西洋美術史覚え書き③

 お待たせ!西洋美術史、ラストは20世紀~現代の美術。もうここら辺になると分離統合のペースが速すぎて、はっきり言ってすっごい整理しにくい。多様化、放散、乱立、フラット化の時代。

20世紀の美術

エコール・ド・パリ
第一次世界大戦直前にパリにやってきた放浪画家の一派を指す。よって共通の画風があるわけではない。本によってはキュビスムやフォービスムも含まれると書かれている。 
・モディリアニ(ユダヤ系イタリア人、人物をディフォルメして描く。アル中)
・シャガール(ロシア人、神秘主義の影響で幻想的な絵画を描いた)
・ジュール・パスキン(ブルガリア人、淡い色調が特徴。自殺)
・キスリング(ポーランド人)
・藤田嗣治(ネコと女を描くのが得意)

・ルオー(フランス人、重厚な宗教画を描く)
・ユトリロ(フランス人、パリの町並みを哀愁を込めて描く。アル中)
・マリー・ローランサン

・アンリ・ルソー(素朴派の画家。税関職員の仕事の傍ら独学で絵を描く。キュビスムとシュールレアリスムを先取りしたような画風)

フォービスム
野獣の檻という意味。モチーフの再現性を無視した激しい色使いが特徴。フォルム、ボリューム、空間よりも色彩こそが至上。感覚的。
・モーリス・ド・ブラマンク
・マティス(野獣派のリーダー的存在)
・ドラン
・ルオー(一匹狼タイプ)
みんな学校で知り合った顔見知り。影響を与え合う。先生は象徴主義の巨匠モロー。

キュビスム
立方体の意味。モチーフの形態(フォルム)を一度分解し、二次元に変換し、再構成する。理性的。
・ピカソ(アジの開きのような女の絵。顔と後頭部が同時に見える)
・ブラック(新聞や雑誌の切り抜きをキャンバスに貼り付けるコラージュを開発)
・レジェ(印象派の色彩を受け継いだキュビスムの画家。ピカソらの作品に比べて躍動的でダイナミック)

抽象主義
写実絵画の限界性を認め、現実のモチーフを再現するのではなく抽象的な造形性や作家自身の内面性を表現した。ナビ派やフォービスム、キュビスムを踏まえて世界中で同時発生的に生まれる。
・カンディンスキー(青騎手)
・モンドリアン
・クレー

ダダイスム
便器を横にしただけで『泉』という芸術作品にしたデュシャンが中心的人物。新しい表現をどんどん開拓していった一派。
・ファンタナ(キャンパスを切り裂いた)
・セザール(圧縮機にかけた廃車をアートにした)

スパツィアリスモ
空間主義の意味。ダダイスムのルチオ・ファンタナが提唱。絵画、彫刻、音楽といった伝統的な芸術概念を破棄して工業社会の技術手段を取り入れようとした。

シュールレアリスム
フランスの詩人アンドレ・ブルトンが宣言。ダダイスムが既成の美的観念を破壊したことを受けて、新しい美学を提唱。無意識や非合理を表現。
オートマティズム(深く考えず心のままに描くこと)、フロッタージュ(こすりだし)デカルコマニー(絵の具を紙に押し付ける)などの偶然性を活かした技法が開発される。
・ダリ
・マグリット

ネオダダ(1950年代初頭)
日常的な卑俗的なものを芸術の中に積極的に取り込もうとした動き。芸術と非芸術の境界線に疑問を投げかけた。

現代美術(1960年以降)

ポップアート
アメリカの大量消費社会やポップカルチャーをモチーフにした活動。
規制の漫画を二次的に使用して作品にした(レディメイド)。
・アンディ・ウォーホル
・ロイ・リキテンスタイン
この二人は偶然やってることがかぶったらしい。

アクションペインティング
キャンバスを床の上に置いて、絵の具を持って飛び回り、画面に飛び散らせ、リズムを構成する。
・ジャクソン・ポロック
・サム・フランシス(絵の具を筆にたっぷりつけて、キャンバスに垂らしたり滲ませたりした)
・白髪一雄(天井に吊るしたロープにつかまり足で絵を描いた)

オプティカルアート
視覚的、光学的なメカニズムを利用して錯視効果を強調した抽象絵画群。情念性を一切排除。純粋に視覚効果だけを追求する。

ハードエッジペインティング
マスキングテープを用いて色面と色調を明瞭な輪郭で区切る手法。幾何学的抽象の否定。

キネティックアート
モーターや風によって作品が動くもの。電灯で光の加減が変わるライトアートも含まれる。

ミニマルアート
作り手の痕跡をできるだけ排除し、極限まで最小化した造形要素だけで作品を作り上げる運動。
・ブランクーシ(フォルムを極限まで抽象化した彫刻家。代表作は『空間の鳥』)

スーパーリアリズム
写真を利用して市街の光景や人物、製品などを写真のように克明に描写する。

コンセプチュアルアート
作品そのものではなく、作り手のアイディアやコンセプトを重視する立場。作品(モノ)や制作行為には意味はないと言い切る。

フルクサス
ジョージ・マチューナスが提唱したハプニングやイベントなどの一時的な行為を表現形式とするグループ。
画家以外の芸術に親しむ全ての人の出会いの場を提供。ストリートイベントを開催。

