『イノセントガーデン』制作裏話

 この記事はネタバレなので、本編を読んでから読むように!

 いや~まさかこの漫画を公開するとは思わなかったよ。しかも、これ9年前の作品なのな。私まだ22歳とかだよ。22歳の私は何があったんだろうな。いろいろ病んでそうだよな。
 担当編集者に見せても「女の子が可愛い」しか感想がなかったしな。オレもこんなもん読ませられたらリアクションに困るわ。
 つーか『ダブルスピーク』と同時に描けるような内容の話じゃないよね。ほんとに、この漫画だけギャグ要素が一切ないもんね。というか内容すっかり忘れてたけどテーマ的にギャグにできないよ、これ。まあ、そういうのも一回やってみたかったんだろうな。
 この時期は、一体どういうのが読者にウケるんだろうってノイローゼになっちゃって迷走期だったことは覚えている。
 今は、「この味は通だけわかればいいんだよ!」みたいな下町の口の悪い小さな寿司屋みたいなスタンスになっちゃっている気もするけど、一つだけ言えるのは、自分自身がこの作品は絶対面白いっていう信念がないと、いいものは絶対できないってことだよね。つっても最近はてっきりご無沙汰だけどさ(^_^;)

 さて、『イノセントガーデン』の直接的な着想は二つあって、一つ目が昔、地面がどんどんなくなっていっちゃう夢を見たってこと。この手の夢が、フロイト的にどう言う意味があるのかは知らないけどさ。
 『イッツアドリームワールド』もそうだったけど、たまに描きたい「画」が最初に浮かんで、そのシーンを描くために前後の筋書きを後付けで考えるっていうこともある。
 だから、この漫画は「画」が中心で、前半は私の漫画としては珍しくセリフがあまりない。当初はいっそサイレントでやろうと思ったくらいなんだけど、わりとキャラが高度な駆け引きをしててさ、これをセリフ無しで説明する技術が当時の私にはなかった。
 「私は声を失った」とか言ってる割にモノローグでよくしゃべるもんな、こいつ。彼女はもともと、ああなる前はおしゃべりだったんじゃねえかな。それで余計なこと言っちゃって、ひどい目にあったみたいな。

 着想の二つ目が、なんの映画か忘れちゃったけど、赤ちゃんが生まれる前のシーンでアナウンサーの福澤朗さんがさ、精子の吹替えしててさ。「それいけ~~!!」みたいな感じでみんなで卵子の方へ突っ込んでいってさ、福澤の精子(なんかエロいな)だけ卵子に取り込まれてさ「お、お、お・・・!!???ジャ・・・ジャストミ~~~~ト!!!」って受精しててさ、大爆笑だったわけよ。
 これをもうちょっと、旧約聖書風にできないものかと。ほんで、エデンの園みたいな世界観に変えてみたんだ。
 あと、あれだ。この作品の虚無的な雰囲気はMYSTに当時ハマっててさ、そういうものの影響だった気がする。トゥームレイダースもそうだよね。
 海外のゲームって独特の空気感があるんだ。簡単な言葉で言うと「さみしい」「ひとりぽっち」。そういう感じをスゴイ出したかった。
 一応この漫画には、たくさんの(モブ)キャラが出てくるんだけど、実際は、たった三人の話なので、そう言う意味じゃさみしいっちゃさみしい。
 そして、この三人って『インサイド・ヘッド』じゃないけど、どの人にもある感情だよね。

ヴィルトゥス(勇気)
今見ると、『ソニックブレイド』の隊長とデザインが激似。彼の子役時代の作品に違いない(描いた順番逆だけど)。
私は、正義って「合理」じゃなくて「感情」だと思うんだよ。だから「怒り」とかと一緒で強いエネルギーである反面、おそろしく暴力的なものなんじゃないかって。
この子なんて、まあ、子どもだからっていうのもあるけど、ほんとに深く考えず行動してるもんね。大人でこのアルゴリズムだけを選択したら絶対破滅するよね。
でも、この「向こう見ずさ」ってたまにすごい羨ましい時がある。
子どもって守るべき過去がないからかな。一歩間違えばあの世行きであろう、すごい危険な遊びとかするしね。タナトスだよね。
利他的な行動っていうのもそういう面があるんかね。というか、この子は年齢的に死というものがよくわかってないよね。まあ誰もわかってないか(^_^;)
この漫画が、深く考えると怖い内容なのはさ、救いらしい救いがひとつもないからなんだよ。東洋の哲学だとさ、四季が明確にあって自然が豊かだったからかわからないけど、円環構造で世界を考えるじゃん。生と死が廻っているみたいな。
だから、ここで自分が死んでも次の世代につながれば・・・って考えられるんだけど、西洋っていうのはアポカリプス的でさ、直線なんだよね。
作中に「エントロピー(拡散度)」ってセリフがあるけど、つまり時間の矢は一方的で、進んで戻ってこない。イノセントガーデンの出口の向こうには、また別の世界があって、次の世界に行ったら二度とこっちの世界には戻ってこれないよっていう不可逆性。
だから、この漫画の世界観は仏教じゃなくて絶対キリスト教的な方がいいなって。西洋的なテイストにしたんだよね。

