経済学覚え書き⑨

 久々の経済学覚え書き。今回は国際経済について。

フランソワ・ケネー(重農主義)
元々はヴェルサイユ宮殿の宮廷医師。
農業を重視し当時(18世紀)の重商主義を批判。アダム・スミスに先駆けて、自由放任、レッセフェールを主張。『経済表』はレオン・ワルラスの一般均衡理論(ミクロ経済学)、ケインズの有効需要理論に影響を与えた。ディドロとダランベールの『百科全書』にも寄稿。

デビット・リカード(比較生産費説)
アダム・スミスを読んで経済学の道に入ったイギリスの経済学者。
『経済学および課税の原理』で比較生産費説(比較優位説)を主張。
国際分業を訴え、穀物法(保護貿易)を支持するイギリスの地主を批判し、商工業者の主張する自由貿易を擁護した。

フリードリッヒ・リスト(保護貿易主義)
ドイツの経済学者。19世紀のドイツは工業後進国であり、『経済学の国民的体系』において、関税や輸入数量制限などの保護貿易を主張した。
発展し始めた幼稚産業には国際競争力はなく、自由貿易はその分野の発展の可能性を摘んでしまうと考えた、
自由貿易を主張したリカードと同じく、国際分業を訴え、さらにEUにつながる欧州統一理論のパイオニアでもある。

カルテル(企業連合)
同じ産業の企業が生産量、価格、販売市場などについて協定を結ぶこと。
日本では独占禁止法で禁止されている。
19世紀のドイツはイギリスに対抗するため、販路確保を目指して団結。当時のビスマルク首相に働きかけて関税を引き上げさせた。

トラスト(企業合同)
同じ産業の企業が合併し、新しい大きな企業を作ること。
三菱東京UFJ銀行など。独占禁止法により制限がかけられている。

コンツェルン(企業連携・企業結合)
持株会社があらゆる産業分野の傘下企業を支配すること。~~グループなど。
戦前の財閥がそれで、GHQによって解体されたが、現在は原則解禁されている。

コングロマリット(複合企業)
様々な産業や業種で合併と買収(M&A)を繰り返し多角的に事業を行う巨大企業。
戦前の財閥とほぼ一緒だが、一族経営がコングロマリットには見られない。
アメリカのシティグループなど。

国際収支
国際取引における収入と支出。
IMFのマニュアルによれば、貿易収支(モノの輸出入)、サービス収支(輸送、旅行、金融、知的財産)、所得収支(雇用者報酬、利子・配当。メジャーリーガーのギャラなど)、経常移転収支(外国への食料支援、医薬品の援助、労働者の送金)があり、それらを合わせて経常収支と言う。

経常収支=貿易・サービス収支+所得収支+経常移転収支

現在の日本は貿易・サービス収支が低下し、所得収支が増加している(成熟した債権国の段階)。

また投資収支(海外工場建設、外国株購入)とその他資本収支(道路、ダムなどの資本形成のための無償資金援助、特許権買取)を合わせて資本収支と言う。

資本収支=投資収支+その他資本収支

開発援助委員会(DAC)
経済協力開発機構(OECD)とともに設立された援助を推進する下部機関。
OECDの下部機関はほかにも貿易委員会、経済政策委員会がある。

プレビッシュ報告
国連貿易開発会議(UNCTAD)の事務局長プレビッシュさん(アルゼンチンの経済学者)の報告。「援助よりも貿易を」がスローガンとして掲げられた。

フェアトレード
途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を促す適正な価格での取引をいう。
コーヒー、バナナ、カカオなどが有名。

資源ナショナリズム
多国籍企業に支配されてきた途上国の天然資源を、自国の主権下に置こうとする動き。

新国際経済秩序(NIEO)
ニエオと読む。1974年の国連資源特別総会で採択。
途上国の天然資源に対する恒久的主権、多国籍企業の規制、途上国に不利な交易条件の改善などを求めた。

特恵関税
貧しい国の輸入品を特別に低い関税や無税で受け入れること。

セーフガード
緊急輸入制限のこと。
特定産品の輸入量急増によって自国産業に損害が生じた際に、一時的に輸入を制限する措置を言う。日本では中国産のネギ、シイタケ、い草について2001年に発動された。

GATT(関税と貿易に関する一般協定)
自由・無差別・多角をモットーとする。
多角的貿易交渉会議は1960年のディロンラウンド(第5回)から「ラウンド」と呼ばれることになる。

GATTケネディラウンド(1964~67年)
一括引き下げ方式による工業製品関税引き下げ。

GATT東京ラウンド(1973~79年)
農作物の関税も引き下げ。非関税障壁(輸出補助金、工場規格、安全・衛生基準、数量制限など)の軽減。

GATTウルグアイラウンド(1986~94年)
農作物の非関税障壁撤廃。例外なき関税化。
サービス貿易の自由化。知的財産権の保護。

マラケシュ協定(1994年)
世界貿易機関(WTO)が設立。
暫定的なGATTと異なりWTOは正式な国際機関で、モノの貿易以外にもサービス貿易、知的財産も対象とする。
また紛争処理機能が強化され紛争処理の小委員会に提訴できるようになった。小委員会の判断(パネル)に不満があれば上級委員会に上訴もできる。
最初のラウンドは2001年のドーハラウンド。

無差別原則①最恵国待遇
ある国が貿易相手国の関税率を引き下げた場合、他のすべての加盟国にも同じ待遇をしなければならないこと。

無差別原則②内国民待遇
国内税や国内法が輸入品よりも国内産品をえこひいきしないということ。

互恵性の原則
交渉当事国同士が互いに譲歩しながら自由化に向けて合意形成を行うこと。

政府開発援助(ODA)
オフィシャル・デベロップメント・アシスタンス。
途上国の経済の発展、福祉の向上のために先進国が行う経済援助。
二国間で行われる贈与と貸付、多国間で行われる国際機関への出資、・拠出がある。
日本が行う貸付を円借款という。
1970年の国連総会では各国のGDPの0.7%をODAに当てるという目標が採択。
日本は総額で見れば世界有数の援助大国だが(96年では第一位、2011年には五位に転落、現在トップはアメリカ、次いでドイツ、イギリス)、ODAに占める割合は低く(2012年では0.19%)、無償援助の割合も低い(贈与は47%)。またODA事業において工事の請負い、資源の調達を日本企業に限定することを紐付き援助と言い、国際与論の批判を浴びた。

後発開発途上国(LDC)
飢餓や内戦により累積債務に苦しむ国。アフリカ、特にサハラ以南に多い。
その中でも更に厳しい国を最貧国(LLDC)と言う。

地域的経済統合(リージョナリズム)

結びつきがゆるい順から以下の5段階がある。
自由貿易協定(関税障壁を緩和、最終的に撤廃を目指す)

関税同盟(域内の関税撤廃&域外では共通の関税を課す)

市場統合(ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に移動)

