物理学実験覚え書き③

力学的エネルギー保存の法則を実験で理解する
ぐんまけん!には向井千秋記念館という科学館がある。そこに高さは同じだけれど角度が異なる2つのスロープに金属球を転がせて、どっちの球が先にゴールするか実験してみよう!みたいな装置があるんだけど、キャプションに正解とか原理がなくて、問題の出し方的に、おそらく高さが同じところから転がすわけだから、位置エネルギーは一緒で同時ゴールなのかなって思ってたら、もうダントツで角度が急なスロープの方が緩やかなスロープよりも距離が長いのにタイムが早いんだよね。
で、なんでなんだろうって学芸員さんに聞いたら、この装置は寄贈なのでオレもそもそも何を伝えたいかよくわからないみたいな衝撃的な返答が返ってきて、ますます謎が深まったんだけど、今回その謎がついに明らかにされました。

今回の実験では、このような二つのコースで金属球のゴールするタイムを比較した。
レール.jpg

この実験で使うのは中学三年生で習う、力学的エネルギー保存の法則オンリー。これについての詳細はリンク先で。

レール①
①スタート後B地点ではA地点とB地点の位置エネルギー差が運動エネルギーとなり速度Bを持つ。その速度を求める。

力学的エネルギー保存の法則により

A地点の位置エネルギー=B地点の位置エネルギー+B地点の運動エネルギー

※A地点では金属球は静止しているので運動エネルギー=0とする。

mghA=mghB+1/2mv2 ・・・(1)

なので、
重力加速度g=9.8
A地点の高さ =0.2メートル
B地点の高さ =0.132メートル
を式(1)に代入すると

m×9.8×0.2=m×9.8×0.132+1/2mv2
1.96m=1.2936m+1/2mv2
1/2mv2=0.6664m
mv2=1.3328

v≒1.15m/s

と速度の理論値が求められる。
また、実際の実験装置で金属球を転がし、その速度を赤外線センサーで測定すると0.93m/sとなった。
 
②その後BからGまでは平坦なため位置エネルギーに変化が無く等速直線運動(速度B)で運動する。G地点までの時間を測定して速度との関係からレールの長さを求める。
金属球がB地点からG地点までを通過するのにかかった時間 は1.3秒なので、これにB地点の速度の実測値(0.93m/s)とG地点の速度の実測値(0.88m/s)の平均速度(0.90m/s)をかければ、BからGのレールの長さが求められる。定規使えばいいじゃんとか野暮なことを言ってはいけない。

0.9×1.3=1.17メートル

レール②
①スタート後B地点では、A地点とB地点の位置エネルギー差が運動エネルギーとなり速度Bを持つ。

②その後BからCまでは平坦なため位置エネルギーに変化が無く等速直線運動(速度B)で運動する。

③従って、C地点ではレール②の金属球はレール①の金属球と同じ時間に到着する。

④その後CからDまでは斜面運動のため、速度が加速されD地点に達する。その結果、レール②の球がレール①の球を追い越すことになる。そこで、D地点での速度Dを求める。

mghA=mghD+1/2mv2 ・・・(1)

式にD地点の高さhD=6.2㎝(=0.062m)を代入すると、速度 は

v=1.64462761742・・
≒1.64m/s

となった。
また、実測値は1.3m/sであった。

すなわち速度D>速度Bということになる。

⑤DからE地点までは速度Dで等速直線運動で移動する。このときの速度差からレール②の球がレール①の球より速く距離D-E間を移動する。

⑥その後EからFまでは斜面を上るので速度は遅くなるが、力学的エネルギーはD地点からC地点に戻るのと同じである。従って、F地点の速度はC地点の速度(速度B)となる。

レール①VSレール②
上記の結果からレール①の金属球よりレール②の金属球の方が経路の長さに関わらず速くゴールに到着することが分かった。では一体何でそういうことになるのか、向井千秋記念館に変わって考えてみる。

まずレール①とレール②はC地点から距離が異なるので、その距離を測定した。

レール①のB~Gの距離
B~G:117cm

レール②のB~Gの距離
B~C:16.5cm
C~D:22.0cm
D~E:45.0cm
E~F:27.0cm
F~G:19.5cm
B~G:計130cm

よってレール②の距離の方がレール①の距離より13cm程大きいことが分かる。

次にレール①とレール②の速度変化の様子をグラフに示した。

各区間ごとの金属球の速度.jpg
このように、レール②の速度はどの区間においてもレール①の速度と同じかそれよりも速く、レール①の速度を下回ることはないということがわかる。
問題は二つのレールの速度の差(v②-v① )が、二つのレールの距離の差(d②-d① )を補えるほど大きいかである。

レール①の平均速度の実測値は0.905 m/s

レール②の平均速度の実測値は1.09 m/s

なので、G地点に到着するタイムは

レール①が t= d①/v①

1.17/0.905=1.29281767955…≒1.29秒

レール②が t= d②/t②

1.3/1.09=1.19266055045…≒1.19秒

したがってレール②の方が速くG地点に到着することが求められた。
この結果を応用させて考えると、同じ地面に球を転がす坂の傾斜角が大きいほど、速度が速い(運動エネルギーが高い)区間が大きくなり、そのタイムも短くなると言うことになる。
※理科の先生によれば、最終的に同じ速度で走るなら、いきなりアクセル踏んで加速させちゃったほうが燃費がいいのと同じらしいが、安全性についてはわからない。

また、傾斜角を大きくした場合、レールの道のりと落差が増加し、落差に伴って速度が増加するが、道のりの増加する割合と、速度が増加する割合を比較すると以下のようになる。