セレスティス(天上の)
すぐ泣く。
みんなが落ちていっちゃう世界の中で、唯一「飛べる」というチート能力を持っているが、逆を言えば高いところまで飛べるということは、物事を俯瞰で考えられるということ。
つまり、彼女だけは世界をメタに見れるというメタファー(つまらん
精神年齢的にはヴィルトゥスが少年期なら、彼女は思春期(ちょいワルな影がある男に初恋しちゃうのもありがち)。
世の中の不愉快な面がなんとなく分かってきちゃって、子どもの頃のピュアな部分が若干よどみかけてきている時期。実際、彼女だけはルシファーみたいな黒い服を着ている。
そもそも、この物語の元凶はこいつって気もするけど(ほかの天使がトパゾスに根こそぎ殺された上にコイツも死んだので天使が絶滅した)、遅かれ早かれどのみち崩壊しちゃう世界なら、彼女の犯した罪は仕方がないって気もする。
当初のデザインでは、翼は先が黒くてコウノトリのものだった。でも、こんなん気づく奴いないか、ってことで醜い白鳥みたいにした。
そういや、最後のさ、彼女が残りの力と勇気を振り絞って少年の手を取って飛ぶシーンあるじゃん。あのシーンは星のカービィ2のクーのテーマをかけてください。

トパゾス(探求)
こいつらの年齢設定はよくわからないんだけど、少なくとも精神年齢においては彼がおそらく最年長なのではないだろうか。
ヴィルが小学生、セレスが中高生、ほいで、トパゾスが大学生くらいというか。
この人は頭が切れるし、行動力もあるんだよね。悪堕ちすると一番厄介なタイプだよ。
ヴェロキラプトルというか。
セレスティス(きっと元カノ)に世界のルールを教えられ、その現実にうじうじすることもなく、しっかりと受け入れて割り切り、そのルール内で最も合理的な選択をして、あとちょっとのところで決勝戦敗退みたいなw
この人は、天使をためらいなく殺しているから無神論者なんだろけど、最後の最後で非情になりきれなかったんだよね。すこしだけ罪悪感があって、でも人間なんてのはすべてエゴの塊だって思って、自分の罪に目を背けてたら、よくわからない正義感の強い子どもが出てきて、こいつも結局は自分のことしか考えていない・・・ってことを確かめないわけには行かなくなった。
私、久しぶりに読んで、自分が助かりたいだけなら、なにコイツは最後にネタばらししてんだ?バカじゃねーの?って思って、この部分を描きなおそうと思ったんだけど、よく考えてみると、そういう意図があるシーンだったのかって。描いた自分が忘れてるっていうね。
なんか聞いた話では、精子の中には他の精子(エッグゲッター)がうまく受精できるようにアシストするための精子がいるらしいんだよ。悲しい事実だけど、彼はそういうものだったのかもしれない。
この人は東大生なんだ。東大生ってゲームのルールを与えられると、そのルール内で最高のパフォーマンスをするじゃん。でもルールそのものをメタ的に変えるっていうのはすごい苦手なんだよね。

怪物
一応「月」ってことになるのだろうか・・・?いきなり最初のページに描かれているっていう。これも母体が舞台というメタファーなんだろうな。
とはいえ、イノセントガーデンで最初に「殺し」をしたトパゾスも怪物だといえるし、彼を殺戮に駆り立てたセレスが本当の怪物なのかもしれない。
ここら辺の「誰が本当の怪物だ?」みたいなくだりはちょっと展開が間延びするのでカットしてしまった。クライマックスは畳み掛けたかった。
ちなみに、本に描かれていた化物はホムンクルスって言って、神経系のバイアスが体のどの部分にかかっているかを示したもの。これによると口と手が繊細らしいが、これ、めちゃめちゃ怖いよね。あれは、審判の日のあとに創られる胎児のボディプランの本だったわけだ(螺旋階段はDNAのメタファー)。

 そういえば『スクールオブジェイル』にこの作品の三人がちょっとだけ描かれてます。探してみよう。

キャラ.jpg

幕張への旅

 もう二度とやることはないんじゃないかと言われた幕張の恐竜博が帰ってきた!(わりとすぐに)その名もメガ恐竜展2015!ババーン!
 ・・・ということで行ってきました。なんか今回はヨーロッパ最大のカミナリ竜トゥリアサウルスがメインだったらしいんだけど、なによりもメガだったのが最初の方にいたショニサウルス(魚竜)だったっていうね。こいつハンパないよ、ジュラシックワールドのモササウルス並にメガ。目もメガ。目がメガ。
 で、トゥリアサウルスの方は下半身も見つかっているのに、なぜか上半身のみの組立という謎展示だったんだけど(予算の関係?)、下半身がイラスト(壁画風の垂れ幕)になってて、これはこれで面白かった。というか、トゥリアサウルス図録によればかなりの部分が発掘されてるのね。
 何年か前のマメンチサウルスなんて1割くらいしか骨がないのに35メートルくらいの全身骨格を組み立てちゃってたもんな。時代は変わったぜ。