通貨統合

政治統合


自由貿易協定(FTA)
特定の国や地域間の関税を撤廃し、モノやサービスの流通を自由にする協定。

経済連携協定(EPA)
モノやサービスだけでなく、労働力の移動や知的財産権、投資などにも分野を広げた協定。
FTAをパワーアップさせたようなものだが、ニュースでは割と区別せずに使っている。

ヨーロッパ統合の歩み
1957年
ローマ条約
ヨーロッパ経済共同体(EEC)ヨーロッパ・エコノミック・コミュニティ

ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)ヨーロピアン・コール&スティール・コミュニティ
ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)ヨーロピアン・アトミックエネルギー・コミュニティ

1967年
ヨーロッパ共同体(EC)ヨーロピアン・コミュニティ

1979年
ヨーロッパ通過制度(EMS)導入。共通通貨エキュ(ECU)

1986年
単一ヨーロッパ議定書(市場統合へ)

1993年
マーストリヒト条約発効
ヨーロッパ連合(EU)ヨーロッパ・ユニオン

1998年
ヨーロッパ中央銀行設立(ECB)

1999年
ユーロ導入、アムステルダム条約発効(政治統合の強化、拡大)

2003年
ニース条約発効(アムステルダム条約を強化)

2009年
リスボン条約発効
EUの新基本条約で欧州理事会常任議長(EU版大統領)と外務・安全保障上級代表(EU版外務大臣)を新設。

単一通貨
メリット
安定した通貨、金融政策が可能。
域内の為替変動が除去できる。
為替取引の手数料が不要になる。
貿易や投資活動が活発化する。
巨大な経済圏になり、通商に有利。
域内の旅行が楽。労働力の移動に制限がない。
参入市場の拡大が容易。

デメリット
加盟国によって景気循環が一致しないので金融政策が難しい。
金融業は為替手数料が取れない。
域内の地域格差問題。
給料の高い国へ労働者が流れ、給料が低い国は失業者増加に歯止めがかからない。
域内の価格競争が激しくなりすぎて企業利益が減る。

北米自由貿易協定(NAFTA)
南米南部共同市場(MERCOSUR)
ラテンアメリカ統合連合(ALADI)


東南アジア諸国連合(ASEAN)
アジア欧州首脳会議(ASEM)
ASEAN自由貿易地域(AFTA)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)

倫理学覚え書き③

 哲学の歴史、最後は現代思想(20世紀~)!

空想的社会主義
資本主義社会を人道的見地から批判し、労働者のための平等社会実現を目指した。

サン=シモン(産業主義)
フランスの貴族で、アメリカ独立戦争に参加。産業の重要性を認識。
産業と科学に立脚した社会の樹立を訴え、コントに影響を与えた。

フーリエ(ファランジュ)
裕福な商人の家系に生まれたが、商業を「文明の弱点」と批判、ファランジュという農業中心の理想的な共同社会を構想した。ちなみにファランジュ構想に賛同する支援者は結局現れることはなかった(´;ω;`)

オーウェン(イギリス労働組合運動の父)
スコットランドの紡績工場の支配人で、労働者の労働時間を大幅に短縮、また幼稚園を初めて作った人として教育学でも取り上げられる人物。
しかしいくら労働状況を改善しても、労働者が資本家に搾取されている構造自体は変わらないと、アメリカに渡りニューハーモニー村という共産社会を建設したが4年で失敗、全財産を失った(´;ω;`)
その後イギリスに戻って、労働組合運動の指導者となる。

科学的社会主義
資本主義社会の科学的分析に基づく社会主義のこと。マルクス、エンゲルスが創始。

フォイエルバッハ(類的存在)
人間は社会の中で連帯して生きる存在だと説き、マルクスに大きな影響を与える。
ちなみに父は刑法学者で、兄は数学者。

マルクス(唯物史観)
資本家は労働者が生み出す剰余価値(利潤)を搾取していると分析。
資本主義は4つの阻害を生み出す。
①生産物からの疎外(生産物はそれを作った労働者のものにならない)
②労働そのものからの疎外(自分のためでなく資本家のための労働に)
③類的存在からの疎外(助け合いの精神を失う)
④人間の自己疎外(人間本来のあり方が失われる)
「全国の労働者よ、団結せよ!」人類の歴史は階級闘争の歴史である。

ベルンシュタイン(修正社会主義)
資本主義が発展すれば労働者はより貧困になると考えられたが、その予測に反して現実では労働者の生活水準は向上した。これを受けて、マルクスの社会主義に修正が加えられた。
ベルンシュタインの社会民主主義とは、プロレタリアート革命によらず議会制民主主義によって、ゆっくり社会主義を実現しようという立場である。

フェビアニズム
イギリスで設立されたフェビアン協会は、長期的な戦略で戦ったローマ将軍ファビウスに由来する。つまり息の長い戦略で資本主義社会の弊害を取り除こうとする立場。
政治家のウェップ夫妻や大作家バーナード・ショーなどが参加。
社会保障制度の完備、議会を通じた労働者の経済状況の改善、基幹産業の国有化を要求する。
ちなみにフェビアン協会は、現在ではイギリスの二大政党である労働党になっている。

ウォーラス(政治における人間性)
フェビアン協会の創始者。民主主義はほとんどの人が合理的な行動をとるという前提で採用されているが、これを「知性化の誤謬」として、人間は大衆にしろエリートにしろみんな本能的な直感で動いてたりもするよ(※いつもとは言っていないことに注意)と相対化を試みた。
ウォーラスは民主主義をより合理化するために、政治的な環境を合理的思考に適したものに変えていくこと、教育によって人間性を後天的に改善していくことを挙げている。
したがって、一部のエリートや専門家による独裁政治も民主主義の処方箋たりえないということになるが(エリートのスペックも人間である以上普通の人と大して変わらないから)、彼の弟子のジャーナリスト、ウォルター・リップマンはステレオタイプから脱することができるエリート(専門家)が大衆を正しく導くべきだと、現代型の哲人政治の可能性を論じている。

有神論的実存主義

キルケゴール(質的弁証法)
ヘーゲルの弁証法を批判。主体的決断で正と反のどっちかを選べ!
主体的真理「私がそのために生き、そして死ぬようなことを願うイデー(理念)」
美的実存(享楽的)→虚しい!(絶望)→倫理的実存(一般的な道徳に従う)→オレには無理!(絶望)→宗教的実存(実存の完成)
死に至る病とは絶望である。

ヤスパース(限界状況)
医師(精神医学)から哲学に転向した人で、キルケゴールから影響を受ける。
『理性と実存』で実存は理性によって明らかになると主張。
実存的交わり 深く他者と関わろうとすると自分の実存も同時に自覚すること。
限界状況(死、苦しみ、争い、罪責)に直面し、絶望すると、人(有限性)は超越者(永遠性)に向かい合い真の実存になる。

