力学的エネルギー=位置エネルギー+運動エネルギー
振り子や斜面を転がっていくボールなどで有名なやつで、運動エネルギーが上がると、それに伴って位置エネルギーが下がり、位置エネルギーが上がると運動エネルギーが下がるという、シーソーみたいな関係になっている。
そして位置エネルギーと運動エネルギーの合計値は、どんな状態でも同じ値になるというのが、力学的エネルギー保存の法則。
そもそも力学的エネルギーってのは、位置エネルギーと運動エネルギーの合計値として定義されたもので、これは、まあルールみたいなもの。
例えば、力学的エネルギーが10だとして、位置エネルギーが8なら、運動エネルギーは2。位置エネルギーが4だったら、運動エネルギーは6といった感じ。
んで、位置エネルギーは物体の重さ(質量)と高さによって定まると、中学校の教科書には書かれているけど、もう少し厳密に言うと、位置エネルギーは物体の質量と、重力によって定まる。
位置エネルギー=質量×重力
E=m(マッス)×G(重力Gは重力加速度×高さで求められる)
となると、高さが高ければ位置エネルギーは大きくなるわけで、となると重力も高さに伴い大きくなるということになる。
しかし、よくよく考えたら、地球が引っ張る引力って地球から離れれば離れるほど、弱くなるから、これっていろいろ矛盾している。
つまり、この位置エネルギーの算出方法は「※ただし地表で」という歯切れの悪いエクスキューズが必要だという(^_^;)
対して運動エネルギーは、物体の重さと速さによって定まる。ただし、こちらは式がちょっと複雑で、1/2×重さ×速さの2乗になる。
運動エネルギー=質量×速さ×速さ÷2
E=m×v×v(ベロシティ)÷2
これは、重力によって物体のスピードがどんどん速くなっていくため(等加速度運動)。
瞬間の速さ=加速度×その時間
v=a(アクセレーション)×t
中学校の理科でやるように、移動距離を示す記録テープを紙に貼って、縦軸:速さ、横軸:時間のグラフを完成させると、等加速度運動は、比例の直線のグラフになるので、例えば、動き出して10秒後の移動距離は、横軸の変域が0~10までに含まれる三角形の面積と等しくなる。∑的な考え(アレ大嫌いw)。
だから、三角形の面積(道のり)=底辺(時間)×高さ(速さ)÷2より・・・
道のり=時間×速さ÷2
道のり=時間×加速度×時間÷2
道のり=加速度×時間の2乗÷2
になる。
ここで、新キャラが出てきちゃうんだけど、この時に物体にかかっている力・・・F(フォース)はその物体の質量と加速度によって求められる。
なぜなら、自動車とかをイメージすればいいんだけど、重いものをたくさん加速させるにはそれだけ力がいるから。
力=重さ×加速度
F=m×a
つまり両辺を重さでわると・・・
加速度=力÷重さ
に等式変形ができる。この式をさっきの「道のり=加速度×時間の2乗÷2」に代入すると・・・
道のり=(力÷重さ)×時間の2乗÷2
そしてエネルギーEは、力と道のり(ストローク)をかけた値(E=F×s)なので・・・上の式の両辺に力をかけると・・・
エネルギー=力の2乗×時間の2乗÷重さ÷2
さらに、時間がまだ残っちゃっているので、次は・・・
速さ=加速度×時間を
時間=速さ÷加速度
に変形し、その加速度に「加速度=力÷重さ」を代入。
時間=速さ÷(力÷重さ)
分数のマトリョーシカになっちゃったので(^_^;)「重さ/重さ=1」をかけてやって
時間=速さ×重さ÷力
これをエネルギーの式に代入し・・・
エネルギー=力の2乗×(速さ×重さ÷力)の二乗÷重さ÷2になって、力の2乗が約分されて消えてしまう。また重さの方も、指数がひとつ消える。
よって
エネルギー=重さ×速さの二乗÷2
を、導くことができる・・・意外と大変。まあ、教習所で習うように、自動車のエネルギーは、その自動車の重量に比例して、スピードに関しては2乗に比例するってこと。だからスピード出し過ぎは、自動車を重くするよりも危険。まあどっちも危険。
さて、あとは力学的エネルギー保存の式に、位置エネルギーと運動エネルギーの式を代入する。
位置エネルギーの最大値=運動エネルギーの最大値
重さ×重力加速度×高さ=重さ×速さの2乗÷2
mgh=1/2mv2
この時の高さは、例えば坂を下るボールなら、二つの地点の高低差でもOK。
あと難しいんだけど、スキーのジャンプ台みたいなのがあったとき、選手がジャンプ台からシュババって飛んだ時のエネルギーが、ジャンプの最高点を決めるから・・・力学的エネルギー=位置エネルギー+運動エネルギーの式に代入すれば、ジャンプの最高到達点が求められる。
また、この手のジャンプを斜方投射って言うらしいのだが、その場合水平方向へは等速直線運動を続ける。実際は空気抵抗が絶対かかるから減速すると思うんだけどね。
例えば、傾斜角60度のジャンプ台(!)で速度10で斜方投射させたら、水平方向の速度は、三角比からコサインで出せて、コサイン60度は2分の1なので、水平方向の速度は5ということになる。
気体の状態方程式について
2013-09-29 15:09:21 (11 years ago)
近年稀に見る、自然科学系の記事。
最近理科の勉強しているんですが、高校生の勉強なんてかれこれ15年もしていない上に、現役時代もろくに理解できていたか怪しいので、もう一度復習をしているんです(^_^;)
特に物理、地学は履修していない上、化学もほとんど覚えていなくて、例えば・・・
500mlのガラス容器に標準状態で11.2リットルの乾燥した空気が入っています。その温度は27度に保たれていて、この時、容器の中の酸素の体積は、酸素の分圧のもとでは何mlですか?
