望月村――
重機や戦車が望月村を取り囲む。
ラウドスピーカーで呼びかける織田信長
「え~望月村の皆さん、こんばんは。織田信長です。
おとなしくこの村の土地から1時間以内に退去しなさい。
でないと、この村はモバイルストライクになります。」
信長側に寝返った長門「あいつらは決して降伏しませんよ、我が主、信長様・・・」
「そうなの?」
「ええ。バカだからです」
「・・・で、君は誰?」
「あなたの下僕、長門守です。以後おみしりおきを・・・」
村役場――
助役「村長・・・!」
村長「とっととこんな村はくれてやろう!!」
助役「そうですね・・・!」
金吾「馬鹿者!!」
村長「望月さん・・・!」
金吾「お前たちは甲賀忍者としてのプライドはないのか!?
捕虜になるより誇り高い死を選ばんか!」
村長と助役(・・・なら、なんで自分の荷物をまとめてるんだろう・・・)
金吾「くそ~こんな時に翼がいてくれたら・・・」
千代女「なに情けないこと言ってんのよ男どもは・・・」
百地「加勢するぞ甲賀忍者の諸君・・・」
伊賀忍者の生き残りが集まってくる。
「!!」
千代女「え・・・?」
金吾「キサマ・・・!」
百地「お久しぶりです先生・・・」
金吾「なにが先生じゃ!守銭奴め!伊賀の忍びの手など借りんわ!」
千代女「今はそんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
百地「その通り・・・今は伊賀と甲賀が手を組むとき・・・」
金吾「わしはだまされんぞ。おまえは大嘘つきじゃ!」
千代女「確かにあなたらしくない。会社は捨ててきたの?」
百地「信長の本当の目的はこの土地だ・・・
ここを守らなければ我々忍者の勝利はない・・・
結界はどれだけ張れる?」
千代女「甘くみないでちょうだい。村の半分はいけるわ」
百地「よろしい。では、もう半分は我々が守ろう。
村長は民間人を村中心部に避難させてください。」
駆け出す村長「はい・・・!」
金吾「なんでおまえが仕切るんじゃ!!」
・
腕時計を見る長門「・・・そろそろ一時間ですが・・・どういたしますか信長様。」
信長「じゃあちょっと早いけど、やっちゃおうか。」
長門「戦車隊前へ!望月村を焦土と変えるのだ!!撃てい!!!」
・
望月村へ至る山道を駆けるカイト。
「はあはあ・・・セスナを壊すんじゃなかった・・・!」
車のクラクション。
カイトの横に明智が運転するピックアップトレーラーが止まる。
「!」
翼「カイトさん乗って!!」
「翼さん!やっぱり生きてたんだ!」
・
車内――
翼「そうですか・・・父が信長に・・・」
風間「ごめんね、間に合わなかった・・・」
翼「いや、謝らないでください・・・」
明智「彼は何者?」
翼「伝説の忍者の風間カイトさんです。
カイトさん、こちらは科学者の明智博士です」
明智「どうも。」
風間「・・・つまり、あの土地から核兵器ができるの!!??」
明智「ええ。つまり日本も核保有国となるんだね」
風間「そんな他人事のように・・・」
翼「だから望月村は絶対に信長に渡しちゃいけない・・・!」
明智「それはいいけど・・・ねえねえ何か聞こえない・・・?」
風間「砲撃してる・・・!」
・
結界で戦車を防ぐ千代女。結界用の札を並べていく。
「これは長丁場になりそうね・・・」
百地「篭城戦か。食料はどれくらいある?」
村長「それが備蓄米のほとんどを丹羽という商社マンに売ってしまったんです・・・」
助役「ええ、言い値ですべて買ってくれて・・・」
村長「あれは儲かった♪」
千代女「馬鹿ね!札束で腹が膨れるの?これは言ってみれば兵糧攻めよ!」
村長「そんなこといったってどこも地方行政は苦しいんだ!」
百地「こんな時に内輪もめはやめたまえ!
村長、信長がこの村を狙う目的は何だと思います?」
村長「いや、全然・・・」
助役「もしかして、北西部の薬草園では・・・?」
百地「薬草園?」
村の地図を広げる助役。
助役「はい、この場所は古くから甲賀忍者が薬に使う特殊な薬草が生えているんです・・・」
百地「どこら辺ですか?正確に教えて下さい」
村長「ここです・・・」
百地「ここか・・・」
無線機を取り出す百地。
「例の場所がわかりました。座標はAの113です、信長様・・・」
「!!」
千代女にシュレッダーの鉤爪のような刀を突きつける百地
「それでは、その場所の結界を解いてくれるかな・・・」
千代女「今は伊賀と甲賀が手を組む時じゃなかったの・・・?」
百地「冗談じゃない・・・私は都会派なんだ。」
千代女「そう・・・」
百地「さあ、結界を解け。」
千代女「それはできないわ。私はこの村が好きなの。」
百地「そうか・・・私たちは気が合っていると思っていたが・・・残念だよ」
千代女の首に向けて刀を振るう百地。
その刹那、望月金吾が刀で百地に斬りかかってくる。
ぎりぎりでこれをかわす百地。
千代女「お父さん!!」
金吾「言ったはずじゃ・・・こいつは絶対信用するなと・・・!」
百地「その太刀筋・・・危うく見切れないところでしたよ・・・」
金吾「あたりまえじゃ、誰がおまえに刀を教えたと思っておる・・・」
百地「しかし、私はあんたを越えた・・・!」
金吾を切りつける百地。
千代女「お父さん!!」
伊賀忍者が押し入ってくる「おとなしくしろ!」
手を挙げる一同。
倒れる金吾「無念じゃ・・・屁さえ出れば・・・」
百地「最後の忠告だ。
このハゲじじいを殺されたくなければ、薬草園の結界を切れ。」
千代女「・・・私の負けよ。」
結界の札を取る。
金吾「ば・・・バカ娘が・・・」
千代女「孫の顔を見るまで死ねないんじゃなかったの?」
『風と翼:REVIVE』脚本⑧
2018-06-25 21:29:56 (6 years ago)
回想
忍者学校幼稚園の先生
「今日は母の日です!そこでこの企画!