落差.jpg
また速度の増加量は、力学的エネルギーの式に、坂の角度が変わることによって生じる落差を代入した。落差は単位円上のタンジェントと考えて求めた。

よって、どの傾斜角度でも、道のりの増加する割合よりも、速度が増加する割合の方が大きいことが分かる。
しかし、その角度があまりにも急になると、ほとんど地面に自由落下することになり、球は弾んでしまい運動の振る舞いが変わってしまう。
また、坂から地面に切り替わる部分が直線的に折れ曲がっていると運動エネルギーが地面との衝突で失われてしまうので、切り替わり部分をなめらかな曲線にすると運動エネルギーのロスはなくなる(ジェットコースターのサイクロイド曲線の話)。

ゴール地点Gの速度
力学的エネルギーが保存されるとすればゴール地点Gでの両者の速度は同じはずである。それが同じ速度であることを確かめるには、どのような実験を行ったらいいか、いくつか考えてみました。

その1
ゴール地点Gに赤外線センサーを用いた速度測定器を置いて、レール①、レール②それぞれの金属球のG地点での速度を計測する。もっとも手っ取り早い方法である。
実測値はどちらも0.88 m/sであった。さすが精密機器!

その2
ゴール地点Gにおけるレール①とレール②の高さを比べ、それが等しいかを調べる。二つのレールの高さが等しいならば位置エネルギーと運動エネルギーの割合も等しいということなので、速度は計算上等しくなるはずである。

その3
G地点付近の平坦な区間のレールの長さと、その区間を金属球が横切る時間をレール①とレール②でそれぞれ計り、金属球の速さを求め比較する。

その4
レール①とレール②に用いる金属球の質量を統一した上で、ゴール地点にそれぞれ同じ質量の障害物を置く。(障害物はレールを滑るような物にする)
この障害物に、各レールを転がった金属球をぶつけ、障害物が動いた距離を測り、レール①とレール②の運動エネルギーを比較する。
仮に二つの金属球の速度が等しいならば、その運動エネルギーも等しく、障害物が動く距離は一致するはずである。

力学的エネルギー保存の法則は、摩擦や空気抵抗を無視できるならばコースの形状の影響を受けないので、どのような経路を経ても、最終的にレール①とレール②の終点G地点の高さが等しいならば、金属球は等しい運動エネルギーを持つ。
したがって、レール①もレール②もG地点は同じ高さなので、赤外線センサーを用いた速度計測器が示した金属球の速度はどちらも0.88 m/sになったと考えられる。

スロープの傾斜と速度の関係
スロープの角度(=位置エネルギー)を4段階に設定できる実験装置を使って、それぞれの位置エネルギーがすべて運動エネルギーに変わったとして力学的エネルギーの保存の法則を用いて金属球の速度を計算で求める(理論値)。また、赤外線センサーを用いた速度測定器を用いて金属球の速度を実測する。

計算で求めた速度(理論値)と実測値とを表にまとめ比較検討した。

レール変更.jpg
まず、レールの高さが上がり、斜面の傾斜角度が大きくなると、速度は理論値も実測値も増加することが分かる。しかし、その増加する割合は理論値よりも実測値の方が小さい。
理論値よりも実測値の速度の方が遅い理由としては、摩擦力と空気抵抗が考えられるが、理論値と実測値の誤差を調べると、その誤差はレールの高さが高いほど大きいことが分かる。

仮に速度の実測値を理論値よりも下げている原因が摩擦力だった場合、傾斜角が急なほど大きく摩擦がかかっていることになるが、このとき運動を妨げる力である動摩擦力fは動摩擦係数μと垂直抗力Nの積となるため、金属球にかかる垂直抗力がレールの高さが高くなるにしたがい低下する以上、これは考えられない。

次に空気抵抗であるが、空気抵抗は物体の速度がある程度大きい場合は、速度の二乗に比例して大きくなることが知られている。つまり速度が2倍になると空気抵抗は4倍に、速度が3倍になると空気抵抗は9倍になる。
上の表のレールの高さ0.05mと0.10mの結果を比較すると、速度の理論値は1.41倍に、誤差は2.22倍となっている。また、0.05mと0.15mの結果を比較すると速度の理論値は1.72倍、誤差は3.26倍となり、誤差が速度の理論値の二乗分だけ生じていることがわかる。したがって理論値と実測値との誤差の原因は空気抵抗であると考えられる・・・と私は願いたい。

ギャラクシー街道

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 三谷幸喜バーストアナザークロニクル☆☆☆☆☆」

 宇宙でうまくいかなかった人がどこに行ったってうまくやれるわけないじゃない。

 私は三谷幸喜作品が好きで、最近はNHK大河ドラマの『真田丸』くらいしか生きがいがないくらいなんだけど、この映画の評価はとにかく酷評の嵐で、どうした三谷幸喜!?とか、初の駄作!!とか色々言われてて、そこまで言われちゃ三谷先生を弁護するのがファンの責務だってことで(※『宇宙ターザン』での野比のび太先生の教え)、絶対映画館で見ようと思ってたんだけど、これは決して言い訳でもなんでもなく、公開時に仕事がちょっと忙しくて結局見逃してしまっていたんだ。

 で、今回とうとうDVDで借りることができたんだけど、ホントにネット上では酷評を通り過ぎて暴言的な感想に溢れていて、レンタル店での人気は、むしろそこまで酷いなら見てみたいという好奇心によるものなんじゃないかっていう嫌な予感もしたんですが、観てみてびっくり、めちゃめちゃ面白い。腹がよじれるほど笑ってしまったじゃないか!
 そして私の中で強い憤りの感情がこみ上げてきた。この映画の面白さがわからないってマジかっていう。まさにアルフじゃないけど、「お前らのレベルにはこの面白さはわからねえよ。笑いには知性と教養が必要なんだ」って悪態のひとつもつきたいよっていう(ついたけど)。

