ロラックスおじさんの秘密の種

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 涙☆☆☆☆☆」

 見ろ、あれで最後だ。やめるしかないだろ。

 ダメだ、こういう教訓のあるお話はやられてしまう。ずり~よ、『怪盗グルー』のスタッフが手掛けたアニメって触れ込みだったから、てっきり全編ギャグかと思ったら、すっごい悲しい話なんだもの。
 思えば『怪盗グルーの月泥棒』も、想像以上にクラシカルな『ハウス世界名作劇場』みたいな設定で、「感動とは落差である!」とかブログでうそぶいたけど、この映画はさらに切ない、一人の男の贖罪の物語。

 志村けんさんが「なんだチミはってか、そ~です、わたすが変なおじさんです」のていで「そ~です、わたすがロラックスおじさんです(※作中にそんなセリフなし)」ってちょけるCMが大々的に放送されていたけど、実は森の精霊にして木の代弁者であるロラックスおじさんは、なんと作中ではワンスラーという町外れの荒地に住む年老いた木こりの回想にしか登場しない!
 さらに、この森の精は、ジブリアニメでありがちな自然を破壊する愚かな人類に対してなんら報復手段を持っていないのだ!
 これが、今までなんでこういう精霊が出てくるアニメに出会えてなかったんだろうって思ったくらい、珍しくて(でも本当は精霊ってこういうものだよねw)感動してしまった。

 私、ジブリの『ぽんぽこ』や『もののけ姫』などに見られる、「人類VS自然!」みたいな対立構造がまずあって、そこでバイオレンスなアクションが繰り広げられる展開に、昔からなんか抵抗があってさ。まあ、自然を汚すとしっぺ返しが来るっていうテーマは分かるんだけど、なんかお説教臭く感じてたんだ。
 最近だと『アバター』もそれで、中盤では「惑星パンドラの守護者のエイワは誰の味方もしない」とか言ってたのに、最後は「エイワに心届いた」とか言って人類をバコンバコン一方的に攻撃するんだよw人類はアレルゲンですかw
 もちろん「お前の好きなジュラシックパークだってそうじゃねえか」って言われればそれまでなんだけど、別に恐竜はただ動物園を逃げちゃっただけで、人類に全面戦争を仕掛けようとか、復讐だ!ってやってたわけじゃないからね。

 この志村おじさんは、人間がどこまで愚かなことをしようと、決して暴力に訴えたりはしない(寝ている最中にベッドごと強制退去させようとして、あわや殺人未遂はやったけどw)。
 人間の変われる力を最後まで信じて、優しく諭し続ける。その結果、美しかった谷は、なすすべもなく強欲な人間たちによって滅ぼされてしまう。
 自然は強大で、人類に制御できるものではないというマイクル・クライトンのテーゼは、西洋人にとってみればかなりショックなものだったに違いないけれど、私たち日本人にしてみれば、その自然観はある程度共有されている。自然災害大国だから。
 でも、その逆の、自然というのはとってももろくて、簡単に破壊されてしまい、それを元に戻すのは、壊すのに比べてとっても難しい(場合によっては不可能)という、テーマは藤子・F先生以降あまり見られていない気がする。
 F先生ですら、『ドラえもん のび太と雲の王国』では、ノア計画とか言って人類に報復させたわけで、やっぱり徹底的に弱い自然を描いた今作の意義は大きいと思う。

 あなたが、もし何もしなければ、世界は変わらない。――ドクター・スース

 確かに、ヤンバルクイナやアマミノクロウサギを絶滅させようと乱獲しても、彼らは決してやり返しては来ないだろう。無抵抗な彼らは、そのまま永遠に地球から姿を消す。
 ならば、『もののけ姫』よりも『ロラックスおじさん』の展開の方がずっとリアルで、ずっと心に突き刺さる。「UNLESS――もししなければ」・・・人間の欲望は自分自身で歯止めをかけるしかないのだ。
 現実の世界で、人類が際限なく環境を破壊し続けたら、それこそ身の破滅だけど、こういう寓話は、その最悪のケースを疑似体験できることに大きな意味がある。
 これは、地球環境や生態系保全といった大きな問題の話だけではなく、日常生活でも重要な教育的なメッセージだ。どんなに粗暴な人に対しても、その人がいつか変わってくれることを信じて、優しくメッセージを送り続ける。決して無理強いはしない。そんな愛に溢れた辛抱強い教育こそ、今必要なのかもしれない。

 そして、かつての若者が老人になった時、ロラックスおじさんは帰ってきた。

 ところで、立派なヒゲじゃないか、と。

怪盗グルーのミニオン危機一発

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 わたしにできることは?
 ・・・無いなあ。
 じゃあグルーさんにできることは?


