『超音速ソニックブレイド』脚本④

雨の降る路地裏
いじめられて泣いている、小学生時代のえる。
小学生時代のマルスが散らばったノート類をえるのランドセルに戻してやる。
える「わたしがくさいんだって。」
マルス「気にするなよ。」
える「ライちゃんも私といるとバイキンがうつるよ。」
マルス「バカバカしい。なんでやり返さないんだ。」
える「怖いもの。」
マルス「負けちゃだめだ。戦わないと。」



自衛隊の立川駐屯地
整列する新兵たち。そこには、えるも混ざっている。
ショートカットの精悍な女性が前に立つ。
「おはようございます。今日から皆さんの訓練教官を務めます、神宮司さくらです。仲よく楽しくやりましょう。」
える(女性だ・・・)
おしゃべりをするヤンキー上がりの新人隊員「なんだよ、女かよ。」
「お前、やらせてもらえよ。」
無視をするさくら「まずは皆さんには基本教練・・・整列、気を付け、敬礼、行進の仕方を教えますので、私に倣って・・・」
ヤンキー「その訓練に何の意味があるんですか?」
「オレは早く銃を撃ちたい。」
さくら「私語は慎むように。」
ヤンキー「格闘技とかやんないんすか?オレ、地元の暴走族でケンカ最強だったんすよ」
える(こ・・・怖い人がいる・・・)
いきのいい新人の前に立つさくら「ねえ。きみはなんで自衛隊に入隊したの?」
ヤンキー「オレ、自衛隊で天下取りたいんすよね。」
える(しかもあたしより頭が悪いよ・・・やだなあ・・・)
さくら「きみは地元に残るべきだったわね。」
ヤンキー「なんだと?」
さくら「それなら、ずっとケンカ最強でいられたのに・・・」
ヤンキー「先生、それケンカ売ってんすか?」
さくら「いいよ。格闘訓練しようか。」
ヤンキー「女だからって容赦しねえぞ」
そう言うと新人のパンチをあっさりかわして、カウンターを決めてしまうさくら。
地面に突っ伏す元ケンカ最強。
地面に転がるヤンキーにけりを入れ続ける。
ヤンキー「や・・・やめろ・・・訴えてやる・・・!」
さくら「やめろだと?戦場の敵がそれでやめるかよ。」
圧倒的な暴力にドン引きする新兵たち。
さくら「私はね、お前みたいなやつをいじめるのが大好きなんだ。」
ヤンキーのパンツを脱がせてしまう。
ヤンキー「やめてくれ・・・!」
はしゃぐさくら「今日からお前の名前はフルチンライダーだよ!」
ヤンキー「もう除隊させてくれ!」
さくら「させてくれ?お前、口のきき方がなってねえな。」
ヤンキー「除隊させてください・・・!」



食堂
新人隊員たち「あの教官には逆らわない方がいいな・・・」
「嬉々としてパワハラするタイプだぞ・・・」
食事に集中するえる
女の子「となりいいですか?」
える「は、はいどうぞ。」
すると、えると同じく入隊したばかりの女の子が席に着く。身長はかなり高い。
「私以外に女の子がいてホッとしちゃった。わたし、佐藤レイって言います。
あなたは?」
える「ふ・・・深未えるです・・・」
レイ「そんなに怯えないでよ。わたし、背は高いけどいい人だから。」
える「すいません、つい癖で・・・」
レイ「あなたも、衣食住につられて入隊したくち?」
える「ま、まあ・・・」
レイ「私も。怪獣で家族が大けがを負ってさ。私がお金を稼ぐしかなくて。
ここなら、お金ももらえて生活ができるからね。
それ目当てで、今朝みたいな不良も入ってきちゃうわけ。」
える「本当にやめちゃったんでしょうか。」
レイ「泣きながら荷物まとめていたよ。」
える「あんなに強そうな人が、あの程度のいじめでやめちゃうんだ・・・」
レイ「あの程度・・・?」
える「わたし、いじめられた経験だけは質・量ともに負けないんです。
パンツは10回は脱がされました。」
レイ「あはは、なにそれ。深未さんとは同じ班だけど、足を引っ張らないようにするね。」
すると、いつの間にか食事を終えて立ち上がるレイ。
全然食べきっておらず、慌ててかき込むえる。

行進の訓練
ひとりだけ足が逆なえる。
さくら「D班!連帯責任!1時間追加!」

3000m走。
他の隊員からどんどん遅れていくえる。
さくら「D班!連帯責任!10周追加!」

腕立て伏せ
一人だけ全然できないえる。
さくら「D班!連帯責任!100回追加!!」

宿舎
える「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
優しいレイ「だいじょうぶ。おかげでたくさん鍛えられるから。」
レイ「制服はこうやってアイロンをかけると奇麗になるよ。」
える「佐藤さんはなんでもできますね・・・」
レイ「下の子が多かったから。私がお母さん代わり。
わたし・・・貯金をして、やりたいことがあるんだ。」
える「やりたいこと?」
レイ「ツインテールって怪獣がいるじゃん。あれのフライって食べたことある?」
える「ないです・・・」
レイ「エビフライの概念が変わるよ。めちゃくちゃ美味しいのよ。
だから、あたし、でっかい漁船を買って、ツインテールをたくさんとってツインテール屋さんを開きたいんだ。」
える「佐藤さんは、料理もうまいからなあ。」
レイ「よかったら、えるちゃんも一緒にやらない?」
える「いいんですか・・・?」
レイ「友だちじゃない。」



グラウンド
整列する新兵たち。
さくら「来月いよいよ体力検定がある。設定された基準に達さないものには、このあたしがパワハラをしまくって任意除隊してもらうからな。お前のこと言ってんだ、深未三等兵!」
える「は!」
さくら「あんたみたいなのがいると、実戦で部隊を危険にさらす。とっととやめてくれない?」
える「やれます!」
さくら「お前の意思なんか知ったこっちゃないわよ。結果が出せるのかって言ってんだ。」
える「出せます!」
さくら「出せなかったら、除隊するというまであんたの指を一本ずつ折ってやるから。」
える「はい!ありがとうございます!!」

その様子を眺めている大佐
京冨野「・・・面白い奴がいるな。」
新兵を解散させて歩いてくるさくら「あら京ちゃん。来てたの。」
京冨野「ものになりそうなのはいるか?」
さくら「精神的に弱いのは男の方ね。ほとんどがやめちゃったわ。」
京冨野「お前さんがいじめるからだろ?」
さくら「でもわたしは火も熱線も吐かないわ。」
京冨野「女の方は?」
さくら「佐藤さんっていう子が優秀。心技体、どれをとっても優れてる。
立派な女性兵士になると思うわ。」
京冨野「お前が人を褒めるとはね。
さっきのもう一人の方はどうなんだ?」
さくら「あの子は狂ってるわ。どう考えても適性がないのに、どんなパワハラをしても辞めてくれない。もはや殺すしかない。」
京冨野「不祥事はやめてくれ・・・」
さくら「あの子にあった仕事を探してあげたいんだけど・・・京ちゃんなんかないかな。」
京冨野「わかった。彼女の履歴書をFAXで送っておいてくれ。」
さくら「ありがとう。」



時間外でえるのトレーニングの手伝いをしてやるレイ。
レイ「がんばれ!あと1回・・・!」
泣きながらえる「もうだめです・・・」
レイ「負けちゃだめだ!」
マルスの言葉と重なる。



