『新黒沢』について

 バカは生きなきゃ治らない。

 現在ビッグコミックオリジナルで衝撃の復活を果たした、福本伸行先生の『最強伝説黒沢』。福本先生の作品って面白いけれど、惰性で引き伸ばしちゃう傾向が結構あって(連載作家だから仕方がないのだろうけれど)、ちゃんと終わっている作品の方が希だから、その点「最後の最後あったけえ」でちゃんと完結した『最強伝説黒沢』をまた始めちゃうっていうのはファンとしては嬉しい気持ち半分、不安感けっこう、というか・・・w

 でも始まってみると、やっぱり楽しい。福本先生ってなんだかんだでギャグ作家としても秀逸で、この『最強伝説黒沢』は福本作品の中でももっともギャグに徹した作品のような気がする。賭け事もやってないしね。
 で、さっそく第2話目でオカマの人に襲われちゃった植物状態の黒沢さん・・・(´;ω;`)こんな出だしでこれからどうなっていくんだろう??って思ったんだけど、前作の出だしを思い出してみると、多分福本さんしっかりと今後の展開はイメージしている気がする。

 前作の第1話は、とにかく「人望が欲しい!」からはじまっていたのよ。ワールドカップを見ていても、結局あの感動は嘘だ、自分自身の感動じゃないってところから物語は始まるわけで。なんかこの話題いやにタイムリーだけどなw
 で、もうのっけから人望が欲しい、賞賛を得たいってことで時にうじうじ、時にみんなのお弁当に勝手にアジフライを追加するという奇行をくり返し、最初の単行本はそのまま終わっちゃう(!)んだけど、黒沢さんのすごいところはいくつになっても中学生のような悪あがきをやめないところで(ピュア)、オヤジ狩りの復讐から始まった不良中学生や暴走族との戦いで、ついに泣くほど欲しかった人望を手に入れて死んでしまったという・・・全国の男性感涙の物語だったんです。

 だから女性の方は、あの第2話(=ハッテン場)で黒沢シリーズを判断しないでいただきたい!

 暴走族といえば、今回最後に戦った暴走族ガロンキッズのリーダー「御木」が前作キャラとしては初めて登場したんだけど、確かに8年に及ぶ「黒沢の入院費は誰が払っているんだろう問題」のヒントは見えてきたよね。
 私は、なんかてっきり黒沢に心酔しているデキる不良「中根」が、払ってるのかな?って思ったけど、あの戦いはもう忘れ去られたみたいな書き方がしてあったから、黒沢はやっぱり死んだってことで封印されていたわけで、まあ病院の院長となった御木が封印してたんだろうな。でもなぜ?う~ん気になる・・・
 
 しかし8年もたてば当時中学生だった中根も成人してるわけで、一体どういう大人になってるんだろう??やっぱり裏の仕事でもやってるのかなあ?
 そして黒沢さんの職場、穴平建設はどうなってるんだろう?あの坂口や浅井といった職場の仲間たち(黒沢グループ)との再開はあるのか?黒沢のライバル、赤松との決着はどうなった?(そもそも戦ってないって!)

 で、話逸れちゃったけど、今回の『新黒沢』では一貫して「女にもてたい!」っていうのがこの世の未練として提示されているじゃないですか、でやっぱり第2話でさっそく屈辱を味わっているわけで・・・前作が「人望を得るまでのおはなし」だとしたら、今回は前作の未解決問題だった、「黒沢が女性とまともな恋愛をするおはなし=恐竜映画じゃねぇか(C)坂口」になる可能性はすごい高い。
 8年寝てたから、もう50代になっちゃった黒沢に春は来るのか・・・!たとえ子供が出来てもどれくらい面倒見れるのだろうか!いや楽しみ!生きがいがひとつ出来たね!

 行くか…!次の舞台に…!仕事仲間の人望は得た…仲間の人望は得た!人生の第二ステージっていったら…女の娘だ…!(『最強伝説黒沢』第2巻)

西洋教育史覚え書き

西洋の教育の歴史をおおまかにとらえると・・・

古代:言語(=ラテン語)中心(キケロ)

中世:カトリック教会中心
(トマス・アクィナス)