 ついに来た!ずっとずっとず~っと楽しみにしていた2013年の真打ち登場!もう我慢できなくて先行上映で見ちゃいました!
 いや~前作はなんだかんだで感動する映画だったけど、今回はミニオンが主役?ってことで超バカ映画。とにかく小ネタが多い。ひとつの完成度の高い長編アニメじゃなくて、くだらない短編アニメを連続して見させられてる感じ。
 『ナイトミュージアム』シリーズのように、コメディ映画の二作目って、キャラを増やしてワイワイ賑やかにお祭りにしちゃうんだよね。だから脚本の構成は一作目に比べて多少まとまりがなくなっちゃうんだけど、楽しさは二倍増し!ミニオンの映画に深さや涙はいらない!
 もうちびっこも爆笑してたし、これでいいのだ、この映画は。ユニバーサルスタジオがすごいお金と時間をかけてクレヨンしんちゃんの映画(くだらない方の)を作ったようなもんだよなあって。
 そういえば3D映画で初めてユニバーサル映画を見たけど、ユニバーサルスタジオのロゴが一番3Dにすると・・・映えるねw超かっこよかったw

 でもさ、ミニオンって私の命の恩人でさ。去年か何かに、大人の当事者意識のなさを知って、すごい世の中に対して凹んでた時があったんだよ。もう精神的に参っちゃってさ。
 その時、ミニオンがただバナナを奪い合っているだけのアニメを見てさ。すごい癒されちゃってさ。こんな小学生レベルのくだらないアニメに、世の中の酸いも甘いも知った大人たちが全力で取り組んでいる!って思ったら、生きる気力が湧いてさ。そのあと、もうエネルギーの圧力が溜まっちゃって、その社会や大人(つまり自分も含む)に対する怒りのエネルギーで執筆したのが、『CRIMSON WING』の脚本だったんだ。
 だから、私なんかは萌えアニメとかアイドルとかスポーツって嫌いじゃないけれど、そんな見なくてさ、まあどうでもいいんだけど、それでも、そういう、他人から見ればくだらないっていうものでも、誰かの心の傷を癒し、次の日に学校や仕事に行く力を与えているのなら、尊いものなんだってことなんだよね。バカ万歳じゃ。

 とはいうものの、この映画って脚本に12人も使っていて、単純にバカに時間を割かれただけで、プロットやキャラは作りこんでいたような形跡があるんだよ。
 一番残念だったのは、やっぱり今回のライバルキャラのエル・マッチョさん。これはキャラが立ってないとか薄いとかじゃなくて、やっぱり尺が足りなかったんだろうね。
 二作目の宿命で、キャラが増えたぶんパラレルに描くべきことが多くて、各キャラクターの描写がおざなりになっちゃう。
 道具を駆使するグルーと違って、素手で戦う熱血ラテン系の怪盗という対立軸は良かっただけに、後半あっさりやられちゃって残念。ネファリオ博士も「世界征服には賛成だが、私の家族に手を出すのは許さん」とかかっこいいこと言って、あっさり裏切っちゃうしw
 というか、前作のベクターよりも、全然いい人っぽかったよねエル・マッチョさんw私はずっと、反悪党同盟のサイラス・ラムズボトム長官が黒幕で、強大な正義に、悪党のグルーとマッチョさんがコンビを組んで戦うという、アツい展開を予想してたからなあw
 意外とそういったピクサーみたいな複雑なことはせず、肩透かしくらっちゃったw

 ただ今作のヒロインのルーシーは悔しいかな、結構キュートでよかった(声を当てた中島美嘉さんがはまり役で、エンドロールで「中島美嘉」って出てて場内がどよめいてたw)。
 美人だけど、なんか間が抜けていて、でも『タイピスト!』のローズみたいな負けん気が強いタイプじゃなくて、とはいえ気弱っていうのでもなくて・・・なんかうまく伝えられない複雑な魅力の女性wなんにせよグルーと結婚しちゃうくらいだから、そうとうイレギュラーなセンスの持ち主であることは確かw
 まあ、だから今回の主題は、前作がグルーが父になる話だとしたら、グルーが夫になる話なんだよね。そういう意味では一応一貫したものはあるw(前作の敵が親子だっただけに、エル・マッチョさんに奥さんキャラがいればさらに良かったwキザな息子はいたけどw)
 面白いのは、父→夫って順序が逆転しているところだよねw所さんは「出来ちゃた結婚はうんこしてからトイレ作るようなもん」とか言ってたけど、それ以上の倒錯だものw
 まあでも欧米は養子とかもらうことが多いから、そんなに変でもないのかな。

 で、グルーの女性遍歴が、もう、すごいせつなくてさ。グルーもちょっとルーシーが気になってきて、でもデートに誘えなくて、イディスに「怖いの?」って言われちゃって、昔のトラウマを回想するのよ。つまり誰にでもある失恋の思い出ね。
 そしたらなんと、グルーさん幼稚園時代まで遡っちゃうのよ!こんな悲しい話ってある!?(´;ω;`)

 キモーイ!グルーがリサを触った~!キモーイ!グルー菌だ~!!!

