マイティ・ソー

 「面白い度☆☆ 好き度☆☆☆」

 本部へ。ジャッキー・チェンとゼナとロビンフッドを発見。

 『アベンジャーズ』を見てからあの映画で共闘したヒーローが一体どういう人生辿ってきたか興味が出てきちゃって、とりあえずまずはこの人から。

 この映画公開当時、私はあらすじだけは知ってて、あるわがままな神の子があまりに素行が悪いから天界を追放されて人間界で反省し成長する物語ということだった。
 だからソーって一体どんな傍若無人なやつかと思ったら、これが全然いいやつ。アベンジャーズでも「あれ?そんなオラオラキャラじゃない、いいやつじゃん!」って思ったんだけれど、それはきっと『アベンジャーズ』の前に公開された、この『マイティ・ソー』で反省したからなんだろうな、って思ってた。

 だからこそ、この映画でどんな不良だったのか楽しみにしていたんだけれど・・・単純に口がうまい知略家の弟に乗せられ、正義感に駆られて敵国に攻め入っちゃった熱血漢でした。
 つまりソーは不良といってもグレたチンピラとかじゃなくて面倒見のいい昔の番長みたいな感じなんだよw
 だからもともと最初から優しくて、まあだからこそ父オーディーンは彼を後継者に選んだんだけど。
 でも私、もっと悪漢かと思ってたよ。で、とことんぶちのめされて、やっと自分の過ちに気づく。そっちのほうが落差が大きくてよかったんじゃないかなあって思ったけれど、一応、彼、正義のヒーローな上に神様だもんねwあれくらいでよかったのかもしれない・・・

 ええと、まあ、そんな感じで映画のシナリオ自体はかなりシンプルで、だけれども北欧神話をモチーフにしただけあってかなり教訓めいた内容になっている。
 こういう話って私結構好きで、友達にも「お前の漫画って結構教訓があるよな」って言われたことがある。
 やっぱり漫画ってさ、まずもってちびっこに見せるものなんだから(最近は大人受けにシフトしてる気もするけど)、「女子供はぶっ殺せ~ヒャハハハ!」を肯定するわけにはいかんと思う。
 幼女をいじめるエロ漫画とかもそういうのが好きな人がいるのはわかるけれど、やっぱり私には描けんのだ。

 そういえば『おおかみこどもの雨と雪』のコメントでけんこさんが

女子なら一度は吸血鬼やら狼男やらに恋するものなのです。
トワイライトシリーズとか大人気なのがその証拠!
秘密の共有、特別な秘密を持つ彼を私だけが分かってあげられる、
そしてそんな特別な彼に愛される特別な私、とか萌えるシチュエーションとしては
いろいろ揃ってると思います。。。


 と仰っていたんですけど、確かに特別な男性との秘密の共有って女子には堪らないシチュエーションなんだろうなあ、とw
 そう考えるとソーってかなり神秘的かつ魅力的。なにしろ住んでる世界が違うからね。

 『おおかみこども~』の鑑賞時には私はその目線で楽しむことはできなかったけど(男子だしな)、今回はなんかちょっと乙女心の境地がわかった気がする(わかって何なんだって話もするけど)。
 確かにソーが宇宙の仕組みをジェーンに教えるシーンではキュン♡としちゃったよ、チクショウ。
 なんかペンとノートを使って一生懸命「この宇宙には9つの世界があって・・・ここが地球、君の星だ。でここがアズガルド。私はここから来た。これらの世界はユグドラシルの木でつながっていて・・・」って説明するんだけど、その時の表情がちょっと男の子に戻っててさ、ワイルドだけど純粋で可愛いんだよな、あいつ。

 世界観といえば、アズガルドという世界というか国家構造がちょっとよくわからなかったのは残念。神の世界って誰も見たことないからリアリティもへったくれもないんだけどさw
 でも広大な宇宙の支配者が住む世界の割に狭い感じがしたなあ。同じセットを使いまわしているからかね?セットって言っちゃあれか(汗)
 でも神様も食事したり死んじゃったりするんだから(あれ?『アベンジャーズ』では神は死なないって言ってたぞ??)、別に家に歯ブラシとか電動シェーバーといった生活用品や家具が並んででもいいんだろうけど。
 でも過剰に生活感を出すのにもスタッフ抵抗あったんだろうな、神の世界だし。だからなんか無駄のない前衛的な設計の未来都市みたくなっちゃてた。よくこじゃれたデザイナーがああいう住宅デザインするよね。

 どうやって住むねん。みたいな家。

 ちなみに私はあのメガネをかけた、いつもカッたるそうな女子大学生が好きでした。メガネ女子本当好きだなあ、私。

『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』制作裏話

 いや~調子に乗った。

 さすがに3回目となるとマンネリとの戦いになってきちゃって、かなり辛かった。設定のマンネリ、ストーリー展開のマンネリ、そしてキャラのマンネリ・・・
 マンネリ化するってのは結局元がそこそこ面白いってことだから肯定的にも取れるんだけど、書いている方が結構しんどくなってくる。
 ああ、こんなシチュエーション前にも一度書いたな~って覚えてるから。同じこと何度もやれないし・・・でもミグとライトが宇宙船で色々な星に行ってそこで様々な人と交流するっていう設定は変えられないからなあ。

