ついにマクロ経済学編突入!!ミクロ経済学が個々の市場を分析していたのに対して、マクロ経済学は、政府、企業、家計・・・と、一つの国の経済全体を考える。とはいえ国家はほかの国と貿易しているので、とどのつまり世界経済にまで話は広がってしまう。
言ってみれば、マクロ経済学とは国家経済、世界経済の処方箋を書いてやることであり、その対処法の仕方は言うまでもなく医者(経済学者)によって異なる。そんなわけで今回は、マクロ経済学の歴史をおさらいしてみよう。
18世紀:重商主義から市場主義へ
アダム・スミス(古典派経済学)
今じゃ古典派って言われちゃっているけれど、アダム・スミスはイエッス近代経済学の父。
この人はもともとは経済学じゃなくて、サンデル教授のように政治哲学や道徳の先生だった。そこで、世の中こんなにも自分勝手で利己的な奴ばっかなのに、なんで案外社会がうまくいってるんだろう?という疑問を抱き、意外と自分の利益だけ考えても、その行動が他者にとって許されているならば結果的に秩序ができるんじゃないの?ということを考えた(『道徳感情論』)。
その後、『国富論』(1776年)で本格的に経済問題に切り込み、富とは金銀財宝ではなく、絶えず消費されるもの(消費財)であると定義した。つまり、経済学覚え書き①でちょっとだけふれたけど、アダム・スミスは当時の重商主義を批判したわけ。
重商主義っていうのは、産業革命の前までヨーロッパで一般的だった考え方で、国家がモノを輸出して、その代金として他の国から貴金属を受け取り、その量を増やしていけば国家は豊かになるという考え方だ。つまり、重商主義において輸入なんてもんはあっちゃいけない、極力やらずに越したことはないものになる。国内の貴金属が減っちゃうからね。
これに対してアダム・スミスは輸入でも国は豊かになるよと説いたわけ。そしていろんな国と積極的に自由貿易をすることで、強い産業に労働力や資本が流れていくようになり、それが結局のところ、国全体を豊かにする冴えたやり方なんだと考えた。市場の価格メカニズムに任せればうまくいくということ。
変に政府が市場に介入すると、例えば財政政策で国債を発行すると、市中の金利は上がって(国債をみんなに買ってもらえるように政府が金利を上げるから)、かえってお金が借りにくくなり民間の消費や投資は落ち込む可能性だってある(クラウディングアウト)。
だから、政府は国防と、司法行政、あと公共施設やサービス(社会資本)だけやって、あとは自由に任せたほうがいいというレッセフェール、小さな政府を論じた。
ただし、これまで見てきたように、市場任せにはいろいろ問題点もある。例えば、独占や、外部効果、そして情報の非対称性によるグレシャムの法則だ。
19世紀:資本主義の完成と搾取
アルフレッド・マーシャル(新古典学派)
経済学という学問を確立させた巨匠で、ケインズとピグー税のピグーの師匠でもある(いろんな人にめっちゃ慕われていた)。ミクロ経済学の黄金の十字架、需要供給曲線を引いたのはこの人。価格弾力性の理論もそうだし、貨幣発行量と名目GDP(物価変動を考えないGDP)の割合を示す係数kはマーシャルのkと言われている。
アダム・スミス同様、この人も政治哲学出身で、功利主義のJSミルや、比較生産費説のリカードを研究しながら経済に入った。彼のモットー「経済学者に必要なのは冷静な頭脳と温かい心」は名言として有名。
カール・マルクス(マルクス経済学)
アダム・スミスの考え方を増補したのがマーシャルならば、徹底的にその利己主義を批判したのが同志マルクス兄弟。プロシア帝国出身で、産業革命と資本主義で悲惨な状況になった労働者の現状を問題視し、共産主義運動を開始。当局にいろいろ狙われて、最終的にイギリスに亡命。大英博物館の図書館で『資本論』の第一巻を執筆する。
面白いのは、マルクスがこの本を集中して執筆できるようにエンゲルスが金銭的に支援してくれたこと。さらにエンゲルスは、マイクル・クライトンにおけるリチャード・プレストンのように、マルクスの死後、未完になっちゃった『資本論』2巻と3巻の残りを書いて完成させている。近年稀に見る美談である。
世の中はレイバーやワーカーの尊い労働によって富や財産が生まれているが(労働価値説)、雇用主はその利益をさらに上げるため、低賃金で長時間労働者を酷使し、その労働力を搾取するようになる。それがエスカレートすると、とうとう労働者の堪忍袋の緒が切れて、革命が起きて資本主義は崩壊する。そんなアルマゲドン的な筋書きは、ヨーロッパの宗教観に見事にマッチしめちゃくちゃ流行った。
当時の現代思想の論壇では、このマルクス主義(歴史によって社会は決まっていく)の是非が争われた。言ってみれば、マルクス主義はすごい客観的かつ科学的(進歩主義的)で、このような味気ないものの見方を唯物史観という。これを補うのが実存主義だ、と言ったのが、あのサルトル。
マルクスは、モノには使用価値と交換価値の二つがあるとして、その価値の基本的な尺度になるのが、そのモノを作るのにどれくらいの労働量を投下したかなんじゃないかと考えた。
そして、資本家が大儲けしていくという実態は、労働者をその給料以上に働かせている、つまり労働者の機会費用をあこぎなまでに搾取しているんじゃないかと批判した。例えば給料据え置きで労働時間を増やすと(剰余労働の追加)、それがそのまま利益の増加になる。これを絶対的剰余価値という。
また、給料を出さなきゃいけない必要労働時間を下げて、剰余労働時間を相対的に上げても剰余価値は発生する、サービス残業的な。これを相対的剰余価値という。これを達成するためには技術を向上させて(設備投資など)、同じ時間にさらに多くの製品が作れるようにさせればいい。つまりスピードアップ。もしくは労働者の給料をカットする。
まあ、こんなことを繰り返していたら過剰労働人口が増えるわけで(産業技術の進歩による労働者余り=失業者増加)、労働者と資本家の経済格差はますます広がっていく。資本主義の末路はこんなものよ、とマルクスは考えた。
ただその代案として考えた計画経済も、あまりに効率が悪く(消費者のニーズに合わせて生産ができないから無駄が多い)、社会主義国家は行き詰まってしまった。ちなみにマルクスが考えた社会の最終形態、共産主義は物質的に豊かになりすぎて国境もなくなったユートピア世界だった。SFじゃないけれど、そんな世界はいつか来るのだろうか。
20世紀前半:市場主義から設計主義へ
ジョン・メイナード・ケインズ(ケインズ経済学)
供給量によって需要が決まるというセイの法則というのがある。つまりメーカーが作りすぎたら価格メカニズムによって値段が下がるので、それに応じて需要が増えるというやつだ。しかし、この価格メカニズムが働かず売れ残りが膨大に出てしまったことがある。それが世界恐慌だ。この状況に対して、実際には需要によって供給が決まるんじゃないの?と考えたのが、マクロ経済学の父と言われるケインズだ。
世界恐慌以前は各国は均衡財政政策をとっており、政府の支出は全て税金でまかなわれていた。つまり税収が落ちると政府の財源はそれだけなくなり、どうにもならなくなってしまう。そんな状態で世界恐慌が起きたわけで、社会はめちゃくちゃ。そこで、支出を切り詰めるしかなく、失業問題(失業は失業しちゃう労働者=自発的労働者のせいだと考えられていた。対義語は非自発的失業者で働きたくても働けない人)に何も手を打てなかった政府に、赤字国債を発行して、借金でとりあえず需要を増やそうよ、アドバイスをしたのがケインズなのだ。
彼の考え方は修正資本主義とも言われ、その業績は数え切れない。ケインズは、第一次世界大戦のパリ講和会議にも参加、敗戦国ドイツの処分があまりにも無慈悲(GDPの三倍の賠償金なんかドイツは払えねえ)だということで警告を発したが、ロイド・ジョージ首相には聞き入れてもらえなかった。結局、このベルサイユ体制は第二次世界大戦の勃発という最悪の結果で崩壊するが、皮肉にも戦争でもGDPや需要は増えるし失業もなくなるよ、というケインズの理論が証明されることになった(ヒトラーのアウトバーン建造もそれ)。
第二次世界大戦では、ケインズが唱えた政府による経済介入をルーズベルト大統領がニューディール政策として実施し、社会保障が先進国で充実するようになった。
ケインズは企業の投資行動を、将来への希望とアニマルスピリットで説明。投資(需要)は、現在の金利よりも、今後の経済の先行きが重要なんじゃないか、と考え、いくら金利を下げても有効需要(実際に供給でまかなえる需要のこと)が増えないという、金融政策が意味をなさない状態を流動性の罠と名付けた。
似たような話で、リカード仮説(減税政策はどうせ一時的なんじゃないの?と国民が判断することで、貯蓄が消費に回らないという仮説)というのもある。
20世紀後半~現代:どうする財政赤字
フリードリヒ・ハイエク(オーストリア学派)
ケインズの最大の問題点は財政赤字が雪だるま式に大きくなってしまうということだ。ケインズの予想では、政府は財政が黒字に転化したら、赤字国債を国民に返済するはずだったのだが、政治家も人間。踏み倒すのが人情とばかりに、将来世代にツケを残してしまった。オレそんときには死んじゃってるもんね~みたいな。
アメリカではケインズの考え方で60年代あたり(ケネディ大統領あたり)まで黄金時代を築いていたが、カーター大統領になると、歯止めが効かない需要とインフレが深刻になり、いい加減この方法ヤバイんじゃないかってなり、最悪のスタグフレーションになってしまう。ホワイトハウスの生中継で、ちょっと無駄遣い何とかしてくれない?と国民に呼びかけたが、次の選挙で企業の広告塔として活躍した俳優、ロナルド・レーガンが大統領に当選し、新古典学派、マネタリズムが巻き返すことになる。
つまりケインズの方法の副作用が顕在化してきたのだ。このケインズの論敵だったのがハイエクだ。ハイエクはケインズが考えた累進課税制度を批判。フラット税制を支持。リアルな世界は人間の想像以上に複雑で単純な数式で表せるものではないと、警鐘を鳴らした。
金融機関の需給バランスで決まる貨幣利子率が、投資と貯蓄を均衡させる自然利子率を下回る場合、投資が超過しバブルが発生、そのあと需要(投資)に生産が追いつかず反動で弾けてしまうと考えた。
よって、市場に政府は極力介入せずに、通貨供給量の安定に専念するべきだというリバタリアニズムが広まっていくことになった。ただ後のフリードマンほど、なんでも自由でOKというわけではなく、銃火器みたいな危ないものは社会が規制したほうがいいと考えていた。
つまり、人間の理性や合理主義をそこまで信じてはおらず、頭がいくらいいヤツでも限界はある、だったら市場の当事者に任せた方が一番いいんじゃないか、という消去法で市場の自由(規制緩和)を主張したのだ。この考えはマルクスを殺したとも言われ、イギリスのサッチャー(や多分安倍さん)などに大いに影響を与えることになる。
ヨーゼフ・シュンペーター(オーストリア学派)
進化論で「赤の女王仮説」というものがある。生物は絶えず進化していかないと生存競争で負けて淘汰されてしまう。つまり自然界とはいわば、ランニングマシーンであり、同じ位置にとどまるためには常に走り続けなくてはならない。これと同じことを国家財政において論じたのが、経済成長理論の提唱者シュンペーターだ。
つまり古典的な見方では市場の均衡は富の最適配分状態であると考えるが、シュンペーターによればそれは宇宙の熱的死と一緒で、なんの利益ももたらさない停滞状態にほかならない。だからこそ企業は常にイノベーションによって破壊と創造を繰り返す必要がある。
この技術革新の重要性(内生的成長理論)は現在の経済学でとりわけ重要視されているものである。なぜならば、現在の先進国では資本がいくら投入されてもGDPは伸び悩んでしまうのだ。こうなると、どう考えても高度経済成長期のようなGDPの飛躍は望めない。その原因の半分以上が、実は技術革新が頭打ちになっていることだと考えられている(ソーローモデル)。
オバマ大統領はこれを受けて、グリーンニューディール政策を試みたが、その結果は芳しくない。池上彰さんによれば、エコビジネスはまだ市場が小さく、そのため雇用が生み出せないでいると指摘している。中長期的には意味があるのだが、短期的な効果は出にくいのだ(技術開発はとにかく固定費用が高い)。
また、経済が停滞してしまった先進国は、優秀な人材を開拓の余地がある(パレート非効率状態)の開発途上国に送ったほうが最終的にはいいんじゃないか、そしてマルクスの考え方って実は案外正しくて、資本主義があまりにエスカレートするとやっぱり社会主義に移っちゃうよ、など様々な提言をした。
政治学覚え書き①(政策争点)
2014-01-20 16:51:11 (11 years ago)
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- 政治
経済学は、ここで割とまとめていたけれど、政治学の方はさっぱりだったんで、ついに待望の覚え書き。ケインズVSハイエクに爆笑している場合じゃない!もはや戦後ではない!