 あと、今回はこしさんと一緒に見に行ったんだけど、こしさんがちびっこ向けしつもんコーナーのスタッフを詰問しているのが面白かった。
 エウロパサウルスっていうブラキオサウルスをそのまま小さくしたような恐竜がいるんだけど、そいつに叉骨が付いてるんだよ。で、叉骨はカミナリ竜全体の共有派形質なのか?とか質問して、スタッフのお兄さんが困って「詳しいものに聞いてまいります」ってなって、でもダメで。「この人たちは多分この分野の専門家じゃないですね」っていうから、質問に答えられないからかな?って私は思ったんだけど、「受け答えがちゃんとできるから」って言っててwどんだけ研究者はコミュニケーションできないんだよっていうw
 あと、これもこしさんが指摘してたんだけど、ディプロドクスの尻尾の下にある血道弓っていう骨が、普通のカミナリ竜(アマルガサウルスとか)は先が尖っているんだけど、ディプロドクスは扁平というか潰れてて、これなら尻尾を地面につけて、後ろ足で立ち上がれるんじゃないかっていう。
 なんかずいぶん前に、ディプロドクスは首を持ち上げられないから、下半身を下げることで、上体を起こせば、高い餌も食べれたんじゃないかっていう、物理学的なモーメントの論文があったけど、これは尻尾の形から着想を得たんじゃないかっていう。
 こういう視点っていうのはやっぱり専門家だよなあって。私何も考えずにハナ垂らしてポケ~って見てるだけだもんな。やっぱり詳しい人と行くと楽しいよね。

 恐竜博のあと、ちょっと時間あったから映画も見たんだ。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。
 これ、アクション映画としてはすごい面白いんだろうけど、私はアクション映画があんまり好きじゃなかったのであった。だって、生でサーカス見てるほうが絶対ドキドキするもん。とりあえず無事に公開している以上は、スタントは成功したんだろうなあとか。
 でもトム・クルーズはすごいよな。ジャッキー・チェンみたいなことなってるよな。ただジャッキー映画なら、コメディがもうちょっと欲しかったな。硬派なスパイ映画なら風刺がもうちょっと欲しかったな。
 シナリオ自体は一時期『007』シリーズを見すぎて、こんなんあったよな、みたいな。こういう映画ばっかり見ているから、みんなツイッターで陰謀論に傾倒するんだよねwよくない。ラプラス魔じゃあるまいし、世界を計画通りには操れねえって。
 でも、狙撃のシーンで、どっち撃てばいいんだ?みたいにイーサンが困るシーンが面白かったんだけどさ、オーストリア怒らないか、あれ。欧米にとってみれば雑魚キャラ扱いなのだろうか。というか、ああいうシンジケート的なことやってるのは、イギリスじゃなくて、アメリカなんじゃないかって気もするけどwエシュロンとかお前らだろっていう。
 今度、『007』の方もやるらしいけど、立場が逆になっていたりしてね。

 あと、こしさんにキサク・ヨーンの『自然を名づける』と、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』貸してもらったんだけど、エーリッヒ・フロム、すごい読みやすい。これはちょっと奮発して『自由からの逃走』も買うべ。

ジュラシック・ワールド

 「面白い度☆☆ 好き度☆☆☆」

 また繰り返しか。
 
 あれからなんと22年。例のテーマパークがいつの間にかオープンしていた。その名はジュラシック・ワールド!!(※例のテーマ♪バババ~バ~バババババ~以下割愛
 ・・・覚悟はしてたんだけど、ほんとにつまらなかった。
 なんかさ、ジュラシック・レイク!とかジュラシック・アマゾネス!とか『ジュラシック・パーク』のパチモノ映画ってあるじゃん?そのコーナーに混ざっててもおかしくないレベルで、オレは別の映画見に来たのかって感じだった。

 架空の恐竜どうこう以前に物語が絶望的につまらない。

 登場人物がステゴサウルス並みのバカばかりで、誰にも感情移入できないのが厳しい。クレアっていう女は、ホントにもう、5回くらい殺したくなった。映画版二作目のサラ・ハーディングを超える女がついに現れちまったよ。
 登場人物で、まともなのはせいぜい、インドミナスが脱走して即座に島を捨てようって判断し(却下され)たクリス・プラットくらいなんだけど、こんなバカな女と付き合っているクリス・プラットもやっぱろくなもんじゃねーな。

 オレはナバホ族か。

 まあ、コメディ映画として考えるなら、あの社長は面白かったな。ああいう勘違いしちゃっている社長は現実にもいそうだし。慈善事業とか好きで悪い人では決してないんだけど、どこか残念な感じの実業家(特定のモデルがいそうなのが怖い)。

 まあなんにせよ、これはとうとうDVDいらないレベル。多分あれだな、私もいい年だし、恐竜なんぞにうつつを抜かしてちゃダメってことなんだろうな。私も進化の時かもしれんな。
 つくづく思ったんだけど、こういう大作映画の最近の傾向ってさ(某変身ロボット映画のシリーズをイメージしてください)、つかみはそこそこうまいんだけど、それを掘り下げないで雑に物語を進めちゃうんだよね。
 あれが私から見ると「もったいない!」って思っちゃって。もったいないゴーストが出るぞって。
 だから、もう後半飽きちゃって何人食われようがどうでも良くなっちゃった。内容はCM見れば90%は予想がつくレベル。ラストの展開まで予想通りだったし。