 ・・・ってやっぱこれ、水戸黄門だよね。

 だからもうこのシリーズで多くは書けないな、と悟った。あと2本くらいで完結させちゃおうと思う。火星と地球かな。木星は・・・どうすっかw
 とにかく完結編の構想はもう既にだいたい出来ているから終わらせる気になればいつでも出来るんだけれど、4作目以降はちょっと期間をおいて新鮮な気持ちに戻したほうがいいかもしれない。
 てことで今回を持って『80日~』は無期限休養に入ります。あとはマロさんの小説を楽しむとして・・・(笑)

 さて今回の天王星の話、ネタ的にはかなり気に入ってるんだけど、作中で描かれるアイドルとか社会情勢とかがちょっとやばそうな気がするので(一時期、お蔵入りを真剣に検討した)、そこはあくまでもこの物語はフィクションであるということを念頭に置いて読んでください。
 いや、私の漫画なんてみんな大して読んでないから、そこはインディーズの強みというか、まあ、気楽なところなんですけどね。人気作家じゃ絶対書けないぞ、これ。でも島本先生ならやっちゃう気がするw

 というわけで登場人物について。今回はいよいよというか、ついにというか、ライトを中心に話を作ってみました(初めてライトのモノローグが出てくる)。
 実はライトってこのシリーズではけっこうなデウスエキスマキナ(ちょっといいセリフ言って話の方向性を変えることができる使い勝手のいいキャラ)だったんだけど、今回はライトの話なのでそうはいかない。だから結構書いてて心細かったです。

 その、F先生が『ブリキのラビリンス』でドラえもんを壊しちゃった時、その後の展開どうしようってきっと不安になられたと思うんですけど、そんな追体験を勝手に妄想してました。いや、これは偉大な巨匠に対して恐れ多いですね。

 今回のテーマは「夢」。一作目で夢を絶対に諦めないというキャラ設定にしたライトをどう掘り下げていくか、けっこう悩んだんですが、あっそうだ、ライト並みかそれ以上に夢に向かって真っ直ぐな純粋なキャラを出してみたら面白いんじゃないか?というコンセプトでアリエル・スカイという女の子を考えました。
 ツイッターでもつぶやいたんですが、私の漫画って結構女の子が出てくるんだけど、この『80日間宇宙一周』のシリーズってなにげに一度も女の子が登場していない稀有なタイトル。

 で、いよいよ満をじしての美少女キャラ投入だったんですが、前回のルヴェリエ王子が隙間家具のようにミグとライトの間にスポンと入ったのに対して、女の子のアリエルはどうやってもライトとミグの微妙な関係をある種破壊してしまうような、少女漫画の三角関係にありがちなライバルキャラっぽくなってしまってちょっと手こずりました(アリエルが嫌な奴に見えちゃう)。

 とはいえアリエルが16歳前後だとしてライトが25歳、ミグが31歳・・・どんなトライアングルだってなるじゃないですかw
 31歳が16歳に嫉妬するってのもなんかおかしな話だしw
 で、やばいやばい、このラブコメ展開気持ち悪いと悩んでいたら、ある時ひらめいた!ミグとライトを別行動させればいいんだ、と。

 これぞカーズ2に私が学んだダブルプロット構造なのだ!(普通はシェイクスピアだろ)

 つまりミグとライトを一度喧嘩させて引き離し、お互いに相手の良さを再確認するような構造にすればいいと思ったんです。これが決まればもうラストまでは一直線・・・あれ?これ海王星の時も言ったかw
 でも本当に物語って起承転結の起承までできればあとは方向性は決まっちゃうからなあ・・・とにかく辛いのは起承。激ムズです。

 あと何が難しかったかなあ…?一応天王星のモチーフはローマ帝国の共和制末期あたりなんだけど、領土問題どうこうは・・・まあ察してw
 マイナーなアイドル文化がある種、国家全体を揺るがす信仰になるのも、コンスタンティヌス帝が某宗教を最終的に国教に・・・察して!!

 そういえば今ってここまでアイドルブームな割にアイドル業界の実態がまったくわからないよな。いや夢を売る商売だから、そういう暗部は非公開っていうのはわかるんだけど、このネット時代、元アイドルとかがアイドル業界の構造をつまびらかにぶっちゃけたってよさそうなもんじゃん。ノンディスクロージャー契約でも引退時に結ばさせられてんのかなあ?
 同じ夢を売る商売の漫画業界は『バクマン。』が原稿料まで大発表しちゃったのになあ・・・

 とにかくシングルを売るにしても事務所にどれだけ入るのか、印税の分配はどうなっているのか。作曲者、編曲者、作詞家、アイドルと来て、例えばAKB48のような大所帯の場合、彼女らにどれだけのマージンがいっているのか、とかいろいろ気になる。
 で、そういう業界の裏話を作中でも使いたかったんだけど、本当調べても出てこなくて(本もあんまねえし)、仕方ないから私が勝手に想像力で新人アイドルの一日をシミュレーションしてみました。
 よってあれは全くの素人の想像なので、多分違うと思うw

 アイドルといえば、作中で宇宙で最も人気があるアイドルという設定にしたジュリエッタの大物アイドル感を出すのが結構大変だった。あれ、見る人が見ればわかるけれどレディ・ガガさんがモチーフ。
 また、機械のアイドルでもファンが差別せずに応援してくれるってオチは10年前だと「んなわけないじゃん、田代の漫画っていつもご都合主義だよなあ」って馬鹿にされたと思うんだけど、今は実例がいるからね。いるからね!ファミマにいるからね!!