空気の構成は窒素:酸素=4:1とし、原子量はH=1.0、N=14、O=16 気体定数R=8.3×103(L・Pa/mol・K)
みたいな問題があったんですけど、まず読解すら怪しいという・・・空気の分子量くらいは、問題文中に原子量が書いてあるので、そりゃなんとかなるのですが、酸素の体積となると気体の状態方程式を覚えてないと全く歯が立たないという。
それどころか、気体の状態方程式って言われて、模範解答を読んでも、いまいち理解が追いつかないという・・・ウィキペディアは言わずもがな。
というわけで、今回はそんな気体の状態方程式を、中学生レベルの脳を持つ私が理解しようと、醜くあがくお話。
気体の状態方程式っていうのは、どんな種類の気体も、気体の圧力と容器の体積をかけた数は気体の物質量と温度と気体定数をかけた数と等しくなるというもの。
PV=nRT
って書かれるんだけど、私は文系なので・・・
圧力×体積=気体の物質量×気体定数×温度
と日本語にします。んで、どういう了見でこんな式が開発されたんだって、視聴者の皆さんは思うに違いない(私だけか)。
これは、ボイル・シャルルの法則から出していて、ここまで遡ると、小学生や中学生の理科のレベルに落ちてくれるんだけど、気体の体積って温度が上がるほど大きくなるじゃん。状態変化で習うアレ。体積が膨張すれば当然、周囲を押す圧力も大きくなるわけで、ここまではOK。
じゃあ温度が変化しない状態(等温変化という)を仮定するとして、もし気体の体積“だけ”を小さくすれば、逆に気体の圧力は上がる(反比例の関係になる)んじゃないの、というのがボイルの法則だ。同じ電圧の場合、電気抵抗が上がれば、逆に電流は小さくなるというのと一緒だ。
ボイルの法則・・・PV=R(※Rは定数)
でもやっぱりよくわからないから、圧力×体積=定数(同じ温度の場合)にする。
んで、これと似たのがシャルルの法則。こちらは、気体を入れたシリンダーに同じ圧力をかけ続けた場合(こちらは等圧変化)、そのシリンダーを徐々に温めると気体の体積は膨張するよ、というもの。
シャルルの法則・・・V=R×T(※Rは定数)
でもやっぱりよくわからないから、体積=温度×定数(同じ圧力の場合)にする。
よって定数を求める場合は、式を定数=体積÷温度に変形し、体積を温度で割れば求められる。体積と温度は比例関係なので。
つまりこのルールをまとめると、気体の量(物質量)が変化しないのならば、圧力と体積をかけた数を温度で割った数は一緒ってことになる。
よって、ボイルの法則とシャルルの法則は、ボイル・シャルルの法則と悪魔合体させることができる。
気体の量が同じ場合、気体の体積は圧力に反比例するが、温度には比例する。
P×V÷T=R
圧力×体積÷温度=定数
この式の両辺にTをかけると、P×V=R×T(圧力×体積=定数×温度)になって、気体の状態方程式になる。
ちなみにこの式を使って、1molの気体の体積は種類にかかわらず22.4Lというルールが導き出されるのだが(※0℃、一気圧の場合)、これはある種のトートロジーで、この22.4を出すには、状態方程式のR(気体定数)の部分にに8.3×103を代入しないと得られないし、気体定数の8.3×103を出すには、状態方程式のVに1molの気体の体積値22.4を代入しないと得られない。
このキャッチ22を説明できる関係者の方々を募集しています。
まあ、それは置いておいて(そこは置いておくんかい)、この状態方程式を使って問題を解くには、テキストの解答欄で「理系なら常識だべ?」と見事に割愛された部分を知らないといけない。まずさっきも言ったように、トートロジーのどっちか、まあ、気体の体積は1molあたり22.4Lを暗記しておくべきだし(もちろん忘れちゃってたよ)、それ以上に文系の私が引っかかったのが、Tの温度がセルシウス温度じゃなくて絶対温度だということ!
ず~っとセルシウス温度で解いてて、もうどうやっても答えと数が合わなくて泣いてたんだからね!ならTじゃなくてKで書けよ!って思ったら、問題文の気体定数のところにちっちゃく書いてあったwてへ
絶対温度のケルビンは273.5をセルシウス温度に足せば出るから(絶対零度0Kがセルシウス温度ではー273℃だから)、27℃はぴったり300Kになる。解きやすく作ってくれてんだw
あとは、もう方程式にシュババって代入すれば出せる。ちょっと電卓使ったけど。
1molの気体は、さっきも書いたように、22.4リットルだから11.2リットルの空気の物質量はちょうど半分で0.5mol、温度27度はぴったし300K。ガラス容器の体積は500mlだったのでリットルでは0.5。
あとは、これらの数を気体の状態方程式(圧力×体積=物質量×気体定数×温度)に代入して・・・
0.5×P=0.5×(8.31×103※気体定数)×300で、P(圧力)=2493×103→有効数字の関係で2.493×106パスカル。
酸素の分圧は、問題文より、空気の五分の一を占めるから、空気の圧力を5で割って、4.986×105パスカル。
空気の物質量は0.5molだったから酸素は0.1molになって(やっぱり出題者親切w)これを再び状態方程式に代入。
4.986×105パスカル×V(体積)=0.1×気体定数(打つのめんどい)×300=0.3×8.31÷4.896=0.51296296296リットル・・・になるから答えは500ml。
これ512mlって書いたらバツ?いろいろ掛けたり割ったりしたから、どこまで有効かわからん(^_^;)
いや~しかし生物と地学はそこそこ今でもできるんだけど(忘れてても本を読めば割と簡単に思い出すし納得する)、自分は数学に弱いから、こういう物理や化学の計算問題は、いちいち前提を確認しながらゆっくり勉強してかないと相当きつい。
来年度、大学で理科の教育免許を取るときまでに、大学の先生への質問をたくさん溜めておくことにしよう。とりあえず、22.4と気体定数8.3×103のパラドックスから。
最近理科の勉強しているんですが、高校生の勉強なんてかれこれ15年もしていない上に、現役時代もろくに理解できていたか怪しいので、もう一度復習をしているんです(^_^;)
特に物理、地学は履修していない上、化学もほとんど覚えていなくて、例えば・・・
500mlのガラス容器に標準状態で11.2リットルの乾燥した空気が入っています。その温度は27度に保たれていて、この時、容器の中の酸素の体積は、酸素の分圧のもとでは何mlですか?
空気の構成は窒素:酸素=4:1とし、原子量はH=1.0、N=14、O=16 気体定数R=8.3×103(L・Pa/mol・K)
みたいな問題があったんですけど、まず読解すら怪しいという・・・空気の分子量くらいは、問題文中に原子量が書いてあるので、そりゃなんとかなるのですが、酸素の体積となると気体の状態方程式を覚えてないと全く歯が立たないという。
それどころか、気体の状態方程式って言われて、模範解答を読んでも、いまいち理解が追いつかないという・・・ウィキペディアは言わずもがな。
というわけで、今回はそんな気体の状態方程式を、中学生レベルの脳を持つ私が理解しようと、醜くあがくお話。
気体の状態方程式っていうのは、どんな種類の気体も、気体の圧力と容器の体積をかけた数は気体の物質量と温度と気体定数をかけた数と等しくなるというもの。
PV=nRT
って書かれるんだけど、私は文系なので・・・
圧力×体積=気体の物質量×気体定数×温度
と日本語にします。んで、どういう了見でこんな式が開発されたんだって、視聴者の皆さんは思うに違いない(私だけか)。
これは、ボイル・シャルルの法則から出していて、ここまで遡ると、小学生や中学生の理科のレベルに落ちてくれるんだけど、気体の体積って温度が上がるほど大きくなるじゃん。状態変化で習うアレ。体積が膨張すれば当然、周囲を押す圧力も大きくなるわけで、ここまではOK。
じゃあ温度が変化しない状態(等温変化という)を仮定するとして、もし気体の体積“だけ”を小さくすれば、逆に気体の圧力は上がる(反比例の関係になる)んじゃないの、というのがボイルの法則だ。同じ電圧の場合、電気抵抗が上がれば、逆に電流は小さくなるというのと一緒だ。
ボイルの法則・・・PV=R(※Rは定数)
でもやっぱりよくわからないから、圧力×体積=定数(同じ温度の場合)にする。
んで、これと似たのがシャルルの法則。こちらは、気体を入れたシリンダーに同じ圧力をかけ続けた場合(こちらは等圧変化)、そのシリンダーを徐々に温めると気体の体積は膨張するよ、というもの。
シャルルの法則・・・V=R×T(※Rは定数)
でもやっぱりよくわからないから、体積=温度×定数(同じ圧力の場合)にする。
よって定数を求める場合は、式を定数=体積÷温度に変形し、体積を温度で割れば求められる。体積と温度は比例関係なので。
つまりこのルールをまとめると、気体の量(物質量)が変化しないのならば、圧力と体積をかけた数を温度で割った数は一緒ってことになる。
よって、ボイルの法則とシャルルの法則は、ボイル・シャルルの法則と悪魔合体させることができる。
気体の量が同じ場合、気体の体積は圧力に反比例するが、温度には比例する。
P×V÷T=R
圧力×体積÷温度=定数
この式の両辺にTをかけると、P×V=R×T(圧力×体積=定数×温度)になって、気体の状態方程式になる。
ちなみにこの式を使って、1molの気体の体積は種類にかかわらず22.4Lというルールが導き出されるのだが(※0℃、一気圧の場合)、これはある種のトートロジーで、この22.4を出すには、状態方程式のR(気体定数)の部分にに8.3×103を代入しないと得られないし、気体定数の8.3×103を出すには、状態方程式のVに1molの気体の体積値22.4を代入しないと得られない。
このキャッチ22を説明できる関係者の方々を募集しています。
まあ、それは置いておいて(そこは置いておくんかい)、この状態方程式を使って問題を解くには、テキストの解答欄で「理系なら常識だべ?」と見事に割愛された部分を知らないといけない。まずさっきも言ったように、トートロジーのどっちか、まあ、気体の体積は1molあたり22.4Lを暗記しておくべきだし(もちろん忘れちゃってたよ)、それ以上に文系の私が引っかかったのが、Tの温度がセルシウス温度じゃなくて絶対温度だということ!