政策対立軸
右とか左とか、保守とか革新とか言うけれど、その判断基準になるようなもの。日本では1950~80年代(戦後の自民党政権)までは、保守、革新(進歩)の基準となった争点は以下の4つ。
①憲法改正問題:もともと自民党はこれをするために結成されたらしい
②防衛問題:日本特有で、欧米では争点にすらなっていない。だって自分の国の防衛を自分たちでするのは当たり前でしょ?みたいな。
③天皇制:GHQが残してくれた。
④労働者のストライキ:とはいえ日本の労働組合は、欧米のような超企業的組織(ようは職種ごとに組合ができているってやつ)ではなく、同一企業の労働者だけで構成されている特徴がある(帰属意識が強い企業内組合)。
新しい争点
環境問題、既成政党批判(政治をプロからアマチュア=市民に!)、小さな政府か大きな政府か(93年の政界再編においてさらに取りざたされるように)、外国人労働者の排除、夫婦別姓問題、特定秘密保護法などの社会的規制に関わる問題。
ちなみに、リバタリアニズムの中核をなす考え方を自由放任主義(レッセフェール)という。
右か左か?
(左)共産党<民主党(中道?)>自民党(右)
冷戦時代は左が社会主義、右が資本主義だった。ただ冷戦終結後この分類はあまり意味をなさない。そもそもフランス革命の頃になると、また事情は違う。右:ジロンド党、左:ジャコバン派。
さらに、これは保守、革新と必ずしも一致しない。つーかややこしい。ねじれがひどい。
政治イデオロギーの現在
現在は政治的統制、経済的統制、文化・社会的統制といった複数の尺度で、政治イデオロギーを分類する。
x軸を経済的統制、y軸を政治的統制にして座標を書くと・・・
第一象限(政治的統制:強、経済的統制:弱)・・・伝統的保守、新保守、保守主義志向
第二象限(政治的統制:強、経済的統制:強)・・・社会主義
第三象限(政治的統制:弱、経済的統制:強)・・・社会民主主義、革新主義志向
第四象限(政治的統制:弱、経済的統制:弱)・・・リバタリアニズム、無政府主義
ダウンズの空間競争モデル
正規分布の中心の多数派である中位投票者を取り込むような政策を打ち出した政党(中道政党)が選挙に勝つという理論。
コンドルセの投票のパラドクス
空間競争モデルを踏まえて、政策対立軸が3つ以上ある場合、どの政党が最も望ましいかが判断できなくなってしまうこと(アローが一般可能性定理として証明)。
A党は環境政策、B党は安全保障、C党は政府規模と争点がバラけると多数決で判断できない。
そう言う意味で小泉さんは、郵政解散といい、原発都知事選といい、単一の争点(シングルイシュー)に絞り込ませることで選挙戦を単純化し、小泉劇場にしちゃう。つええ。
税制問題
①人頭税
中国史で出てくるやつ。金持ちも貧乏人も同額の税金を納める。納税額×人の頭の数ぶんだけ徴収できる。もちろん貧乏人の方が厳しい。これを逆進性という。
②フラット税制
比例税とも言う。ケインズVSハイエクのハイエク氏も支持。どんな人も決まった税率を納税する。例えばどんな人も年収の20%を納税みたいな。
③累進税制
日本でお馴染みの累進課税。金持ちなほど、税率が高くなる。富の再分配の機能、いわゆるビルトイン・スタビライザーの一種。
ケインズVSハイエクのケインズが支持・・・つーか考えた。あいつマジ天才。
レントシーキング
企業が自分の商売に都合がいいように、政府に働きかける活動のこと。ブッシュ政権ではゴールドマンサックス、レーガン政権ではメリルリンチみたいな。
レントとは、政府が規制をすることによって発生する利潤のことで、規制緩和が起きるとその利権が大きかったことがわかる。規制されていたことで、質の悪いお店や企業が守られていたということ。保護政策が必ずしも、ビジネスを発展させないという話。
シカゴ学派の重鎮、ノーベル経済学賞のスティグラーは、この状態を批判した。
社会契約説
取り沙汰されたのは18世紀。
個人の合意によって国家が形成されるべきだという、おなじみの説。
つまり国家や政府は、各個人の自由な判断によって人工的に作られたという暗黙の了解がある。
ロックは自然権の中でもとりわけ私有財産に対する不可侵の権利を主張。
命や肉体が自分のものならば、それを使って獲得した財産も自分のものでしょうという。共産主義なんて知らん!
信仰・思想・表現の自由
16~17世紀にかけて繰り広げられた宗教戦争の泥沼から、いい加減、自分と異なる価値観を認めてやらないとオレ達全滅だって気づいて作られる。寛容の原則の確認がポイントだが、あんたら本当に聖書読んだんかっていう強い思いが私の中でこみ上げてきます。
スピノザ、ロック、ヴォルテールなどが啓蒙したことで有名。
それは国家の中立性にも影響を与えていく。
権力分立
18世紀のモンテスキューがパイオニア・・・と思ってたら、別の本ではロックがパイオニアって書いてある!!
人間っていうのはポストに味をしめると際限なく権力を求めてしまうというニヒルな人間観に基づき、単一の権力だと何をしでかすかわからないので、権力を分立させることを提案した。抑制と均衡のメカニズム。
立法、行政、司法だけでなく、上院と下院、中央と地方、派閥と政党と圧力団体といった具合に用いられる。
ロックの権力分立:君主に執行権と外交権を残し、立法権は議会にあるとした。
バーリンの消極&積極的自由
①消極的自由
誰からも干渉されていない状態を指す。
バーリンは福祉国家もこの消極的自由を侵害するとして否定(小さな政府論)。
②積極的自由
セルフエスティームのこと。カントの自由、自律(定言命法)はこっち。
バーリンはこちらの考え方が行き過ぎることを懸念。パターナリズムや全体主義が起きちゃうからだ。
自由主義の3類型
古典的自由主義
すべての個人に国家や宗教組織からの強制からの自由を与えるという考え方で、これは個人が自分の好き勝手に振舞うことを保障するのではなく、政治的な自由を問題にしている。
古典的自由主義における社会的共存に必要なルールは、生命と私的所有の保障、信仰、思想、表現の自由、権力多元性の確立(権力分立)である。
古典的自由主義の考え方は、20世紀に入ると消極的自由(他者からの干渉を受けない自由)の他に積極的自由(自律、自己支配としての自由。セルフエスティーム)という新たな問題が発生し議論は哲学的に複雑化することになる。
福祉国家型自由主義
福祉国家型自由主義とは、富の再分配、教育、社会保障といった政府の介入が、最終的に個々人の自由を保障するという考え方であり、福祉政策は経済にとって望ましい効果を持つと論じたケインズやアメリカのリベラル派がこれにあたる。
リバタリアニズム
リバタリアニズムは、福祉国家型自由主義を批判するかたちで現れたもので、政府の介入は最小限にするべきという夜警国家(安価な政府)的な考え方であり、古くはアダム・スミスなどの古典学派、またハイエクやノージックなどがあたる。つまりかつての社会主義のように不平等の是正が時に個人の自由に著しい侵害(モラルハザードなど)をもたらすと警告する。
政策対立軸
右とか左とか、保守とか革新とか言うけれど、その判断基準になるようなもの。日本では1950~80年代(戦後の自民党政権)までは、保守、革新(進歩)の基準となった争点は以下の4つ。
①憲法改正問題:もともと自民党はこれをするために結成されたらしい
②防衛問題:日本特有で、欧米では争点にすらなっていない。だって自分の国の防衛を自分たちでするのは当たり前でしょ?みたいな。
③天皇制:GHQが残してくれた。
④労働者のストライキ:とはいえ日本の労働組合は、欧米のような超企業的組織(ようは職種ごとに組合ができているってやつ)ではなく、同一企業の労働者だけで構成されている特徴がある(帰属意識が強い企業内組合)。
新しい争点
環境問題、既成政党批判(政治をプロからアマチュア=市民に!)、小さな政府か大きな政府か(93年の政界再編においてさらに取りざたされるように)、外国人労働者の排除、夫婦別姓問題、特定秘密保護法などの社会的規制に関わる問題。
ちなみに、リバタリアニズムの中核をなす考え方を自由放任主義(レッセフェール)という。
右か左か?