高校の卒業式の回想
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」



える「こんなんじゃ・・・ライちゃんを安心させられない・・・!」
レイ「えるちゃんがんばれ!そしてライちゃんって誰?」



数日後、体力検定の結果が基地に張り出される。
ギリギリの成績で合格するえる。レイと抱き合う。
その様子を見つめるさくら。
さくら「よくやった。明日からは長期休暇を許す。家族と過ごすのもよし、恋人とデートするもよし。全力で遊んできなさい。」
喜ぶ新兵たち。

える「佐藤さんは実家に?」
レイ「うん。えるちゃんは?」
える「家族も恋人もアメリカなんですよ・・・」
レイ「遠距離恋愛ってすごいなあ・・・さみしくないの?」
える「心が引きちぎれてます。」
レイ「アメリカに行けば?」
える「怪獣襲来アラートがでているから・・・」
レイ「じゃあ、クリスマスも年末年始も一人なの?」
頷くえる
レイ「ねえ、よかったら私の故郷に来ない?
一緒に海でツインテールを釣ろうよ。」
える「いいんですか??」



海岸
軽トラックで女子旅をする、えるとレイ。
小さな港。
釣りの道具を置くレイ「ここが穴場なんだ・・・美味しいの食べさせてあげるね」
わくわくするえる「はい!」
のどかな景色。
釣り糸を垂らすレイ「えるちゃんの恋人ってどんな人?」
える「頭が良くてスポーツも万能で、イケメンで超優しいです。」
レイ「なにそれ。めちゃくちゃうらやましいんだけど。
どうやってゲットしたのよ。」
える「確かに謎です・・・なんでわたしなんかと付き合ってくれたのかな。」
レイ「でも、その人の気持ちわかるかも。
えるちゃんってなんか危なっかしくてほうっておけないから。」
える「ごめんなさい・・・」
レイ「うそうそ。きっと、みんなに勇気をくれるからだと思うよ。」
える「わ・・・わたしが?」
レイ「えるちゃんってどんなにつらくても絶対くじけないじゃん。」
える「泣き虫ですけど・・・」
レイ「でも、諦めないでしょ?
わたしなんか釣りが全然ヒットしないから、早くもくじけそうなのに・・・」
える「ま・・・負けないでください・・・!」
レイ「おかしいなあ。前はツインテールの稚魚が入れ食いだったのに。」
える「また、楽しみにしてますよ。もう寒くなってきたし帰りませんか?」
レイ「ごめんね。」
港を立ち去る2人。
海の中では巨大な怪獣の影が泳いでいる。



アメリカ
MRFの詰所
部屋に入ってくるジャック
「・・・日本海沖で怪獣による津波が発生。
その後、怪獣は上陸し市街地に甚大な被害・・・」
クラウス「マルスの国じゃねえか。あいつの恋人は無事かな。」
リサ「東京に住んでいるって言ってたから、大丈夫よ。
で、怪獣の種類は?」
ジャック「地底怪獣グドンです。」
表情がこわばるリサ「なんですって。」
クラウス「どんなやつだ?」
リサ「悪意の塊みたいなやつよ。知能が高く・・・好んで人間を殺す。」
ジャック「局長は対怪獣核兵器の使用も許可すると。」
リサ「それを知ってて市街地で暴れるのよ。くそったれ。」
クラウス「ロスアラモスのマルスには知らせるか?」
ジャック「それは局長に任せましょう。出撃です。」



市街地
怪獣が両手のムチを一振りするとビルが木っ端みじんになる。
人々を救出しようとする消防車や救急車を狙って攻撃をするグドン。
燃える街に向かう軽トラック。
える「レイちゃん、あぶないよ・・・!」
レイ「みんなを助けないと・・・!」
すると、軽トラックの方に回転しながら吹っ飛んでくる救急車。
える「危ない!」
急ハンドルを切るレイ。
ギリギリでよけると、後方で救急車が爆発する。
レイ「むこうには赤十字病院がある!なんとかしないと!」
える「でもどうやって・・・あんな狂暴な怪獣、殺されちゃうよ!」
レイ「私の家族がいるの!」
える「・・・え?」
車を止めて、燃える救急車からけが人をひきずりだしてトラックに載せるレイ。
レイ「しっかりしてください・・・!」
けが人「あいつは悪魔だ・・・緊急車両ばかりを襲ってくる・・・」
える「・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」
レイ「えるちゃん、みんなを怪獣の進行方向とは逆に誘導して!
同時に、けが人や死者をトリアージするの!早く!」
避難する人を誘導するえる「こ・・・こちらです・・・!」
するとパニックになった市民に体当たりをされ地面に転んでしまう。
けが人を担ぎながら、燃える救急車両を見つめるレイ。
レイ「パトランプが嫌なのかも・・・」
地面に横たわりながらえる「ここにもけが人がいます・・・!」
レイ「わかった、私がトラックに載せる!
えるちゃん・・・マニュアル車は運転できるよね?」
える「何とか免許は・・・」
レイ「さすが自衛隊・・・!この車でけが人を別の病院に運んでほしいの。
救急車の代わりに。」
える「こ・・・怖い・・・怪獣が追いかけてきたら・・・」
レイ「おそらくだけど・・・あの怪獣は赤い光が嫌いで叩き潰しているのよ。
ウシと一緒。わたしは緊急病院に急行して、あの看板の照明を消させる!」
レイが指をさす方向に、赤十字の赤い点灯看板がある。
涙を流すえる「そんなの、わからないじゃないですか!」
えるに怒鳴るレイ「あなたはなんのために自衛隊に入隊したの!
ここでべそをかいてる間にこの人たちは死ぬのよ!」
涙をぬぐうえる「・・・・・・。
絶対戻ってきてよ。」
微笑むレイ「ちょっとお見舞いに行ってくるね。」
すると、振り返って病院の方へ――怪獣の暴れる方へ駆けだすレイ。
トラックに乗り込むえる「もうしばらくのしんぼうです。」
怪獣とは逆の方向へトラックを発進させるえる。

丘を下り港の方へ進んでいくえるのトラック。
自衛隊の部隊とすれ違う。
丘の向こうは赤く燃え、自衛隊の車両は次々とあの赤に消えていく。
える「お願い・・・あの怪獣を倒して・・・」
頭上では戦闘機と戦闘ヘリコプターが怪獣を強襲する。



市街地に転がっているグドンの死骸。
この戦闘は怪獣による史上最悪の犠牲者を出した。
死者の数は2万人。
さらにグドンの死骸から深刻な毒ガスが発生し、災害関連死はその2倍以上となった。
政府の有識者委員会は、自衛隊による攻撃は、かえって怪獣を刺激させ、市街地の被害を大きくしてしまったと、その対応を非難した。
世間の自衛隊に対する目は一層冷たいものとなった。

戦場の跡を眺めるMRFの隊員。
十字架を握りしめるジャック「彼らの魂に平和を・・・」
クラウス「この悪魔を殺せたんだから、日本の自衛隊も大手柄じゃねえか。
なぜ非難される?」
リサ「・・・そうね。攻撃をしなかったら、もっと多くの人が死んでいたかも。」
クラウス「怪獣オタク。こいつはなんでそんなに機嫌が悪かった?」
リサ「海水温の変動で、海洋プランクトンを食べるツインテールという怪獣の個体数が減ったの。エルニーニョ現象って聞いたことない?」
クラウス「オレも学校は出てるんだ。」
リサ「で、このグドンはツインテールの成体を捕食していたから・・・深刻な飢餓状態となり・・・人間のコミュニティを狙った・・・
彼は知ってしまったの。ツインテールよりも人間の方がたやすく殺せることを。」
クラウス「ぞっとする話だ。」
ジャック「さらに、彼らは赤い光を嫌います。自分が暴れたことで街に火の手が上がり、いっそうパニックに陥ってしまった。
最後は・・・アドレナリンショックで・・・」
クラウス「オレたちはどうすれば正解だったんだ?」
ジャック「地球環境を守るしか・・・」



