ゼロ・グラビティ

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 3D酔い注意☆☆☆☆☆」

 結果はどうあれ、これは最高の旅よ。

 見た人こぞって大絶賛&「映画館で見ろ」の『ゼログラビティ』をやっと鑑賞。
 せっかくJAXAや若田さんたちが安心!安全!の楽しい宇宙旅行を啓蒙しているっていうのに、ワーナーブロスはなんて映画を撮ってしまったのでしょうか。個人的には『ジュラシック・パーク』以来の純度100%のサスペンス映画!こういう映画久々に見たなあ。スピ監督最近こういう怖い映画撮らないから。
 そんなわけで、まあ~恐ろしい映画です。宇宙に漂流って言ったって、地球の軌道上をちょろっと船外活動しただけなんだけど、宇宙のどこであれ人間は裸一貫じゃ生きられないわけで、結局果てしない宇宙が舞台でありながら、すっごい息苦しい閉鎖的な感覚を味わえます。
 『ショーシャンクの空に』で囚人が「太平洋?おっかねえよ、そんなでっかいもんは」っていうセリフがあったけど、「周回軌道?おっかねえよ、そんなでっかいもんは」って感じです。

 まあ、もともと私は飛行機にすら乗れない臆病者・・・というかテクノロジーに意外と不信を持っているので、こんな映画見なくても、宇宙がいかに怖いのかを『アルフ』で学んだし(「宇宙?何もなくて・・・寒いのよ。」のセリフ)、なによりいま執筆している作品が宇宙を題材にしているから、取材しながら「こんなとこ行きたくないよな~」って思ってました。
 宇宙って美しいんだけど、圧倒的な虚無なんだよね。人間以上の神の領域というか。あ、ちょっと生命の皆さんは立ち入り禁止なんで・・・感がw
 とはいえ、この映画の大惨事の原因は宇宙そのものにあるんじゃなくて、『ジュラシック・パーク』同様、典型的な人災で(ロシアは反省するように)、超高速で飛んでくる宇宙ゴミがとにかく怖い。もう宇宙の暴走族ですよ。奴らの登場シーンはパラリヤパラリヤ~が脳内で再生されてしまった。すっごい元気よく飛んでくるんだ、またwで、スペースシャトルも国際宇宙ステーションもまるで紙袋のようにグシャグシャに叩き潰しちゃうからね。

 さらには、宇宙じゃないと絶対お目にかかれない死体とか出てくるし(アンドロメダ病原体以来の衝撃映像)、理科の授業で見せたら、作用反作用の法則と慣性の法則は、いろんなトラウマと共にばっちり植え付けることができると思う(^_^;)教材用として買っちゃおうかしら。つーか無重力だと火ってああやって燃えるんだね。
 そんな感じで、宇宙の描写が、実際どこまで正しいかは若田さんや毛利さんに聞くとして、とにかくリアルなんだけれど、この映画で興味深いのは、恐怖を与える効果を最も担っていたのが、宇宙では聞こえないはずの「音」であったということ。
 ホラーって結局、音響がものを言うところあるじゃないですか。実際スピ監督の『宇宙戦争』もテレビ放送よりも映画館で見たほうが音がすごいから、3倍増しで怖かったし(初見ってのもあったけれど)。だから、この映画は無重力映像体験が取り沙汰されているけれど、音の使い方がとにかくうまいなあって思いました。

 晴れときどき、衛星の破片ね。

 宇宙ゴミで思い出すのが、ピクサーアニメの『WALL・E』だけれど、『WALL・E』と『ゼログラビティ』の共通点って、消火器で宇宙遊泳可能ってところだよね。ジョージ・クルーニーも船外活動の時、無駄に宇宙遊泳で遊んでないで、消火器の一つや二つ確保してれば、エネルギー切れにならなかったのになw
 んで、違うところ。宇宙船で宇宙ゴミを吹っ飛ばせない。この宇宙ゴミの問題は、70年代くらいから言われていて、宇宙から帰ってきた宇宙船の船体にボコボコの傷がついていたことから問題視され始めた。今回の映画は、爆発した衛星の破片なわけだから、相対的な速度が半端なく、しかもサイズもでかいので、あんなのが実際に増えちゃったら、もはや人類は地球から宇宙へ出れなくなるんじゃないか?って気もするんだけど・・・まあ、別にほとんどの人は出たくないと思うけど(この映画でそんな人は確実に増えた)。
 ただピンボールのように連鎖反応をした宇宙ゴミが他の衛星やステーションを破壊しちゃうのははた迷惑な話だ。ロシアは猛省しなさい!
 でさ、宇宙ゴミにも何かいいところはないものかなあって帰りに考えてみたんだ。そして思いついた。未来、宇宙から異星人が侵略してきて、いざ宇宙船を地球へ着陸させようとしたとき、高速移動する宇宙ゴミが船にぶつかって「げっなんだこれ!?バリヤーか!?フフフやるな地球人」って撃退して…くれないね。

