『恐竜大陸サウラシア』脚本⑧

オーテリーブに行商がやって来る

リズリー「フィリップ、あれはなに??」
フィリップ「お~ごくろー」
バッカー「言われた通りありったけ持ってきたよ」
リズリー「・・・この人はなんなの・・・?」
フィリップ「古い友人でな。舞台の小道具とか特殊効果をやってたんだよ」
バッカー「今は恐竜用の便利な道具を売ってます」
ガラクタのような商品を手にしてかぶりを振るリズリー「どれもとても役に立ちそうには・・・」
バッカー「ダメダメ、あなた全然客の心わかってない。これなんていいよ」
フィリップ「それよりもやっぱこれだろ。気に入った。」
「さすが兄貴!これはあの恐竜の王Tレックスの鳴き声が出るスピーカーだ!これ
さえあればたいていの恐竜は逃げてくぜ!」
スピーカーのハンドルを回るフィリップ。鳴き声がなる。
リズリー「・・・こんな鳴き声だった??」
フィリップ「うんこしてるみたいだな」
それに呼応して周りで恐竜が鳴く。
馬車の周りに草食竜が集まってくる。
フィリップ「おい全然逃げないぞ。」
バッカー「求愛コールだったかな」

リズリー「で、なにするつもり?」
フィリップ「カーネギーからアニーさんの財産を取り戻す」
リズリー「了解。」



第五鉱区。
カーネギー財団が大規模に採掘を開始している。
ダイナマイトで荒々しく岩盤を爆破する。

岩陰に隠れてその様子を見るフィリップ、リズリー
フィリップ「あいつら実力行使か。勝手に採掘しやがって・・・」
リズリー「ティラノサウルスがいなくなったからね・・・」

第五鉱区を回り込んで獣道の方へ向かう
フィリップ「いいか向こうに秘密の抜け穴があるんだ」
リズリー「なんで知ってるの?」
フィリップ「ティラ坊に教えてもらったんだ。いくぞ」



カーネギーのオフィス
カーネギーとともに椅子に座るアニーのそばに護衛のコープが立っている。
カーネギー「これはこれはブラウン夫人。ご機嫌いかがですか?オーテリーブの労働者はよく働いてくれて素晴らしい。彼らには給料を払わなきゃ・・・」
アニー「すぐに採掘をやめてください・・・!あそこは恐竜たちにとって神聖な場所です・・・あなたは知りませんがあそこには金塊どころか・・・」
カーネギー「ミリアタイト。」
アニー「え?」
ミリアタイトのかけらを取り出す
カーネギー「ウランの三倍もの比重を持つ新種の鉱物。」
アニー「はなからその鉱物が目的だったんですね・・・」
カーネギー「あなたはこの鉱物の本当の価値を知らない。」

カーネギー「なぜこの大陸に本来は化石で見つかる太古の生き物が生息しているか、その理由を教えてしんぜよう。
この鉱物はもともと地球上に存在しないものです。おそらく世界中に恐竜が存在していた遙か昔、この大陸に衝突した巨大隕石が運んできたのでしょう。
この鉱物には時間と空間を歪ませる性質があってね、つまりあのミリアタイト鉱床は現代と太古の世界をつなぐ門のような役割をしていると考えられる。」
アニー「ミリアタイトを採掘して何を企んでいるんです!?」
カーネギー「ドン見せてやりなさい。」
透明の弾丸を銃に装填するマーシュ。壁が動きアロサウルスの入った頑丈な檻が出てくる。
アニー「この弾丸は・・・」
檻の中のアロサウルスに向けて銃を撃つ。
光を放って消えるアロサウルス

カーネギー「ミリアタイトの結晶で作ったこの銃弾は、異なる時間軸からやってきた恐竜どもをもとの時代に強制的に送り返す性質があるのです。」
アニー「そんな・・・」
カーネギー「これで誰でも安全に恐竜狩りが楽しめるってわけです。子供だってティラノサウルスが狩れる・・・!」
コープ「・・・・・・。」
カーネギー「恐竜大陸サウラシアは危険な無法地帯ではなくなった・・・!世界中の誰もがビッグゲームハンティングを楽しめるテーマパークになったのです!」
アニー「恐竜はあなた型のおもちゃじゃない・・・!この大陸を太古から支配していた野生動物ですよ・・・!」
マーシュ「あんただんだん旦那に似てきたな・・・」
カーネギー「面白いのはこれからです。ドン・マーシュ、アロサウルスの薬莢を」
「おう」
檻の中に入って薬莢を拾いに行くマーシュ
薬莢の入ったケースを取り出す「ディノトランス弾の薬莢は特殊でしてね。送り返した恐竜の種類を記憶しているんです。
これはステゴサウルス、これはディプロドクス、そして・・・ティラノサウルス。ドンマーシュの協力で地獄谷に生息するほとんどの恐竜が捕獲できました」
銃を握るカーネギー
「ではその薬莢を割るとどうなるか・・・」
檻が締まり、檻の中の薬莢を銃で撃つカーネギー
マーシュ「!どういうつもりだ!!」
薬莢が割れてアロサウルスが戻ってくる
「!!」
カーネギー「恐竜を再び呼び出すことができる・・・」
マーシュ「出してくれ!」
アニー「なんてことを!」
カーネギー「もはやプロのハンター等必要ないのですよ。ごくろうさまでした。」
コープ「檻を開けろ!」
マーシュ「裏切ったなジジイ~~~!!!」
アロサウルスに食べられるマーシュ「ぎゃああああ」
カーネギー「さんざん恐竜を殺してきたんです。当然の報いですよ・・・なんならあなたも餌になりますか?
西部一の恐竜ハンター・・・ラム・コープ」



第五鉱区の坑道。
ミリアタイトがトロッコに乗って運ばれていく
フィリップ「よしこれに乗っていこう。この石が奴らの目的ならボスのところに運ばれるはずだ」
「そうね」

