と取り振り回すランスロット「・・・うむ、思ったよりも衰えてはおらんな・・・
握手会よりもこっちで金を稼げばよかったわい・・・」
両手剣を手に取るマスター「しばらく平和だったからな・・・」
ランスロット「なんじゃ、お前さん二刀流か。」
マスター「ずいぶん年は食ったが、これでも昔はツインソードのラムと呼ばれていた・・・」
ランスロット「知っとるぞ、シドニアとガリア帝国のモンスター狩りをしていた戦士じゃろ!」
シルビア「探せば結構すごい人がいるものね・・・」



エゼルバルド城の入場門
荷造りをして城から出ようとするゼリーマン
ペガサスを引くヨシヒコ「彼ら魔物を説得できるのは君だけだ・・・頼んだ。」
ゼリーマン「任せてください。」
その時、2人にかけてくるテスタメント「ちょっと待って・・・!!」
ゼリーマン「なんだ、葬儀屋の魔女じゃねえか。」
テスタメント「この子を連れてってよ・・・!」
すると、空から怪鳥が羽ばたいて地面に降りてくる。
ヨシヒコ「おい、あれって・・・」
ゼリーマン「・・・ハル?」
ひょこひょこ歩いて、ゼリーマンを抱きしめるハル。
ゼリーマン「ぐわあああ!この悪臭、間違いねえ!生きてやがったのか!」
ヨシヒコ(ぼくはハーブみたいでいい匂いだと思うけど・・・)
テスタメント「埋葬しようと思ったら、まだ生きてたのよ!
魔法で仮死状態にされてたみたい。
意識が戻ったら、あんたに会いたがってね。一緒についていきたいんだってさ。」
ゼリーマン「お前の姉貴はどっかの女神だったよな?」
頷くハル。
ペガサスに乗るゼリーマン「結局、魔物の血統は神々につながる・・・人間に対して卑屈になることはねえんだって、連中に伝えてきますよ。」
ヨシヒコ「頼んだ。」
ゼリーマン「いくぞ、相棒。」
飛び立つ、ペガサスとハル。
そこを横切る戦闘宇宙船クレイモアー。
空を見上げるヨシヒコ「住民の輸送も順調のようだ・・・」



城外に堀を作る黒神たち。
図面を広げるイエヤス。
黒神「ん~っふっふ・・・これがカタパルトの設計図ですか?」
イエヤス「そうだ・・・わしの会社は風俗だけじゃなくゼネコンもやっているからな・・・
ガリア軍も我社の製品を発注しているはず・・・」
作業員に激を飛ばすマサノブ
「ホンダ組、気合入れろよ!朝までには堀を完成させるんだ!!」
黒神「ん~っふっふ・・・時間がかかる堀は中止しましょう。
そんなもの作らなくてもカタパルトは無効化できます。」
イエヤス「なんだって?」
黒神「この車輪を脱輪できるような深さの溝だけ掘りましょう。
この一帯にできるだけたくさん・・・
一度車輪がはまったら、このシャフトの強度的に持ち直すのは不可能だ・・・」
イエヤス「溝に鉄の板を敷かれてしまいますぞ。」
黒神「落とし穴にするんです。」
イエヤス「なるほど・・・マサノブ!計画変更だ!」



