1年40000種絶滅は真実ではない

 今回は、国連などが発表した種の絶滅速度について。「20世紀に入り、人間の活動によって種の絶滅スピードがとんでもなくあがり、それは過去五回あった「ビッグ5」と呼ばれる、地球上の生物がほとんど滅んだ大量絶滅をも凌ぐ」という話は我々に衝撃を与えました。このままいけば100年後には、人以外のほとんどの生物が滅ぶというのです。あと数十年で森林資源や化石燃料や銅などが枯渇するって話の「生物種バージョン」なわけです。

 しかしこの話、文章の読みようによっては、かなり信憑性の高い事実と捉えることもできますが(なんせ国連だし)、どのように絶滅速度を算出しているか計算式も書いてないので、それを知らずに「やばいな」と感じている人がほとんどだと思います。

 結論から言って、これは真実ではありません。ひとつの仮説であり予測です。かなりの速さで絶滅しているように“感じている”学者は7割と言うものの、その具体的な証拠はまだありません。またビッグ5以上の絶滅が今起きているという話は、私はたいへん懐疑的です。その理由を説明したいと思います。

 そもそも一年でどれくらいの生物種が滅ぶのか(絶滅速度計算)は、こんな感じの式で算出するようです。

 絶滅速度=(人間によって一年に消える熱帯雨林の面積/地球の表面積×地球に占める陸地の割合×陸地に占める熱帯地域の割合)×地球の全生物種×全生物種に占める熱帯に生息する生物種の割合

 つまりこの式は、生物種の宝庫である熱帯雨林を基準としていることが解ります。しかしここで疑問が・・・それは「熱帯雨林にどれほどの生物種がいるか分かっていない。そして地球上にどれほどの生物種がいるかも分かっていない」ということです。1年で40000種絶滅するのは、あくまで「仮説」ですが、地球上にどれだけの種がいるか分からないということは「真実」です。
 よって、この式のどれほどの生物種の数字を入れるかは説によって大きなバラつきがあるということがまず挙げられます。

 そもそもリンネが生物に「種」と言う概念を導入したのが18世紀前半。それ以前は、二名法による種の分類なんてありませんでした。
 そして現在命名されている生物の種の数は、植物約355900種、動物1120500種ですが、もちろんこの1400000種という数字は、命名済みの生物の合計であり、地球上にはまだまだたくさんの命名されていない生物がいると言う事は言うまでもありません。
 その上、未発見種の数の予想が本によって大きく異なっていて1000万種というベタな数字から、2000万、3000万、大気に小さな生物が漂っている可能性もあるんじゃないの?という説ではななななんと数億種という説まであるのです。
 大気や海洋に我々の想像以上の生物多様性があるならば、熱帯雨林をベースに絶滅速度を考えるのには限界があります。

 そしてこちらの方が言いたかったのですが、現代ですらよくわからないのに、恐竜時代(中生代)の生物種や生態系が解るはずありません!これは確実に既成事実ではない!と言えます。
 恐竜時代のどの時期を考えたのか解りませんが、そのデータはどうやら化石から求めたらしいのです。まあ、そうなるでしょう。化石くらいしか残ってませんから。

 しかし化石とはどのようにしてできるかと言えば、あれは堆積岩なわけで水の作用が必須です。つまりかなり限定された場所でのみ化石は作られるわけで、その確率は10000分の1ともいわれています。
 これは中生代の生態系が描かれた10000ピースのジグソーパズルのたった1ピースだけで、その完成図を想像しているのと同じです。化石のデータに信憑性がないと言っているのではありません。参照するには絶対数があまりに乏しいと言いたいのです。(ちなみに発掘されて記載された恐竜の種の数は90年代では350種程度、正確な数は分かりませんが、おそらく今は中国や旧ゴンドワナ大陸から新種がたくさん見つかっているので400種を超えていると思います。)

 こんな話があります。かつてスティーブン・J・グールド博士は、5億1500万年前のカンブリア紀に生物の進化の爆発が起こり、生物種が一気に増えたという事実に基づいて「断続平衡説」を提唱しました。
 このカンブリア紀の爆発的進化「カンブリアン・エクスプロージョン」は発掘された化石に基づき考えられたわけですが、90年代後半、イギリスの古生物学者リチャード・フォーティ博士は「カンブリア紀以前にも生物の多様性はあった。ただ、カンブリア紀以前の生物は小さく、化石として残らなかっただけだ」とし、多様性は爆発的ではなく漸進的に起きたという説を唱えています。
 この説は「一ミリ以下の微小な生物のかけら(SSF)」がカンブリア紀以前にも豊富に見つかることから考えられ、主に化石などの間接証拠でしか推理できない古生物学の定説が次々に覆る好例と言えます。