ホーナー「それはいらねえ土砂だぜ。カーネギーのところに行きたかったらそっちのトロッコに乗りな」
フィリップ「あんたは・・・」
ホーナー「今度は何をするつもりだ・・・?」
フィリップ「アニーさんを助けに行く」
ホーナー「あの女はもう破産したんだぞ。助けて何の意味がある?」
フィリップ「約束したのさ・・・命にかけても守るってな!はあっ!」
さっそうとトロッコに乗り込むフィリップ
ホーナー「だからそのトロッコじゃないって!!!」



マーシュの手下「てめえはそこに入ってろ!」
恐竜の檻に入れられるコープ
つかまっている牢屋の外にも洞窟を利用した檻が並び、まるで恐竜の刑務所のようになっている。
コープ「ここは・・・」
檻の奥で不気味に光る肉食竜の目
「俺も餌か・・・!」



トロッコに乗ってミリアタイトと共に運ばれていく一行。
線路が複雑に絡み合い、ミリアタイトをふるい分けている
フィリップ「すげえな。ビッグサンダーマウンテン作ってら」
線路の下を指差すリズリー「フィリップあれ・・・!」
闘技場が建造されている。
フィリップ「アメリカンフットボールもあんのか」
リズリー「もしかして恐竜同士を戦わせるんじゃない?」

リズリー「みて!あそこの檻にコープさんが!」
フィリップ「本当だ。あいつなにやってんだろ」
リズリー「捕まっちゃったのよ!助けないと!!」

ポイントを切り替え恐竜の檻の前に止まるトロッコ。
リズリー「コープさん・・・!」
フィリップ「鍵はどこだ!?」
コープ「来るな!檻の中に肉食竜がいる!」
リズリー「なら早く開けないと!」
コープ「私はいい!開けたらみんなやられるぞ!!」
フィリップ「いいから黙って待ってな!ヒーハー!」
ムチで扉を叩くフィリップ
フィリップ「・・・鍵を探さなきゃ・・」
リズリー「どいて」
ごつい銃で檻の蝶番を吹き飛ばす
フィリップ「やるな」
リズリー「だからこっちにすればよかったのに。」

檻の奥から肉食竜が出てくる
コープ「みんな下がるんだ・・・!」
リズリー「逃げて!」
ムチを構えるフィリップ「俺に任せろ!」

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑦

アニーの屋敷。
寝室のベッドで横になるリズリ―。
フィリップが心配でなかなか寝付けない。
リズリ―「あいつ・・・どうしたんだろう・・・」
屋敷が揺れる。
リズリ―「地震…?」
アニー「静かに・・・」
リズリ―「アニーさん・・・?いつの間にここに・・・」
リズリ―のベッドのわきで屈むアニーは黙って窓を指さす。
窓のカーテンにはティラノサウルスの巨大な頭部のシルエットが映っている。
リズリー「・・・ティラノサウルス・・・なんでここに・・・」
アニー「わかりません・・・しかし確かなのは・・・あなたを探してる・・・」
リズリ―「な、なんで私を狙って・・・!」
アニー「音を立てずにそうっと屈んでついてきて・・・一階にライフルがある。」
窓の外で頭を振るティラノサウルス。しかし意を決したように窓を突き破って室内に頭を突っ込んでくる。悲鳴をあげるリズリ―。
リズリ―を見つけるティラノサウルス。唸り声をあげて短剣のような牙をつきだしてくる。
リズリ―にかみつく刹那アニーがベッドを持ち上げティラノサウルスの攻撃を防ぐ盾にする。
しかしティラノサウルスはベッドごとアニーを壁に叩きつける。
リズリ―「アニーさん!」
アニー「私に構わず逃げなさい!」
部屋から廊下に出るリズリ―。
ティラノサウルスは部屋から頭を引っ込め、廊下の窓を突き破り廊下を走るリズリ―に追いすがってくる。
恐竜の攻撃を何とか身のこなしの良さでかわしながら逃げるリズリ―。
彼女の背後で次々に窓ごと吹っ飛ぶ壁。
リズリ―「なんでわたしが・・・!」
一階のエントランスにつながる螺旋階段を降りようとした時、ティラノサウルスが背後のステンドグラスをぶち割り、その衝撃で一階のエントランスに吹っ飛ぶリズリ―。
割れたステンドグラスから怒り狂ったティラノサウルスが屋敷の中に入ってくる。
床に勢いよく叩きつけられなかなか立ち上がれないリズリ―。エントランスで向かい合うリズリ―とティラノ。
リズリ―「もうだめだ・・・」
フィリップ「リズリ―!」

その瞬間反対側のステンドガラスが割れてトリケラトプスがエントランスに突っ込んでくる。
トリケラトプスにまたがるフィリップ「正義の猛獣使いフィリップ・バックランド只今参上!」
リズリ―「ふぃ、フィリップ・・・!?」
フィリップ「やいティラノザウルス!お前の相手はこっちだ!」
怒りが全く収まらないティラノサウルス。リズリ―を噛み殺そうと突っ込んでくる。
リズリ―「きゃああああ!」
フィリップ「やむおえねえ突撃!」
果敢に吠えながらティラノサウルスに体当たりし攻撃を食い止めるトリケラトプス。
しばらくティラノサウルスと互角の攻防を繰り広げるが、ティラノサウルスが頭突きでトリケラトプスをふっとばし、フィリップは床に落ちる。逃げていくトリケラトプス。
リズリ―「フィリップ!」
トリケラトプスを蹴散らしたティラノサウルスがなおもリズリ―に襲い掛かる。
しかしフィリップが飛び出してリズリ―をティラノサウルスの牙から救う。
リズリ―「フィリップ!し、しっかり!」
フィリップ「や、やっぱ、俺に美女を守る英雄は似合わないか。」
リズリ―「・・・・・・!」
傷を負ったフィリップの下にティラノサウルスの子供が駆け寄ってくる。
フィリップ「よお、チビすけ・・・」
子どもの姿を見たとたんティラノサウルスの動きが止まる。