 グルーってけっこう業界内では名の知れた悪党だったから、少なくとも40はいってると思うんだよ。それで女性に関係する思い出が幼稚園だけ。徹底的な女性不信というか女性恐怖症なんだよw
 結果的には、あんな可愛い女の子と、美人な奥さんもらっているから、オレ達モテない紳士同盟から見れば、鶴瓶師匠は勝ち組なんだけどw
 グルーって悪趣味な家に住んでいるけど、ロリコンでも変態性欲の持ち主でもないのが、ギャップ萌えで女の子に意外と好かれる理由かもw『アダムスファミリー』とか好きな女子割といるしねw
 まあルーシーも絶対に友達が多いタイプではなさそうだから、お似合いのカップルなのかも。3があったら、三姉妹(特に一番ママを欲しがっていたアグネス)とドジなママのルーシーの掛け合いが見てみたいな。

 あと、忘れちゃいけない。私が好きなマーゴちゃんだけど、今回エル・マッチョさんの息子のキザなイケメンといい感じになっちゃって、図らずも「あの親子を逮捕しろ!あいつらが黒幕や!」と大人気なくラムズボトムさんに駄々をこねたグルーと同じ心情になっちゃったけど、マーゴちゃん、やっぱりというか、あっさり捨てられちゃって、人生初の失恋をしていました。「男なんて・・・」ってセリフが、まあ決まる!
 別にマーゴちゃんが恋人作って幸せになる分には、ファンのオレたちは全然いいんだけど、なんというかマーゴちゃんの魅力って、薄幸というか、男運のなさにあるから(※全部勝手な思い込みです)、あの結末はやっぱりスタッフ分かってるなってw
 グルーも手痛い失恋経験者だから、もっとマーゴちゃんを慰めてやるシーンが欲しかったけど、それはあのメキシカンハット型ドンタコスを二人共かぶっている描写でOKなのだろうw映画はヴィジュアルのメタファーでいいからね。

 ボクの夢はゲーマーで食べていくこと。
 すご~い、いろいろ考えているのね。


 この可愛いカップルのあどけない掛け合いは、ちょっと面白かったけど(マーゴちゃんも大人びてるけどやっぱり子供よのう)、大人のカップルも似たようなもんだよね、合コンでもっと頭の悪いこと言ってるものw

『「日本史」の終わり』

 これは終わりじゃない。終わりの始まりでもない。始まりの終わりなのさ。(C)ラヂオの時間

 池田信夫さんと與那覇潤さんの対談本。日本の社会システムは明治で近代化(=西洋化)したという通説があるけど、実は全然江戸時代から変わっていないまま、現代まで来ちゃったよ、という話。
 こういう、「江戸時代に現代の日本人の本質を見る」っていう評論は、割とよくあると思うんだけど、この本を読んでて面白かったのは、この江戸的なシステム(=日本人の性根)って、江戸時代よりもずっと昔から脈々と続いてきて、そんじょそこらの改革じゃ断ち切れないぜっていうこと。つまり與那覇さんは「江戸化」とか言ってるけど、おそらく資料的なものが江戸以前は少なくて、確信を持って言えないだけで、日本はずっと前から変わってないんじゃないかと思うw
 例えば、アメリカ軍だって戦後GHQ送り込んで「ジャパンは民主主義の国になったよ、万歳」とか言って喜んだけど、実は全然民主主義国家じゃないっていうねwその勘違いした成功例をもとに「今度はイラクもやってみようか」ってなったら、事態がこんがらがっちゃったわけで・・・

 私がなにげにショックだったのは、日本では司法が本当に全然機能していないという現実が具体的に紹介されていたということ。
 かくいう私も、サイトのコラム(水戸黄門に絡めて)や、Ustream(やっぱり水戸黄門に絡めて)や、ツイッター(絡めたかは忘れた)とかで散々言ったけど、日本人ってもう法律よりも感情で動いちゃってて、感情的に許せない!っていうのがジャスティスになっちゃっているのは、もはや自明の理じゃないですか。
 ヘーゲルみたいな、面倒くさい手続きを踏む合意形成は嫌いで、その場の空気で曖昧にやっちゃうっていう。そしてあとの面倒なことはみんな、お上任せっていうw
 とはいえ、これ(日本は民主主義国家だけど、日本人は民主主義が嫌い)は、多少風刺を込めて大げさに言ったつもりだったんだけど、どうやら本当だったっていう。