お母さんの絵を描きまっしょいのコーナー!!」
子供の頃のつばさ「・・・・・・。」
「パパ・・・なんでつばさにはママがいないん?」
「それは・・・パパとママはちょっと喧嘩しちゃってね・・・
ママは出てっちゃったんだよ・・・」
「じゃあ、仲直りすれば帰ってくるんだよね・・・?」
「つばさ・・・」
「うう・・・」
謎の地下研究施設で目を覚ます翼
「い・・・生きてる・・・??」
遠くで機材を点検している白衣の男。
明智「おめざめだ。」
「あなたが助けてくださったんですか・・・?」
「そだよ」
「ありがとうございます・・・」
「あいつらとキミが互角にやりあってるのを見てたら、つい応援したくなっちゃってね」
「あなたも織田信長の手下なんですか?」
「不本意ながらね。僕の名は明智光秀。
もともとは足利総理のもとで文科省の事務次官をやってたんですけど、信長さんに強引に引き抜かれてここで研究開発をしています・・・」
「研究・・・?」
「非合法でやばいやつね。でも、そのおかげであなたが今生きている・・・」
植木鉢を持ってくる明智。
「君には見覚えがあるんじゃないかな」
「それって・・・」
「ハイ。望月村の土壌のサンプルです。
正直、ここに運び込まれたときの君の体はむごいの一言でしたよ。
全身黒焦げで目玉なんか取れかかっててね・・・」
「う・・・嘘ですよね・・・??」
「だが、この植物から私が抽出したエキスで君の体組織は再生した・・・右腕を見てごらんなさい」
右腕の傷が全くなくなっている。
「・・・!傷が・・・!!」
「甲賀の奥義を見よう見まねでやってみたんだ。すごいでしょ。すごいよね。」
「これが望月村を狙った織田信長の目的・・・?」
「それだったら平和なんだけどね・・・会長の目的はこちらさ。ついておいで」
電動の扉が空くと、奥に核ミサイルが並んでいる。
「核ミサイルは全部で193本。
旧今川重工さんの施設で世界中の国の数だけご用意しました。」
「!!!」
「自然科学ってのは面白いものでね・・・どんな病気やケガも治癒する薬草を育てる土壌から、プルトニウムを凌ぐ核燃料が取り出せる・・・新世紀のハーバー・ボッシュ法ってところかな」
「なんてことを・・・!」
「核戦力が一部の国に偏っているからよくないって信長さんは思っているみたいで、ここにあるミサイルを一本ずつ世界中の全ての国に試供品として配るんだって。
そしてこの核ミサイルの作り方を全世界にネット上で配信するんだってさ」
「そんなことしたら・・・」
「望月村の所有者は世界の支配者になるでしょうね」
「こんな恐ろしい計画をあなたは黙って進めてるんですか!!?」
「いや~正直怖いよね。怖くてたまらないよ。
でもさ、社会人てのは上司の命令には逆らえないわけでね・・・
信長さんに推薦状に協調性無しって書かれちゃたまんないわけ。」
「なら、私がやる・・・」
「そう言うと思ったよ。だから君を助けたんだ。」
・
セスナ機で伊賀の国へ向かうカイト。
「人間死ぬ気になれば飛行機も操縦できるんだな・・・」
眼下には火の手が上がっている。
「伊賀エージェンシーが壊滅してる・・・!遅かった・・・!!」
セスナ機を胴体着陸させるカイト。
「車輪出すの忘れた・・・」
伊賀エージェンシーメインゲート――
人が倒れている。
駆け寄るカイト。
「あ、あなたは、クビになった長門の代わりに隊長になったモブの人・・・!」
モブ「不覚であった・・・
こちらの情報は全て織田側に筒抜け・・・間者がいたようだ・・・」
「大丈夫ですか?しっかり・・・!百地さんは!!??」
「うう・・・社長は信長に捕らえられた・・・」
「そんな・・・!」
「織田軍は甲賀に向かった・・・
次は甲賀忍者を滅ぼすつもりだ・・・急げ・・・」
気を失う。
「モブの人・・・!」
無人の社長室へ行くカイト。
ふと、デスクの固定電話に気づく。
最終履歴に発信する。
「はい尾張財団です・・・」
電話を切るカイト。
(伊賀忍者の言うことは絶対信じちゃダメです。)
「・・・・・・。」
社長のデスクの引き出しを開ける。
機密と書かれた分厚いファイルが出てくる。
「コード:REVIVE・・・?」
ファイルを開くと、翼の部屋にあったのと同じ翼と百地の写真が閉じてある。
忍者学校幼稚園の先生
「今日は母の日です!そこでこの企画!
お母さんの絵を描きまっしょいのコーナー!!」
子供の頃のつばさ「・・・・・・。」
「パパ・・・なんでつばさにはママがいないん?」
「それは・・・パパとママはちょっと喧嘩しちゃってね・・・
ママは出てっちゃったんだよ・・・」
「じゃあ、仲直りすれば帰ってくるんだよね・・・?」
「つばさ・・・」
「うう・・・」
謎の地下研究施設で目を覚ます翼
「い・・・生きてる・・・??」
遠くで機材を点検している白衣の男。
明智「おめざめだ。」
「あなたが助けてくださったんですか・・・?」
「そだよ」
「ありがとうございます・・・」
「あいつらとキミが互角にやりあってるのを見てたら、つい応援したくなっちゃってね」
「あなたも織田信長の手下なんですか?」
「不本意ながらね。僕の名は明智光秀。
もともとは足利総理のもとで文科省の事務次官をやってたんですけど、信長さんに強引に引き抜かれてここで研究開発をしています・・・」
「研究・・・?」
「非合法でやばいやつね。でも、そのおかげであなたが今生きている・・・」
植木鉢を持ってくる明智。
「君には見覚えがあるんじゃないかな」
「それって・・・」
「ハイ。望月村の土壌のサンプルです。
正直、ここに運び込まれたときの君の体はむごいの一言でしたよ。
全身黒焦げで目玉なんか取れかかっててね・・・」
「う・・・嘘ですよね・・・??」
「だが、この植物から私が抽出したエキスで君の体組織は再生した・・・右腕を見てごらんなさい」
右腕の傷が全くなくなっている。
「・・・!傷が・・・!!」
「甲賀の奥義を見よう見まねでやってみたんだ。すごいでしょ。すごいよね。」
「これが望月村を狙った織田信長の目的・・・?」
「それだったら平和なんだけどね・・・会長の目的はこちらさ。ついておいで」
電動の扉が空くと、奥に核ミサイルが並んでいる。
「核ミサイルは全部で193本。
旧今川重工さんの施設で世界中の国の数だけご用意しました。」
「!!!」
「自然科学ってのは面白いものでね・・・どんな病気やケガも治癒する薬草を育てる土壌から、プルトニウムを凌ぐ核燃料が取り出せる・・・新世紀のハーバー・ボッシュ法ってところかな」
「なんてことを・・・!」
「核戦力が一部の国に偏っているからよくないって信長さんは思っているみたいで、ここにあるミサイルを一本ずつ世界中の全ての国に試供品として配るんだって。
そしてこの核ミサイルの作り方を全世界にネット上で配信するんだってさ」
「そんなことしたら・・・」
「望月村の所有者は世界の支配者になるでしょうね」
「こんな恐ろしい計画をあなたは黙って進めてるんですか!!?」
「いや~正直怖いよね。怖くてたまらないよ。
でもさ、社会人てのは上司の命令には逆らえないわけでね・・・
信長さんに推薦状に協調性無しって書かれちゃたまんないわけ。」
「なら、私がやる・・・」
「そう言うと思ったよ。だから君を助けたんだ。」
・
セスナ機で伊賀の国へ向かうカイト。
「人間死ぬ気になれば飛行機も操縦できるんだな・・・」
眼下には火の手が上がっている。
「伊賀エージェンシーが壊滅してる・・・!遅かった・・・!!」
セスナ機を胴体着陸させるカイト。
「車輪出すの忘れた・・・」
伊賀エージェンシーメインゲート――
人が倒れている。
駆け寄るカイト。
「あ、あなたは、クビになった長門の代わりに隊長になったモブの人・・・!」
モブ「不覚であった・・・
こちらの情報は全て織田側に筒抜け・・・間者がいたようだ・・・」
「大丈夫ですか?しっかり・・・!百地さんは!!??」
「うう・・・社長は信長に捕らえられた・・・」
「そんな・・・!」
「織田軍は甲賀に向かった・・・
次は甲賀忍者を滅ぼすつもりだ・・・急げ・・・」
気を失う。
「モブの人・・・!」
無人の社長室へ行くカイト。
ふと、デスクの固定電話に気づく。
最終履歴に発信する。
「はい尾張財団です・・・」
電話を切るカイト。
(伊賀忍者の言うことは絶対信じちゃダメです。)
「・・・・・・。」
社長のデスクの引き出しを開ける。
機密と書かれた分厚いファイルが出てくる。
「コード:REVIVE・・・?」
ファイルを開くと、翼の部屋にあったのと同じ翼と百地の写真が閉じてある。
『風と翼:REVIVE』脚本⑦
2018-06-25 21:26:48 (6 years ago)
47階 滋賀県立南蛮貿易博物館収蔵庫
ところせましと西洋の美術品(高性能火縄銃や地球儀、からくり時計)が並んでいる。
翼「ここを通って上に行くしかないようですね。」
カイト「本当に博物館になってる…」
翼「私が様子を確認します・・・」
カイト「まって翼さん!」
翼「きゃっ!」
翼をつかまえる丹羽。首に万年筆を指す。となりには柴田。後ろには二人の兵たち。
丹羽「ほら言ったでしょ?こいつら仲間だって。」
柴田「おまえやるなあ。」
翼「カイトさんすいません油断しました・・・」
丹羽「滋賀県立南蛮貿易博物館へようこそ。
ここの館長で総務部の丹羽と言います。
こちらは参謀本部長の柴田氏。」
翼「あなた方が有名な信長四天王・・・忍者並に気配を消すとは見事です・・・うう・・・」
柴田「ま、そりゃそうだろ。こいつぱっと見ただのサラリーマンだからな。」
丹羽「まったく武将に見えないってよく言われます。」
カイト「し、四天王!?この人たちが?」
丹羽「スナックで会ったよね。」
翼「う・・・不覚・・・」
カイト「翼さんを離せ!」
丹羽「勝手に不法侵入して、それはないでしょう。おたく。」
柴田「その通りだ。そっちこそ目的を言いな。・・・まあ大体想像はつくがな。
おまえら伊賀が有利になるような情報なんてここにはねえぞ。
こそこそ泥棒みてえなことしてねえで、いっそのこと正々堂々戦ったらどうじゃ。」
カイト「忍者はそれが仕事みたいでね・・・
あんたら軍隊の弱点を調べ上げて、こんなバカな戦中止させたかったんだよ。」
丹羽「言っておくけど戦は中止しませんよ。
どこの世界に100%勝てる戦やめる戦国武将がいるんです?」
カイト「なぜ100%と言いきれる・・・?戦もスポーツも勝敗は水ものだろ。」
丹羽「・・・まあね。
さて、彼女の喉をかっ切られたくなかったら、大人しく武器を捨ててもらいましょうか?」
カイトに詰め寄る兵たち。
翼「カイトさん!!これは私のミスです!私に構わず逃げてください!」
カイト「・・・・・・。」
翼「カイトさん!」
カイト「・・・あんた・・・ここの館長だって言ってたよな・・・例えば…」
展示品の壺を手に取るカイト。
カイト「この博物館の展示品が壊れたら、みんなあんたの責任になるんじゃないのか?」
丹羽「げえええええ!きみやめなさい!