街の住人が武器を持って集まってくる「殺せ~!!」
ティラノサウルスの前で腕を広げるフィリップ「待て!待ってくれ!こいつは子供想いな良いやつだ。ただちょっとでかくて家を壊しちゃっただけなんだよ。」
フィリップの背後のティラノサウルスの口から人間の足が落ちてくる。
フィリップ「い、いや二、三人食べちゃったかもしれないけど・・・でもそれはお前らが襲い掛かったからだろ!」
村人「何言ってるんだ!あんた恐竜ハンターじゃないのか!」
村人「こいつを倒せば金が手に入るんだぞ!!」
村人「あんたどっちの味方だ!?」
フィリップ「こ・・・こいつを殺してなんになるんだよ!」

労働者に責められるフィリップを見て夫の姿とかぶるアニー。
ホーナー「あんたはどうなんだ?ブラウン夫人。旦那の敵を取りたくはないのか」
アニー「わ・・・わたくしは・・・」
リズリー「アニーさん・・・」
しばらく考えながらフィリップの方につくアニー。

労働者「恐竜の味方をしたいなら勝手にしろ!お前から殺してやる!」
銃を向けられるアニー
フィリップ「や・・・やめろ!!」
住人のライフルが銃に撃たれて吹き飛ぶ「!」

煙を上げるコープのピストル「やめろ・・・」
労働者「あんたまで・・・」
ティラノサウルスに顎をやるコープ「これ以上アイツを怒らせるな、返り討ちじゃすまないぞ。」
屋敷から出て引き返していくティラノサウルス。
労働者「本当に帰っていった・・・」



野外。街を歩き帰っていくティラノサウルス。
突如街がまばゆいライトで照らされる。
警戒するティラノサウルス
ティラノサウルスの前にマーシュの一味が立ちふさがっている。
引き返すティラノサウルスにディノトランス弾を撃ち込む
マーシュ「いただきだ」
コープ「マーシュ!!」
薬莢の中に消えていく親ティラノサウルス。
薬莢をひろうマーシュ「あのティラノサウルスもあっけないもんだぜ」
親が消えて泣き喚く子供
ハンター「ボスこいつはどうします?」
マーシュ「貴重なトランス弾を使うまでもねえ。ネットで捕獲しろ。」
マーシュ「カーネギーに連絡しとけ。これでティラノサウルスのメスと子供が手に入った。あとは父親だ。」
コープ「なるほど、その銃弾にはそんな効果があるんだな・・・」
マーシュ「いっただろ?この新兵器さえあればどんな恐竜も敵じゃねえ・・・
てめえらがティラノサウルスを誘導してくれたおかげで仕事が楽になったぜ。残念だったな恐竜ハンター・・・」
あかんぼティラノを荒々しく捕獲するマーシュの手下たち。足から取れるスカーフ。
フィリップ「なにしやがる!あいつは怪我してんだ!」
フィリップを殴るマーシュ「うるせえ!」
リズリー「フィリップ!」
マーシュ「いいかヒーロー気取りも大概にしろ小僧。てめえはオンボロサーカスでムチでも振ってりゃいいんだ」
住民「え・・・?サーカス・・・?こいつハンターじゃないのか・・・?」
ざわざわ
マーシュ「カーネギーはショウビズ界に革命を起こそうとしている。この前格安で買収した貧乏サーカスに俳優崩れの猛獣使いがいたんだとさ、名前はフィリップ・バックランド!
それも猛獣ショーとは名ばかりのヤラセだってよ!」
村人「ほ、本当かよ・・・俺たちを騙してたのかよ・・・」
アニー「ち、違うんです彼は私が・・・」
フィリップ「アニーさん・・・
そうだ。お前らを騙してたんだ。悪かったよ・・・」
村人「この詐欺師!お前のせいで街は・・・!」
ホーナー「もうやめろ!」
村人「ホーナーさん・・・」
ホーナー「終わったんだ・・・すべて・・・・」
アニーの方を向くホーナー「・・・ブラウン夫人・・・残念だ」
街から出て行く労働者。
アニー「・・・・・・。」



夜明け
墓地で夫の墓に花を手向けるアニー
コープ「街の労働者たちのほとんどはカーネギーに引き抜かれた。」
アニー「ごめんなさいあなた・・・屋敷も街も全て失ってしまった・・・」
コープ「いやひとつだけ残っている。第五鉱区だ・・・あそこだけは守らなきゃいけない、だろう?」
アニー「・・・・・・。」
コープ「つきあうぜ」



昨晩騒ぎがあった街の中心部
ティラノサウルスの子供が付けていた破れたスカーフをひろうフィリップ「・・・・・・・。」
隣に座るリズリー
「助けてくれてありがとう。」
フィリップ「ごめんな、お前のお守りあいつのケガを治すのに使っちまった・・・」
首を振る。
リズリー「ううん。で、どうするの?」
フィリップ「どうにもならねえよ・・・俺は恐竜ハンターなんかじゃない。」
リズリー「それでいいじゃない。」
フィリップ「え?」
リズリー「恐竜ハンターじゃなくてもあなたは十分私のスターだよ。
ファン第一号が言うんだ、信じてよ、ね?」
テンガロンハットをかぶせる。

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑥

アニー「くれぐれも気をつけて・・・」
フィリップ「いってきます。」
アニー「フィリップ・・・酒場で私をかばってくれてありがとう・・・嬉しかった」
抱きしめる
フィリップ「・・・いくぜえ!」



バリケードを抜けて村の外へ出る。
フィリップはトリケラトプス、コープはユタラプトルにまたがる。
ティラノサウルスの足跡をたどる二人。
コープ「・・・第五鉱区の方へ向かってる・・・怖いか?」
フィリップ「そんな感情とうに忘れたぜ・・・」
茂みがゆれる
フィリップ「きゃああああああ!!」
コープ「静かに・・・気をつけろ・・・」
フィリップ「ティラノ?」
コープ「わからん」
茂みの中へ飛び出すフィリップ「よっしゃあ!とっ捕まえたる~!」
コープ「バカ野郎!」
フィリップ「ヒ~ハ・・・・」

