『帰ってきたソニックブレイド』制作裏話

 地獄完結。なんだかんだでけっこう項羽と劉邦っぽくなった。最終的なやるせなさとかはけっこう出せたと思う。
 最近、総理大臣も変わって、本当に戦争が身近にあるじゃん。そんな今だからこそ、戦争のえげつなさを描きたかった。ロボットアニメでよくある、ぬるいファンタジー日本みたいなセカイ系は絶対やりたくなかった。見た人が教訓を得ないじゃん。
 後半戦は、総じて女だらけのアウトレイジビヨンドって感じ。そこで、女好きのカレル博士が片岡刑事ばりに暗躍するのが面白かった。モデルは軍師張良なんだけど、これはこれで策士だからあり。
 また、蕭何役の寺島先生、韓信役の須藤くんも、後半は活躍させられて悔いはない。マルスくんも後半はちゃんと老獪な男になるし。変われたマルスくん、変われなかったえるちゃんという、テーマ性も貫けたと思う。
 今作はめっちゃ残酷でエロいシーンが多いけど、エロって演出をうまくやるとホラーになるから、けっこう面白いと思った。『氷の微笑』とかね。

ソニックブレイドの全戦歴
えるサイボーグブログ用.jpg
①VSグビラ・・・持ち上がらず撤退。
②VSガヴァドン・・・安全地帯に運ぶ。
③VSゴモラ・・・ボコボコにされるがレールガンで撃破。
④VS中東地域・・・制圧成功。
⑤VS中露連合軍・・・制圧成功。核攻撃で火傷を負う。
⑥VSグリッドブレイド・・・圧勝。
⑦VSエレキング・・・一度目は感電して敗北。二度目で惨殺する。
⑧VSバギラ・・・完敗。
⑨VSジャスティスブレイド・・・相打ち。

けっこう戦ったんだな。えるちゃんお疲れ様。

敵のモデル
敵幹部ブログ用.jpg
バチェラーとか港区女子が、あまりにむかつくから一人ずつ殺していったけど、最近特撮の女の子の不祥事を見て、港区女子・・・お前もまた孤独!って同情するようになった。
あと移民問題も取り上げたかった。
メトロン会長・・・メトロン星人。イーロン・マスクから。
ゼッター・モートン・・・ゼットン。
ダリア・アンダーソン・・・ダダ。
ピット・エバーハート・・・ピット星人。
バルタ・シカーダ・・・バルタン星人。見た目はシャロン・ストーン。
ザラ・ラブクラフト・・・ザラブ星人。

そのほか
深未今日子・・・コイツは人間じゃない。おそらくウルトラマン。
深見えるの父親・・・毒蝮三太夫さん。
タクシーの運転手さん・・・二瓶正也さん。
山根勘兵衛・・・七人の侍の志村喬さん。ゴジラの山根博士からも。役どころは范増。
謎の黒服・・・前作のキエーザ。

『帰ってきたソニックブレイド』脚本⑧

WEMAのラウンジ
紅茶を飲む今日子とゼッター。
今日子「その美しい黒髪。出身地はゼットン星?」
ゼッター「そうです。
怪獣だけではなく異星人も詳しいのですね。」
今日子「・・・地球に移り住んでいる異星人はすべて管理してますから。」
ゼッター「我々の計画も・・・」
今日子「すべて知ってましたよ。
でも、スマートフォンの不買運動なんて、うちにはできないから。
あのメトロン星人も考えたものね。」
ゼッター「すべては、あなたの手の中か・・・」
今日子「地球はわたくしが絶対に守ります。どんな手を使っても。」
ゼッター「わたしにはもう地球を侵略する意思はありません。
お許しを・・・」
今日子「ダメよ。悪人は最後まで悪人でいないと。」
ゼッター「愛する人がいるんです・・・死にたくない。」
今日子「愛とはなに?」
ゼッター「・・・え・・・」
今日子「その抽象的な感情のせいで、いつも世界は滅亡しかけている。
私には、さっぱり理解ができない。
あの子がマルスくんを愛しさえしなければ・・・
普通の女の子として人生を歩めたのに。」
ゼッター「あなたが娘さんを思う、その気持ちが愛なのでは・・・」
今日子「わたくしは娘の命と世界平和なら後者を選ぶわ。」
ゼッター「どうしてそこまで・・・」
今日子「この星の生命は・・・変化するから。」
ゼッター「・・・変化・・・」
今日子「わたくしは変化ができない・・・
あなたがた異星人もそれぞれに進化を終えて・・・歩留まりになったのでしょう?」
ゼッター「あなたは一体・・・」
今日子「しかし、この辺境の星の生命体は決して進化をやめない。
どんな苦難、逆境があっても、常に適応し続ける・・・
こんな興味深い生命体は、広い宇宙でもこの星だけ。
貴重な生き物は保護しなければ。」



グリッドライン社
会長室の前
秘書のフェイ「こまります・・・今会長は・・・」
寺島「うるさい!どきなさい!!」
フェイを突き飛ばして、会長室のドアを勢いよく開ける寺島。
寺島「マルス!」
びくっとするマルス「せ・・・先生・・・?」
寺島「なにしてたの?」
コーヒーカップを掲げるマルス「・・・くつろいでた。」
寺島「可愛い彼女を犠牲にさせていい身分ね。
なんで今すぐ、えるちゃんを手術しないの!」
マルス「どこから情報がもれたんだ・・・」
寺島「あの子は死にかけてるのよ!はやく治療しなさい!」
マルス「治療したら、ソニックブレイドに乗れない。」
寺島がマルスを引っぱたこうと近づく「この・・・」
その手をつかむマルス「・・・暴力はよくないですよ。」
寺島「権力は人を変えるわね・・・
学校でいじめられていたえるちゃんを助けていたマルスくんはどこへいっちゃったの?」
マルス「いったい何年前の話してるんですか。
それにあなただって国民の税金を好き勝手使って私腹を肥やしているでしょう?」
寺島「すべての財産を復興支援にあてている!
私の家は今もボロアパートで毎日ふりかけご飯よ・・・!」
マルス「丸美屋からいくらもらってるんですか?」
寺島「私が好きなのは永谷園よ、離しなさい!」
手を離してやるマルス。
マルス「人間は変わるんだ。変化しなければ滅びてしまう。」
寺島「教育者としてこれほど、おのれの無力さを感じたことはないわ。」
マルス「あのジャスティスブレイドのメテオ火球の威力を知っているのか?」
寺島「知らないわよ。」
マルス「一撃で日本が木っ端みじんになるんだぞ。」
寺島「それを作ったのは、あんたじゃない!」
涙を流すマルス「あいつを救うために作ったんだ!
事情も知らずに勝手なこと言うな!」