佐藤レイの葬儀会場。
参列者「遺体の半分は食いちぎられていたそうよ・・・」
涙を流すえる「レイちゃん・・・」

会場の外で煙草を吸う喪服のさくら。
京冨野「タバコはやめたんじゃねえのか?」
煙草を向けるさくら「・・・いじめやケンカってどうすればなくなると思う?」
首を振る京冨野「なんかのたとえ話か?」
さくら「圧倒的に強い奴がどっちもぶっ飛ばせばいいのよ。
わたしは今までそうやって生きてきたし、あの子にもそう教えた。
いじめられたくなければ殴り返せって。
話し合いで今までお前のいじめがなくなったことはあるのかって。」
京冨野「そうだな・・・」
さくら「しかし、それは私の人生で圧倒的に強い奴がいなかっただけなのかもしれない。圧倒的に強い奴に殴り返した結果がこれだったとしたら・・・」
京冨野「お前らしくねえな。
ただ、一つだけ言えるのは・・・人間が地球の支配者だったのは過去の話だってことだ・・・」



自衛隊の駐屯地
大雨の降る中、訓練を行なう隊員たち。
とくに体力のないえるにしごきを入れるさくら。
えるに怒鳴るさくら「お前みたいなやつに国は守れない!辞めると言え!!」
泥だらけで叫ぶえる「嫌だ!」
さくら「なぜ諦めない!」
える「わたしにはここしかないんだ・・・!」

『超音速ソニックブレイド』脚本③

国際刑事裁判所
マルス「彼女とはそれ以来会っていない。」
裁判官「本当に?」
マルス「就職してから、ずっとアメリカ暮らしだ。」
裁判官「では、最後の日に何を話しましたか?」



2003年 卒業式の日
桜の木を眺める二人
マルス(アメリカにいっしょに来てほしい。)
える(アメリカに行かないでほしい。)
マルス「なんで自衛隊に就職したんだ?体力がある方じゃないだろ。」
える「怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス「いじめられっ子だったきみがか。」
える「強くなりたいんです。
強くなって・・・ライちゃんを安心させたい。」
マルス「・・・」(せっかく決心しているんだから、えるの意思を尊重しよう。)
える(・・・ほんとうはずっとそばにいてほしい・・・でも、泣かないって決めたんだ)
マルス「・・・日本はきみに任せた。ぼくは世界のほうをなんとかするよ。」
える「お母さんをお願いします。仕事に夢中になって自分を犠牲にしちゃう人なんで。」
さくらを見上げるマルス「アメリカにもソメイヨシノはあるのだろうか。」
マルスの手を握るえる「わたしのこと忘れないでね。」



裁判所
裁判官「それであなたは何と?」
マルス「いってきます。」
裁判官「それだけ?」
マルス「もう二度と会えないなんて思ってはいなかったから。」
裁判官「当時、深未えるが残虐性を垣間見せたことは?」
マルス「虫も殺せない女の子ですよ・・・」
裁判官「では、あなたが変えてしまったのでは?」
マルス「あいつは何も変わっちゃいない。だから苦しんだんだ。」
被告席に戻るマルス。
弁護士がマルスにささやく「元来、残酷な人間だったと証言すべきだったな。」
マルス「なぜ?」
弁護士「きみの容疑をなすり付けられた。」



2004年
ニューヨーク 世界危機管理局本部
サーバールームの横を通り過ぎる今日子とマルス
目を輝かせるマルス「こんなところでプログラム開発がやれるなんて・・・」
今日子「ここがオペレーションルームです。
世界中の大規模災害を、GPSを用いてリアルタイムでモニタリングしています。
地震、火山活動、山火事、異常気象・・・今では怪獣も。」
ガラスの向こうにオペレーションルームがある。
ガラスをコンコンと叩いて、中の人物を呼ぶ今日子。
メガネをかけた気弱そうな美青年がこちらに気づく。
今日子「あの人が、マルスさんの上司です。イギリス英語は大丈夫?」
マルス「よかった・・・優しそうな人だ・・・」
美青年が廊下に出てくる。
今日子「彼が噂の新人ですわ。」
ハーヴァー「マルスくんですね。ジャック・ハーヴァ―と言います。
ようこそ世界危機管理局へ。お待ちしておりました。」
握手するマルス「よ・・・よろしくお願いします。」
ハーヴァー「歓迎のお茶会でもしましょう。どうぞ、こちらへ。」
今日子「では、わたしはこれで。よろしくね、隊長。」
マルス(・・・?“隊長”?)

MRFと書かれた部屋に案内される。
ジャック「中で待っていてもらえますか?お茶を入れてきますね。」
マルス「はあ・・・」
部屋に入ると、酒とたばこ、火薬のにおいが漂う。
そこは兵士の更衣室のような場所で、武器庫やロッカーが並んでいる。
マルス「・・・ファイトクラブ感がすごい・・・」
すると、ドッグタグをぶら下げた若い屈強な男女が部屋に入ってくる。
男「なんだてめえは。どこから入ってきた。」
マルス「このドアから・・・」
女「おどしちゃダメよクラウス、歓迎してあげないと。
この坊やがきっとスタンレーの代わりじゃない?」
男「ガキじゃねえか・・・うちもなめられたもんだぜ。」
女「スタンレーはね、怪獣に踏みつぶされて死んじゃったの。
きみは足は速い?怪獣に近づくときは気を付けてよね。」
マルス「・・・部屋を間違えました・・・」
笑顔で部屋に入ってくるジャック「紅茶が入りましたよ。」
青ざめるマルス「間違えてなかった・・・」

お茶会
女「私はリサ。カナダ出身の23歳。怪獣行動学者。マルスくんは中国人?」
マルス「日本です・・・」
クラウス「マジか?おい、マルス、ニンジャって本当にいるのか?」
マルス「・・・え?ま、まあ・・・」
クラウス「やっぱり強いのか?
オレはな、ニンジャになりたくて特殊部隊に入ったんだ。」
マルス(こいつ結構バカだな・・・)「ええ・・・日本政府がその存在を隠していますが・・・
増税に反対する国民は、彼らによってみな消されています。」
紅茶を飲みながら話を合わせるジャック「だから、日本国民は政府に従順なんですね・・・」
クラウス「恐ろしい国だな。」
マルス「ちなみにぼくも甲賀流忍者の末裔です。」
クラウス「無礼な態度を許してくれ。」
笑いをこらえるリサ

マルス「あの・・・MRFとは?」
ジャック「モンスター・レスポンス・フォース、怪獣即応部隊です。」
クラウス「怪獣退治の専門家ってとこだな。」
リサ「いえ、怪獣保護よ。」
ジャック「怪獣が出現した際に現場に急行し、WEMA本部に状況を報告、指示を受けて対処を行ないます。」
マルス「・・・現場?」



アメリカ中西部の山岳森林地帯
キングザウルス3世が原発を狙って侵攻している。

(オレの国連での最初の仕事は、荒くれ者の部隊の通信エンジニアだった・・・)