 今さ、『ズートピア』がヒットしてるじゃん。異なる人種や文化の人たちを受け入れよう、差別はいけないよっていう、まことにヒューマンライツなメッセージのある映画なんだけど。でも、それ(文化多元主義)を言うなら、この『ギャラクシー街道』を評価してこそだろっていう。それくらいこの映画は観客の差別心を試すものだと思う。
 価値観の異なる人なんてなかなか受け入れられないのが普通であって、実際、『ズートピア』の舞台のアメリカではドナルド・トランプが大フィーバー、『パディントン』の舞台のイギリスではまさかのEU離脱(加盟国は独自の金融政策が打てないという事情もあるけれど移民問題も原因だろう)、そして『ギャラクシー街道』の日本では移民排斥もなにも、そもそも移民を受け入れていないっていうね。
 やっぱり日本人はとんでもなくレイシストな連中なんだって、この映画の感想を読んでつくづく思った。別にそれを糾弾しようとかじゃなくて、ま、そうなんだろうな、それだったらこの映画が低評価なのも当たり前だよな、と。

 だから決してこの映画は駄作ではない。むしろこのシュールでナンセンスな世界観は、あの三谷先生がついに吹っ切れてくれた!って心底嬉しかった。
 映画冒頭のパックンフラワーみたいな珍生物がガラ悪く窓ガラスに唾を吐くシーンとか、やっぱりものすごい天才だっていう。
 3年前の『ステキな金縛り』の時も書いたんだけど、三谷さんの映画って超面白いんだけど、なんというか観客のレベルやニーズに合わせて、やりたいことをセーブしてるなあっていうのをいつも感じていて、いつかバーストすればいいのにって思ってたんだ。
 で、バーストしたらやっぱり観客はついてけなかったっていう。三谷さんはシャイだから、この映画が受けなかったことで、もう二度とこういうアクセル全開の映画は作らないんだろうけど、私は一回でもこういう映画を作ってくれたことに感謝したい。

 というか、あれなのかな。面白いつまらないとかいう話じゃなくて、いつもの三谷幸喜作品の客層と、この映画が受ける客層にズレがあったのかもしれないよね。
 私が強く感じたのは、この映画の雰囲気ってなんというか松本人志さん的なんだよね。ウルトラセブンとかのレトロな特撮をシュールなネタに変換するようなところとか。だからダウンタウンの『ごっつええ感じ』とかで爆笑した人なんかは、この映画すごい面白いと思う。半魚人みたいなのも出てくるしw
 自分は頭でっかちなところがあるから、こういう肩の力が抜けた、ナンセンスでシュールなものって思いつかないんだよな。IPPONグランプリとかの大喜利とかも、この人たちどういう瞬発力してんだって思うし。実際、三谷さんってIPPONグランプリの姉妹番組のオモジャンで優勝とかしてたしな。

 それと男女の恋愛に対する徹底的に冷めたシニカルな態度。舞台を場末感漂う宇宙のハンバーガーショップにしたアイディアも秀逸。カップルの痴話喧嘩がこれほどまでにしっくりくる舞台設定はないよ。これって窓の外は宇宙ってことになっているけれど、ぶっちゃけ深夜のマクドナルドだもんね(サンドサンドさんってw)。
 こういう毒のあるネタって確かに今までの三谷幸喜らしからぬけれど、三谷さんって絶対に深層心理に恐ろしい魔物を飼ってそうな気がしたから、あ、やっぱり飼ってた、飼ってた!って一安心、まさにブラック三谷ワールド!
 私は全宇宙がこの映画を駄作だと言っても、三谷幸喜についていく!たとえクレジットカードの情報がすべて消えてしまうくらい磁場が強くても。

「ノア」
サンドサンドバーガー・コスモ店のオーナー。ハンバーガーに囲まれて暮らすのが夢なほどハンバーガーが好きなため、ハンバーガーの食い方が恐ろしく汚い優香をあっさり捨てた。
恋愛沙汰なんて傍から見ればそういうどうでもいい小さなことであっさり破局するもんである。身勝手なのはお互い様っていう。
でもラストで「お前の卵は俺の卵だ」と急にカッコよくなった。どういうセリフだw

「ノエ」
登場キャラクターの中で最も地味だが、ハンバーガーの食べ方は綺麗なためノアと結婚した。でもモスバーガーとかって絶対にミートソースがクリーム多めのシュークリームみたいに飛び出すよね。あれが上手に食べられたら免許皆伝感あるよね。

「レイ」
花のように美しい女性だが(実際に頭に咲いてる)ハンバーガーを豚のように食べる。

「ババサビブ」
バルカン星人風。自分たちの星の挨拶みたいな感じで顔を舐めてくるが特に意味はないらしい。
女性の生理的な周期で脱皮する。

「ハナさん」
チーズサンサンバーガーセットににダブルチーズサンサンバーガーを追加するのと、ダブルチーズサンサンバーガーセットにチーズサンサンバーガーを追加するので、なぜ代金が違うのかと素朴な疑問を店長に打ち明けたところ、「そんなことを末端のお前が疑問に思う必要はない」的なあしらわれ方をされたため、号泣、EMPを放射し店内の動力システムを落とす。

「堂本博士」
AI。セリフのバリエーションがおそらくペッパーの1万分の1しかない。抱きしめたい!お前を抱きしめたい!しかし私には首から下、ないからね!!

「ゼット」
あのクールな石田治部が「ビンビンですよ・・・」といつもの不敵な笑みで語っているだけで爆笑。

「メンデス」
あのクールな上杉景勝がまさかの出産・・・つーか産卵!!日本映画史に残るおぞましいシーンかと思いきや、まるでウミガメの産卵シーンのような謎の感動があった。しかし卵の一つはハナさんにダストシュートであっさり宇宙に捨てられた。こんな時キャプテンソックスがいてくれたら・・・!!!