WEMAの格納庫
ゼッター「やはりあなたは間違っています。
世界平和を望むなら、この戦いは回避しなければならないはずだ。」
今日子「強大な力が2つもあってはダメ。米ソの冷戦がいい例じゃない。
何度も何度もシミュレーションした・・・
国家間の争いもなくし、狂暴な怪獣もすべて滅ぼした・・・
これが最後の仕上げなんです。
・・・おねがい。世界平和のために死んで。」
ゼッター「私は負け戦はしません。
娘さんを殺してしまうかもしれませんよ。」
今日子「それでもかまわない。
そうなれば、あなたが救いの女神で、あの子は・・・」
ゼッター「残酷な天使か。」
ジャスティスブレイドに乗り込むゼッター
ジャスティスブレイドはソニックブレイドの二倍近い大きさで、漆黒の機体は武器だらけになっている。
ゼッター「人生最後の戦くらい、誰も巻き込みたくはない。決戦は宇宙でつける。」
ブースターが火を吹き、地球の静止軌道を目指す。



グリッドライン社の格納庫
受話器をつかむロイド「現れたぞ。」

宇宙空間で、通信衛星を破壊していくジャスティスブレイド。

衛星中継の映像を見るマルスたち。
マルス「自分で作っといてなんだが、とんでもねえ化け物だ。」
車いすのえる「あんなのちっとも怖くない。」

弱々しく、ソニックブレイドのコックピットに這い上がる。
落ちないようにおしりを支えてやるマルス
える「えっち。」
マルス「なんだよ・・・」
微笑むえる「指輪楽しみにしてるね。」
マルス「任せろ。ぶっ飛ばしてこい。」

夜空に向かって飛んでいくソニックブレイド。



宇宙空間で対峙する、二つの最終兵器。
ゼッター「もうお前には恨みはないが・・・愛する人が地上で待っているんだ。
勝たせてもらう。」
える「わたしだってそうだもん。」

夜空で光がきらめく。
巨神同士の戦闘の様子を見上げる人間たち。
その光に目を奪われる。

フェイ「不謹慎なこと言っていい?」
マルス「ああ・・・」
フェイ「・・・すごいきれいね。」
アロハシャツの須藤が格納庫に入ってくる。
ラップトップが入った手提げ袋を持っている。
「隅田川花火大会はここっすか?」
マルス「よく来てくれた須藤くん・・・」

宇宙空間では地獄の死闘が繰り広げられている。
どのスペックも勝っているゼッターがえるを圧倒する。
ゼッター「プロの軍人が民間人に負けるわけがないだろう・・・!」
える「私もちょっとだけ自衛隊にいたもん!!」

ヘッドセットをつける須藤
「えるの姉貴が押されているっす。」
マルス「えるが負けそうになったら、きみのドローンで援護してくれ。」
須藤「ご要望とあらば、そのまま倒すっすよ?」
マルス「いや、とどめはソニックブレイドにやらせるんだ。
あいつにも自尊心がある。」

殴り合う巨大ロボット
ゼッター「息が上がってきたぞ!降参しろ!命は取らない!」
える「やだ・・・!」
ゼッター「このままだとコックピットがつぶれるぞ!負けたと言え!」
える「絶対にやだ!!」
ゼッター(なんだこいつ・・・)
ソニックブレイドがジャスティスブレイドにしがみつく。

地上
マルス「やれ!」
須藤「組み合ってて、攻撃できないっす!」

宇宙
ゼッター「はなせ!鬱陶しい!」
える「あなたは戦いの経験が豊富だけど・・・
いじめられた経験はない!
わたしは・・・ずっとずっと・・・死にたかった・・・
だから、いまさら死を恐れない!」
ゼッター「やめろ、このままでは二人とも落下するぞ!」
える「いっしょに流れ星になろう。」
ゼッター「やめてくれ!生き残りたい!!」
熱圏に接近し、二人の機体が赤く燃えだす。





重い荷物を持ってふらふらと階段を上る女の子。
よろける寸前、荷物に手を貸してやるマルス。
女の子「あ・・・」
マルス「また、押し付けられてんのか、える。」
える「ライちゃん・・・そんな私がいじめられっ子みたいに言わないでください。
親切で心優しい私がみんなのために進んで・・・」
マルス「はいはい・・・」
そう言うと、彼女に気づかれないように背中に貼られた「死ね」という張り紙を取ってやる。
える「・・・ありがとう。」
荷物を持ってやるマルス「腐れ縁だからな。」




マルスの笑顔がえるの脳裏に浮かぶ。
目を閉じるえる(・・・あなたが思い描く未来に・・・もう私はいないのね。)





夜空がきらりと光る。
地上
マルス「・・・お前は最後まで変わらなかったな・・・」
涙目になるマルス「・・・変わってくれれば・・・どんなに・・・」
ボロボロと涙があふれる。




(回想)
ラボ
えるに怯えて土下座をするピット「なんでもします・・・!だから命だけは・・・!」
える「あなたは花が好きなんだよね。」
ピット「は・・・はい・・・」
える「私が死んだら、お花を植えて欲しいの。」
ピット「・・・え?」
える「あたり一面に綺麗な花を・・・」




ソニックブレイドの壊れた機体の周囲に花畑が広がっている。
ソニックブレイドのコックピットの中で目を閉じて眠っているえる。
左手の薬指には指輪がはめられている。

おしまい

『帰ってきたソニックブレイド』脚本⑦

ジャスティスブレイド開発室
黒服が入ってくる「ゼッター・モートンがメトロン・ゲティスバーグを殺害し、ジャスティスブレイドを奪って逃亡した。」
マルス「・・・知ってる。」
黒服「あんたが手引きしたのか?」
マルス「さあね。なんでそう思うんだ?」
アタッシュケースを机に置く黒服
「死んだダリアと、ゼッターが保有していた株式がすべてお前に譲渡されている。
グリッドライン社はマルス・ライ、お前のものだ。
会社乗っ取りおめでとう。」
口角が上がるマルス。