(左)共産党<民主党(中道?)>自民党(右)
冷戦時代は左が社会主義、右が資本主義だった。ただ冷戦終結後この分類はあまり意味をなさない。そもそもフランス革命の頃になると、また事情は違う。右:ジロンド党、左:ジャコバン派。
さらに、これは保守、革新と必ずしも一致しない。つーかややこしい。ねじれがひどい。
政治イデオロギーの現在
現在は政治的統制、経済的統制、文化・社会的統制といった複数の尺度で、政治イデオロギーを分類する。
x軸を経済的統制、y軸を政治的統制にして座標を書くと・・・
第一象限(政治的統制:強、経済的統制:弱)・・・伝統的保守、新保守、保守主義志向
第二象限(政治的統制:強、経済的統制:強)・・・社会主義
第三象限(政治的統制:弱、経済的統制:強)・・・社会民主主義、革新主義志向
第四象限(政治的統制:弱、経済的統制:弱)・・・リバタリアニズム、無政府主義
ダウンズの空間競争モデル
正規分布の中心の多数派である中位投票者を取り込むような政策を打ち出した政党(中道政党)が選挙に勝つという理論。
コンドルセの投票のパラドクス
空間競争モデルを踏まえて、政策対立軸が3つ以上ある場合、どの政党が最も望ましいかが判断できなくなってしまうこと(アローが一般可能性定理として証明)。
A党は環境政策、B党は安全保障、C党は政府規模と争点がバラけると多数決で判断できない。
そう言う意味で小泉さんは、郵政解散といい、原発都知事選といい、単一の争点(シングルイシュー)に絞り込ませることで選挙戦を単純化し、小泉劇場にしちゃう。つええ。
税制問題
①人頭税
中国史で出てくるやつ。金持ちも貧乏人も同額の税金を納める。納税額×人の頭の数ぶんだけ徴収できる。もちろん貧乏人の方が厳しい。これを逆進性という。
②フラット税制
比例税とも言う。ケインズVSハイエクのハイエク氏も支持。どんな人も決まった税率を納税する。例えばどんな人も年収の20%を納税みたいな。
③累進税制
日本でお馴染みの累進課税。金持ちなほど、税率が高くなる。富の再分配の機能、いわゆるビルトイン・スタビライザーの一種。
ケインズVSハイエクのケインズが支持・・・つーか考えた。あいつマジ天才。
レントシーキング
企業が自分の商売に都合がいいように、政府に働きかける活動のこと。ブッシュ政権ではゴールドマンサックス、レーガン政権ではメリルリンチみたいな。
レントとは、政府が規制をすることによって発生する利潤のことで、規制緩和が起きるとその利権が大きかったことがわかる。規制されていたことで、質の悪いお店や企業が守られていたということ。保護政策が必ずしも、ビジネスを発展させないという話。
シカゴ学派の重鎮、ノーベル経済学賞のスティグラーは、この状態を批判した。
社会契約説
取り沙汰されたのは18世紀。
個人の合意によって国家が形成されるべきだという、おなじみの説。
つまり国家や政府は、各個人の自由な判断によって人工的に作られたという暗黙の了解がある。
ロックは自然権の中でもとりわけ私有財産に対する不可侵の権利を主張。
命や肉体が自分のものならば、それを使って獲得した財産も自分のものでしょうという。共産主義なんて知らん!
信仰・思想・表現の自由
16~17世紀にかけて繰り広げられた宗教戦争の泥沼から、いい加減、自分と異なる価値観を認めてやらないとオレ達全滅だって気づいて作られる。寛容の原則の確認がポイントだが、あんたら本当に聖書読んだんかっていう強い思いが私の中でこみ上げてきます。
スピノザ、ロック、ヴォルテールなどが啓蒙したことで有名。
それは国家の中立性にも影響を与えていく。
権力分立
18世紀のモンテスキューがパイオニア・・・と思ってたら、別の本ではロックがパイオニアって書いてある!!
人間っていうのはポストに味をしめると際限なく権力を求めてしまうというニヒルな人間観に基づき、単一の権力だと何をしでかすかわからないので、権力を分立させることを提案した。抑制と均衡のメカニズム。
立法、行政、司法だけでなく、上院と下院、中央と地方、派閥と政党と圧力団体といった具合に用いられる。
ロックの権力分立:君主に執行権と外交権を残し、立法権は議会にあるとした。
バーリンの消極&積極的自由
①消極的自由
誰からも干渉されていない状態を指す。
バーリンは福祉国家もこの消極的自由を侵害するとして否定(小さな政府論)。
②積極的自由
セルフエスティームのこと。カントの自由、自律(定言命法)はこっち。
バーリンはこちらの考え方が行き過ぎることを懸念。パターナリズムや全体主義が起きちゃうからだ。
自由主義の3類型
古典的自由主義
すべての個人に国家や宗教組織からの強制からの自由を与えるという考え方で、これは個人が自分の好き勝手に振舞うことを保障するのではなく、政治的な自由を問題にしている。
古典的自由主義における社会的共存に必要なルールは、生命と私的所有の保障、信仰、思想、表現の自由、権力多元性の確立(権力分立)である。
古典的自由主義の考え方は、20世紀に入ると消極的自由(他者からの干渉を受けない自由)の他に積極的自由(自律、自己支配としての自由。セルフエスティーム)という新たな問題が発生し議論は哲学的に複雑化することになる。
福祉国家型自由主義
福祉国家型自由主義とは、富の再分配、教育、社会保障といった政府の介入が、最終的に個々人の自由を保障するという考え方であり、福祉政策は経済にとって望ましい効果を持つと論じたケインズやアメリカのリベラル派がこれにあたる。
リバタリアニズム
リバタリアニズムは、福祉国家型自由主義を批判するかたちで現れたもので、政府の介入は最小限にするべきという夜警国家(安価な政府)的な考え方であり、古くはアダム・スミスなどの古典学派、またハイエクやノージックなどがあたる。つまりかつての社会主義のように不平等の是正が時に個人の自由に著しい侵害(モラルハザードなど)をもたらすと警告する。
キャピタリズム〜マネーは踊る〜
2014-01-16 14:29:04 (11 years ago)
「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆☆」
許せ。持病に保険は使えない。治療費は自己負担だ!
『アホでマヌケなアメリカ白人』のマイケル・ムーア監督のアメリカの経済体制を批判したドキュメンタリー映画。一言でまとめれば、資本主義は非民主主義だ!キリスト教の精神でも極悪非道!という内容。
これは、2013年最後にレンタル店で借りて見て、もっとも衝撃を受け、即DVDを購入した映画で、『ゼロ・グラビティ』は怖いといっても自分が宇宙飛行士になる確率はほぼ0だし、これまでのマイケル・ムーア作品も、どれも対岸の火事というか。
だから「可愛そうだなあ、大変だなあ。でもわたしはげんきです。」で済んでいた。『ボーリング・フォー・コロンバイン』※銃が規制されてる『華氏911』※そんなイスラム圏の人たちの反感買ってない『シッコ』※一応国民保険制度大丈夫・・・でも今回は他人事じゃいられない。この記事を読んでくれている人(特に社会人になる前の若者)。この映画は絶対見てほしい。そして是非考えて欲しい。
国家の90%以上の富を1%の富裕層が独占しちゃっている社会状況を、シティグループは富裕層向けの極秘文書で「プルトノミー」と名づけたらしいんだけど、日本もこのまま新自由主義的な改革が進めば、間違いなくこの構造になるし、実際半分くらいなりかかっている気もする。
幸いなのは、まだ社会保障制度が生きていることと、投資銀行のようなハイリスクハイリターンの不健全な金融システムが日本には存在しないという点。ただ、今後若い層を中心に、自由主義のが好き勝手できていいじゃん!て感じになると、ネットで鬱憤を晴らす若者の味方の安倍さんは、きっと自由のために戦ってくれるので、今のうちにプルトノミー社会に備えていったほうがいいのかもしれない。
この映画で取り上げられるプルトノミーという社会構造は、実際おととしに自分の作品(『CRIMSON WING』)にも取り上げ批判していたのだけど、今回経済学をちゃんと学んでから、もう一度考えると本当にシャレにならないように思えてくる。
あの作品では、題材となった中国でも問題になっているシャドーバンキング、いわゆる投資銀行は描かなかったし、サブプライムローンの巧妙な仕掛けも今思えばカットしたのはもったいなかった。まあ、当初は漫画の脚本として書いていたから、そこまで突っ込んだ話はストーリーのテンポ上不要だったんだけど、今回は小説ということで、ここら辺が描けると思うので、そこらへんの問題は小説を読んで欲しい。
じゃあ、この記事では何を書こうかっていうと、アメリカの経済がどのように変遷していったかをまとめて、ムーア監督が批判するネオリベ、新古典学派、マネタリズムは、実際どこにメリットがあってここまで支持されて、どこがいけないのか、また、ムーア監督はやっぱり民主党支持者っぽいのだけど、オバマさんがやろうとしているケインズ的な手法はなぜ第二次大戦後破棄されちゃったのか、どこに問題があったのだろうか、さらになぜムーア監督は、資本主義という経済的な議論に、かなりの尺をさいてキリスト教の教えを持ち込んだのか。そこらへんをちょっと。
そもそも経済学ってどういう学問なのかというと、どの本にも書いてあるのは「経済学は限られた資源や富をどうやって公平、適切に分配するか、それを研究する学問」だという。
したがって経済学には明確な大義名分、目的があるということになる。エコノミストは金儲けの仕方を研究しているわけじゃないのだ!バーン!