 私は学習塾で、現代社会とか公民も教えているから、一応法治主義とか、モンテスキューの三権分立とか学生に説明しているんだ。んでなんだかんだで、日本は法治国家で民主主義国だって思っていたのよ。どうしょうもないのは、末端のオレ達だけで、システムの根幹は近代国家のそれだろ、と。
 だからこそ表現規制の問題は、「ほっときゃいいじゃん」って楽観視していた。なぜって憲法違反だから。だけど、違憲の法律や条例が通っても、裁判所が体たらくで官僚たちに負けちゃうっていう池田さんの話が本当だったら、これはパキPさんの皮膚感覚――悲観論の方が、現状をよく把握しているなって反省したよw
 実は、日本は、この前見た映画のクリプトン星みたいに法が絶対なんかじゃ全然なくて、どんな立場の人も気分で決めちゃっているというw
 それでも、官僚やお役所は規則にうるさいっていうイメージがあったけど、その規則も厳密には法律とはまた違うらしいんだ。霞ヶ関は治外法権!
 だったら立法府の国会や、司法の裁判所なんて、官僚からしてみればクリボーみたいなもんなわけだよ。HP1だよ。

 そんな官僚経験者の池田信夫さんが指摘するのは、つまり、これは別に不安になるようなことじゃなくて、西洋的な民主主義っていう制度は、実は全然イレギュラーなローカルルールなんだよってこと。それも、いくつもの奇跡が重なって偶然できた稀有な例だとw
 池田さんって、なんというかすっごい頭が理系な人で、徹底した構造主義とか相対主義をドラスティックに論じる人で、もう前半なんて、私、読んでて嫌な気分になったからねw
 つまり人間を徹底的に、動物として論じていて、これは社会学とか歴史学というよりは、動物行動学とか社会生物学の話で、なんか自分も中学から高校にこういう話をかじって、得意げに振りかざしていたから胸がキュンとしちゃいましたwエドワード・ウィルソンが・・・とかねw今もたまにやるけどw
 
 例えば、池田さんはもう身も蓋もないんだけど、人間の行動は8割は、まあ、気分とかノリで決めているんだよ、というカーネマンのプロスペクト理論を引用する(^_^;)

カーネマンの認知システムの階層構造
システム1:直感のこと。自動的=潜在的。速い。偏見。省エネモード。原始的。動機オーライ。
システム2:推論のこと。コントロール。遅い。柔軟。燃費悪い。高次的。結果オーライ。

 これは小林よしりんで言うなら、情緒と論理の話であり、自分が論文で取り上げたH・リード的に言えば、感性と理性の話だろう。
 そして、どうやらこの8:2という割合は、人間の集団にも当てはまるっぽい。つまり人間の社会集団においては8割がシステム1で動いていて、2割がシステム2で動いていると。
 これは、偶然にも私が一時期ハマった池上彰ごっこで論じた「そうだったのか!世界樹理論」とも合致する話だ。つまり巨大なリゾーム(無秩序な地下茎)の上にとても小さなツリーが生えていて、その比率はいつの時代のどこの国もだいたい変わっていないよ、という話。
 この現実を議論の前提に置けば、ヨーロッパ型(※)の社会システム(法=システム2の支配。大きな政府)も、中国型システム(徳がある君主が専制政治。超小さな政府!)も、日本型システム(たくさんの拒否権者による相互支配。実はそんなに大きくない政府)も、優劣関係のない世界樹のマイナーチェンジに過ぎないという理解ができる。

 ※(本書では曖昧だが大陸ヨーロッパってことで理解したほうがいい。欧米はちょっと違う気がする。)

 ちょっと我田引水しちゃったけれど、なんにせよ、この人の相対化は本物で、ネット上のほとんどの人がポストモダン思想や相対主義を、自分のアイデンティティとして振りかざすけど(人は人、自分は自分。だからほっといてくれ!というプラグマティックな用法w)、この人は一貫して中立。虚無。そこは科学者って感じですごい。まあ池田さんは経済学者なんだけどw
 だから、ヨーロッパみたいな近代化や民主化がいいことで、どの国もそのルートへ進化するのが正しい、みたいな一昔前の科学的社会主義みたいな、「べき」論じゃなくて、いやいや中国はこういうルートできたし、日本だってかなり変だぜ?という、多元主義的な視座を提示してくれる。
 それも、ヨーロッパ、日本、中国の三つのルートを中心に、かなり細かいところまで討論してくれている。
 ここまで来たら、朝鮮や東南アジアがちょっとだけしか触れられなかったのは残念だし、アフリカや南米、そしてアメリカやロシアはどうなんだっていうのも気になる。
 三つに絞ったのは、この二人がことさら詳しいってだけで、もっといろいろ調べれば、まあ見事に立論の底板が抜けて、もうどうでもよくね?になるよねw