近世:教会(スコラ学)批判。
特権階級だけだった教育の一般化

近代:産業革命
⇒労働者への教育(公教育制度:コンドルセ)。
役に立つか立たないか、実学的になる。主知主義(ヘルバルト)教師中心。

新教育運動:主知主義批判。子ども中心。
イギリス、フランス:子供の主体性を尊重
アメリカ、ドイツ:プラグマティズム、社会教育

現代:生涯学習、脱学校化



古代
古代ギリシャ
ソクラテス
『汝自身を知れ』 教師は産婆役 

プラトン
哲人政治『国家』 アカデメイア設立

アリストテレス
万学の祖 リュケイオン設立

プロタゴラス
古代ギリシャのソフィスト(職業教師)
「人間は万物の尺度である」=相対主義

古代ローマ
キケロ
古代ローマの政治家、哲学者
修辞学、弁論術。ヘレニズム文化をラテン語化する

クインティリアヌス
キケロを継承

プルタルコス
『対比列伝』(英雄伝) ルソーに影響


中世
トマス・アクィナス(イタリア)
『神学大全』


近世
人文主義教育
グァリーノ(イタリア)
全人教育(運動と遊びを交互に学習、共同生活)を提唱

ヴィットリーノ(イタリア)
グァリーノの弟子。
運動と遊びを重んじる「喜びの家」を経営

エラスムス(オランダ)
オランダの人文主義者 ルネサンス期最大の教育思想家。
『愚神礼拝』教会や学校の腐敗を批判

トマス・モア(イギリス)
すべての子供が教育を受けられる理想社会(ユートピア)を構想

ラブレー(フランス)
スコラ学を批判、実学的知識の習得を主張

ベーコン(イギリス)
帰納法の提唱。「知は力なり」


宗教改革
ルター(ドイツ)
カトリックを批判。プロテスタントの創始者。
聖書中心主義。全児童の義務就学
母国語による公立初等学校の設置を主張

イグナチウス・デ・ロヨラ(スペイン)
イエズス会を設立。カトリックのテコ入れ


近代
実学主義
ラトケ
ドイツの教育改革者。言語中心主義のキケロを批判。実学主義を提唱。
自然の順序にしたがって教育は行われるべきである。単純から複雑、母国語で教える
観察と実験を重視、強制は体罰はダメ

コメニウス(チェコ)
近代教授学の祖 直感教授法(子供が実際に事物を見たり触ったりすることを重視する方法。体験型学習)


市民革命
イギリス
ロック
イギリス経験論 精神白紙説 『教育論(教育に関する一考察)』

フランス
ルソー
フランスの啓蒙思想家 『エミール』 子どもの発達をふまえた消極教育
「自然に帰れ」

コンドルセ
フランス革命議会に公教育制度改革案を提出。権力からの独立と自立。宗教的中立。
教育の機会均等と無償化。

フランス革命(1789~1799)
1791年、フランス憲法で教育を等しく受ける権利が明記される。

ドイツ汎愛派
体操・乗馬・水泳などによる強健な身体の育成。
近代語・数学・物理学などの有用な知識の教授を重視。
これにより人間の啓蒙と理性化、国家的幸福と人類愛の実現を図る。
ルソーの思想の現実的展開であるといえる。

バセドウ
汎愛派の始祖。
ルソーやロック、コメニウスなどの啓蒙教育論に影響を受ける。
著書は『基礎教科書』ザルツマン、トラップ、カンペなどが後継者。
重商主義の観点から、教育の世俗化、教育行政の国有化を提案。教育は人間と国家の福祉を実現するための有効な手段であると考え、ルソーの自然を重視する教育論に影響を受けながらも、実学的な側面も持っていた(百科全書敵教育内容の重視など)。

カント
ルソーの『エミール』に影響。汎愛派の教育を熱烈に支持。
批判哲学の樹立 『教育学講義』

ヘルバルト
教育学を体系化。4段階教授法
(明瞭、連合、系統、方法)を提唱。
教授のない教育など存在しない!『一般教育学』⇒後に主知主義と批判される。

ライン
ヘルバルトの教育論をさらに発展。5段階(予備、提示、比較、概括、応用)にした。

フィヒテ
ベルリン大学初代学長。『ドイツ国民に次ぐ』連続講演

フレーベル
幼稚園の創始者。ペスタロッチの弟子。
恩物
(積み木やブロックなどの一連の幼児用教材) 『人間の教育』

スイス
ペスタロッチ
スイスの教育実践家。 『隠者の夕暮れ』『ゲルトルート教育法』『メトーデ』 直感教授を重視
「生活が陶冶する」


産業革命
ロバート・レークス
日曜学校を開講。

ランカスター
助教法、ベル・ランカスター法、モラトリアムシステム
クラスを小グループに分けて賢い子に教えさせる相互学習。

オーウェン
イギリスの実業家。空想的社会主義者。
ニューラナークに設立した性格形成学院で工場労働者の子供を教育。
子供の工場労働をやめさせた。

スペンサー
功利主義的教育論 生活できるため、幸福になるための教育。


新教育運動
イギリス
セシル・レディ
新教育運動(主知主義ではなく、児童の主体性を重んじる生活力・実践力の育成)の実践者
アボッツホームに学校を創設。植民地生活に適する人材育成。問題解決能力