『80日間宇宙一周 Sea of hope』制作裏話

 いや~終わった。まさか『80日間宇宙一周』の続きを本当に描くとは思っていませんでした。

 3年前に描いた一作目ってラストがオープンエンドなように見えて、一本の完結した話としてちゃんとミグも成長させちゃってるし、続きを描くのはなんだかんだ言って難しいなあっていうのがあったんです。
 さあ次に何をやらせよう、あれれ?でも、このキャラでやれることって残っているのかな、って感じで。
 で、何とかひねり出したのが、前作にちょっとだけ描いた「ミグの両親が止められなかった巨大隕石が海王星に衝突した」という設定。
 はっきり言ってあんな設定思いつきで、のちのちの話にここまで尾を引くなんざ思っちゃいませんでしたからねw

 この話のベースになったのは言うまでもなく水戸黄門。大阪で会った大人顔負けの天才少年にご老公たち大人が圧倒されるエピソードがあって、それが一度やりたかったんですよね。
 ご老公はこの少年を本当に気に入って「決めました。この子を水戸に連れて行って武士にさせます!」とリクルート宣言wすっごい楽しい話なんです。

 それに子供ってまだ「過去」がないじゃないですか。未来しかない。それなら過去に苦しむミグと対比できるかな、と。
 だから前回は「絶対に諦めないやつと人生を諦めて生きている奴の話」をやったけれど、今回は「過去に縛らる大人と、過去がなく未熟者扱いされる子の話」にしようと思いました。
 変えられない過去とどう向き合うか?を物語の核として、そこからストーリーラインを配置していった感じです。うお、今回結構まともに作ってるw

 そりゃそうなんですよ。前作の設定を踏襲した物語である以上、発想の意外性とかでは二作目はなかなか勝負できないから、あとは前作のキャラを掘り下げるか、意外な一面を見せるかして、とにかく「キャラ」で見せなきゃいけないので。

 で、実はこの脚本マロさんの小説版80日に触発されて3日で一気に書き上げたのですが、最初の一日目はかなりスランプだったんです。
 ストーリーラインややりたいことはわかっているんだけど、どうにもキャラが魅力的に動いてくれない。有機的じゃない。

 今回は海の星の話だから、海王星は大英帝国をモチーフにしよう。それに宇宙海賊を出そうというのも出来ている。私掠船という16世紀に活躍した国家公認の海賊の話を組み込むのも面白そう。
 でもキャラが動かない。なぜなら私は海賊について何も知らない!パイレーツ・オブ・カリビアンの一作目くらいしか知らない。あとピーターパンのアイツ。

 転機になったのは一昨日知った『海賊の経済学』という本。実はこの本結局買って読まなかったんだけど、ネットで感想やあらすじを読んで、一気に海賊のイメージが変わった。
 下手すりゃ『紅の豚』になりそうな世界設定の話に独自性が出たんです。いや少なくとも書いた本人はそう思ってるw

 海賊は陽気で残酷、無法者で規律的・・・とにかく印象と中身が矛盾した連中なんですよね。自分勝手なように見えて平和主義者で、組織内は平等だったり(人種差別もなければ、船長は選挙で選ばれる!)。あれ?これって何かに似てる。そう、イタリアのマフィアだw
 だったら、男であり女というアンビバレントなオカマはうってつけなんじゃないかという事でオカマの海賊を出してみました。
 これ、すぐにバレちゃうかな、と思っていたらマロさんは意外に思ってくれたらしくドッキリ大成功、感無量ですw

 で海賊のイメージが自分の中でだいたい固まったら、そこからはもうラストシーンまで一直線。近年まれに見る長編脚本一気書きですよ(20時間連続執筆)。
 で、ノリで書いていたら、なんか当初思い描いていたものよりも、どんどん壮大な話になっちゃって気がついたらノーチラス号が撃沈していた(笑)

 ・・・というわけで太陽系は救われた・・・え、でも待てよ?本当にこれでハッピーエンドなのか?実は海王星は救われてないぞ??惑星連合の議長国地球のやり方はあのままでいいの?
 二作目でも描ききれなかったところも実はまだまだあるんですよね、緋色の旅団だって全滅したわけじゃない。ピカール博士だって死んだわけじゃないし。
 それになによりミグとライトはまだ地球へ着いてない!ということで、もしかしたらまさかの第3弾があるかも・・・ないかw
 でも、もしやるならマクロスみたいな宇宙アイドル志望の女の子のサクセスストーリーやりたい(100%思いつきです)。

 最後に一言。久々に動かしてて思ったんだけれど、ミグってトイ・ストーリーのバズに似てるよな。生真面目でちょっと損な役回りとかが。所ジョージさんのファンだしね。
 あ、そういや今回はあまり所さんの歌歌わなかったな。「ご心配なく」と「Jumpin' Jack Clash」くらいかな。「Jumpin' Jack Clash」は歌詞がグロすぎて「ピー」が入るとんでもない曲。