 スゲエ時代だ!!!

『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本⑧

調整室を追い出されるミグ
ミグ「おい!話は終わってないぞ!」
社長「こっちは終わった。」
マネージャー「まったく最近のファンはマナーがなっちゃいないですよね・・・」
調整室のドアが締められ鍵がかけられる。
ミグ「ファン・・・そうだ・・・!」
客席の方にかけていくミグ。

大熱狂の客席。
カメラを構えるファンに話しかけるミグ。
ミグ「なあ君らファンだろ!」
ファン「なんだこのおばさん」
「ライブ中ですよ。迷惑だなあ・・・」
「頼む、今日のライブの曲で最もジュリエッタが映える曲を教えてくれ!」
「それなら・・・今歌ってる曲だよ。」
ミグ「え・・・!?じゃあ、この曲のどの部分の振り付けが一番ジュリエッタを抜ける!?」
「二番のサビでしょ。だからもうそろそろどいてくれない?」
インカムを押さえるミグ「ライト分かった!この曲の二番のサビでジュリエッタは一人になる!」

バックステージ
猛スピードでステージへ駆け出すライト「ってもうやないか~~!!」



ステージ。
数え切れない観客の熱気に圧倒されるアリエル
目をつむって衛星ファーディナンドでライトにだけ歌ったコンサートを思い出す。

ライト「さあ、聞かせてくれ!客はオレだけや、これなら緊張もせんやろ!」

リラックスして歌いだすアリエル。
会場の空気が変わる。
ファン「なんだあの子・・・すげえ・・・!」



バックステージ
ステージ横のライトが、客席からステージの方に向かって銃を構える警備員を見つける。
ライト「いた!ミグ!今、お前のいる場所からステージの方へ10メートルいったところや!」
ミグ「分かった!」
ピストルの引き金に手をかける警備員。
ライト「あかん間に合わへん!!」
ライトがステージに飛び出してくる
「ジュリエッタふせろ~~~~!」
ライトがジュリエッタに飛びかかり押し倒す。

銃声

人が撃たれて倒れる音。
会場が絶叫する。逃げ惑う人々。
警備員「落ち着いて!落ち着いてください!!」
会場はパニックになる。

ステージ
ライト「はあはあ・・・大丈夫か!?」
ジュリエッタ「ええ、私は・・・でも・・・」
ジュリエッタがライトの後ろを指差す
振り返るライト「!」
二人の後ろでアリエルが倒れている。
ライト「アリエル!!」
アリエル「・・・え?」

殺し屋「なんだと!なぜ振り付けが変わった!!?」
殺し屋の背後からミグが体当たりする。
「ぐわっ!」
殺し屋を取り押さえるミグ「お前は本当に運がいい。昔の私ならお前を殺していた・・・」



ステージ
アリエルに駆け寄るライト「アリエル!!」
アリエル「生きてます・・・でも・・・これって・・・まずいですよね・・・」
口径の大きい銃で撃たれ上半身と下半身がちぎれてしまっているアリエル。
ライト「そんな・・・」
アリエル「そうか・・・私なんかがオーディションにあっさり受かったのは、私をジュリエッタさんの身代わりにするためだったんですね・・・うまい話ってないんだな・・・」
ジュリエッタ「だから事務所は直前に振り付けを変えたんだ・・・ひどい・・・」
ライト「アリエル・・・」
アリエル「・・・全て分かりました・・・私がなぜ生まれたのか・・・
私は最初からジュリエッタさんの模倣品として作られたんだ・・・
私の夢は・・・あらかじめプログラムされていたんですね・・・」
アリエルの胴体からは配線が飛び出ている。
涙を流すアリエル「私は・・・人間ですらなかったんだ・・・」
アリエルの上半身を優しく抱きしめるライト「・・・・・・。」



ライブ会場の地下駐車場
車に乗り込み逃げ出そうとする社長。
ゲオルグ「天王星に逃げ帰るのなら送っていくぜ」
社長「な・・・」
ゲオルグ「第7惑星プロ、ジェームズ・キャリバン。殺人容疑、及びロボット保護法違反で逮捕する。」
社長「何だお前ら・・・!?なんの証拠があってそんなこと・・・!」
ゲオルグ「ミグが捕まえた殺し屋が全て吐いたよ。言い訳は天王星で聞こう。」




その後・・・
オセロ第一警察署
喫煙エリアでタバコをふかすゲオルグ
ミグに新聞を見せる「ったく、またアイツがいいとこどりだ・・・」
「地球の冒険家、人気アイドルを救う!」の見出し。
新聞をめくるミグ。
二面には「九死に一生を得たジュリエッタ。天王星と土星の領土問題に平和的に取り組むことを宣言」のニュース。
ゲオルグ「取り調べの結果、土星の一部の過激派と第7惑星プロの犯行ということになった。」
ミグ「サーペンタリウスの関与は?」
ゲオルグ「・・・あの強欲社長に天王星が再軍備に向かうようにそそのかしたのは、どう考えても土星じゃないだろ。必ず真相を突き止めてみせるさ。」
ミグ「それで・・・あの子は・・・?」
ゲオルグ「ああ、あのアンドロイドか。第7惑星プロが事務所の命令に忠実に動くアイドルを作ったらしいが、機械で人の心は動かないと判断し持て余していたみたいだな。かわいそうに。」