ニール
世界一自由な学校サマーヒル学園を開設。権威や規則、強制をすべて排除。
すべてを教員と生徒の自治会で決定。知的能力よりも創造的能力を重視。

ドイツ
ナトルプ
教育の社会的意義。ヘルバルト学派の主知主義を批判。
「人間は、ただ人間的な社会を通してのみ人間となる。」

ケルシェンシュタイナー
同じくヘルバルトを批判。公民教育(国家、社会に役立つ国民の育成)『労作学校の概念』

ルドルフ・シュタイナー
人智学(ちょっと神秘主義的な考え)の創始者。自由ヴァドルフ学校を設立。知的情操を重視。
図画。工作、音楽、身体表現。

ペーターゼン
イエナ大学教授。イエナプラン(生活共同体学校運動)

シュプランガー
文化教育学。郷土的・民族的文化の導入

フランス
デュルケム
近代社会学の父。教育科学を提唱。『教育と社会学』『道徳教育論』

アメリカ
パーカー
進歩主義教育学の父。
クィンシー・メソッド=ペスタロッチ+フレーベル+ヘルバルト

デューイ
プラグマティズム
(経験主義、実用主義)。シカゴ大学に附属小学校「実験学校」を創設
「為すことによって学ぶ」

キルパトリック
デューイの後継。プロジェクトメソッド(問題解決学習) 目的設定、計画、遂行、評価

ウォッシュバーン
ウィネトカ市教育長。ウィネトカプラン(個人差をふまえた自学自習。学習進度に応じて進級)

ヘレン・パーカースト
アメリカの女性教員。ドルトンプラン(学習計画を教師と生徒が話し合い一種の契約をする、学習進度によってポイントが入る。)を実践

オルセン
コミュニティスクール(地域社会学校)。児童中心主義から社会中心主義への転換。

スウェーデン
エレン・ケイ
児童中心主義。
『児童の世紀』 能力別学習、自学自習。婦人運動。
「教育の最大の秘訣は教育しないことである」

イタリア
モンテッソーリ
女医。ローマに子どもの家を設立。特殊学級の手法を健常児教育に応用。
モンテッソーリ教具(木製のおもちゃ)を考案。自主性、独立心、知的好奇心を伸ばす。


現代
ラングラン
フランスの教育学者。生涯教育の提唱。

ブルーナー
アメリカの心理学者。認知心理学の生みの親。発見学習の提唱。
教育の現代化運動を推進。

イヴァン・イリイチ
オーストラリア出身の社会評論家。脱学校論。学校という制度の撤廃を主張。

『マンガはなぜ規制されるのか』

 著者は長岡美幸さん。タイトル通りの本。細かいことは買って読んでもらうとして、とりあえずどこの誰が何のために漫画を規制しようとしているのかというと、どうやら婦人会的な市民団体、PTA、そして警察組織らしい(犯罪者の自宅には大抵漫画があるから・・・)。
 この人たちの共通点って、確固たる正義のイメージがあって、善意でしっかり結束しているようなところだと思う。離合集散を繰り返すようなネット世論?とはそこが違うのかな、と。
 本気で社会をより良いものにするために頑張っているからエネルギーというか本気度が違う。漫画ってどっちかというとカウンターカルチャーというかアングラ的な存在だったわけだし、ぶっちゃければ社会をよくするために存在するような崇高なメディアじゃないんだよ・・・

 さて、漫画の規制の話題ってネット、とりわけツイッターで盛り上がっているけど、ツイッターのどこの誰ともわからない匿名のハンドルのつぶやきがいくら束になってかかろうとも、具体的な政治的運動(=圧力)にはかなわない。
 代議士さんだってネットで悪態ついている匿名の人よりは、直接会って応援してくれる人の声を優先して聞くだろうし。
 一般意志2.0とか言うけれど、やっぱり政治の世界ではアナログ的な人間関係というかコミュニティが強いっていうのがわかる。安倍総理はネットに理解がある政治家って感じがあるけれど、結局はいいように利用しているってだけだと思うんだよ。
 じゃあツイッターで規制反対!って騒いでいる人が、リアルで政治家とコネを作って市民運動にまで昇華できるかというと、それはなかなか難しいと思う。
 政治家と交流しているアニメオタクとかあまり想像できないし・・・いくらかはいるのだろうけれど。
 