『80日間宇宙一周 Sea of hope』脚本⑧

ノーチラス号の周りをものすごい数の海賊船が取り囲んでいる。
ロジャー「ノーチラス号に次ぐ!即時に武装を解除せよ!さもなければ海賊の掟に従って制裁を加える!」

ノーチラス号乗組員「大小あわせて500以上はいます!」
ピカール「なあに冥王艦隊も蹴散らしたんです、問題ないでしょう。」
「しかし今回は全方位取り囲まれています!」
「なら戦闘機と副砲で対処しなさい。」
「は!」

応接室を飛び出していくライト
ピカール「あ!待ちなさい!」

ノーチラス号から戦闘機が発進する。
ノーチラス号と海賊団との戦闘が始まる。
ノーチラス号クラスの巨大海賊船5隻がノーチラス号を包囲する。
明らかに分が悪いノーチラス号。

第二艦橋。
起き上がって無線機を引っつかむナッシュ「このままじゃやられる!メイルシュトローム砲を発射しろ!」
ピカール「それはどうでしょう」
「なんだと?」
「あれには莫大なエネルギーがかかります。それに地球を消滅させるためには艦内のエネルギーは無駄にはできません。」
「あんた外で戦ってる仲間を見捨てろと言うのか?」
「私が言いたいのは使いどきを考えろということです。あの石がなければどのみちエネルギー不足になる。」
「ええいわかった。俺も出る!」
戦闘機の格納ユニットの方へ駆け出すナッシュ

集中砲火を浴びて燃えるノーチラス号。

青ヒゲ「ロジャーちゃんどうするの?あの船沈めちゃう?こっちはいつでもOKよ。」
ロジャー「待ってくれ、まだあの船の中には俺の友人が・・・!」

ノーチラス号の船内を走るライト「ミグ~!」

第二艦橋
爆発してめちゃくちゃになっている。
ライト「ミグ!」
床に力なく横たわるミグ「ライト・・・バカ、なんで来た・・・」
「お前撃たれとるやないか!」
胸から血を流すミグ「ああ・・・大丈夫だよ。」
「待ってろ、いま手当してやるから・・・」
「え?服を脱がすのはちょっと・・・」
「恥じらってる場合か!」
「私の体を見たものは・・・」
「三日以内に死ぬんやろ?わーったから喋らずにおとなしくしてろって。」
ミグのYシャツを脱がすライト。
ミグの体は傷だらけで肉がえぐられていた。
「この傷もう治らないんだ・・・気持ち悪いだろ?」
Yシャツを引き裂くライト「そんなことないよお前は美人やって。ここ押さえとけ」
「まさかお前からそんなこと言われるとはなあ・・・」
「いいかミグ!意識を失ったらあかん!生きて地球を見るんやろ!!」
「そう・・・生きて所さんの世田谷ベースに行くんだ・・・」
「違う!地球に行くんやって!あかん、せん妄状態や。」
ミグを背負って立ち上がるライト。
ミグ「ライト・・・」

ノーチラス号の航空甲板
ミグをリンドバーグ号に乗せるライト。

武装テロリストを引き連れ甲板にやって来るピカール「ライトくん、隕石をよこしなさい!」
ライト「まだんなこと言っとんのか、あんたは。地球を消すのは諦めろ!」
ピカール「こんなところでお互い人生を終わりたくはないでしょう?」
ライト「わ~ったよ!しっかり受け取れ!」
隕石を投げつけるライト
船内が揺れて取り損なうピカール。

「キミたち!拾いなさい!」
ピカールが探しているうちにリンドバーグがノーチラス号から脱出する。

リンドバーグ号に襲いかかるナッシュの戦闘機
ナッシュ「逃がすか・・・!」
ライト「この機は救急車や。どいたほうがええで」
ラムジェットエンジンを点火させ戦闘機を一閃するリンドバーグ。

ノーチラス号甲板
格子の隙間に手を伸ばすピカール「ようし・・・捕まえた!」
宝石を取り出す。
ピカール「目的は達成しました、引き上げましょう。」

ノーチラス号が逃げていく。
青ヒゲ「逃げていくわよ!」
ロジャー「もうほうっておけ、どのみちあの損傷じゃ遅かれ早かれ墜落だ。」
海賊たち「オレたちが勝った~~~!」

海賊船の艦橋。
ライトと無線がつながる。
ロジャー「ようライトか!みただろ、オレたちがあの戦艦を追っ払ったんだぜ!ヒャッハー!」
ライト「なあロジャー、海賊船って船医とかはいるんか?」
ロジャー「いるぜ、とびきり腕がいいのが、どうした?怪我でもしたのか?」
ライト「よかった・・・ちょっと見てくれへんかな・・・」
「なにがあった?」



満身創痍のノーチラス号がよろよろと飛んでいく。
ノーチラス号の機関室。
宝石を見つめるピカール「これでメイルシュトローム砲がさらに強力になる。さっそくセットしましょう」
乗組員「閣下、ブリッジから連絡です!前方に積乱雲!」
「かわせばいいでしょうが」
「それが操舵をやられて制御不能に・・・!」
「すべての操舵がですか!?」
「はい・・・」
「そんな馬鹿な話があるか・・・!」