グリッドライン社
役員会議室
会長の席に座るマルス「オレでいいのか?」
ロイド「若い奴が遠慮するな。ロスアラモスの時もボスだっただろ。」
書類の束を置くフェイ「・・・アンダーソン博士の研究データです。」
書類に目をやるマルス「・・・非人道的な人体実験ばかりだ。
あの女狂ってやがる・・・」
フェイ「言っておくけど、私たちも無関係ではないからね。」
マルス「・・・軍に実験を強要されてたっていうのか?」
フェイ「わからないけど。えるちゃんの改造手術についてはここ。」
マルス「図面が読めますか?」
ロイド「任せろ・・・フェイルセーフ・・・これが信管でこっちが爆弾だな。」
マルス「・・・ゼッターが俺の話をすぐに信じたのも当然だな。
自分たちがやってたんだから。」
フェイ「脳髄に近い場所に爆弾が埋め込まれている。無理に取り出すのは危険ね。
人工知能が完成したら、アメリカ政府はこの爆弾でえるちゃんを始末する予定だった・・・
でも、人工知能を積んだソニックブレイドごと、ロスアラモスに逃亡したから・・・」
マルス「・・・爆破したくてもできなかったのか。」
小さな紙を渡すロイド「起爆コードがこれだ。」
フェイ「このコードを知る人間はもう私たちだけ。処分しましょう。」
マルス「ジャスティスブレイドの方はどうする?」
フェイ「起爆しないという約束で、モートンには寝返ってもらったんじゃないの?」
ロイド「そういや、寝返らせた男がいねえな。」
マルス「・・・これはジャスティスブレイドの手綱だ。
もし、これを手離したら・・・地球上にあのロボットを止めるものはいなくなる。」



湖畔
見晴らしのいい丘に腰を下ろすモートン
「私はこれからどう生きれば・・・」
カレル「あんたはもう自由ザンス。」
モートン「カレル・・・」
花束を渡すカレル「別れのキスもなしにいなくなるのは、ひどいザンスよ。」
モートン「私に近づかない方がいいぞ。いつ爆発するか分からん。」
カレル「これがほんとのダイナマイトボディざんすね。」
力なく笑うモートン「ははは・・・
ソニックブレイドのパイロットの気持ちがわかったよ。
このロボットに乗り込んでしまったら、最後・・・自由なんてないんだ。
あの会社でさんざん悪事を重ねたんだ。当然の報いだな。」
カレル「・・・あんたは自分のやったことを悔いることができる。
それだけで善良な人間ザンスよ。」
モートン「戦場で戦うことしかできない哀れな女さ。
もう行ってくれ。どんどんみじめになる。」
カレル「・・・もし、起爆装置を解除出来たら?」
モートン「・・・え?」
カレル「そしたら、あんたはどうする?」
モートン「・・・どうもしないな。
静かに・・・穏やかに暮らしたい。もし・・・お前さえよければ・・・一緒に。」
起爆ボタンのあるスマホを取り出すカレル「押してみるザンス。」
モートン「・・・え?」
カレル「さあ。」
モートン「わたしなんかと一緒に死んでくれるのか・・・?」
微笑むカレル。
ためらうモートン「・・・でも・・・」
カレル「さあ。」
モートン「ありがとう。」
震える指で意を決してスマホのスイッチを押すモートン。
しかし、モートンの爆弾は爆発しなかった。
モートン「・・・え?」
カレル「ダリアは、あんたを大切な友人だと思ってたってことザンス。」
涙を流すモートン。



グリッドライン社
受話器を握るマルス「なんてことを・・・!」
電話越しのカレル「つーことで、オレは消えるザンス。
マルちゃん、あとはよろしく。」
マルス「ジャスティスブレイドは・・・!」
カレル「オレたちの愛を引き裂かない限り起動はせんよ。」
マルス「あんた女好きでしょ!
モートンがあんたの浮気に激怒して、捨て鉢にでもなったら・・・!」
カレル「あんたらみたいに?」
マルス「オレは浮気なんかしてない!」
カレル「最初に言ったはずだ。オレは世界なんてどうでもいい。うまい酒といい女さえあればハッピーなの。バイバイ。」
マルス「カレル!」
電話が切れる。
マルス「切れた・・・」
フェイ「これで、ジャスティスブレイドを止めるものは、なにもなくなったわね。」
ロイド「どうすんだ・・・」
マルス「いや・・・一人いる。」



日本
千代田区の邸宅
寝室
暖かな木漏れ日。
ベッドで目を覚ますえる。
パイプをふかし肘掛け椅子に座って新聞を読む勘兵衛「起きたか。」
える「・・・最近・・・怖い夢を見なくなったの。
子どもの頃の・・・楽しかった夢ばかり・・・」
勘兵衛「それはよかった。」
える「・・・日本は平和?」
勘兵衛「みんなお前さんが怖くておとなしくしておる。
治安は改善、都市の復興も進んでいる。安心しなさい。」
える「寺島先生が日本の大統領になってくれたおかげだ・・・」
立ち上がろうとするえるを支えてやる勘兵衛「おっと」
える「ありがとう・・・」
勘兵衛「せっかく悪夢を見なくなったんだ。もっと寝ていればいい。」
える「・・・わたし・・・あと何回ソニックブレイドに乗れるかな・・・」
勘兵衛「もうやめておけ。
世界各国のグリッドブレイドは成敗したじゃろう」
える「アメリカが残ってる。」
勘兵衛「向こうにはマルスがいる。ジャスティスブレイドはなんとかするじゃろ。」
える「悪夢を見なくなった理由をずっと考えていた・・・」
勘兵衛「・・・。」
える「この現実が悪夢そのものだからよ。」



共同墓地
マルスの家の墓
線香をあげる喪服のろな
ろな「来る墓、間違ってるんじゃない?」
える「・・・・・・。」
ろな「・・・あなたのしたことは間違ってないわ。
民間人を気にしていたら戦えないもの。
でも私はぜったいに許さないから。」
える「・・・。」
ろな「私は私と私の大切な人さえ生きていればいいの。
あなたのように、人間の生死を数字で考えるようになったらおしまいよ。」
そう言うと、えるを残して立ち去るろな。
ひどいことを言ってしまったといった表情で涙を拭うろな。
対照的に一粒も涙を流さないえる。