無神論的実存主義

ショーペンハウアー(厭世主義)
ショーペンハウアーは理性中心の哲学に反対し、より根源的な生の哲学を説いた。
また、愛情を求めて人と近づきたい気持ちと、近づくことで自分が傷つくかもしれないという気持ちの葛藤をヤマアラシのディレンマと呼んだ。

ニーチェ(ニヒリズム)
ショーペンハウアーの厭世主義から影響を受ける。
インド哲学の影響を受けたショーペンハウアーは生への意志を否定したが(つまり解脱)、ニーチェは肯定した。
キリスト教をルサンチマン(弱者の強者に対する嫉妬)に基づく奴隷道徳とボロクソに否定(神は死んだ)。
現在の自分を肯定し、成長しようとする力への意志を持つ人物を超人とした。
「これが人生か、ならばもう一度」という運命愛。
ラクダ(体制に服従)→ライオン(反体制)→子ども(純粋=超人)
他人と同じ振る舞いを至上命題とする畜群(奴隷=オルテガで言う大衆)に対する嫌悪感、距離のパトスが超人へのステップアップに必要だと述べるが、それは超人の成立には笑うべきサルである畜群が必要であるという皮肉な論理的帰結をもたらした。

ハイデガー(存在と時間)
フッサールの現象学を用いて実存哲学を確立。
人間の本来的自己とは死への存在である。死の先駆的決意性。
ダーザイン 存在が了解される場所
ダス=マン 自分の死を見て見ぬふりをして日常に埋没、気晴らしをする人(たい落)
ハンナ・アーレントと半世紀にわたって交際。

サルトル(戦後の実存主義ブームの火付け役)
『実存主義はヒューマニズムである』
「実存は本質に先立つ」→家具はまず目的(本質)があって作られるが、人間は実存(存在)が先で、その後自分自身で自由に人生の目的を形成する(投企)。
「人間は自由の刑に処せられている」→自由には社会的な責任が伴うということ。
つまり、自分の生き方を選ぶことは同時に社会参加になる(アンガージュマン)。

ボーヴォワール(フェミニズム)
サルトルの対等なパートナー。
『第二の性』でジェンダーは後天的なものだと主張。
「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」

カミュ 
サルトルと親交があったノーベル文学者。
『シーシュポスの神話』でこの世の不条理を描く。
英雄シーシュポスは岩を山頂まで運ぶ罰を永遠に繰り返す。

プラグマティズム
行為主義という意味。アメリカで誕生した哲学。

パース(プラグマティズム創始者、格率)
『我々の観念を明晰にする方法について』で概念(重い、硬いなど)の意味は行動(持ち上げる、ひっかくなど)の結果によって確定されるとした(プラグマティズムの格率)。

ジェームズ(プラグマティズム布教者、有用性)
パースのプラグラティズムをより広く解釈し、その知識が真であるかどうかは、どれだけその知識が役に立つかどうかだと考えた(真理=有用性)。
例えば「神が存在する」といった信仰心は、信じている人がそれで心が平安になるならいいんじゃないの?と考える。このロジックで言うと科学と宗教は、有用性という同じ基準によってまとめて評価されることになる。

デューイ(プラグマティズム大成者、道具主義)
知識とは環境に適応するための道具なのだと主張(道具主義)。
知識とは常に修正を繰り返す仮説であり、普遍的な真理は存在しないというデューイの主張はダーウィニズムの影響を受けている。
倫理もその時の状況において道具として役に立つかどうかが重要だとした。
このような考え方は問題解決学習(子どもの自発性を重視する児童中心主義)としてアメリカの教育に大きな影響を与えた。

人道主義
ルネサンスではヒューマニズムは人文主義と訳されたが現代では人道主義と呼ばれる。

ガンジー
アヒンサー(不殺生)、サティヤーグラハ(真理の実現)、スワラージ(インド人の自治独立)、スワデーシー(国産品愛用運動)

トルストイ
ロシアの文豪。ガンジーと同じくキリスト教の精神から非暴力や隣人愛を説く。
農民の生き方を理想とし、地主の身分や家族を捨てて旅に出たが行き倒れた。
白樺派に影響を与える。

ロマン=ロラン(戦闘的ヒューマニズム)
フランスの文学者。自由と愛を守るため二度の世界大戦で反戦を主張。
作曲家を主人公とした『ジャン・クリストフ』などが代表作。

シュヴァイツァー(生命への畏敬)
アフリカで医療奉仕活動。『文化と倫理』で生命を敬い守ることが善だと説いた。

孫文(三民主義)
民族主義(植民地支配からの解放)、民権主義(国民主権)、民生主義(生活を向上させる福祉政策)

ラッセル(ラッセル・アインシュタイン宣言)
核軍縮運動。パグウォッシュ会議(ノーベル平和賞)。カナダのパグウォッシュに22人の天才科学者が集まり核兵器の問題について話し合った。

キング牧師(バスボイコット運動)
黒人解放指導者。ノーベル平和賞受賞。

ヴァイツゼッカー大統領
旧西ドイツ大統領。『荒れ野の40年』で「過去に目を閉ざすものは、結局のところ現在にも盲目になる」と述べ、戦時中のナチスドイツを真摯に謝罪。

マザーテレサ(孤児の家、死を待つ人の家)
インドで奉仕活動をしたカトリック修道女。ノーベル平和賞受賞。
貧しい人の最大の不幸は誰からも見捨てられる絶望である。

フランクフルト学派
近代合理主義が全体主義に繋がったとして、現代人の理性のありかたを批判。

ホルクハイマー(道具的理性批判)
アドルノとともに書いた『啓蒙の弁証法』で理性が目的のための手段(道具)になってしまっていることを批判。個人の自律性や想像力は衰え、大衆操作に抵抗できなくなる。

アドルノ(権威主義的パーソナリティ)
権威を盲目的に信じ、他者にもそれを強要するパーソナリティーを批判。
このような性格の人間が多数を占めたことがナチスドイツの原因だと考えた。

エーリッヒ・フロム(自由からの逃走)
自由を獲得した人間が新たな束縛を求めてナチスドイツを支持したと分析。
生産的性格(クリエイター指向)、非生産的性格(権威主義)

マルクーゼ(一元的人間)
管理社会で批判精神を失い、画一的に管理される人間を批判。

ハーバーマス(対話的合理性)
フランクフルト学派第二世代であるハーバーマスは人間の理性を批判するのではなく、再評価した。市民全員に等しい発言の機会が与えられる場合(原理的発話状況)、討論によって合意形成ができると考えた(討議民主主義)。
言ってることがヘーゲルの弁証法に近い。

二クラス・ルーマン(システム論的正当性論)
ハーバーマスのライバル。フランクフルト学派の批判を批判した。
政治システムの自己正当化プロセス(=実定法)によって社会秩序は安定するとした。
これはこれで議会制民主主義を理想としすぎるナイーブな考え方なんじゃないか、デモやストライキを議論から除外している、という批判がある。