となれば、アメリカの経済体制は全然富が公平に分配されていないわけだから、そう言う意味でも大失敗、極悪非道と言われても仕方がないやってなる。
慶応大学経済学部卒の池上さんいわく、もともと「経済」とは「エコノミー」を指し示す和訳語だけれど、なんでそんな字を明治時代にあてたのかというと、中国の「経世済民」・・・世を治めて民を救うという言葉がいいやってことになったらしい。つまり経済とは民を救うものなのだ。
ただ、もうひとつ廃れちゃった方で「理財」って言葉があって、個人的にはこっちの方が経済学にはぴったりな言葉って気もする。材のことわり、だからね。
ちなみに本家エコノミーの語源はギリシャ語の「家計」だ。よってこの、家計という意味の言葉に、経済を当てた人は相当意識が高かった気がする。
給料は平等。経営方針は全員で決める。このやり方で、より利益を上げるなんて…やるじゃないか。
さて、ムーア監督がなぜオバマ以前のアメリカの経済システムを徹底的に批判するのかは、明白だ。経済がもたらす結果が不平等じゃダメなのだ。経済学の本って面白くて、本によっては新古典学派を持ち上げ、本によってはケインズ経済学を持ち上げている。
つまりプロのあいだでも議論が分かれている状態。でもじゃあなんで、ここまで社会を不平等にした新古典学派がアメリカや日本でも支持されるようになったのか、自ら進んでこんな世の中を望む人はそうそういない。小泉さんやレーガン、ブッシュ大統領を支持したオレ達国民は(私はしてないけどw)、どういう了見で新古典学派の小さな政府がいいと思ったのだろう。
まず、新古典学派は、国民にとやかく干渉せずに自由にやらせたほうがいいという立場を取る。これは親や学校にいろいろうるさいこと言われた反抗期の若者及び大きな子どもにはウケがいい。しかし、自由にやってもいいっていうことは裏返すと、その尻拭いもほかの人のせいにしないで自己責任で自分でやってくれよ、ということになる。
子どもが子どもたる所以は、権利だけを主張して、自分に都合の悪い義務や責任を人に擦り付ける点で、煎じ詰めれば、甘ったれってことなんだろうけれど、新古典学派は、そう言う意味で、人間は、もっと大人――つまり自立意識が高いものだ、という人間観の前提があるように思える。だからこそ徹底的に自由にしたほうが、自分の才能を活かしてみんなが活躍ができる、と。
その上、フリーライダーを阻止するためには、政府のセーフティネットもとっぱらっちゃって、グダグダしてたら本当に死んじゃうようにすれば、ちゃんと働いてくれるだろうと言うわけだ。
新古典学派、とりわけシカゴ学派という勢力を作った中心人物にフリードマンという人がいる。名前がいいよねww「フリー」ドマンだもんw
この人は、とにかく独創的で面白いアイディアをバンバン考える人で、もうぶっちゃけお前はSF作家か、って言うくらい次々に革新的な提案をした。その魅力にアメリカ人は惚れちゃったんだろう。優れたSFはリアルと区別がつかない・・・はクラークじゃなくて、私が今思いついた言葉だけど、すなわち天才フリードマンはSF的なアイディアで現実を変えてしまったのだ。
フリードマンは、国家が行う事業をガンガン民間に任せれば社会はうまくいくと考えた。もう利権の温床になっちゃっていて不平等だから、本当にそのビジネスの才能があるやつに開放したほうがいい、と。
でもどいつがその才能に恵まれているかよくわからないから、とりあえず医師免許とか教員免許とかもなくしちゃって、やりたい人みんなにやらせて腕のいいやつを生き残らせればいい、そんなダーウィニズムを繰り出したわけ。公益のために下手な商売をする奴は潰れちゃったほうがいいんだ、ということ。
もっと言えば国家が定める最低賃金もいらないし、社会保障制度も民間に任せちゃえ、公営の道路もニューディール政策で十分もう作っただろ、いらねえ。みたいな徹底的な夜警国家構想がある。国は国防と通貨供給量(マネーサプライ)の安定さえしてればいいよってw
こうやって考えるとすごいラディカルな考えに思えるけれど、資本主義ってある意味公平な投票制度とも言える。政治家に投票するよりも、もっと直接的で効果的な選択方法が、購入というわけだ。
そもそも資本主事とは社会がどんな商品を求めているか意思表示するしくみだ。
だから、発展型の国家は政府主導で公共事業をやって、ガンガン経済成長させればいいけれど、ある程度国が発展し豊かになっちゃった場合は、政府は自分たちの仕事を民間企業に任せて見守っていればいい。これが国家の正しい発展の仕組みなんだという。
子どもを独り立ちさせるためには親はいつまでも子どもの面倒を見ていちゃおせっかいっていう話に近い。
もともとアメリカってボストン茶会事件を見ればわかるように、上からあれこれ言われて自由を規制されるのをスゴイ嫌う。セルフエスティームが強いんだ。
この映画のラストで出てくるルーズベルト大統領はニューディール政策(大規模な公共事業で失業者を減らす)で、世界恐慌や第二次大戦を乗り切ったんだけど、この政策の中心概念が、国家主導で安定した社会を築いていこうというケインズの考え方なんだ。
ルーズベルト大統領の死後、大統領の側近だったスタッフは、敗戦国の戦後処理を担当し、皮肉にもアメリカに作れなかった手厚い社会保障システムを日本やドイツに構築したという。
そんなムーア監督が支持するルーズベルト大統領の経済政策を、なぜアメリカは自ら捨ててしまったのか?これもアメリカ人みんながアホでマヌケだからってわけじゃない。一応ちゃんとした事情がある。
つまり、さっきも言ったようにある程度国家が発展し切っちゃうと、ケインズのやり方ではインフレが発生してしまうのだ。
失業者を減らすために公共事業といっても、シムシティ系のゲームの末期のように、もうどこもかしこも開発され尽くされてしまえば、大規模な公共事業をやる意味も余地もなくなってしまう。
こうなると、失業問題の処方箋としてはほとんど効果がないし、労働者の給料を維持するためには、商品の値上げをメーカーはするしかないから、物価はどんどん高くなっていってしまう。失業率とインフレ率はトレードオフ、シーソーの関係になっているのだ(フィリップス曲線)。
また、ケインジアンは、景気が悪くなったらその場で政府が財政出動をかける「裁量主義」という戦略を取る。つまり、景気が悪くなるたびに政府は赤字国債(これ考えたのケインズ)を発行して、公共事業を増やしたり、ヤバそうな企業に財政投融資をするわけ。
そうなると問題になってくるのが、赤字国債が増殖するアメーバのように増大していっちゃうということと、政治家の利権発生。
つまりゼネコンに応援されている政治家は、有権者のためにも正直もう開発するところねえだろ…と思いながらも公共事業を打ち切ることができない。そういった国家規模の「付き合い」によって国の借金はえらいところまで行ってしまった。
最近姿を見せなくなっちゃったけれど、小沢一郎さんはこの状況を「だめだこりゃ」と思って、94年に衆議院選挙の中選挙区を小選挙区制に変えて(政治改革四法)、族議員と圧力団体のしがらみを断ち切ったわけで、その恩恵によって小泉さんは「自民党をぶっ壊す」ことができ、郵政民営化が実現したわけだ。
さて、フリードマンの新自由主義やマネタリズム、ケインズの裁量主義のいいところと問題点をそれぞれさらってみた。大学のマクロ経済学で、段々ついていけなくなった私の気持ちがちょっとわかるよね?どっちがいいかがさっぱりわからん。
ただ昨夜、私、この相反する二つの経済政策における共通する問題点をひとつ見つけたんだ。それはモラルハザードなんだよ。つまりケインズは政治家、フリードマンは企業のCEOが公共の福祉を忘れて身勝手な戦略を取ると、社会はめちゃくちゃになってしまうという。
これはマルクス経済学も一緒だろう。社会主義という素晴らしい理想がなぜリアルでは独裁国家を産んじゃったのか、これも大統領や書記長のモラルハザードにほかならない。
それを踏まえれば、古き良きアメリカを愛するマイケル・ムーア監督が、なぜ経済問題を取り上げた映画の中核にキリスト教を置いたのかが分かるだろう。
子どもの頃、僕は聖職者に憧れた。シャレた祭服が着られて、騎士会がお供につくからじゃない。尼僧が優しくしてくれたからでもない。憧れたのは公民権運動への関わりや反戦運動、貧しきものに身を捧げる姿だ。
彼らはイエスの言葉を教えてくれた。“人は最も貧しき者への接し方で裁かれる”
許せ。持病に保険は使えない。治療費は自己負担だ!
『アホでマヌケなアメリカ白人』のマイケル・ムーア監督のアメリカの経済体制を批判したドキュメンタリー映画。一言でまとめれば、資本主義は非民主主義だ!キリスト教の精神でも極悪非道!という内容。
これは、2013年最後にレンタル店で借りて見て、もっとも衝撃を受け、即DVDを購入した映画で、『ゼロ・グラビティ』は怖いといっても自分が宇宙飛行士になる確率はほぼ0だし、これまでのマイケル・ムーア作品も、どれも対岸の火事というか。
だから「可愛そうだなあ、大変だなあ。でもわたしはげんきです。」で済んでいた。『ボーリング・フォー・コロンバイン』※銃が規制されてる『華氏911』※そんなイスラム圏の人たちの反感買ってない『シッコ』※一応国民保険制度大丈夫・・・でも今回は他人事じゃいられない。この記事を読んでくれている人(特に社会人になる前の若者)。この映画は絶対見てほしい。そして是非考えて欲しい。
国家の90%以上の富を1%の富裕層が独占しちゃっている社会状況を、シティグループは富裕層向けの極秘文書で「プルトノミー」と名づけたらしいんだけど、日本もこのまま新自由主義的な改革が進めば、間違いなくこの構造になるし、実際半分くらいなりかかっている気もする。
幸いなのは、まだ社会保障制度が生きていることと、投資銀行のようなハイリスクハイリターンの不健全な金融システムが日本には存在しないという点。ただ、今後若い層を中心に、自由主義のが好き勝手できていいじゃん!て感じになると、ネットで鬱憤を晴らす若者の味方の安倍さんは、きっと自由のために戦ってくれるので、今のうちにプルトノミー社会に備えていったほうがいいのかもしれない。
この映画で取り上げられるプルトノミーという社会構造は、実際おととしに自分の作品(『CRIMSON WING』)にも取り上げ批判していたのだけど、今回経済学をちゃんと学んでから、もう一度考えると本当にシャレにならないように思えてくる。
あの作品では、題材となった中国でも問題になっているシャドーバンキング、いわゆる投資銀行は描かなかったし、サブプライムローンの巧妙な仕掛けも今思えばカットしたのはもったいなかった。まあ、当初は漫画の脚本として書いていたから、そこまで突っ込んだ話はストーリーのテンポ上不要だったんだけど、今回は小説ということで、ここら辺が描けると思うので、そこらへんの問題は小説を読んで欲しい。
じゃあ、この記事では何を書こうかっていうと、アメリカの経済がどのように変遷していったかをまとめて、ムーア監督が批判するネオリベ、新古典学派、マネタリズムは、実際どこにメリットがあってここまで支持されて、どこがいけないのか、また、ムーア監督はやっぱり民主党支持者っぽいのだけど、オバマさんがやろうとしているケインズ的な手法はなぜ第二次大戦後破棄されちゃったのか、どこに問題があったのだろうか、さらになぜムーア監督は、資本主義という経済的な議論に、かなりの尺をさいてキリスト教の教えを持ち込んだのか。そこらへんをちょっと。
そもそも経済学ってどういう学問なのかというと、どの本にも書いてあるのは「経済学は限られた資源や富をどうやって公平、適切に分配するか、それを研究する学問」だという。
したがって経済学には明確な大義名分、目的があるということになる。エコノミストは金儲けの仕方を研究しているわけじゃないのだ!バーン!