そこへ歩いてくるマルス「妹を許してくれ。」
える「・・・いまさら何の用?・・・ライちゃん・・・」



高級ホテル「鴻門之会」のスイート
窓の外を見るマルス「東京の夜景もずいぶん変わったな。」
える「あなたがいない間に、いろいろあったのよ。」
マルス「酒は飲めるようになったのか。」
える「医者に止められてるの。用件は何?」
マルス「グリッドライン社の連中を皆殺しにするんだって?」
える「・・・うん。」
マルス「それはつまり・・・オレも含まれるのか。」
える「・・・どうかな。」
マルス「ジャスティスブレイドが消えた。」
える「らしいね。」
マルス「・・・きみに倒してもらいたい。」
える「・・・あんなに私にロボットに乗るなって言ってたのに。」
マルス「もう君しかいないんだ。」
える「約束したじゃない。もうどこにもいかない。ずっとそばにいるって。」
マルス「・・・すまない。」
える「あと浮気したでしょ。」
マルス「・・・それは・・・した。ごめん。」
える「・・・もう、感情がぐちゃぐちゃでわかんないよ・・・」
マルス「ジャスティスブレイドさえいなくなれば・・・地球から脅威がなくなるんだ。
今度こそ地球は平和になる。」
える「うそよ。」
マルス「・・・。」
える「だって、まだ私が残ってる。」
マルス「・・・フェイに頼めば治してもらえる・・・」
える「・・・いまさら人間に戻れって?じゃあ、今すぐ治してよ。」
マルス「・・・え?」
える「私のことを今でも愛しているなら、今すぐできるはず。
・・・そうでしょ?」
マルス「・・・・・・。」
える「・・・そうだよね。
うん・・・知ってた。
もう・・・わたしたちは変わっちゃったんだよ。
お互い、背負うものがあまりに増えてしまったから・・・」
マルス「・・・最後の戦いをしてくれるか。」
服を脱ぐえる「私の体は見ての通り。
・・・これを見ても、あなたは同じことを言える?」
裸のえるを抱きしめるマルス「言える。」
涙を流すえる「ずるいよ・・・」
抱きしめあう二人。



えるの邸宅
勘兵衛「マルスを殺すんじゃなかったのか?」
える「・・・誰がそんなこと言ったの?」
勘兵衛「お前はもう戦える体じゃないんだぞ!」
える「知ってる。」
勘兵衛「昔の男にいいように使われているだけだとなぜわからん!」
える「ジャスティスブレイドを倒したら、世界で一番の婚約指輪をくれるんだって。」
あきれる勘兵衛「な・・・なんて愚かなんじゃ・・・」
える「おじいちゃんには分からないのよ。女の子の気持ちが。」
勘兵衛「地球を支配できる力を持つものが・・・まだ学生気分が抜けておらんとは・・・」
える「もう、出て行って。」
勘兵衛「言われずとも出ていく!もう会うこともないじゃろう。」
える「もう年なんだから、怒っちゃだめだよ。」
部屋から出ていく勘兵衛「ふん!」
勘兵衛(・・・あの子の死にざまなど見たくない・・・)
える(・・・私が死ぬところを見せたくない。)



格納庫
ソニックブレイドを強化改造するロイド
マルス「どうですか?」
ロイド「・・・さすがに結構がたが来てるな。」
マルス「一から作り直す時間がない。」
ロイド「わかってる。」
マルス「えるの寿命が尽きる前に、決着をつけないと。」
フェイ「男ってなんでみんなこうなのかしら。」
マルス「何か言ったか。」
フェイ「いえ。」



スイスの山小屋
食料の入った紙袋を抱えるカレル「ゼッターちゃんただいま~♪」
「今日はあんたが好きなシチューを・・・あれ?」
小屋にはだれもいない。
ベッドに置手紙が置いてある。

手紙「親愛なるカレル博士へ
ありがとう。あなたのおかげで少しの間幸せを感じられた。
しかし、グリッドライン社は裏切者を決して許さない。
私といると、きっとあなたにも危害が及ぶ。
バカな私を許してくれ。」

カレル「・・・また振られちまったな。」



ニューヨーク
世界危機管理局WEMA本部
?「・・・何の御用?」
ゼッター「もう誰も頼れる人がいないの・・・お願い・・・
わたしをかくまって・・・あの子を説得してほしい・・・」
?「そんな生き方はあなたには似合わないんじゃないかしら。」
ゼッター「・・・私はもう足を洗いたい。」
?「あなたは生粋の戦士よ。戦場で華々しく死にたいとは思わないの?」
ゼッター「・・・相手はあなたの娘なのよ。」
生きていた今日子「ふふ・・・あの子は強いわよ。」
ゼッター「みんな狂ってる・・・」

『帰ってきたソニックブレイド』脚本⑥

港区
グリッドライン社日本支社のビルを破壊するソニックブレイド
崩れ落ちる自社ビル



練馬区仮説避難所
えると勘兵衛が炊き出しの列をぬって歩く。
支援物資を運ぶ寺島「なんでここにいるとわかったの?」
える「・・・この避難所は一度も大きなトラブルがないと聞いて。」
寺島「きて。」
勘兵衛の方を向くえる「待っててくれますか?」
勘兵衛「うむ。」

簡易的な事務所
寺島「お茶しか出せないけど。」
える「ありがとうございます。」
寺島「顔つきが変わったね。」
える「・・・お願いがあるの。」
寺島「うん。」
える「グリッドライン社に代わって日本を統治してほしいんです。」
寺島「ははは。」
える「先生は思いやりがあって、仕事が丁寧。きっといい政治をする。」
寺島「あたしは、ただの公務員よ?」
える「日本のリーダーになって。私には政治のことなんかわからないから。」
寺島「もう、世界の支配者のつもりなんだね。」
える「つもりじゃない。そうなの。」
寺島「・・・マルスくんは、あなたにこんなことをやってほしくなかったから、アメリカに行ったんじゃない?」
える「やめて。」
寺島「アメリカに行った理由を聞いた?あなたの体を治すために・・・」
える「・・・やめて!」
寺島「・・・えるちゃん・・・」
える「・・・この体じゃ愛せないってことでしょう?」
寺島「それは・・・」
える「また来ます。考えておいてください。」
事務所を出る。