 しかし、この映画って大作映画には珍しく、登場人物もほとんど二人しかいないんだけど、サンドラ・ブロック演じる医学博士の心理描写が、まるで『2001年宇宙の旅』のデビット・ボーマン船長のごとく、丁寧かつ哲学的に描かれているということ。インナースペースとはよく言ったもんだ。
 サンドラ・ブロックが地球でどういう生活を送っていたのか、そういうシーンは直接的には描かれず、宇宙でのジョージ・クルーニーとの会話で触れられるだけなんだけど(彼女の技術のくだりも完全なマクガフィン)、その断片的な情報の散りばめ方が上手で、彼女が自分の人生を虚無的に送っていたことがわかる。彼女を愛してくれる人は、もう地球にはいないのだ。

 誰か空を見上げて、君を想っている人はいるのかい。

 でも、生還が絶望的な宇宙で、何度も死ぬ思いをしながら驚異的な悪運で(本当どんくさいんだ、この人w普通なら5回死んでます)命をつなげた彼女は、徐々に自分の生き方を悔い改め、過去を受け入れ、神に祈り、時には犬のモノマネをし、自分の人生を肯定できるようになる。そう言う意味で、本当哲学的な寓話になってるんだよね。
 自分の人生、とりわけ死というのは、いくら人のせいが得意な人でも、他の人に押し付けることはできない。彼女を最後まで支えてくれたジョージ・クルーニーが、またかっこいいんだけど、クヨクヨして自分をいくら哀れんでいても、悲しい経験や過去はどうにもならないんだ。どこかで、そんな自分を受け入れるしかない。
 『あなたが死んだら私は悲しい』という、去年のクリスマスに届いた自殺の本では、突然末期的な病気を宣告され、余命もない人がどうやって死と向き合うか、受け入れるかについて、このように書いてある。それを引用して、今回は筆を置いてみたい。

 私の友人の女性が重い病気にかかりました。子育ても一段落し、仕事に復帰した日に、自分がいのちに関わる病気にかかっていることを知ります。彼女はもがき苦しみます。体の痛み、治療の困難さと、そして自分がなぜこんな病気になったのかという思いに苦しみました。妻として母として職業人として、さあこれからというときにになぜこんなことになったのかと。
 しかし、クリスチャンであるこの女性は、なぜ病気になったのかという疑問から抜け出し、何のために病気になったのかと考え始めます。そして、闘病生活の中での思いを、当時ようやく普及し始めた電子メールをとおして人々に伝えました。彼女は最期まで愛と感謝を人々に伝え続けたのです。私自身を含めて、どれほど多くの人が彼女から励まされたことでしょうか。
 「なぜ」という疑問から、「何のために」という積極的思考へと発想を変えることで、彼女は自分の人生に意味を見出したのです。
                    ――『あなたが死んだら私は悲しい』101ページ

プレーンズ

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 ボクは証明したいんだ。決められた仕事以外のこともできるって。

 言うまでもなく『カーズ』のスピンオフ作品。スピンオフだけで長編アニメができちゃうのって、なにげにピクサーでは初のような気がする(あったっけ??)。まあ、なんにせよ生粋の自動車オタクのジョン・ラセターさんお気に入りのシリーズであることには間違いない。
 今回もちびっ子おいてけぼりのマニアックな内容盛り沢山だ。全世界の航空ファンは必見!今すぐ劇場へテイクオフ!(つーかマニアック過ぎてセリフのネタがわからん