 しかしあのラストシーンはおかしいだろうよ。なんであの状態で安全なわけ?一作目の驚異が全部フリーダムじゃねえか。
 というか『ターミネーター2』と一緒でさ、恐竜が“キャラ化”しちゃっているんだよ。“見栄もきる”し。
 それがもう動物じゃなくて怪獣になってて、全然リアルじゃない。技術は向上したのに一作目よりも恐竜がリアルじゃないってそういうことなのかって。なんか納得はいった。
 だから、ターミネーターシリーズで1よりも2が好きな人は楽しいと思う。私は2よりも断然1が好きだし。まあこの例え、わかる人はわかるだろう。

「アパトサウルス」
言うまでもなく一番好きな恐竜。原作には皆勤だったのだが、映画版ではなぜか一度も登場しなかった。
それが今回満を持して登場!・・・って、ひどいかませ役じゃねーか!!しかもアクションフィギュアも出ないし。(´;ω;`)

「アンキロサウルス」
Ⅲに一瞬だけ登場したが、今回はインドミナスとの戦いを繰り広げた。重戦車みたいな恐竜で絶対強そうなんだけど、インドミナスに割とあっさりひっくり返されて、哀れな醜態を晒していた。
実際には、しっぽの棍棒は20キロ以上もの重さがあるので、あれがまともにヒットすれば、どんな肉食恐竜も撃退できたはず。いかんせんにぶいんだ、こいつ。

「プテラノドン」
Ⅲとは違って有名なインゲンス種じゃなくて、トサカが短いロンギセプス種だった。まあなんか、インゲンス種もロンギセプス種に吸収合併されたそうだが。
しかし、バードケージに翼竜入れすぎだと思う。ヒッチコックやりたかったんだろうな。でもどっちかというと『ミスト』だったな。
あとクチバシに歯はなかった。

「ディロフォサウルス」
意外なところでヘンリー・ウー博士とともに22年ぶりに再登場した。
カナリヤから見ればネコはモンスターだ。立場によって変わる言葉だ。

「モササウルス」
実は、何年か前にアメリカで発売されたジュラシックパーク一作目の新作ゲーム(jurassic park THE GAME)にも出てきたんだけど、デザイン的にはそっちのほうが好きだった。
なんかこの映画のモササウルスは頭が平たいんだよな。
とにかくジョーズだろうが女秘書だろうが翼竜だろうが何でも食べる。新種のハイブリッド恐竜だってご馳走さま。やっぱりね。

「ヴェロキラプトル」
チビなのにすごいファイター。今作で最も男気があったと思われる。
しかし、これまでのシリーズで最も人間勢を苦しめたインテリ恐竜が、ついに飼いならされちまった。これはターミネーター2的に熱い展開なんだけど、シリーズのテーマ(自然は制御できない)を否定する大問題である。
しかしまあ、実際にクローン化が成功したら、賢いので、もっとも飼い慣らせそうな種類ではある。

「ティラノサウルス」
Ⅲではアフリカの某恐竜の引き立て役的なポジションに甘んじたが、今回は最後においしいところ全部持って行った。
というか、このTレックスくん、一作目のビッグレックスと同じ個体らしい。22年間もあの島で放置されてたのか飼育されてたのか知らんが、とにかく生き延びていた。
しかし、こんなあからさまなファンサービスはないよね。だってあれだよ?頭の上に数学者乗せたり、トイレに隠れた弁護士を食べちゃったやつだよ?
すごい懐かしいよな。22年後も相変わらずヤギ食ってたよ。
最後の戦いで右肩を脱臼してたっぽいが大丈夫だろうか。
というか、ラプトルまではわかる!だがティラノサウルスまで脱走させといて、あのエンディングはないだろう。なにいい話的に終わってるんだ。いつからお前は人類の味方になった。

「インドミナス」
事前予想を裏切らない名実ともにスーパー恐竜だったが(ロケットランチャーでも死なない)、最期が割とあっけなくて笑えた。
ラストバトルで「ほっほっほ私を本気で怒らせてしまったようですね、では私の真の力を見せてあげましょう、本当の闘いはこれからです」とかうそぶく悪役いるじゃん。
そんな感じで口上を述べていたら、不慮の事故であっさり死んじゃったっていう。
なんか、架空の怪獣を実在の恐竜が寄ってたかって倒して、それで恐竜ファンはすっきりするとでも思っていたのだろうか。そういうことじゃないと思うんだよな。

ミニオンズ

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 冒頭 殿堂入り」

 バババ~バ~バババババ~(バンバン)バババ~バ~バババババ~(ハモる)バババ~バ~バ~バ~ババババ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 いや~やっぱアメリカってすごいよね。何億円もかけてこんなバカな映画撮る国だもんな。そりゃ勝てねえよ。日本のアニメなんてたいてい「この夏一番の感動が~」とかばっかでさ。いやんなっちゃうよ。
 ここまで、感動要素をそいでバカに徹したのはマダガスカルシリーズ以来よ。あれも人気が出た脇役のペンギンズを主役に映画化したしな。日本未公開だったけどな。
 ピクサーなんかはコンスタントにメッセージ性のある作品を作っててさ、よくクオリティ維持できるよなってくらい、脚本を作り込むけどさ、アイスエイジとか、マダガスカルとか、怪盗グルーとかはさ、いちおう一作目は普通にいい話を繰り出すんだけど、おそらくこいつらが本当にやりたいのはそういうことじゃなくてさ、シリーズを重ねるごとに、どんどん歌にダンスに下ネタにと、ナンセンスになっていってさ、一作目の感動返せバカ野郎ってなるのがいいよね。基本ギヤがあくまでもカートゥーンなんだよね。
 まあ、だからストーリーとかとりだてて、ここで語ることもないよ。だいたい笑いに意味を求めてはいけない・・・!
 なんか、こういう映画つい最近も見たな。・・・あ、マッドマックスだ。