それ会長がお気に入りの李朝の白磁器じゃないか!時価3000万だぞ!そいつを元の場所におけ!さもなくばこいつを殺すぞ!!」
カイト「あんたこそ翼さんを開放しろ!そのお気に入りの壺を割られたくなかったらな!
あああ、重くて手がしびれてきたよ~」
丹羽「まじで止めろ、てめえコラ~!!」
柴田「・・・・・。(・・・馬鹿馬鹿しい。ただの壺じゃねえか。)」
丹羽「わかった、返す!返すからそれよこせ!」
翼をカイトの方へ突きとばす丹羽。
カイト「ようし、ちゃんと受け取れ!」
壺を丹羽の方へ放り投げるカイト。
丹羽「馬鹿やろう!なげるんじゃねえええ!」
猛ダッシュして壺をスライディングキャッチする丹羽。
丹羽「うおおおおお!取ったど~!・・・・・・ん?」
壺の中に手榴弾が入っている。爆発する手榴弾。
丹羽「ぐわ~~~~!!」
部屋中に手榴弾の煙幕が広がる。
翼の手を取るカイト「にげよう!」
丹羽「追え~!ぶっ殺せ!!」
二人を追いかけようとする兵たち。
しかし煙幕で視界が悪く展示品につまずく。
丹羽「馬鹿!展示品に配慮して追うんだよ!」
柴田「いた!あそこだ!階段を上がって動物園に行くつもりだ!」
追手の柴田たちに対し、西洋の鎧などの展示物を倒しながら逃げるカイト。
丹羽「ぎゃああ!やめんか~!!」
兵たちは階段を上ろうとするが巨大な地球儀の球が滑り落ちてくる。
階段を逆走する兵士「うわあああああ!」
地球を受け止めて、階段の外に投げ飛ばす柴田「どっせい!」
階段の下の丹羽に呼びかける柴田「丹羽何やってる!来い!」
丹羽たちは追跡をあきらめ、帳簿をつけている。
丹羽「無理!壊れた収蔵品のリストを今日中に作成しないと…!ええとあと地球儀が1…」
柴田「うぬぬ・・・中間管理職が~・・・!お前らはついてこい!」
柴田の兵「は!」
走るカイトと翼「はあはあ・・・」
「あれも父のメモに書いてあったんですか・・・?」
「いや、アドリブ・・・」
48階 私設動物園
動物園に入るカイトと翼。
キリンに顔をなめられる翼「ひい!」
柴田たちも動物園に入ってくる。
柴田「探せ!」
翼「カイトさん入って来ました・・・!」
博物館からくすねた銃を持つカイト
「もうこうなったらやけくそだ・・・!」
背後にある大きな水槽を銃を撃ってぶち割るカイト。
柴田「銃声?」
二人を見つけ指さす兵士「御大将あそこです!・・・あ、あれは!」
柴田「なんだ!」
檻を開けられた動物たちキリンやダチョウ、シマウマの群れが柴田たちの方へ暴走してくる。
兵士「こっちにくるぞ!逃げろ~!!」
柴田「馬鹿もの逃げるな!うぬらそれでも男か~!」
動物園に入ってくる丹羽
丹羽「リストつけ終わりました…ネズミ退治は終わりました?・・・うお!!」
柴田が大暴れする巨大なワニの頭に乗って必死に顎を抱え込んでいる。
「柴田さん!クロコダイルダンディーにでもなるんですか!?」
柴田「馬鹿やろう!早くガムテープもってこい~!!(食われる!)」
49階への階段を上る柴田と丹羽。
柴田「東インド会社の野郎、あんな怪獣送りつけやがって…」
丹羽「さんざんこけにされましたね・・・ここらで我々の恐ろしさを見せてやりましょう。」
49階 織田軍統合参謀本部
部屋に入り、入り口を閉め、ドアの取っ手にライフルをかけて開かないようにするカイト。
カイト「これで少しは時間が稼げるね。ん?・・・何かおかしい?」
翼「いえ・・・なんか、私なんかよりもどんどん忍者っぽくなっていくなって・・・」
カイト「ははは・・・わりかし野球よりも向いているのかもね・・・」
「私の助けも必要ないみたいですね・・・」
「いやいや・・・」
無人の作戦本部の円卓に広げられた資料に目をやる翼。
翼「み・・・みてください・・・」
カイト「これは・・・」
翼「伊賀の…わたしたちの・・・内部資料がこんなに・・・なんで・・・」
カイト「・・・情報流出だ・・・伊賀の戦法やメンバーの戦力・・・隠し砦の位置まですべてのデータがあるぞ。」
翼「だからさっき100%勝つって…
うすうす感づいてたんだ・・・こんなことになってるんじゃないかって・・・」
ボードにはカイトと翼の人相描きが張りつけられている。
翼「これ・・・私達ですよ・・・」
カイト「そうだね・・・」
ボードの覚え書を読む翼「風間海人・・・百地翼の両名に注意せよ・・・
彼らはトップクラスの忍びである・・・
逆にそれ以外は多勢に無勢で押し切ればたいした脅威ではない・・・」
書類をめくり続ける風間「・・・いったい。」
翼「甲賀忍者に比べ、伊賀忍者の結束はもろい。
社長の丹波は金のことしか見えない強欲経営者。役員たちは足の引っ張り合いで、皆己のことしか考えてないものばかり・・・
風間と翼のいない忍者たちは戦の敵ではない。
これって・・・」
カイト「・・・俺たちははめられた。信長はこの城自体を“囮”にしたんだ・・・!」
翼「じゃあ今頃伊賀の国は・・・!!」
ドアを破って入ってくる柴田と丹羽。
丹羽「お察しの通り。会長はもうこの城にはいませんよ。
今頃全軍を上げて伊賀に攻め込んでいるはずです。
あなた方邪魔ものがいない伊賀をね。」
翼「見上げた悪党ですね…」
柴田「まあ見損なうな。わしはお前らなどそんな小賢しい手を使わなくとも伊賀忍者ごとき叩き潰せると思うがの。」
翼「なら今ここでやってみますか・・・?」
カイト「つ・・・翼さん!?急に何を言って・・・」
柴田「どういう風の吹きまわしだ?さっきまで逃げ回っておったのに。
わしの相手になる気か。」
翼「違います・・・二人まとめてですよ」
柴田「がっはっは!気に言ったぞ!翼とやら!