メタンの積乱雲の中に突っ込むノーチラス号。
なにか規則正しいチックタックという時計のような音が聞こえる
「なんだこの音は!?」
「レーダーやソナーに反応は?」
「ダメです!干渉がひどくて使い物になりません!」

なにか巨大な動物がノーチラス号に体当たりする。
「!!なんだ!?」
窓の外に巨大な顎と鋭い歯列が覗く
「外に怪物がいるぞ!!」
「馬鹿でかい・・・!」
ピカール「これはちょうどいい。メイルシュトローム砲の実験台にしてやりなさい。」
「は!」
「メイルシュトローム砲準備!」

主砲のリアクターに核エネルギーが集まるが、リアクターにセットした宝石があっという間に熱で溶ける。
ピカール「これはどういうことだ・・・!?」
時計の音を鳴らしながら怪物がノーチラス号の船体を引きちぎる
乗組員「全員退避!!」



その後・・・
帰っていく海賊たち。
ミグが病室で目を覚ます。
ライトとルヴェリエが喜ぶ。
ミグ「そんな顔するなよ・・・せっかく帰ってきたんだから・・・」



病院。
庭でリハビリをするミグ
ルヴェリエが隣で付き添う。
「ミグさん・・・これは母から聞いた話なんですが・・・」
ミグ「なにかな・・・」
「20年前にディープインパクトが何をしたか知ってますか。あなたの両親、チオルコフスキー将軍は自分の命をなげうって巨大隕石の軌道をずらしたんです。
もしあの隕石がまともにぶつかっていたら・・・海王星は跡形もなくなっていたのかもしれない・・・
彼らは最後の最後まで決して僕らの星を見捨てなかった。
海王星人にとってチオルコフスキー将軍は英雄だったんです。誰もあなたを恨んでなんかいなかった。それにあなたは本当に海王星を救ってくれた・・・」
ちょっと涙ぐむミグ「・・・ルヴェリエ王子・・・」
「ミグさん・・・もしぼくが大きくなったら・・・」
「?」
「いえ、なんでもないです。」
ミグ(私もきみが好きだよ)



美しい海と砂浜。
浜辺をライトと退院したミグが並んで歩く。
ミグ「なあライト・・・あの時ピカールに・・・なにを投げたんだ・・・?」
ライト「・・・まあええやん。」
ミグ「教えてくれたっていいだろ。」
ライト「・・・ごめんな、海上キャラバンの露店で買ったお前のブローチをピカールにあげちまった。」
「ははは・・・」
立ち止まるライト「でも代わりがあるから。」
ネックレスを取り出してミグの首にかける。
ミグの胸元で輝く希望の海。

おしまい

『80日間宇宙一周 Sea of hope』脚本⑦

海の墓場を脱出するリンドバーグ号。
ミグ「ノーチラス号の位置は!?」
ライト「王宮の方へ引き返している感じやな・・・」
ルヴェリエ「ノーチラス号の無線周波数ってわかりますか?」
無線をいじるミグ「わかる。もとは我々の戦艦だからな。」



ノーチラス号
艦橋で紅茶を飲んでいるピカール
ナッシュ「そんな呑気でいいのか?海賊を逃がしちまったんだぜ?」
ピカール「我々がこの星に居座っている以上、連中は我々に接触してくるはずです。」
ナッシュ「どうしてわかる?」
ピカール「海賊というのはロマンチストでね。売られた喧嘩は必ず買うんですよ。その相手がどんなに巨大なネコでもね。」

通信兵「未確認航空機から無線電波を受信!」
ピカール「ほらきた。」

ライト「やい、このエンジン泥棒・・・!」
ピカール「その声は・・・ライトくんじゃないですか。
お久しぶりです。その節はお世話になりました。おかげさまで我々の計画も順調にいってますよ」
「相変わらず慇懃無礼を絵に書いたようなおっちゃんやな!」
「ありがとうございます。」
「でもな、その順調な計画もこれで終いや!あんたらが欲しい「なんたら」っていう隕石のかけらはこっちがもうとる。これが欲しいんやったらとっとと海王星から出ていくことやな!べろべろば~」

ピカール「彼の船の位置はわかりますか?」
通信兵「は。」

ピカール「ごほん、ライトくん。また交渉をしましょう。」
「うるさいわタヌキ親父!お前のいいようにはもうならんぞ!」
「そうですか。その隕石をこっちに持っていただけたら助かるんですけどね。
さもないとウチの短気な軍曹が王宮に向けてメイルシュトローム砲を撃つのを止められません。」

ルヴェリエ「!!」
ライト「なんやと!おい、これ以上たくさんの人間の命を奪うな!!」
ピカール「じゃ、待ってますよ。」
無線が切れる。

ライト「どう思うミグ・・・?ハッタリちゃうんか」
ミグ「確かにメイルシュトローム砲は何度も撃てるものじゃない、ピカールのブラフである可能性は高いが・・・もし本当にやられたら・・・海王国を軍事制圧できる上、圧政のランドマークを壊すことで、さらに労働者たちの心をつかむことができる・・・」
「母さん・・・」
ミグ「しかしそんなことは絶対にさせない。ここはピカールの要求を飲むしかない・・・
ルヴェリエ様、もう一度危険に身を晒す覚悟は?」
頷くルヴェリエ
ライト「上等や。」