「ケビン」
今作の主人公。ミニオン三兄弟では長男的ポジション。世話好きで、目立ちたがり。こいつだけは一応ミニオン文明の状況を把握している。
一作目ではミニオンってここまでスマッシュヒットする予定がなかったんだろうな、名前と形があってなくて、ケビンも今とは別のデザインだったし(デイブの形だった)、なんと作中ですらデザイン(髪型)が変わってた。つまり、テキトー。
実際一作目の設定では、ネファリオ博士がバナナと脂肪酸で合成した珍生物という設定だったしね。それが有史以前から独自の系統で進化を重ねてきた地球の生物だったとは。
しかしマーギュリスの細胞内共生説を、こんなバカアニメでアニメ化されるとは思わなかった。イギリスもそうだけど、向こうの笑いをやる人って意外とインテリなんだよな。

「スチュアート」
よく分からずに一行についてきた。とにかくやんちゃ。スプリンクラーをジャグジーではべらせる。流し志望なのか、ギターを背負っている。
その後、イギリスを救った功績を称えられスーパーメガウクレ~レを手に入れた。

「ボブ」
新デザインのちびっこミニオン。
一作目と二作目には登場しておらず、今作はグルーに出会う前の話ということもあって、私はてっきりこの子だけはスカーレットの方になついちゃって、だから一作目のミニオン軍団にいないんだろうな、と予想していた。でも普通にグルーの手下になっていた。
この映画に時系列の整合性を求めてはいけない・・・!
人を疑ったりせず純粋なところは、どことなくグルーの引き取った三姉妹のアグネスに似ている。ぬいぐるみ持ってるしな。

「ネルソンファミリーのパパ」
バナナマンの設楽さんが吹き替え。プロ並みにうまい(エンドロールで気づいた)。最近は芸能人の吹き替えもクオリティが上がってきて、かつてのような偏見はなくなりつつある・・・気がする。個人的には私は剛力彩芽さんでも行ける。

「ネルソンファミリーの息子」
バナナマンの日村さん。これは絶対に見た目でオファーしたに違いない。

「ナレーション」
ナショナルジオグラフィックのドキュメンタリー番組的に真面目で渋いボイスだが、なんと真田広之さんがやっている。前作のエル・マッチョにこの仕事を紹介された感がある。
しかも真田さんは、アメリカ本国版ではスモウレスラーの声も担当している。

「スカーレット・オーバーキル」
元ネタは『風と共に去りぬ』なのだろうか。イギリスの女悪党を天海祐希さんが好演。
前作の中島美嘉さんといい、ヒロイン役の人選がうまい。
なんかキャラクターの雰囲気が『アダムス・ファミリー2』のあのお姉さんに似ている。感電死はしなかったが、爆発の後、鶴瓶師匠に氷漬けにされた。あのシーンは燃えた。

 しかしこれで、私の夏は終わったな・・・なにを楽しみに生きていけばいいのでしょうか。あ、そうそう最近漫画の作業をやってるんだ。
 先日発掘された9年前の漫画をお盆休みをめどに公開する予定です。だから、ここで人の作品についてあれこれ言ってる場合じゃねえ。自分の作品を何とかしなきゃね。
 SGA屋さんは、クリエイターと評論家にはマリアナ海溝のような深い溝があるといったが、そりゃそうだ、やつらは産みの苦しみを知らねえ。まあ評論には評論の苦しみもあるのかもしれないけど。

中学3年生理科覚え書き

 なんか期間が空いちゃったけど、中学校三年生の理科をおさらい・・・と思ったんだけどさ、中学校三年って化学では電池、物理では力学、生物では遺伝、地学では天体を習うんだけど、地学の天体以外はすでに、このブログの何かしらの記事でまとめちゃってるんだよな。
 というわけで、まったくノータッチだった地学分野をメインにまとめます。なら天体覚え書きだろ!って感じなんだけど、シラヌ・ド・ゾンゼーヌ。

参考文献:京極一樹『中学・高校数学のほんとうの使い道』、高橋正征編『中学理科2分野の発展的学習』

化学変化とエネルギー
脱ゆとりでイオンが復活した。化学分解や電池、水溶液の性質(酸・アルカリ)をイオンの観点で捉える。
詳しくはこちらの記事を参照。

運動とエネルギー
ニュートン力学をかなりあっさり学ぶ。
脱ゆとりで、力の分解と合成(ベクトル)、てこや滑車などの仕事の原理が増えた。
詳しくはこちらの記事を参照。

科学技術と人間
カーボンファイバー、ファインセラミクス、発光ダイオード、吸水性ポリマー、クリーン発電など昨今話題となっている最新テクノロジーを学習する。
ほぼ雑学なので、学校の授業では生態学以上にぞんざいに扱われる。つーか、そもそも教えているのだろうか。