ず~っとセルシウス温度で解いてて、もうどうやっても答えと数が合わなくて泣いてたんだからね!ならTじゃなくてKで書けよ!って思ったら、問題文の気体定数のところにちっちゃく書いてあったwてへ
絶対温度のケルビンは273.5をセルシウス温度に足せば出るから(絶対零度0Kがセルシウス温度ではー273℃だから)、27℃はぴったり300Kになる。解きやすく作ってくれてんだw
あとは、もう方程式にシュババって代入すれば出せる。ちょっと電卓使ったけど。
1molの気体は、さっきも書いたように、22.4リットルだから11.2リットルの空気の物質量はちょうど半分で0.5mol、温度27度はぴったし300K。ガラス容器の体積は500mlだったのでリットルでは0.5。
あとは、これらの数を気体の状態方程式(圧力×体積=物質量×気体定数×温度)に代入して・・・
0.5×P=0.5×(8.31×103※気体定数)×300で、P(圧力)=2493×103→有効数字の関係で2.493×106パスカル。
酸素の分圧は、問題文より、空気の五分の一を占めるから、空気の圧力を5で割って、4.986×105パスカル。
空気の物質量は0.5molだったから酸素は0.1molになって(やっぱり出題者親切w)これを再び状態方程式に代入。
4.986×105パスカル×V(体積)=0.1×気体定数(打つのめんどい)×300=0.3×8.31÷4.896=0.51296296296リットル・・・になるから答えは500ml。
これ512mlって書いたらバツ?いろいろ掛けたり割ったりしたから、どこまで有効かわからん(^_^;)
いや~しかし生物と地学はそこそこ今でもできるんだけど(忘れてても本を読めば割と簡単に思い出すし納得する)、自分は数学に弱いから、こういう物理や化学の計算問題は、いちいち前提を確認しながらゆっくり勉強してかないと相当きつい。
来年度、大学で理科の教育免許を取るときまでに、大学の先生への質問をたくさん溜めておくことにしよう。とりあえず、22.4と気体定数8.3×103のパラドックスから。
ロラックスおじさんの秘密の種
2013-09-21 00:18:13 (11 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 映画
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 涙☆☆☆☆☆」
見ろ、あれで最後だ。やめるしかないだろ。
ダメだ、こういう教訓のあるお話はやられてしまう。ずり~よ、『怪盗グルー』のスタッフが手掛けたアニメって触れ込みだったから、てっきり全編ギャグかと思ったら、すっごい悲しい話なんだもの。
思えば『怪盗グルーの月泥棒』も、想像以上にクラシカルな『ハウス世界名作劇場』みたいな設定で、「感動とは落差である!」とかブログでうそぶいたけど、この映画はさらに切ない、一人の男の贖罪の物語。
志村けんさんが「なんだチミはってか、そ~です、わたすが変なおじさんです」のていで「そ~です、わたすがロラックスおじさんです(※作中にそんなセリフなし)」ってちょけるCMが大々的に放送されていたけど、実は森の精霊にして木の代弁者であるロラックスおじさんは、なんと作中ではワンスラーという町外れの荒地に住む年老いた木こりの回想にしか登場しない!
さらに、この森の精は、ジブリアニメでありがちな自然を破壊する愚かな人類に対してなんら報復手段を持っていないのだ!
これが、今までなんでこういう精霊が出てくるアニメに出会えてなかったんだろうって思ったくらい、珍しくて(でも本当は精霊ってこういうものだよねw)感動してしまった。
私、ジブリの『ぽんぽこ』や『もののけ姫』などに見られる、「人類VS自然!」みたいな対立構造がまずあって、そこでバイオレンスなアクションが繰り広げられる展開に、昔からなんか抵抗があってさ。まあ、自然を汚すとしっぺ返しが来るっていうテーマは分かるんだけど、なんかお説教臭く感じてたんだ。
最近だと『アバター』もそれで、中盤では「惑星パンドラの守護者のエイワは誰の味方もしない」とか言ってたのに、最後は「エイワに心届いた」とか言って人類をバコンバコン一方的に攻撃するんだよw人類はアレルゲンですかw
もちろん「お前の好きなジュラシックパークだってそうじゃねえか」って言われればそれまでなんだけど、別に恐竜はただ動物園を逃げちゃっただけで、人類に全面戦争を仕掛けようとか、復讐だ!ってやってたわけじゃないからね。
この志村おじさんは、人間がどこまで愚かなことをしようと、決して暴力に訴えたりはしない(寝ている最中にベッドごと強制退去させようとして、あわや殺人未遂はやったけどw)。
人間の変われる力を最後まで信じて、優しく諭し続ける。その結果、美しかった谷は、なすすべもなく強欲な人間たちによって滅ぼされてしまう。
自然は強大で、人類に制御できるものではないというマイクル・クライトンのテーゼは、西洋人にとってみればかなりショックなものだったに違いないけれど、私たち日本人にしてみれば、その自然観はある程度共有されている。自然災害大国だから。
でも、その逆の、自然というのはとってももろくて、簡単に破壊されてしまい、それを元に戻すのは、壊すのに比べてとっても難しい(場合によっては不可能)という、テーマは藤子・F先生以降あまり見られていない気がする。
F先生ですら、『ドラえもん のび太と雲の王国』では、ノア計画とか言って人類に報復させたわけで、やっぱり徹底的に弱い自然を描いた今作の意義は大きいと思う。
あなたが、もし何もしなければ、世界は変わらない。――ドクター・スース
確かに、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギを絶滅させようと乱獲しても、彼らは決してやり返しては来ないだろう。無抵抗な彼らは、そのまま永遠に地球から姿を消す。
ならば、『もののけ姫』よりも『ロラックスおじさん』の展開の方がずっとリアルで、ずっと心に突き刺さる。「UNLESS――もししなければ」・・・人間の欲望は自分自身で歯止めをかけるしかないのだ。
現実の世界で、人類が際限なく環境を破壊し続けたら、それこそ身の破滅だけど、こういう寓話は、その最悪のケースを疑似体験できることに大きな意味がある。
これは、地球環境や生態系保全といった大きな問題の話だけではなく、日常生活でも重要な教育的なメッセージだ。どんなに粗暴な人に対しても、その人がいつか変わってくれることを信じて、優しくメッセージを送り続ける。決して無理強いはしない。そんな愛に溢れた辛抱強い教育こそ、今必要なのかもしれない。
そして、かつての若者が老人になった時、ロラックスおじさんは帰ってきた。
ところで、立派なヒゲじゃないか、と。
見ろ、あれで最後だ。やめるしかないだろ。
ダメだ、こういう教訓のあるお話はやられてしまう。ずり~よ、『怪盗グルー』のスタッフが手掛けたアニメって触れ込みだったから、てっきり全編ギャグかと思ったら、すっごい悲しい話なんだもの。
思えば『怪盗グルーの月泥棒』も、想像以上にクラシカルな『ハウス世界名作劇場』みたいな設定で、「感動とは落差である!」とかブログでうそぶいたけど、この映画はさらに切ない、一人の男の贖罪の物語。
志村けんさんが「なんだチミはってか、そ~です、わたすが変なおじさんです」のていで「そ~です、わたすがロラックスおじさんです(※作中にそんなセリフなし)」ってちょけるCMが大々的に放送されていたけど、実は森の精霊にして木の代弁者であるロラックスおじさんは、なんと作中ではワンスラーという町外れの荒地に住む年老いた木こりの回想にしか登場しない!