構造主義

ソシュール(言語学)
言語体系とは差異の体系である。異なる言語が与えられることで初めて区別される。

レヴィ=ストロース(文化相対主義)
『野生の思考』で未開社会も規則性のある構造があるという点では西洋社会と同じだと主張。人間の振る舞いは結局のところ社会の構造によって規定されると考えたので、自由な意思で主体的に行動せよと説いたサルトルと何度も論戦し、実存主義ブームを終わらせた。

ポスト構造主義
どのように構造が生み出されるかを探求。

デリダ(脱構築)
哲学的営みには真理の構築と破壊という相反する要素が共存している。

フーコー(生の権力)
知の考古学、狂気の研究、権力としての理性(非理性的なものを排除、隠蔽)
人々の生活を向上させる福祉制度(学校、病院、公衆衛生)こそが現代における権力。

フランス現代思想

ベルグソン(生の哲学)
意識(純粋持続)や生命の進化は科学的に解明し尽くすことはできないとした。
エランヴィタール=生命の躍動のこと。
第一次世界大戦の際の平和活動でノーベル平和賞受賞。

レヴィナス(汝殺すなかれ)
私という存在を超えた他者の顔を受け入れることこそが倫理だとする。

現代自由主義思想

ハンナ・アーレント(参加型民主主義)
人間の営みを労働、仕事、活動に分類。
現代の大衆社会は公的領域と私的領域の境界が消失した第三の領域であると定義。公共的領域で活動することこそが自由な行為であるとした。

ロールズ(正義論)
公正としての正義を主張。
①平等な自由の原理②A公正な機会均等の原理②B格差原理
無知のヴェールという思考実験で社会契約説を現代に再生。

アマルティア・セン(厚生経済学)
福祉の尺度は基本材(誰もが必要になるお金や食料など)ではなく、その人にあったよい生き方を自由に実現できる潜在能力(健康、幸せ、自尊心、教育を受けている、長生き、社会生活に参加など)であるべきだと主張し、ノーベル経済学賞をアジア人で初めて受賞した。センは国連難民高等弁務官事務所の緒方貞子さんと人間安全保障委員会を設立している。

現代英米哲学

クーン(パラダイムシフト)
『科学革命の構造』で通常科学の範疇を超える変則事例が生じたときに起こる科学革命(パラダイムシフト)を唱える。
科学の発展は、連続的で直線的ではなく、パラダイムの転換を断続的に繰り返すとした。

ウィトゲンシュタイン(分析哲学)
オーストリアの哲学者。言語を分析し哲学上の問題を解決していこうとした。
『論理哲学論考』で言語は現実を映し出す像であるという写像理論を展開。
言語ゲーム論で日常での言語の使用はゲームみたいなもんだと主張。
神や道徳は存在しないため語らない。
「語りえないものについては沈黙しなければならない」

倫理学覚え書き②

 哲学の歴史、ルネサンスから近代まで。

ルネサンス(14世紀~)

ピコ=デラ=ミランドラ(自由意志論)
『人間の尊厳について』で自由意志論を主張(運命論の逆)
すべての哲学や宗教を融合!
人間とは小宇宙であり、自然の秘密を知ることで、創造主と一致する。
人間の自由と独立を強調。

マキャベリ(マキャベリズム)
おそらく三度目の登場。イタリアの外交官。
『君主論』で権謀術数主義を主張。
当時のイタリアは神聖ローマ帝国(ハプスブルグ家)とフランス王(ヴァロワ家)がイタリアの支配をめぐって争っており(イタリア戦争)、マキャベリは国を収める強い王様を求めた。

北方ルネサンス(15~16世紀)

エラスムス(痴愚神礼讃)
おそらく二度目の登場。
オランダのカトリック司祭でありながら『痴愚神礼讃』で教会の堕落ぶりを風刺。
同じくカトリック教会を批判したルターとは自由意志の是非をめぐって争うことに。
『自由意志論』はローマ教皇の依頼でエラスムスが書いた、ルターへの反論。
※16世紀の宗教改革は世界史覚え書きでまとめたので割愛します。

トマス=モア(ユートピア)
エラスムスの友人のイギリス人文学者、政治家。
『ユートピア』で私有財産と貨幣が存在しない理想の楽園を構想。
当時のエンクロージャーを批判した。つーかやっていることSF作家w

フランスモラリスト(16~17世紀)
人間はいかに生きるべきか?=道徳がテーマ。

モンテーニュ
『エセー』私は何を知るか?=ク・セ・ジュ?
一方的な独断と偏見を批判する懐疑主義。
ユグノー戦争に対して宗教的寛容性を説く。

パスカル
人間の理性を過大評価するデカルトを否定。
人間は、無限と虚無、悲惨と偉大の中間者。
「自分の悲惨を知らずに神を知ることは高慢」
「神を知らずに悲惨を知ることは絶望」
「イエス・キリストを知ることはその中間」
パスカルの賭け 神の存在を証明できなくても神に賭けるのは損じゃないということ
理性能力(幾何学の精神)と直感能力(繊細の精神)を区別。

科学革命(16~17世紀)
ニュートンが大成。
古代ギリシャの目的論的自然観から法則や因果律を研究する機械論的自然観に。

コペルニクス
プトレマイオスの天動説をひっくり返す地動説を主張。
カトリック教会に何言われるかたまったもんじゃないから地動説をまとめた『天体の回転について』は死後出版された。
ちなみにコペルニクスはカトリック司祭でもあり、宇宙を支配する神(=惑星の完全な円運動)を説明する上で天動説よりも地動説の方が都合が良かったため地動説を主張したのであって、別に宗教アンチではなかった。

ケプラー
コペルニクスの地動説を証明しただけじゃなく、より優れた惑星運動理論であるケプラーの法則を観察によって導いた天文学者。
①惑星の軌道は楕円。
②一定時間公転した惑星の軌道と太陽とを結ぶ線分が囲む面積は等しい。
③公転周期の2乗と、楕円軌道の最も長い半径の3乗は、どの惑星でも比例する。

ガリレイ
慣性の法則(振り子)や落下の法則(ピサの斜塔)を実験によって発見。
「自然の書物は数学の言葉で書かれている」
コペルニクスの地動説を支持したが宗教裁判で有罪判決を受けてしまう。

ニュートン
万有引力の法則を発見、古典力学を完成した天才。
『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』慣性の法則、運動方程式(ベクトル)、作用反作用の法則、微分積分、光のスペクトル分析。

イギリス経験論(16~17世紀)

ベーコン(イギリス経験論創始者)
『ノヴム=オルガヌム』(新しい道具)で自然に関する知識(一般法則)によって自然を支配し、人類は発展できると主張。→知は力なり

①種族のイドラ 自然を擬人化など、人間という種族に固有の偏見
②洞窟のイドラ 個人の狭い経験に基づく偏見
③市場のイドラ 噂話、都市伝説など、言語、情報に基づく偏見
④劇場のイドラ あの人が言うなら正しいという、権威を信じ込むことによる偏見