となれば、アメリカの経済体制は全然富が公平に分配されていないわけだから、そう言う意味でも大失敗、極悪非道と言われても仕方がないやってなる。
慶応大学経済学部卒の池上さんいわく、もともと「経済」とは「エコノミー」を指し示す和訳語だけれど、なんでそんな字を明治時代にあてたのかというと、中国の「経世済民」・・・世を治めて民を救うという言葉がいいやってことになったらしい。つまり経済とは民を救うものなのだ。
ただ、もうひとつ廃れちゃった方で「理財」って言葉があって、個人的にはこっちの方が経済学にはぴったりな言葉って気もする。材のことわり、だからね。
ちなみに本家エコノミーの語源はギリシャ語の「家計」だ。よってこの、家計という意味の言葉に、経済を当てた人は相当意識が高かった気がする。
給料は平等。経営方針は全員で決める。このやり方で、より利益を上げるなんて…やるじゃないか。
さて、ムーア監督がなぜオバマ以前のアメリカの経済システムを徹底的に批判するのかは、明白だ。経済がもたらす結果が不平等じゃダメなのだ。経済学の本って面白くて、本によっては新古典学派を持ち上げ、本によってはケインズ経済学を持ち上げている。
つまりプロのあいだでも議論が分かれている状態。でもじゃあなんで、ここまで社会を不平等にした新古典学派がアメリカや日本でも支持されるようになったのか、自ら進んでこんな世の中を望む人はそうそういない。小泉さんやレーガン、ブッシュ大統領を支持したオレ達国民は(私はしてないけどw)、どういう了見で新古典学派の小さな政府がいいと思ったのだろう。
まず、新古典学派は、国民にとやかく干渉せずに自由にやらせたほうがいいという立場を取る。これは親や学校にいろいろうるさいこと言われた反抗期の若者及び大きな子どもにはウケがいい。しかし、自由にやってもいいっていうことは裏返すと、その尻拭いもほかの人のせいにしないで自己責任で自分でやってくれよ、ということになる。
子どもが子どもたる所以は、権利だけを主張して、自分に都合の悪い義務や責任を人に擦り付ける点で、煎じ詰めれば、甘ったれってことなんだろうけれど、新古典学派は、そう言う意味で、人間は、もっと大人――つまり自立意識が高いものだ、という人間観の前提があるように思える。だからこそ徹底的に自由にしたほうが、自分の才能を活かしてみんなが活躍ができる、と。
その上、フリーライダーを阻止するためには、政府のセーフティネットもとっぱらっちゃって、グダグダしてたら本当に死んじゃうようにすれば、ちゃんと働いてくれるだろうと言うわけだ。
新古典学派、とりわけシカゴ学派という勢力を作った中心人物にフリードマンという人がいる。名前がいいよねww「フリー」ドマンだもんw
この人は、とにかく独創的で面白いアイディアをバンバン考える人で、もうぶっちゃけお前はSF作家か、って言うくらい次々に革新的な提案をした。その魅力にアメリカ人は惚れちゃったんだろう。優れたSFはリアルと区別がつかない・・・はクラークじゃなくて、私が今思いついた言葉だけど、すなわち天才フリードマンはSF的なアイディアで現実を変えてしまったのだ。
フリードマンは、国家が行う事業をガンガン民間に任せれば社会はうまくいくと考えた。もう利権の温床になっちゃっていて不平等だから、本当にそのビジネスの才能があるやつに開放したほうがいい、と。
でもどいつがその才能に恵まれているかよくわからないから、とりあえず医師免許とか教員免許とかもなくしちゃって、やりたい人みんなにやらせて腕のいいやつを生き残らせればいい、そんなダーウィニズムを繰り出したわけ。公益のために下手な商売をする奴は潰れちゃったほうがいいんだ、ということ。
もっと言えば国家が定める最低賃金もいらないし、社会保障制度も民間に任せちゃえ、公営の道路もニューディール政策で十分もう作っただろ、いらねえ。みたいな徹底的な夜警国家構想がある。国は国防と通貨供給量(マネーサプライ)の安定さえしてればいいよってw
こうやって考えるとすごいラディカルな考えに思えるけれど、資本主義ってある意味公平な投票制度とも言える。政治家に投票するよりも、もっと直接的で効果的な選択方法が、購入というわけだ。
そもそも資本主事とは社会がどんな商品を求めているか意思表示するしくみだ。
だから、発展型の国家は政府主導で公共事業をやって、ガンガン経済成長させればいいけれど、ある程度国が発展し豊かになっちゃった場合は、政府は自分たちの仕事を民間企業に任せて見守っていればいい。これが国家の正しい発展の仕組みなんだという。
子どもを独り立ちさせるためには親はいつまでも子どもの面倒を見ていちゃおせっかいっていう話に近い。
もともとアメリカってボストン茶会事件を見ればわかるように、上からあれこれ言われて自由を規制されるのをスゴイ嫌う。セルフエスティームが強いんだ。
この映画のラストで出てくるルーズベルト大統領はニューディール政策(大規模な公共事業で失業者を減らす)で、世界恐慌や第二次大戦を乗り切ったんだけど、この政策の中心概念が、国家主導で安定した社会を築いていこうというケインズの考え方なんだ。
ルーズベルト大統領の死後、大統領の側近だったスタッフは、敗戦国の戦後処理を担当し、皮肉にもアメリカに作れなかった手厚い社会保障システムを日本やドイツに構築したという。
そんなムーア監督が支持するルーズベルト大統領の経済政策を、なぜアメリカは自ら捨ててしまったのか?これもアメリカ人みんながアホでマヌケだからってわけじゃない。一応ちゃんとした事情がある。
つまり、さっきも言ったようにある程度国家が発展し切っちゃうと、ケインズのやり方ではインフレが発生してしまうのだ。
失業者を減らすために公共事業といっても、シムシティ系のゲームの末期のように、もうどこもかしこも開発され尽くされてしまえば、大規模な公共事業をやる意味も余地もなくなってしまう。
こうなると、失業問題の処方箋としてはほとんど効果がないし、労働者の給料を維持するためには、商品の値上げをメーカーはするしかないから、物価はどんどん高くなっていってしまう。失業率とインフレ率はトレードオフ、シーソーの関係になっているのだ(フィリップス曲線)。
また、ケインジアンは、景気が悪くなったらその場で政府が財政出動をかける「裁量主義」という戦略を取る。つまり、景気が悪くなるたびに政府は赤字国債(これ考えたのケインズ)を発行して、公共事業を増やしたり、ヤバそうな企業に財政投融資をするわけ。
そうなると問題になってくるのが、赤字国債が増殖するアメーバのように増大していっちゃうということと、政治家の利権発生。
つまりゼネコンに応援されている政治家は、有権者のためにも正直もう開発するところねえだろ…と思いながらも公共事業を打ち切ることができない。そういった国家規模の「付き合い」によって国の借金はえらいところまで行ってしまった。
最近姿を見せなくなっちゃったけれど、小沢一郎さんはこの状況を「だめだこりゃ」と思って、94年に衆議院選挙の中選挙区を小選挙区制に変えて(政治改革四法)、族議員と圧力団体のしがらみを断ち切ったわけで、その恩恵によって小泉さんは「自民党をぶっ壊す」ことができ、郵政民営化が実現したわけだ。
さて、フリードマンの新自由主義やマネタリズム、ケインズの裁量主義のいいところと問題点をそれぞれさらってみた。大学のマクロ経済学で、段々ついていけなくなった私の気持ちがちょっとわかるよね?どっちがいいかがさっぱりわからん。
ただ昨夜、私、この相反する二つの経済政策における共通する問題点をひとつ見つけたんだ。それはモラルハザードなんだよ。つまりケインズは政治家、フリードマンは企業のCEOが公共の福祉を忘れて身勝手な戦略を取ると、社会はめちゃくちゃになってしまうという。
これはマルクス経済学も一緒だろう。社会主義という素晴らしい理想がなぜリアルでは独裁国家を産んじゃったのか、これも大統領や書記長のモラルハザードにほかならない。
それを踏まえれば、古き良きアメリカを愛するマイケル・ムーア監督が、なぜ経済問題を取り上げた映画の中核にキリスト教を置いたのかが分かるだろう。
子どもの頃、僕は聖職者に憧れた。シャレた祭服が着られて、騎士会がお供につくからじゃない。尼僧が優しくしてくれたからでもない。憧れたのは公民権運動への関わりや反戦運動、貧しきものに身を捧げる姿だ。
彼らはイエスの言葉を教えてくれた。“人は最も貧しき者への接し方で裁かれる”
まだあけてない
2014-01-01 13:22:10 (11 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 雑記
あけましておめでとうございます・・・いや、私の中じゃ、まだ2013年だから。2013年13月がはじまっただけだから!