さらに、この森の精は、ジブリアニメでありがちな自然を破壊する愚かな人類に対してなんら報復手段を持っていないのだ!
これが、今までなんでこういう精霊が出てくるアニメに出会えてなかったんだろうって思ったくらい、珍しくて(でも本当は精霊ってこういうものだよねw)感動してしまった。
私、ジブリの『ぽんぽこ』や『もののけ姫』などに見られる、「人類VS自然!」みたいな対立構造がまずあって、そこでバイオレンスなアクションが繰り広げられる展開に、昔からなんか抵抗があってさ。まあ、自然を汚すとしっぺ返しが来るっていうテーマは分かるんだけど、なんかお説教臭く感じてたんだ。
最近だと『アバター』もそれで、中盤では「惑星パンドラの守護者のエイワは誰の味方もしない」とか言ってたのに、最後は「エイワに心届いた」とか言って人類をバコンバコン一方的に攻撃するんだよw人類はアレルゲンですかw
もちろん「お前の好きなジュラシックパークだってそうじゃねえか」って言われればそれまでなんだけど、別に恐竜はただ動物園を逃げちゃっただけで、人類に全面戦争を仕掛けようとか、復讐だ!ってやってたわけじゃないからね。
この志村おじさんは、人間がどこまで愚かなことをしようと、決して暴力に訴えたりはしない(寝ている最中にベッドごと強制退去させようとして、あわや殺人未遂はやったけどw)。
人間の変われる力を最後まで信じて、優しく諭し続ける。その結果、美しかった谷は、なすすべもなく強欲な人間たちによって滅ぼされてしまう。
自然は強大で、人類に制御できるものではないというマイクル・クライトンのテーゼは、西洋人にとってみればかなりショックなものだったに違いないけれど、私たち日本人にしてみれば、その自然観はある程度共有されている。自然災害大国だから。
でも、その逆の、自然というのはとってももろくて、簡単に破壊されてしまい、それを元に戻すのは、壊すのに比べてとっても難しい(場合によっては不可能)という、テーマは藤子・F先生以降あまり見られていない気がする。
F先生ですら、『ドラえもん のび太と雲の王国』では、ノア計画とか言って人類に報復させたわけで、やっぱり徹底的に弱い自然を描いた今作の意義は大きいと思う。
あなたが、もし何もしなければ、世界は変わらない。――ドクター・スース
確かに、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギを絶滅させようと乱獲しても、彼らは決してやり返しては来ないだろう。無抵抗な彼らは、そのまま永遠に地球から姿を消す。
ならば、『もののけ姫』よりも『ロラックスおじさん』の展開の方がずっとリアルで、ずっと心に突き刺さる。「UNLESS――もししなければ」・・・人間の欲望は自分自身で歯止めをかけるしかないのだ。
現実の世界で、人類が際限なく環境を破壊し続けたら、それこそ身の破滅だけど、こういう寓話は、その最悪のケースを疑似体験できることに大きな意味がある。
これは、地球環境や生態系保全といった大きな問題の話だけではなく、日常生活でも重要な教育的なメッセージだ。どんなに粗暴な人に対しても、その人がいつか変わってくれることを信じて、優しくメッセージを送り続ける。決して無理強いはしない。そんな愛に溢れた辛抱強い教育こそ、今必要なのかもしれない。
そして、かつての若者が老人になった時、ロラックスおじさんは帰ってきた。
ところで、立派なヒゲじゃないか、と。
怪盗グルーのミニオン危機一発
2013-09-15 20:13:53 (11 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 映画
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」
わたしにできることは?
・・・無いなあ。
じゃあグルーさんにできることは?
ついに来た!ずっとずっとず~っと楽しみにしていた2013年の真打ち登場!もう我慢できなくて先行上映で見ちゃいました!
いや~前作はなんだかんだで感動する映画だったけど、今回はミニオンが主役?ってことで超バカ映画。とにかく小ネタが多い。ひとつの完成度の高い長編アニメじゃなくて、くだらない短編アニメを連続して見させられてる感じ。
『ナイトミュージアム』シリーズのように、コメディ映画の二作目って、キャラを増やしてワイワイ賑やかにお祭りにしちゃうんだよね。だから脚本の構成は一作目に比べて多少まとまりがなくなっちゃうんだけど、楽しさは二倍増し!ミニオンの映画に深さや涙はいらない!
もうちびっこも爆笑してたし、これでいいのだ、この映画は。ユニバーサルスタジオがすごいお金と時間をかけてクレヨンしんちゃんの映画(くだらない方の)を作ったようなもんだよなあって。
そういえば3D映画で初めてユニバーサル映画を見たけど、ユニバーサルスタジオのロゴが一番3Dにすると・・・映えるねw超かっこよかったw
でもさ、ミニオンって私の命の恩人でさ。去年か何かに、大人の当事者意識のなさを知って、すごい世の中に対して凹んでた時があったんだよ。もう精神的に参っちゃってさ。
その時、ミニオンがただバナナを奪い合っているだけのアニメを見てさ。すごい癒されちゃってさ。こんな小学生レベルのくだらないアニメに、世の中の酸いも甘いも知った大人たちが全力で取り組んでいる!って思ったら、生きる気力が湧いてさ。そのあと、もうエネルギーの圧力が溜まっちゃって、その社会や大人(つまり自分も含む)に対する怒りのエネルギーで執筆したのが、『CRIMSON WING』の脚本だったんだ。
だから、私なんかは萌えアニメとかアイドルとかスポーツって嫌いじゃないけれど、そんな見なくてさ、まあどうでもいいんだけど、それでも、そういう、他人から見ればくだらないっていうものでも、誰かの心の傷を癒し、次の日に学校や仕事に行く力を与えているのなら、尊いものなんだってことなんだよね。バカ万歳じゃ。
とはいうものの、この映画って脚本に12人も使っていて、単純にバカに時間を割かれただけで、プロットやキャラは作りこんでいたような形跡があるんだよ。
一番残念だったのは、やっぱり今回のライバルキャラのエル・マッチョさん。これはキャラが立ってないとか薄いとかじゃなくて、やっぱり尺が足りなかったんだろうね。
二作目の宿命で、キャラが増えたぶんパラレルに描くべきことが多くて、各キャラクターの描写がおざなりになっちゃう。
道具を駆使するグルーと違って、素手で戦う熱血ラテン系の怪盗という対立軸は良かっただけに、後半あっさりやられちゃって残念。ネファリオ博士も「世界征服には賛成だが、私の家族に手を出すのは許さん」とかかっこいいこと言って、あっさり裏切っちゃうしw
というか、前作のベクターよりも、全然いい人っぽかったよねエル・マッチョさんw私はずっと、反悪党同盟のサイラス・ラムズボトム長官が黒幕で、強大な正義に、悪党のグルーとマッチョさんがコンビを組んで戦うという、アツい展開を予想してたからなあw
意外とそういったピクサーみたいな複雑なことはせず、肩透かしくらっちゃったw
ただ今作のヒロインのルーシーは悔しいかな、結構キュートでよかった(声を当てた中島美嘉さんがはまり役で、エンドロールで「中島美嘉」って出てて場内がどよめいてたw)。
美人だけど、なんか間が抜けていて、でも『タイピスト!』のローズみたいな負けん気が強いタイプじゃなくて、とはいえ気弱っていうのでもなくて・・・なんかうまく伝えられない複雑な魅力の女性wなんにせよグルーと結婚しちゃうくらいだから、そうとうイレギュラーなセンスの持ち主であることは確かw
まあ、だから今回の主題は、前作がグルーが父になる話だとしたら、グルーが夫になる話なんだよね。そういう意味では一応一貫したものはあるw(前作の敵が親子だっただけに、エル・マッチョさんに奥さんキャラがいればさらに良かったwキザな息子はいたけどw)
面白いのは、父→夫って順序が逆転しているところだよねw所さんは「出来ちゃた結婚はうんこしてからトイレ作るようなもん」とか言ってたけど、それ以上の倒錯だものw
まあでも欧米は養子とかもらうことが多いから、そんなに変でもないのかな。
で、グルーの女性遍歴が、もう、すごいせつなくてさ。グルーもちょっとルーシーが気になってきて、でもデートに誘えなくて、イディスに「怖いの?」って言われちゃって、昔のトラウマを回想するのよ。つまり誰にでもある失恋の思い出ね。
そしたらなんと、グルーさん幼稚園時代まで遡っちゃうのよ!こんな悲しい話ってある!?(´;ω;`)
キモーイ!グルーがリサを触った~!キモーイ!グルー菌だ~!!!