 ストーリーは、飛行機たちが世界一周レースをするっていう、言ってみれば『カーズ2』のワールドグランプリの飛行機版って感じなんだけど、とんでもなく複雑な脚本構造をしていた『カーズ2』に比べるとかなりシンプルで(あっちは同時にスパイ映画もやってたからw)、キャラの掘り下げもそこまで深くはない。主人公の農薬散布機ダスティも普通にいいやつで、ピクサー的な子ども向けとは思えないアダルティな葛藤もない(とはいえイギリスを助けるシーンで泣いたけどな!)。
 また、『カーズ2』で主人公のレースのライバルだったフランチェスコ・ベルヌーイと違って、『プレーンズ』のダスティのライバル(リップスリンガー)は本当にイーブル。まさにディズニーヴィランって感じ。ピクサーではチック・ヒックス以来、最近お目に掛かってないくらいの清々しいほどヤな奴w
 
 キミはいいやつだな。いいやつってのは勝てないんだ。
 部品を変えたってお前であることに変わりはない。


 そこらへんはやっぱピクサーよりはディズニーに重心があるんだろう(※この映画ピクサー作品ではないのだ!)。

 とはいえ、この映画はストーリーやキャラに割く時間を、飛行機が優雅に飛行する映像に割いていて、とにかく爽快!
 つーか、空を飛ぶ描写が指数関数的にすごくなってってないか、あっちのアニメは。こっちの映画館では3D上映がやってなくて、激しく後悔したぞ私は。
 だから、二回目だけど、このアニメ、航空オタクは劇場で見なきゃ絶対後悔する。つーか見なさい。これを見なきゃ航空オタクじゃないよ!

 お前らまさか美少女に擬人化してなきゃ見ないってわけじゃないよな!?

 さらに『カーズ』よりもミリタリー成分も多くて、退役軍人の戦闘機スキッパーの過去の回想シーンとか「あれ?『永遠の0』観に行ったんだっけ?」って思うほどリアルでゾッとする(敵は日本軍なんだろうな)。
 現代の航空母艦の描写もすごいし(空母に戦闘機がどうやって離着陸しているか、かなり鮮明にわかるよ!)、何よりディズニーのオープニングから航空無線が入ってかっこいい!

 もうちょっと深読みすると、これって万国の労働者よ頑張ろう的なメッセージのある映画なのかもしれない。広い空を自由に飛べるのに、同じ町で同じ仕事を繰り返す農薬散布機が、勇気を出して無謀とも言える世界レースにチャレンジする。
 そして多少ギャグめかしてはいたけど、その挑戦は命をかけたものなんだよね。

 安心しろって。ヒマラヤ山脈は酸素が薄いから、墜落しても爆発しない。

 実際、ダスティは何度も死ぬような経験をして、そして最後は体中を壊してしまった。最初は農薬散布機の参戦を馬鹿にしていた人たちも、そこまでして飛び続ける彼のとんでもない勇気に次第に力づけられていって、手のひらを返したかのように応援し出すというw
 どんなところでもさ、何に不満があるのかわからないけれど、人や社会の悪口ばっかり言っている人っているんだよね。天下一のやじ将軍というかw
 でも、そう言う人に限って、いや、だからこそ、自分自身は何かに挑戦もしなければ行動も起こさなかったりする。そう言う意味で、やじ将軍は、すっごい自分に自信がなくて、臆病な人なのかもしれない。
 でも、そう言う人も、命懸けで何かに挑戦する人をバカにはしないだろう。いや、口では野次を飛ばすかもしれないけど(それが将軍の仕事・・・!)、やっぱり内心はなにか熱いものを感じ取ってるんじゃないのかなあ。

 頑張っている人を馬鹿にするのは簡単。でも実際に自分が行動を起こすのはとっても勇気がいる。だから、実際に行動を起こせるってだけで、チャレンジャーは、起こせなかった人たちにとってのヒーローに違いない。
 昔のアメリア・イヤハートやタスキーギ・エアメンなんかも、多くの女性や黒人の人たちに勇気を与えたんだろうなあ。
 そしてダスティの冒険にエネルギーをもらって、ほとんどの労働者は、明日の労働を頑張り、数%の人は「オレも挑戦する!」と、勘違い&無謀の可能性があるチャレンジをするのだろう(^_^;)
 努力したって無理なものは無理という現実をしっかりと描いた『モンスターズ・ユニバーシティ』と比較して、この風のようにさわやかな映画を鑑賞するのも楽しいのかもしれない。

 さて、この映画で一番驚いたのは、続編の『プレーンズファイアー&レスキュー』の告知を本編上映前に観せられたことw「おいおい一作目もまだ見てねえよ」って(^_^;)ちなみに来年の夏公開。ダスティーが森林火災を食い止める!