茂みの奥が崖で転がり落ちるフィリップ「ああああああ!」
コープ「おい!」

フィリップ「あたたた・・・ハッ殺気!」
崖の下には巨大な塚が掘ってあり、その中心に、ふわふわの毛で覆われたぬいぐるみのような小さな恐竜が座っている。
フィリップ「あ・・・あれ?こ、このチビころが・・・ティラノザウルス~!!??なんじゃそりゃ~!
世界三大がっかりやんけ!!こんなん中学生でも勝てるで~!おらおら観念せんかい!」
フィリップにすり寄ってくるティラノサウルス「クピ~」
フィリップ「な、なんじゃお前・・・なんか可愛いやんけ・・・はっ、もしやこれがこいつの戦法か!
さては、ぶりっこして相手を油断させてかみつく気だな!死ねや~!」
銃を向けるフィリップ。ティラノの目が潤む。
ティラノ「クピピ~・・・」
フィリップ「・・・・・・。ちくしょ~!!俺には撃てね~!!!!
あんなに恐竜を憎んだ俺を骨抜きにするとは・・・確かにこいつの可愛さは最強だ~!!!」
ライフルを地面に叩きつける。哀しく泣き続けるティラノ。
フィリップ「おいおい、そんな悲しい顔するなよ~・・・ん?お、お前怪我してるじゃねえか。」
見るとティラノサウルスの脚から血が出ている。
フィリップ「それでお前立てないんだな。待ってろ。今手当てしてやるからな。ええと添え木と…」
近くに落ちている枝をとるフィリップ「あとは、包帯だな・・・なんかねえか・・・。あ。」
お守りのスカーフに気付くフィリップ。
「あいつには悪いけどこいつを使うか。」
スカーフを広げるフィリップ。スカーフには見覚えのあるサインが書いてある。
フィリップ「なんだこりゃ、ガキみてえな下手な字だな・・・あ・・・」
スカーフに書かれたサインを思い出すフィリップ。

幼少時代のフィリップ「いいかリズリ―。俺は大人になったら絶対スターになってやるからな。」
幼少時代のリズリ―「すごいすごい!ええと・・・じゃあこれにサインちょうだい!」
スカーフを差し出すリズリ―。
スカーフにサインを書くフィリップ「なはは・・・これはプレミアがつくぜ~!」
リズリ―「ありがとう!絶対大切にするね!」


フィリップ「あいつ・・・こんなもん、ずっと持っていてくれてたのか・・・(じ~ん)」
哀れな声を出すティラノ「クピ~・・・」
フィリップ「でもいいや、使っちゃえ。」
お守りのスカーフを引き裂いて包帯に使ってしまうフィリップ。
フィリップ「よっしゃ、治療完了。」
フィリップにすっかりなつくティラノ。

ロープで降りてくるコープ「なにやってるんだお前は・・・」
フィリップ「ティラノ飼い慣らしてやったぜえ?」
コープ「・・・それは別の恐竜だ・・・大きさが違うだろ・・・それよりここは・・・?」
フィリップ「さあ。」

鳴く子ティラノ
フィリップ「付いてこいって」
コープ「いやまて武器を置いてきた・・・」
フィリップ「怖いのか?」
コープ「何を言いやがる・・・」



オーテリーブのアニーの屋敷。
リズリ―「アニーさん・・・フィリップがまだ帰ってこないんですけど・・・」
アニー「大丈夫。心配いりませんよ。彼は最高のハンターですから」
リズリ―「・・・。あの・・・アニーさん・・・実はフィリップのショーって・・・」
アニー「・・・あの恐竜は人は襲わないのでしょう?」
リズリー「知ってたんですね・・・それなのになんで、こんな危険なことを・・・!」
アニー「私はあの人の真っ直ぐな心に魅せられたんです」」
リズリー「向こう見ずでバカなだけですよ・・・」
「あなたも彼のそんなところが好きなんじゃないんですか?」
「え・・・」
アニー「・・・私の夫もそんな人だった・・・」
リズリー「・・・・・・。」

アニー「また今日も保安官にかけ合うのですか?」
バーナム「ああ・・・手遅れになる前に狩りを取り締まってもらう。
これ以上人間が草食恐竜をむやみに殺し続けたらどうなると思う?アニー。」
アニー「列車も止まらなくなるし・・・生活がずっと快適になると思います。」
バーナム「違うな。草食恐竜が減れば、それを餌にする肉食恐竜は飢えに苦しみ、餌を求めて俺たち人間の街を狙うだろう。
ハンターはなぜそれが分からないんだ。必ず自然は帳尻を合わせるものだ。
それを分からせなくてはならない。いってくるよ。」


アニー「あの人は守ろうとした恐竜に殺されたのよ・・・ほんとバカみたいでしょう?」
首を振るリズリ―。
「一体、アニーさんたちは第五鉱区で何を見たんですか・・・?」
「・・・・・・奇跡ですよ」



フィリップとコープは暗いトンネルを入っていく。
フィリップ「ずいぶん古い坑道だな。」
コープ「閉鎖して何年もたったみたいだ・・・第五鉱区の地下にこんな場所があったのか・・・」
フィリップ「おい、みろよ。」
鉱石を拾い上げる。
コープ「とんでもなく重い・・・。見たこともない鉱物だ・・・ここは一体・・・」

月明かりでトンネルが照らされる。
巨大なミリアタイトの鉱床が広がっていることがわかる。
「すげえ・・・」
光りだすミリアタイト
光の中から翼竜が飛んでくる。
「!なんだ!!?」
コープ「見ろ・・・!恐竜だ!」
フィリップ「なんだここ?恐竜が湧いて出る洞窟か?」
コープ「もしかして・・・この石なんじゃないか・・・?この石の力で恐竜共が地獄谷へ・・・」
フィリップ「光ると恐竜になる石?お前結構頭悪いな。」
コープ「じゃああれをどう説明する!?」