城の外の森で、ローランドに銃の撃ち方を教わる街の男たち。
ローランド「落ち着け・・・一度外すとチャンスは二度と来ない。
ライフルは台尻を必ず肩に当てろ。さもなければ腕がへしおれるからな。
狙いは、ここと、ここ(照準)がぴたりとあった場所だ。」
ライフルを撃つ、街の男。
的が破壊される。
ローランド「筋がいいぞ・・・」
ヴィンツァー「すごい破壊力だ。僕が着ている甲冑はいずれ不要になりますね・・・」
ライフルを渡すローランド「あなたもやってみるか勇者。」
ヴィンツァー「昔・・・ローランドさんのような銃の名手が仲間にいましてね・・・
彼にこう言われたんです。
お前は下手すぎる。もう銃は撃つな、こうやって掴んで、棍棒のように振り回せって・・・」
ローランド「ははは・・・」
微笑むヴィンツァー。
ローランド「で、御仁の仲間たちは今は?」
ヴィンツァー「みんな亡くなりました・・・生き延びたのはぼくだけ・・・」
ローランド「それが戦争だ。仕方がない。」
ヴィンツァー「今度は・・・誰も死なせたくないんです・・・」
ローランド「君は武人なのに甘いな。」
ヴィンツァー「わかってるんです・・・そんなことは不可能だって・・・でも・・・」
ローランド「名前は忘れたが、ある男が酸素なしでエベレストを登頂し瀕死の状態で戻ってきた。
そんな男に不可能だと思わなかったのかと尋ねたら・・・その時はそれでいいと思ったそうだ。」
ライフルを抱えて歩いていくローランド。
ヴィンツァー「・・・・・・。」



オブライエンモンスター強制収容所
魔物「いたぞ!ぶち殺せ!!」
魔物たちに追いかけられて必死で逃げ出すゼリーマン。
壁に追い詰められて両手を上げるゼリーマン
「こっちは丸腰だぜ、少しは話を聞いたっていいだろ。」
サイクロプス「人間に寝返り、うちのカジノを崩壊させといてよくそんなこと言えるな・・・」
ゼリーマン「そこが俺のすごいところだと思わないか?」
ミノタウロス「黙れゾウリムシ・・・姐さんには見つけ次第殺せと命令されてるんだ・・・」
ゼリーマン「で、俺を殺して、こんなところで全員終身刑か?」
ミノタウロス「なんだと?」
ゼリーマン「教えてくれ・・・てめえらの人生ってなんだったんだ?
人間に住処を奪われ、人間を憎み、でも敵わなくて、きたねえ地下に押し込まれ、ケチな賭博をやってただけだろ・・・お前らが社会を何か一つでも良くしようと努力したことってあんのか?
そりゃあ、疎まれ嫌われるわけだぜ。
見た目が恐ろしくとも、所詮は人間様のやられ役だもんな!」
サイクロプス「こいつ・・・!兄弟、塩漬けにしちまいましょう・・・!」
ミノタウロス「待て・・・きさま・・・何が言いたい?」
ゼリーマン「俺はお前らとは違うってことだ・・・必死に人間の言葉を覚えたし・・・人間の社会に溶け込もうとした・・・」
サイクロプス「モンスターを裏切っただけだろ・・・!」
ゼリーマン「人間と敵対して俺たちモンスターに未来はあったのかよ!!
地下でただ現実逃避して遊んでたてめえらにはわかるまい・・・
俺が人間社会でどれほどの差別を受けてきたか・・・
だがな・・・人間だろうが魔物だろうが・・・いいやつだっているんだ・・・」

ゼリーマンの脳裏にヨシヒコやウィンロード、サキュバスのセレスの姿がよぎる。

魔物たちのあいだを近づいてくる女性「人間たちと手を組め・・・と?」
ミノタウルス「あ・・・姐さん・・・」
ゼリーマン「チョーカー・・・可愛いじゃねえか、メド・・・」
メド「まだ完全に首がくっついてなくてね・・・
で、人間に手を貸してわたしたちに何のメリットがあるのかしら?」
ゼリーマン「ここから出してやる・・・それだけじゃねえ・・・俺たちの住処を取り戻す。」
サイクロプス「姐さん!絶対にコイツの罠です・・・!!」
メド「・・・あたしたちがカタギになれると?」
ゼリーマン「お前ら次第だ・・・今、ブリジッドの人間どもは恐怖に怯えている・・・
ここで俺たちが加勢して連中を救えば、忌み嫌われていたおれたち魔物は・・・
神として崇められるだろう・・・」
サイクロプス「は~はは!バカを言うな!人間が俺たちを拝むわけがない!!」
メド「私の親は海の神なんだけど・・・」
サイクロプス「・・・え?」
メド「あなたの両親だって、ウラヌスとガイアでしょう?
(ミノタウロスに)あなたの親はミノス王よ・・・普通に人間だからね・・・」
ミノタウロス「じ・・・自分でも忘れてました・・・」
メド「あたしもよ・・・神の子なのに・・・どうして、こうなっちゃったのかな・・・」
ゼリーマン「お前らはいいよ・・・オレは普通にスライムだからな・・・」
メド「ゼリー・・・あたしたち・・・まだ間に合うと思う?」
ゼリーマン「あんたはもとから女神だろ。」
微笑むメド。