佐倉統さん語りですごい展開

 中学時代からファンだった生物学者佐倉統さんがツイッターをやっていた。そしてそのツイートがかなり面白い。某漫画や某番組をばっさり切っていたり、著作では味わえない毒舌?ぶりが味わえる・・・と思ったけれど、著作でもまたに毒が滲んでいた(^_^;)
 さらに今日、本人についミーハーなメッセージを送りつけ、返信をもらってめちゃくちゃ嬉しかったので、ちょっとだけ佐倉統さんについて語りたい。

 佐倉先生は、東大で心理学を学んでいて、その後京都大学で霊長類の研究をされた学者さんで、専門は進化生物学。でもこの人のなにが凄まじいかかって、論考する対象の射程の広さ。文理融合というか、とにかくバランス感覚がすごい。
 科学史や科学哲学、文明論までひっくるめて、その本質をバシっと鋭く、時に大雑把に語り倒してくれるのが、アクロバットかつスリリングで最高。『ロストワールド』※原作版で言うならば、ディティールを重要視するレヴィン博士タイプではなくて、「オレの神は本質に宿るんだ」というマルカム博士型。
 
 で、とにかくどの本も面白いけれど『進化論の挑戦』が個人的にはフェイバリット。科学と政治は相容れないとか、結局科学は政治的思惑や経済的合理性にはかなわないという考え方もあるけれど、この本は真逆。環境問題やジェンダー問題といった政治的な諸問題を圧倒的科学理論で飲み込んでしまう。
 ここら辺の考えの中核は、E・O・ウィルソン博士なんだろうけれど、とにかく文章が卓越していて、難解で抽象的な話にバシバシイメージが与えられていく。その文章力がとりわけバーストしたのが第6章で、カントの『純粋理性批判』の大雑把なイメージをつかむ上で、この本以上に上手な文章を私は知らない。
 哲学的にどう考えても強大なアポリアである、鏡の裏側問題を、カント以降の生物学者がどうのように研究していったか、また、そこから話はフロイトに飛び、「神は心のウィルスだった」という中原英臣先生もびっくりの仮説にたどり着く。ミームや進化心理学だ。
 近年、政治も経済もゲーム理論で解釈しようとする流れがあるらしいけど、この世界で最も歴史が長いライフゲームは進化と生存競争だ。だから、佐倉先生は最語にこう締めくくる。

 「日々の暮らしに進化論!進化論のある生活!」

 私生物学の本でここまで爆笑したことはないよw
 とにかくとんでもなく面白い本で、最初のバージョンは絶版なんですが、確か文庫版は現在も売っているので、クリスマスプレゼントに悩む親御さんたち、可愛い我が子には是非この本を!各チャプターの終わりのリチャード・ドーキンスやエドワード・ウィルソン、マイケル・ルースさんらの人となりがわかるおまけも面白いです。
 ただ文庫版は表紙のサルがトラウマ並みに怖いっす(^_^;)
 
 さて、自分が佐倉統さんを知ったのは今から16年前で、『この素晴らしき生き物たち』という荒俣宏さんとの共著になる。この本の対談で、「人工生命の理論で言えば、0と1、つまり存在しないと存在する、の差は大きい。そして1と2、つまり複数存在するの差もまあ大きい。けれど、2以降はあまり変わらない」という話があった。
 だけど、最近なにげに「2と3の差も大きいんじゃなかろうか」って思うようになってきた。3って数字ってなんか、政治力学的にはすごい面白いと思う。安定感があるというか、パラドキシカルというか。