先入観なしで観察から客観的事実を導く帰納法の重要性を訴え続け、冬の日に肉の冷凍保存の実験をして風邪をひいて死去。

ロック(生得観念の否定)
タブラ=ラサ(磨いた文字板) 生まれた時は白紙状態であり生得観念は存在しない

ビャクルリ(素朴観念論)
「存在するとは知覚することである」「精神とは知覚の束である」
知覚しないと精神も物体も存在しない!素朴実在論を否定。
MOTHER2のムの修行っぽい。

ヒューム(懐疑論)
経験論を突き詰め、精神や物体の実体や因果律すら否定した懐疑論のパイオニア。
カントに影響を与える。

大陸合理論(17世紀)

デカルト(大陸合理論創始者)
フランスの数学者。1+1=2のような数学の公理は、経験によって得られるものではないので、数学者のデカルトは経験よりも理性を重視した。
われ思う、ゆえにわれ有り=明晰判明な真理=哲学の第一原理
物心二元論 精神の性質は思惟、物体の属性は空間的延長
暫定的道徳 ①周囲の道徳、法律、習慣に従え②不決断ダメ③自分に負けるな
高邁の精神 感情や欲望を理性でコントロールできる人が気高い人

精神指導の四つの規則
①明証の規則 明らかに真でない限り真としない(方法的懐疑)
②分析の規則 必要な部分に絞って問題に当たる
③総合の規則 簡単な問題→複雑な問題
④枚挙の規則 見落としがないように全体を見通す

スピノザ(汎神論的一元論)
『エチカ』(倫理)で神を唯一の実体としたオランダの哲学者。
神即自然 神=自然という意味。よって自然の一部である人間も神ということに。
永遠の相の下で 神の視点から見れば偶然的なことも全て必然
神は自然を超越すると考えたユダヤ教に無神論と批判され、破門。

ライプニッツ(モナド論)
言語学や論理学、確率論、計算機などを研究したドイツの数学者。
『モナドロジー』でモナド(個別的精神実体)を①世界を表象するもの②欲求に従い自発的に運動するものと定義。神を完全で最高のモナドとした。
予定調和説 モナドの調和、秩序は神によってあらかじめ決定されているという考え方。

社会契約説(17~18世紀)

グロティウス(国際法、近代自然法)
国際法の必要性を説いた外交官として知られるが、ストア派のロゴスに由来する自然法を神の存在を前提とせず説明したことから、近代自然法の父とも言われる。
人間の本性は社会的で、神を必要としなくても社会秩序は形成される。
『戦争と平和の法』『海洋の自由』

ロック(宗教的寛容)
同一記事で二度目の登場。
タブラ=ラサや社会契約論のロックは、政教分離を主張した人でもある。
異なる宗教的立場をお互い認め合おうという宗教的寛容を主張したが、そこに無神論者(当時としてはありえない)とカトリック(カトリックのシステムは政教分離じゃないから)は含まれなかった。

ルソー(直接民主制)
イギリスの代議制の実態を「イギリスの人民の自由は選挙の時だけで選挙が終われば奴隷」と批判。フランス革命に大きな影響を与えた。

フランス啓蒙思想(18世紀)
理性による人間の進歩と発展を肯定する立場。ただし文明嫌いなルソーは例外。

ヴォルテール(理神論)
神は自然の秩序を作り出した存在であり、自然界の秩序こそが神だとした。
よって神は人格的存在ではなく、奇跡や啓示などで人間には干渉しない。
『哲学書簡』でニュートンやロックなどイギリスの進歩的な思想や文化を紹介。
フランスの遅れを批判。ダランベールと友達。

ディドロ&ダランベール
『百科全書』の編集責任者。ディドロは専門は生物学でダランベールは物理学。
唯物論や実証主義を主張。経験的に実証できないものの存在は認めないので形而上学を否定し、幾何学や算術は経験科学の一部とした。

ドイツ観念論(18世紀)

カント(ドイツ観念論創始者)
おそらく十回目くらいの登場。
『純粋理性批判』で大陸合理論とイギリス経験論を融合。
純粋理性(理論理性)には、そもそも何ができて何ができないかを考察(批判)した。
空間や時間は感性に先天的に備わる形式だと考え(ア・プリオリ)、経験論が否定した因果律も悟性の判断能力の一つの類型(カテゴリ)だとした。
感性(経験的)→悟性(合理的)→理性
対象は認識(悟性の判断能力)によって決定される(コペルニクス的転回)。
『実践理性批判』では道徳能力としての理性を、『判断力批判』では美的判断力をテーマにした。
理論理性は現象界を対象とし、実践理性は叡智界を対象とする。
格率 主観的な行動方針のこと。ルソーの影響を受けている。
「汝の意志の格率が同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ」
目的の王国 人格を手段ではなく目的とみなしあう共同体のこと。

フィヒテ
ベルリン大学初代総長。カントの理論理性と実践理性を統一。
フランス革命を支持。

シェリング
ヘーゲルとは同窓生。主体と客体の根本的同一性を主張。

ヘーゲル(ドイツ観念論大成者)
弁証法 対話をすれば正VS反→合って感じでレベルアップ(アウフヘーベン)
人倫 客観的な法と主観的な道徳がうまい具合で一致したもの
家族(平等)→市民社会(個人の独立、不平等)→国家(個人の独立+平等)

功利主義(18~19世紀)

アダム・スミス(古典派経済学)
近代経済学の父。カントの動機説と対極的な行為の結果説を主張。
『国富論』『道徳感情論』

ベンサム(量的功利主義)
快楽=幸福、苦痛=不幸という快楽計算。最大多数の最大幸福。
ベンサムの考えは、普通選挙(誰でも一人一票)に影響を与える。

サンクション(制裁)
①自然的制裁 不摂生をすると体を壊す
②道徳的制裁 世間の非難や賞賛
③法律的制裁 司法で処罰※ベンサムが重視
④宗教的制裁 神の怒りや罰

JSミル(質的功利主義)
効用の原理、快楽計算は短期的じゃなく長期的な目標にすべし。
イエスの黄金律を理想とし、サンクションは良心の痛み(内的制裁)を重視した。
『自由論』で他者に危害を加えない限り何をやっても自由にすべしと述べた(~からの自由=バーリンで言う消極的自由)。代議士時代には女性参政権を主張。

実証主義(19世紀)

コント(社会学の創始者)
神学的段階(神話・宗教)→形而上学的段階(哲学)→実証的段階(自然科学)
軍事的段階→法律的段階→産業的段階
空想的社会主義のサン=シモンに影響を受けている。
病弱な恋人の死をきっかけに人類教を創始。人類教はブラジルの革命運動に影響。