「ズズ」
ヌルヌルしてる西川貴教。産卵シーンで彼の出番かと思いきや、マイクル・クライトンの『スフィア』的に優香に昆布を召喚されてしまった。

「ハトヤ隊員」
ウルトラセブンを知ってるなら彼のたどる展開に腹がよじれるほど笑える。「だけどなハトヤ、ハンバーガーショップで打ち明けるような話じゃないだろ」ってww
キャプテンソックスがとにかく絶妙にダサい。このダサさはなかなか狙って出せるもんじゃない。三谷幸喜おそるべし・・・!!
「ヘア!」という掛け声は小栗旬さんのアドリブっぽくて面白く、また、なぜか「ソックス!」の掛け声はSE的なエコーがかかっていたのも大爆笑。最後まで全くいいところがなく、キャスト全員に「チェックすんなよ!」「役立たず!」と暴言を吐かれて退場した。

 とにかく全キャラクター不思議の国のアリスのようにいかれていて、どれも某差別はヤメよう映画のウサちゃんやキツネさんのように、すぐには受け入れられそうにないのがいい。異文化理解とはそんなに甘いもんじゃないんだっていう。でも最後は歌で強引に着地させたところは似ている(^_^;)

物理学実験覚え書き②

 生還しました。

 教授のキャラが先週の利根川先生から、マスターキートンのユーリースコット先生になってました。Dマイナーだよ、これは君が本気で取り組んだものとは到底思えない(※実際はBでした)。昼が無理なら夜学びたまえ(※ネットカフェで)。
 とにかく今回の受講生のレベルは低い、と。こんなレベルのお前らに今後の科学技術を担う子どもたちの理科教育は任せられねえ!みたいな。
 これに関しては少なくとも私は返す言葉ないよ。当日にエクセルの表計算の仕方やグラフの作り方調べてたから。
 でも、2回目となると、さすがにエクセルの使い方にもなんとなく慣れてきたので、最終日には多摩ズーに繰り出す余裕も見せました。

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 ペコ(以下:ペ)「ええ、この園でろくろを回して10年ほどになります。」

 この動物園、チンパンジーの檻のキャプションがキャバクラとかホストクラブっぽくて面白い(宣材写真っぽい)。絶対インタビュー答えている時の写真だよねw
 というわけで(どういうわけだ)、エスポワールで繰り広げられた6つの実験について内容と感想をまとめていきます。

たわみによるヤング率の測定
アルミニウム、銅、鉄、真鍮(銅と亜鉛の合金)といった金属棒の年齢・・・じゃなくて強度を調べる実験。
金属棒のブリッジに一個200gのおもりを一個ずつ吊り下げ、金属棒がどれだけたわんだかを、光てこ法(金属棒に当てた反射光がどれだけズレたかを調べる測定方法)や、ダイヤルゲージ法(目盛り付きのバネを金属棒の上に当て、どれだけバネが戻ったかでたわみを測る方法)で調べる。
金属のヤング率Eは、金属棒の長さl3×荷重M×重力加速度g÷(金属棒の厚さa3×金属棒の幅b×ダイヤルゲージの目盛りe)と、非常にしちめんどくさい計算をしなければ算出できないので、実測データをまとめた表の値からヤング率をエクセルに計算させようとしたんだけど、エクセルってほとんどいじったことがなくて、当日に提出できず、近隣のネットカフェで大苦戦。ビターな初戦となった。
ちなみにエクセルってセルA×セルBをA✽Bって書くんだね。アスタリスクなんだ。

以下は測定データ。
吊るした荷重(おもり)がXgの時の、下に引っ張られた度合い(cm)とヤング率を各金属棒でそれぞれ求めた。
しかし単位をセンチメートルでヤング率を求めると(dyne/c㎡)というマイナーな単位で値が出てしまうので、この時の10につく指数をひとつ減らして(N/㎡)に変換した(1dyne=10-5N、c㎡=10-4㎡なので、1(dyne/c㎡)=10-1(N/㎡)になる)。
また、金属棒の厚さや幅はマイクロメーターを使って測定した。

ヤング率表.jpg
ということで、吊り下げたおもりによって試料(金属棒)が変形する度合いは、おもりの重さに比例し、また、形状の異なる真鍮の測定結果がほとんど同じ値であることから、形状によらず金属ごとに決まっていることがわかる。

オシロスコープを用いた電気信号測定に関する実験
オシロスコープの使い方をお勉強するだけのボーナス課題。
オシロスコープってそもそもなんなんだっていう話だけど、よく科学研究所とかに心電図的なモニターがあるじゃん。あれ。
つまり、時間的に変化する電気現象を波形に変換し、それをモニターに表示するマシーンがオシロスコープ。

オシロスコープの構造
オシロスコープを分解すると、最近の若い小説家志望者には死語になったらしいブラウン管が組み込まれていることがわかる。
平成世代のために説明すると、ブラウン管とはドイツのブラウンさんが発明した陰極線管のことで、真空のガラス管の中で、電子銃から陰極線(電子線)を発射し、それを蛍光板に当てることで画像を表示させる装置。このようにブラウン管を使った表示システムをCRT(カソード・レイ・チューブ)とも言う。

オシロスコープの原理
①カソード(陰極)と加速電極の間に高い電圧を加え、カソードをヒーターで加熱する。

②カソードから電子が放射され電子ビームになり、加速電極に向かって速度を加速させる。

③加速電極には中央に穴が空いているため、電子ビームは加速電極を通過してブラウン管の奥にある蛍光膜にぶつかり、そこに輝点を生じさせる(電子ビームは蛍光膜の所で収束するようになっておりシャープな輝点が描ける)。

④蛍光膜状に波形を描かせるために、垂直偏向板に信号電圧を加え、さらに水平偏向板に一定速度で大きくなっていく電圧を加えると輝点が左から右へ一定速度で移動し(スウィープ)、縦方向に電圧、横方向に時間軸を取ったギザギザの波形(のこぎり波)が描かれる。(スウィープはA→Bで繰り返し行われて、BにいったらすぐにAに戻しているため波形がのこぎり状になっている。)