 コンドルセの投票のパラドクスって話があって、なんとまあ、選挙において二つの大きなイデオロギーの対立ならともかく、政策争点が多様化し、3つ以上になると、投票行動に重大な矛盾が生じるという。これは実は現行の中学校公民の教科書にも名前は出てこないもののちょっと触れられている。
 例えば、政策争点が3つあって、政党も3つ。各政党がそれぞれの争点において最も支持が高かった場合、どの政党が最も与党に望ましいかが判断できない。
 ほかにも、A党が40%の支持で与党になっても、B党、C党の支持者の合計、つまりアンチA党の人は全体の6割もいることになり、多数派が正しいという多数決の原理も覆る。
 こういう話を証明したのが、アローの一般可能性原理なんだけど、こんな話を中学生にさりげなく解説しちゃうのが池上魂。そう、公民の教科書、池上彰さんが関わっているんですよね(^_^;)となると、今の国民が、選挙って本当に意味あるのって、投票権を放棄しちゃうのもある程度の合理性があるのかもしれない。

 また、こういった三すくみの状態を、強固であるべき政治の基盤においた、モンテスキューの理論(権力分立)はやっぱり天才的だと思う。流動的に動くべきではないものにおいては3という数字は、かなり使い勝手がいいのかもしれない。3を2にしてしまった時、もしかしたら予測のつかない政変が起きたり。
 天文学でも三体問題っていうのがあるらしいし、だいたいイスの脚だって2本じゃ立たないからね。3本からやっと立つからね。でも脚の形を変えれば1本でも2本でも立つか。・・・立つか!

 脱線しましたが、まあ、カンブリア紀の生物をライフシミュレーション的にどう考えるべきかの本な、わけです。
 すっごい昔の本になっちゃったけど、当時としてはアナクロな印象のあった生物学をデジタルに捉えてて、やたらかっこよかった思い出があります。
 ドーキンス博士の『利己的な遺伝子』もそうだったけど、多分DNAが割とデジタル情報だったからなんだろうなあ。佐倉先生語りおしまい!

 ・・・以上のような連続ツイートを投下したんですが、そしたらなんと佐倉先生ご本人がフォロー&ダイレクトメールでいろいろお話をしてくださって(科学者はマルカム博士みたいにマッドであるべきである!とかw)、私はもう赤塚不二夫先生以来の、近年稀に見る幸せを感じました。だって佐倉統だよ?サイエンスゼロ(NHKの科学番組)で安めぐみさんと共演しているような人だよ!?
 しかも佐倉先生ってこの前、うちの地元に講演でやってきたらしいんですよ。くそ~佐倉先生のツイッターアカウントをあと一日早く見つけていたら・・・有給をとって会いに行ったのに! 
 とにかく佐倉先生ありがとうございました!これからも先生の本を買ったり、読んだりして応援しております!すごい気さくな人で更にファンになったよ、あたしゃ。

第一次世界大戦(への流れ)覚え書き

 中学校の歴史では「サラエボ事件で起こった」くらいしか書かれてないワールドウォー1ですが、改めて勃発してしまった事情を調べてみると、長編少女漫画レベルに外交関係がすんごい複雑!
 もうヨーロッパ全土がアウトレイジビヨンドになってて、昨日の友は今日の敵当たり前。5~10年スパンで味方が敵になり、敵が味方になってて、すっごいややこしい。全員敵国――本当に悪い国はどこだ!?
 そこで、当時の流動的かつ不安定な世界情勢をせっかく調べたので、ここに書き残しておこうと思います。

 しかし思い返せばドイツって私、自分の創作物で取り上げたことないなあ。様々な国籍の人が出てくる『ソニックブレイド』にもドイツ人は出てこないし、世界各国を調べた・・・つもりの『80日間宇宙一周』でもドイツっぽい惑星は出なかった。
 意外とこの時代のドイツってドイツ艦隊協会とか作っててミリタリーマニアにはたまらない状況だったので(その名もズバリ、ミリタリズム※マジです)、80日~の番外編として金星かなんかをドイツにして書いてみるってのもありだな。本当は内惑星は太陽との距離が近すぎて、国家がないって設定だったんだけど(^_^;)

 なんでにわかにドイツのことを話しているかというと、もうWW1ってドイツを基準にしなきゃ外交関係とかが整理できなかったんですよ。ドイツというか、ビスマルク首相だよね。あの人のビスマルク体制を押さえることから、はじめよう、と。
 でも、今みたいに社会の先行きが不安で、どう考えてもこれからこの国は成長なんてしないよなあって雰囲気で平和が続くのと、WW1開戦前夜みたいに、これから私たちの国はどんどん成長するぞ!って希望に満ち溢れて戦争に突入するのどっちがいいんだろうね・・・絶望の平和か、希望の騒乱か。