すると、メドの髪の毛が伸びる。美しいロングヘアーになるメド。
メド「離れて・・・あんたの手引きがなくてもね・・・
・・・こんなところは脱獄できるの・・・いつだってね。」
すると、強力な石化光線を分厚い壁に発射し、もろい岩石に変えてしまう。
それを長大なしっぽで殴り、粉々に粉砕してしまう。
外の光が差し込む。
メド「場所を教えなさい。エゼルバルド城を守るわ。」

『ラストパーティ』脚本㉔

平原の真ん中で発炎筒を振るスパルタン草薙。
垂直着陸の態勢に入るクレイモアー。
草薙「オーライオーライ・・・!」
目を細めて着陸してくる宇宙船を眺めるローランド
「こいつは1890年にマダガスカルで狩った巨鳥ジャブジャブよりも少しだけでかいな・・・」
草薙「シンドバッドの冒険かよ・・・」

平原に着陸するクレイモアー。
ハッチが開いて、ヨシヒコとゼリーマンが降りてくる。
草薙「窓はおふきしましょうか?」
ヨシヒコ「レギュラー満タンで頼む。」
ゼリーマン「灰皿もよろしくな・・・」
最後に降りてくるルナ「これは核反応で動くから、トリチウムがあればいいのよ。」
ローランド「おや、これはずいぶん美しい婦人だ・・・」
ルナ「ありがとう・・・あなたも素敵な紳士ですよ。」
帽子をとって挨拶をするローランド「ビッグゲームハンターのペルトという。」
義手で握手をするルナ「ルナ・マイヤースです。泉さんにはお世話になってます・・・」
草薙「人類最強の格闘家、スパルタン草薙だ。
女、あんたも泉の知り合いか。話は聞いているか?」
ルナ「だ・・・だいたいは・・・」
草薙「そういうことだ。
敵兵は俺たちが全て倒すから、女、お前は黙って俺たちを魔王城へ運べばいい。」
ルナ「わ・・・わかったわ・・・」
草薙「頼むぞ、女。」
ローランド「女性を女と言うんじゃない。小学生かお前は。」
ローランドには頭が上がらない草薙「す・・・すいません・・・」
ヨシヒコ「ヴィンツァーさんは?」
ローランド「ヴィンツァー殿は城内がパニックにならないように誘導している。」
ゼリーマン「あれから何日たった?」
腕時計を見るヨシヒコ「5日だ・・・明日には到着しておかしくない・・・」
空に目をやると、ゴロゴロ・・・と灰色の雷雲が迫っている。