避難所
勘兵衛「おい。よくわかんない奴がお前に会いたがっているぞ。」
える「え?」
須藤「えるの姉貴・・・!」
える「・・・須藤くん?」
須藤「覚えていてくれたんすね!嬉しいっす!」
える「忘れるわけないよ。ちょっと痩せました?」
須藤「あのころから10kg太ったっす。やっぱり忘れてるっすね。」
久しぶりに笑顔になるえる「あはは・・・」
勘兵衛「知り合いか。」
える「学生時代の。今は何をしてるの?」
須藤「在日米軍でドローン兵器のパイロットをやってるっす。
エレキングを一度撃退したのは、何を隠そうこの俺っす。」
える「ごめんね・・・あのときは負けちゃった。」
須藤「姉貴・・・オレを雇ってくれないっすか?」
える「え?」
須藤「姉貴の世界征服に協力したいっす。ドローンの操縦に関してオレの右に出るやつはいないっす。どうか・・・」
勘兵衛「戦力になりそうじゃな。いいんじゃないか。」
える「須藤くん・・・ごめんね。」
須藤「そうっすよね・・・え?」
える「須藤くんには、私みたいになってほしくない。」
須藤「いまさら何言ってるんすか。」
える「決めたんだ。悪いことは今後はすべて私がやるって。」
須藤「オレにも背負わせてください・・・!」
える「須藤くんは、あと何年生きるつもり?」
須藤「糖尿病に気をつければ、まだまだ生きていけるんじゃないっすかね。」
える「わたしにはもう寿命がない。」
須藤「・・・え?」
える「だから、世界中のみんなの憎しみをすべて受けて死んじゃえば・・・
今度こそ・・・きっと世界は平和になる。
須藤くんが活躍するのはその時。」
須藤の肩に手を置いて微笑むと、行ってしまうえる。
須藤「姉貴・・・」

勘兵衛「わしは老い先短いからな。」
える「そういうわけでは・・・」



アメリカ
グリッドライン社 役員会議
帰国したダリア「日本はソニックブレイドに掌握されました・・・」
メトロン「・・・。」
ダリア「お許しを・・・」
笑顔のメトロン「きみが無事に戻ってきてくれただけで嬉しいよ。」
ダリア「ありがたき幸せ・・・このダリア、会長のために命がけで・・・」
真顔に戻るメトロン「・・・新型の進捗は?」
モートン「マルス。」
マルス「ジャスティスブレイドはほとんど完成。
装甲の強度も、リアクターの出力も、武器の威力もソニックブレイドの三倍。
あとはパイロットだ。」
メトロン「マルスくん、きみは天才だ。」
マルス「約束してくれ。
ソニックブレイドを破壊しても、えるの命は助けると。」
メトロン「神に誓おう。」



会長室
メトロン「マルスは深未えるが生きていると分かったとたん従順になったな。」
モートン「ジャスティスブレイドでソニックブレイドを撃破したのち、殺します。」
メトロン「そこまでするか?」
モートン「偉大なる会長を殴った。」
メトロン「本当に従順だな、きみは。」
モートン「会長のためなら、わたくしはなんでも・・・」
メトロン「その言葉に嘘はないか。」
頷くモートン。
メトロン「ジャスティスブレイドにはパイロットがいない。」
モートン「・・・。」
メトロン「乗ってくれないか。きみは軍隊経験があり戦場を知っている。」
モートン「わたくしが・・・」
メトロン「幹部はほとんどが死んだ。もはや信頼できるのはきみしかいない。」
モートン「・・・・・・。」
メトロン「改造手術が怖いか?」
モートン「いいえ・・・」
メトロン「いい子だ。」
モートン「あの・・・サイボーグになる前に私を抱いてくれませんか?」



格納庫
ジャスティスブレイドを見つめるダリア
「・・・あの悪魔が二体になった・・・」
マルス「あんたなんだろ?」
ダリア「・・・え?」
マルス「えるをサイボーグにした科学者は。」
ダリア「なぜそれを・・・」
マルス「よかったな。そうじゃなかったら、あんたはここにはいなかった。」
ダリア「あんな手術するんじゃなかった・・・
彼女はモンスターよ。」
ブチ切れるマルス「お前がモンスターにしたんだろ!」
ダリア「ひいい・・・許して・・・!」
マルス「・・・あんたにチャンスをやる。」
ダリア「・・・なにをすればいいの?」
マルス「ジャスティスブレイドが出撃する前に、ソニックブレイドを無力化するんだ。」
ダリア「なんで・・・」
マルス「あのメトロンが約束を守るわけないだろ。
ソニックブレイドからえるを救い出して、人間に戻せ。」
ダリア「・・・いやよ、会長に逆らうことになる・・・」
マルス「一度も二度も同じさ。
あの冷徹な男がお前のことを完全に信用していると思うのか?
それに幹部のモートンの最後の障害は誰だ?」
ダリア「・・・死にたくない・・・」
マルス「オレが守ってやる。それは愛とか信頼とか不確かなものじゃない。
利害関係だ。えるを手術できるのは、お前しかいないからな。」
ダリア「日本のラボに、ソニックブレイドのスペックを付与した改造怪獣がいます・・・」
マルス「よし。人的被害の少ない場所で暴れさせろ。」

ジャスティスブレイド開発室
部屋に入ってくるマルス
カレル「どうだったザンスか?」
マルス「あんたは天才だ。」
カレル「女の操り方は任せるザンス。」
フェイ「最低。」
ロイド「男の方はどうすんだ。」
マルス「あのモートンを引き離さないと。」



手術台の上に横たわるモートン
「やってくれ。」
百戦錬磨のモートンの体は傷だらけ。
ダリア「・・・本当にいいの?
他の人だっているじゃない・・・」
モートン「お前を信用しているからな。」
ダリア「会長の玉の輿はいいの?」
モートン「くだらん。わたしは金に興味はない。
あの人の役に立てればいいんだ。」
ダリア「私が玉の輿になったら消すの?」
微笑むモートン「バーカ。友人の幸せを祝福するさ。」
そう言って目をつむるモートン。
メスを握るダリア。
「ごめんなさい、私の最後の友だち・・・」