同期
このように垂直偏向板に加えられた電圧信号は波形としてブラウン管面上に描かれるが、観測しようとする信号が同じ波形の繰り返しの場合には、一回目のスウィープと二回目のスウィープで表示する波形の書き出し位置(周期のタイミング=位相)が異なってしまうため、ブラウン管上に波形がいくつも重なってしまい見苦しい。
そこで、観測信号の波形をブラウン管面上で静止させるために、観測信号とのこぎり波のタイミングを合わせる工夫(同期)をする必要がある。全く同じ形の波が周期的に現れれば、画面上の波は止まって見えるからである。
じゃあ、具体的にどうやるかというと、トリガー回路を使って、任意の電圧になったら、観測信号に対しパルス信号を定期的に発生させるようにする。これによってスウィープ信号を発生させる。
さっきも言ったように、スウィープ信号は通常、ブラウン管の右端(に相当する電圧)に達すると、急速にもとの左端(に相当する電圧)に戻り、再びスウィープを開始するようになっているが、次のパルスBが来るまでスウィープを休止させる(待ちの時間を与える)と、オシロスコープは各スウィープのたびに同じ波形を描くことができる。
まさにMYST4。

参考サイト:『オシロスコープの原理 岩通計測株式会社』https://www.iti.iwatsu.co.jp/ja/support/05_07.html

オシロスコープの操作パネル
インテンシーボタン:線の輝きを調整する。
フォーカスボタン:輝線のピントを合わせる。
ポジションボタン:グラフの位置を上下に移動させる。

TIME/DIVボタン
テレビリモコンのチャンネルや音量をザッピングするボタンに似ている。
モニター上の格子1マス(ディビジョン=DIV)あたりの単位時間(TIME)を変更できる(波形の横幅が変わる)。
モニター上では0.2ms/DIVのように表示される。

VOLT/DIVつまみ
このつまみを回すと、モニター状の格子1マス(ディビジョン=DIV)あたりの電圧(V)を変更できる(波形の振れ幅が変わる)。
※プローブの倍率を×10(減衰率×10)にした場合は、実際の電圧は1/10になるため、モニターに表示される値を1/10に直すのに注意!
例:0.5V→0.05Vとして計算。

レベルつまみ
うまく調整すると波形の動きを止めることができる。

INPUT CH
入力チャンネル。発信機からの配線をここに接続する。チャンネルは2つある。

キャリブレーション(校正)
測定を始める前に行うオシロスコープの動作チェック。
電圧と周期を表示面から読み取るために、波形が画面外に行かないようにする目的がある。
以下、キャリブレートの手順について示す。

①プローブ(電気探針)をオシロスコープの CH1 INPUT に接続する。プローブの部分には倍率を切り替えるスイッチがあるが、これは通常10倍(×10)にする。

②オシロスコープの電源を入れる前に、操作パネルのスイッチ類を基本ポジションにセットする。

③電源を入れる。

④操作パネルの CH1 VARIABLE を右に回し切る(軽くロックがかかる)。

⑤輝線調整を行う。 
TRIGGER MODE が AUTO 、 TRIGGER SOURCE が[CH1]、VERTCAL MODEが[CH1]になっていることを確認し、 CH1 GND のボタンを押して押し込まれた状態にする。
CH1 TIME/DIV を操作し 1[ms]程度にする(この値は画面上に表示される)。

※画面中央の水平目盛線付近に横一本の輝線が表示されない場合は、 INTENSITY と CH1 POSITION を調整する。

※画面に太い輝線が現れた場合は、 INTENSITY と FOCUS で輝線を細くする。

※画面に傾いた輝線が現れた場合は、中央水平目盛線と輝線が平行になるように TRACE ROTATION をドライバーで調整する。最終的に線が細くなるように調整する。

⑥CAL信号を観測する。 
PROBE ADJUST にプローブを接続し(※つまりプローブのついたケーブルはオシロスコープからオシロスコープにつながっている)、 CH1 GND を押し込まれていない状態、 CH1 AD-DC を[DC]へ切り替える。

波形観測の方法
キャリブレーションが終了したら、発振器を用意し、発振器を、「正弦波」、「周波数1[kHz]」、「ATTENUATOR 20[dB]」、「AMPLITUDE(のダイヤルを右いっぱいにひねる)」、に設定する。

①使用CHのGNDのスイッチを押し込まれていない状態にする。 

②発振器のOUTPUTと、オシロスコープのINPUTをプローブでつなぐ。その際、プローブはGND端子(オシロスコープにつなぐ側)からつなぐ。

③使用チャンネル(CH)に合わせて、TRIGGER SOURCE を選択(CH1を使用する場合は[CH1]を押した後にTRIGGER LEVEL を調整)して、波形を表示(停止)させる。
 
④表示された波形が観測しやすい太さになるように TIME/DIVとVOLTS/DIVを調整する。

⑤現れた信号から必要な測定(電圧と周期)を行う。

電圧の測定
波のピークの下端が画面上の適当なグリッド線に、ピークの上端がセンターグリッドに合うように、波形の位置を動かし、合わせた後に何[DIV]あるのかを読み取る。

電圧[ⅤP-P(ピーク・トゥ・ピーク)]は次の式(1)で求められる。

ⅤP-P = X[VOLT/DIV]×L[DIV]×A・・・(1)
 
 X:[VOLT/DIV]のレンジ
 L:波形の上端から下端までの距離(振幅の二倍の大きさでマス目の数を数える)
 A:プローブの倍率(×1と×10に設定できる)

周波数の測定
画面上の水平目盛線(GND線)と波形の交点を二つ決めて、その二点間の距離L[DIV]をマス目の数から読み取る。

周期[T]は次の式(2)で求められる。

T=Y[TIME/DIV]×L[DIV]・・・(2)