グルーってけっこう業界内では名の知れた悪党だったから、少なくとも40はいってると思うんだよ。それで女性に関係する思い出が幼稚園だけ。徹底的な女性不信というか女性恐怖症なんだよw
結果的には、あんな可愛い女の子と、美人な奥さんもらっているから、オレ達モテない紳士同盟から見れば、鶴瓶師匠は勝ち組なんだけどw
グルーって悪趣味な家に住んでいるけど、ロリコンでも変態性欲の持ち主でもないのが、ギャップ萌えで女の子に意外と好かれる理由かもw『アダムスファミリー』とか好きな女子割といるしねw
まあルーシーも絶対に友達が多いタイプではなさそうだから、お似合いのカップルなのかも。3があったら、三姉妹(特に一番ママを欲しがっていたアグネス)とドジなママのルーシーの掛け合いが見てみたいな。
あと、忘れちゃいけない。私が好きなマーゴちゃんだけど、今回エル・マッチョさんの息子のキザなイケメンといい感じになっちゃって、図らずも「あの親子を逮捕しろ!あいつらが黒幕や!」と大人気なくラムズボトムさんに駄々をこねたグルーと同じ心情になっちゃったけど、マーゴちゃん、やっぱりというか、あっさり捨てられちゃって、人生初の失恋をしていました。「男なんて・・・」ってセリフが、まあ決まる!
別にマーゴちゃんが恋人作って幸せになる分には、ファンのオレたちは全然いいんだけど、なんというかマーゴちゃんの魅力って、薄幸というか、男運のなさにあるから(※全部勝手な思い込みです)、あの結末はやっぱりスタッフ分かってるなってw
グルーも手痛い失恋経験者だから、もっとマーゴちゃんを慰めてやるシーンが欲しかったけど、それはあのメキシカンハット型ドンタコスを二人共かぶっている描写でOKなのだろうw映画はヴィジュアルのメタファーでいいからね。
ボクの夢はゲーマーで食べていくこと。
すご~い、いろいろ考えているのね。
この可愛いカップルのあどけない掛け合いは、ちょっと面白かったけど(マーゴちゃんも大人びてるけどやっぱり子供よのう)、大人のカップルも似たようなもんだよね、合コンでもっと頭の悪いこと言ってるものw
わたしにできることは?
・・・無いなあ。
じゃあグルーさんにできることは?
ついに来た!ずっとずっとず~っと楽しみにしていた2013年の真打ち登場!もう我慢できなくて先行上映で見ちゃいました!
いや~前作はなんだかんだで感動する映画だったけど、今回はミニオンが主役?ってことで超バカ映画。とにかく小ネタが多い。ひとつの完成度の高い長編アニメじゃなくて、くだらない短編アニメを連続して見させられてる感じ。
『ナイトミュージアム』シリーズのように、コメディ映画の二作目って、キャラを増やしてワイワイ賑やかにお祭りにしちゃうんだよね。だから脚本の構成は一作目に比べて多少まとまりがなくなっちゃうんだけど、楽しさは二倍増し!ミニオンの映画に深さや涙はいらない!
もうちびっこも爆笑してたし、これでいいのだ、この映画は。ユニバーサルスタジオがすごいお金と時間をかけてクレヨンしんちゃんの映画(くだらない方の)を作ったようなもんだよなあって。
そういえば3D映画で初めてユニバーサル映画を見たけど、ユニバーサルスタジオのロゴが一番3Dにすると・・・映えるねw超かっこよかったw
でもさ、ミニオンって私の命の恩人でさ。去年か何かに、大人の当事者意識のなさを知って、すごい世の中に対して凹んでた時があったんだよ。もう精神的に参っちゃってさ。
その時、ミニオンがただバナナを奪い合っているだけのアニメを見てさ。すごい癒されちゃってさ。こんな小学生レベルのくだらないアニメに、世の中の酸いも甘いも知った大人たちが全力で取り組んでいる!って思ったら、生きる気力が湧いてさ。そのあと、もうエネルギーの圧力が溜まっちゃって、その社会や大人(つまり自分も含む)に対する怒りのエネルギーで執筆したのが、『CRIMSON WING』の脚本だったんだ。
だから、私なんかは萌えアニメとかアイドルとかスポーツって嫌いじゃないけれど、そんな見なくてさ、まあどうでもいいんだけど、それでも、そういう、他人から見ればくだらないっていうものでも、誰かの心の傷を癒し、次の日に学校や仕事に行く力を与えているのなら、尊いものなんだってことなんだよね。バカ万歳じゃ。
とはいうものの、この映画って脚本に12人も使っていて、単純にバカに時間を割かれただけで、プロットやキャラは作りこんでいたような形跡があるんだよ。
一番残念だったのは、やっぱり今回のライバルキャラのエル・マッチョさん。これはキャラが立ってないとか薄いとかじゃなくて、やっぱり尺が足りなかったんだろうね。
二作目の宿命で、キャラが増えたぶんパラレルに描くべきことが多くて、各キャラクターの描写がおざなりになっちゃう。
道具を駆使するグルーと違って、素手で戦う熱血ラテン系の怪盗という対立軸は良かっただけに、後半あっさりやられちゃって残念。ネファリオ博士も「世界征服には賛成だが、私の家族に手を出すのは許さん」とかかっこいいこと言って、あっさり裏切っちゃうしw
というか、前作のベクターよりも、全然いい人っぽかったよねエル・マッチョさんw私はずっと、反悪党同盟のサイラス・ラムズボトム長官が黒幕で、強大な正義に、悪党のグルーとマッチョさんがコンビを組んで戦うという、アツい展開を予想してたからなあw
意外とそういったピクサーみたいな複雑なことはせず、肩透かしくらっちゃったw
ただ今作のヒロインのルーシーは悔しいかな、結構キュートでよかった(声を当てた中島美嘉さんがはまり役で、エンドロールで「中島美嘉」って出てて場内がどよめいてたw)。
美人だけど、なんか間が抜けていて、でも『タイピスト!』のローズみたいな負けん気が強いタイプじゃなくて、とはいえ気弱っていうのでもなくて・・・なんかうまく伝えられない複雑な魅力の女性wなんにせよグルーと結婚しちゃうくらいだから、そうとうイレギュラーなセンスの持ち主であることは確かw
まあ、だから今回の主題は、前作がグルーが父になる話だとしたら、グルーが夫になる話なんだよね。そういう意味では一応一貫したものはあるw(前作の敵が親子だっただけに、エル・マッチョさんに奥さんキャラがいればさらに良かったwキザな息子はいたけどw)
面白いのは、父→夫って順序が逆転しているところだよねw所さんは「出来ちゃた結婚はうんこしてからトイレ作るようなもん」とか言ってたけど、それ以上の倒錯だものw
まあでも欧米は養子とかもらうことが多いから、そんなに変でもないのかな。
で、グルーの女性遍歴が、もう、すごいせつなくてさ。グルーもちょっとルーシーが気になってきて、でもデートに誘えなくて、イディスに「怖いの?」って言われちゃって、昔のトラウマを回想するのよ。つまり誰にでもある失恋の思い出ね。
そしたらなんと、グルーさん幼稚園時代まで遡っちゃうのよ!こんな悲しい話ってある!?(´;ω;`)
キモーイ!グルーがリサを触った~!キモーイ!グルー菌だ~!!!