可愛い女の子に挑発されるとは、信長四天王もなめられたもんだのう丹羽よ!」
丹羽「あれだけの美術品を壊したんだ、なんにせよただで返す気は毛頭ありませんよ。」
翼「カイトさん・・・・・・約束は覚えてますね・・・」
カイト「まさか・・・」
翼「私があの二人をひきつけてる間に逃げてください。
そして一刻も早く伊賀に戻り、ここで見たことを皆に・・・!」
カイト「オレも戦うよ・・・!」
翼「相手は信長四天王です・・・!
たとえ二人で戦っても殺されちゃいます。
ならば、どちらかだけでも逃げ延びれば、それは勝利なんです。」
カイト「そんな・・・」
翼「今日で分かった・・・カイトさん、あなたはもう立派なプロの忍びです・・・
プロの忍びはときに冷静に判断しなければいけない。
だから・・・私の合図で逃げてください・・・
そして・・・お父さんを助けて・・・」
カイト「翼さん・・・」
二人との間合いを詰める四天王。
カイト「絶対助けに戻ってくるからね・・・」
翼「待ってます・・・」
翼「3・・・2・・・1・・・今です!」
柴田と丹羽「!」
書類が巻き上がり、一瞬敵の姿を見失う信長四天王。
丹羽「この葉隠れの術・・・!」
頭上に翼が移動している。
柴田「上か!」
翼「もらった!」
刀で切りつける翼。
柴田の頑丈な肉体には全く効かない。
翼「嘘っ!?」
落下してくる翼に拳を振るう柴田「ぬうん!」
柴田の鉄拳がかする翼「ぐあっ!」
柴田「うむ。よくぞかわした。」
着地する翼「はあはあ・・・かすっただけでこの威力・・・」
間髪入れず万年筆がつきだして来る。
翼「くっ!」
丹羽「敵は他にもいますよ。お忘れなく。」
忍び刀を抜き振るう翼。ぎりぎりでその攻撃を発注書のボードで受け止める丹羽。
丹羽「踏み込みが甘いねえ翼ちゃん。
もっと殺す気で来ないと相手にならんよ!ほらほら」
万年筆をかわすので精一杯の翼。
丹羽「ソードダンサーと呼ばれた二年前なら勝てたかな・・・?」
翼「うう・・・!」
丹羽と戦ってる翼を二人まとめてぶん殴ろうとする柴田。
丹羽はよけるが翼はまともに食らって吹っ飛び壁に叩きつけられる。
翼「ぐあああ!」
柴田「こらあ丹羽!きさま何故わしの戦いに手を出すのじゃ~!」
丹羽「しかたないでしょう。一人逃げちゃったんだから。」
柴田「きさま~!なぜそっちを追わん!」
丹羽「あの男の子逃げ足が早くて、見失っちゃったんですもん・・・!」
ボロボロの翼が笑う。
二人「?」
翼「逃げてくれたんだ・・・ありがとうカイトさん・・・」
丹羽「なんか喜んでいますよ」
柴田「サイテーの彼氏だと思うが・・・」
よろよろと立ちあがる翼。
丹羽「柴田さん、なんか様子が変ですよ。
男に捨てられておかしくなっちゃったんじゃ…」
翼「あの人はそんな人じゃない・・・!
あの人は弱い人の頼みは絶対断れない正義の忍び・・・
人のあるべき姿なんだ・・・!」
ベストから何かを取り出す。
柴田「む!あれは・・・!」
翼「・・・最期に信長四天王の首を取れれば上出来かな。」
丹羽「高性能黒色爆薬だ!やめろ!このフロアには武器庫も・・・!」
翼「さらばです、カイトさん・・・!」
50階 隠し飛行場
格納庫にはヘリやセスナ機が並び、奥には滑走路がある。
カイト「そうか・・・緊急時にはこれがあるから非常階段がなかったんだ・・・
これを使えばここから逃げられる・・・!翼さんを呼んでこよう!」
その瞬間下の階で大爆発が起こる。
カイト「つ・・・」
「翼さ~~~ん!!!」
ところせましと西洋の美術品(高性能火縄銃や地球儀、からくり時計)が並んでいる。
翼「ここを通って上に行くしかないようですね。」
カイト「本当に博物館になってる…」
翼「私が様子を確認します・・・」
カイト「まって翼さん!」
翼「きゃっ!」
翼をつかまえる丹羽。首に万年筆を指す。となりには柴田。後ろには二人の兵たち。
丹羽「ほら言ったでしょ?こいつら仲間だって。」
柴田「おまえやるなあ。」
翼「カイトさんすいません油断しました・・・」
丹羽「滋賀県立南蛮貿易博物館へようこそ。
ここの館長で総務部の丹羽と言います。
こちらは参謀本部長の柴田氏。」
翼「あなた方が有名な信長四天王・・・忍者並に気配を消すとは見事です・・・うう・・・」
柴田「ま、そりゃそうだろ。こいつぱっと見ただのサラリーマンだからな。」
丹羽「まったく武将に見えないってよく言われます。」
カイト「し、四天王!?この人たちが?」
丹羽「スナックで会ったよね。」
翼「う・・・不覚・・・」
カイト「翼さんを離せ!」
丹羽「勝手に不法侵入して、それはないでしょう。おたく。」
柴田「その通りだ。そっちこそ目的を言いな。・・・まあ大体想像はつくがな。
おまえら伊賀が有利になるような情報なんてここにはねえぞ。
こそこそ泥棒みてえなことしてねえで、いっそのこと正々堂々戦ったらどうじゃ。」
カイト「忍者はそれが仕事みたいでね・・・
あんたら軍隊の弱点を調べ上げて、こんなバカな戦中止させたかったんだよ。」
丹羽「言っておくけど戦は中止しませんよ。
どこの世界に100%勝てる戦やめる戦国武将がいるんです?」
カイト「なぜ100%と言いきれる・・・?戦もスポーツも勝敗は水ものだろ。」
丹羽「・・・まあね。
さて、彼女の喉をかっ切られたくなかったら、大人しく武器を捨ててもらいましょうか?」
カイトに詰め寄る兵たち。
翼「カイトさん!!これは私のミスです!私に構わず逃げてください!」
カイト「・・・・・・。」
翼「カイトさん!」
カイト「・・・あんた・・・ここの館長だって言ってたよな・・・例えば…」
展示品の壺を手に取るカイト。
カイト「この博物館の展示品が壊れたら、みんなあんたの責任になるんじゃないのか?」
丹羽「げえええええ!きみやめなさい!
それ会長がお気に入りの李朝の白磁器じゃないか!時価3000万だぞ!そいつを元の場所におけ!さもなくばこいつを殺すぞ!!」
カイト「あんたこそ翼さんを開放しろ!そのお気に入りの壺を割られたくなかったらな!