一週間後・・・
日本
奥多摩山中の変電所に現れる、裂刀怪獣バギラ。
両腕にはソニックブレイドに似た巨大な刃がグロテスクについている。

ソニックブレイドで現場に向かうえる
「まだ怪獣の残党がいた・・・私が生きているうちに絶滅させないと・・・」
無線で勘兵衛「接近せず、レールガンで即死させろ。
幸い、周辺に人気はない。存分にやれ。」
える「オーケイ。」

スペシウムレールガンを構えるソニックブレイド。
無心で引き金を引く。
哀れな改造怪獣に発射される砲弾。
しかし・・・
ソニックブレイドのレールガンを頑丈な装甲で跳ね返してしまう怪獣バギラ。
える「・・・え?」
するとバギラが顎を開いて、強力な破壊光線を発射する。
とっさに身をかわすソニックブレイド、しかしその時には怪獣は機体のすぐそばまで迫っていた。
お互いの腕のブレードで斬りあうロボットと怪獣。激しい火花が散る。
しばらく硬直状態に陥るが、ソニックブレイドのブレードがポキっと折れてしまう。
える「こいつ・・・強い!」

ソニックブレイドを押し倒そうとする怪獣。
怪獣の腹部にけりを入れて距離を取ろうともがくえる。
しかし、その脚をブレードで切断してしまう怪獣。
える「そんな・・・!」
地面にひっくりかえって、両腕を振り回すソニックブレイド。
その両腕も切断してしまう改造怪獣。
える「いや・・・いや・・・
やだ・・・負けない・・・やだあああ!!」
慟哭をあげるえる。



動力部をすべて破壊され、地面に転がるソニックブレイドの胴体。
怪獣が鉤爪で器用にコックピットをこじ開ける。
血まみれでぼろぼろなえるが気絶している。

そこへワゴン車が接近してくる。
怪獣は攻撃をやめておとなしくなる。
ワゴン車を飛び降りて、後部のラゲッジルームを開けるダリア。
ダリア「パイロットは・・・」
ソニックブレイドのコックピットにかけていくダリア。
えるの脈を確認するダリア。
ダリア「よかった・・・生きてる。これで、この子は」
その直後、ダリアの頭が吹き飛び、体も木っ端微塵に銃撃される。
返り血を浴びるえる。

上空には膨大な数のドローン兵器が飛行し、バギラに一斉射撃を開始する。
飼い主を失ったバギラは両目を潰されると、ドローンに反撃できず、頑丈な装甲のつなぎ目から血が噴き出す。
ほどなくして、とうとう爆発四散するバギラ。



どこかのネットカフェにいる須藤
キーボードを叩く。
「あぶね~・・・姉貴がさらわれるところだったっす。
姉貴だけ死なせはしないっすよ・・・」



アメリカ
グリッドライン社
会長室
メトロン「ダリアのやつ、勝手な真似を・・・!
モートン!」
サイボーグのモートン「・・・は。」
メトロン「きっとマルスの差金だ!
マルスを殺したいといったな?許す。今すぐやれ!」
モートン「・・・・・・。」
メトロン「聞こえなかったか!早く行け!」
モートン「私の機械の体に爆弾が埋め込まれているのは本当なのですか?」
メトロン「・・・なんだと?」
モートン「あなたはダリアを玉の輿に決めた。
だから、わたしが不要になったんだ・・・」
メトロン「何を言ってるんだ!どうでもいい!マルスを殺せ!」
涙目になるモートン「私は今まであなたに忠誠を誓ってきた・・・
その結果がこれなんですか・・・?」
メトロン「・・・マルスのやつ・・・離間の計をはかりやがった・・・」
モートン「愛するダリアだけ先に日本に逃がしたのが証拠。」
メトロン「・・・お前はもっと賢い奴だと思ってたがな。
こんな子供だましの策略に騙されるとは、お前を側近にしたのが俺の最大の失敗だ!」
モートン「では、証明してください。」
そう言うと、メトロンにスマホを渡す。
モートン「あなたが世界征服のために作った最初のスマートフォンです。
あなたは、これで人類の知能を低下させ、従順な奴隷にするとわたしに野望を語った・・・
あれから10年・・・私はあなたとずっと一緒だった・・・」
メトロン「・・・待て。」
スマートホンの画面には爆弾の起爆スイッチが写っている。
モートン「嘘ではないなら、スイッチを押せますよね・・・?」
汗がにじむメトロン「・・・落ち着け!金ならいくらでもやる!
だから、冷静になるんだ・・・」
モートン「私は冷静よ。
それに私は金のためにあなたについてきたんじゃない・・・
あなたはずっとそう思っていたの?」
メトロン「俺の全資産は37兆だ・・・!37兆ドルやる!」
モートン「・・・あなたの言うとおりよ。
私は本当に愚か。あんたは一緒に死ぬ価値のある男じゃなかった。」
軍服の日本刀を抜き、メトロンを股から真っ二つにしてしまうモートン。
バラバラの死体がプールに落ちて、水を赤く染める。
モートン「まだカレルの方が愛してくれたわ。」

『帰ってきたソニックブレイド』脚本⑤

グリッドライン本社ビル
マルスを出迎えるメトロン「グリッドライン社へようこそミスターマルス・・・!
歓迎いたします。わたくし会長のメトロン・ゲティスバーグ・・・」
メトロンを思い切り殴るマルス
倒れかけるメトロンを支えるモートン「会長・・・!」
笑顔のメトロン「ははは・・・いい、いい」
マルス「俺の国をめちゃくちゃにしやがって・・・」
メトロン「日本については哀悼の意を示すよ。」
マルス「お前らがソニックブレイドを倒すために開発した生物兵器だろ・・・!」
モートン「あれはただの新種の野生動物。言いがかりよ。」
メトロン「そうだ。あの怪獣を倒せるロボット兵器を新たに開発して欲しい。」
マルス「おれはえるの命を救うためにわざわざ来たんだ。
そのえるがお前らの怪獣に倒された。協力する目的がない。」
モートン「さらに多くの日本人がエレキングに殺されるけど?」
マルス「知るか。こんなもんいたちごっこだ。
世界一の金持ちを殴れただけでアメリカに来た意味はあったな。俺はもう帰る。」
会長室を出ていくマルス。