 Y:[ms/DIV]のレンジ
 L:GND線と交差する二点間の距離

リサジュー図形の測定
オシロスコープには「X―Yモード」と呼ばれる測定モードがあり、CH1INPUTとCH2INPUTに入力された信号を、それぞれY軸(垂直方向)信号、X軸(水平方向)信号としてリサジュー図形を描くことができる。

操作手順
①VERTCAL MODEとTRIGGER SOURCEを[CH1]にする。
②CH1INPUTに発振器1を接続し、見やすい波形になるように発振器1を操作する。
③VERTCAL MODEとTRIGGER SOURCEを[CH2]にする。
④CH2INPUTに発振器2を接続し、見やすい波形になるように発振器2を操作する。
⑤VERTCAL MODEを[CH1]にする。
⑥HORIZONTAL MODE の[ALT]と[B]を同時に押し、X-Yモードに切り替える。
⑦発振器1と2の周波数調整つまみを微調整し、画面上の波形ができるだけゆっくりした動きになるようにする。ここで表示されたものがリサジュー図形。
⑧発振器の周波数調整つまみを調整し、周波数比を変更してみる。

リサジュー曲線の仕組み
リサジュー図形とはオシロスコープによって同時に測定している2種類の波形(単振動)のひとつを縦軸、もう一つを横軸に表示することにより描かれる平面図形である。
この時のふたつの波形の周波数や位相を変えることによって、リサジュー図形はシンプルになったり複雑になったり、回転したり静止したりする。
1855年にフランスの科学者リサジューによって考案された。

リサジュー図形から分かること
リサジュー図形の形状から2つの波の振幅、位相差、周波数の違いを調べることができる。

1.振幅
図形の縦と横のふれ幅を見れば普通に分かる。

2.位相差
二つの波の周波数が同じ(1:1)場合

①リサジュー図形が右肩上がりの直線
→二つの波の山と山がぴったり合っている。(位相差0°)

②リサジュー図形が円
→二つの波はsinとcosの関係のようにずれている。(位相差90°)

③リサジュー図形が楕円
→二つの波のずれが、①と②の中間である。

ちなみに、位相差φはリサジュー図形の高さをA、リサジュー図形とY軸の二つの交点の距離をBとすると以下の式で求めることができる。

φ=sin-1(B/A)

3.周波数
二つの波の周波数がずれると、それに伴い位相もずれ、リサジュー図形の形が変化する。例えば周波数比が1:1の時では直線→楕円→円→楕円→直線と移り変わる。
リサジュー図形の形から周波数比を調べたい時は、リサジュー図形を四角形で囲み、縦の辺と横の辺でそれぞれいくつの波が接しているかをカウントする。

リサジュー図形.jpg
例えば、上の図のようなリボン状のリサジュー図形は縦の辺に波がひとつ、横の辺に波が二つ接しているので(波形のブレは無視してくれ)、周波数比は1:2だということがわかる。

物理学実験覚え書き①

 先週の土日に東京の大学へ人生初のスクーリングとやらに行ってきました。自分が通っている大学には大きく3つのコースがあって、1つめがレポートを書いて、それに合格したらさらに単位習得テストを受けるというコース、2つめがスクーリングに参加して、さらにレポートを提出するコース、最後がスクーリングだけで単位が取れるコース。
 で、今回の物理学実験はスクーリングだけのコースだったんですよ。だから私も、テストやレポートがないってことは、講義を受けるだけでわりと簡単に取れるんだろうな、とか呑気にワクワクしてたんですが、そんなぬるい希望は見事に初速度Vで吹き飛ばされました。まさに理系の洗礼! 
 レポートめちゃくちゃ書くっていうね。しかもそのレポートもテキストや講義をまとめるとかそういうもんじゃないからね。ガチの実験報告だからね!

 実験室にヒントの冊子と実験器具だけ置いてあって、あとはお前らがチームを作って考えろっていう、リアル脱出ゲーム的な展開で、なんか思ってたのと違う!っていう。
 なんかこう、実験の授業のやり方とか、生徒に対しての安全指導とか、そういうの教えてもらえるのかなと思ってたら、先生のお話は最初の1コマだけで、あとの時限はバックヤードに撤収。まさに利根川先生。「これで説明の全てを終わらせていただきます。ファッキンブチ殺すぞゴミめら(※言ってません)」みたいな感じで、ほとんど放置w
 しかも、その最初のお話の内容も、小保方さんの論文データ改ざん問題から始まり、そこから研究者としての心構えとか、実験や論文に対する取り組み方とか、総じて理系研究職を対象とした研修的な内容で色々とガチ。理系甘く見てた。

 おまえたちは皆・・・大きく見誤っている・・・この世の実体が見えてない。甘えを捨てろ。おまえらの甘え・・・その最たるは、今、口々にがなりたてた、その質問だ。
 質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か・・・?バカがっ・・・!とんでもない誤解だ。自然界というものは、とどのつまり、肝心なことは、何一つ答えたりしない。斜面を転がる金属球、木から落下するリンゴ・・・連中は何か肝心なことに答えてきたか・・・?