ミリアタイトから出てきた恐竜を捕まえるティラノサウルス
「!!」
コープ「隠れろ!!」

体長12メートルのティラノサウルスの親がつがいで戻ってくる。
子ティラノが親の方へかけていく。

フィリップ「やめろ!食われちゃうぞ」
コープ「いや、あいつ・・・もしかして親子なのか?」
フィリップ「あの親子は全然似てないな」
「ここがティラノサウルスの巣だったのか・・・一旦引き上げだ・・・」

親ティラノサウルスが犬の何倍も利く鼻で子供のにおいをかぐ。
巣に変わったにおいが漂っている事に気付く。鼻づらを引き裂かれたリズリ―のスカーフに近づける。
人間の匂いを確認し、怒号をあげる。

「まずい気づかれた!」
ティラノサウルスが突進してくる。付近の壁が崩れ閉じ込められる二人。
坑道が邪魔で顎が届かないティラノサウルス。
コープ「何か武器は!?」
フィリップ「ええと・・・ピストルがある」
コープ「撃て!」
フィリップ「でもあいつ子供守っているだけだぜ・・・!」
コープ「こっちは自分の命守ってるんだ!!」
岩を破壊して接近するティラノ。
坑道を逃げ出す二人。
コープ「これに乗れ!」
トロッコに乗り込む二人
コープ「よし出せ!」
トロッコのレバーを二人共押している。
コープ「馬鹿同時に押してどうするんだ!交互にやるんだよ!」
下りに入ってトロッコが加速する
ものすごいスピードで追ってくるティラノサウルス。
線路が二手に分かれている
コープ「おい右のルート線路がないぞ!」
フィリップ「大丈夫だって、ポイントは左になってるから」

ティラノサウルスが石柱を破壊する。
分かれ道の上から石が落ちてきて偶然ポイントが切り替わる。
フィリップ「やばいよ?」
コープ「ブレーキだ!」
車輪から火花が散る。
レバーがぽきりと取れる「あ、折れた!」

ティラノサウルスと線路をはさんで反対側でコープのユタラプトルが並走している。
コープ「おいお前は飛び降りてあいつに乗れ!」
フィリップ「あんたは!?」
「その銃を俺にかせ!俺がやつの気を引く!その隙にお前は逃げろ!」
「いや、その格好良い役は俺だろ!」
「うるせえ!いいから貸せ!」

二人ともトロッコごと線路から落っこちる。
地面に叩きつけられる二人。
フィリップ「コープ!」
コープ「足が・・・」
地面に転がるピストル。
コープの方へ突進してくるティラノサウルス。

コープに襲い掛かる直前ピストルを取りティラノを撃つフィリップ。

発光。

消えるティラノサウルス。
コープ「こ・・・これは・・・!」
薬莢をつまむフィリップ。薬莢の中にはティラノサウルスが入っている「バッカーすごい弾じゃねえか・・・」



肩を貸して廃坑から出る二人。
もう一頭のティラノサウルスが廃鉱を離れオーテリーブに向かっていく。
コープ「大変だもう一頭のティラノサウルスが巣を離れた!オーテリーブに向かってる!
はやく街の連中に知らせないと、皆殺しにされるぞ!」
薬莢をポケットに入れるフィリップ「あんたは・・・!」
「俺のことはいい!街を救え!!」
トリケラトプスにまたがるフィリップ「・・・ヒーハー!!」

『恐竜大陸サウラシア』脚本⑤

カーネギー財団の採掘基地。
環境破壊など構わず巨大なジャイアントを使って水圧で鉱山を削り取っていく。
立ち枯れしていく森。

ジョン・カーネギーのオフィス。
カーネギー「ブラウン夫人が凄腕のハンターを?」
マーシュ「ああ・・・不気味な野郎だ・・・」
カーネギー「ブラウン夫人もおとなしく金鉱を売り払えばいいものを・・・」
マーシュ「アニーのやろう労働者の給料をシャープトゥースの懸賞金で払うつもりだぜ。」
カーネギー「ティラノサウルス・・・」
マーシュ「おう」
カーネギー「それは困る。ティラノサウルスは我々のコレクションにどうしても欲しい。」
マーシュ「わかってるさ。だがなかなか巣が見つからなくてな」

隣の博物館のようなホールに行くカーネギー。
「ヘルクリークの恐竜は現在確認されているだけでも84種・・・うち67種は捕獲済み・・・」
透明の薬莢をつまむカーネギー。
マーシュ「ああ、あんたの新兵器のお陰だ」
カーネギー「懸賞金の二倍だそう。ティラノサウルスを捕まえてほしい。やつは我々のショーの目玉になる。」
地質図を見るカーネギー
マーシュ「新しい弾丸がいるな・・・」



夜。オーテリーブのフェンスに備え付けられた見張り台。
コープ「・・・・・・」
見張り台に登ってくるリズリー「いいですか?」
コープ「きみか。」毛布をかけてやる
リズリー「あの時アロサウルスを追い払ったのって・・・あなただったんですね」
コープ「なぜわかる?」
リズリー「フィリップのあんな構えじゃいくら撃っても急所は当たりませんよ」
コープ「そうかな・・・アロサウルスに急所という急所はない。」
リズリー「いままでどれだけの恐竜と戦ったんですか?」
コープ「さあな、数えきれないほど殺したな・・・失った仲間も多かったがな。」
リズリー「・・・・・・。」
リズリーの腕に乗るムスサウルスを見るコープ「君らは恐竜と仲がいいんだな。」
リズリー「小さいころから触れ合っていましたから・・・私たちサーカス団員なんです。」
コープ「アニーがあの男を連れてきたのがわかったよ・・・」
リズリー「でもあいつは・・・」
コープ「アニーは恐竜ハンターとして彼を連れてきたわけじゃないんじゃないのか」



オーテリーブの酒場
フィリップがアニーたち村民とドンチャン騒ぎしている。
フィリップ「ぎゃははは!俺は最強の恐竜ハンターだぜ~!」
労働者「そうだ!お前は最高だぜ!マーシュの野郎ざまあみろ!」
医者の老人「お前さんこそ街の救世主じゃ・・・!」
労働者「お前なら本当にシャープトゥースを倒してオレたちに給料をくれるのかもな」