海王星の王宮へ向かうリンドバーグ号。



海上キャラバンのレストランで酒を飲むロジャー
「ママ、おかわり。」
ママ「ちょっとあなた、そんなに飲んで体に毒よ。なにかあったの?」
新人「はい。テロリストに海王星が狙われているのに、立ち向かう勇気が出ないみたいなんす」
ママ「んもう、ゴツイ体して情けないわね。」
ロジャー「いいからもう一杯・・・!海賊も時に呑みたい夜があるんだ・・・!」
ママ「あら海賊なら、こういう時こそ男を見せるんじゃないの?」
ロジャー「なに!?」
ママ「この前この私を鈍器で殴りつけ飛行艇を奪っていった坊やがいたけれど、あんな根性のある男の子久々に見たわ。まるで昔のあなた・・・ロジャーちゃんのよう。」
「なんでオレの名を・・・」
「あらん、さびしいわね。この顔を忘れたっていうの?」
絆創膏をはがす
「その夏休みにちょっとした出来心で入れちゃったサザエさんの刺青・・・!
あ・・・あんたは・・・!」
海賊たち「伝説の海賊青ひげ・・・!」
ママ「お久しぶりね。
宇宙最強のテロリスト?それならこっちは宇宙最強の海賊団をやってみましょう。」
ロジャー「なんだって・・・?もしや四天王を集結させるのか!?」
ママ「お安い御用よ。この宙域周辺の昔の友達に集合をかけるわね。」
手帳を見ながらダイヤルを回す青ヒゲ。
「・・・あ、バーソロミューちゃん?お久しぶりです青ヒゲです~デッドマンズチェストの海賊監修の時はお世話になりました。明日辺り暇?ちょっと海王星に来れない?」
「え~ボニーちゃん、なにあなた結婚したの?いや~んおめでと~~!ちょっと水臭いわね、教えてくれたっていいじゃな~い!」
「いいからいらっしゃいドレイクちゃん!」

受話器を置く青ヒゲ「はい、三人は来るって言ってくれたわよ。あとはあなただけ。」
海賊たち「おかしら・・・!」
コンパスの紋章を見つめるロジャー「・・・・・・。」



王宮の上空にノーチラス号が浮いている。

ノーチラス号の前にホバリングするリンドバーグ号。
ライト「隕石は持ってきた。まずは海王星から出て行け。」
ピカール「本物かどうか確認しなければそれはできませんね。まあ中にお入りなさいな。」
ノーチラス号の搬入ハッチが開く。
ライト「いくで・・・」
ノーチラス号の船内に入るリンドバーグ号。

ノーチラス号応接室
ライトがつまむ隕石を眺めるピカール「ふむ・・・」
ライト「どや本物やろ!だから海王星でもう馬鹿な真似はすんな。」
「いや~私も鉱物学の専門家じゃないので本物かどうかわかりませんねえ。
とりあえずメイルシュトローム砲のリアクターにセットして試し撃ちでもしてみないと・・・」
ルヴェリエ「そんな!話が違う!!」
ライト「そう来る思うた。だがホンマにそんなことしてええんかな。」
「?」
「お前覚えてないんか?
生真面目な性格利用して俺のエンジンを盗ませた軍人がおったやろ。」
「そんな人もいたかもしれませんね・・・」
「そいつな、実は今この星に来てんねん。自分のやったことに落とし前つける言うてな。
わからんか?人の心を弄ぶっていうのはそれなりのしっぺ返しを喰らうってこっちゃ。」

ノーチラス号ブリッジ。
ミグ「はああああ!」
艦橋で乗組員を殴り倒していくミグ。
無線を掴むミグ「ライトか?こっちは制圧した。」
内側からロックした扉の向こうで武装したテロリストが叫んでいる。
ミグ「だが長くは持ちそうにない・・・ピカールにコンソールを壊して構わないか聞いてくれ。」

ブリッジの様子を映したモニターを無言で見つめるピカール
ライト「さあどうする?」
ピカール「ふむ・・・どうしてほしいんです?」
ライト「まずはお前らが人質にしてる王族の連中を解放しろ。」
ピカール「わかりました。飲みましょう。」
電話をかけるピカール「ナイアド女王をここへ。」

応接室へ入ってくる女王
ルヴェリエ「母さん・・・・!」
女王「ルヴェリエ!無事でしたか!」
抱き合うルヴェリエと王子。
ライト「よかったな、ルヴェリエ。よ~し、あんたらは先にこの船から脱出してくれ」
ルヴェリエ「ライトさんは!?」
ライト「オレはこのおっさんともう少し話すことがあるんや。あとは任せろ。」
「ライトさん・・・」
「心配するな。海王星は必ず守ったる。」

王族の人質がノーチラス号の連絡通路を歩いていく。ピカールの命令でテロリストたちは手出しができない。
アラゴ「まさか12歳の弟に救われるとはな・・・」
デスピナ「よくもこのわたくしをあんな狭い部屋に閉じ込めてくれたわね!バ~カバ~カ!」