グルーってけっこう業界内では名の知れた悪党だったから、少なくとも40はいってると思うんだよ。それで女性に関係する思い出が幼稚園だけ。徹底的な女性不信というか女性恐怖症なんだよw
結果的には、あんな可愛い女の子と、美人な奥さんもらっているから、オレ達モテない紳士同盟から見れば、鶴瓶師匠は勝ち組なんだけどw
グルーって悪趣味な家に住んでいるけど、ロリコンでも変態性欲の持ち主でもないのが、ギャップ萌えで女の子に意外と好かれる理由かもw『アダムスファミリー』とか好きな女子割といるしねw
まあルーシーも絶対に友達が多いタイプではなさそうだから、お似合いのカップルなのかも。3があったら、三姉妹(特に一番ママを欲しがっていたアグネス)とドジなママのルーシーの掛け合いが見てみたいな。
あと、忘れちゃいけない。私が好きなマーゴちゃんだけど、今回エル・マッチョさんの息子のキザなイケメンといい感じになっちゃって、図らずも「あの親子を逮捕しろ!あいつらが黒幕や!」と大人気なくラムズボトムさんに駄々をこねたグルーと同じ心情になっちゃったけど、マーゴちゃん、やっぱりというか、あっさり捨てられちゃって、人生初の失恋をしていました。「男なんて・・・」ってセリフが、まあ決まる!
別にマーゴちゃんが恋人作って幸せになる分には、ファンのオレたちは全然いいんだけど、なんというかマーゴちゃんの魅力って、薄幸というか、男運のなさにあるから(※全部勝手な思い込みです)、あの結末はやっぱりスタッフ分かってるなってw
グルーも手痛い失恋経験者だから、もっとマーゴちゃんを慰めてやるシーンが欲しかったけど、それはあのメキシカンハット型ドンタコスを二人共かぶっている描写でOKなのだろうw映画はヴィジュアルのメタファーでいいからね。
ボクの夢はゲーマーで食べていくこと。
すご~い、いろいろ考えているのね。
この可愛いカップルのあどけない掛け合いは、ちょっと面白かったけど(マーゴちゃんも大人びてるけどやっぱり子供よのう)、大人のカップルも似たようなもんだよね、合コンでもっと頭の悪いこと言ってるものw
『「日本史」の終わり』
2013-09-14 20:29:37 (11 years ago)
これは終わりじゃない。終わりの始まりでもない。始まりの終わりなのさ。(C)ラヂオの時間
池田信夫さんと與那覇潤さんの対談本。日本の社会システムは明治で近代化(=西洋化)したという通説があるけど、実は全然江戸時代から変わっていないまま、現代まで来ちゃったよ、という話。
こういう、「江戸時代に現代の日本人の本質を見る」っていう評論は、割とよくあると思うんだけど、この本を読んでて面白かったのは、この江戸的なシステム(=日本人の性根)って、江戸時代よりもずっと昔から脈々と続いてきて、そんじょそこらの改革じゃ断ち切れないぜっていうこと。つまり與那覇さんは「江戸化」とか言ってるけど、おそらく資料的なものが江戸以前は少なくて、確信を持って言えないだけで、日本はずっと前から変わってないんじゃないかと思うw
例えば、アメリカ軍だって戦後GHQ送り込んで「ジャパンは民主主義の国になったよ、万歳」とか言って喜んだけど、実は全然民主主義国家じゃないっていうねwその勘違いした成功例をもとに「今度はイラクもやってみようか」ってなったら、事態がこんがらがっちゃったわけで・・・
私がなにげにショックだったのは、日本では司法が本当に全然機能していないという現実が具体的に紹介されていたということ。
かくいう私も、サイトのコラム(水戸黄門に絡めて)や、Ustream(やっぱり水戸黄門に絡めて)や、ツイッター(絡めたかは忘れた)とかで散々言ったけど、日本人ってもう法律よりも感情で動いちゃってて、感情的に許せない!っていうのがジャスティスになっちゃっているのは、もはや自明の理じゃないですか。
ヘーゲルみたいな、面倒くさい手続きを踏む合意形成は嫌いで、その場の空気で曖昧にやっちゃうっていう。そしてあとの面倒なことはみんな、お上任せっていうw
とはいえ、これ(日本は民主主義国家だけど、日本人は民主主義が嫌い)は、多少風刺を込めて大げさに言ったつもりだったんだけど、どうやら本当だったっていう。
私は学習塾で、現代社会とか公民も教えているから、一応法治主義とか、モンテスキューの三権分立とか学生に説明しているんだ。んでなんだかんだで、日本は法治国家で民主主義国だって思っていたのよ。どうしょうもないのは、末端のオレ達だけで、システムの根幹は近代国家のそれだろ、と。
だからこそ表現規制の問題は、「ほっときゃいいじゃん」って楽観視していた。なぜって憲法違反だから。だけど、違憲の法律や条例が通っても、裁判所が体たらくで官僚たちに負けちゃうっていう池田さんの話が本当だったら、これはパキPさんの皮膚感覚――悲観論の方が、現状をよく把握しているなって反省したよw
実は、日本は、この前見た映画のクリプトン星みたいに法が絶対なんかじゃ全然なくて、どんな立場の人も気分で決めちゃっているというw
それでも、官僚やお役所は規則にうるさいっていうイメージがあったけど、その規則も厳密には法律とはまた違うらしいんだ。霞ヶ関は治外法権!