酒場にやってきて注文するホーナー「バカバカしい。ティラノサウルスはそんな甘くねえ。」
労働者たち「そうだけどよ・・・」
フィリップ「そのチランノなんたら・・はそんなにすげえのか?」
労働者「マーシュもコープも恐竜ハンターが誰一人仕留めたことがねえ化け物さ。」
「神出鬼没で街を襲う。あいつを退治しに巣を探しに行ったハンターもみんな殺されたよ」
フィリップ「ふ~ん・・・で、俺がその最初のハンター・・・」

奥の席から振り返るホーナー「いいか調子に乗るなよ若いの。あいつを怒らせたら片腕ではすまねえぞ。」
フィリップ「おい、この絵見てみろよ。こいつの腕はこんなちっさい。これなら腕相撲で俺でも勝てるぜ!」
労働者「いうじゃねえかぎゃははは!」

ため息をついて向き直るホーナー「何を考えているブラウン夫人。本当にあいつをティラノと戦わせるつもりか?死ぬぞ。
ティラノサウルスなんざ危ない橋を渡らずに、オレなら第五鉱区を採掘させるがな。カーネギー財団もあそこに目をつけているんだろ?」
アニー「それは・・・」
労働者「なんだって?それは本当か!」
アニー「それはあくまでも噂です・・・」
労働者「でもよ、やっぱりなにかとんでもねえお宝が埋まっているんじゃねえのか!?」
労働者「ああ、ただの金塊じゃカーネギーも目をつけねえだろ!」
「必ずお給料はお支払いしますので…みなさんあそこには決して近づかないでください・・・!!」
労働者「いや今オレのトレジャーハンターの血が疼いた!みんな明日早速掘ってみようぜ!」
フィリップ「待て待て。オレがティラノを倒してやるから・・・!」
老人「そうじゃよ、ここはこちらさんに任せたほうが・・・」
労働者「旦那の凄さは知っているがな。悪いなこっちも養わなきゃいけない家族がいるんだ。」
フィリップ「でもよ、アニーさんが困ってるじゃねえか」
ホーナー「なぜ第五鉱区を隠す?あんたら夫婦は一体あそこで何を見た・・・?」
アニー「それは・・・」



見張り台
リズリー「アニーさんって一体どういう人なんですか・・・?」
コープ「アニーには醜聞があるんだ」
リズリー「?」
コープ「2年前、所有する最も西の鉱山に旦那と地質調査に行ったんだが、アニーは一人で帰ってきた。」
リズリー「聞きました。恐竜に殺されたって・・・」
コープ「どうも労働者たちはそうは思っていないらしい。第5鉱区でアニーはとんでもないお宝に目がくらんで旦那を銃殺した・・・彼らはそう思っている」
リズリー「・・・え?」
コープ「それだけアニーの旦那・・・バーナムは鉱山労働者たちにとって惜しい人だったのさ」
リズリー「あなたはどうなんですか?」」
コープ「え?」
リズリー「アニーさんを信じていますか?」
コープ「さあな・・・俺は誰も信じちゃいないからな・・・」

バリケードの外が騒がしい。茂みが揺れて鳥が空へ逃げていく。

村人「大変だ!西ゲートに肉食恐竜が!」
コープ「なんだと!?種類は!?」
村人「暗くてわからねえが、馬鹿でかい!」
コープ「わかった!あの男を呼んで来てくれ!!」
頷くリズリー。



見張り台を降りて、酒場にかけていくリズリー
フィリップ「アニーさんが人殺しだと!?もう一度言ってみろてめえこのやろ!」
労働者「てめえこそその女に騙されやがって!そいつはバーナムさんを殺したんだ!」
フィリップ「見たのかよこのやろう!」
酒場で喧嘩をはじめるフィリップ
リズリー「えええええ!?さっきまであんなに仲良かったのに!!」
アニー「みなさんやめてください・・・!」

銃声
一同が入口で銃を天井に向けて撃っているコープの方を向く「・・・コープ」
コープ「いい加減にしろ!恐竜の襲撃だ!!」



西の見張り台に立つコープ「明かりを消せ!」
バリケードの外を巨大な影が横切っていく。

村人「あんなでかい肉食竜見たことねえ・・・」
コープ「シャープトゥースだ・・・」
リズリー「そんな・・・」
リズリー「フィリップ助けて・・・!」
フィリップ「よしおまえが囮になれ!」
リズリー「ふ・・・ふざけんな!」
アニー「フィリップ助けて・・・!」
フィリップ「この命に代えてもあなたを救います。」
リズリー「このやろう・・・」
コープ「大丈夫獣道を走っていくだけだ、こっちにはこねえ・・・」
コープ「さて、やつを倒す絶好のチャンスだぜ。どうする?」
フィリップ「当たり前だろ。」



コープと共に装備を整えるフィリップ

フィリップ「おい機嫌直せよ・・・あれは冗談じゃねえか・・・」
リズリ―「ねえ・・・ほんとにティラノサウルスと戦うつもりなの?」
フィリップ「おうよ。俺のムチさばきでティラノなんざイチコロよ。」
リズリ―「そうかな・・・」
フィリップ「な~んかお前さっきから感じ悪くないか?」
リズリ―「なんかわたし・・・世の中がよく分からなくなってきちゃった・・・」
フィリップ「お前サーカスの中しか知らなかったからな。」
リズリ―「7歳のころサーカスに売られてからずっと・・・自由の身になって広い世界を見るのが夢だったんだけどね…」
フィリップ「夢がかなってよかったな。」
リズリ―「でも・・・想像してた世界とは違うな。」
フィリップ「世の中っつーのはそういうもんだ。俺なんか喰われ役だぞ。
今はティラノザウルスハンターだがな。なはは。」
リズリ―「アニーさんの前でカッコつけるのはもういいけど・・・お願いだから死なないでよ。」
フィリップ「何だよ急に。さ~てそろそろ行ってくっか!」
リズリ―「・・・約束して。」
フィリップ「・・・分かったよ。俺は死なない。約束だ。」
リズリ―「ほんとだよ?」
フィリップ「しつこい!」
コープ「いくぞ」
フィリップ「おう!」
リズリ―「ちょ、ちょっと待って!」
フィリップにスカーフほどいて渡すリズリ―「あたしの宝物あげる。」
フィリップ「なにこれ?」
リズリ―「幸運のお守り。」
フィリップ「きたねえな、ご利益あるのかよ。」
リズリ―「大丈夫。このお守りのおかげで十年以上わたしは空中ブランコを失敗してないんだから。」
フィリップ「ふ~ん。まあ、もらっとくわ、じゃあな。」
手に乗ったムスサウルスを見つめるリズリ―「・・・・・・。」