 そもそも漫画規制賛成派も反対派も感情レベルでああだこうだ言っている点は見事にどっちもどっちで、漫画文化に興味がない人やそこまで熱くなれない人から見れば引いてしまうのではないだろうか。関わりたくね~って。
 例えば、私も漫画を政府の恣意的な判断で規制するのは、表現の自由を犯すことであって、もちろん反対なんだけれど、「漫画規制しようとするPTAのババアは死ね」とか暴言吐いている人と同じ仲間とは思われたくないよなあっていうのがあるじゃん。

 その上、昨今の橋下市長の「性風俗」の発言を巡る騒動にしてもそうだけど、日本って女性を性の道具にしている変態国家的なイメージが海外にはどうしてもあって、まあ、それはおそらく正しくてそのイメージはなかなか払拭できない。
 ロリコン漫画やアイドル文化にしたって「ジャパンはチャイルドポルノを国家的に容認しているのか!」って欧米の人はドン引きしてるわけで。
 そう考えるとグローバルなクールジャパンの戦略(日本の漫画文化の海外進出)と、漫画のエログロ表現の規制って実はそんなに矛盾もしてない気もする。
 あっちはあっちで意外と合理的なんじゃないかって。ちょっと海外に売るにはエロが過ぎるというか・・・そういう判断なのかもしれない。

 この前、ナドレックさんがおっしゃっていたんだけど、こういう問題ってまず、どういう過程(論法)を踏んで規制しようとしているかを、私たちが冷静に考えることが重要で、漫画は読まないし利害関係ないからいいやって無関心を決め込むと、別の問題の時に泣きを見るよって話なんだよね。
 とはいえ、私たちも日常生活に追われているから、なかなか直接的な利害が起きないと(例えば漁師さんがアベノミクスの影響でオイルの値段が上がっちゃって大変とか)、政治的なことを真剣に考えなかったりする。そこが民主主義の罠というか難しいところだ。

 それに、もしこれで漫画が規制されて、内閣支持率が落ちたらその法律はまずったんじゃないか?ってなるけど、これでたいして支持率が落なかったら意外と漫画が規制された社会になってもキミら順応してるじゃんってことにもなるだろうし。
 騒がなかったら賛成しているのと一緒だよねって判断するからね。マイノリティの意見ってないがしろにされやすいんだ。
 あと、規制されたらされたで、その規制をどうやってかいくぐって面白い漫画を作るか?っていうのに挑戦するクリエイターは絶対出てくるよね。これが通ったら二次元全滅とか言っている人がいるけど、どうだろう?
 まあオタクやファンの人が、自分が愛読していた漫画の作者が逮捕されたとして、その作者のために立ち上がるってことはまず考えられないから、やっぱり作り手や送り手は萎縮しちゃったり、自主規制を繰り返したりはするのだろうけれど。
 ただリアルな話、規制された途端に即全滅はないだろう。
 
 とにかくさ、この前の選挙で与党に自民党を選んだのは私たち国民の総意なんだから仕方がない。自民党政権が漫画を規制しようとしているのは昔から分かっていたはずだ。
 そして何度も言っているように、今の私たちはロジックではなくて、感情レベルで短絡的に物事を判断してしまう。あいつは嫌いとか、あいつは許せね~とか、あいつは許せね~とか。意見が異なる人たちの立場を想像するという発想がない。賛成派も反対派も。
 ならば、主観的だ!と揶揄される今回の漫画規制の法案だって、ある種時代の必然的に生まれたものだってことがわかる。感情論の世界なんだから。

 大体理屈で言えば、過激な漫画と性犯罪の因果関係は分かっていないのに、規制も反規制もないわけだ。もし仮に因果関係が全くないというなら、規制する理由もないし、逆に規制したって問題はないことになる。
 漫画規制反対派の人は、エロ漫画が規制されたら犯罪率は逆に増えるとか言っているけれど、もうロジックとして矛盾していてさ。ちょっと待ってよ、エロ漫画と犯罪は無関係じゃなかったんかいってどうしても突っ込んでしまうよ。因果関係論って都合がいいんだw