危険なユートピア思想

 優生学を振り返れば、人間の理想と言うものが、いかに恐ろしいかが解ります。ゴールトンのちょっとした人間診断だった優生学は、素晴らしい遺伝子を持つ人間だけの理想の社会を実現するための理論として利用され、それは遺伝プールを劣化させるであろう、マイノリティの徹底的な排除という最悪な結果をもたらしました。
 マイクル・クライトンの指摘の通り、これは今日の環境問題にも通じるところがあって、何が似ているかと言えば・・・

①科学が政治的な道具にされている
②理論の限界を認めるのが科学であるはずなのに、仮説を既成事実のように報道
③少数意見を排除する全体主義に陥る可能性

 「今地球が危険だ!」という根拠のない終末思想は、いつの時代もけっこう好きな人が多いんですよね。それに人類による地球崩壊のシナリオは、人類が神に匹敵する影響を地球に与えているようで、一部の人には気持ちがいいのでしょう。自分達がただの脆弱なサルだと言うのは認めたくないだろうから。

 で、COP10のサイトにこんな事が書かれているんですよね。

国連の呼びかけで2001年に発足した生態系に関する世界的な調査「ミレニアム生態系評価(MA:Millennium Ecosystem Assessment)」では、生態系に由来する人類の利益となる(幸せな暮らしに欠かせない)機能(生態系サービス)を大きく4つに分類しています。

維持的サービス
生態系サービスの内すべての基盤となるもので、水や栄養の循環、土壌の形成・保持など、人間を含むすべての生物種が存在するための環境を形成し、維持するものです


 ななななんじゃこりゃ~!私はたまげましたよ。人間を含む“すべての”生物種が存在するための環境を形成って・・・こんなの、おっかないユートピア思想もいいとこです。
 こういう耳触りのいい理想の下に「環境全体主義」なんかが起きたらたまったもんじゃありません。ガイア思想はやはり懐疑的であるべきです。

 そもそも人間と違って化石燃料なんて使わないエコ生活をしていた恐竜ですら、最終的にはあっさり滅びました(けっこう長いこと君臨はしましたが)。あんな強大な化け物が滅ぶんですから、人類もいつかはいなくなるでしょう。
 私は大体の人間が美しい自然を好むのに、結局やってることが破壊活動と言う偽善ぶりは、もうそういう役目の為に人間は生まれたんじゃないかとも思っています。
 環境を変える生き物はたくさんいますが、人間ほど広範囲かつ急速に環境に影響を与えるものはいません(でも地球を破壊できるわけはない。その前に人類が滅びます)。これは無意識かつ創発的に行なっているように思え、つまり人類の使命は淘汰圧をあげて、自然現象では生まれない生物が誕生する舞台を作っているのかもしれません。
 大体人類が己の生活よりも地球を本気で愛しているのなら、こんな環境破壊やってないでしょう。反論するなら電気やガス、自動車を捨ててから言ってください。でもこれ、もちろん個人的意見ですよ。

 我々は地球にただ生かされているだけです。地震等の自然災害であっさり虐殺されてしまいます。俺たちが地球を利用していると勘違いしている人たちがあまりにも多いから、生物多様性を維持しようなんておこがましいことを言うのでしょう。生物多様性は、別に人類の為にあるわけじゃないですから。
 問題は環境問題が、ユートピア思想になって第二の優生学にならないかどうかです。ここは慎重に考えなければいけないことだと思います。

 今回の話をふまえてdescf氏がうまいこと言っていたので紹介したいと思います。
 
 「アリにとってコップ1杯の水が大洪水でも、俺たちは飲み干せてしまう。」

あれは経済問題です

 地球温暖化に二酸化炭素が影響しているのは確実でしょうが、人間がどれだけ関わっているかはまだ不明な点が多く、既成事実ではありません。そもそも二酸化炭素よりも最も温室効果のある水蒸気の流動がよく分かっていないのは、問題だと思います。

 しかし予防原則で運動をしたり、今危機にある国を救うのに反対はしていません。で、その問題は、実は環境問題と言うよりは経済問題だと思っています。資本主義経済がなくならない限り、この問題って解消しないんじゃないか、と思っています。
 たとえばアフリカの森林伐採って、中国などに資源を売りさばくためにバシバシ行なっているのですけど、けっきょくその日食えなきゃ意味がないわけで、「地球やホッキョクグマにはよくないんだぞ!」と言われても貧困である限り、環境破壊をするわけです。
 で、この前COP15が結構貧しい国に資金援助を行ったわけですが、これってやっぱり経済問題じゃないですか?その日暮しの国には、美しい地球より、先進国のような豊かな生活が欲しいんだと思いますよ?