あああ、重くて手がしびれてきたよ~」
丹羽「まじで止めろ、てめえコラ~!!」
柴田「・・・・・。(・・・馬鹿馬鹿しい。ただの壺じゃねえか。)」
丹羽「わかった、返す!返すからそれよこせ!」
翼をカイトの方へ突きとばす丹羽。
カイト「ようし、ちゃんと受け取れ!」
壺を丹羽の方へ放り投げるカイト。
丹羽「馬鹿やろう!なげるんじゃねえええ!」
猛ダッシュして壺をスライディングキャッチする丹羽。
丹羽「うおおおおお!取ったど~!・・・・・・ん?」
壺の中に手榴弾が入っている。爆発する手榴弾。
丹羽「ぐわ~~~~!!」
部屋中に手榴弾の煙幕が広がる。
翼の手を取るカイト「にげよう!」
丹羽「追え~!ぶっ殺せ!!」
二人を追いかけようとする兵たち。
しかし煙幕で視界が悪く展示品につまずく。
丹羽「馬鹿!展示品に配慮して追うんだよ!」
柴田「いた!あそこだ!階段を上がって動物園に行くつもりだ!」
追手の柴田たちに対し、西洋の鎧などの展示物を倒しながら逃げるカイト。
丹羽「ぎゃああ!やめんか~!!」
兵たちは階段を上ろうとするが巨大な地球儀の球が滑り落ちてくる。
階段を逆走する兵士「うわあああああ!」
地球を受け止めて、階段の外に投げ飛ばす柴田「どっせい!」
階段の下の丹羽に呼びかける柴田「丹羽何やってる!来い!」
丹羽たちは追跡をあきらめ、帳簿をつけている。
丹羽「無理!壊れた収蔵品のリストを今日中に作成しないと…!ええとあと地球儀が1…」
柴田「うぬぬ・・・中間管理職が~・・・!お前らはついてこい!」
柴田の兵「は!」
走るカイトと翼「はあはあ・・・」
「あれも父のメモに書いてあったんですか・・・?」
「いや、アドリブ・・・」
48階 私設動物園
動物園に入るカイトと翼。
キリンに顔をなめられる翼「ひい!」
柴田たちも動物園に入ってくる。
柴田「探せ!」
翼「カイトさん入って来ました・・・!」
博物館からくすねた銃を持つカイト
「もうこうなったらやけくそだ・・・!」
背後にある大きな水槽を銃を撃ってぶち割るカイト。
柴田「銃声?」
二人を見つけ指さす兵士「御大将あそこです!・・・あ、あれは!」
柴田「なんだ!」
檻を開けられた動物たちキリンやダチョウ、シマウマの群れが柴田たちの方へ暴走してくる。
兵士「こっちにくるぞ!逃げろ~!!」
柴田「馬鹿もの逃げるな!うぬらそれでも男か~!」
動物園に入ってくる丹羽
丹羽「リストつけ終わりました…ネズミ退治は終わりました?・・・うお!!」
柴田が大暴れする巨大なワニの頭に乗って必死に顎を抱え込んでいる。
「柴田さん!クロコダイルダンディーにでもなるんですか!?」
柴田「馬鹿やろう!早くガムテープもってこい~!!(食われる!)」
49階への階段を上る柴田と丹羽。
柴田「東インド会社の野郎、あんな怪獣送りつけやがって…」
丹羽「さんざんこけにされましたね・・・ここらで我々の恐ろしさを見せてやりましょう。」
49階 織田軍統合参謀本部
部屋に入り、入り口を閉め、ドアの取っ手にライフルをかけて開かないようにするカイト。
カイト「これで少しは時間が稼げるね。ん?・・・何かおかしい?」
翼「いえ・・・なんか、私なんかよりもどんどん忍者っぽくなっていくなって・・・」
カイト「ははは・・・わりかし野球よりも向いているのかもね・・・」
「私の助けも必要ないみたいですね・・・」
「いやいや・・・」
無人の作戦本部の円卓に広げられた資料に目をやる翼。
翼「み・・・みてください・・・」
カイト「これは・・・」
翼「伊賀の…わたしたちの・・・内部資料がこんなに・・・なんで・・・」
カイト「・・・情報流出だ・・・伊賀の戦法やメンバーの戦力・・・隠し砦の位置まですべてのデータがあるぞ。」
翼「だからさっき100%勝つって…
うすうす感づいてたんだ・・・こんなことになってるんじゃないかって・・・」
ボードにはカイトと翼の人相描きが張りつけられている。
翼「これ・・・私達ですよ・・・」
カイト「そうだね・・・」
ボードの覚え書を読む翼「風間海人・・・百地翼の両名に注意せよ・・・
彼らはトップクラスの忍びである・・・
逆にそれ以外は多勢に無勢で押し切ればたいした脅威ではない・・・」
書類をめくり続ける風間「・・・いったい。」
翼「甲賀忍者に比べ、伊賀忍者の結束はもろい。
社長の丹波は金のことしか見えない強欲経営者。役員たちは足の引っ張り合いで、皆己のことしか考えてないものばかり・・・
風間と翼のいない忍者たちは戦の敵ではない。
これって・・・」
カイト「・・・俺たちははめられた。信長はこの城自体を“囮”にしたんだ・・・!」
翼「じゃあ今頃伊賀の国は・・・!!」
ドアを破って入ってくる柴田と丹羽。
丹羽「お察しの通り。会長はもうこの城にはいませんよ。
今頃全軍を上げて伊賀に攻め込んでいるはずです。
あなた方邪魔ものがいない伊賀をね。」
翼「見上げた悪党ですね…」
柴田「まあ見損なうな。わしはお前らなどそんな小賢しい手を使わなくとも伊賀忍者ごとき叩き潰せると思うがの。」
翼「なら今ここでやってみますか・・・?」
カイト「つ・・・翼さん!?急に何を言って・・・」
柴田「どういう風の吹きまわしだ?さっきまで逃げ回っておったのに。
わしの相手になる気か。」
翼「違います・・・二人まとめてですよ」
柴田「がっはっは!気に言ったぞ!翼とやら!
可愛い女の子に挑発されるとは、信長四天王もなめられたもんだのう丹羽よ!」
丹羽「あれだけの美術品を壊したんだ、なんにせよただで返す気は毛頭ありませんよ。」
翼「カイトさん・・・・・・約束は覚えてますね・・・」
カイト「まさか・・・」
翼「私があの二人をひきつけてる間に逃げてください。
そして一刻も早く伊賀に戻り、ここで見たことを皆に・・・!」
カイト「オレも戦うよ・・・!」
翼「相手は信長四天王です・・・!
たとえ二人で戦っても殺されちゃいます。
ならば、どちらかだけでも逃げ延びれば、それは勝利なんです。」
カイト「そんな・・・」
翼「今日で分かった・・・カイトさん、あなたはもう立派なプロの忍びです・・・
プロの忍びはときに冷静に判断しなければいけない。
だから・・・私の合図で逃げてください・・・
そして・・・お父さんを助けて・・・」
カイト「翼さん・・・」
二人との間合いを詰める四天王。
カイト「絶対助けに戻ってくるからね・・・」
翼「待ってます・・・」
翼「3・・・2・・・1・・・今です!」
柴田と丹羽「!」
書類が巻き上がり、一瞬敵の姿を見失う信長四天王。
丹羽「この葉隠れの術・・・!」
頭上に翼が移動している。
柴田「上か!」
翼「もらった!」
刀で切りつける翼。
柴田の頑丈な肉体には全く効かない。
翼「嘘っ!?」
落下してくる翼に拳を振るう柴田「ぬうん!」
柴田の鉄拳がかする翼「ぐあっ!」
柴田「うむ。よくぞかわした。」
着地する翼「はあはあ・・・かすっただけでこの威力・・・」
間髪入れず万年筆がつきだして来る。
翼「くっ!」
丹羽「敵は他にもいますよ。お忘れなく。」
忍び刀を抜き振るう翼。ぎりぎりでその攻撃を発注書のボードで受け止める丹羽。
丹羽「踏み込みが甘いねえ翼ちゃん。
もっと殺す気で来ないと相手にならんよ!ほらほら」
万年筆をかわすので精一杯の翼。
丹羽「ソードダンサーと呼ばれた二年前なら勝てたかな・・・?」
翼「うう・・・!」
丹羽と戦ってる翼を二人まとめてぶん殴ろうとする柴田。
丹羽はよけるが翼はまともに食らって吹っ飛び壁に叩きつけられる。
翼「ぐあああ!」
柴田「こらあ丹羽!きさま何故わしの戦いに手を出すのじゃ~!」
丹羽「しかたないでしょう。一人逃げちゃったんだから。」
柴田「きさま~!なぜそっちを追わん!」
丹羽「あの男の子逃げ足が早くて、見失っちゃったんですもん・・・!」
ボロボロの翼が笑う。
二人「?」
翼「逃げてくれたんだ・・・ありがとうカイトさん・・・」
丹羽「なんか喜んでいますよ」
柴田「サイテーの彼氏だと思うが・・・」
よろよろと立ちあがる翼。
丹羽「柴田さん、なんか様子が変ですよ。
男に捨てられておかしくなっちゃったんじゃ…」
翼「あの人はそんな人じゃない・・・!