怪獣に並走するMRFのジープ。
クラウス「おいニンジャ!無線が使えないぞ!!」
通信機をいじるマルス「あの恐竜から出てる電磁波の干渉がひどいんですって!
なんか放射能も出てるし!」
クラウス「なんとかしろ!」
マルス「ロケットランチャーの射程まで近づけっていったの、あんたじゃないですか!!」
リサ「怪獣を傷つけるのはダメよ!うまく誘導して自然に返すわ・・・!」
クラウス「バカ女、あいつが原発を壊せば、カリフォルニアは停電だぞ!」
リサ「バカはあんたよ!そんなロケランでキングザウルス3世が倒せるわけないでしょ!」
ハンドルを握るジャック「2人とも冷静に・・・!本部からの指示を待ちましょう・・・!」
クラウス「ニンジャ!無線を直せ!!」
マルス「忍者でも無理!」
ジャック「これ以上怪獣の接近を許すと、こちらも危険です・・・!」
ヘッドセットをつかんでマルス「本部からの指示は攻撃です!」
リサ「無線が直ったの?」
マルス「直ってない!でも、通信機器の故障を見越して本部とモールス信号を決めたんです!」
ロケランを構えるクラウス「よし来た!」
ジャック「耳をおさえて!」
クラウス「ジャベリン発射!!」
ロケットランチャーが火を吹き、怪獣の方へ飛んでいく。
すると、怪獣の周囲にある見えない壁に阻まれて、ロケット弾が爆発する。
リサ「怪獣にダメージなし!」
クラウス「この距離で外すわけねえだろ!」
リサ「怪獣にダメージなし!!」
クラウス「うるせえ!二回言うな!」
マルス「バリアを張るんだ・・・!」
リサ「思ったとおりね。」
怪獣の目標が原発からジープになる。
クラウス「これも思った通りか?」
ジープに突進してくる怪獣。
マルス「追いつかれる・・・!」
ジャック「エサの劣化ウラン弾を切り離して!」
車両後部に身を乗り出すマルス「なんで、オレがこんなことを・・・!」



WEMA本部
モニターにロケット弾をバリアで防ぐ怪獣の様子が映し出される。
今日子「まあ、厄介だわ・・・」
ボロボロのマルスが戻ってくる。
マルス「ただいま・・・」
今日子「おかえりなさい。お手柄ね。」
マルス「こういう時はアナログの方が強いんです。
怪獣はウランを食べたら満足して巣穴に帰りましたよ。」
バリアの映像を指さして今日子「どう思います?」
マルス「ぼくの専門は数学だ。怪獣じゃない。リサに聞いてください。」
今日子「リサは、ある種の捕食回避行動だと言っていたわ。
硬い甲羅を持つカメやアルマジロと変わらないと。」
マルス「こいつを捕食するやつがいるんですか?」
今日子「全長105mの古代恐竜を?いるわけないわね。
では、彼らはなぜこんな能力を進化させたのかしら・・・」
マルス「ぼくらに攻撃をさせたのは、バリアの証明をしたかったのと、怪獣のおとりをさせたかったからですか?」
今日子「・・・大停電は回避できたわ。」
マルス「こんなことやってたら遅かれ早かれ死んじまう。
ぼくはプログラマーだ。こんな仕事向いてない。事務方にしてください。」
今日子「まだ入職してひと月も経ってないのに?」
マルス「そうそう・・・あいつがなぜバリアを張るか。ぼくには分かりましたよ。」
今日子「教えていただける?」
マルス「自分の生き方を干渉されたくないんです。」
ホワイトボードに数式を書いて立ち去るマルス。

今日子「ロイドさん、これは何?」
作業着の男性エディ・ロイド「核分裂反応の公式だ。
なるほど、やっこさんは、あの怪物は動く原発だと言ってるんだ。体内の核反応を制御するためには外的な要因を遮断する必要がある。連中の好物はウラン。ありうる話だぞ。」
今日子「彼、確かに賢いわ。」
ロイド「ロスアラモスのカレルに会わせてもいいんじゃないか?」
今日子「あの子に世界の命運を握らせる?」



MRF詰所
リサ「異動願を出したの?もう??」
クラウス「そこまで俺たちが嫌いか?」
マルス「そういうわけでは・・・」
クラウス「うちのボスはあんたを気に入ってる。離さないと思うぜ。」
マルス「そんな役にたってました?」
リサ「もちろん。うちは人数が少ないから。
ライが入ってくれなかったら、なくなっちゃうところだったの。」
マルス「なんでもっと人員を増やさないんですか?」
クラウス「お前と同じ理由だよ。みんな怪獣どもに近づきたくないのさ。
誰もが安全地帯で好き勝手なことを言いやがる。あの女のように。」
リサ「局長を悪く言わない。でも、MRFがなくなったら・・・軍が初動に当たるわ。
彼らは怪獣のことなんか知らないから・・・」
ジャックが部屋に入ってくる。
「キングザウルス3世の頭上からナパーム弾を落として核爆発です。」
リサ「隊長。」
ジャック「偉大なるアメリカ軍は自国で歩く核爆弾を起爆させたいようです。
我々があの怪獣をひと月以内に無力化できなければ、MRFは解散。
怪獣の対処は国連から、各国の軍隊に移譲されると。
局長も辛い立場みたいですね。なんとかひと月までねばったようだ。
マルスくん、こうは考えられませんか?
局長はあなたの才能を見越して、あえてここによこしたのだと。」
マルス「・・・一つだけ教えてください。
みなさんは怖くはないんですか?なんで誰もやりたがらないことをやるんです?」
3人「・・・・・・。」
リサ「私は怪獣が好きなの。」
クラウス「ここは給料がいい。」
マルス(思っていた答えと違う・・・!)
ジャック「わたしは・・・故郷が怪獣に破壊されて・・・妻子が死んじゃったんです。
だから・・・怪獣から町を救いたくて。わたしたちのような思いをする人をなくしたいから。」
マルス(この人・・・えると同じことを言ってる・・・)
リサ・クラウス「しょうもない理由を言ってすいませんでした・・・」
マルス「一か月以内に、あの怪物をおとなしくさせればいいんですよね?」
リサ「ライ・・・」
マルス「ぼくに考えがあります。」



臨海エリアにあるWEMAの工場
マルス「あなたはWEMAで最も優秀な工学者だと聞きました。」
エディ・ロイド「お世辞はいい。用件は何だ?」
マルス「害虫駆除に日本ではホウ酸団子っていうのがありましてね。」
ロイド「お前、面白いこと言うな。」
マルス「どれくらいでこしらえられますか?」



コロラドスプリングス
キングザウルス3世の巨大な巣穴
巨大なブルドーザーが穴に使用済みの核燃料を入れる。
マルス「ほら、飯だぞ。」
クラウス「食うかな。」
リサ「バリアを発生させるのは、かなりのエネルギーを使うから・・・空腹なはず。」
ジャック「祈りましょう。」



(ホウ素入りの核燃料を食べたキングザウルス3世は、体内の中性子が吸収されたことで、ほどなく核反応を停止させた。古代の巨竜は地中で永い眠りについたのだ。)



作戦が成功し、抱きしめあうMRFの隊員。
涙目のジャック「マルスさん、あなたのおかげでMRFが続けられます。
本当にありがとう。」
マルス「やめてください。誰かがやらなきゃいけない仕事じゃないですか。」
リサ「もし、あの怪獣が爆発していたら・・・
多くの人が被ばくして家や家族を失っていたわ。」
クラウス「お前、この仕事向いてるよ。もう少し頑張ってみたらどうだ?」
マルス「・・・ぼくが日本でどんな仕事をしていたか知ってますか?」
3人「?」
微笑むマルス「ガラクタ拾いですよ。
そんな仕事でも感謝してくれる人がいた。なんで忘れていたんだろう・・・
ええ・・・そうですね。みなさんが一緒なら。」
喜ぶMRFの3人。

マルス(ロスアラモスの極秘研究施設に辞令が出たのは、この3日後だった。)