 アフリカや中国といったこれから伸び盛りの国にとっては、発展こそが優先事項であり、「国より地球のことを最優先に考えろ」と他国(しかも散々環境破壊してきた先進国)に言われる筋合いはないと、思っていると思います。

 私は当該記事でこの様に書きました。もし本気で地球を救うために二酸化炭素を何とかするのならば、これはもう文明を捨てるしかない。自動車、暖房、住居、舗装された道路、プラスチック、電気・・・全部がアウト。これ化石燃料ですから。
 再生エネルギー使えばいいだろ、と仰ると思います。私もかつてこの戦法で専門家に挑んだのですが、その装置作るのにやっぱり石油使うよね?って指摘に論破されました。

 とにかく地球全ての国を救うには地球規模の共産主義をするしかない(こんなファシズム大反対だけど)。資源と技術の再分配を行なう必要があります。しかしこれは資本主義を何とかしなければ詭弁です。

 また現在の絶滅の大きな原因の一つが帰化動物なのですが、これはグリーンイグアナにしろアライグマにしろブラックバスにしろ結局はビジネスで連れてこられて、生態系に影響を与えています。

人間の活動による影響は、恐竜絶滅時の大絶滅時よりも深刻?
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/biodiversity/index.html

 ええと、このグラフはあくまでも数理モデルによる「予想」であって確定した真実じゃありません。そもそも中生代の年間の絶滅ペースなんて分かるわけないじゃないですか、化石資料ですら乏しいのに・・・
 従って、その当時地球にどれだけの生物種がいたか総数が分からなければ、どれだけ減ったかという絶滅のペースは予測のしようもないと思うのですけど(だから恐竜絶滅はゆっくり起きたか、急激に起きたかは諸説あります)。
 私は恐竜オタクなので、いろいろな説や論文を読みましたが、こんな説もあります。
http://wiredvision.jp/archives/200405/2004052801.html

 さらに、現在の絶滅ペースも、個体数がよく研究されているのは哺乳類と鳥類に偏っていて、昆虫や微生物などは一体どうなっているのかまだまだ分かっていません。
 そして生物多様性が大切ならば、人間を殺すウイルスから、森林を食い荒らすアフリカゾウまで全て守らなければいけなくなります。これは不可能だし、極論ですが、もう人間が滅ぶのが一番だと思います。

原作完成!

 できた~!論文の後の最初の創作は予定通りT君の漫画原作!昨日も一本原作は書いたのですが、ちょっとT君の設定ふまえてまとめるの無理だったんで、それはやっぱ没にして、今日まるっきり違う設定、内容の漫画を一本作っちゃいました。
 いや~私にしては珍しく少年ジャンプっぽいバトル漫画です。おそらく初かも。これがだめなら、もうバトルものは無理だな。才能ないよ。私のMAXはこれ。悔いはありません。あとは作画のT君に託します!頼むぜ!

少年バトル漫画について

 この前バトル漫画の原作を引き受けたんですが、いや~難しい。うまくまとめられない。そもそも私はこういった少年ジャンプっぽいバトル漫画読んでなくて、どういう構造なのか知らないんです。
 で、ひとつ感じたのは、ギャグ漫画はロジックで組み立てられるけど、バトル漫画はヴィジュアルで組んでいった方がいいのかな?ってことです。つまり「こういうかっこいいシーンの絵をオレは描きたい!」ってところから出発するのかな?と。
 そもそも短編では不必要な部分はバシバシリストラしないと、情報過多になるのでまずいのですが、ではどの情報をメインテーマにし、あとは削除するかの判断が難しくて・・・なんか私は難しく考えすぎのような気もします。もっと単純に考えた方がいいみたいです。

 あとT君の漫画はドラキュラやフランケンシュタインの怪物が出てくる、ファンタジーものなんですけど、これは難易度が高い。短編において最も難しいと私が思っているのが、ファンタジーで、それは世界観の説明にページを多少とられてしまうからです。う~ん・・・
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