エゼルバルド城内
広場に領民を集めて拡声器で状況を説明しているヴィンツァー。
「え~・・ということで、みなさんは落ち着いて普段の生活を続けてください・・・
ただし、指示が出るまで絶対に城の外には出ないこと・・・
安全な篭城戦のご協力をお願いします。」
イエヤス「ガリア軍が攻めてくるだと?」
マサノブ「心配いらないっすよ、ここには王立騎士団が駐留しているらしいっすから。」
テスタメント「おとなりの公爵夫人が言ってたけど、王立騎士団は私たちを見捨てて逃げたそうよ・・・確かにここ数日衛兵の姿を見ないわ・・・」
イエヤス「なんだって!?じゃあ、この城は誰が守るのかね!!」
ヴィンツァー「王立騎士団はいませんが・・・みなさんは私たちが守ります・・・」
イエヤス「私たちって・・・3人しかいないじゃないか!」
シルビアと黒神を見てヴィンツァー「そ・・・そうですけど・・・」
イエヤス「相手は何人いるんだ!」
ヴィンツァー「(超小声で何かを囁く)」
イエヤス「聞こえない!!」
ヴィンツァー「・・・人。」
イエヤス「はっきり言え!」
マサノブ「自民党かお前は!!」
ヴィンツァー「・・・3000人です・・・」

悲鳴が上がる広場。パニックが起こる。
テスタメント「早く城から逃げないと!!」
ヴィンツァー「落ち着いてください・・・落ち着いて・・・!」
領民に突き飛ばされるヴィンツァー。
テスタメント「今なら間に合うわ!みんなで逃げましょう!!あたしはあと100年は生きるのよ!」
すると、シルビアが腕を上げて、空気の振動を起こし、広場中央の巨大な鐘を鳴らす。
ゴーンという爆音がなる。

静まる広場。
シルビア「ご注目ありがとう。
みなさんが互いに助け合う美しい姿が見られて嬉しいわ、このくそったれ。
こちとら5日かけて命懸けで町を守る作戦を考えたんだ。
それなのにあんたたちは鶏のように怯えて、どいつもこいつも自分のことばっか・・・!
ここはあんたたちの町でしょう、なんで自分たちでなんとかしようと思わないのよ!!」
マサノブ「お前バカかよ・・・!3000人にかなうわけ無いだろ!」
シルビア「このヴィンツァー卿がもしあんたらみたいな根性なしだったら、この世界はとっくに終わってたわ。いい?人生にはやらなきゃいけない正念場があるのよ。
人に頼って文句ばっかり言ってないで今こそ戦うのよ!」
イエヤス「シスターが暴力をけしかけるのか・・・!冗談じゃない!
俺は強い奴からはいつも逃げ続けてきたんだ!いこう、マサノブ。」
マサノブ「うす!」
黒神「ん~っふっふ・・・こういうシチュエーションで逃げた人物がだいたい最初の犠牲者になるのはミステリーホラーの定石です・・・」
マサノブ「確かに・・・イエヤスさん、オレ後で行きますから、一人で逃げていいっすよ。」
イエヤス「マサノブ・・・!」
テスタメント「わかった・・・で、あたしたちに何をしろって言うのシスターさん・・・
私たちはただの一般市民よ・・・」
シルビア「私だって一般市民よ・・・」
テスタメント「いいえ、私はあなたを知ってるわ。伝説の聖女リネット・アシュレイの娘よ・・・
私たちモブキャラとはちがうわ・・・」
マサノブ「なんだよ特権階級かよ!
それなら、おれたち市井の民の気持ちがわかるわけがねぇ!」
大ブーイング。

シルビア「・・・リネット・アシュレイの娘・・・本当にそうならよかった・・・」
テスタメント「・・・え?」
ヴィンツァー「シルビア・・・」
シルビア「私はただのケルト族の娘よ・・・アルバレイク戦乱で私の両親は殺され・・・それを不憫に思ったリネットが娘として拾ってくれた・・・」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
シルビア「意地悪言ってごめんね、ヴィンツァー。ずっと前から知ってたんだ・・・
でも・・・あたしはあの人の本当の娘でいたかったし・・・
あなたをお父さんだと思いたかったんだ・・・」
目を潤ませるシルビア。
シルビアを優しく撫でて微笑むヴィンツァー「ぼくだって、ただの農民の息子だ。」
シルビア「この世界に生まれつきの勇者なんていない・・・
でも、勇気は誰にだってあるはずでしょう・・・?お願い、力を貸して・・・!」