 ただ日本の社会システムは、とりあえずみんなに拒否権を持たせて、いい気持ちにしておいて、一部の行政担当者が暗黙の了解で、法律は、まあ、それはそれとして置いといて(!)テテっと、社会を動かしちゃうんだけど、このやり方を担保していたのは、中世ヨーロッパの封建制度や江戸の幕藩体制のように、権力が一極集中せずに分立していた現状があったからで、もしそれが崩壊すると、日本はヨーロッパよりも中国に近い社会になるんじゃないかって予想している。どっちも西洋化失敗してるからw
 池田さんは、鎌倉時代の貞永式目(中学校で言う御成敗式目)を、日本が法治国家になるチャンスだったって評しているけど、結局逃しちゃって、そのままダラダラ成文化されたルールなんか使わずにやってこれちゃった。大岡越前の公事方御定書だって、裁判に当たった奉行の気分でさばいちゃダメってしただけで、判例主義(コモンロー)でやれってことだしね。

 それなのに、日本は明治憲法をガッツリ成文化されたプロイセンの憲法を元に作っちゃったから、本来ならそんなもん使いこなせないのに、本音(社会の実態)と建前(法)のギャップを生真面目に埋めようとしてよくわからないジャッジドレッドを量産しているというw
 その点、朝鮮や中国は本音と建前をうまく使い分けていて、そんな純粋まっすぐな葛藤はないとw日本人って意外と、法を超えて匿名で私的制裁をするアメコミヒーローとかに、心情的には近いのかもしれない。
 少年漫画誌に私が馴染めなかったのも、扇動的な少年漫画の文脈と、私の作風があまりに違っていたからかもなあ。私は自分勝手な事をすると最終的にはバチがあたるよっていう、話が好きだから・・・ジュラシックパークとかギエロン星獣とかね。

 でもさ。與那覇さんは『中国化する日本』とか本を書いたけど、もう日本って中国みたいなもんだよね。さっきも言った、地域ごとの権力の分立というタガがネット上にはないから、日本人の心性のデフォルトが中国に近いんだなあってことがよくわかる。同じアジア人だしねw
 だから、中国人を叩いている人って実は、中国人の言動に自分を見ているから腹立たしいっていうのは絶対あるよね。
 私も、対象は中国人ではないけど、アーティストとかはやっぱりむかつくもんw絵かきなんて頭悪いくせに偉そうで、すぐに観念に逃げるトンチキくらいに思っているからねw
 それは、自分の中にある嫌な部分を、そいつがさらけ出しちゃっているからなんだ。シラーが言うように人間は鏡。

 與那覇「法は権力の発動を抑制するためにあるという立憲主義を知らない人が、憲法をうんぬんしている。法を政府が庶民を罰則で脅すための武器だと思っているわけだから、もう法治国家ではなく、韓非子的な「法家国家」とでも名乗ればいいと思います(笑)。」(128ページ)

ウルヴァリン: SAMURAI

 「面白い度☆☆ 好き度☆☆☆」

 やがて生きがいがなくなり浪人になる。浪人とは主君を失った侍だ。 
 
 真っ先に感じたのが、こんなのジェームズ・ボンドの映画でもあったよなってこと。『007は二度死ぬ』っていう日本を舞台にした奴があるんだけど、あれとすっごい酷似。67年の映画なんだけど、日本の勘違い度合いが全く一緒っていうねw
 でもあっちは丹波という、主人公の頼もしい味方の日本人がいたけど、この映画の真田広之さんは最後まで協力してくれなかってっていう(´;ω;`)
 代わりに、赤い髪のヒラメ顔のニーハイソックスのお姉ちゃんが、まとわりついてくるんだけど、なんかよくわからなかった。もともとアニメでも戦闘美少女って私あんまり好きじゃないしね。あと未来を予知できるって設定があるんだけど、割と外れてたw
 まあいいや、とにかく『ウルヴァリンは二度死ぬ』って感じの映画でした。

 牢屋、ナース、火星探険・・・君はどのラブホテルを選ぶ!?