モートン「どういたしますか。」
怒り狂うメトロン「あのやろう・・・この俺を殴りやがった・・・
この地球に俺に逆らう人間はあいつだけだ!なんとか協力させろ!
失敗したら全員クビだ!」
モートン「ソニックブレイドが敗れた以上、新型ロボットの開発は不必要では?」
睨みつけるメトロン「なんだと?」
モートン「・・・口が過ぎました。」
メトロン「日本での我社のイメージは最悪じゃねえか。
あのマルスだけじゃねえ、どんなバカでも、あの怪獣はオレたちの仕業だってわかるだろ!
こんな状況で安定統治できるか!GHQですらもっとうまくやったぞ!」
デスクのものを荒々しくひっくり返すメトロン。
メトロン「ザラやバルタは賢かった。お前の脳みそでは理解に乏しいようだな、ゼッター。」
うつむくモートン「・・・申し訳ありません。」
メトロン「我社の信頼を取り戻すには、あのエレキングを我社のロボットで倒すしかないんだよ。そのためには、あのいけすかねえガキに頭を下げなきゃいけねえんだ!
覚えとけ!!」

会社の屋上
マルス「・・・向こうでは一緒に静かに暮らそうな。」
手すりを乗り越え飛び降りようとする。
フェイ「・・・にげるの?」
マルス「・・・フェイ・・・?」
フェイ「ソニックブレイドで一番激しかった戦闘は、この前のエレキングかしら?
違うわ。チンジャオ・ゴーゴリの乱よ。核兵器をぶつけられても、あの子はやけどで済んだ。」
マルス「生きてるっていうのか・・・?あの頃よりも衰弱してたのに?」
フェイ「確認してからでもいいでしょう?
でないと・・・私はなんで身を引いたのよバカ。」
マルス「・・・。」
フェイ「それに・・・愛する女が死んだら、男がすることはあとを追うことじゃない。
生き続けるの。花を手向けるために。」
涙を流すマルス。
マルスの手を取るフェイ「聞き分けのいい子。ほら立って。
ロスアラモス時代のスタッフはみんなここにいるわよ。」
マルス「カレル博士・・・ロイドさんも?」
フェイ「みんな、あなたに会えるの楽しみにしてたんだから。」



グリッドライン社の私設格納庫
改造されたグリッドブレイドのフレームが並んでいる。
至る場所で溶接のスパークが火花を散らす。
モートンと並んで歩く工学者のエディ・ロイド
ロイド「一週間でソニックブレイドをしのぐ巨大ロボットなんか作れるわけないだろ!
プラモデルじゃねえんだ。」
モートン「人も資金も惜しまない。エレキングのせいで時間がないの。」
ロイド「当初の計画では2年の話だっただろ、それでも突貫工事だ。
ソニックブレイドの完成には10年かかってんだぞ。」
数学者エバリスト・カレル「善処するザンス。」
ロイド「おい、カレル!」
カレル「グリッドブレイドの戦闘データはすべて回収済み。これを新たな電子頭脳に学習させれば、わけはないザンス。」
ロイド「ソニックブレイドに負けたデータじゃねえか。」
カレル「負けないと勝てないでしょ?」
ロイド「それは教育役がいる場合だ。」
モートン「ソニックブレイドの時のようにパイロットがいる・・・?」
ロイド「それも、百戦錬磨の戦闘者が。」
カレル「かよわい女の子でも、あそこまで強くなったザンスからね。」
モートン「わかった。見繕う。」
カレル「それよりもゼッターちゃん。新ソニックブレイドが納期内に完成したら、約束通りデートしてくれるんだよね?」
モートンの腰に手を回すカレル。
赤くなるモートン「か・・・考えておくわ。」
カレル「ゼッターちゃん大好き!ちゅっちゅ」
モートン「あんた、女の趣味悪いんじゃない?
軍隊あがりの私のどこがいいんだ?」
カレル「その鍛え上げられた肉体・・・ベッドで堪能したいザンスよ~」
カレルの腕を決めるモートン「最低。」
カレル「あたたたた!」
モートン「一週間よ。」
歩き去るモートン。

ため息をつくロイド「何考えてんだお前は・・・」
真顔になるカレル「敵からは信用されないと。」



日本
廃病院のようなグリッドライン社のラボ
スマホをとるダリア「はいはい。ああ、モートンさん。
ピットは出かけてます。」
モートン「ちょうどいい。エレキングの東京襲撃で会長は怒り狂ってるぞ。」
ダリア「ソニックブレイドの撃破を我々に命令したのは、あなたではなくて?」
モートン「バルタの計画を台無しにしろとは言ってない。
会長はバルタを可愛がっておられた。お前たちの処分は私に任されたぞ。」
表情が変わるダリア「私はソニックブレイドを倒したのよ・・・!
なんでそういうことになるのよ!」
モートン「この状況で日本を支配できると思うか?」
ダリア「・・・ピットが勝手に私の実験体を盗んだのよ。」
モートン「ああ、そうだよな。すべてはあいつの暴走だ。」
ダリア「会長に直接釈明できる機会を与えてくれますか?」
モートン「考えておこう。」
ダリア「ありがとう・・・」
モートン「あのエレキングはわが社の新型ロボットで制圧する。
それまでは湖に沈めておけ。」
自信なさげなダリア「あの怪獣はもうピットのものなの。止められるかしら・・・」
モートン「ならふん縛れ。」
ダリア「私には無理です・・・ただの科学者だもの・・・
それに、あの子は怖い・・・バルタもためらいなく殺してしまった。
次はわたしよ・・・」
モートン「情けない奴め。ならばピットは私がやる。
お前はソニックブレイドだ。」
ダリア「・・・?倒したけど。」
モートン「確認したのか?」
ダリア「・・・え?」
モートン「パイロットの生死を。」