だったら立法府の国会や、司法の裁判所なんて、官僚からしてみればクリボーみたいなもんなわけだよ。HP1だよ。
そんな官僚経験者の池田信夫さんが指摘するのは、つまり、これは別に不安になるようなことじゃなくて、西洋的な民主主義っていう制度は、実は全然イレギュラーなローカルルールなんだよってこと。それも、いくつもの奇跡が重なって偶然できた稀有な例だとw
池田さんって、なんというかすっごい頭が理系な人で、徹底した構造主義とか相対主義をドラスティックに論じる人で、もう前半なんて、私、読んでて嫌な気分になったからねw
つまり人間を徹底的に、動物として論じていて、これは社会学とか歴史学というよりは、動物行動学とか社会生物学の話で、なんか自分も中学から高校にこういう話をかじって、得意げに振りかざしていたから胸がキュンとしちゃいましたwエドワード・ウィルソンが・・・とかねw今もたまにやるけどw
例えば、池田さんはもう身も蓋もないんだけど、人間の行動は8割は、まあ、気分とかノリで決めているんだよ、というカーネマンのプロスペクト理論を引用する(^_^;)
カーネマンの認知システムの階層構造
システム1:直感のこと。自動的=潜在的。速い。偏見。省エネモード。原始的。動機オーライ。
システム2:推論のこと。コントロール。遅い。柔軟。燃費悪い。高次的。結果オーライ。
これは小林よしりんで言うなら、情緒と論理の話であり、自分が論文で取り上げたH・リード的に言えば、感性と理性の話だろう。
そして、どうやらこの8:2という割合は、人間の集団にも当てはまるっぽい。つまり人間の社会集団においては8割がシステム1で動いていて、2割がシステム2で動いていると。
これは、偶然にも私が一時期ハマった池上彰ごっこで論じた「そうだったのか!世界樹理論」とも合致する話だ。つまり巨大なリゾーム(無秩序な地下茎)の上にとても小さなツリーが生えていて、その比率はいつの時代のどこの国もだいたい変わっていないよ、という話。
この現実を議論の前提に置けば、ヨーロッパ型(※)の社会システム(法=システム2の支配。大きな政府)も、中国型システム(徳がある君主が専制政治。超小さな政府!)も、日本型システム(たくさんの拒否権者による相互支配。実はそんなに大きくない政府)も、優劣関係のない世界樹のマイナーチェンジに過ぎないという理解ができる。
※(本書では曖昧だが大陸ヨーロッパってことで理解したほうがいい。欧米はちょっと違う気がする。)
ちょっと我田引水しちゃったけれど、なんにせよ、この人の相対化は本物で、ネット上のほとんどの人がポストモダン思想や相対主義を、自分のアイデンティティとして振りかざすけど(人は人、自分は自分。だからほっといてくれ!というプラグマティックな用法w)、この人は一貫して中立。虚無。そこは科学者って感じですごい。まあ池田さんは経済学者なんだけどw
だから、ヨーロッパみたいな近代化や民主化がいいことで、どの国もそのルートへ進化するのが正しい、みたいな一昔前の科学的社会主義みたいな、「べき」論じゃなくて、いやいや中国はこういうルートできたし、日本だってかなり変だぜ?という、多元主義的な視座を提示してくれる。
それも、ヨーロッパ、日本、中国の三つのルートを中心に、かなり細かいところまで討論してくれている。
ここまで来たら、朝鮮や東南アジアがちょっとだけしか触れられなかったのは残念だし、アフリカや南米、そしてアメリカやロシアはどうなんだっていうのも気になる。
三つに絞ったのは、この二人がことさら詳しいってだけで、もっといろいろ調べれば、まあ見事に立論の底板が抜けて、もうどうでもよくね?になるよねw
ただ日本の社会システムは、とりあえずみんなに拒否権を持たせて、いい気持ちにしておいて、一部の行政担当者が暗黙の了解で、法律は、まあ、それはそれとして置いといて(!)テテっと、社会を動かしちゃうんだけど、このやり方を担保していたのは、中世ヨーロッパの封建制度や江戸の幕藩体制のように、権力が一極集中せずに分立していた現状があったからで、もしそれが崩壊すると、日本はヨーロッパよりも中国に近い社会になるんじゃないかって予想している。どっちも西洋化失敗してるからw
池田さんは、鎌倉時代の貞永式目(中学校で言う御成敗式目)を、日本が法治国家になるチャンスだったって評しているけど、結局逃しちゃって、そのままダラダラ成文化されたルールなんか使わずにやってこれちゃった。大岡越前の公事方御定書だって、裁判に当たった奉行の気分でさばいちゃダメってしただけで、判例主義(コモンロー)でやれってことだしね。
それなのに、日本は明治憲法をガッツリ成文化されたプロイセンの憲法を元に作っちゃったから、本来ならそんなもん使いこなせないのに、本音(社会の実態)と建前(法)のギャップを生真面目に埋めようとしてよくわからないジャッジドレッドを量産しているというw
その点、朝鮮や中国は本音と建前をうまく使い分けていて、そんな純粋まっすぐな葛藤はないとw日本人って意外と、法を超えて匿名で私的制裁をするアメコミヒーローとかに、心情的には近いのかもしれない。
少年漫画誌に私が馴染めなかったのも、扇動的な少年漫画の文脈と、私の作風があまりに違っていたからかもなあ。私は自分勝手な事をすると最終的にはバチがあたるよっていう、話が好きだから・・・ジュラシックパークとかギエロン星獣とかね。
でもさ。與那覇さんは『中国化する日本』とか本を書いたけど、もう日本って中国みたいなもんだよね。さっきも言った、地域ごとの権力の分立というタガがネット上にはないから、日本人の心性のデフォルトが中国に近いんだなあってことがよくわかる。同じアジア人だしねw
だから、中国人を叩いている人って実は、中国人の言動に自分を見ているから腹立たしいっていうのは絶対あるよね。
私も、対象は中国人ではないけど、アーティストとかはやっぱりむかつくもんw絵かきなんて頭悪いくせに偉そうで、すぐに観念に逃げるトンチキくらいに思っているからねw
それは、自分の中にある嫌な部分を、そいつがさらけ出しちゃっているからなんだ。シラーが言うように人間は鏡。
與那覇「法は権力の発動を抑制するためにあるという立憲主義を知らない人が、憲法をうんぬんしている。法を政府が庶民を罰則で脅すための武器だと思っているわけだから、もう法治国家ではなく、韓非子的な「法家国家」とでも名乗ればいいと思います(笑)。」(128ページ)
池田信夫さんと與那覇潤さんの対談本。日本の社会システムは明治で近代化(=西洋化)したという通説があるけど、実は全然江戸時代から変わっていないまま、現代まで来ちゃったよ、という話。
こういう、「江戸時代に現代の日本人の本質を見る」っていう評論は、割とよくあると思うんだけど、この本を読んでて面白かったのは、この江戸的なシステム(=日本人の性根)って、江戸時代よりもずっと昔から脈々と続いてきて、そんじょそこらの改革じゃ断ち切れないぜっていうこと。つまり與那覇さんは「江戸化」とか言ってるけど、おそらく資料的なものが江戸以前は少なくて、確信を持って言えないだけで、日本はずっと前から変わってないんじゃないかと思うw
例えば、アメリカ軍だって戦後GHQ送り込んで「ジャパンは民主主義の国になったよ、万歳」とか言って喜んだけど、実は全然民主主義国家じゃないっていうねwその勘違いした成功例をもとに「今度はイラクもやってみようか」ってなったら、事態がこんがらがっちゃったわけで・・・
私がなにげにショックだったのは、日本では司法が本当に全然機能していないという現実が具体的に紹介されていたということ。
かくいう私も、サイトのコラム(水戸黄門に絡めて)や、Ustream(やっぱり水戸黄門に絡めて)や、ツイッター(絡めたかは忘れた)とかで散々言ったけど、日本人ってもう法律よりも感情で動いちゃってて、感情的に許せない!っていうのがジャスティスになっちゃっているのは、もはや自明の理じゃないですか。
ヘーゲルみたいな、面倒くさい手続きを踏む合意形成は嫌いで、その場の空気で曖昧にやっちゃうっていう。そしてあとの面倒なことはみんな、お上任せっていうw
とはいえ、これ(日本は民主主義国家だけど、日本人は民主主義が嫌い)は、多少風刺を込めて大げさに言ったつもりだったんだけど、どうやら本当だったっていう。
私は学習塾で、現代社会とか公民も教えているから、一応法治主義とか、モンテスキューの三権分立とか学生に説明しているんだ。んでなんだかんだで、日本は法治国家で民主主義国だって思っていたのよ。どうしょうもないのは、末端のオレ達だけで、システムの根幹は近代国家のそれだろ、と。
だからこそ表現規制の問題は、「ほっときゃいいじゃん」って楽観視していた。なぜって憲法違反だから。だけど、違憲の法律や条例が通っても、裁判所が体たらくで官僚たちに負けちゃうっていう池田さんの話が本当だったら、これはパキPさんの皮膚感覚――悲観論の方が、現状をよく把握しているなって反省したよw
実は、日本は、この前見た映画のクリプトン星みたいに法が絶対なんかじゃ全然なくて、どんな立場の人も気分で決めちゃっているというw
それでも、官僚やお役所は規則にうるさいっていうイメージがあったけど、その規則も厳密には法律とはまた違うらしいんだ。霞ヶ関は治外法権!