 21世紀に、こんな豪快に間違った日本が出てくる映画が見れるなんて、それだけで奇跡だよねwすごいよね、スタッフロールであんなに日本人が関わっているのに、めちゃくちゃw日本でロケしているのに異世界wパチンコ屋で銃撃があっても、気にせずみんなパチンコやってたり、もう『アウトレイジビヨンド』の世界なんだよw
 ここまで来ると、もはや意図的にやってるんじゃないのって気もする。つまり西洋人が思う「こうあって欲しい日本」っていうイメージがあるんじゃないか、と。
 スタッフロールと言えば、声の吹き替えで、のりおわかもとがクレジットされてたんだけど、どのキャラ当ててたんだろう。あの人すごい特徴的な声質だから普通気づくと思うんだけど・・・ヤクザBみたいな感じで混ざってたのかな(^_^;)

 ただ、なんかこれは自分のテンションの問題だったのかもしれないけど、最近ちょっとアメコミは食傷気味かな、って。ちょっと飽きてきちゃったというかw
 カナダで林業を営むヒーロー、ウルさんが、今回はずっと森に引きこもってて(CWニコルかw)、なんか全編通してすごいウジウジしてるんだよ(挙句の果てに弱体化w)。
 んで、こんな男、この前もどっかで見たな・・・って思ったら、ポストアベンジャーズのアイアン社長っていうね、かぶっちゃったっていうwでも、こんなん一年に何度も見たくないじゃんw
 それとも、こういうトラウマに悩まされるヒーローが今は受けているのかなあ?でも、どうせあれだろ?ロバート・ダウニーJrとかヒュー・ジャックマンみたいなイケメンがウジっているから「私が支えてあげたい♡」みたいに思うだけで、普通のおっさんが落ち込んでも「ふ~ん。で?」って感じだろ。冗談じゃないよ!ヽ(;▽;)ノ

 あの汚い人は誰?

 私はなんだかんだ言って、本も映画も、自分の日常生活に具体的に役に立つような、ある種の実学的なマニュアルとして読み解いているから、こういうウジウジが通用するなんて言われても、到底承服できないよ。愛想つかされて終わりだってw
 スーパーヒーローの真似をしたら、少しはモテるようじゃないと啓蒙としてはダメだよね。いや女にモテたいなんてのは不純か、でもやっぱヒーローたるものみんなの規範にならないと。
 オレだって、みんなと同じで悩んでいるんだよ、なんて言われても、でもお前超人的な力あるじゃん、そしてイケメンじゃんってなるしね。
 ・・・って何、私は本気でアメコミのキャラに嫉妬してるんだろう・・・だから美少女アニメも見れないんだよね。モテる主人公にジェラシー感じちゃうからw

 ジェラシーといえば、2012年の自分の中での流行語大賞だった「ターボタスティック!」だけど、昨日『シュガーラッシュ』のDVD届いてさ、さっそく見たんだよ。で、つくづく思った。やっぱり悪役のキャラがしっかりしていると、物語は引き締まる。
 今回の敵、ヤシダさんは、なんか作中ほとんど出てこないし・・・うん、出てこないから「ワハハ、オレが黒幕だ」って言われても、動機とかがよくわからなくてw
 せっかく長崎の原爆シーンで、ウル侍とヤシダさんが絡んでいるんでいるんだから、あそこはもっと雰囲気だけじゃなくて言葉で説明して欲しかったなあ。
 でも、原爆のシーンとかやっちゃうハリウッドはやっぱすごいよね。なんかもう尊敬しちゃうというか・・・ハリウッドにやれないものはないのだろうか。

 あの惨状を見て、ウルヴァリンもヤシダさんも思うところあったんだろうけど、やっぱりそこまで深く掘り下げるのは、難しかったのかなあ。
 「私はあの時圧倒的な死を見た。だからこそ今回の計画を練ったのだ」とか。あ、でも、原爆シーンにすでに刀に「不老不死」とか書いてあった(^_^;)
 もっと言えば、日本人って義理堅いから(特に戦中の人は)ああいう恩をあだで返すタイプの悪役はちょっとイメージに合わない気がする。
 それに、ああいう日本の大企業がアメリカを脅かしていたのってもう何年も前の話じゃんw今は韓国とか中国の方がしっくりくるしね。もう日本というより、そこら辺ひっくるめた「東アジア」ってことなのだろうか。

 ここらへんは本当はもっとリアルに描けたんだけど、大人の事情でほのめかすくらいしかできなかったんだよって言われると、あのシーンの評価は変わりそう。まあ、なんにせよ、とにかく原爆のシーンはすごい。
 日本軍もアメコミ黄金期みたいなイーブルじゃなくて、ちゃんと血のかよった人間として描いてるし・・・捕虜も逃がしてたよね(撃ってる奴もいたがw)。
 でも『X-メン』って確か、放射線かなんかで突然変異を起こした超人の話だったよね?だったら、やっぱり、原爆に絡めてもっと描ける余地はあったし、描きたかったんじゃないかな。というか、そういう複雑な心理描写を私が見てみたかった。
 ここは未来がもっと平和になった時の宿題なのかもしれない。思い返せばキューバ危機を題材にした『ファーストジェネレーション』も取ってつけたように、歴史的出来事を絡めていたなあw本当はそれが、物語の主題やキャラの葛藤に繋がって欲しいんだけどね。