警察署の庭。
ライトに修理されて一命をとりとめた車椅子のアリエルがぼんやりと空を見つめている。
アリエルの隣に座るライト。
ライト「なあ・・・また笑ってくれよ・・・」
アリエル「・・・・・・。」
ライト「オレ、アリエルの笑顔が大好きなんやけどな・・・
あんたの笑顔を見ていると・・・恥ずかしいけど・・・夢を決して諦めなかった初恋の人を思い出してまうねん・・・」
「・・・その人・・・夢は叶いました・・・?」
「ああ・・・絶対叶わへんとみんなに馬鹿にされた夢やったけど・・・叶えたよ。」
「・・・叶ったんだ・・・。」
「キミといっしょや・・・」
「そうでしょうか・・・」
「キミだって夢を叶えたやないか。
ジュリエッタのライブに出て大勢のファンの前で歌ったんやから・・・」
「でも・・・人間でもない私の歌なんて気味悪がって誰も聞きませんよ・・・私の声はジュリエッタさんのサンプリングでしかない。」
「そうかな、少なくともあの会場にいたお客はみんな感動したんちゃうんか?
それに海兵隊どもだって・・・アリエルが人間かどうかなんて関係ないんやないか?」
「じゃあ、私と結婚してくれますか?」
「え・・・?」
「人間かどうか関係がないなら、私と・・・!」
真剣な表情になるライト「ああ、お前がそれでええなら結婚でもなんでもしたる。
でもアイドルの夢はいいんか。お前の大事な夢やったんやないのか。
オレが大好きなアリエルは、どんなことがあっても決して夢をあきらめないんや。」
微笑むライト
アリエル「・・・・・・。」



警察署の窓から庭を見下ろすミグ
ミグ「あいつ・・・何日も何日も彼女を励ましてる・・・」
胸に手を当てるミグ。
ゲオルグ「ふん、いつまでやってんだ。ま・・・相変わらずだがな。」
ミグ「あの・・・ライトとは古いんですか?」
ゲオルグ「ああ、まあな。前にあいつがこの星に来たとき、あの野郎、オレが長年追ってた事件を勝手に解決してまた飛んでいっちまったんだ。オレの刑事のプライドはズタボロだよ。」
微笑むミグ
ゲオルグ「何がおかしい?」
ミグ「いえ、私も同じようなことをされましてね・・・空から突然降ってきて私の暮らしはシッチャカメッチャカ・・・」
ニヤリとするゲオルグ「ふん、どこに行ってもはた迷惑なやつだな・・・」
ミグ「ええ・・・でもアイツに会えてよかった・・・」

居酒屋フォンブラウン
デニス「でもライト君が来てからあなた変わったわ・・・前は機械のように無表情だったのに・・・感情が芽生えたというか・・・彼はきっととっても人間的な人なのね。」
ミグ「ふん、あいつが?秩序は乱すしどっちかというと人でなしだよ。」
デニス「そうかしら。私は好きだなあ。ああいう男性。
正直言うとね、うちの旦那に似てるんだ。普段はノーテンキけど、ひとつのことに夢中で取り組めて、なんだかんだで必ず私の味方でいてくれる・・・助けてくれる。」
「独身の私には理解できん世界だよ」
笑うデニス「ミグ、忘れてるみたいだけど、誰だって最初はひとりで生まれてくるのよ?」


ミグ「私・・・あいつに何度命を助けられたんだろう・・・?何度孤独から救ってくれたんだろう?」
ゲオルグ「あんたもあのアリエルといっしょってことか。」
ミグ「それならいいな・・・」



トポロ劇場
バックステージ
アリエルの背中を押すライト「さ、行ってこい。」
不安なアリエル
幕が開く。拍手と大歓声。席は満席で立ち見もいる。
ファン「アリエル~~~!」
アリエル「なんで・・・」
ファン「俺たちファンは機械だろうが人間だろうが関係ない!アリエルの歌が聞きたいんだ!もう一度歌ってよアリエル!」
涙ぐむアリエル「・・・はい・・・」



リンドバーグ号に乗り込むライト
「じゃあなアリエル、すっごいアイドルになれよ~!」
リンドバーグ号に駆け寄るアリエル「ライトさん、ありがとう・・・大好き!」
離陸するリンドバーグ号。

リンドバーグ号船内。
ミグ「大好きだって・・・天王星に残っても良かったんだぞ、ん?」
ライト「からかうなよミグ。それに・・・アリエルはもう立派なアイドルやないか。」
ミグ「・・・なあ、ひとつ聞いていいかな?」
ライト「なに?」
ミグ「お前は夢を諦めたことって一度もないのか?」
ライト「・・・ないね。」
「前から不思議だったんだ。どうしたらお前のような強い心をもてるんだ?」
「・・・オレはな、ある人と約束したんよ。絶対夢は諦めないって。」
「約束?」
「その人はオレの友人でもあり・・・憧れの人だった。」
口をあんぐり開けるミグ。
「なんやねん・・・」
「お、お前にまさかそんな人がいたなんて・・・破天荒を絵に書いた君が・・・!」
「うっさい、もうその話は終わり!」