 首都大学東京教授の宮田真司(社会学)は、松文館裁判や東京都議会の参考人質疑などで次のように訴えている。
 ○暴力的・性的メディアが受け手を暴力的・性的にするという「強力効果説」は否定され、「限定効果説」が学会の主流。性的メディアが青少年に悪影響を及ぼすという理由で規制するのは科学的根拠がない。(243-244ページ)


 宮台さんの“限定”効果説っていうのは興味深い。つまり効果が全くないわけではないと。でもその効果はあくまでも限定的である、と。これくらいの表現のほうが少なくとも私には信用できる。

 なんにせよ問題なのは、因果関係が立証できないものを規制しちゃえっていう動きであって、それは、私たちが、疑わしきは罰せずの社会か、疑わしきは罰するの社会のどちらを選ぶかで、良いも悪いも変わってくるはずだ。
 そして自民党は疑わしきを罰する、秩序と安全を強く求める社会づくりに舵を切ったんだと思う。ならば漫画規制は自民党のロジックで言えばアリなのだ。
 『学問のすすめ』で福沢諭吉が言っているように、集団がそれぞれ節度を守ってちゃんと生きていれば政府は国民に自由を与えてゆるくなるし、集団がバカばっかだと政府は締めつけを厳しくせざるを得ない。どんな政府にするのかは国民しだいってことなんだろう。

 さらに漫画好きとして知られる麻生太郎さん、漫画が好きなだけあって漫画の影響力の強さも知っている。
 だからこそ場合によっては法規制やむなしと考えているわけで、ここら辺は90年代の会合で、文化事業を担うということで減税措置がなされている出版業界の既得権益に踏み込む発言を麻生さん自身がしているんだよね。
 現在、活字離れや電子出版などで苦しんでいる出版業界がさらに経営レベルで追い込まれてしまう。その包囲網は20年も昔から狭められていたんだ。

美術教育史覚え書き

日本の美術教育の歴史的な流れはおおまかにとらえると

明治時代:臨画中心

大正時代:自由画教育運動

昭和:軍事的な技術訓練的内容。科学的かつ合理的。

戦後:児童生徒中心主義


1871年(明治4年)
日本発の美術教育の教科書『西画指南』
川上冬崖(南画=中国の絵画の画家)がイギリスのロベルト・スコットボルンの著書を翻訳したもの。点、線、形、明暗とかなりメソッドに沿って描き方を教える。

1872年(明治5年)
学制発布=日本の美術教育の誕生。
『図法階梯』
実用主義で、教科書の絵を模写する臨画がメイン。

1885年
文部省に図画取調掛が設置される。
フェノロサ(伝統的な日本画の再興を論じた)岡倉天心(美術評論家)が委員に。

1887年
図画取調掛を改めて、東京美術学校(今の東京芸大)が設立される。

1891年(明治24年)
図画教員の検定試験。鉛筆画だけでなく、毛筆画でも受験ができるようになった。

1897年(明治30年)
フランツ・チゼックがウィーンで児童美術教室を創設。
児童画を美術作品として見なし、子供中心の創造主義美術運動を開始。美術と教育の統合を主張。
子供は視覚よりもイメージを表現。
教師の役割は創造的な雰囲気を作ること。子どもが生まれながらに持つ法則に従って育てる。

1904年(明治37年)
『尋常小学毛筆画手本』『高等小学鉛筆画手本』アメリカのテキストを参考に編集。
子供の心理的発達を踏まえた画期的な教科書。

1905年
ケルシェンシュタイナー『描画能力の発達』
ドイツの教育学者。公民教育、労働教育を提唱。

1910年(明治43年)
『尋常小学新定画帖』(日本発の美術の国定教科書)が刊行。
鉛筆画、毛筆画の区別を撤廃。
小山正太郎が編集。
欧米の図工教育の動向を踏まえて、年齢によって記憶画、臨画、写生、考案画などが教えられる。
山本鼎による自由画教育運動で衰退。

1919年
バウハウス設立
ヴァルター・グロビウスが設置。世界初の本格的なデザイン教育機関。
「すべての造形活動の最終目的は建築である」
芸術(アーティスト)と手工芸(職人)の統合。
教授陣はカンディンスキー、クレーなどの抽象主義の画家

ヨハネス・イッテン
予備課程――材料、テクスチャ、形態、色彩、リズム(ようは造形活動における基礎的訓練)を担当。知識よりも経験を重視。
後にベルリンで私設の芸術学校を作る。

モホリ・ナギ
構成主義の作家。木、金属、ガラスなどの材料を使った立体構成を担当。
シカゴにニューバウハウスを作る)