『恐竜大陸サウラシア』脚本④

オーテリーブのメインゲート
アニー「ラム・・・」
ユタラプトルの手入れをするコープ「これはブラウン夫人。ということはそいつらがあなたの助っ人ってことか・・・」
フィリップ「ブラウン夫人!?夫人!???」
リズリ―「あ~らら・・・」
フィリップ「てめえ、しってたのか!?」
リズリ―「アニーさんに聞けばあ?」
肩を落とすフィリップ。

労働組合「きやがったな!アニー・ブラウン!今日こそ俺たちに賃金を払ってもらうぜ~!
それいけ~!!」
街に入った途端プラカードを掲げた鉱山労働者たちがアニーに駆け寄ってくる。
フィリップ「な、なんだ、あいつら!?」
アニー「うちの鉱山で働く労働組合です。先頭の男は組合長のホーナー。」
労働者たち「金払え~!!こちとら給料無しで命がけで金掘ってんだぞ!!」
アニー「その件は前にもお話ししたはずです。近いうちに必ず支払うと。」
労働者「か~ね!か~ね!払え!払え!」
ホーナー「まあ、みんな落ち着け。・・・ブラウン夫人、近いうちとは具体的にいつだ?」
労働者「そうだ説明しろ!」
アニー「それは・・・」
ホーナー「いいか。俺たち堀り屋の仕事は毎日危険と隣り合わせだ。高所からの落下、落石や落盤事故、塵肺・・・その上今や街から鉱山への道には腹ぺこの恐竜どもがうろついている。そんな中俺たちは必死に働き、ぎりぎりの生活を送っているんだ。」
アニー「それは分かっています。」
ホーナー「いいや、あんたはわかってない。あんたは旦那とは違う。」
フィリップ「旦那!?マジかよ!アニーさんマジで既婚者なのかよ~!」
ホーナー「旦那がここを取り仕切っていた頃はよかった・・・」
フィリップ「しかもいい人っぽいし~!!ちくショ~!!」
ホーナー「ブラウンの旦那が生きていたらきっと俺たちを救ってくれたはずだ。少なくとも俺たちに希望はくれた。」
フィリップ「え!?ブラウンの旦那は死んだの?死んだという解釈でいいのね!?」
ホーナー「さっきからうるせえな、てめえは!」
リズリ―「・・・馬鹿。」
ホーナー「あんたはあの大きなお屋敷で優雅に暮らせていいがな。俺たちをなめるんじゃねえ。これ以上金を払わねえって言うんなら、俺たちはこの仕事を辞めさせてもらう。」
アニー「それは困ります・・・!」
ホーナー「じゃあ答えろ!俺たちにいつ給料を支払う!?」
アニー「来月には必ず・・・」
ホーナー「遅い!はなしにならねえ、みんな出てくぞ!」
アニー「では三日後・・・!」
足を止める労働者たち。
ホーナー「ほう・・・」
アニー「三日後これまで未払い分のお給料をお支払いいたしますわ。」
ホーナー「相当の額だぞ・・・あてはあるのか?」
アニー「あります・・・」
ホーナー「・・・ブラウン夫人あんたの屋敷で話がある。」
引き上げていく労働者

フィリップ「しかしおかしいじゃねえか。金鉱があるのになんで給料が払えないんだよ」
リズリー「なんかすっごい面倒なことに引きずり込まれたんじゃないの?」

コープ「彼女に捕まるとはお前らも運がないな。」
リズリー「あなたはさっきの・・・」
フィリップ「どういうことだよ・・・」
コープ「ついてきな。」



ギルドホール
リズリー「ここは・・・」
フィリップ「なんかガラが悪いのがいっぱいいるぜ」
コープ「恐竜ハンターどものギルドホールだ」
リズリー「じゃあなたも・・・」
コープ「見ろ。これがワイオミングの街を次々に壊滅させている元凶だ。」
リズリー「これって・・・」
コープ「人食い暴君シャープトゥース。賞金額は過去最高の1000万ドル。」
リズリ―「ティラノサウルスがここにいるんですか!?」
フィリップ「ティラミ・・・ス・・・?なにそれ?」
リズリ―「牙だらけの化けものだよ!フレンチ・ダイナソー戦争では凶暴化したティラノサウルスにイギリス軍の一個大隊が全滅・・・最強の恐竜の王・・・もしかして・・・」
コープ「ああ、アニーはあんたらにこいつを倒させ、その懸賞金で労働者に給料を払おうとしているんだよ」
フィリップ「でもよ金鉱があるだろ」
コープ「お前は鈍いな。金は枯渇しているんだよ。」
リズリー「え」



アニーの屋敷
地図を広げるホーナー「なら線路を伸ばして第5鉱区を採掘させればいいだろ」
アニー「しかしあそこは・・・」
ホーナー「ああ、あんたの旦那がなくなった場所だ」
アニー「主人が・・・あそこは人間が決して立ち入ってはいけない場所だと・・・」
ホーナー「そんなこと言っている場合か?」