あの人は弱い人の頼みは絶対断れない正義の忍び・・・
人のあるべき姿なんだ・・・!」
ベストから何かを取り出す。
柴田「む!あれは・・・!」
翼「・・・最期に信長四天王の首を取れれば上出来かな。」
丹羽「高性能黒色爆薬だ!やめろ!このフロアには武器庫も・・・!」
翼「さらばです、カイトさん・・・!」
50階 隠し飛行場
格納庫にはヘリやセスナ機が並び、奥には滑走路がある。
カイト「そうか・・・緊急時にはこれがあるから非常階段がなかったんだ・・・
これを使えばここから逃げられる・・・!翼さんを呼んでこよう!」
その瞬間下の階で大爆発が起こる。
カイト「つ・・・」
「翼さ~~~ん!!!」
『風と翼:REVIVE』脚本⑥
2018-06-25 21:22:52 (6 years ago)
天井裏に忍び込むカイト
天井の板の隙間を開ける。
41階へのエレベーターが見える。
カイト「41階以降に行くには、あの関係者専用エレベーターを使わなければいけないわけか。」
酔った柴田を担いだ丹羽がよろめきながらエレベーターに近づいてくる。
柴田「う~秀吉の野郎最近生意気なんだよ~」
丹羽「あ、44階お願い。総務部長の丹羽です。」
屈強な黒人警備員「失礼ですがIDカードと顔を確認させてください。」
丹羽「はいはい。早くね。すごい重いのよ・・・」
カイト「エレベーターの前の警備員が利用者の顔を逐一確認・・・
幹部クラスにも徹底してる・・・
ここから侵入するのは無理そうだな…
こういう時は・・・」
通気ダクト。ダクトには幾重にも金網が取り付けられており、鋼鉄のファンがダクトをふさいでいる。
カイト「ここも、無理そうだな・・・残るは・・・」
百地からのしおりを開く。
カイト「火事が起きた時などに使う非常階段や脱出通路か…信長の住居は最上階だから、必ず付いているはずだけど…」
翌朝。ホテルのラウンジ
食事をとる薬剤師の振りをしたカイトに、モーニングコーヒーを注ぐウェイトレスの翼。
翼「その手の非常階段は一つもないみたいです。」
カイト「どこでそれを?」
翼「接客相手の織田の兵士がいろいろ話をしてくれるんです。
他にも…47階には南蛮貿易博物館、48階には私設動物園、49階には統合参謀本部があるみたいですね。」
カイト「さすがプロのくのいちだね・・・俺は全然ダメだった」
客「お~い!コーヒー!」
カイト「よんでるよ。」
翼のポットに薬を入れるカイト。
「た、ただいま・・・」
新聞をしまってラウンジを出るカイト。
テーブルには偉そうな客が座っている。
信雄「さっきから呼んでるのにひどいじゃないか!」
翼「申し訳ございません・・・」
信雄「きみねえ、ぼくのパパが誰だか知ってるの?あの織田信長だよ?
こんな失態ぼくが告げ口したら島流しじゃ済まないよ?」
翼「すいません・・・(こんな息子がいるんだ・・・)」
信雄「砂糖とミルクたっぷりね!」
翼「・・・ど、どうぞ・・・」
「ウープス!墨汁みたいなまずいコーヒーだぜ!
ぼくはペントハウスに戻るからあとで領収書持ってきな、あばよ姉ちゃん!」
「・・・・・・なんだったんだろうあの人・・・」
数時間後――
部屋でのたうちまわる信雄「いたいよ~!!おおおお腹いたい~!!」
ラウンジを走り回るホテル従業員「お客様の中に医者はいらっしゃいますか~!?」
カイト「なにかあったんですか?」
従業員「ああ、あなた薬売りでしたね!
46階ペントハウスの北畠信雄様が急な腹痛を!申し訳ありませんが診ていただけませんか?」
カイト「・・・喜んで。」
関係者専用エレベーター
黒人警備員「特例で部外者にこのエレベーターを46階まで動かすが、腹痛で苦しむ信雄様にさらに毒を盛るとか、おかしな真似はするなよ。」
カイト「・・・するわけないでしょ・・・ええと・・・やってほしいの?」
警備員「・・・入れ。」
動き出すエレベーター。
カイト「警備員もここから上は入れないようにしたのは盲点だったな…
翼さんが言うには作戦室は48階だったな・・・」
翼「49階ですよ。」
カイト「翼さん・・・!」
翼「お前も信雄さんのところまで謝りに行けって。
・・・カイトさんの仕業ですよね?」
カイト「・・・ぼくは翼さんのお父さんのメモ通りに動いてるだけだよ・・・
ええと・・・ここからいよいよ敵陣の中枢だから、もう一度お父さんが作ってくれたしおりを・・・」
「カイトさん・・・それに頼りすぎるのは危険です。」
「でもここまでうまくいったよ・・・」
真剣な表情になる翼。
「ここからは自分で瞬時に判断しないと手遅れになるかも・・・」
「翼さん・・・」
「カイトさん。頼みがあります・・・」
「え?」
「もし私が敵に捕まったら、その時は自分の安全を第一に、私は見捨てて逃げてください。」
「そんなこと・・・」
「約束してください。
私はなんかすっごい嫌な予感がするんです・・・」
「え・・・」
「カイトさんに送った手紙・・・」
「ああ、助けてって書いてあった・・・」
「私はそんなことは書いてません」
「え・・・?」
「私たちはなにか大きな存在に操られているような・・・」
エレベーターが開く。46階。
信雄のペントハウス。
信雄の付き人「待っていたぞ!はやく信雄様に薬を!」
カイト「は、はい。」
薬を渡す。
信雄「いて~よ!はやくしろ~!」
付き人「どうぞ。」
薬を飲む信雄。
付き人「どうですか具合は?」
信雄「うん・・・なんか痛みはおさまってきた気がする・・・」
付き人「もう用はない、退室してくれ」
あっという間に家来たちを刀で殴り倒す翼。
信雄「なあああああ!
あんたさっきのウエイトレス・・・!!」
翼「騙してごめんなさい・・・本業はこっちなんです」
「忍び・・・!!つ~かさっき何飲ませた~!毒か~!?」
カイト「統合参謀本部への行き方を教えてくれたら、解毒剤をやるよ。」
信雄「んなとこ行って何する気だ・・・!」
カイト「織田信長と話をつける。」
信雄「馬鹿言ってんじゃねえよ。
今や経団連の会長である僕のパパがおまえらみたいな薄ぎたねえ忍びと対等な交渉に応じると思うか?」
カイト「なんだって?」
「お前らはビジネスパートナーだと勘違いしているのかもしれないがね、身分をわきまえたほうがいいぞ、誰が好き好んでお前らなんかと関係を持つかい!」
翼「だから滅ぼすの?忍者との関係が表沙汰になる前に・・・?」
笑う信雄「そうかもね」
カイト「・・・・・・。」
「ところで早く道案内をしないと毒で体が爆発するよ。」
信雄「え!?爆発するの!?」
翼「はい。あと1分後に。あ、すいません30秒後です。」
ベッドから飛び起き、「信長の野望」のポスターを動かして壁のスイッチを入れる信雄。隠し通路が開く。
「こここここ・・・ここが入口!!」
翼「対等に交渉してくれましたね・・・」
信雄「ささささあ早く解毒剤よこせ!」
カイト「そんなのないよ。」
信雄「げえええ!?」
カイト「心配するな。さっき飲ませたのは睡眠薬だよ。」
信雄「・・・・・・へ?」
倒れる信雄。
天井の板の隙間を開ける。
41階へのエレベーターが見える。
カイト「41階以降に行くには、あの関係者専用エレベーターを使わなければいけないわけか。」
酔った柴田を担いだ丹羽がよろめきながらエレベーターに近づいてくる。
柴田「う~秀吉の野郎最近生意気なんだよ~」
丹羽「あ、44階お願い。総務部長の丹羽です。」
屈強な黒人警備員「失礼ですがIDカードと顔を確認させてください。」
丹羽「はいはい。早くね。すごい重いのよ・・・」
カイト「エレベーターの前の警備員が利用者の顔を逐一確認・・・
幹部クラスにも徹底してる・・・
ここから侵入するのは無理そうだな…
こういう時は・・・」
通気ダクト。ダクトには幾重にも金網が取り付けられており、鋼鉄のファンがダクトをふさいでいる。
カイト「ここも、無理そうだな・・・残るは・・・」
百地からのしおりを開く。
カイト「火事が起きた時などに使う非常階段や脱出通路か…信長の住居は最上階だから、必ず付いているはずだけど…」
翌朝。ホテルのラウンジ
食事をとる薬剤師の振りをしたカイトに、モーニングコーヒーを注ぐウェイトレスの翼。
翼「その手の非常階段は一つもないみたいです。」
カイト「どこでそれを?」
翼「接客相手の織田の兵士がいろいろ話をしてくれるんです。
他にも…47階には南蛮貿易博物館、48階には私設動物園、49階には統合参謀本部があるみたいですね。」
カイト「さすがプロのくのいちだね・・・俺は全然ダメだった」
客「お~い!コーヒー!」
カイト「よんでるよ。」
翼のポットに薬を入れるカイト。
「た、ただいま・・・」
新聞をしまってラウンジを出るカイト。
テーブルには偉そうな客が座っている。
信雄「さっきから呼んでるのにひどいじゃないか!」
翼「申し訳ございません・・・」
信雄「きみねえ、ぼくのパパが誰だか知ってるの?あの織田信長だよ?