生命の連続性
遺伝の法則や発生を学ぶ。
この二つは、高校の生物になるとセンター試験の常連となるので、重要な伏線になっている。
詳しくはこちらの記事を参照。

自然と人間
生態系や環境問題を学ぶ。
私立高校受験には確実に間に合わない学習単元。学校の授業でもかなりぞんざいにされる。とはいえ受験で出題される可能性があるので、自主的な学習が求められる。
詳しくはこちらの記事を参照。

地球を取り巻く宇宙
天文学の学習範囲。お星さまは基本的に慣性の法則で同じオービットをくるくる回っているので、計算問題で求める値が相対的となり、かなり難しい。
現行の教科書では、冥王星あたりの宇宙の様子がいろいろわかってきたので、そういった最新研究もちゃんと踏まえてエッジワースカイパーベルトとかオールトの雲とか出てくる。
なんか、そんなものが出てくる漫画も描いていた気がする。

南中高度と緯度
星を見上げる角度で、自分が地球のどの位置にいるかわかるというサバイバル技。
ついでにこれを応用すれば地球の大きさもだいたいわかる。
太陽の南中高度(北半球の場合)は以下のように、その地点の緯度から計算ができる。

①春分・秋分

太陽の南中高度=90度-その地点の緯度

最も簡単に出せる。
これは春分・秋分の時、太陽光線が真横から当たるため。
よって北極や南極では太陽の南中高度は0度になって、なんと♪空に太陽が~な~い~(C)トコジョー

②夏至

太陽の南中高度=(90度-その地点の緯度)+23.4度

地球が太陽の方へ地軸の分(23.4度)傾く。
そのぶん太陽の南中高度は23.4度高くなる(北にずれる)。

③冬至

太陽の南中高度=(90度-その地点の緯度)-23.4度

地球が太陽とは反対の方へ地軸の分(23.4度)傾く。
そのぶん太陽の南中高度は23.4度低くなる(南にずれる)。


月は地球の周りを27.3日かけて一周している(つまり、一日あたり13.2度のペースで公転する)。しかも公転周期と自転周期がぴったり同じなので、月は地球にほとんど同じ面しか向けない。すげえ不気味。
ケプラーの法則によると月の軌道も楕円形であり、月が地球に最も近い時(この時さらに満月だとスーパームーンともてはやされる)、公転の角速度は最速になる(ケプラーの第二法則)。

皆既日食
かっこよく言うとトータル・エクリプスという。
太陽と地球のあいだに月が入っちゃって、太陽が全部隠れてしまう天文イベント。
日食は、月が新月(逆光)の日に起きるが、太陽の通り道の黄道と、月の通り道の白道に約5度のずれがあるらしく、必ずしも新月の時に起こるわけではないらしい。
ちなみに皆既日食中にだけ、太陽を取り巻くガスのコロナが肉眼で観測できる。
似たようなのでプロミネンスっていうのがあるけど、これは皆既日食の際に、月に隠された太陽の縁から立ち上る赤い炎を言う。
さて、皆既日食が起こるのは、地球からの見かけの太陽の大きさと月の大きさが絶妙に一致しているからである。
そこで、月と太陽の大きさと月と地球の距離から、地球と太陽の距離を相似の式から求めることができる。

月の半径を1.7×103キロメートル、太陽の半径を7.2×105キロメートル、月と地球の距離を3.8×105キロメートルとすると、

太陽の半径:月の半径=地球と太陽の距離:地球と月の距離

という式が立つので

月の半径×地球と太陽の距離=太陽の半径×地球と月の距離

地球と太陽の距離=太陽の半径×地球と月の距離÷月の半径

と、変形ができ、この式に、先ほどの値を代入すると

(7.2×105)×(3.8×105)÷(1.7×103

=(27.36×1010)÷(1.7×103

=16×107

=1.6×108

よって地球と太陽の距離は160000000キロメートルくらいということが分かる。遠い!

等級
古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスは、約1000個の星を観測し、その中で肉眼で最も明るく見える約10個の星を1等星、肉眼でかろうじて見える星を6等星としてランク分けした。
19世紀になるとハーシェルが、等級が1つ上がると明るさが2.5倍になることを発見し、その後ポグソン1等星は6等星の100倍明るく、さらに星の明るさは1等級あがるごとに100の5乗根倍だけ大きくなると定式化した。
ちなみに日本の夜空で最も明るい星は、おおいぬ座のシリウスで等級は-1.5等星。
マイナスってなんじゃら~~!!???ってかんじだけど、なにせ等級は古代に作っちゃったから、1等星よりも明るい星が続々見つかっちゃって豪快にバーストしちゃった。0等星も明るさゼロという意味ではなく、1等星よりも2.5倍明るい星ということ。

等級には実視等級と絶対等級の二種類がある。実視等級とはヒッパルコスの頃みたいに、地球から見た明るさで、見かけの等級とか眼視等級とも言う。
しかし地球から観測した場合の星の明るさは、その星と地球との距離によって左右されるので、本当はすごい明るい星でもめちゃくちゃ遠かったら暗く見える。
例えば、実視等級では同じ明るさの星でも、Aの星の方がBよりも100倍地球から遠かった場合、光の強さは距離の逆二乗で減衰するので、Aの星はBの星よりも10000倍強い光を放っていることになる。
そこで、すべての星を地球から同じ距離(32.6光年=10パーセク)に並べたと仮定した場合の明るさを絶対等級という。