『超音速ソニックブレイド』脚本②

ピストルを秋空に向ける。
寺島「位置について・・・よ~い・・・」
運動会のリレーで、ごぼう抜きをするアンカーのマルス。
声援が響く。
須藤「ぶちかませアニキ~!」
女子「きゃああマルスくんかっこい~!」
男子「普段運動しないのにあいつはなんであんなに速いんだ?」
その姿をみつめるえる。
一着でゴールテープを切るマルス。
男子「やったぜ!白組の逆転勝利だ!」
女子「深未のマイナスをマルス君のリレーで全てまくったわ!」

フォークダンス
離れたところでキャンプファイヤーをぼ~っと見つめるマルス
える「おどらないんですか?」
マルス「そういうキャラじゃない。おまえは?」
える「あんな難しい振り付けムリです・・・」
笑うマルス「座れよ。」
マルスの横に座るえる。
マルス「進路決めた?」
える「工場に就職しようと思います。」
マルス「そうか・・・」
える「ライちゃんは?」
マルス「寺島先生のつてで早稲田大学に推薦がもらえたけど・・・
東京大学で数学がやりたいな。あそこは日本一のスパコンを持っているからさ、そのスパコンで自分のプログラムを動かしてみたいんだ。」
える「すごいな・・・」
マルス「ありがとな。」
える「・・・え?」
マルス「ずっと気にかけてくれて。きみのおかげで高校も無事卒業できそうだし。」
える「わ・・・私は・・・」
マルス「もっと自分に自信を持てよ。
少なくとも、きみのおかげで救われたやつがここにいるんだ。」
たちあがるマルス。
「閉会式みたいだぜ?」
グラウンドに歩いて行くマルス。

えるに近づく須藤。
須藤「えるの姉貴・・・」
える「東大というパワーワードが出てきて、一緒に工場に就職しようとはとても言えませんでした・・・」
須藤「卒業する前に、絶対に思いを伝えた方がいいっすよ。」
える「須藤さん・・・じゃあクリスマスに告白を・・・」
須藤「いや、卒業式に桜の木の下で告白するっす。作戦名ときめきメモリアルっす。」
える「な・・・なんで卒業式・・・?」
須藤「万が一撃沈しても、もう学校で顔を合わせることはないっす。」
泣いてしまうえる。
須藤「あ・・・姉貴~!」

「以上で体育祭を終わります。」
地面が揺れる。
ざわつく生徒たち。
マルス「最近地震が多いな。・・・あれ?お前目が赤くないか?」
える「し・・・白組優勝に感極まって・・・」



クリスマス
マルスの家
こたつに入ってテレビを見ているろな。
チャイムが鳴る。
ろな「は~い・・・あら、えるちゃん。」
おしゃれしているえる「ライちゃんいますか・・・?」
ろな「お兄ちゃんならずっと部屋で受験勉強だけど・・・引きずりだしてきましょうか?」
える「い、いえ、勉強の邪魔しちゃ悪いし・・・だいじょうぶです。」
走り去ってしまうえる。
ろな「じれったいなあ・・・」

マルスの勉強部屋
「絶対にあけるな」という張り紙がついている。
赤本をがりがり解いているマルス。

街中のクリスマスツリーを一人で眺めるえる。
周囲は幸せそうなカップルばかり。
寺島「あら、深未さん。」
える「先生・・・こんばんは。」
寺島「おしゃれしちゃって・・・デート?いいなあ・・・」
える「いえ・・・くりぼっちです。」
寺島「もしかして、あなたも振られた?」
える「え・・・?」
えるを抱きしめる寺島「同志よ・・・!共に参ろう!」
強引に連れて行かれるえる「せ・・・先生・・・」

ファミリーレストラン
ピッチャーで生ビールを飲む寺島
「重い女?・・・ふざけんじゃないわよ、こちとら30代が終わるんだぞ、結婚を考えて何が悪いんだ」
える「の・・・飲みすぎでは・・・」
寺島「男なんて、どいつもこいつも体目当てだから。覚えておきなさい。」
える「私は・・・先生と違って美人じゃないから・・・そんなモテないし・・・」
寺島「ははは。な~に言ってんだか。あなたがいじめられちゃうのは、あなたが可愛いから嫉妬されているのよ。」
える「私はいじめられては・・・」
寺島「でも・・・どんな理由があっても・・・暴力は絶対にダメ。
女をやり捨てる男もダメ。」
える「ですね・・・」



バレンタインデー。
学校の教室
マルスの机に目をやるえる。
マルスは欠席している。
えるのバッグからチョコを奪う女子「深未~誰に渡すチョコレート?」
える「か・・・返してください・・・!」
チョコを投げる女子「ヘイパース!」

放課後
女子トイレで女子に取り囲まれてボコボコにされるえる。
大便器にチョコレートを捨てられる。

便器からチョコを取り出すえる。
びしょびしょのチョコを職員室に持っていこうか悩む。
マルス「おっ、これ、もしかしてオレへの義理チョコか?」
振り返るえる「・・・え?」
チョコを取り上げて、ためらわずかじりつくマルス
「勉強ばかりでお腹すいてたんだ。いただきます。」
える「・・・あ・・・あの」
職員室から寺島「来たわね、補習するわよ。」
えるの方を向いてマルス「ありがとな。東大、絶対合格するよ。」
マルスを見送るえる「がんばってね。」



東京大学二次試験合格発表
家族で掲示板を見に行くマルス。
マルス「あった・・・!」
ろな「コングラチュレーションズ!」
ママ「焼肉に行きましょう!」
パパ「叙々苑だ!」

同時刻
工場の前で呆然と立ち尽くすえる。
就職先の工場が倒産している。
肩を落として、とぼとぼと帰るえる。
える「あ・・・あと10年も生きていける自信がない・・・
世界なんかもう終わっちゃえばいいのに・・・」

すると、地面が大きく振動し、道路のアスファルトが裂けていく。
地面にへたり込んでしまうえる「きゃああああ!ウソです!!!」
しばらくすると、振動が収まる。
息を整えるえる「はあはあ・・・帰ろう。」
歩いて行くえる。
その逆方向で、怪獣テレスドンが町を蹂躙している。

石に躓いて転ぶえる。
怒って石を蹴飛ばすえる。

街の家屋を蹴散らすテレスドン。

焼肉を焼くマルス一家。
美味しそうにロースを食べる。

火炎攻撃で街を焼きはらうテレスドン。



この時現れた地底怪獣テレスドンによって、オレの故郷は火の海にされた。
当然だが高校の卒業式は中止。
家族のためにオレは大学進学を諦め、就職することになった・・・

不動産屋の窓口におしかけるマルス一家
パパ「なんで保険金が下りないんだ・・・!」
受付の女の子「怪獣に踏まれるという条件はオプションにないので・・・」
ママ「お隣のおうちは保険金が下りたって聞いたわ!」
受付「それはテレスドンの火炎攻撃で焼かれたから火災保険扱いとなり・・・」
ろな「血も涙もない女ね!このひとでなし!」
呆然として言葉が出ないマルス「・・・」

日光に弱いテレスドンは、夕方の数時間、火を吹いて歩き回った後、再び地中へ消えた。
強大な怪獣が今なお首都の直下にいることに、東京都民はパニックとなった。
地下鉄は全線運航中止。主婦の強い味方、デパ地下も封鎖された。



瓦礫の山を見つめるマルス。
彼の傍に立つえる。
マルス「きみの言っていたことが正しかった・・・
世界危機管理局は、国連に本当に実在したし・・・
彼らは何十年も前から怪獣の対策に当たっていた・・・」
える「日本はどうなるのでしょうか・・・」
マルス「世界危機管理局に聞いてくれ・・・」
政府からステイホーム要請が出てるんだ。帰るぞ。」
える「帰る家がありません・・・」
マルス「ははは。ぼくもだ。」
泣きながら抱きしめ合う二人。