 ビスマルクは、ドイツの工業化をどんどん推し進めていった人で(産業保護政策)、増大した労働者に対して、社会保障なんかもやっていた(労働者に対するアメとムチ)。社会権といえば、第一次大戦後のドイツのワイマール憲法が出てくるけど、実は19世紀からそれに近いことはやっていたという。
 なにしろ社会主義が盛り上がってたし。とはいえビスマルク自身は社会主義者を取り締まっていた。皇帝が狙撃されたりしたから。あれ、日本でもこんな事件あったよね。

 この頃のドイツ帝国のライバルといったら、もう、フランスって考えていいと思う。ドイツがまだプロイセンだった頃、フランスとは戦争をしており(普仏戦争)、そこで敗北を味わったフランスはドイツに対してリベンジに燃えていた・・・
 その恨みは凄まじく、あまりにドイツにムカついてクーデター寸前までになったらしい(ブーランジェ事件)。なによりも、ドイツとフランスはアルザス・ロレーヌ地方という領土問題があって、フランスはとにかくここを奪い返したかった。
 こういう状況で必ず起きるのが、いじめの王道仲間はずれ。ドイツはフランスを孤立させるために、アフリカの植民地問題でフランスとギクシャクしていたイギリスと友好を結ぶ。
 イギリスはアフリカを縦断したかったけど、フランスは横断したかったからだ(^_^;)

 んで、こっからややこしい。ドイツにとって最悪の状況は、西のフランスと東のロシアを同時に敵にすることだ。こうなっちゃうと、地理的に敵国にはさまれちゃうことになるので、フランスと絶交している以上、ロシアだけは敵に回したくなかった。
 そこでビスマルクは1873年に、ロシアとオーストリアとで三帝同盟を結ぶ。この三国の共通点は共に皇帝がいて、社会主義の盛り上がりに強い警戒感を持っている点だ。
 しかし、この三帝同盟が、めっちゃきな臭い。そもそもスラブ系のロシアと、ゲルマン系のオーストリアは民族主義的にすごい仲が悪くて、バルカン問題でもめていた。
 ドイツはゲルマン民族の国なので、イデオロギー的にはオーストリアと親しいんだけれど、戦略上、オーストリアと敵対するロシアとも友好関係を結ばなければいけなくなった。
 ちなみに、この全世界のゲルマン民族よ立ち上がれ!的な思想を、パン=ゲルマン主義といい、ドイツ帝国による世界征服という野望を叶えるために、すっごい軍備を増強させていった。これをミリタリズムという(艦コレやっている人覚えるように)。

 ビスマルクは敵対する両国に板挟みになりながらも、誠実なる仲介人を買って出たが、こんな二枚舌がうまくいくはずもなく、お前オーストリア贔屓してるだろ、とロシアに不満を持たれて三帝同盟はわずか5年で崩壊した。
 その翌年の1879年、ドイツはオーストリアとの二国で独墺同盟を結び、81年には維持と執念でバルカン問題を調整し、もう一度三帝同盟を復活させる。

 1882年には、チュニジアを取られてフランスと仲が悪かったイタリアを仲間に入れて、ドイツ、イタリア、オーストリアの三国同盟を結ぶ。いや~やっと教科書レベルの奴が出てきた!
 でも、やっぱりロシアとオーストリアはどうやっても仲良くなれず、二回目の三帝同盟も87年位は崩壊した(今度は6年続いた(^_^;)
 もうこうなると、ロシアとオーストリアは絶対に手を組まねえやって思ったドイツは、ロシアとの二国間で87年に再保障条約を結び、なんとかロシアを敵にすることだけは回避しようとした。再保障条約とは、ロシアとオーストリアがバルカン問題で戦争を始めたら、ドイツはどっちの肩も持たないと約束した、すっごい怪しい中立条約だ。
 以上のドイツの片岡刑事ばりの駆け引きをビスマルク体制と言う。

 しかし事態は急変する。1888年にドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が亡くなると、バルカン問題で綱渡りの現状維持をしてきたビスマルクは、ドイツ帝国ガンガンいこうぜ的な新皇帝ヴィルヘルム2世と対立し、失脚。
 ロシアとの再保障条約は、どう考えても三国同盟と矛盾するだろという理由で、更新打ち切り。2世は義理堅かったらしい(うそ)。
 これを受けて、91年ロシアはフランスと接近(露仏同盟)。ついにビスマルクが最も恐れていた事態、両隣を敵に囲まれることになった(ビスマルク体制崩壊!)。