実視等級と絶対等級は以下の式で変換することができる。
M:絶対等級
m:実視等級
d:星空のディスタンス(距離)のd。ただし単位はパーセク(pc)。

M=m+5-5logd(※ただし底が10の常用対数)

すると、実視等級では-27等星のわれらが太陽はどうなるかというと、太陽と地球の距離は、さっき求めたとおり、1億6000万キロメートルとすごい遠いのだが、これをパーセクという天文単位に換算すると、約0.000005pcとすごい小さくなってしまう。
ちょっと嫌な予感がするけど、これを先ほどの式に代入すると・・・

M=-27+5-5log0.000005

≒-22-5×(-5.3)

=-22+26.5

=4.5

となり4等星くらいに降格してしまう(厳密に計算すると4.8等星らしい)。

恒星のスペクトル
夜空の星には色々な色があるが、これはその星の温度を表している。温度が低いと赤い光、温度が高いと青白い光を出すようになる。
以下にスペクトル分類をまとめる。

M型(赤。表面温度3900℃以下):アンタレス、ベデルギウス
K型(オレンジ。3900~5300℃):アルバデラン、アークトゥルス
G型(黄色。5300~5700℃):太陽、カペラ
F型(レモン。5700~7300℃):北極星
A型(白。7300~9600℃):シリウス、ベガ
B型(水色。9600℃~):リゲル、スピカ
O型(青。30000~51000℃)太陽の光度の100万倍も輝く宇宙でもすごいレアな星(数千億個中たった2万個しかない)。

年周視差
遠い角度にある物体は二つの場所から眺めると、その物体のアングルは当然変わる。この違いによって物体までの距離を求めるとき、二つの場所同士をつなぐ線を基線、二つの場所と物体の場所をつないだ時にできる三角形の角度の大きさを視差という。
地動説の証拠が欲しかったコペルニクスは、これを応用して地球から遠い星の距離を求めることができると考えた。なぜなら、地球は公転をしているので、地球の近くにある恒星のアングルは、それよりも遠い恒星に対して、一年を一周期としてわずかに変化するはずだからである。
そこで、地球の公転半径(1AU)を基線にした時の視差を、その恒星の年周視差とし、地球と恒星の距離rを求めると、距離rは年周視差pが小さくなるほど大きくなり、だいたいpが1”(1角度秒。長さ1センチの物体を2キロ離れたところから見たときの角度=1/3600°)でrは3.26光年になる。
しかし最も太陽系から距離が近い恒星であるアルファケンタウルス座α星ですら、年周視差は1”を切り(0.755”)、距離は4.3光年となる。
ちなみに、1パーセクは年周視差1”に相当する距離3.26光年のことである。

距離d=3.26/年周視差(光年)=1/年周視差(パーセク)

年周光行差
雨の日に走っている車や電車の窓から外を見ると、垂直に降っている雨も斜めに降っているように見える。これは地球が公転しているため、恒星から放たれる光にも言え、この角度のズレを光行差という。
光行差は、同じ方向の恒星なら地球との距離によらず同じ角度になる。
ちなみに、光行差qは地球の公転速度vに比例して大きくなるため・・・

公転速度v=光速度c×光行差q

これを計算すると、光行差は20.5”になる。

ドップラー効果
音や光などの波の波長は、接近時は短く、遠ざかるときは長くなる。そのため恒星が放つ光の波長も、地球がその恒星に近づく際には本来の波長より短く、遠ざかる際には長くなる。
これは地球が公転をしている証拠となっている。

視太陽時
太陽が南中してから翌日に南中するまでの時間。
しかし、地球の公転速度は公転軌道が楕円であるため、一定ではない。さらに地球は23.4°傾いたまま公転しているので、赤道と黄道も一致していない。
よって天球上を太陽が動くスピードも一定ではなく、視太陽時も変動してしまう。

平均太陽時
そこで、赤道と黄道が一致し、等しいスピードで動く仮想の太陽(平均太陽)を考えて、この太陽が南中してから次に南中するまでの時間を1太陽日とし、その24分の1を1時間、その60分の1を1分・・・と時刻にしたものを平均太陽時という。

均時差
視太陽時と平均太陽時との差。

世界時
ロンドンのグリニッジ天文台の平均太陽時。
しかし経度によって太陽の南中時刻は異なるために、国や地域ごとにそれぞれ標準時が定められている。アメリカなど幅が広い広大な国家は、同じ国に4つの異なる標準時(タイムゾーン)があり、東海岸と西海岸の時差は3時間もある。

原子時
かつては地球の自転や公転に基づいた天文時が使用されていたが、現在では原子のスペクトル線を用いた原子時を使って正確な時間をはかっている。
しかし地球の自転の回転速度は、潮汐によって発生する海水と海底との摩擦力がブレーキになって、徐々に遅くなっているので(=一年の日数が減っている。4億年前は一年400日だった)、原子時との差が離れないように、地球の自転速度を正確に観測しながら、必要に応じて原子時を補正している(うるう秒)。