教会。
レオナの葬式が終わり出席者がぞろぞろ帰っていく。
最後に教会から出て、振り返り、空を見上げるライト
ライト「・・・わかったよ・・・」



宇宙を進むリンドバーグ号
歯磨きしているライト「おはよ~ミグ・・・ん?なんやこの明細書・・・
ミグ・チオルコフスキー様あなた様のシングルが売れ、印税収入が発生したので振り込み額をご確認ください??」
慌てるミグ「あ、勝手に読むな!」
ライト「お前いつの間に天王星で歌手デビューしてたんや!?なに?初音ミグ、ファーストシングル“寿司屋”?宇宙オリコン6万位ってすごいのかなんなのかわからへんけど・・・ちょ、歌ってみて!」
ミグ「やだよ恥ずかしい。」
「一回!その寿司屋って曲聞かせて~や!俺はお前の歌が聞きたいんや!」
「怒るぞ!」

おしまい

『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本⑦

オセロ第一警察署
ファンの警官が書き出したジュリエッタの新曲「My little star」の歌詞を見るミグ。

守りたい 救いたい 私のたった一つの大切な星
力が欲しい 強さが欲しい 私を変えて
私は戦う 愛するこの星のために できることがある
マイリトルスター


ゲオルグ「こ・・・これは・・・まるで戦時中のプロパガンダじゃねえか・・・」
ミグ「・・・あなたがおっしゃっていた正義と同じですよ。」
ゲオルグ「オレはこういった文化が嫌いで知らなかったが・・・ジュリエッタはさりげなく天王星のナショナリズムを煽ってたってことか。」
頷くミグ
ゲオルグ「てことは、サーペンタリウスは天王星の芸能界と通じていたのか!?」
ミグ「そこまではわからない・・・所属事務所がもともと政治的にそう言うスタンスだったと言われればそれまでだし。」
警官「でもジュリ様が国家間の争いの火種になるような運動をするとは思えないなあ。」
ゲオルグ「その呼び方やめろ。」
「さーせん。」
ミグ「なぜ?」
警官「ジュリエッタさんは平和主義者でいろんな星に社会貢献しているんです。海王星の復興ライブも真っ先に行なったし、宇宙の恵まれない子供のために毎年巨額の財産を寄付してますし。」
ゲオルグ「ふん、成金はチャリティーが好きだからな。」
警官「それになにより、明後日ジュリエッタさんは土星で平和友好ライブをやりますよ。」
警官を揺さぶるゲオルグ「なんだと!?何処と言った!?」
警官「ど・・・土星・・・」
ゲオルグ「おい、ミグ!もし仮にだ、ジュリエッタの事務所が死の商人とつながっていたとして、ジュリエッタが勝手に土星との諍いをしずめようとしたら・・・ジュリエッタはどうなる?」
ミグ「どっちにとっても用済みだ。」
「おい!至急土星に行くぞ!!」



惑星連邦放送
土星。
惑星の周囲をぐるりと巡る巨大な環「万里の長城」
ジュリエッタ国際友好ライブの巨大な会場。
「パトラ・ジュリエッタの天王星土星の友好ライブがいよいよ土星時間本日午後から開演します!
このライブの模様は全宇宙で同時中継され、文字通り星の数の人間が宇宙の歌姫のパフォーマンスを堪能するわけです!
そしてなによりこれをご覧下さい!宇宙一の収容数を誇るサターン2型ホールが満席です!
土星政府によればこの劇場が満席になったことはいまだかつてないということ、歴史に残るライブになることは間違いありません!」
ものすごい観客の数。

ライブ会場の一般ゲート
土星の警備員「ダメダメダメチケットない人通れないアルヨ!」
警察手帳を見せるゲオルグ「バカやろう、オレは警察だ!ジュリエッタが暗殺されるかもしれんのだぞ!」
警備員「ニーハオ。」
ゲオルグ「おい、らちがあかねえぞ!」
ミグ「警備は徹底しているが・・・ジュリエッタの暗殺をもし土星政府が黙認していたら・・・」
ゲオルグ「ジュリエッタを守るものは何もねえ・・・!」

会場のゲートにやって来る「あ、ミグ!やっぱりあんたも土星に!」
ミグ「ライト!」
ライト「あのな・・・この前はすまんかったな。ちょっと言いすぎたわ。」
ミグ「いやもう気にしてないよ・・・それに私もいくらなんでもやりすぎた・・・
・・・あんな残酷なことはもう二度としない。約束する・・・」
ライト「・・・あ、そうや、実はお前にすっごいプレゼントがあるんや!」
「なんだ・・・?」
「じゃ~~ん!ジュリエッタのコンサートのプラチナチケットや~!」
ミグ「・・・・・・。」
ライト「いや、今度はマジで本物やぞ。どうや嬉しいか?」
ライトを抱きしめるミグ
ミグ「ライトでかした!!」
ライト「み・・・ミグ?」



ジュリエッタの控え室
社長「なぜ土星でのライブをわしに相談もせずに決めた!?」
気丈なジュリエッタ「無断でこのライブを開催したのは謝罪します。
しかしこの騒動は私が起こしたようなものです・・・ですから私自身が天王星と土星の友好関係を築き直さなければ・・・」
社長「しかし、トップアイドルのお前にもしものことがあったら・・・」
ジュリエッタ「私は歌で争いを煽りたくない。私は歌で宇宙を平和にしたいんです。失礼。」
部屋を出ていくジュリエッタ。