ノーチラス号から人質の乗った船が飛んでいく
窓の外のノーチラス号を見つめるルヴェリエ「・・・・・・。」

応接室
ピカール「いやあ見事ですライトくん。正直驚きました。しかしこちらにも優秀な軍人がいるのをお忘れなく。」
ライト「なんやと?」

ブリッジの扉が爆発して吹っ飛ぶ
作戦台の影に隠れるミグ
ナッシュ「ここは第二艦橋だぜミグ。」
ミグ「・・・あ、あなたは・・・」
ナッシュ「しかし取り返しのつかないことをしたもんだ。お前には失望したよ」
ミグ「ナッシュ・ストライカー軍曹・・・」

ピカール「くっくっく・・・!この巨大な船に艦橋が一つだけだとお思いか?
彼女があの部屋を制圧しようが、我々の作戦には全く支障はないのですよ。」
ライト「じゃあなんで人質を逃がした?」
「あなたの喜ぶ顔が見たくてね・・・・・・母子の再会・・・感動しましたか?」
立ち上がるライト「お前・・・!」
ピカール「おっと、あなたの相棒の彼女がなぶり殺しにされてもいいのかね?」

第二艦橋
ナッシュと格闘するミグ
ナッシュ「懐かしいな、お前に格闘技術を教えたのはこの俺だ。」
ミグ「なぜこんなことを・・・!」
ナッシュ「なぜ?弱いものを救うためだよ」
ミグ「たくさんの人の命を奪った・・・!」
ミグを殴りつけるナッシュ「・・・それがどうした。」
腹を押さえて崩れるミグ
ナッシュ「ほら立てよ、昔はもう少しバイタリティがあっただろ?」
ミグ「はあはあ・・・両親はあなたを信頼していた・・・」
ナッシュ「ああ、しかし星に帰ったオレを待っていたのは誹謗中傷の嵐だった。
冥王星、いや太陽系のために命懸けで戦った報酬がそれだ。
白血病で軍を退役し、ほんのわずかな年金が振込まれるだけ・・・このオレがだ!!」
ミグ「あなたは間違っている・・・」
ミグを蹴飛ばすナッシュ「うるせえ!屋敷育ちのてめえにこの俺の気持ちがわかるか!」

ライト「ミグ!!おい、やめさせてくれ!」
ピカール「では隕石を差し出してもらおうか」
ライト「ミグを逃がしてからや!」
ピカール「わかりました。軍曹もういい加減いたぶるのはかわいそうだ。ひと思いにその女を射殺しなさい。」
ライト「ミグ!」

床にうつぶせの血まみれのミグ「ライト・・・!私のことはいい、絶対に希望の海を渡すんじゃないぞ・・・!」
銃を構えるナッシュ「ミグ。お前は落第だ。」
ナッシュの足を取るミグ「死んでたまるかあああ!」

銃声と同時にノーチラス号が大きく揺れる
ライト「ミグ!!」
ピカール「なんだ?」

ノーチラス号乗組員「か・・・海賊です・・・!」

『80日間宇宙一周 Sea of hope』脚本⑥

海賊船のカーゴ。
リンドバーグ号に乗り込むライト
「じゃあもう行くわ。ルヴェリエのこと頼むで。手のかからん子やから。」
ロジャー「あんたら正気か?こんな小さな船でテロリストと戦うなんて勝算はあるのか?」
「この船の例があるやろ。」
「そうだけど・・・」

警報がなる。
「船長!西から巨大な戦艦が接近!距離1500!」
「なに!?」

雲の中からノーチラス号が飛び出してくる。
甲板のミグ「ノーチラス号だ!!」
「あれが・・・!?」
「ルヴェリエ王子は中に入って!」
カーゴの方へかけていくミグ。
ルヴェリエ「ミグさん・・・!」

ノーチラス号
紅茶を飲むピカール「見つけた。」
ナッシュ「さ~てどうする?」
ピカール「海賊船の制圧はできますか?」
ナッシュ「まあやってみよう。全機出撃準備!!」

海賊船艦橋
ロジャー「これが冥王星の艦隊を一撃で沈めた宇宙最強の戦艦、ノーチラス・・・!」
「お頭!あいつら攻撃態勢を取っています!どうしますか!」
ロジャー「決まっているだろ!逃げろ!!」
モニターを指差す海賊「あ、ライトさんの船が・・・!」
海賊船のカタパルトから勢いよくリンドバーグ号が出撃していく
ロジャー「あのバカ・・・」
新人「どうしますか!」
ロジャー「決まってるだろ!あいつを囮にして、とにかく逃げろ!」
「アイアイサー!」

緋色の旅団の戦闘機が海賊船を取り囲む。
その隊長機にナッシュが乗っている。
ナッシュ「ようし、とりあえず2,3発お見舞いして、母船の動きを止めるぞ。
高角砲に注意!」
「了解!」

海賊船の母艦にミサイルをぶち当てるテロリストの戦闘機。
海賊船の中では海賊たちが右往左往している。
ロジャー「オレたち共産主義者の反感を買うようなことしたか~!?」
ノーチラス号が海賊船の横に回り込み、副砲を発射する。
爆発する海賊船