しかし思い返せば、2013年ってあんまり印象に残ってないんだよな~・・・なにがあったっけ?なんか、なにもかもが不完全燃焼で終わってしまった感じ。
去年の同じ時期の記事を見ると2012年はどうやら刺激的で楽しかったらしい。確かにあの頃は本当にいろいろ刺激的だったわ。だが、2013年、お前はダメだ。
趣味も仕事ももっと上手にやれたんじゃないかって凹んでくる。そんな自分の力不足を痛感する年だったな。何度くじけそうになったことか。でも受験生のみなさんは、これからが勝負どころなので私もウジウジしてちゃダメだ。
とにかく2013年13月に向けて、2013年1~12月に一体何があったか振り返ってみよう。反省会開始!
春部門
・新聞にハマっていたらしい。
・29歳になった。もうだめだ・・・私もついに再来月に30代。いい加減大人として、社会人としての自覚を持たないと、きっと死ぬまで持たないぞ。
・美術の教員をはじめる。理論(美術の教育学的意義)は大学時代研究したが、現場経験がないので、いい感じに自分の力不足を痛感。誰も美術になんか興味ねえよと、大学時代うそぶいていたが、その直感は正しかったと確信する。
・辛かったのが、子どもの興味うんぬん以上に、授業時数が少なすぎること。一年間の授業時数を合計しても二日もない。よく漫画を描いたことない人が「あんなもん落書きみたいなもんでちゃちゃっと数分で書いちゃうんでしょ?」って言うことがあるが、まさにそれ。絵を仕上げるのにどれだけのエネルギーと時間を消費するのか、その実態が共有されてないのだろう。
・とはいえ、学校は他のすべての教科と決まったパイ(時数)を分けあっているので、中教審などの政治的な駆け引きで各教科の時数配分が決まってしまう。美術科が消滅しなかっただけマシと考えるべきなのだろう。
・『80日間宇宙一周』の脚本が完結。これは割と頑張ったと思う。よくできた。007もよく見たし。
・パキPさんと葛生で遊んだ。これは楽しかったな。春部門のベスト1かもしれん。
夏部門
・教員採用試験の現実逃避で漫画がものすごい進んだ。で採用試験に落ちた。
・星のカービィを数年ぶりに買う。というかゲーム機を数年ぶりに買う。んで遊んだ。で採用試験に落ちた。
・『風立ちぬ』を見て、いろいろ世間の評価に違和感を感じる。表現ってなんなんだろう。送り手のメッセージが全然誤読されてもOKなのか?なら受け手のことなど何も考慮せずに作っていればいいのか?
・教員採用試験も課題が相変わらず抽象的で意味がわからない。で落ちた。
秋部門
・そんな感じで表現することに対してモチベーションが下がる。自分の美術の才能(んなもんは元々ないって分かっていたけど)に限界を感じ、理科と社会の教員免許を取ることを決意。で、最初は理科の勉強をしていたが、理科は実験などの関係で秋からは履修できないって言われたので、社会をとることに。
・また、『80日間宇宙一周』を小説化する。美術がダメなら、と活字に挑戦してみたくなったらしい。これがまた、漫画とは勝手が違って新鮮&誤字脱字チェックが地獄だった。
・そんな感じでウジウジしていたが、『ミニオン危機一発』に救われる。私が精神的に追い込まれている時に、いいタイミングで助けてくれるのがミニオンだよな~
冬部門
・『まどか☆マギカ』を見て凹む。というか寝てしまったという衝撃。心底、こういうサブカルが楽しめなくなっているという危機。ドキュメンタリーの方が面白く感じちゃうという。
・『地獄の黙示録』『アミスタッド』『華麗なるギャッツビー』など洋画の方は、いろいろ素晴らしい出会いがあった。
・11月、大学からや~っと社会のテキストが届く。入学手続きの時にいろいろとわちゃわちゃして、大学がなかなかテキストを送ってくれなかった。うちの自治体はこの単位分で免許が取れるって言っても、もう一度教育委員会へ行け、と信じてくれない。でも結局送ってくれた。
・そして映画が学割で見れるようになった。ちょと嬉しい。
・佐倉統さん。
そして今に至る。
・・・ん~やはり教員採用試験に落ちたってのが尾を引いているのだろうか。当時はそんなに凹まなかった気もするんだけど。実際に筆記試験も悪くなかったし。
でも美術の採用試験って言ってみれば小選挙区制の選挙と同じで、いくら点数が良くても落選しちゃったらプータロだしね。そこでせめて中選挙区くらいの別の教科に乗り換えたわけだ。この判断は間違ってないと思う。
しかし意外なのは、大学の通信教育で社会の勉強をし始めたのは11月だったって事だよね。私はもっと遠い昔のことだと思ってた。つまり私はたった2ヶ月で、ほとんどの科目のレポートを驚異的な速度であげていたことになる。
大学から教材が送られてきたときは、辞書みたいに分厚い本がどっさり届いて、これは厳しいぞ!と思っていたのに、いざやってみると順調すぎるほどこなしていたんだね。そんなハイペースで消化した実感がないのだけど。
というわけで2014年・・・じゃなかった13月は、残りの単位をとってしまおうと。それは法学と社会学、あとは人文地理と自然地理と地歴教育法なんだけど、高校の公民の免許を取るだけなら、法学と社会学で済んじゃうんだよね。
極力取る単位は減らしたいので(一単位当たり8千円かかる)、正月休みが終わったら、一番お得な取得の仕方を教育委員会と大学に電話で尋ねることにする。
創作よりも、大学の勉強を優先しちゃっているあたりがちょっと後ろめたいのだけど、今学んでいることはきっと創作にも役に立つと思っているので。しかし、この後に理科も履修しちゃうとなると、いよいよ漫画が進まない気がするからな~(^_^;)どうしよう、理科。
しかし思い返せば、2013年ってあんまり印象に残ってないんだよな~・・・なにがあったっけ?なんか、なにもかもが不完全燃焼で終わってしまった感じ。
去年の同じ時期の記事を見ると2012年はどうやら刺激的で楽しかったらしい。確かにあの頃は本当にいろいろ刺激的だったわ。だが、2013年、お前はダメだ。
趣味も仕事ももっと上手にやれたんじゃないかって凹んでくる。そんな自分の力不足を痛感する年だったな。何度くじけそうになったことか。でも受験生のみなさんは、これからが勝負どころなので私もウジウジしてちゃダメだ。
とにかく2013年13月に向けて、2013年1~12月に一体何があったか振り返ってみよう。反省会開始!
春部門
・新聞にハマっていたらしい。
・29歳になった。もうだめだ・・・私もついに再来月に30代。いい加減大人として、社会人としての自覚を持たないと、きっと死ぬまで持たないぞ。
・美術の教員をはじめる。理論(美術の教育学的意義)は大学時代研究したが、現場経験がないので、いい感じに自分の力不足を痛感。誰も美術になんか興味ねえよと、大学時代うそぶいていたが、その直感は正しかったと確信する。
・辛かったのが、子どもの興味うんぬん以上に、授業時数が少なすぎること。一年間の授業時数を合計しても二日もない。よく漫画を描いたことない人が「あんなもん落書きみたいなもんでちゃちゃっと数分で書いちゃうんでしょ?」って言うことがあるが、まさにそれ。絵を仕上げるのにどれだけのエネルギーと時間を消費するのか、その実態が共有されてないのだろう。
・とはいえ、学校は他のすべての教科と決まったパイ(時数)を分けあっているので、中教審などの政治的な駆け引きで各教科の時数配分が決まってしまう。美術科が消滅しなかっただけマシと考えるべきなのだろう。
・『80日間宇宙一周』の脚本が完結。これは割と頑張ったと思う。よくできた。007もよく見たし。
・パキPさんと葛生で遊んだ。これは楽しかったな。春部門のベスト1かもしれん。
夏部門
・教員採用試験の現実逃避で漫画がものすごい進んだ。で採用試験に落ちた。
・星のカービィを数年ぶりに買う。というかゲーム機を数年ぶりに買う。んで遊んだ。で採用試験に落ちた。
・『風立ちぬ』を見て、いろいろ世間の評価に違和感を感じる。表現ってなんなんだろう。送り手のメッセージが全然誤読されてもOKなのか?なら受け手のことなど何も考慮せずに作っていればいいのか?