スペンサー(社会進化論)
社会有機体説。
『総合哲学体系』で社会は軍事型社会から産業型社会へ進化することを主張。

倫理学覚え書き①

 哲学の歴史、古代から中世まで。

古代ギリシャ

自然=ピュシス
神話=ミュトス ヘシオドス『神統記』オリュンポス12神
運命=モイラ

自然哲学者
自然を神話ではなくロゴス(論理)によって解明。アルケーの探求。

自然哲学初期(ミレトス学派)

タレス
ギリシャ七賢人の一人。アルケーは水

アナクシマンドロス
アルケーは無限定者(ト・アペイロン)

アナクシメネス
アルケーは空気

自然哲学中期

ピタゴラス
アルケーは数。

ヘラクレイトス
万物は流転、戦いが万物の父。アルケーは

エンペドクレス
アルケーは火、空気、土、水の4大元素説。愛で結合、憎しみで分離。

自然哲学後期

デモクリトス
アルケーは原子。唯物論(人間の魂も原子によって構成)。

プロタゴラス
代表的ソフィスト。ソフィストは弁論術を教える職業教師のこと。
慣習や法(ノモス)はポリスによって異なると考えた。
人間は万物の尺度である(相対主義)。

ソクラテス
デルフォイの信託で問答法の対話をはじめる。
賢者の思い込み(ドクサ)を批判(無知の知)。

プラトンによる対話篇
『ソクラテスの弁明』ソクラテスの裁判
『クリトン』ソクラテスが国外逃亡を断る経緯
『パイドン』ソクラテスの死

アレテー(卓越性)
馬では速さ、ナイフでは切れ味といったもの。
人間では徳を持つ優れた魂が善い人のアレテー

知徳合一 徳が何か知っている人が徳を持つ
知行合一 徳の知があれば徳のある行いができる
福徳一致 徳を備えることが幸福

プラトン
アカデメイアで弟子を育成。
イデア界と現象界の二元論。
理性でイデアを捉えることでエピステーメー(真理)が獲得。

想起説
人間がイデアを認識できるのは、誕生前に住んでいたイデア界をエロース(イデア界に憧れること)によって思い出しているからだという説。

『国家』
正義とは何か?
哲人政治(統治者は哲学者がベスト)

人間の魂=理性(知恵)+気概(勇気)+欲望(節制)

ギリシア四元徳 知恵、勇気、節制、正義

統治者階級(知恵を担当)、防衛者階級(勇気を担当)、生産者階級(節制)

アリストテレス(ペリパトス学派)
ペリパトスとは散歩という意味。リュケイオンという学園で散歩しながら議論した為。
イデア界を否定。アレクサンドロス大王の家庭教師。

目的論的自然観
運動や生物の成長は、質料(ヒュレー=素材)が形相(エイドス=内在する本質)を実現する過程だと考える。
可能態(デュナミス) 質料が形相を実現していない状態。
現実態(エネルゲイア) 質量が形相を実現した状態

幸福論
最高善は幸福。幸福は真理を愛し求めるテオーリア(観想)
知性的徳 理性の良さ
倫理的徳(習性的徳) 人柄の良さ。習慣によって形成。友愛と正義。

全体的正義 ポリスの法を守ること
部分的正義=配分的正義(功績に報酬)+調整的正義(損得を平等化)

中庸(メソテース)が徳につながる。共和政治を支持。

ヘレニズム期

エピクロス派 
快楽主義。精神の平安(アタラクシア)

ストア派
禁欲主義。ゼノンが創始。キケロ、セネカ、皇帝マルクス=アウレリウス。
不動心(アパティア)
コスモポリタリズム(世界市民)、自然法思想のパイオニア

ユダヤ教
旧約聖書を聖典。他にも口承で伝えられたタルムードなど
ユダヤ人=他称ヘブライ人=自称イスラエル人
ユダヤ人はもともと遊牧民。カナン(パレスチナ)に移住。
出エジプト モーセ 十戒 バビロン捕囚
一神教 偶像崇拝 契約、選民思想 終末思想 メシア

神の国
イスラエル国家が再建されること。

キリスト教
旧約聖書と新約聖書を聖典。
新約聖書はマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの福音書から構成。
イエスはユダヤ教のパリサイ派の律法主義を批判したため死刑にされた。
イエスは律法に神への愛と隣人愛を追加し完成させようとした。

アガペー
無差別無償の神の愛

黄金律
自分がしてもらいたい事を人にもやること

神の国
イスラエル国家ではなく、信仰と愛を実践する心の中に神の国はあるとした。

ペテロ
イエスの一番弟子で、もともとは漁師。イエスに意志の強い性格を買われ(岩というあだ名で呼ばれていた)、死後自分の教えを広める役割を託され、布教活動の中核となった。これがローマ・カトリック教会の礎となり、サン・ピエトロ大聖堂は彼を称えたもの。
福音書の中で、イエスから天国の門の鍵を授かるエピソードがあるため、彼を描いた宗教画にはたいてい鍵が描かれている。

パウロ
キリスト教を世界宗教化。イエスの贖罪と、人間の原罪。
信仰義認説 正義は律法ではなくイエスへの信仰

キリスト三元徳 信仰、希望、愛

アウグスティヌス
教父(教会主導者)哲学を完成。カトリックの教義を体系化し、教会制度の意義を確立。
三位一体論 神、イエス、精霊はひとつの神の現れ
自由意志の否定 原罪を背負っているので人間の意志は神の意志には敵わない
恩寵予定説 誰が神によって救われるかはあらかじめ決定されていて変更不可。

スコラ哲学
キリスト教会付属の学校で教えられた哲学。

トマス・アクィナス
哲学は信仰のハシタメ

オッカム
唯名論(実在するのは固有の事物だけで抽象・普遍は存在しない)。
信仰と理性は無関係だとして、哲学と神学を分離。オッカムの剃刀。

イスラム教
イスラム(語源のサラーム)は平和という意味。ムスリムは神への服従を意味する。コーラン(読誦)を聖典とする。ブタとイヌを不浄とし、ブタは食べないし、イヌをいじめる。
アッラー 唯一絶対の超越神でユダヤ教やキリスト教の神と同一(啓典の民)
アブラハム 旧約聖書に登場する預言者だが彼を最初のムスリムとする。
ムハンマド 最大(神の言葉を唯一正しく伝えたから)で最後の預言者。
イスラム法 ムハンマドの言行録を元に作られる。ムスリムの掟。
ウンマ イスラム共同体のこと。
ジハード もともとはアッラーの教えを広めるよう努力すること。
カリフ 代表者のこと。初代~4代目までを正統カリフという。

六信 神、天使、聖典、預言者、来世、天命

五行 信仰告白、礼拝、断食、喜捨(財産を貧しい人に分ける)、巡礼


バラモン教
ヒンドゥー教の原型。
カースト制度(聖職者バラモン>貴族クシャトリヤ>庶民ヴァイシャ>奴隷シュードラ)
カルマ 生前に積み重ねられた行ない
因果応報、自業自得、輪廻転生