新人「お頭!とてもじゃないけど逃げきれないっす!!」
ロジャー「くそうパワーもスピードもあっちが上か・・・!?」

海賊船を攻撃する戦闘機をリンドバーグ号が機銃で撃墜する

テロリスト「な!」
ナッシュ「あれは・・・」

リンドバーグ号のコックピット
ライト「さすが海賊や、この船速攻で改造してミサイルと機銃をとりつけちまうんだからな!」
ミグ「海賊船を守るぞ!悪党に手を貸すのは癪だが中にルヴェリエ王子がいる!」
ライト「了解!」

ナッシュ「気をつけろ!母船を守っているのがいるぞ!」

海賊船の艦橋
新人「リンドバーグ号が援護してくれてます!我々も戦いましょう!」
ロジャー「バカ言え・・・あんな奴らに勝てるわけないだろ・・・」
「しかし・・・!」
「現実を見ろ!オレは船長だ!すこしでも生き残る可能性が高いほうにオレは賭ける・・・!」
コンパスをいじくるロジャー
コンパスを見ながら叫ぶ「進路を031246に取れ!!」
「アイアイサー!」

海賊船の前方に積乱雲のような塊が見える。
ロジャー(航空無線)「おい聞こえるかライト!あそこに逃げ込むぞ!」
ミグ「あれは・・・!?」
ロジャー「ガルフストリームだ!あの中では火器が使えないし、暴風で電場と磁場が発生するからナビゲーションシステムも狂っちまう!」
ライト「面白い・・・つかまってろミグ!!」

メタンの雲に突っ込む一同。

ミサイルを発射しようとしたテロリストの戦闘機が爆発する。

ナッシュ「なんだこりゃあ!」
ピカール「深追い無用!」
追跡を諦めるノーチラス号

雲の中では所々で小爆発が起き、大気の状態が荒々しい、
空を飛んでいるのか海の中なのかもわからない。
海賊船の方へ帰ってくるリンドバーグ

ライト「おい、どこへいくつもりや!」
ロジャー「いいからついてこい!」
機器が使えないので、目視とコンパスと海図を頼りに進んでいく海賊船。
ミグ「視界が悪すぎる!危険だ!!」
ロジャー「なあにもっとおっかないのがこの海域にはいる・・・!」
コンパスを見るロジャー「頼むぜプクプク、今日は出ないでくれよな・・・」

メタンの雲が爆発する。虚無――ー





目を開けるライト「う、う~ん・・・」
リンドバーグ号が砂漠に突っ込んでいる。
「お、おいミグ起きい。」
意識が朦朧としているミグ「♪自殺~する~な~ら~飛び込み音頭で景気づけて~」
「なに言うとんねん、ここはどこや・・・?」
船から降りるライト
細かい砂が舞い上がる。
砂漠の所々には丸みを帯びた大きな石が転がっている。
コックピットで位置を確認するミグ「計器が完全に狂って場所が特定できないぞ・・・」
ライト「それよりお前も降りてこいて、なんか気持ちええぞ・・・」
リンドバーグ号から降りるミグ「本当だ、心なしか空気が新鮮のような・・・」
ライト「靴脱げよ、砂の感触が気持ちええから・・・」
ミグ「お前ってやつは本当にのんきだなあ・・・でも・・・」
はだしになるミグ「本当だ・・・すっごい心地いい・・・」
微笑むミグ「こういうところがこの世の天国っていうのかもな・・・って天国・・・!まさか私たち・・・!」
ライト「うお~これ見てみろよ!」

ライトの視線の先に砂浜に直角に刺さった巨大な難破船がある。
ミグ「おいおい・・・」
砂丘の丘の無効を指差すライト「これだけやない。向こうにも・・・」

数え切れないたくさんの船の残骸が砂の海に沈んでいる。

「すっげ~まるで船の墓場やな・・・こんな光景見れるなんて得したな!」
「こんな光景見たくなかったよ!早くここから出ないと・・・!カラカラで干からびて死ぬぞ!」
「そうか?なんか乾燥している感じがせえへんけど・・・それにこの青白い光・・・なんかおかしいなあ」
リンドバーグ号の方へ戻るミグ「冗談じゃない。私はここで死ぬわけには行かないんだ・・・!」

ミグのそばに巨大な動物の顎がある。
ミグ「!」
砂漠にクジラとワニを足したような動物の骨格が横たわっている。
ライト「すごいぞ・・・!なんやと思うこれ?」
ミグ「知らないよ、マッコウクジラかなんかかな・・・」
ライト「そういや海賊たちはどうなったんやろな・・・?」
ミグ「ルヴェリエ様も・・・ご無事だといいんだが・・・」

ライト「お、海賊船があったで・・・!」
砂漠の傍らに森が広がる。樹木は天まで届くほどに高い。
その森の木々から海賊船の垂直尾翼の先が見えている。

ミグ「ルヴェリエ様・・・!」
駆け出す二人
ライト「ほれ、森があるんやから水もあるんやって!」

ジャイアントケルプの森
その樹木に海賊船が引っかかって浮いている。
樹木というより・・・海藻・・・?