・教員採用試験も課題が相変わらず抽象的で意味がわからない。で落ちた。
秋部門
・そんな感じで表現することに対してモチベーションが下がる。自分の美術の才能(んなもんは元々ないって分かっていたけど)に限界を感じ、理科と社会の教員免許を取ることを決意。で、最初は理科の勉強をしていたが、理科は実験などの関係で秋からは履修できないって言われたので、社会をとることに。
・また、『80日間宇宙一周』を小説化する。美術がダメなら、と活字に挑戦してみたくなったらしい。これがまた、漫画とは勝手が違って新鮮&誤字脱字チェックが地獄だった。
・そんな感じでウジウジしていたが、『ミニオン危機一発』に救われる。私が精神的に追い込まれている時に、いいタイミングで助けてくれるのがミニオンだよな~
冬部門
・『まどか☆マギカ』を見て凹む。というか寝てしまったという衝撃。心底、こういうサブカルが楽しめなくなっているという危機。ドキュメンタリーの方が面白く感じちゃうという。
・『地獄の黙示録』『アミスタッド』『華麗なるギャッツビー』など洋画の方は、いろいろ素晴らしい出会いがあった。
・11月、大学からや~っと社会のテキストが届く。入学手続きの時にいろいろとわちゃわちゃして、大学がなかなかテキストを送ってくれなかった。うちの自治体はこの単位分で免許が取れるって言っても、もう一度教育委員会へ行け、と信じてくれない。でも結局送ってくれた。
・そして映画が学割で見れるようになった。ちょと嬉しい。
・佐倉統さん。
そして今に至る。
・・・ん~やはり教員採用試験に落ちたってのが尾を引いているのだろうか。当時はそんなに凹まなかった気もするんだけど。実際に筆記試験も悪くなかったし。
でも美術の採用試験って言ってみれば小選挙区制の選挙と同じで、いくら点数が良くても落選しちゃったらプータロだしね。そこでせめて中選挙区くらいの別の教科に乗り換えたわけだ。この判断は間違ってないと思う。
しかし意外なのは、大学の通信教育で社会の勉強をし始めたのは11月だったって事だよね。私はもっと遠い昔のことだと思ってた。つまり私はたった2ヶ月で、ほとんどの科目のレポートを驚異的な速度であげていたことになる。
大学から教材が送られてきたときは、辞書みたいに分厚い本がどっさり届いて、これは厳しいぞ!と思っていたのに、いざやってみると順調すぎるほどこなしていたんだね。そんなハイペースで消化した実感がないのだけど。
というわけで2014年・・・じゃなかった13月は、残りの単位をとってしまおうと。それは法学と社会学、あとは人文地理と自然地理と地歴教育法なんだけど、高校の公民の免許を取るだけなら、法学と社会学で済んじゃうんだよね。
極力取る単位は減らしたいので(一単位当たり8千円かかる)、正月休みが終わったら、一番お得な取得の仕方を教育委員会と大学に電話で尋ねることにする。
創作よりも、大学の勉強を優先しちゃっているあたりがちょっと後ろめたいのだけど、今学んでいることはきっと創作にも役に立つと思っているので。しかし、この後に理科も履修しちゃうとなると、いよいよ漫画が進まない気がするからな~(^_^;)どうしよう、理科。
経済学覚え書き⑤
2013-12-25 00:58:37 (11 years ago)
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カテゴリタグ:
- 経済学
すでに経済学はマクロ経済の方に突入しているのですが、ミクロ経済学の知識がだんだん炭酸のように抜けてきたので、ここで用語を確認&メモ。
クリスマスであろうと勉強をしているオレ、えらいぞ。恋愛なんてゼロサムゲームさ!(やさぐれた)
マーシャルの外部性
産業が特定の地域に集中すると、分業や相乗効果によって各部門(組立部門とか部品製造とか)のコストが下がる。また、その産業全体の生産が大きくなるほど、ここの企業のコストも下がっていく。そういった現象を指す。
つまりネットワークができちゃうと強いということ。
共有地(コモンズ)の悲劇
ゲーム理論の考え方で、漁師やタクシー運転手など、営業エリアを複数のプレイヤーが共有している場合、あるプレイヤーが利己的に動いて、たくさん利益を得れば得る程、他のプレイヤーの利益がとられてしまうことを言う。生物学者ギャレット・ハーディンが提唱。
ピグー税
外部効果による市場の失敗を是正するために導入される税金のこと。市場の失敗の代表格である環境問題を経済学的に研究したアーサー・セシル・ピグーにちなむ。ガソリン税や炭素税などが有名。
こういった外部効果が存在する場合、政府の介入なしには最適な資源配分はできない。
公共財の性質
①非競合性
テレビ番組や公園など、複数の人が同時に消費できるということ。
通常の財には競合性がある。例えばAさんがラーメンを消費したら(食べちゃったら)、Bさんはそのラーメンを消費することができない。
②排除不可能性
サービスに対する対価を支払っていない人を、その消費から排除することができないということ。フリーライダーOK!
コースの定理
環境破壊や騒音は市場取引なしで、周りに影響を与える外部効果で、それが市場の失敗をもたらす。市場の失敗が発生している場合、その当事者(権利関係)が明確で、メリットデメリットの情報が対立勢力に対称的に伝わっている場合、どちらに有利な展開になっても結果が同じになることを言う。
例えば、工場の騒音問題の場合、裁判所が騒音に悩む近隣住民の訴えを認めた場合(環境権裁判)、企業側は工場を操業を完全にやめるよりは、防音設備を整えたほうが安いので、防音対策が取られる。
逆に裁判所が近隣住民の訴えを退けた場合も、住民はみんなで別の場所へ引っ越すよりは、お金を出し合って防音設備を整えたほうが安いので、やっぱり防音対策が取られる。
ちなみにコースというのは提唱した学者の名前。
費用逓減産業
逓減(ていげん)とは、どんどん減っていく、という意味。
平均費用(AC)が右下がりのグラフでは、限界費用よりも平均費用の方が高くなっている。よってその商品やサービスの値段を限界費用と同じ金額に設定すると、資源配分上は最も望ましいのだが(限界費用価格形成原理)、企業側からしてみれば(平均費用-価格)分が損失となって発生してしまう。
これは初期の設備投資がものすごく高くつく(=固定費用が高額な)産業で発生する。
こういう産業や研究の場合、政府がある程度補助金を出してやらないと、誰も手をつけなくなる可能性がある。2位じゃダメなんですか!?
どんな需要の度合いの消費者にも、単一の価格で売らなければならない企業の辛いところ(その人の欲しい度合いに応じて、値段を高く売ることができない)。
金融工学
不確実性のある経済の動きを、確率理論とコンピューターシミュレーションで予測し、金融市場を分析、より望ましい資産運用の方法を導き出す学問。
ファイナンス理論っていうやつで、たしかハーバード大学の理系学生が小遣い稼ぎでやりだしたんだっけか。でも私が思うに、マクロ経済の流れなんてカオス系だと思うから、やっぱり予測不可能性が起きて、サブプライムショックで大損失を出した。ギャンブラーの破滅!
危険分散
どんな種類の不幸が起きても、全財産を失うことがないように、いろんなところに財産を分散させること。保険や複数の資産購入など(資産の分割投資)。一度にすべてのタイプの危険がやってくるということは、あまりないので・・・あ、でも地震保険は地震による火災には対応するのかとかいろいろありそう(^_^;)なんにせよ、リスクヘッジ(危険回避)の知恵。
ひとつの道に全財産をかけるのは、自殺行為なのだ。ギャンブラーの破滅!(2回目)
モラルハザード
困った人の公共の利益を害する自分勝手な行動のこと。救急車をタクシーがわりに使っちゃう人が増えると、本当に大怪我している人が乗る救急車が出払っちゃう場合がある。
こういう人たちを対処するために、例えば救急車を有料にしたりするというアイディアもある。踏んだり蹴ったりだけど、病気や怪我をしている人は有料でも乗りたいだろうし(死んじゃうから)、あとで病院側がチェックして本当に必要な人が使った場合は、料金を払い戻したりすればいい・・・ってテキストに書いてあった(^_^;)
コンビニエンスストアの経営
①賃金契約
従業員を本社が雇用し、一定の賃金を支払う方法。直営店。
②利益分割方式
店舗の利益の一定“割合”をフランチャイズ料として本社に支払う方法。
どんなに大儲けしても、その利益の割合で取られるので、経営者のモチベーションは低いが、収益が出なかった場合のリスクも低い。
地主と小作人の契約もこの場合が多い(刈分け小作)。
③定額フランチャイズ方式
店舗の利益とは関係なく、毎月一定のフランチャイズ料を本社に支払う方法。
徳川吉宗みたいに、定額を毎月取られるので、収益が出なかった場合のリスクは高いが、大儲けした時の利益もでかいので、経営者のモチベーションも高い。
グレシャムの法則
質の悪い商品が市場に紛れ込むことで(レモン市場)、質の良い商品の取引が阻害されること。悪貨は良貨を駆逐する。この疑心暗鬼な現象を逆選択という。
レモン市場は、買い手がどの商品がポンコツなのかなかなか分からないが、売り手の方がどれレモンか把握している場合が多いので、情報が非対称的である。アンフェア!
これを解消するために、第三者のディーラーが商品の品質を保証したりする、中古車市場とか。
ムーディーズやスタンダード&プアーズといった格付け機関もそうだけど、意外と役に立たなかったりする。正確に格付けを行うのが難しい。
ちなみにグレシャムとはエリザベス女王時代のイギリス王室金融代理人。
スペンスのシグナル理論
売り手が、買い手にその商品の品質が高いことを伝えるためにシグナルを出すという考え方。
例えば巨額な宣伝費を払ってPRをしている場合、売り手はその商品の品質に絶対の自信を持っていることが多い。ダメな商品を詐欺的に売るために、莫大な予算をキャンペーンには使わないだろうから、このシグナルは買い手にとっては割と信頼性が高くなる。
他にも立派な店構えの店舗は、詐欺的な商売をしている可能性は低い。なぜなら、詐欺で得られる一時的な利益よりも、店をたたむ損失の方が高くつくから。
新入社員を人事部が採用する際に、その人の学歴のデータを用いるのも、経済学的なシグナルと言える。能力が高い人は、少ないリスクで学歴の高い大学を卒業するだろうから、わりと選別の目安にはなる。
自己選択メカニズム
プリンターの本体は安いのに、なんでインクはあんな高いんだ!って思っている人は多いと思うけど(私だ。特にブラックのとばっちりでイエローが犠牲になるのやめて)、あの価格設定はすごい意図的で、ああすることでヘビーユーザーとライトユーザーを選別しているという(=たくさん利用する人からたくさんお金をいただく)。
このように巧妙に料金体系を設定することで、見えなかった消費者集団の実態を掴むメカニズムを自己選択メカニズムという。
プリンシパル・エージェント問題(エージェンシー・スラック)
『海賊の経済学』で出てきた、アレ。プリンシパル(依頼人)とエージェント(代理人)がいた時に、どうやってエージェントが金だけふんだくってサボらないかドキドキする問題。
モラルハザードをどのように防止するか、という問題とも言える。
限界代替率逓減の法則
本当はうどんが食べたかったんだけど、うどんがないなら蕎麦でいいやって時、蕎麦はうどんの代替可能物である。こんなもんその日の気分によるんだけれど、もしこの時、うどんの評価が蕎麦より高かった時、うどんが食えないせつなさを蕎麦何倍分で補えるかというモデルを立てる。
この割合が限界代替率。この大きさは財1と財2の綱引きになっている無差別曲線の傾きによって表される。
例えば、うどんをたくさん食べると、いくらうどん好きでも徐々に「うどんもういいや」ってなっていくので、蕎麦で換算したうどんの評価は下がっていく。これを限界代替率逓減の法則と言う。
下級財
収入がアップすると買わなくなるようなものやサービス。
良心的な低価格の学生食堂とかに、港区のセレブはなかなか入らないと思う。
奢侈品
これ絶対読めないよね!「しゃしひん」って読むらしい。このテキストルビ振らない主義なんだよなあ・・・(^_^;)趣味や娯楽に関係するものやサービス。いわゆる贅沢品。
一般的に収入が増えると、それに応じて注がれる金額が増えていく。年収の高い人って高い腕時計とか高級車とか買うけれど、あれってみんながみんな別に成金とかじゃなくて、経理士さんとかに税金対策で買いなさいって言われたりしてるんだよね。
必需品
生きていくためにある程度は絶対に必要なもの。例えば食費はいくら金持ちになっても、そこまで増額はしないので(収入が高いほど大食いにはならない)、家計に占める食費の割合で、その人の豊かさを調べることができる。これがかの有名なエンゲル係数。
代替効果
価格変化から、消費者の所得の変化を除外した相対価格のみの影響のこと。財1が値上がりしたことを受けて、代わりに財2(財1の代替財)が消費されるようになった場合を考える。
所得効果
価格の変化によって相対的に所得も変化し(値上がり=所得ダウン、値下がり=所得アップ)、それが消費行動に影響を与えること。
スルツキー分解
消費現象を所得効果と代替効果に分けて分析すること。
クリスマスであろうと勉強をしているオレ、えらいぞ。恋愛なんてゼロサムゲームさ!(やさぐれた)
マーシャルの外部性
産業が特定の地域に集中すると、分業や相乗効果によって各部門(組立部門とか部品製造とか)のコストが下がる。また、その産業全体の生産が大きくなるほど、ここの企業のコストも下がっていく。そういった現象を指す。
つまりネットワークができちゃうと強いということ。
共有地(コモンズ)の悲劇
ゲーム理論の考え方で、漁師やタクシー運転手など、営業エリアを複数のプレイヤーが共有している場合、あるプレイヤーが利己的に動いて、たくさん利益を得れば得る程、他のプレイヤーの利益がとられてしまうことを言う。生物学者ギャレット・ハーディンが提唱。
ピグー税
外部効果による市場の失敗を是正するために導入される税金のこと。市場の失敗の代表格である環境問題を経済学的に研究したアーサー・セシル・ピグーにちなむ。ガソリン税や炭素税などが有名。
こういった外部効果が存在する場合、政府の介入なしには最適な資源配分はできない。
公共財の性質
①非競合性
テレビ番組や公園など、複数の人が同時に消費できるということ。
通常の財には競合性がある。例えばAさんがラーメンを消費したら(食べちゃったら)、Bさんはそのラーメンを消費することができない。
②排除不可能性
サービスに対する対価を支払っていない人を、その消費から排除することができないということ。フリーライダーOK!