神社
ソニックブレイドが移動されている。
える「どうやって運んだんですか?」
勘兵衛「土建屋をやっている男がおっての。
年を取ると知り合いが多いんじゃ。」
える「動くの?」
勘兵衛「・・・電気系統はすべて直した。」
える「山根さんが・・・??すごい!」
表情が暗くなる勘兵衛「ガダルカナルの軍神と言っただろ。」
える「・・・?」
勘兵衛「これを設計したエンジニアは優秀じゃな。よくできとる・・・
日本は結局アメリカには敵わない。」
目に涙を浮かべる勘兵衛。
える「・・・山根さん・・・」
勘兵衛「年寄りの戦争の話を聞いてくれるか。」
頷くえる。
勘兵衛「わしは大東亜戦争で整備士だったんじゃ。
ミッドウェー海戦で敗北し、日本軍の絶対防衛ラインは崩壊。
わしのいたガダルカナル島も米軍に攻略された。
捕虜になったわしは何をしていたと思うね。」
える「・・・。」
勘兵衛「東京を爆撃するためのB29を整備していたんだ。
それがガダルカナルの軍神の正体だ。人殺しなんだよ。
・・・どうせ人を殺すなら・・・今度は日本のために戦って死にたい。」
ボロボロ涙を流すえる「おじいさん・・・」
勘兵衛「泣いてくれるのか。」
える「わたしも同じだから。人殺ししかできないの。」




奥多摩
ダリア「ピット・・・モートンが私たちを処分するって。」
ビキニを着て湖で泳ぐピット「ただの脅しよ。
だいたいその話・・・会長から直接聞いたの?」
ダリア「いいえ。」
湖から上がるピット「あいつも追い込まれてるのよ。ざまあみろだわ。
私についていれば大丈夫。
私は会長の玉の輿。あなたは最高幹部。いいでしょう?」
タオルを差し出すダリア「そうね・・・」
髪の毛を拭くピット「日本国民が反抗的なら従うまで、この子で蹂躙すればいいじゃない。」
ダリア「日本人は蜂のような連中よ。総玉砕したら・・・」
無垢にほほ笑むピット「美しい自然が帰ってくる。素敵じゃない。」
ダリア(この子は人間が嫌いなんだ・・・)




横浜の夜景を破壊するエレキング
逃げ惑う群衆。
蛍のいる野原で、都市で暴れるエレキングを見つめるピット。
ピット「夜景は嫌い。月明かりが気の毒だもの。」

神社
ソニックブレイドに乗り込むえる。
勘兵衛「市街戦の場合、民間人の犠牲を一人も出さずに戦うのはムリじゃ。
この前の二の舞になるぞ。多少の犠牲を恐れずに、最大火力で短期決戦に持ち込むんじゃ。
それが結果的に最も多くのものの命を救うことになる。」
える「わかってます。もうためらわない。」



ラボ
ピットに電話をかけるダリア
ダリア「やめなよピット・・・!エレキングをとめて・・・!」
ピット「怖気づいたの?」
ダリア「もし、その子がやられたら・・・
私たちには切り札がなくなるのよ・・・!」
ピット「あのソニックブレイドを倒したのよ。やられるわけない。」
ダリア「あの時は、たまたまソニックブレイドが接近してきたから勝てたのよ・・・!」
ピット「たまたま?・・・なんで接近したかわからないの?」
ダリア「それは・・・」
ピット「民間人の犠牲が出るからよ。」
ダリア「え・・・」
ピット「だからこんなビル街を壊してるんじゃない。」

今度はモートンに電話をするダリア
「ピットがまたエレキングを・・・」
モートン「ソニックブレイドはだいじょうぶなんだろうな。」
ダリア「深未えるが見つからなくて・・・」
モートン「くっくっく・・・ピットにつくなら勝手にしろ。」
ダリア「ちがうわ・・・!」
電話が切れる。
頭を抱えるダリア「どうすればいいの・・・」



着陸するソニックブレイド。
スペシウムレールガンを構える。
える「お前は母さんを殺した。許さない。」
ためらわず引き金を引く。
横浜のみなとみらいごとエレキングを吹き飛ばす。



ラボ
ダリア「ソニックブレイドが・・・民間人を殺した・・・」
スマホが鳴る。モートンからの着信。
恐ろしくてスマホに出れないダリア。



山中
息を切らせてかけていくピット
「はあはあ・・・あのロボット・・・狂ってる・・・
エレキングごと都市を吹き飛ばすなんて・・・」

ダリアのラボに入るピット
部屋は暗い。
叫ぶピット「ダリア!エレキングがやられた!ずらかるわよ・・・!」
涙を流すダリア「ピット・・・ごめん・・・」
ピット「次がある、逃げるのよ・・・!」
震えるダリア「次はないよ・・・」
すると、地面が振動する。
ラボの天井が突然破壊され、ちぎれたエレキングの首が落ちてくる。
エレキングの体液でびしょびしょになるピット。

暗がりから、パイロットスーツを着たえるが現れる。
える「・・・この怪獣はあなたの?」
ピット「・・・深未える・・・」
える「人間の死体を見たことはある?」
ピット「ないわよ・・・怖いもの。」
える「ふうん・・・だからこんな虐殺ができるんだね・・・」
えるの冷たい表情に、怯えて土下座をするピット
「許して・・・すべてあの会社に命令されてやったのよ・・・!
私だってこんなことはやりたくなかった・・・!」
える「バルタさんを突き落としたのも?」
ぎょっとしてダリアを見るピット「・・・ダリア!」
ダリアは目を合わせない。
ビデオのメモリーカードを取り出すピット「ちょっとまって・・・!
はあはあ・・・あの女はあんたの彼氏を寝取ったのよ!ウソじゃないわ!
こ・・・これが証拠よ・・・は・・・ははは・・・
あなたにあげる・・・」
える「いらないよ。」
恐怖でとうとう失禁してしまうピット。
ピット「お願いします・・・会社も辞める。なんでもしますから・・・
命だけは・・・」
える「さようなら。」

ラボをあとにするえる。
勘兵衛「すんだか?」
える「すんだ。」



ラボ
モートンに電話をかけるダリア。手は震えている。
ダリア「言われた通りにしました・・・」
モートン「そうか。ご苦労だったな。本社に帰って来い。
ソニックブレイドの対策を考えよう。」
スマホを切る。
ダリア「あんな化け物に勝てるわけがない・・・」
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