こんな失態ぼくが告げ口したら島流しじゃ済まないよ?」
翼「すいません・・・(こんな息子がいるんだ・・・)」
信雄「砂糖とミルクたっぷりね!」
翼「・・・ど、どうぞ・・・」
「ウープス!墨汁みたいなまずいコーヒーだぜ!
ぼくはペントハウスに戻るからあとで領収書持ってきな、あばよ姉ちゃん!」
「・・・・・・なんだったんだろうあの人・・・」
数時間後――
部屋でのたうちまわる信雄「いたいよ~!!おおおお腹いたい~!!」
ラウンジを走り回るホテル従業員「お客様の中に医者はいらっしゃいますか~!?」
カイト「なにかあったんですか?」
従業員「ああ、あなた薬売りでしたね!
46階ペントハウスの北畠信雄様が急な腹痛を!申し訳ありませんが診ていただけませんか?」
カイト「・・・喜んで。」
関係者専用エレベーター
黒人警備員「特例で部外者にこのエレベーターを46階まで動かすが、腹痛で苦しむ信雄様にさらに毒を盛るとか、おかしな真似はするなよ。」
カイト「・・・するわけないでしょ・・・ええと・・・やってほしいの?」
警備員「・・・入れ。」
動き出すエレベーター。
カイト「警備員もここから上は入れないようにしたのは盲点だったな…
翼さんが言うには作戦室は48階だったな・・・」
翼「49階ですよ。」
カイト「翼さん・・・!」
翼「お前も信雄さんのところまで謝りに行けって。
・・・カイトさんの仕業ですよね?」
カイト「・・・ぼくは翼さんのお父さんのメモ通りに動いてるだけだよ・・・
ええと・・・ここからいよいよ敵陣の中枢だから、もう一度お父さんが作ってくれたしおりを・・・」
「カイトさん・・・それに頼りすぎるのは危険です。」
「でもここまでうまくいったよ・・・」
真剣な表情になる翼。
「ここからは自分で瞬時に判断しないと手遅れになるかも・・・」
「翼さん・・・」
「カイトさん。頼みがあります・・・」
「え?」
「もし私が敵に捕まったら、その時は自分の安全を第一に、私は見捨てて逃げてください。」
「そんなこと・・・」
「約束してください。
私はなんかすっごい嫌な予感がするんです・・・」
「え・・・」
「カイトさんに送った手紙・・・」
「ああ、助けてって書いてあった・・・」
「私はそんなことは書いてません」
「え・・・?」
「私たちはなにか大きな存在に操られているような・・・」
エレベーターが開く。46階。
信雄のペントハウス。
信雄の付き人「待っていたぞ!はやく信雄様に薬を!」
カイト「は、はい。」
薬を渡す。
信雄「いて~よ!はやくしろ~!」
付き人「どうぞ。」
薬を飲む信雄。
付き人「どうですか具合は?」
信雄「うん・・・なんか痛みはおさまってきた気がする・・・」
付き人「もう用はない、退室してくれ」
あっという間に家来たちを刀で殴り倒す翼。
信雄「なあああああ!
あんたさっきのウエイトレス・・・!!」
翼「騙してごめんなさい・・・本業はこっちなんです」
「忍び・・・!!つ~かさっき何飲ませた~!毒か~!?」
カイト「統合参謀本部への行き方を教えてくれたら、解毒剤をやるよ。」
信雄「んなとこ行って何する気だ・・・!」
カイト「織田信長と話をつける。」
信雄「馬鹿言ってんじゃねえよ。
今や経団連の会長である僕のパパがおまえらみたいな薄ぎたねえ忍びと対等な交渉に応じると思うか?」
カイト「なんだって?」
「お前らはビジネスパートナーだと勘違いしているのかもしれないがね、身分をわきまえたほうがいいぞ、誰が好き好んでお前らなんかと関係を持つかい!」
翼「だから滅ぼすの?忍者との関係が表沙汰になる前に・・・?」
笑う信雄「そうかもね」
カイト「・・・・・・。」
「ところで早く道案内をしないと毒で体が爆発するよ。」
信雄「え!?爆発するの!?」
翼「はい。あと1分後に。あ、すいません30秒後です。」
ベッドから飛び起き、「信長の野望」のポスターを動かして壁のスイッチを入れる信雄。隠し通路が開く。
「こここここ・・・ここが入口!!」
翼「対等に交渉してくれましたね・・・」
信雄「ささささあ早く解毒剤よこせ!」
カイト「そんなのないよ。」
信雄「げえええ!?」
カイト「心配するな。さっき飲ませたのは睡眠薬だよ。」
信雄「・・・・・・へ?」
倒れる信雄。
『風と翼:REVIVE』脚本⑤
2018-06-25 21:20:53 (6 years ago)
ようこそ安土城への看板。
検問所。
薬売りの振りをしたカイト。
「富山製薬の最新置き薬を販売に。」
警備員「それを証明できるものは?」
許可証を見せるカイト。
警備員「うむ。FDAから許可が下りている。確かに本物だ。」
第一ゲートを通過するカイト。
(回想シーン)
百地「これをみてくれ。」
安土城の見取り図を広げる。
「実は安土城は1階から40階までは一般公開されている。
だからさほど潜入するのは難しくない。
問題は41階から信長邸のある50階。
この10フロアは警備体制が半端じゃない。」
カイト「ここにはなにが?」
「さあね。しかし想像はつく。
機密情報の書庫や軍資金の金庫、武器庫に作戦本部、信長の親族や人質たちの住居…しかしどんな警備システムか全く分かっていない以上、くれぐれもひとりで無茶はしないことだ。たとえ翼の為でもな。」
カイト「え・・・」
「顔に書いてあるよ。
潜入に必要なものはこちらで手配する。
忍者の一番大切なこと・・・それは引き際をわきまえることだ。
死ぬなよ。」
安土城1~35階のホテル。
フロントに軍人たちが集まっている。
チェックインするカイト「なんかものものしいですね。」
支配人「はい。
なにぶん戦支度の最中ですので…」
「戦支度・・・?」
「なんでも伊賀で大きな戦争が始まるみたいですよ。
わがアヅチグランドホテルは織田家の武将も多く利用します。
戦いに疲れたお客様に最大限のサービスを提供することが我々の仕事です。」
カイト「ならばこの薬がたくさん売れるってわけか。」
支配人「お部屋は35階の3543です
こちらの従業員が案内しますので。」
カイト「よろしく。」
メイドの翼「はい・・・」
部屋までの廊下
カイト「・・・って翼さん、何やってるの!?」
翼「私もお供します。手助けが必要でしょうから。」
カイト「・・・じゃ、じゃあラウンジで落ち合おう。」
翼「御意。」
3543号室
白衣を脱ぎすて室内を調べるカイト。
タクティカルベストの忍具を確認し天井裏に忍び込む。
見取り図を広げるカイト。
廊下をひきかえす翼
廊下を二人の風呂上がりの男が歩いてくる。
サラリーマン風の男「いや~いい風呂だった~」
軍人風の男「やっぱりフルーツ牛乳は瓶に限るな」
翼に気付くサラリーマン「あれ君可愛いじゃん。下のスナックで一杯やらない?」
翼「・・・私ただの雑役女中なんで、すいません。」
サラリーマン「固いこと言わずにいいじゃない。君にベッドメイクなんてもったいないよ。」
軍人「おいおい。若い娘さんを困らせるなよ。最近おやじくさいぞお前・・・」
サラリーマン「ほっといてくださいよ。」
翼「はあ・・・」
スナック「お市」
カラオケを熱唱する酔っぱらい武将「に~んげえ~ん50年~♪下天のうちを~・・・」
ビールを注ぐ翼「ささ、どうぞ。(何やってんだろわたし・・・)」
サラリーマン「ありがとう。
いや~君みたいな奇麗な子に接待されると毎日の出張の疲れも吹っ飛ぶねえ。
君も一杯どうだい。」
翼「ははは・・・まだ未成年なんで勘弁してください。」
リーマン「真面目だね~」
翼「みなさんずいぶんお疲れみたいですね…」
リーマン「そうでもないよ。この人なんて筋肉堅すぎて矢刺さっても気づかないんだから。あ、脳が足りないだけですか。」
軍人「お前はすぐそうやって俺をネタにしておなごの人気をとるな。
・・・いや部下の命を預かる以上油断はできんからな。卑怯な手を次々繰り出してくる伊賀のことじゃ。きっと今も何か企んでいるにちがいないだろう。準備は万端にせねば・・・」
翼「な、なるほど。卑怯ですか…(あんたたちがやらせておいて・・・)」
リーマン「何か言った?」
翼「い、いえ・・・」
動揺して水割りを飲む翼。
カラオケを歌い終わった酔っぱらいに声をかけるサラリーマン。
リーマン「よっ会長!!」
翼(水割り吐きだす)「会長って・・・織田信長!?」
信長「やっぱり、カラオケは“あつもり”に限るね・・・」
「いよっ!日本一!」
信長「ん?この子は??」
ドキ!