シーンとする広場。

口を開くイエヤス「勇気を出せば誰でも勇者か・・・
ガラじゃないが・・・やってやるかマサノブ・・・」
マサノブ「うす、手を貸すぜシスター!」
テスタメント「あたし・・・昔は黒魔術師をやってたのよ・・・攻撃魔法なら今も使えるけど・・・?」
シルビア「みんな・・・(涙を拭う)みんなで勇者になろう!!」
歓声が上がる。
冷静に勘定をする黒神(ん~っふっふ・・・60人生き残ればいいほうですね・・・)
ヴィンツァー(大惨事だ・・・)



エゼルバルド城
ヨシヒコ「・・・え?領民を逃がさない?」
ゼリーマン「シルビアがみんなを焚きつけちまったそうです・・・」
ヨシヒコ「まあ、どのみち味方を探し出すのに時間がかかりすぎた・・・
いまさら逃がしてもハイランドまでは逃げきれないか・・・」

作戦会議室に入るヨシヒコとゼリーマン。
机に地図を広げるゼリーマン
「これが地形図だ・・・」
机に集まってくるほかの世界の英雄たち。
ゼリーマン「敵の兵は3000・・・カタパルトなどの攻城兵器を持っている。
兵士の士気は高く、百戦錬磨の将軍は油断しない。
そして、こいつらは負けた敵には容赦しねえ。
例外なく皆殺しにする。」
ヴィンツァー「一方、こちらの戦力は、ぼくとシルビア、格闘家のスパルタンさん、ハンターのローランド氏、パイロットのマイヤースさん、名探偵の黒神警部・・・」
黒神「正しくは元警部補です。」
ヴィンツァー「失礼・・・黒神元警部補の6人・・・」
ゼリーマン「おい小僧、俺は戦力じゃねえのか。」
シルビア「あんた戦えるの?」
ゼリーマン「そこの勇者を最初に倒した魔物はこの俺だ・・・」
ヴィンツァー「じゃあ、ゼリーマンを入れた7人・・・それと2000人の民間人・・・」
シルビア「人数的にはいけそうじゃない?」
ゼリーマン「いけねーよ。お前がこの短時間で2000人の勇者を育てるのか?」
ヨシヒコ「だが・・・民間人の中を探せば戦える者もいるんじゃないか?」
シルビア「じゃあ、あたし探してきます。」
草薙「必要ねえよ。この俺が全員ぶん殴ってやる。」
ルナ「敵兵士の装備は・・・?」
ヴィンツァー「剣兵と槍兵、弓兵がそれぞれ1000人・・・」
首を振るルナ「スパルタンさん、素手では絶対無理です・・・」
草薙「凶器とは卑怯だぜ・・・男は己の拳で殴り合っての・・・」
ライフルを向けるローランド「ブチ抜かれたくないなら、お前は少しは黙ってろ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、ぼくお腹すいたよ・・・なにか甘いものない?」
ヴィンツァー「え・・・」
まとまりのない戦士たち。

ゼリーマン「・・・旦那。提案があります。誰かがリーダーにならないと統制が取れん。」
ヨシヒコ「そうだな・・・」
ゼリーマン「旦那がまとめちゃくれませんかね?」
ヨシヒコ「ぼくが?」
ゼリーマン「この場のほとんどと知り合いなのは旦那だけだ・・・」
ヴィンツァー「それはいいアイディアだと思います。」
ヨシヒコ「ここは伝説の勇者であるアナタが・・・」
ヴィンツァー「ぼくは、ニャルラト・カーン戦でほとんどの仲間を死なせてしまった・・・
もともと人の上に立つのは向いてないんです・・・」
ヨシヒコ「そんなことないでしょう・・・」
ヴィンツァー「ここだけの話・・・ぼくは震えが止まらないんだ・・・」
ヨシヒコ「・・・え?」
ヴィンツァー「この人たちを見ていると・・・昔のパーティを思い出してしまって・・・
小さい頃からずっと僕を励ましてくれた幼馴染のリネット・・・
優しく気品があり、いつも献身的だったセレス・・・
短気だったけど、絶対に仲間を見捨てなかったヴォルスング・・・
寡黙だけど親切で、正確無比の狙撃手だったジークフリート卿・・・
誰よりも頭脳明晰で、邪神攻略の手がかりを見つけたヘルシング博士・・・
・・・もう誰も死なせたくない・・・
ヨシヒコさんなら、きっと冷静な判断ができる。」
ヨシヒコ「まいったな・・・」