だったら立法府の国会や、司法の裁判所なんて、官僚からしてみればクリボーみたいなもんなわけだよ。HP1だよ。
そんな官僚経験者の池田信夫さんが指摘するのは、つまり、これは別に不安になるようなことじゃなくて、西洋的な民主主義っていう制度は、実は全然イレギュラーなローカルルールなんだよってこと。それも、いくつもの奇跡が重なって偶然できた稀有な例だとw
池田さんって、なんというかすっごい頭が理系な人で、徹底した構造主義とか相対主義をドラスティックに論じる人で、もう前半なんて、私、読んでて嫌な気分になったからねw
つまり人間を徹底的に、動物として論じていて、これは社会学とか歴史学というよりは、動物行動学とか社会生物学の話で、なんか自分も中学から高校にこういう話をかじって、得意げに振りかざしていたから胸がキュンとしちゃいましたwエドワード・ウィルソンが・・・とかねw今もたまにやるけどw
例えば、池田さんはもう身も蓋もないんだけど、人間の行動は8割は、まあ、気分とかノリで決めているんだよ、というカーネマンのプロスペクト理論を引用する(^_^;)
カーネマンの認知システムの階層構造
システム1:直感のこと。自動的=潜在的。速い。偏見。省エネモード。原始的。動機オーライ。
システム2:推論のこと。コントロール。遅い。柔軟。燃費悪い。高次的。結果オーライ。
これは小林よしりんで言うなら、情緒と論理の話であり、自分が論文で取り上げたH・リード的に言えば、感性と理性の話だろう。
そして、どうやらこの8:2という割合は、人間の集団にも当てはまるっぽい。つまり人間の社会集団においては8割がシステム1で動いていて、2割がシステム2で動いていると。
これは、偶然にも私が一時期ハマった池上彰ごっこで論じた「そうだったのか!世界樹理論」とも合致する話だ。つまり巨大なリゾーム(無秩序な地下茎)の上にとても小さなツリーが生えていて、その比率はいつの時代のどこの国もだいたい変わっていないよ、という話。
この現実を議論の前提に置けば、ヨーロッパ型(※)の社会システム(法=システム2の支配。大きな政府)も、中国型システム(徳がある君主が専制政治。超小さな政府!)も、日本型システム(たくさんの拒否権者による相互支配。実はそんなに大きくない政府)も、優劣関係のない世界樹のマイナーチェンジに過ぎないという理解ができる。
※(本書では曖昧だが大陸ヨーロッパってことで理解したほうがいい。欧米はちょっと違う気がする。)
ちょっと我田引水しちゃったけれど、なんにせよ、この人の相対化は本物で、ネット上のほとんどの人がポストモダン思想や相対主義を、自分のアイデンティティとして振りかざすけど(人は人、自分は自分。だからほっといてくれ!というプラグマティックな用法w)、この人は一貫して中立。虚無。そこは科学者って感じですごい。まあ池田さんは経済学者なんだけどw
だから、ヨーロッパみたいな近代化や民主化がいいことで、どの国もそのルートへ進化するのが正しい、みたいな一昔前の科学的社会主義みたいな、「べき」論じゃなくて、いやいや中国はこういうルートできたし、日本だってかなり変だぜ?という、多元主義的な視座を提示してくれる。
それも、ヨーロッパ、日本、中国の三つのルートを中心に、かなり細かいところまで討論してくれている。
ここまで来たら、朝鮮や東南アジアがちょっとだけしか触れられなかったのは残念だし、アフリカや南米、そしてアメリカやロシアはどうなんだっていうのも気になる。
三つに絞ったのは、この二人がことさら詳しいってだけで、もっといろいろ調べれば、まあ見事に立論の底板が抜けて、もうどうでもよくね?になるよねw
ただ日本の社会システムは、とりあえずみんなに拒否権を持たせて、いい気持ちにしておいて、一部の行政担当者が暗黙の了解で、法律は、まあ、それはそれとして置いといて(!)テテっと、社会を動かしちゃうんだけど、このやり方を担保していたのは、中世ヨーロッパの封建制度や江戸の幕藩体制のように、権力が一極集中せずに分立していた現状があったからで、もしそれが崩壊すると、日本はヨーロッパよりも中国に近い社会になるんじゃないかって予想している。どっちも西洋化失敗してるからw
池田さんは、鎌倉時代の貞永式目(中学校で言う御成敗式目)を、日本が法治国家になるチャンスだったって評しているけど、結局逃しちゃって、そのままダラダラ成文化されたルールなんか使わずにやってこれちゃった。大岡越前の公事方御定書だって、裁判に当たった奉行の気分でさばいちゃダメってしただけで、判例主義(コモンロー)でやれってことだしね。
それなのに、日本は明治憲法をガッツリ成文化されたプロイセンの憲法を元に作っちゃったから、本来ならそんなもん使いこなせないのに、本音(社会の実態)と建前(法)のギャップを生真面目に埋めようとしてよくわからないジャッジドレッドを量産しているというw
その点、朝鮮や中国は本音と建前をうまく使い分けていて、そんな純粋まっすぐな葛藤はないとw日本人って意外と、法を超えて匿名で私的制裁をするアメコミヒーローとかに、心情的には近いのかもしれない。
少年漫画誌に私が馴染めなかったのも、扇動的な少年漫画の文脈と、私の作風があまりに違っていたからかもなあ。私は自分勝手な事をすると最終的にはバチがあたるよっていう、話が好きだから・・・ジュラシックパークとかギエロン星獣とかね。
でもさ。與那覇さんは『中国化する日本』とか本を書いたけど、もう日本って中国みたいなもんだよね。さっきも言った、地域ごとの権力の分立というタガがネット上にはないから、日本人の心性のデフォルトが中国に近いんだなあってことがよくわかる。同じアジア人だしねw
だから、中国人を叩いている人って実は、中国人の言動に自分を見ているから腹立たしいっていうのは絶対あるよね。
私も、対象は中国人ではないけど、アーティストとかはやっぱりむかつくもんw絵かきなんて頭悪いくせに偉そうで、すぐに観念に逃げるトンチキくらいに思っているからねw
それは、自分の中にある嫌な部分を、そいつがさらけ出しちゃっているからなんだ。シラーが言うように人間は鏡。
與那覇「法は権力の発動を抑制するためにあるという立憲主義を知らない人が、憲法をうんぬんしている。法を政府が庶民を罰則で脅すための武器だと思っているわけだから、もう法治国家ではなく、韓非子的な「法家国家」とでも名乗ればいいと思います(笑)。」(128ページ)
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