頭上の海賊船に向かって叫ぶミグ「ルヴェリエ様~!」
返事がない。
ミグ「ご無事でしたら返事を~~!」
ライトが地面に足跡がついているのに気づく。
ライト「おい、連中森の奥へ歩いてったようやで」
ミグ(聞いてない)「ルヴェリエ様~~!!」
森の奥から大きなうなり声が聞こえる。
二人「!」

ライト「おい、お前何を呼んだ・・・?」
森の奥で茂みが揺れてバキバキと木々が折れる音がする。
ライト「武器は・・・?」
ミグ「船に置いてきた・・・!」
ライト「逃げるで!!」
足跡をたどって一目散に駆け出す二人
後方で背筋が凍るような咆哮が聞こえる。
巨大な動物が接近する音。

ミグ「なんなんだここは・・・!」
転ぶミグ
立ち止まるライト「ミグ!」
「私のことはいい!逃げろ!!」
ライト「何言うとるんや・・・!」
二人の前にルヴェリエが飛び出て森の奥に閃光弾を撃つ。
その閃光を追って怪物が森の奥に引き上げていく。

ルヴェリエ「は~・・・お二人とも怪我はありませんか?」
ライト「ルヴェリエ!」
ミグ「無事だったんだね・・・!」
「はい、ご心配お掛けしました。海賊の皆さんもいますよ。」



伝説の海賊青ヒゲのほこら
ルヴェリエが二人を洞窟に連れてくる
ロジャー「ようお前たち、来たか。」
ミグ「ここは・・・?」
ロジャー「伝説の海賊青ヒゲ。かつてこの地の海賊の諍いをおさめ、海賊の誰もが恐れたプクプク・・・カイオウトケイワニを退治した唯一の男・・・
この場所はそんな青ヒゲをたたえてオレたち海賊が残したものだ・・・
そして・・・おそらくテロリストの狙いはこれだろう・・・」
ほこらに祀られている小さな青い宝石を取るロジャー
「これが隕石の核。・・・俺たちはこの宝石を「希望の海」と呼んでいるが・・・」
ライト「これが隕石!?随分小さいんやな。そんなんなら地球でもしょっちゅう落ちてるで」
ルヴェリエ「その鉱物・・・プリズマメテオタイトの純結晶の物理的特性は、膨大な質量やエネルギーを一点に圧縮することにあるんです。」
ミグ「この小さな結晶が巨大隕石の莫大なエネルギーすら圧縮してしまったというのか?」
ロジャー「ああ、ここに巨大なクレーターだけを残してね。」
ミグ「もしテロリストがこれをメイルシュトローム砲に応用したら・・・確かに地球を消し去ることができるかもしれない・・・」
ライト「何考えとるんや・・・」
ロジャー「もう察しは付いていると思うけれど、ここはもとは海底だったところだ。
それが隕石の衝突で海水が一瞬で蒸発し、この海の墓場が出来た。
我々はこの場所で海賊の誓いをし、海王星のために商売することを決めたのさ」
ルヴェリエ「じゃ、じゃあ・・・ぼくらの星のためにもう一度戦ってくれますか・・・?」
ロジャー「え?」
ルヴェリエ「お願いします!」
ロジャー「いやね、オレたちが誓ったのは、海王星の貧しい人に物資を送るってだけで、宇宙最強のテロリストと戦うってのはちょっと契約には入ってない・・・」
ルヴェリエ「そんな・・・!今こそ元近衛隊長のあなたの力が・・・!」
ロジャー「でも今は転職して海賊。海賊はリアリストなのさ。」
ミグ「ふん、あんたらは好きにしろ。」
宝石を取るミグ「だがこの宝石はもらうぞ。敵の狙いはこちらの切り札になる。」
ロジャー「まあいいけど・・・本気なのか?」
ミグ「なにが?」
ロジャー「さっきだっておかしいだろ、ノーチラス号相手に出撃しちゃって・・・人の星のことでなんでそこまで・・・」
ルヴェリエ「過去を清算するため・・・」
ミグ「・・・ルヴェリエ様・・・」
ルヴェリエ「ぼくはミグさんに教わりました。どんなに現実が辛くても決して逃げちゃいけないってことを・・・ぼくも最後まで戦います。・・・ライトさん・・・」
ライト「ん?」
ルヴェリエ「ぼくを・・・もう一度リンドバーグ号の乗組員にしていただくことはできませんか?」
ライト「ええで。ここが海底なら上を目指して飛べば、こっから出られるやろ」
ロジャー「ルヴェリエ王子・・・あなたまで・・・」
ルヴェリエ「海賊の皆さんお世話になりました。今の海王星があるのはみなさんのおかげです。」
海賊たち「坊ちゃん・・・」
ミグとルヴェリエがほこらを出ていく。
ロジャー「・・・よう、ライト。
あのミグって姉ちゃんはどういう精神状態の人なんだ。」
ライト「・・・あいつは優しい奴や。だから自分がこの星をめちゃくちゃにした思うとるんや。
あいつは必死に過去と向き合おうとしてる。
あんた・・・優秀な衛士やったんやろ?過去から逃げてるのはあんたちゃうんか。」
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