数週間後
被災地の仮説キャンプ
ネクタイをしめるパパ「とりあえず会社行ってくる。」
おにぎりを渡すママ「お気を付けて・・・」
パパ「ライ、みんなを頼むぞ。」
携帯テレビを見ているろな「もう出かけてるよ。」
パパ「こんな朝から?」
ろな「ガラクタを拾いに行くんだってさ。パソコン直したいみたいよ。」
パパ「・・・意外とたくましいやつだな」
ママ「そうね。」
テレビ(怪獣を目撃した際は慌てず怪獣の進行方向とは直角に逃げてください。)

ガレキの山をうろつくマルス。
マルス「ここが怪しいな。」
木の棒で地面を掘るえる「ほじほじ。」
マルス「当たりだ、マザーボードだ。傷もない。」
える「これって窃盗なんじゃ・・・」
マルス「みんなやってる。」
二人の方へ歩いてくる寺島「誰がそんなことを教えたのか・・・担任の顔が見てみたいわ」
マルス「俺にはもう未来なんてないんだ。」
寺島「誰が決めたのよ、そんなこと。
いつもそうやってがれきを掘り返してるの?」
える「それしか娯楽がないんです。」
マルス「やめろ、それ以上言うな。悲しすぎるから。」
寺島「近所の人たちの形見や大切なものを見つけて届けているんでしょう?」
マルス「そういう時もある。」
寺島「みんな君に感謝をしてたよ。マルスくん、あなたは人に慕われる才能がある。
こんなところにいてはダメ。ちゃんとしたところに就職をしなさい。
世界を変えるような大きな仕事をするのよ。」
マルス「高校すらまともに卒業できなかった俺がどこに?」
寺島「私がなんとかする。」



怪獣の足跡が残る被災地にジープが乗り入れる。
巻尺で足あとを計測するWEMAのスタッフ。
政府高官「なんて種類ですか?」
WEMAの女性「テレスドン科の地底怪獣で間違いないかと・・・
主食は地底のマグマで、日本は温泉大国ですから・・・餌には困らないわ。」
政府高官「総理は軍事制圧が可能かどうか気にしておられます。
国民の世論調査では駆除すべきが99%、けっこうカワイイが1%なので・・・」
女性「このグループの皮膚は鋼鉄の2000倍で・・・
戦車の徹甲弾やTNT火薬でもビクともないでしょう・・・」
高官「駆除は不可能・・・?」
女性「核兵器で溶かさない限りは。
自衛隊による攻撃は中止してください。臆病な性格なので、攻撃によって興奮し、かえって被害が大きくなります。」
高官「防衛省に連絡しろ。」
部下「はい・・・」
女性「テレスドンの体重は12万トン。
動きは鈍いから、出現が事前に察知できれば被害は減らせます。」
高官「察知できるんですか?」
女性「ええ。彼らが地中を進む際の衝撃振動は地震波と大きく異なるから。
さらに、地中の放射性鉱物を食べているので、ガイガーカウンターにも反応します。」
高官「気象庁にも連絡しろ。」
女性「・・・きっと地震に驚いて地中から出てきちゃったのね・・・」
高官「ミミズみたいなやつですね・・・」
女性「かわいそうに。」
高官「・・・え?」
女性「心配しなくていいわ。非常事態宣言も解除して構いません。
さて・・・そろそろ行かないと。」
高官「どういうことですか?あの怪物はまだ地下に・・・」
女性「7日目のセミですわ。」



群馬県の草津でテレスドンの死体が見つかった頃、俺たちは寺島先生の好意で青空の下で卒業式を行っていた・・・
恐怖の存在があっけなく死んだというニュース速報は、暗くふさぎこんでいた俺たちの空気を明るくした。
だが、当たり前だが俺たちの進路はバラバラだった。
須藤くんはプロのゲーマーに、えるはなぜか陸上自衛隊に、そして俺は・・・寺島先生の知人のつてで、なんと国際連合のシステムエンジニアに就職することになった。

卒業証書を受け取るマルスたち。
涙ぐむ保護者。
須藤「東大進学よりもスゲーっすよ、アニキ・・・」



校門で二人きりになる。
マルス「君んちは絶対にこういう場に来ないよな・・・」
ショートカットのえる「親は忙しくて・・・」
マルス「というか、こんなに長い付き合いなのにキミの親を見たことがない。
ひどい親だ。」
える「ライちゃんがそんなに怒らなくても・・・」
マルス「いいや、怒る。国連本部に行く前に君の親にどうしても言いたかったのに。」
える「・・・?」
マルス「娘さんとお付き合いさせてくださいって。」
涙を流すえる。

寺島「マルスくん、お迎えが来たわよ。」
WEMAの女性「マルス・ライさんですか?
私、国際連合世界危機管理局の局長をしております。深未今日子と申します。
若き天才プログラマーでいらっしゃるとか。同じ職場で働けること、嬉しく思いますわ。」
名刺を受け取るマルス。
マルス「マルス・ライです・・・ん?深未・・・?」
える「お・・・お母さん・・・」
パパママろな須藤「えええええ!!??」
今日子「えるちゃん、さみしい思いばかりさせてごめんね。
最後の卒業式は来てあげたくて。」
える「ライちゃんが、お母さんに言いたいことがあるそうです。
さあ、お願いします。」
マルス「この状況で言うのか!!??」

『超音速ソニックブレイド』脚本①

「最も強い者が生き残るのではなく
最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは変化できる者である。」
――チャールズ・ダーウィン


オランダ、ハーグ、国際刑事裁判所
法廷に出廷する男。
裁判長「所属と名前をお願いします。」
男「世界危機管理局(WEMA)、マルス・ライ。」
裁判長「あなたにジェノサイド・・・人道に対する重大な容疑がかけられています。」
マルス「ちょっと記憶にないな。」
裁判長「世界中の軍隊を壊滅させておいて?」
マルス「最近物忘れがひどくて。」
裁判長「では、過去の話にしましょう。深未えるとの出会いを・・・」



――2003年
東京都立芹澤高等学校 
放課後のパソコン室に男子生徒が殺到している。
アダルト画像がモニターに映し出される。
男子「うおおおお!モザイクがない!えぐい!」
高校生の頃のマルス「このオレにかかればこんなものよ・・・」
手を叩いてマルスを崇め奉る男子たち「ムッシュムラムラ!」
マルス「ふははは!」
マルスにゲンコツをする担任教師
マルス「ぐえええ!」

職員室
担任の寺島明日香先生「学校のホームページのアドレスを海外のアダルトサイトにしたのはマルスくんでしょ!」
マルス「ちょっと記憶にない。」
寺島「ホンジュラスから学校に通話料金の請求書が来たのよ!」
マルス「通信履歴は7月5日まででしょう?」
請求書を見て寺島「ほんとだ・・・なんでわかったの?」
マルス「実験成功だ。」
寺島「は?」
マルス「ステルスアクセスプログラムを作ったんです。これでどんな有料サイトもタダで使い放題になりますよ。」
あきれる寺島「先生はあなたの将来が心配です。
学校にろくに来ないで家に引きこもって・・・
数学が誰よりも得意なのに、やってることといえばハッカーまがいのいたずらばっかり。」
マルス「心配しないでください。絶対に警察にはつかまりません。
このプログラムさえあれば、サイバー犯罪の痕跡は一切残りませんから。」
寺島「わたしが告発します。」
マルス「出たよ、正論ババア」
寺島「誰がババアですってえ!!」