 あと、これは、原爆のシーンと並列に語るのは抵抗があるけど、東海道新幹線のシーンは必見だ。あんなバカバカしいシーンは滅多に見れないってw
 あそこまでして命令に従う、日本のヤクザの根性ったらないよね。

 「さんざん体使わせやがって、勝手にしろ馬鹿野郎!」

日比谷への旅

 旅っていうか、割とちょくちょく行ってるんだけど・・・(^_^;)

 休日を利用して朝から夜まで一日中東京へ行っていました。目的は、ここ数日密か?に進めていた『80日間宇宙一周』小説化プロジェクトの打ち合わせと、パキPさんと『マン・オブ・スティール』の鑑賞。それが終わったら、ひとりで『タイピスト!』も見て帰ろうかな、と思ったら、パキPさんが「そういえば田代さんが好む映画を一度くらいは見てみたい」ってことで、『タイピスト!』にも付き合ってくれて、おっさん二人でドジで貧乏な女の子が、都会で素敵な男性と恋に落ちるという、THE少女マンガな映画を観る試練に耐えてきました。すまん・・・!ちがうんだ、これはちがうんだ。私は『オーケストラ!』の切ない共産主義者イワン・カブリーノフさんみたいなキャラを期待したんだ(T_T;)

 まずは午前中に帝国劇場で、YELLの社長と打ち合わせ。『80日間宇宙一周』のネームと、突貫工事で仕上げた小説版を同時に持ち込んで、読み比べてもらった。
 愚かにも社長が大阪人だってことを忘れていて、エセ関西人が出てくる漫画を読ませちゃったんだけど、「なんやこれ、こんなんよういわんわ、しばくぞ」とキレられる事もなく、事なきを得ました。自分と喋るときは標準語にしてくれているから、すっかり忘れていた・・・ひ~
 関東の人間が書いた割には、80日~のライトの関西弁は、大阪人が見てもほとんど違和感がなかったようなんだけど(奇跡が起こった)、標準語のミグと普段の生活でしゃべっているシーンならともかく、危機的状況ならライトはコテコテの関西弁に戻ると思う、とリアルなコメントをいただきました。
 でも、打ち合わせでも思ったんだけど、オレ、なんでアメリカ人のライトを関西弁のキャラにしたんだろう??考えたのもう昔だから覚えてないwでも「キャラにあってますね」って言われた。関西の人にそう言われると、やたら嬉しい。
 
 とにかく、社長がSF好きだったのも幸を奏して(会社経営者はSFを読んでいる人が多いって話は本当だったのか)、概ね好感触でYELLの小説枠を『80日間宇宙一周』用に一つ取ってもらえるようになりました。
 しかし、17歳の頃のジャンプの打ち合わせの相手はずっと年上で、2008年のマガジンの頃は相手も自分とほぼ同年代、そして今はとうとう年下の人と打ち合わせ・・・時の流れを感じてしまった。自分も、もうライトよりはミグの年齢だもんな・・・だから小説版を書いてて自然とミグの一人称には力が入っちゃったね。そしてちょっと漫画版よりも哀しい話になったね!
 打ち合わせで一番面白かったのは、土星編のあらすじを説明していた時。「この物語は戦闘機のテレビ通販のシーンで始まるんですよ。ユニクロはTシャツ売ってるけど、土星はそんなグローバル経済の論理で兵器売ってる星なんです」と自分のアイディアをちょっとひけらかしたら、「そうですか~確かに戦闘機の購入の話とか来ますもんね」という予想だにしなかったリアクション。
 企業の社長が自家用ジェットやヘリを買うのはわかる。だが待ってくれ。今の金持ちは戦闘機を買っているのか。これが今日の出来事で一番衝撃を受けた話だった。
 なんか節税対策で一口一億円とかで財産として所有するらしい。「うちではとても買えませんけどね」とか言ってたけど、まず庶民にはそんな話がそもそも来ないww