 国家増強を目論むドイツは、友好関係を結んでいたイギリスに対抗して3B政策を実施する。これは坂本先生のクラスのことではなく、ベルリン、ビザンチウム、バグダードの3つのBを鉄道で結ぶもので、イギリスの3C政策の・・・パク・・・パクリだった。
 イギリスは、ドイツに危機を感じ、敵の敵は味方的な論理で、1904年アフリカ植民地でもめていたフランスと同盟を結んでしまう(英仏協商)。
 さらにその三年後、イギリスはロシアとも接近、英露協商を結ぶ。これは日露戦争で負けちゃって弱体化したロシアがイギリスに交渉を持ちかけて成立したという。
 これにより、イギリス、フランス、ロシアの三国のトライアングルが完成し、三国協商となった。

 ここまできて、やっと教科書で習う、三国同盟VS三国協商の構図になるんだけど、実は同盟国側のイタリアは第一次世界大戦直前に「未回収のイタリア」問題でオーストリアと関係が悪化し(お前らええかげんにせえよ)、オーストリアと組むくらいならフランスのがマシだってなったので、三国同盟は事実上、ドイツとオーストリアの二国同盟だった。オーストリア人望なかったのかなあ(^_^;)

 ドイツ。わたしのたった一人の友達。

キャプテン・フィリップス

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 疲労効果☆☆☆☆☆」

 キミは漁師じゃない!キミは漁師じゃない!!

 ついに2013年も、残りひと月ですよ・・・ひええ。まあいいや。あのオバマ大統領も絶賛した、ソマリアの海賊によるコンテナ船船長人質事件の映画。イエス・ウィー・パイレーツ。
 しっかし、この監督さんの映画は面白いし、取り上げるテーマも好きなんだけど、とにかく観終わったらクタクタになる(^_^;)もう人質から解放されたることフィリップスのごとし。
 イラク戦争の大量破壊兵器あんのか疑惑を取り上げた『グリーン・ゾーン』に似ているってのは、なるほど。物語の舞台は違うものの、ポール・グリーングラス監督は勧善懲悪みたいには絶対しない。
 前回は、義足のイラク人タクシー運転手が、アメリカの向こう側の世界の代弁者だったが、今回は海賊のリーダー、骸骨男のムセくんがそのポジションで、名優トム・ハンクスと演技の面でもガチンコ勝負!
 フィリップス船長とムセ船長、二人のリーダーのギリギリの駆け引きが、クタクタになるまで見られますw

 私は10月まで海賊を題材にしていた小説を書いていたんだけど、あれは17世紀あたりのいわゆる海賊黄金時代の海賊の話で、現代の海賊はほとんどノーリサーチだった。
 もう電子機器で船を動かす時代なわけで、かつての海賊のイメージとは全然違うだろうなって。 
 んで、この映画で、そのソマリアの海賊の実情が描かれていて心をグッサリ。ただカラシニコフを持っているってだけで、普通のヤンキーの子達と変わらない。普通のヤンキーの子っていう定義がわからないけど(^_^;)純粋で可愛い面もあるってことね。
 ムセ船長もおそらく中学三年生くらいで、あれくらいの年齢の子は、中には、ちょっとヤンチャしたくて深夜にバイク股がったりするんだけど、ムセ船長はそんな軽いノリで、海賊行為をしているわけではない。

 これはワンピースじゃねえんだ!
 
 まるで暴走族の背後に暴力団員がいるように、少年海賊の背後にはソマリアの将軍がいる。『ロード・オブ・ウォー』もそうだけど、北アフリカのこういう軍人って、国民を命懸けで守るどころか、とんでもなく残忍なチンピラと一緒で、めちゃめちゃ怖い。
 あの漁村?にまともな学校がある感じには思えないし、結局彼らは強欲な大人に酷使されているだけ・・・たいていの場合子供よりも大人の方が一枚も二枚も上手なのだ。
 でも、そうなると、ムセ君たちは海賊ではなく、厳密には私掠船ということになる。て、ことは、これは単なる犯罪行為ではなく、もっと大きな国際問題だ。