ウパニシャッド(奥義書)哲学
ブラフマン(宇宙)とアートマン(自我)を一体化(梵我一如)するために苦行やヨガをする。

ジャイナ教
ヴァルダマーナが開祖。苦行とアヒンサー(不殺生)。厳しい。

仏教
ガウタマ=シッダールタが開祖。座禅して瞑想して悟り。
快楽だけでなく、苦行も否定。すべての生命に愛。慈悲。
初転法輪 ブッダの最初の説法
無明 苦しみの元である根本的無知のこと
涅槃(ニルヴァーナ) 真理を体得して無知を滅した時(解脱)にやってくる安らぎ

四門出遊
ブッダはお城の東西南北の門でそれぞれ老人、死人、病人、修行者に出会ったことで出家したというお話

四苦八苦
生・老・病・死
愛別離苦 愛する人との別れ
怨憎会苦 憎いものと出会う
求不得苦 求めるものが得られない
五蘊盛苦 肉体と精神が思うままにならない

諸行無常 あらゆるものは変化する
諸法無我 それ自体独立して存在するものはない=アートマンもない!(バラモン教と逆)

四法印 一切皆苦、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静

四諦(したい)
四つの真理という意味。苦諦(人生苦しい)、集諦(苦しみは煩悩のせい)、滅諦(煩悩をなくすと涅槃の境地に)、道諦(そのための修行法は八正道だよ)

八正道
正見(正しい見解)、正思(正しい思考)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行い)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい事を心にとどめる)、正定(正しい瞑想)

五戒
殺さない、盗まない、淫らな事をしない、嘘をつかない、酒を飲まない

原始仏教→上座部仏教(保守派)、大衆部仏教(革新派)

小乗仏教(上座部仏教)
個人の解脱。人間は仏になれない。自利の仏教

大乗仏教(北伝仏教)
みんなの救済。誰でも仏になれるよ。利他の仏教
般若、華厳、法華

菩薩 大乗仏教で仏になろうと誓った人

儒家

孔子 
周が弱体化した春秋時代の学者。古代の歴史書に学ぶ。特に初期の周で封建制度を制度化した政治家周公を尊敬。
礼(仁が態度になって現れること)を重んじる。
ちなみに、仁は他者への親愛のことで、孝(親の親愛)、悌(兄弟への親愛)からなる。
克己復礼 わがままを抑えて礼に従う
徳治主義 人徳のある人が国家を収めるべきだという考えで法治主義の逆。

孟子
性善説。人は生まれながら道徳心を持っている。
浩然の気 正しいことをしようとする意欲
大丈夫 高い道徳心を持つ理想の人
王道政治 徳に基づいて人民の幸福を目指す政治。武力に訴える覇道政治の逆。
易姓革命 王朝の姓が変わること。

四徳 仁(思いやり)、義(正義の心)、礼(礼儀正しさ)、智(道徳的判断力)

荀子
礼治主義。人間は利己的なので(性悪説)礼に基づく教育によって矯正が必要

前漢の時代に儒教は公認の学問になり、宋の時代に朱子学(儒教+仏教)、明の時代に陽明学ができた。

朱子学
理気二元論、性即理(理性が原理を捉えること)、居敬窮理(理を極める)
『大学』『中庸』『論語』『孟子』が基本経典。科挙の必須科目に。

陽明学
王陽明が確立。理性重視の朱子学を批判し、欲望や感情も肯定(心即理)。
孟子の性善説を継承。主体性(致良知)や具体的実践を重視(知行合一)。

墨家

墨子
兼愛 一切の区別のない平等な愛←孟子が批判!
交利 人を愛すれば愛され、人を憎めば憎まれること。
非政 非戦論。自衛戦争はOK
節用 為政者は倹約しろ
尚賢 能力のある人は身分に関係なく積極的に登用

法家

韓非子
荀子の性悪説に影響。
法治主義 褒美や刑罰で社会秩序を維持。
中央集権と富国強兵。秦の始皇帝に影響。

道家

老子
儒家を批判。無為=道徳、礼儀、学問、知識、技術みんな否定。
無為自然 水のようにありのままに生きろ
無為の治 政治家なしで自然と社会が安定するのがいい政治
小国寡民 自給自足の小さな共同体

荘子(胡蝶の夢)
万物斉同 価値や意味など人間の作った差別、対立を超えたありのままの世界
逍遙遊 すべてを受け入れて自然の世界と遊ぶ様。
真人 逍遙遊の境地に達した自由人のこと
心斎坐忘 分別やこだわりを捨て、自分を忘れる

その他の諸子百家
陰陽家 陰陽五行説(火、水、木、金、土)
兵家 兵法
名家 言葉の分析

地誌学概説覚え書き

参考文献:矢ヶ崎典隆、加賀美雅弘、古田悦造編著『地誌学概論』

歴史地誌的アプローチとその利点
歴史地誌的アプローチとは、時間軸に沿って、地域の景観、土地利用、資源の利用形態、生活文化、産業活動などの移り変わりを明らかにして地域性を解明するアプローチのこと。
利点①ダイナミックな地域の変化を把握し、そのメカニズムを検討できる。
利点②現在の地域性を歴史的な背景と変化に基づいて説明することができる。
利点③ミクロスケールの地域も、マクロスケールの地域も設定可能。

三大宗教の分布(4月出題)
世界三大宗教はキリスト教、イスラム教、仏教だが、宗教人口の内訳を見ると、キリスト教が33%、イスラム教が20%、ヒンドゥー教が13%で、仏教は信者の人口の数では第4位(6%)だったりする。
キリスト教はヨーロッパ系の人が多く住む地域(ヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど)に普及している。
キリスト教はエルサレムが発祥地で、ローマ帝国の拡大に伴ってヨーロッパ全土に普及、4世紀にローマ帝国が西と東に分裂すると、西はローマカトリック、東は東方教会となり、16世紀の宗教改革では教会主導型のカトリックから、住民主導型のプロテスタントが分派している。そのような経緯からカトリックはヨーロッパ西部、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカ、フィリピン(スペインやポルトガルの植民地)に、プロテスタントはドイツから北欧、イギリス、アングロアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。東方教会はロシアやCIS諸国、ギリシャなどに信者が多い。
イスラム教は多数派で指導者を公平に選ぶスンニ派と、少数派で指導者をマホメットの子孫に限定するシーア派に分かれ、北アフリカや西アジアの乾燥地帯、パキスタン、バングラディッシュ、マレーシアといった東南アジアなどに信者が多い。
仏教は大乗仏教(日本、韓国、東アジア)、上座部仏教(タイ、ミャンマー、スリランカなどの東南アジア、南アジア)、チベット仏教(チベット、モンゴル、ネパール)などに分けられる。