太陽暦
太陽を基準にした暦。具体的には、春分の日から、翌年の春分の日までの時間(一太陽年)を基準にしている。
一太陽年は、正確には365日よりもちょっとだけ多く、365.2422日なので、端数の0.2422は4年で約1日のズレを生んでしまう。
そこで、4年に一回、一年を366日にするうるう年を作って、誤差をリセットする。
それでもまだ割り切れない+0.0078日のズレは、400年で97回のうるう年を置くことで、400年間の一年の平均日数を365.2425日としている(でも割り切れず、結局400年で3時間のズレが残る)。
現在採用されているグレゴリオ暦では・・・

①4で割り切れる年をうるう年とする。
②ただし4でも100でも割り切れる年はうるう年にしない。
③しかし4でも100でも400でも割り切れる年はうるう年にする。


この3つのルールで400年で100回あるはずのうるう年の回数を3回減らしている。
最近では2000年が①でうるう年なんだけど、②でうるう年じゃなくて、でも③でやっぱりうるう年という、うるう年だった(ややこしすぎる)。

惑星の視運動
天球上の恒星は星座の中でお互いの位置関係を変えることはないが、金星や火星はこれらの恒星のあいだを行ったり来たりして、さ迷っているように“見える”ため、惑う星、惑星と名付けられた。
惑星が行ったり来たりしているように見える理由は、地球と惑星の公転の周期が違うからである。
惑星は、太陽の周りを地球と同じ向きに公転し、しかもその軌道の角度は地球の起動とほぼ一致しているため、惑星は常に黄道付近に見られる。

順行
惑星が天球上を太陽と同じ向き(西→東)に移動すること。

逆行
惑星が天球上を太陽と逆向き(東→西)に移動すること。


順行から逆行、逆行から順行に移行するとき、惑星の視運動がほぼ止まって見えること。

内惑星
地球よりも内側の軌道を持つ惑星。
内惑星が地球に最も接近することを内合(太陽の手前に来る)、地球から最も離れることを外合(太陽の後ろに来る)というが、どちらも太陽のせいで地球からは見えない。
内惑星が太陽から最も離れて見える時の角度を最大離角という。金星ではだいたい45°である。太陽光の影響が少ないため、この時最も金星は観測しやすい。

外惑星
地球よりも外側の軌道を持つ惑星。
地球から見て外惑星が太陽の方向にある時を、太陽と反対側に来ることをという。

会合周期
内惑星の内合から次の内合まで、外惑星の衝から次の衝までの時間のこと。
金星では584日、火星では780日である。
地球と惑星の公転周期が違うため、会合周期Sを求めるのはかなり難しそうだが、以下の考え方(旅人算に近い)で求めることができる。
惑星の軌道をサーキット場として、公転周期が短い惑星を速いカート(速度v1)、公転周期が長い惑星を遅いカート(速度v2)と考える。
レースがスタートし、この二つのカートが再び並ぶ時は、速いカートが遅いカートを一週抜かしにする時だけなので、その時の時刻をtとすると、速いカートの道のりはv1×t、遅いカートはv2×tになる。
この時、速いカートは遅いカートに比べてちょうど一周分だけ多く走っていることになるので、遅いカートの道のりに一周分の距離(サークルのCとする)を足さなければ、二つのカートの道のりは一致しない。つまり・・・

v1×t=v2×t+C

この式を変形して

(v1-v2)×t=C

よって、周期が速い惑星の速度から周期の遅い惑星の速度を引いた数に、一週抜かしされた時の時刻t(=会合周期)をかけると、ちょうどサーキット一周(=360°)になることがわかる。

①内惑星の場合
内惑星は地球よりも公転周期が短いため、内惑星が一日に公転する角度(=360°÷内惑星の公転周期P)から、地球が一日に公転する角度(=360°÷地球の公転周期E)を引いて、会合周期Sをかければ、ちょうど360°になるはずである。

(360°/P-360°/E)×S=360°

この方程式の両辺を360で割って等式変形すると・・・

1/S=1/P-1/E

この式に地球の公転周期1年、金星の公転周期0.62年を代入すると、S=1.6年になり、ちゃんと584日になる。

②外惑星の場合
外惑星は地球よりも公転周期が長いため、さっきの式のPとEの関係を逆にすればいいので・・・

(360°/E-360°/P)×S=360°

1/S=1/E-1/P

ケプラーの法則
ケプラーは16~17世紀のドイツの天文学者。師匠のティコ・ブラーエの膨大な観測データから惑星の軌道と運動に関する三つの法則を導き出した。

①第一法則(楕円軌道の法則)
惑星の軌道は、太陽をたった一つの焦点とする楕円である。

②第二法則(面積速度一定の法則)
一定時間公転した惑星の軌道と太陽とを結ぶ線分が囲む面積は等しい。

③第三法則(調和の法則)
公転周期Tの2乗と、楕円軌道の最も長い半径aの3乗は、どの惑星でも比例する。
したがって・・・

3=K・T2(※Kは比例定数)

この美しい調和の法則は、小惑星のケレスと準惑星の冥王星にも当てはまる。
ケプラーは観測のみから、この三つの法則を見つけたので、なんでそうなるかは説明できなかった。
そのため、楕円軌道の法則はなんか美しくないとギリシャ哲学の人たちの受けが悪かったが(ギリシャ哲学において最も完全な図形は円だった)、この約半世紀後、ニュートンが万有引力の法則によって数学的にケプラーの法則を証明し、決着は付いた。
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