 3万ドルをもらって逃げていればよかったのに・・・ 

 それじゃ足りない。ボスの締め付けが厳しい。


 しかし、フィリップス船長はすごいよ。触れ込みでは、仕事に真面目なただの平凡な海運会社の船長って感じだったけど、あの人の機転がなければ、事態はもっとむごいことになっていたと思う。
 もちろん事前に危機管理マニュアルとかがあって、いろいろ学んでいたんだろうけれど、それでもマジで海賊が乗り込んできたら、もうパニックで何していいんだかわからなくなっちゃうよな。
 自分にはあんな機転は効かせられないからなあ・・・田代船長はあのちびっこギャングに5回は殺されてました・・・orz海運会社にだけは勤めるのやめよう。
 最もドキドキしたのは、映画などではお馴染みの「○○のありかを言え。30秒以内に言わなければこいつを撃ち殺す」なんだけど、普通のアクション映画なら、もう全然リラックスで鼻ほじってると思うんだけど、この映画って全編ドキュメンタリータッチで、臨場感すごいから、あの状況がいかに恐ろしいものか一周回って痛感する。

 んで、やっぱり船長はお馴染みの「やめろ!部下を撃つなら私を撃て!」というかっこいいことを言うんだけど、あれ、多分、ああいう立場になっちゃったら、あれを言うしか選択肢がないと思うんだよ。
 もし、自分の家族や、生徒に銃を向けられたら、やっぱ言っちゃうんじゃないかって。もちろん自分が死んでいいわけないんだけど、つまり、銃を突きつけている少年をある種信頼して、食い止めるしかないよなって。
 今の子供には「やるならやってみろ」は絶対言っちゃダメだという。それは今の子達は大人の想像以上にずっとピュアで、人は死んでもテレビゲームのようにリセットされて生き返ると、なんとなくの狭い経験で考えているからだ。
 つまり、オレ様化時代の彼らには、世の中には自分の理解が及ばないことがあるという理解が理解できない(しようとしない)。
 だから、死も自分の理解できる範囲で矮小化して解釈してしまう。これは怖い。その程度の死の理解では、人を殺すことをためらわないだろう。
 戦って死んだらウハウハハーレムだ!って信じる人が、ジハードで無差別自爆テロをやってしまえるように。

 しかし、それに疑問を呈した哲学者がいる。ユダヤ人のレヴィナスという人だ。タルムード研究にも熱心だったレヴィナスは、いわゆる自己責任論を「人間の責任というのはそのような対等な関係では推し量れない」と批判し、「人間の顔を見ればわかるように、人間は生まれもって他者を信頼して無防備な状態でいる」と考えた。
 顔は傷つきやすく、か弱い、人間の心理を正直に暴露させ、他者にこのように命令している。「汝、殺すなかれ」と。
 つまり、人間は相手の顔をずっと見つめながら、その人を殺すことはできない。絶対に目をそらすだろうし、犯罪者がショッカーみたいに自分の顔を隠したり、犠牲者の体をバラバラにしてしまうのもそのためなのかもしれない。
 レヴィナスは、人間の顔が発する、この「汝、殺すなかれ」という一方的な命令に応える責任があるという。
 その責任とは、非対称なものである。だって、自分は自分、人は人なら、そんな自分とは関わりのないことに対して責任を負う必要はないからだ。レヴィナスの責任とは、ギブアンドテイクではなく、無償の愛なのだ。

 ユダヤ人の強制収容所に収容された人たちが、なぜあんな絶望的な状況で自分の人生を投げ出さなかったかというと、それは収容所の外で自分を待ってくれている愛する人への責任があるから。「他者をその死に際して置き去りにしてはならない」のだ。
 きっとフィリップス船長は、ムセ君の、その“責任”に賭けたんじゃないだろうか。いくら現代っ子で、ひどい国に生きているからって、彼にも愛する家族や部下の子達がいる。
 だから辛抱強く言葉を投げかければ、絶対に通じてくれる。そう信じて「部下を撃つなら私を撃て」と叫んだ。
 ムセ君の刑期は33年だという。彼が釈放されたとき、ソマリアは平和な国になっているのだろうか。

 最も危険なことは、生きる目的のない若者に銃を与えることだ。(ポール・グリーングラス監督)
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