社長「たかが田舎娘がアーティストをきどりおって・・・」
奥の部屋から現れる殺し屋「なら殺したって未練はないだろ。ここ数年あんたの言うことなんてろくに聞いてないじゃないか。」
社長「・・・いくら生意気とは言え、看板アイドルのあいつを死なすのは惜しい。」
殺し屋「だが、こっちも土星の同志に金をもらっているんでね・・・きっちり仕事はさせてもらう。」
「分かった、勝手にしろ・・・おい、さんざんお前らに協力してきたんだ。わしに利はあるんだろうな?」
「ジュリエッタの追悼アルバムでも売ればいいだろ。」
殺し屋が部屋を出ていく。
マネージャー「どうするんですか、社長・・・本当にジュリエッタを見殺しにするんですか?」
社長「うるさい、手は打ってある・・・!」



会場内に入るライトとミグ
ミグ「警部たちは会場周辺を頼みます!」
ゲオルグ「分かった!気をつけろよ!」

会場エントランス
ライト「なんやて!?ジュリエッタの暗殺計画!?いくらなんでも無茶やろ。」
ミグ「ああ、あくまでも可能性だが・・・もしサーペンタリウスがジュリエッタを殺すなら今日ほどのチャンスはない・・・」
ライト「ジュリエッタ殺してどうなるっちゅうねん!」
ミグ「私がもし所ジョージさんを失ったら・・・どうなると思う?」
ライト「・・・なるほど。それは一大事や。」



バックステージの稽古場。
ジュリエッタのライブのダンサーやバンドが最後の打ち合わせをしている。
ダンサー「あ!ジュリエッタさん!」
アリエル「ウソ!?」
稽古場に入ってくるジュリエッタ「みんな今日はよろしくね・・・!」
一同「ハイ!!」
ジュリエッタ「あなたがサブボーカルのアリエル・スカイちゃんね・・・」
緊張するアリエル「は、はい!今日はよろしくお願いします!」
ジュリエッタ「なんて呼べばいい?スカっぺ?」
アリエル「あ・・・アリエルでいいッス・・・」
ジュリエッタ「本番まで1時間を切ったけど、軽くリハーサルをしましょう。特にアリエルはほぼ飛び入りだからね・・・」
アリエル「わ、わたしその、そこまで難しい振付は・・・」
ジュリエッタ「ダンスが苦手なのよね、大丈夫。社長とマネージャーがそこを考慮して振り付けを変えてくれたから。」
振り付けの段取りが書かれた紙を床に広げるジュリエッタ。
「あなたはほとんどこの位置から動かない。とにかく私が動くからあなたはバシバシその美しい歌声を宇宙中のファンに聴かせてやって。」
アリエル「美しい歌声ってそんな・・・」
ジュリエッタ「あなたのデモテープ聞いたよ。私は戦慄したね。とんでもないライバルが現れたって。」
アリエル「ジュリエッタさん・・・」
ジュリエッタ「なら敵になる前に手を組んじゃおうって、よろしくね。」
アリエル「はい・・・!」



開演前の会場。
ライト「こんな巨大なホールじゃどこに殺し屋がいてもわからんで!」
ミグ「もしジュリエッタの事務所が死の商人とつながっているのだとしたら・・・
ライト、事務所関係者を探すぞ!」
ライト「え?なんで?」
ミグ「もしライブ中に襲撃するなら、敵は振り付けの段取りを調べるはずだ!
そして最もジュリエッタを狙いやすいポイントで彼女を撃ち殺す!」
観客(いい加減前からどいてくれないかなあ・・・・)

場内警備員「ちょっとアンタラ、何シテルあるよ?」
ミグ「ライブのスタッフにはどこで会える!?」
警備員「NONOダメダメ、関係者以外立ち入り禁止ね。」
ライト「オレはアリエル・スカイのマネージャーや!」
警備員「ソナタもしかしてミスターライトか?」
「そうや!」
「ツイテマイレ。」

関係者専用通路を駆ける二人。
大歓声が聞こえる
ライト「あかんライブが始まったみたいや!」
ミグ「私は事務所関係者を探す!お前はジュリエッタを守れ!」
ライト「分かった!」



調整室に入るミグ。
たくさんのモニターがライブ会場の様子を様々な角度で映し出す。
マネージャー「なにしてるんですかあなた!ここは立ち入り禁止ですよ!
ライブはもう開演しているんです、出てってください!」
ミグ「今日のライブの曲目とその振り付けを教えろ!」
「はあ、あなたどういうファンですか!?
真似して踊りたいなら自分でDVDでも買って調べなさいよ!」
ミグ「そうじゃない!ジュリエッタが危ないんだ!」
マネージャー「この人頭がおかしい・・・警備員を至急。」
ミグ「あんたらのアイドル、ジュリエッタが殺されるかもしれないんだぞ!」
社長「はっはっは・・・面白いことを言う。会場の警備は完璧ですよ。
土星政府が威信をかけてジュリエッタを守ってくれてます。」