グローバル化と文化景観の変化
グローバル化は人、財、資本、サービス、情報の国際的移動が活発になり、世界における経済的結び付きが強まること。
グローバル化は制度的な障壁(入国管理、関税、投資規則)や文化的な障壁(民族、言語、宗教)の撤廃、交通インフラの整備、通信情報技術の革新によってもたらされた。
グローバル化は国や地域の文化景観(人間によって作られた景観)に影響を与え、日本では、様々な文化的要素が無秩序に流入することにより、混沌とした多様な文化景観の構築と、マクドナルド化に代表されるような文化景観の標準化、画一化が、相互に関連しながら同時に起きている。

無秩序化・多様化
かつての文化景観のアイデンティティを弱める。新たな文化景観の創出。景観のアイデンティティの見直し。地域活性化に繋がることも。

標準化・画一化
地域や場所の個性を無視。どこでも同じような景観作り。

中国の退耕還林政策
退耕還林政策は、生態系保護の代表的なもので、土壌流出が顕著とされる傾斜が25度以上の土地の耕作をやめてそこに植林を行なっていくものである。これによって耕地を取り上げられた農民に対しては一定期間の補償と一部山林の経済的利用が認められる。
中国全体の統計で言えば、耕作をやめた農民の収入は増加、自然観光の改善によって観光客が増え農村経済も向上しているが、山間部では耕地を減らして食料を自給できなくなると生活が立ち行かないという切迫した状況がある。彼らが耕地と引き換えに受け取る補償も中長期的な生活を保障するものではない。

アメリカの移民とホスト社会
ホスト社会とは多民族社会、多文化社会における多数派の社会のこと。エスニックマイノリティーの対義語。
ホスト社会が少数派の移民に対する感情は時代と共に変化しており、新たな移民はアングロサクソン系のアメリカ社会に同化することが望ましいという同化論から、20世紀に入るとヨーロッパ移民がそれぞれの伝統を維持しながら統一されたアメリカを形成するというメルティングポット(るつぼ)論に、現在ではアメリカを多民族多文化社会であると考えるサラダボウル論が一般化している。しかしこの議論(文化相対主義)が行き過ぎるとアメリカが分裂しかねないという危惧もある。

東南アジアの緑の革命
緑の革命とは稲の新品種の普及をテコにした技術革新のこと。フィリピンと中心として開発された品種により、肥料反応性の向上による多収化、生育期間短縮による二期作の拡大が実現した。しかし米の輸出国として品質管理に慎重な姿勢をとったタイや、政情不安定から新品種の導入が遅れたインドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)など、普及の進め方には国によって違いがあった。
また資金や水利に恵まれない階層や地域では経済格差が生じ、肥料の購入などの補助や水利開発を組み合わせたパッケージプログラム方式が導入されるといった配慮がなされた。
緑の革命の結果、80年代にはフィリピンやインドネシアなど米輸入国は自給が達成され、農村の経済水準が向上し、国際市場の米の需要は緩和(供給量が需要を上回ること)された。

中東とは何か
中東(ミドルイースト)はイギリスやフランスから見て中東ということ。
帝国主義の領土的関心(植民地支配の戦略)から、イギリスやフランスから近い東方は近東(バルカン、トルコ~レバノン、シリア)、オスマン帝国よりも東のイラン~アフガニスタンを中東と呼んでいたことに由来する。
現在でも中東が示す領域ははっきりしていないが、イランから西、アラビア半島、トルコ、エジプトからモロッコあたりまでを示すことが多い。場合によってはソマリアや西アフリカ、アフガニスタンを含めることもある。
日本から見れば中東は東ではないのだが、西アジアと呼ぶと、中東エリアが今なお続く紛争や戦争の舞台になってきたという地域の歴史性が消えてしまう。さらに中東エリアに住む人たちも自分たちの地域を中東と呼んでいたりする。

EUの成立と発展(8月出題)
ヨーロッパでは世界に先駆けて産業化が進み、19世紀に入ると工業化を進める国家のあいだで競争が激化、石炭と鉄鉱石の争奪戦が起きた。
19世紀後半~20世紀前半にかけてドイツ西部のザール炭田とフランス東部のロレーヌ地方の鉄鉱石、ライン川の交通路をめぐってドイツとフランスは激しく争った。
しかし世界大戦によってヨーロッパの経済は疲弊、その地位は凋落してしまう。第二次世界大戦後、西ヨーロッパにおいて紛争の火種になる資源を国家間で共有し、協力体制を築くために、石炭と鉄鋼の関税引き下げ(石炭鉄鋼共同体ECSC)、産業部門全体の経済協力(ヨーロッパ経済共同体EEC)、原子力資源の協力(ヨーロッパ原子力共同体EURATOM)が実現した。
70年代にはECは西ヨーロッパの国家群の代名詞となり、さらに東西冷戦構造が終わるとECは東ヨーロッパに対する統合としての意義を失い、91年のマーストリヒト条約によって93年にEUが誕生する。95年には加盟国は15カ国に、シェンゲン協定に加盟した国での国境の行き来は自由になった。02年には共通通貨ユーロが導入されている。
04年になると東ヨーロッパの旧社会主義国をはじめとして10カ国が新たに加盟、多様な地域から形成されるEUには公用語や地域間格差など様々な問題がある。

ラテンアメリカの人種構成
①先住民のインディオ人口が多いタイプ(ペルー、ボリビア)
②メスティソ(白人+インディオ)の人口が多いタイプ(メキシコ、ベネズエラ)
③ムラート人(白人+黒人)の人口が多いタイプ(ドミニカ共和国、パナマ)
④白人人口が多いタイプ(アルゼンチン、ウルグアイ)
⑤黒人人口が多いタイプ(ハイチ)
⑥多様な人口構成になっているタイプ(ブラジル)
ラテンアメリカでは社会の最上位は白人であり、白人でない者は少しでも白人に近づきたいと、自分がインディオや黒人じゃないことをアピールした。
18世紀には混血者が厳密に細分化され、格上げ恩赦の勅令で、混血者でも教育や品行に問題がなければ白人になることができた(ただし有料)。
18世紀後半になると同じ白人でも、宗主国から派遣された白人(ペニンスラ)と、植民地生まれの白人(クリオーリョ)が対立し、19世紀に入ると各地で独立運動が勃発、メスティーソの社会的地位が向上し、混血性こそがラテンアメリカの本質であるというイデオロギーが高揚した。これにより白人の優位性は建前としては否定された。

IMFと世界銀行の構造調整政策
構造調整政策とは、国際収支が困難になった開発途上国に外貨を貸し出すことと引き換えに、為替の切り下げ(自国通貨のレートを下げること)、財政・金融の緊縮政策(歳出を減らす)、対外経済自由化、規制緩和、民営化、行政の合理化などが要求される政策。
これは輸入依存の高いアフリカ諸国では逆にインフレを起こし、低所得者層の生活は一層苦しくなった。
ケニアでは80年代から構造調整政策が行われ、合理化と自由化の下、大量の下級公務員が失職、安い輸入品はケニアの製造業を直撃、国家の統制を外された主食のとうもろこしやパンの価格は高騰してしまった。
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