コースの定理
環境破壊や騒音は市場取引なしで、周りに影響を与える外部効果で、それが市場の失敗をもたらす。市場の失敗が発生している場合、その当事者(権利関係)が明確で、メリットデメリットの情報が対立勢力に対称的に伝わっている場合、どちらに有利な展開になっても結果が同じになることを言う。
例えば、工場の騒音問題の場合、裁判所が騒音に悩む近隣住民の訴えを認めた場合(環境権裁判)、企業側は工場を操業を完全にやめるよりは、防音設備を整えたほうが安いので、防音対策が取られる。
逆に裁判所が近隣住民の訴えを退けた場合も、住民はみんなで別の場所へ引っ越すよりは、お金を出し合って防音設備を整えたほうが安いので、やっぱり防音対策が取られる。
ちなみにコースというのは提唱した学者の名前。
費用逓減産業
逓減(ていげん)とは、どんどん減っていく、という意味。
平均費用(AC)が右下がりのグラフでは、限界費用よりも平均費用の方が高くなっている。よってその商品やサービスの値段を限界費用と同じ金額に設定すると、資源配分上は最も望ましいのだが(限界費用価格形成原理)、企業側からしてみれば(平均費用-価格)分が損失となって発生してしまう。
これは初期の設備投資がものすごく高くつく(=固定費用が高額な)産業で発生する。
こういう産業や研究の場合、政府がある程度補助金を出してやらないと、誰も手をつけなくなる可能性がある。2位じゃダメなんですか!?
どんな需要の度合いの消費者にも、単一の価格で売らなければならない企業の辛いところ(その人の欲しい度合いに応じて、値段を高く売ることができない)。
金融工学
不確実性のある経済の動きを、確率理論とコンピューターシミュレーションで予測し、金融市場を分析、より望ましい資産運用の方法を導き出す学問。
ファイナンス理論っていうやつで、たしかハーバード大学の理系学生が小遣い稼ぎでやりだしたんだっけか。でも私が思うに、マクロ経済の流れなんてカオス系だと思うから、やっぱり予測不可能性が起きて、サブプライムショックで大損失を出した。ギャンブラーの破滅!
危険分散
どんな種類の不幸が起きても、全財産を失うことがないように、いろんなところに財産を分散させること。保険や複数の資産購入など(資産の分割投資)。一度にすべてのタイプの危険がやってくるということは、あまりないので・・・あ、でも地震保険は地震による火災には対応するのかとかいろいろありそう(^_^;)なんにせよ、リスクヘッジ(危険回避)の知恵。
ひとつの道に全財産をかけるのは、自殺行為なのだ。ギャンブラーの破滅!(2回目)
モラルハザード
困った人の公共の利益を害する自分勝手な行動のこと。救急車をタクシーがわりに使っちゃう人が増えると、本当に大怪我している人が乗る救急車が出払っちゃう場合がある。
こういう人たちを対処するために、例えば救急車を有料にしたりするというアイディアもある。踏んだり蹴ったりだけど、病気や怪我をしている人は有料でも乗りたいだろうし(死んじゃうから)、あとで病院側がチェックして本当に必要な人が使った場合は、料金を払い戻したりすればいい・・・ってテキストに書いてあった(^_^;)
コンビニエンスストアの経営
①賃金契約
従業員を本社が雇用し、一定の賃金を支払う方法。直営店。
②利益分割方式
店舗の利益の一定“割合”をフランチャイズ料として本社に支払う方法。
どんなに大儲けしても、その利益の割合で取られるので、経営者のモチベーションは低いが、収益が出なかった場合のリスクも低い。
地主と小作人の契約もこの場合が多い(刈分け小作)。
③定額フランチャイズ方式
店舗の利益とは関係なく、毎月一定のフランチャイズ料を本社に支払う方法。
徳川吉宗みたいに、定額を毎月取られるので、収益が出なかった場合のリスクは高いが、大儲けした時の利益もでかいので、経営者のモチベーションも高い。
グレシャムの法則
質の悪い商品が市場に紛れ込むことで(レモン市場)、質の良い商品の取引が阻害されること。悪貨は良貨を駆逐する。この疑心暗鬼な現象を逆選択という。
レモン市場は、買い手がどの商品がポンコツなのかなかなか分からないが、売り手の方がどれレモンか把握している場合が多いので、情報が非対称的である。アンフェア!
これを解消するために、第三者のディーラーが商品の品質を保証したりする、中古車市場とか。
ムーディーズやスタンダード&プアーズといった格付け機関もそうだけど、意外と役に立たなかったりする。正確に格付けを行うのが難しい。
ちなみにグレシャムとはエリザベス女王時代のイギリス王室金融代理人。
スペンスのシグナル理論
売り手が、買い手にその商品の品質が高いことを伝えるためにシグナルを出すという考え方。
例えば巨額な宣伝費を払ってPRをしている場合、売り手はその商品の品質に絶対の自信を持っていることが多い。ダメな商品を詐欺的に売るために、莫大な予算をキャンペーンには使わないだろうから、このシグナルは買い手にとっては割と信頼性が高くなる。
他にも立派な店構えの店舗は、詐欺的な商売をしている可能性は低い。なぜなら、詐欺で得られる一時的な利益よりも、店をたたむ損失の方が高くつくから。
新入社員を人事部が採用する際に、その人の学歴のデータを用いるのも、経済学的なシグナルと言える。能力が高い人は、少ないリスクで学歴の高い大学を卒業するだろうから、わりと選別の目安にはなる。
自己選択メカニズム
プリンターの本体は安いのに、なんでインクはあんな高いんだ!って思っている人は多いと思うけど(私だ。特にブラックのとばっちりでイエローが犠牲になるのやめて)、あの価格設定はすごい意図的で、ああすることでヘビーユーザーとライトユーザーを選別しているという(=たくさん利用する人からたくさんお金をいただく)。
このように巧妙に料金体系を設定することで、見えなかった消費者集団の実態を掴むメカニズムを自己選択メカニズムという。
プリンシパル・エージェント問題(エージェンシー・スラック)
『海賊の経済学』で出てきた、アレ。プリンシパル(依頼人)とエージェント(代理人)がいた時に、どうやってエージェントが金だけふんだくってサボらないかドキドキする問題。
モラルハザードをどのように防止するか、という問題とも言える。
限界代替率逓減の法則
本当はうどんが食べたかったんだけど、うどんがないなら蕎麦でいいやって時、蕎麦はうどんの代替可能物である。こんなもんその日の気分によるんだけれど、もしこの時、うどんの評価が蕎麦より高かった時、うどんが食えないせつなさを蕎麦何倍分で補えるかというモデルを立てる。
この割合が限界代替率。この大きさは財1と財2の綱引きになっている無差別曲線の傾きによって表される。
例えば、うどんをたくさん食べると、いくらうどん好きでも徐々に「うどんもういいや」ってなっていくので、蕎麦で換算したうどんの評価は下がっていく。これを限界代替率逓減の法則と言う。
下級財
収入がアップすると買わなくなるようなものやサービス。
良心的な低価格の学生食堂とかに、港区のセレブはなかなか入らないと思う。
奢侈品
これ絶対読めないよね!「しゃしひん」って読むらしい。このテキストルビ振らない主義なんだよなあ・・・(^_^;)趣味や娯楽に関係するものやサービス。いわゆる贅沢品。
一般的に収入が増えると、それに応じて注がれる金額が増えていく。年収の高い人って高い腕時計とか高級車とか買うけれど、あれってみんながみんな別に成金とかじゃなくて、経理士さんとかに税金対策で買いなさいって言われたりしてるんだよね。
必需品
生きていくためにある程度は絶対に必要なもの。例えば食費はいくら金持ちになっても、そこまで増額はしないので(収入が高いほど大食いにはならない)、家計に占める食費の割合で、その人の豊かさを調べることができる。これがかの有名なエンゲル係数。
代替効果
価格変化から、消費者の所得の変化を除外した相対価格のみの影響のこと。財1が値上がりしたことを受けて、代わりに財2(財1の代替財)が消費されるようになった場合を考える。
所得効果
価格の変化によって相対的に所得も変化し(値上がり=所得ダウン、値下がり=所得アップ)、それが消費行動に影響を与えること。
スルツキー分解
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