 ホールマスターは耳の痛い激を飛ばし壇を降りた。同時に勝負の時を刻む時計が、その数字を減らし始めた。

 ということで今週中に実験レポートを5つ形にしないといけないんですよ。つーか、このスクーリングの参加者って、言うまでもなくみんな理系学部出身者で、要は、学部時代に自分の専攻分野の単位だけで高校の免許を取得していて、社会人になってからさらに中学の理科の免許(※物理化学生物地学の四天王すべてを攻略しないともらえない)が欲しかったり、あと一番多かったのが、教員免許は持ってないんだけど、高校には理系なら理科の教員免許持っていなくてもやれる実習助手っていうポジションがあるみたくて、それをやっている人が、やっぱり教員免許が欲しいと、今回のスクーリングを受けているというパターン。というか、そういう人がほとんどだった。
 つまり芸術系の参加者は言うまでもなく私だけでいろいろ浮いていた。このひと間違って参加しちゃったんじゃないの?みたいな。
 そんな感じで理系参加者を前提にしたスクーリングだから、ワードやエクセルの数式や関数、グラフを使いこなせるのは当たり前ってことで、話が進んでるんだよね。
 よって、こんなたわいもないトレース実験(実際に実測データが教科書通りになっているかどうかを確認する実験)のレポートの6つや7つ2日程度で書けるだろっていう。
 とはいえ、このノルマは、ほかの参加者もゲゲッて顔していたから、かなりシビアなレベルであることは確かなようだ。

 ちなみに、実験の種類は8つくらいあって、その中から各班ごとに6つの実験課題が与えられて、それをチームで取り組むんだけれど、当然班ごとにやれる実験とやれない実験があって、私の班に出された実験課題は・・・

①金属の強度(ヤング率)を調べる実験
②オシロスコープの使い方及び原理とリサジュー図形
③力学的エネルギーの保存の法則の確認
④電磁誘導現象の実験
⑤振り子による重力加速度の測定
⑥金属の熱伝導率のマスターカーブを調べる実験

 ・・・というわけで、ペットボトルロケットの飛距離の測定という楽しい神々の遊びができなかった。あと一番楽しみにしてた電子顕微鏡いじりもオペレーターが手配できなかったとかなんとかで、いじらせてもらえなかった(甘えを捨てろ)。でも原理的なものは最初の講義でちょっと教えてくれた。

 以下は最初のお話のメモです。

・日本は実験を軽視する傾向がある。小保方さんは実験ノートをろくにとっていなかった。しかし現在は特許よりも実験ノートが重視される時代である。

・実験結果をまとめるだけで、そこから議論や考察ができないということは、自分の知識の水準が低いということを露呈していることになる。

・自然科学の研究手順は以下の4つ
①目的(アブダクション。見通しを立てる)
②方法(どうやれば調べられるか実験方法を考える)
③結果(実際に実験してデータを出す)
④考察(結果から規則性などを導き出す)


・学術論文は、以下の手順で作成される。
①問題意識の実証(データ取り)
②結果の考察(一番難しく長い苦しみが味わえる)
③論文に謝辞や参考文献を掲載(日本では謝辞をあまり書かない。またどこまでが自分で実証したデータで、どこからが他の研究データの引用なのかの脚注を小保方さんはおざなりにしてしまった)
④査読してもらう
⑤修正
⑥また査読
⑦学術雑誌に掲載(論文の反響であるインパクトファクターは日本の雑誌よりも欧米の雑誌の方が大きいので英語で論文は書けたほうが良い。物理学の業界では『フィジカル・レビュー』誌のインパクトファクターがとてもでかい)

・好きだから研究するという時代ではなく、異常に世間の反応を意識するような時代になってしまった(先生方の全盛期はもっと牧歌的というか趣味的だったらしい)。

・実験レポートの注意点
①グラフの縦軸と横軸に説明と単位を付ける。
②連続的な現象なのか、その時だけの現象なのかの区別がつくようにグラフの表現を変える。
③測定データと引用データで表示を変え、脚注に引用先を明記する。

・先生は材料屋で、ジェットエンジン用のチタン合金を開発していた。昔はニッケル基超耐熱合金という温度が上がると強度が増す合金を使っていたが、現在は軽いチタン合金を使っている。それを開発した(すげえ)。

ノギスの使い方
ノギスは旋盤やフライス盤加工で製品の長さを測る基本的な器具。ノギスにメモリをつけたポルトガルの数学者ペトルス・ノニウスさんに由来(ノニウス→ノギスになまった)。
ちなみに日本以外ではノギスを現在の形に完成させたフランス人にちなんでバーニャ・キャリパーという(バーニャカウダっぽい)。
ノギスはステンレス製で、ステンレスは鉄(主成分)+ニッケル(30%代)+クロムの合金である。この時混ぜるニッケルの割合が30%代だと熱で合金が伸び縮みしなくなるという。
ノギスの各部分は以下のような名前と役割がある。

・クチバシ:小さいハサミ状の部位。クチバシが外側に沿っていて内径を測ることができる。

・ジョウ:大きいハサミ状の部位。外径を測る時に使う。

・デプスバー:ノギス後方についた小さな定規状の部分でジョウを動かした分だけ伸びることで、長さを測ることができる。

・主尺:でかい定規。cm単位の長さはこっち側の目盛り(の副尺の0があるところ)を読む。

・副尺:小さい定規。mm以下の長さはこっち側の目盛り(の副尺と主尺の目盛が一致しているところ)を読む。

マイクロメーター
ノギスのジョウ同様、長さを測りたいものモノを挟み込む系の器具。
測定物をアンビルとスピンドルで挟んで、この時のスリーブ(定規的な部分。柄の前方にある)の目盛りを読む。
スピンドルは柄についているシンブルというマッドサンダー的な回転部を一回転まわすと0.5mm動く。このスピンドルを動かすことで測定物を挟むことができる。

電子顕微鏡(EM)
物体の内部を見る透過型(TEM=トランスミッション・エレクトロニック・マイクロスコープ)と、物体の表面を見る走査型(SEM=スキャニング・エレクトロニック・マイクロスコープ)の二種類がある。
人の目の分解能(二点を区別できる間隔の狭さの限界値)は0.1mmだが、SEMは30オングストローム、TEMはなんと1.4オングストロームもあり、原子や分子も見える。

日本のメーカーでは日立製作所や日本電子が強い。海外メーカーではフィリップス製がいいらしい。
電子顕微鏡はとにかく試料作りが大変で、さらに1ミリが100メートルで見える世界なので、ちょっとした振動が大震災になり、世間が寝静まった深夜2~3時しか使えない。
ちなみに電子顕微鏡で髪の毛を見ると、ストレスや副腎皮質ホルモンや麻薬や放射線の影響で髪の毛の表面のキューティクルがボロボロに剥がれてくることがわかる(アメリカの麻薬局で容疑者の髪の毛を採取することがあるのはこのため)。
そこで、サファリパークのライオンとシマウマのタテガミをもらって電子顕微鏡で見た場合、ライオンのキューティクルは美しく、シマウマのキューティクルはズタボロだった。