バウハウスの取り組みを武井勝雄が日本に紹介。
昭和33年にバウハウスの予備課程が「色や形の基礎演習」として中学校指導要領に取り上げられたが、すぐに改訂されてしまい定着しなかった。

1918年(大正7年)
長野県の小学校で山本鼎が講演「自由画教育の奨励」をおこなう。
1919年に「第一回児童自由画展覧会」が開催。
臨画を廃止し児童中心主義を唱える。
技能を軽視、模倣と創造は関連するなどの批判もあり。

1921年
山本鼎『自由画教育』刊行

1925年(大正14年)
岸田劉生『図画教育論』
「真の写実は創造を生む」と、アンチ臨画を批判。
図工の目的は心を育てる徳育にあると論じた。

1941年
国民学校の教科書『エノホン』が出版。(1941~1944年まで)本当に絵しか書かれてない本。
国家主義を強調した教材や軍国主義的教材。愛国心教育。

1943年
ハーバート・リード『芸術による教育』
ユングの心理的類型を用いて子どもの絵を表現ごとに分類。
思考型・・・写実主義、印象派(自然の模倣)
感情型・・・シュールレアリスム(精神性を重視)
感覚型・・・表現主義(個人の感動重視)
直感型・・・構成主義、キュビスム(抽象形態を重視)

1947年(昭和22年)
ヴィクター・ローウェンフェルド『美術による人間形成』
アメリカの美術教育学者。描画の発達段階理論。
子供の描画表現には「視覚型」と「触覚型」があり、その傾向は前写実期から現れる。
視覚型は見たままそのままを正確に再現しようとするタイプ。全体の47%
触覚型は主観的解釈に基づき、情緒的な反応を絵に表現する。全体の23%

1952年
北川民次『絵を描く子供たち』
戦後、久保貞次郎とともに、子どもの想像力と個性の発達を目指す創造主義美術教育運動を全国的に広めた。

1958年(昭和33年)
中学校学習指導要領が告示。
「図画工作」が「美術」と「技術」に分かれる。

美術教育覚え書き

美術教育の意義
①美術の教育(エッセンシャリズム)
美術系学校における専門的な教育。作家や学者を養成するためのもの。
技能や知識の習得、育成。高校からウェイトが大きくなる。

②美術による教育(コンテクスチャリズム)
普通教育において、子供の人格形成や社会的な自立を図るために、美術の活動を手段として用いるもの。小中学校で重視。

一人ひとりの個性や主体性に着目してそれを育成できる教科として美術は重要!
個性とは本来、個人が他者と異なる点すべてを総括したもので、ポジティブな側面だけではない。
個性教育は前提となる学習に対する姿勢や集団学習のルールが学習されていなければ成り立たない!

生きる力
自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力(中央教育審議会答申)

生きる力=確かな学力+豊かな心+健やかな体(平成20年告示、平成23年度から開始の新学習指導要領)

鑑賞教育
美術を通した国際理解。文化の違いと共通性を踏まえて互いに尊重し合う態度。

高校の芸術科・美術科の目標
芸術の幅広い活動を通して、生涯にわたり芸術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、芸術の諸能力を伸ばし、芸術文化についての理解を深め豊かな情操を養う。

ややこしいけど、心情は“育てて”、感性は“高め”、諸能力は“伸ばす”のね。

美術Ⅰの目標
美術の幅広い創造活動を通して、美的体験を豊かにし、生涯にわたり美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし、美術文化についての理解を深める。

美術Ⅱの目標
美術の創造的な諸活動を通して、美的体験を豊かにし、生涯にわたり美術を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばし、美術文化についての理解を深める。

ⅠとⅡは太字の部分が違うだけ。一年は幅広く基礎的。二年はもうちょい個性を重視して創造的。

美術Ⅲの目標
美術の創造的な諸活動を通じて、美的体験を豊かにし、生涯にわたり美術を愛好する心情と美術文化を尊重する態度を育てるとともに、感性と美意識を磨き、個性豊かな美術の能力を高める。

「美術文化の尊重」と「美意識」って文言があるのはⅢだけ。

高校芸術科の構成
「音楽」「美術」「工芸」「書道」の4つ。中学校美術科と違って工芸分野が離脱する!

美術家は表現分野(絵画、彫刻、デザイン、映像メディア表現)と鑑賞で構成される。

指導内容は「発想・構想の能力」「表現の技能」に分かれる。
日本の美術文化に関する鑑賞の指導を充実させ、従来あった「時代」「民族」「風土」に加えて「宗教」を明示する。
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