柴田「ああ、丹羽が廊下でナンパして連れてきちゃったんですよ・・・」
織田「・・・キミも懲りないねえ・・・」
丹羽「まあまあ・・・」
織田「うちの部下が迷惑かけましたね・・・これうちの各店舗共通で使える商品券。よかったらどうぞ。」
商品券のケースを渡す織田。
翼「ど、どうも・・・そ、それでは私メイドの仕事があるのでここで…」
柴田「悪かったな。」
翼「し、失礼いたします!」
スナックをそそくさと出ていく翼。
メガネを指で戻す丹羽「・・・やはり偵察者みたいですね。」
柴田「お前すごいな。この城の全女性従業員の顔知ってるのかよ。」
丹羽「とっちめますか?」
ワインを飲む信長「まだ、伊賀のスパイと決まったわけじゃないよ。
まあしばらくは様子を見ましょ。」
検問所。
薬売りの振りをしたカイト。
「富山製薬の最新置き薬を販売に。」
警備員「それを証明できるものは?」
許可証を見せるカイト。
警備員「うむ。FDAから許可が下りている。確かに本物だ。」
第一ゲートを通過するカイト。
(回想シーン)
百地「これをみてくれ。」
安土城の見取り図を広げる。
「実は安土城は1階から40階までは一般公開されている。
だからさほど潜入するのは難しくない。
問題は41階から信長邸のある50階。
この10フロアは警備体制が半端じゃない。」
カイト「ここにはなにが?」
「さあね。しかし想像はつく。
機密情報の書庫や軍資金の金庫、武器庫に作戦本部、信長の親族や人質たちの住居…しかしどんな警備システムか全く分かっていない以上、くれぐれもひとりで無茶はしないことだ。たとえ翼の為でもな。」
カイト「え・・・」
「顔に書いてあるよ。
潜入に必要なものはこちらで手配する。
忍者の一番大切なこと・・・それは引き際をわきまえることだ。
死ぬなよ。」
安土城1~35階のホテル。
フロントに軍人たちが集まっている。
チェックインするカイト「なんかものものしいですね。」
支配人「はい。
なにぶん戦支度の最中ですので…」
「戦支度・・・?」
「なんでも伊賀で大きな戦争が始まるみたいですよ。
わがアヅチグランドホテルは織田家の武将も多く利用します。
戦いに疲れたお客様に最大限のサービスを提供することが我々の仕事です。」
カイト「ならばこの薬がたくさん売れるってわけか。」
支配人「お部屋は35階の3543です
こちらの従業員が案内しますので。」
カイト「よろしく。」
メイドの翼「はい・・・」
部屋までの廊下
カイト「・・・って翼さん、何やってるの!?」
翼「私もお供します。手助けが必要でしょうから。」
カイト「・・・じゃ、じゃあラウンジで落ち合おう。」
翼「御意。」
3543号室
白衣を脱ぎすて室内を調べるカイト。
タクティカルベストの忍具を確認し天井裏に忍び込む。
見取り図を広げるカイト。
廊下をひきかえす翼
廊下を二人の風呂上がりの男が歩いてくる。
サラリーマン風の男「いや~いい風呂だった~」
軍人風の男「やっぱりフルーツ牛乳は瓶に限るな」
翼に気付くサラリーマン「あれ君可愛いじゃん。下のスナックで一杯やらない?」
翼「・・・私ただの雑役女中なんで、すいません。」
サラリーマン「固いこと言わずにいいじゃない。君にベッドメイクなんてもったいないよ。」
軍人「おいおい。若い娘さんを困らせるなよ。最近おやじくさいぞお前・・・」
サラリーマン「ほっといてくださいよ。」
翼「はあ・・・」
スナック「お市」
カラオケを熱唱する酔っぱらい武将「に~んげえ~ん50年~♪下天のうちを~・・・」
ビールを注ぐ翼「ささ、どうぞ。(何やってんだろわたし・・・)」
サラリーマン「ありがとう。
いや~君みたいな奇麗な子に接待されると毎日の出張の疲れも吹っ飛ぶねえ。
君も一杯どうだい。」
翼「ははは・・・まだ未成年なんで勘弁してください。」
リーマン「真面目だね~」
翼「みなさんずいぶんお疲れみたいですね…」
リーマン「そうでもないよ。この人なんて筋肉堅すぎて矢刺さっても気づかないんだから。あ、脳が足りないだけですか。」
軍人「お前はすぐそうやって俺をネタにしておなごの人気をとるな。
・・・いや部下の命を預かる以上油断はできんからな。卑怯な手を次々繰り出してくる伊賀のことじゃ。きっと今も何か企んでいるにちがいないだろう。準備は万端にせねば・・・」
翼「な、なるほど。卑怯ですか…(あんたたちがやらせておいて・・・)」
リーマン「何か言った?」
翼「い、いえ・・・」
動揺して水割りを飲む翼。
カラオケを歌い終わった酔っぱらいに声をかけるサラリーマン。
リーマン「よっ会長!!」
翼(水割り吐きだす)「会長って・・・織田信長!?」
信長「やっぱり、カラオケは“あつもり”に限るね・・・」
「いよっ!日本一!」
信長「ん?この子は??」
ドキ!
柴田「ああ、丹羽が廊下でナンパして連れてきちゃったんですよ・・・」
織田「・・・キミも懲りないねえ・・・」
丹羽「まあまあ・・・」
織田「うちの部下が迷惑かけましたね・・・これうちの各店舗共通で使える商品券。よかったらどうぞ。」
商品券のケースを渡す織田。
翼「ど、どうも・・・そ、それでは私メイドの仕事があるのでここで…」
柴田「悪かったな。」
翼「し、失礼いたします!」
スナックをそそくさと出ていく翼。
メガネを指で戻す丹羽「・・・やはり偵察者みたいですね。」
柴田「お前すごいな。この城の全女性従業員の顔知ってるのかよ。」
丹羽「とっちめますか?」
ワインを飲む信長「まだ、伊賀のスパイと決まったわけじゃないよ。
まあしばらくは様子を見ましょ。」
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