 キリがないので今日はここまでで。生きてエスポワールから生還できれば、次回から実験レポートについての感想をまとめる予定です。特に力学的エネルギーの保存についてはかなり面白いことがわかったのでカミングスーン(計算あってるかわからないけれど)。

デッドプール

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」

 なんというか、アボカドと腐ったアボカドがヤったような顔だな。

 う~ん(^_^;)ポスターがけっこうキャッチーで期待値が上がりすぎてしまったようだ。もっとメチャクチャな内容かと思ってたので拍子抜け。普通じゃんか!っていう。
 これまでにないアメコミヒーロー映画という触れ込みだったけれど、わりとこれまでにあるアクション映画。
 つーか、どことなく『アントマン』とキャラや物語構成がかぶるんだよな(個人的にはアントマンの脚本の構成の方がずっとうまい)。ほいで、『マチェーテ』とか『キックアス』的な最近流行りのバイオレンスを加えたんだろうけれど。
 だから、新しかった部分って、せいぜい冒頭のキャストとスタッフ紹介かな。「出演:イギリス人の悪役」「ティーンエイジャー」「監督:ギャラが高いだけの役たたず」みたいな。
 たとえばさ、第4の壁を破壊できる能力とかいうけれど、これって古畑任三郎もできるし、日本のコンテンツではそんなに目新しいものでもないわけじゃん。
 さらに、このメタ的なギャグをやる以上はさ、もう全力でコメディ映画に振り切るしかないわけよ。
 だって『鏡の国のアリス』のアリスや、『ソフィーの世界』のソフィーよろしく、自分がコミックのキャラって認識しているなら、もうその世界の出来事は“劇”に過ぎないわけで、そしたら最後、どうやってもハラハラドキドキはないわけじゃん。ああ、結局みんな演技なんだねっていう。
 だから、これをやるなら、シリアス要素は全て捨てる、全編ギャグで行くんだ!という覚悟がないと、単にしらけるだけなわけです。
 それなのにこの映画は、中途半端にラブロマンスとかシリアスな葛藤とかを中盤の回想でダラダラとやっているから、どっちつかずというか、あちゃ~振り切れなかったなあっていう印象。

 他のXメンを出す予算がないんだろ。

 まだいたの?もう帰りなよ、眼帯つけたサミュエル・L・ジャクソンとか出てこないからさ。


 こういうネタ嫌いじゃないんだけどさw
 結局、こういうネタの扱い方って日本の方が慣れているよね。とんねるずのタカさんやノリさんが「ダーイシ」とか「湊部長」とか、視聴者には第4の壁で隠されていた番組制作陣の真似をしたりさ、漫画だったらガモウひろしさんや小栗かずまたさんといった同じ雑誌の連載陣をネタにした少年ジャンプの『幕張』とかさ。ちょっとオタクくさくなる上、かなり諸刃の刃だから私自身はこういうメタで毒のあるやつは漫画ではやらないんだけど。
 それに、実際、この前やってたアベンジャーズのアニメあったじゃん(ディスクウォーズ)。あれでたまたまデッドプールが出てくる回を見たんだけど、あっちのほうがずっとくだらなくて面白いんだよ。で、それを期待しちゃったっていうのもあるんだよな。
 つまりさ、デッドプールって、主演より脇役として扱ったほうが全然いいっていうね。『みどりのマキバオー』のベアナックルみたいなやつじゃん(笑)
 主演になりたいんだけど、メインキャラに「お前うざいよ、あっちいけよ」とか「お前が出てきちゃうと段取りがおかしくなっちゃうから困る」とか、邪険に扱われてこそ輝くキャラなんじゃないかって。
 それが、この映画だと逆にXメンサイドに「仲間になれ」って勧誘されているもんね。いったいコイツのどこがよくて勧誘してんだってことで、Xメンの銀色タンクトップおじさんの方がキャラが立っちゃってたもんなw
 だから、本編のデッドプールにそういったうざさがなかったってことが残念だったな(ちなみにポスターにはあった)。普通に悩める二枚目っていうかさ、そういうの違うだろっていう。

 というかさ、ちょっと意地悪な拷問をされたとは言え、末期ガンで死ぬしかなかった俺ちゃんの命を、あの悪役のドクターは助けたとも考えられるから、「オレの顔をこんなにしやがって」みたいな恨みがちょっと弱いんだよね。もっと不死の存在になったことによる恐ろしさや狂気を描いても説得力が増しただろうし、むしろ、もう一度彼女に会えたんだから感謝しろよっていうか。感謝した上でバキューンって殺しちゃっても面白いわけじゃん。
 とにかくもっと突き抜けて欲しかった。なんかキャラが消化不良だったよ。あ~あ、もったいないというか。宣伝負けだなというか。
 いやいや、確かに笑えるところもあったんだけどさ、思い返すと、それって大体デッドプールのギャグじゃなくて、同居人の婆さんとか、バーのマスターとか脇役が発したギャグなんだよね。でも、それってダメだろうっていう。
 不謹慎路線なら、『ブラックアダー』とか、ローワンアトキンソンのブラックコメディの方がずっとハラハラするもんな。もっとデッドプールはミスタービーンのように悪気がなく無関係の市民を殺しちゃっても良かったと思う。

 惚れればあばたもえくぼ。

 あばただらけだ。


 こんな弱音を吐いてないで、デッドプールよイギリスへ行け!子どもや老人、身体障害者をいじめてこそのクソ無責任ヒーローなのだ。
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