すると、喧嘩をはじめる戦士たち。
シルビア「いいかげんに目を覚ましなさいよスパルタン!
戦国無双みたいなことは株式会社コーエイでしか起きないの!」
草薙「てめえ、誰がバンダースナッチから助けたと思ってやがる・・・!」
シルビア「ローランドさんよ!」
ローランド「そうだな・・・」
草薙「てめえ、シルビア・・・あのときションベン漏らしてたくせに・・・」
ルナ「もう、スパルタンさん!女性にそういうことを言うのはいけないですよ!」
シルビア「そーだそーだ!モラハラ!セクハラ!パワハラ!
あんた今すぐ、ハラスメント草薙に改名しなさい!」
草薙「てめえら・・・だから女どもと戦うのは嫌なんだ!もう俺は帰らせてもらうぜ!」
ルナ「ちょっと待ってください、力を合わせないと・・・!」
酒瓶を開けるローランド「あのバカはほうっておけ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、バームクーヘンとかない~?」
ヴィンツァー「そんなの中世の騎士は携帯してないですよ・・・!」

机をどんと叩くヨシヒコ
「いいかげんにしなさい!!
ぼくらの行動で2000人の民間人の生死がかかってるんだぞ!!」

静まる一同。

ヨシヒコ「・・・シスターシルビア、君は城下町に行って戦えそうな民間人を集めてくるんだ。
モンスターハンターのギルドには、まだ戦士がいるはずだろう。
HEROCON会場のお年寄りの元勇者だって、その経験は役に立つ。
なんでもいいからできるだけ集めてきなさい。」
シルビア「あ・・・はい!」

ヨシヒコ「ゼリーマン、君は城から出て、この付近の知り合いのモンスターを全て連れてくるんだ。ガリア軍の進撃は君たちモンスターにとっても脅威だろう?
もう、人間だ、モンスターだ言っている場合じゃない。力を合わせるんだ。」
ゼリーマン「任せてくれ旦那・・・」

ヨシヒコ「黒神警部補・・・あなたは知恵が回る・・・町の職人集団とともに城の周辺にブービートラップを仕掛けてください。特に、カタパルトの射程を計算してその射程範囲に敵が近づけないようにして欲しい・・・」
黒神「ん~っふっふ・・・いいでしょう・・・」

ヨシヒコ「マイヤース。」
ルナ「はい!」
ヨシヒコ「君は、領内のけが人や病人、妊婦、子どもをクレイモアーに乗せて、安全なハイランドの街に送ってくれ。ピストン輸送だ。できるか?」
ルナ「わかりました!」

ヨシヒコ「ローランド、あなたは街の屈強な男に銃の撃ち方を教えてあげてください。
もともとこの時代は戦争が起これば農民だって兵士になる・・・
血の気が多い男は多いはずだ。」
ローランド「心得た。」

スパルタン「泉よ、俺は何をすればいいんだ??」
ヨシヒコ「すぐにでも敵を殴りに行きたいんだろう?
偵察がてら、お前は敵の野営地を襲って来い。戦が始まる前に少しでも敵の戦力を削ぐんだ。
カタパルトを燃やしてきたらファインプレーだ、吉田沙保里さんに会わせてやる・・・」
スパルタン「おっしゃあ!!」

感動して拍手をするヴィンツァー
「・・・あなたがいたら・・・(涙をにじませる)ぼくの仲間はきっと死ななかった・・・」
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