重い荷物を持ってふらふらと階段を上る女の子。
よろける寸前、荷物に手を貸してやるマルス。
女の子「あ・・・」
マルス「また、押し付けられてんのか、える。」
える「ライちゃん・・・そんな私がいじめられっ子みたいに言わないでください。
親切で心優しい私がみんなのために進んで・・・」
マルス「はいはい・・・」
そう言うと、彼女に気づかれないように背中に貼られた「死ね」という張り紙を取ってやる。
える「・・・ありがとう。」
荷物を持ってやるマルス「腐れ縁だからな。」
える「こういう時は幼馴染っていうんです・・・あ。」
荷物を落としてしまうえる。
ガラスが割れる音。
マルス「きみの家は貧乏だ。ぼくが落としたことにしろ。」
涙目になるえる「ううう・・・」

廊下の二人へ駆けてくる太った男子学生。
男子「マルスのアニキ~!」
マルス「今度は何だよ・・・」
男子「隣町の不良が乗り込んできたっす!かくまってほしいっす!」
マルス「またゲーセンの格闘ゲームで不良にケンカ売ったのか?」
須藤「そしたらリアルストⅡやろうぜって絡まれたっす・・・!」
不良「どこだ!このやろう!」
マルス「たかがゲームであそこまでブチギれるあいつらもあいつらだな・・・」
不良「おいそこのパーカー!ここにブタが来なかったか?」
マルス「来たよ。エドモンド本田みたいなのが。」
須藤「ぼくの使用キャラはチュンリーっす」
不良「見つけたぞ、てめえ須藤・・・」
マルス「まあまあ、ここはオレの顔に免じて許してやってくれないか。」
不良「誰だお前は・・・」
マルス「このオレを知らないのか?
オレの名はマルス・ライ。天才ハッカーとして世界に名を残す男だ・・・!」
ぶん殴られるマルス。
える「ライちゃん・・・!」
マルス「て・・・寺島先生呼んで来い・・・!」



教室
えるに傷の手当てをしてもらうマルス「いてて・・・」
もぐもぐしながら須藤「アニキ・・・オレのために・・・」
マルス「そう思っているなら、今すぐそのコロッケパンを食べるのをやめろ。」
える「おせっかいなんだから。」
マルス「お前らのせいだろ・・・!
キミらが学校に来いってしつこいから、一か月ぶりに登校したらこれだ。
ぼくは家でプログラミングをしていたいのに。」
える「すこしは日の光を浴びないと健康に良くないですよ。」
須藤「出席日数だって足りてないじゃないっすか。
せっかく成績がいいのに推薦とれないっすよ?」
立ちあがるマルス「はいはい・・・いい友だちをもってぼくは幸せだよ・・・」
不安そうな表情をするえる「それに・・・ライちゃんが学校に来てくれないと・・・」
マルス「?」
とっさに笑顔になるえる「ううん・・・また明日」
える(みんなにいじめられちゃうよ・・・)



家路につくマルス
マルス(深未えるは、昔から臆病な奴で小中高10年以上もいじめられていた・・・
勉強も運動もまるでダメ。どんくさくて、周囲の足を引っ張ってばっかりだったから、いじめられっ子というイメージがついてしまったんだと思う。
オレが学校に行かなくなったのは、家でプログラミングに没頭したかったというのもあるが、学校でひどいいじめを受けているえるの姿を見たくなかったって言うのもあったと思う。)

(いじめられながら、へらへら笑うえる。)

マルスの家。けっこう豊かな生活。
マルス「ただいま。」
車いすの妹のろな「おかえりなさい。寺島先生から電話があったよ。
学校のホームページを海外のアダルトサイトにして、理科のオシロスコープを壊して、隣町の不良グループと乱闘したんだって?
ご活躍のようで・・・」
マルス「まあな。」
ろな「えるちゃんはいじめられてなかった?お兄ちゃんが助けてあげないと・・・」
マルス「なんでだよ、めんどくせえ・・・」
ろな「あんなに美人で優しいのに・・・」
マルス「だからいじめられるんだ。あいつはもっと怒ればいいんだ。
やりかえさないから、やられちまう。」
ろな「世の中には弱い人だっているの。病弱なわたしのように・・・」
マルス「お前はじゅうぶん気が強いだろ。」
ろな「なによ、晩御飯作ってあげないんだから・・・!」
マルス「マジでごめんなさい・・・」

マルスのガレージ。
サーバーコンピュータの筐体が並んでいる。
デスクトップを起動し、キーボードをいじる。
寺島(数学が誰よりも得意なのに、やってることといえばハッカーまがいのいたずらばっかり・・・)
マルス「ふん、きっと世界のどこかにオレに才能を認めてくれる人がいるさ。
さ~て、気晴らしにハッカーまがいのいたずらでもすっか・・・」
すると、差出人不明のEメールが届いていることに気づく。
マルス「このオレにスパムメールとは面白い・・・ソースコードを改ざんして我が傀儡にしてやろう・・・」
マウスをクリックする。

――10年後世界は終わります。
マルス・ライ、あなたの助けを求めます。
世界危機管理局


マルス「なんだこれ。」



翌朝
家の前に来るえる「ライちゃん遊びましょ~」
ベッドから起きるマルス「あいつは小学生か・・・」

ガレージ
メールの内容を見てえる
「そうなんですよ。実はマヤ文明の予言によると2012年に世界は滅亡するんです。」
マルス「じゃあ9年後じゃねえか・・・」
える「一日一日をふたりで大切に生きましょうね。」
マルス「冗談はさておき・・・悪趣味ないたずらだぜ。」
える「発信元は分らないんですか?」
マルス「けっこう暗号化が厄介でな。これはプロの仕業だ・・・」
える「ライちゃんが辿れないんじゃ、そうなんでしょうね・・・
この世界危機管理局って?」
マルス「ネット上にはヒットなし。
える、これはオレへの挑戦状だ。ハッキングバトルのな・・・」
える「そんなヒップホップみたいなのがあるんですね。」
マルス「える、今日はもう帰っていいぞ。こいつを攻略したいから。」
える「そんな・・・いっしょに公園で缶ぽっくりやるって約束したじゃないですか・・・」
マルス「あと9年でお前の人生は終わるのに、それでいいのか?」
える「ん?世界危機管理局・・・もしかしてWEMAのことかな。」
マルス「ウェマ?なんだそれ。」
える「教えてほしいですか?」
マルス「うん。」
える「アイス食べたい。」
マルス「わかったから。」
える「公園で待っててください。」

公園 セミが騒ぐ。
かけてくるえる「お待たせしました・・・!」
マルス「アイス融けてきたぞ・・」
える「なかなか見つからなくて・・・はいこれ。」
古い雑誌を渡すえる。
マルス「月刊アトランティス・・・トンデモ系雑誌じゃないか。」
える「世界の真実です。ここを見て。」
マルス「WEMA・・・ワールド・エマージェンシ・マネジメント・エージェンシー・・・
翻訳すると・・・世界危機管理局。」
える「昨年の同時多発テロの際に存在が発覚した、国連の極秘機関です。」
マルス「で、それをお前は信じているのか?」
える「だって、ここに書いてありますよ。」
マルス「君はもう少し人を疑った方が・・・もしかして、2012年に世界滅亡って・・・
この雑誌か?」
頷くえる「世界の真実です。」
マルス(現実が辛いと、こういうオカルトにすがるのか・・・)


マルスのガレージ
国連のサイトにアタックする。
マルス「頼むぜ・・・国際連合にハッキングがバレちゃ、退学じゃすまないからな・・・」
しばらくすると、とうとうヒットする。
マルス「ウソだろ・・・世界危機管理局・・・あった・・・
任務・・・イラク戦争における大量破壊兵器、通称“怪獣”の駆除・・・」