会場警備員の格好をした殺し屋が客席の間をぬってステージに近づく。



ステージの横で歌うジュリエッタを見て感動するアリエル
「すごい・・・これがずっと・・・ずっと憧れてきた宇宙一のアイドル・・・」

熱唱しながらステージを縦横無尽に駆け回るジュリエッタ。
ステージのジュリエッタにレーザーポインターの照準を合わせる殺し屋。

最初の曲が終わる。
笑顔でステージから消えるジュリエッタ。バックステージに戻ると慌てて衣装を着替える。
ジュリエッタ「いよいよ次の曲よ、アリエル!」
アリエル「あ、あうあうあう・・・あんなにお客さんが・・・私に出来るんでしょうか?」
ジュリエッタ「アリエル!リラックス。あなたはなんでアイドルを目指したの?
歌が好きだから?ダンスが好きだから?たくさんの人を喜ばせたいから?
このステージにはすべてがある。楽しもう!」
アリエル「ジュリエッタさん・・・」
ジュリエッタ「ジュリエッタでいい。私は精一杯あなたの引き立て役に回る。
宇宙を驚かせてやりなさい!」

二曲めの前奏が始まる。
ジュリエッタ「みんな行くよ!」

ステージにジュリエッタとアリエルが飛び出す。
会場のボルテージは最高潮。
ジュリエッタ「マイリトルスター!!」
「わあああああああ!」

『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本⑥

天王星で最も遠い衛星ファーディナンド
地球連邦軍の前線基地の予備の滑走路にライブ会場が設営されている。
腕時計を心配そうに見つめるアリエルのマネージャー。
衛星ファーディナンドに着陸するリンドバーグ号。
リンドバーグ号に駆け寄るマネージャー。
「あ、アリエルこっちこっち!」
リンドバーグ号から降りるアリエル「マネージャーさん!」
マネージャー「こちらは?」
アリエル「私が一日お世話になったライトさんです。」
ライト「けっこうお世話しました。」
ライトに名刺を差し出すマネージャー「そうですか、うちのアイドルがお世話になりました。わたくしこういうものです・・・」
また名刺をもらうライト「どーも・・・」
マネージャー「あの、うちのアリエルがお世話になったお礼と言ってはなんですが、三日後土星で行われるジュリエッタの星間友好コンサートのチケットを受け取って頂けませんか?」
ライト「え!?マジ!」
マネージャー「ええ、二枚しかないのですが、どうぞ・・・」
アリエル「それプラチナチケットですよ!」
ライト「うわ~ありがとう・・・これアイツがすっごい喜ぶな・・・」
アリエル「ぜひお連れの方と見に行ってください」
ライト「で、今日のライブは?なんかジュリエッタ特別記念公演って書いてあるけど・・・アリエルのライブちゃうの?」
マネージャー「ええ、ジュリエッタはご存知のとおり多忙なので、うちの事務所で最もジュリエッタに似ている彼女にジュリエッタの格好をさせて、この星で戦う海兵隊さんにせめてジュリエッタの雰囲気だけでも味わわせてあげようと・・・」
ライト「そうなのか・・・」
アリエル「似てませんか?」
「いやそんなことはないけど・・・バレるんちゃうんか?」
マネージャー「いいんですよ。いくら脳みそ筋肉の海兵隊の人でもこんな星で本物のジュリエッタの慰問ライブがあるなんて誰も信じてないですから!はっはっは!」
ライト「な~る・・・」
マネージャー「では我々はライブの準備がありますのでこれで!楽しんでいってください!」
アリエル「ライトさんではまた!」
バックヤードにかけていくアリエルとマネージャー。

ライブ会場の席に座るライト。
周りに海兵隊のごつい兵隊たちが集まってくる、

海兵隊「おい、あのジュリエッタがこんな最前線の基地に慰問に来ると思うか?」
「確かに。だがジュリエッタの生まれ故郷がこの星だからな。可能性はなくはないぜ。」
「ったく天王星の連中が軍を持ってないから、家族残してはるばるこんな星までやってきたが、やっといいことがあったな。」
「あ~オレジュリエッタの大ファンなんだ。二週間前から楽しみで・・・」
「死んだ戦友にも見せてやりたかったな・・・」

気まずくなるライト
「こ・・・これはエライ事になるで・・・」

慰問ライブが開場する。
アリエルが歌を歌おうとした途端、大ブーイングとゴミが飛んでくる。
海兵隊「ふざけんな~!死ね~~!!」
アリエル「や・・・やめてください!」
海兵隊「そのレベルのモノマネならオレの方がもっとうまいぜ!!」
「だいたいてめえは客に笑われてるだけなんだよ、馬鹿にされてるってわからねえのか?」
アリエル「え・・・」
「才能ねえんだからとっとと辞めて俺の彼女になれって!」
「ギャハハ!二等兵のスコットが面倒見てやるってよ!」
アリエル「れ、恋愛は事務所から止められているのでご勘弁を・・・」
「だからやめろっつってんだよ!
お前みたいなのが一生やったってジュリエッタみたいなトップアイドルになれねえよ!」
酒を煽りながらステージに上がりアリエルに抱きつく海兵隊
アリエル「ひいい!ライトさん助けて!」
ライト「もうええやろ!」
「ライトさん・・・」
海兵隊「なんだてめえは!」
ライト「決まってるやろ。その子のファンや」
アリエル「ライトさん・・・」
ライト「マイナーなアイドルを応援するって結局魂胆はそれかい。ファンならマナーを守って応援するんちゃうんか!」
「なんだと・・・!」