オーテリーブのギルドホール。
コープの周りにマーシュとその取り巻きが絡んでくる。
マーシュ「ようコープ・・・悪いがシャープトゥースは俺たちがいただくぜ」
コープ「マーシュ・・・お前の腕では無理だ」
マーシュ「ふんそれはどうかな。もうてめえの時代は終わった。」
コープ「そうだな。恐竜を殺し続けたって、恐竜に殺される人間がまた増えるだけだ。」
マーシュ「あいにくだがこっちには新兵器がある。もはやティラノだろうがアロだろうが恐竜なぞ俺たちの敵じゃねえ・・・」

フィリップ「なんだあいつら・・・」
コープ「お前のライバルってところじゃないのか」
リズリー「い、いやこいつはただの売れない俳優で恐竜ハンターなんかじゃ・・・」

フィリップ「し・か・しアロサウルスも大したことねえなあ!オレのムチで一発とは」
ハンター「はあ?声でけえな」
ハンター「アロサウルスって捕獲危険度Aの大型肉食竜だぞ?」
フィリップ「ははは!みなまで言うな三流ハンターの諸君!あんなのオレにしてみりゃ中型よ!ライフルすらいらんわ!」
リズリー「フィリップ!」
フィリップ「ハハフー!」
ムチでハンターたちのライフルを叩き落すフィリップ
ハンター「なにしやがるてめえ!」
フィリップ「お前らももっと頑張ればいつかは俺のようなハンターになれるさ。まあ頑張りたまえ」
「なんなんだこいつは・・・」

マーシュ「おうお前、ここらへんでは見ない顔だな。何者だ。」
フィリップ「よくぞ聞いてくれた!おれは・・・」
リズリー「ヒーローの妄想癖があるんです・・・」
フィリップ「ねえよバカ!」
リズリー「死にたくなきゃあんたは黙ってなさい!」
コープ「アニーが連れてきた凄腕の恐竜ハンターらしいぜ」
マーシュ「なに?」
リズリー「コープさん!」
マーシュ「いいか、てめえが何もんだか知らねえが、俺たちの邪魔をしてみろ。蜂の巣にしてやる」
フィリップ「それはこっちのセリフだぜ。ティラノザウルスはオレが倒す!」

ギルドホールに飛び込んでくる村人「大変だ!A地区でランベオサウルスが暴れている!」

マーシュ「よう恐竜ハンターお手並み拝見と行こうじゃねえか、ランベオサウルスくらいお前にかかれば大したことねえんだろ?」
フィリップ「任せろ・・・」



屋外
フィリップ「こいつかこのやろう!てや!」
コンプソグナトゥス(ニワトリ大の恐竜)の上からカゴをのせる。
フィリップ「ヒーハー!任務完了!」
住民「こっちだよ!助けてくだされ~」

家をぶっ壊す巨大なランベオサウルス
フィリップ「ないいいいいいい!!!?でけえ!!!!ゴジラじゃねえか!」
マーシュ「どうした凄腕ハンター?」
リズリー「あんなの相手にするなんて無茶よ・・・コープさんなんとかしてください!」
フィリップ「いやこれはオレの相手だ!手出しは無用!」
コープ「・・・らしいぜ?」
マーシュ「ようコープ。賭けをしねえか?あいつが恐竜に殺されるかどうか!」
コープ「面白いな。」
マーシュ「で、あんたは?」
コープ「オレはあいつが勝つにかけるぜ」
「ぎゃははは!目が曇ったかコープ!あいつはどうみてもライフルすら握ったことがねえ素人だ!」
コープ「そうだな・・・だがムチはあるようだぜ・・・」

ムチを構えるフィリップ

リズリー「やめてフィリップ!やめさせてください、あいつは恐竜ハンターでもなんでもないんです!」
ガヤ「やっちまえ~!」
アニーと一緒に人ごみに近づくホーナー「なんの騒ぎだ!?」
やじうま「ああホーナーさん、あの若いのがランベオサウルスとやりあうようですよ」
ホーナー「なんだと!?アロサウルスすらぺちゃんこにする連中だぞ!」
アニー「フィリップ・・・」
やじうま「なんであいつライフルを使わないんだ!?」
「自殺行為だぞ!」

ムチを振るうフィリップ「ヒーハー!」
ムチの先に興味を示す恐竜。
ムチの先をキョロキョロ追う。

「なんか様子がおかしいぞ」
「ああ・・・」
ムチの先に手を出すランベオサウルス。

フィリップ「よし来いよし来い!」
後ずさるフィリップ。ゆっくりゲートの方に誘導する。
「あのランベオサウルスがまるで飼い猫だ・・・」

フィリップ「おいおいおいそっちじゃないよ・・・」
箱をつつくランベオサウルス
フィリップ「なんだ?マタタビでも入ってんのか?」

ハンター「ボスアレは・・・!」
マーシュ「・・・あのやろう勝手に・・・!」
マーシュを静止するコープ「おっと手出しは無用だぜ。」

箱の中に卵が入っている
フィリップ「へ~おめえ卵が好きなのか。」
頭で卵をわるランベオサウルス。
中から出た赤ん坊をくわえて立ち去る。
フィリップ「あいつ、腹減ってたんだな・・・」
リズリー「違うよ、あの恐竜、母親だったのよ・・・」
フィリップ「でも痩せてたよ?」
リズリー「餌も食べずに探し回ってたんじゃないかしら。よかった・・・」

大歓声「すげえええええ!!ムチだけでランベオサウルスを追っ払った!
「てことはライフルを使ったら本当にティラノも・・・!!」
ホーナー「・・・あんたどこで“あんな奴”見つけてきた?」
微笑むアニー

納得がいかないマーシュ
コープ「200ドル」
マーシュ「ふざけんな!あの野郎は恐竜を仕留めてねえ!とんだ茶番だぜ!」
マーシュの手下のハンター「そうだ!」
「それに勝手に俺たちの獲物を・・・!」

リズリー「俺たち?あんたたちが勝手に略奪したんでしょうが!」
観衆「そーだそーだ!」
マーシュ「くっ・・・いくぞ!」
マーシュの手下「へい!」

アニー「フィリップすごいわ!」
フィリップ「いや~あんな奴らたいしたことないですよ」
面白くないリズリー。
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