中東イラク
戦場で横転するハンビー。
「現在、大量破壊兵器と交戦中!大量破壊兵器にダメージなし!
繰り返す大量破壊兵器にダメージなし!!」



国連WEMA本部
受話器を置く女性の女性「はい・・・ただいま。」
作業着を着た中年の男性「とうとう、お呼び出しか。」
女性「ええ・・・」

NATO軍の会議室
アメリカ合衆国大統領「入りたまえ。局長。」
女性「失礼します・・・」
EU全権「怪獣対策についてご意見を。」
アメリカ合衆国大統領「我がNATOの総力を挙げて排除することも可能だが・・・
核兵器の使用は民間人への被害が大きく国際法に反する。」
EU全権「EUとしては、あの生物を研究・保護したいところですが・・・彼らを捕獲するすべがありません。」
大統領「そこで・・・あなたの意見を聞こうということになった。
1954年に黒い巨大恐竜を退治した日本人のね・・・」
女性「それはつまり、日本人として意見を述べろと?
そして失敗した際の責任を日本が負うと?」
大統領「いや、世界危機管理局局長としての意見を聞きたい。」
女性「ソニックブレイド計画を実行に移すべきです。」
EU「それはいったい何なのかね?」
女性「ヒト型の巨大機甲師団の結成・・・鉄の巨人で暴れる怪獣をおさえつけ被害のない場所に移動させたうえで撃破する・・・」

WEMA本部
女性「採用よ。」
男性「ほう。」
女性「成功の暁にはNATO軍が中ロをけん制できるって持ちかけました。」
男性「平和の女神様が、ずいぶんきたねえこと覚えたな。」
女性「一生懸命勉強しましたから。しかし条件を出されたわ。」
男性「どんな?」
女性「無人機にすること。アニメのように巨大ロボットに人が乗りこむなって。」
男性「遠隔操縦か?」
女性「いえ・・・人工知能よ。優秀なプログラマーが欲しいわ。」
男性「その顔は、もう目星がついてるんじゃねえのか・・・そうだろ?」
微笑む女性




ガレージ
パソコンの前で眠っているマルス。
その地下で怪獣がうごめいている。

『超音速ソニックブレイド』登場人物

 何年も前に54話くらいで脱稿してたんだけど、この漫画ってテーマが人工知能の開発じゃん。で、ここ数年で人工知能がすっごい進歩して身近になったじゃん。なので、現代に合わせてちょっと修正を加えたくなっちゃったんだよな。

 さらに、世界を滅ぼしうる実験をしでかしてしまう『オッペンハイマー』や、人望だけはあるフリーターが天下を統一してしまう『項羽と劉邦』要素を加えて、より面白いものにパワーアップできたと思う。なんか、ひとりの人間が歴史の悪戯で、とんでもない地位まで上り詰めてしまうみたいなやつ、俺は好きです。

 このお話は『青春アタック』みたいに群像劇でもないし、『ラストパーティ』『風と翼』みたいに後先考えずになんでもアリでごり押せる内容でもないので、けっこう緻密な伏線回収が求められる。端的に言えば頭を使う。題材が科学技術だしね。
 なので、このブログではネタバレ必至でシナリオラインを推敲していくつもりです。どうせ、こんな記事誰も読んでないだろうしな。

間流守来
プログラムが自身のソースコードを環境に合わせて自発的に進化させていく「適応プログラム」を開発した天才プログラマー。学校の成績も運動神経もよい。
クールな個人主義者だが、面倒見がよく周囲の厄介ごとをよく引き受ける。
実家が裕福で、家族仲もよい。しかし、高校3年の冬に54年ぶりに日本に怪獣が上陸。
東京を焼け野原にされ、家族のために大学進学をあきらめる。
高校卒業後は、国連にスカウトされ巨大ロボットの開発に携わる。
口癖は「めんどくせえ」

深未える
陰謀論が大好きなトンデモ系女子高生。温厚だが、気が弱いので周囲からいじめられる。
成績も運動神経も悪いため、親に見捨てられ、貧困生活を送っていた。
高校の頃同じクラスだったマルスのことが好きで、彼の気を引こうとするが、すれちがったまま自衛隊に入隊。
そこでも成績が悪かったため事実上の実験台として、ソニックブレイド計画のテストパイロットに推薦される。

寺島明日香
マルスの高校時代の担任教師。38歳独身。
有能かつ心の優しい人物で、マルスの人心掌握の才能にいち早く目をつけ、彼が道を外れないように粘り強く指導した恩師。彼が家を失った時も、常に励まし続け、彼の進路に国連を紹介した。

須藤マサル
マルスのオタク友だち。天才的なゲーマーで、とりわけ「スーパーロボット大戦」を得意とする。
高校卒業後は、軍でドローン兵器の操縦を行なっていた。
ちなみに高校時代は、マルスとえるが付き合えるように、さりげなくアシストをしていた。

エバリスト・カレル
世界一の天才数学者で量子コンピュータ「ガイアシミュレータ」の開発者。
国連の世界危機管理局の嘱託SEであり、そこでマルスと知り合う。
女好きで破天荒な性格だが、量子コンピュータの軍事利用には慎重な立場を取る。

エディ・ロイド
世界危機管理局。工学者。ソニックブレイドのアクチュエータ部門の責任者。
無骨な職人気質。どんな装置も設計・開発してくれる。

フェイ・ヤーメイ
世界危機管理局。医学者。ソニックブレイドの電子神経開発の責任者。
冷静な性格だが、えるなどパイロットの人命を気づかう。カレルとは犬猿の仲。

ジャック・ハーヴァ―
世界危機管理局。怪獣即応部隊MRFの隊長。イギリス出身。
温厚な紳士だが、実はSASのエリート。意見が異なる隊員の板挟みになることが多い。
怪獣のロンドン攻撃によって家族を失っている。

リサ・ヴァレンスタイン
MRFの隊員。怪獣行動学者。怪獣を保護する立場を取る。カナダ出身。

クラウス・ルカーチ
MRFの隊員。元海兵隊の特殊部隊。怪獣をせん滅する立場を取る。アメリカ出身。

リチャード・ジョンストン
アメリカ合衆国大統領。最強の軍隊を持ち世界の警察を自負するリアリスト。
国連と連携し、最強のロボット兵器の開発を計画する。

レヴィ・ストローズ
アメリカ大統領補佐官。ネオコンで、アメリカ第一主義者。
世界を滅ぼしうる兵器をアメリカが独占しようと、ホワイトハウスの実権を握る。
イラクで怪獣が現れた際には、フセイン政権が開発した生物兵器だと決めつけ、中東を侵略。莫大な利益を得た。

ジム・グリーンスパン
アメリカ政府の国務大臣。有能だが、補佐官に押し切られてしまうことが多い。

マイク・ブラッドリー
アメリカ軍の将軍。NATOの軍事作戦においてソニックブレイドを用いて有利に進める。

佐藤レイ
えるの新人自衛官時代の親友。

神宮寺さくら
自衛隊陸曹長。えるの訓練教官。酒好きでパワハラを好み、いじめやいさかいをなくすには、圧倒的な力が必要であると説く。

京冨野竜三
自衛隊一佐。怪獣対応の権限が自衛隊にはないことをえるに伝え、国連の極秘計画を紹介する。

間流守ろな
病弱だがしっかり者のマルスの妹。

深未今日子
世界危機管理局局長。世界から戦争をなくすことだけに人生をかける革命家。
温厚かつ慈愛に満ちた人物で、個人主義者のマルスに影響を与える。
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