会場内に警報が鳴り響く
士官がホイッスルを吹く「楽しい茶番はそこまでだ!土星の艦隊が接近!海兵隊ども直ちに出動!」
海兵隊「ウーアー!」

配置につくため駆け出す海兵隊員。踏みつけられるアリエルのチラシやブロマイド。
誰もいなくなる会場。
むなしくボーカルなしの曲がかかっている。

ステージの上で無言でへたり込むアリエル。
ライト「アリエル・・・大丈夫か?」
肩を震わせるアリエル「はっきり言われちゃった・・・一生やったってジュリエッタさんのようにはなれないって・・・
笑っちゃいますよね・・・それが小さい頃からの夢だったなんて・・・」
ライト「・・・・・・。」
「私がいけなかったんだ・・・海兵隊さんたちの期待を裏切るようなことをして・・・あの人たちはジュリエッタさんを見るのをずっと楽しみにしていたんだ・・・
私を見に来たんじゃない・・・誰も私の歌なんか・・・」

ライトがアリエルに近づいてかがむ。
「なあ、アリエル・・・よかったら俺だけにその歌声聞かせてくれへんかな?
レコーディングスタジオのみんな言ってたで。あんたの歌声はもしかしたらジュリエッタを凌ぐかもしれんって・・・
人にはそれぞれ自分の道があるんや・・・あんたはジュリエッタやない。アリエル・スカイやろ。」
「ライトさん・・・」

ステージを降りて椅子を直して観客席の中央に座るライト
「さあ、聞かせてくれ!客はオレだけや、これなら緊張もせんやろ!」
立ち上がって客席に振り返るアリエル「・・・・・・。」
ライト「さあ!」
涙を拭くアリエル「ありがとう・・・」
マイクを持って歌いだすアリエル。
たった二人だけのコンサート。



オセロ第一警察署
オフィスに入って資料をめくるミグ。
ミグ「最初の被害者おてもやん、第二の被害者ローリング娘、そして第三の被害者ザ・パンチラーズ・・・」
ゲオルグ「ターゲットになったアイドルはどれも中堅若手・・・ファンの数も大したことはないよ。」
ミグ「これがもっと大きなテロのデモンストレーションだとしたら・・・」
ゲオルグ「おい、ちょっと待て・・・」
ミグ「パトラ・ジュリエッタってファンは一体何人いるんですか?」
ゲオルグ「おい!知ってる奴いるか!?」
警官「は、全宇宙に22億8260万人であります!」
ゲオルグ「なぜ貴様暗記してる!」
警官「いやその・・・妻がファンでして・・・」
ミグ「そんな超人気アイドルがサーペンタリウスに殺されたら?そしてそれを土星の過激派の仕業にしたてあげたら?」
警官「私、泣きながら土星に特攻します!」
ゲオルグ「こんなバカが22億人いたら、この星の再軍備は本当に実現しちまうぞ・・・!」
ミグ「・・・なぜジュリエッタはここまで天王星の世論を変えた・・・?偶然?」
ファンの警官の携帯電話の着信メロディが流れる

ジュリエッタ「♪守りたい、救いたい、私のたった一つの大切な星~」

ゲオルグ「バカやろう!その歌はムカつくからやめろって言ってるだろ!」
携帯を切る警官「すいません!」
ミグ「ちょっと待った!」
警官「?」
ミグ「キミ、その曲の歌詞全て覚えているか?」
警官「ええ・・・」
紙とペンをテーブルに置くミグ。
ミグ「ここに全部書き出してくれ。」



衛星ファーディナンド
二人きりのライブ会場。
コンサートで予定していた曲をすべて歌い上げるアリエル。
アリエル「・・・どうでした?」
ライト「・・・・・・。」
アリエル「な、なんかリアクションしてくださいよ・・・」
「あ、ごめん。見とれてたわ・・・鳥肌立ってもうた・・・」
「また、気を使うんですから・・・」
「いや、ほんまやて!アリエル、あんたは絶対すごいアイドルになる!」
「ありがとうございます・・・でも・・・私はこれを引退コンサートにします。」
マイクを置くアリエル
ライト「え・・・?」
アリエル「ライトさん・・・ありがとう・・・」
微笑みながら喋っていくうちに涙を流していくアリエル
「最後の最後に大切な人を歌で感動させることができた・・・私がずっと夢見ていたのはこれだったんです・・・」
「アリエル・・・」
「夢・・・叶っちゃいましたね・・・」
頭を下げるアリエル。
拍手をするライト。

次第にその拍手が大きくなっていく。
お辞儀をしたままのアリエル「・・・?」
顔を上げる。
海兵隊たちが戻ってきて拍手している。
「ブラボー!」
「馬鹿にして悪かった!感動しちゃったよ!」
「アリエル・スカイ!覚えたぜ!!」
「引退なんかするなよ!俺たちだけでもシングル買ってやるからさ」
「みなさん・・・」
携帯電話を切り、慌ててマネージャーがステージに駆けてくる「アリエル大変だ!」
「なんですか?」
「さっきキャリバン社長から電話があって・・・オーディション・・・合格したって・・・」
アリエル「えええ!!?」
マネージャー「ジュリエッタのライブに出れるんだよ!それもジュリエッタの相棒として!」
大歓声「うおおおおおおお!やったああああああ!!!」
ライト「見てる人は見てるんやなあ・・・」
アリエル「ライトさん・・・」
ライト「お前の夢や・・・」
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