 それと、入門書すら正直わからない人のための、文系でもわかる高校数学の対談本計画は、企画に見合った人物を選ぶのが難しそう(頭の回転が早く、さらに頭の回転が絶望的に遅い自分の質問を忍耐強く聞いてくれる人)。いい機会があったら連絡してくれるらしい。
 でも、小説よりも私が自信があるのは、こっちの企画なんだよな。高校数学って本当やたら複雑になるけど、東大に行った人とか、どこまで本当に理解しているのか気になるんだよね。
 まずこういうものが、何に使っているかとか、どんな歴史でそれが研究されたのかとかも謎だし。それを数学の一般的なテキスト形式じゃなく、対談本として出すのが新しいと思うんだよね。歴史や文学みたいな分野では割と新書とかであるんだろうけれど、高校数学では聞いたことないし。
 だいたい入門書が難しいんだよ。多くの人は入門レベルの問題集からついてけないんだよ!入門、中級、実践はたくさんあるけど、本当に全く数学ができない人でも、ある程度のおおまかなイメージを掴むような入門の入門がない。ないってことは書けないからなのかもしれないが、それは文系が噛んでないからだと思うんだ。で、自分やっぱり文系だと思うし・・・
 読むと、問題が具体的に解けるようになるような、テストで実践的に役立つような本になるかは怪しい。でもそれ以上に読んでて楽しい本にしたい・・・って全然動き出しちゃいないけど!でも自分だったらそういう本が欲しいんだよ~

 で、あとは話が脱線して、漫画のキャラのかき分けの話とか、携帯小説の一般書籍化の話とか、生物学とか宇宙論とか、量子力学の話とかしてて、午前中が終わった。
 社長と別れたあと、正午にパキPさんと合流し、映画鑑賞。感想をいつもみたいに単体記事にしたいところだけど、もう疲れちゃったから、ここでちゃちゃっと覚書。なんか、どっちも想像以上に手堅い出来の映画でしたw

マン・オブ・スティール
「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆」
 マンステはとにかく壊す壊す。地球に壊すものなくなって最後人工衛星も壊してたw異星人のはた迷惑な二・二六事件に人類がとばっちり受けたような映画。
 あととにかくリチャード・シフ。リチャード・シフの作中登場時間が最長の映画だったかもしれない。もう後半シフしか見てなかった。『ジョニーイングリッシュ気休めの報酬』あたりからロマンスグレーの素敵なおじ様になっていたけど、あの映画と違って今回はサブキャラクター。そしてエディ・カー同様、命懸けでかっこいいことしやがるw
 ただ新生スーパーマンなんであんな人相悪いの?空を飛ぶ際に見せる笑顔が悪役の「ニヤリ」のそれで、こんなやつに「信じろ」って言われても信じられないよw
 でもパキPさんに貸してもらった、スーパーマンが貧困問題という強大な敵に立ち向かう漫画を帰りの電車で読んで泣いた(´;ω;`)やっぱあいついいやつ。
 笑いどころは、無限増殖するラッセル・クロウと、ファミレスで勤務してるスーパーマンのデブの幼馴染。ああいう『グーニーズ』のチャンクとか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のビフみたいなキャラは、条件反射で笑っちゃうよなw

タイピスト!
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」
 『タイピスト!』は、もう、とんでもなく場違いで、おっさん二人で見るような映画じゃなかったwもはや『けいおん!』見に行ったほうがまだマシっていうか、上昇志向のある女性がときめくような、素敵な恋と仕事のお話。『オーケストラ!』みたいな政治風刺ギャグはほとんどなかった…気がする(^_^;)
 フランス人って、とことんポジティブなのか、多少強引でもアムールをデウスエキスマキナにしちゃっていて、清々しいくらい展開がド直球w
 映画の見どころとなっている、タイプ選手権の女同士のえげつない戦いは、コミカルで面白い。おすすめバトルはフランス大会決勝。
 しかし人間って面白いよね。実用性を追求したはずの道具で、いつの間にやら、まったく非生産的なゲームをやりだしちゃうんだから。進化のランナウェイ説というか・・・
 でも見世物として経済が動くから無意味じゃないのか。でもさ、私なんというか、音ゲーの世界大会みたいに見えちゃってw確かに技術は凄まじいよ?でもそれ何の役に立つの??っていうw
 あと、この大会ってタイプライターを作っている会社の宣伝合戦にもなっていたらしいから、多少不公平でも、大会で使用するタイプライターは選手の自由なんだよね。同じ規格を使わなくてもいいという。なら、もう紙をああやって手動で取り替える必要がないタイプライター作れよ、とは思ったw

 まあそんな感じで楽しい一日でした。

 あ、最後にもう一度、小説について。私は漫画部門だったから、知らなかったんだけどYELLでは、小説の更新は毎日(!)らしく、そんなペースじゃ私はどう考えても、早かれ早かれ原稿を落とすので、予め殆ど完成させてから連載を開始することにしました。だから冬くらいになりそう。
 それに『80日間宇宙一周』って冬のように寒い星の冥王星からスタートするし、それくらいの時期なら、小説も完成しているかなあって。突貫工事とは言え、5日で6万字書けたからね、私。出来はわからないけど・・・
 あと、文字のフォントがひとつだけなのと、斜体や大きさも変更できないのは正直辛いなあって・・・でも仕方ないから表現方法を工夫します。載せてもらえるだけありがたい!
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