「面白い(=感動)度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」
「これぞ感動作!」って映画です。深夜にテレビでやってて号泣してしまった・・・映像的に80年代の名作映画かと思いきや、公開年は何と2001年・・・!まじかい。
「人を泣かせるより、笑わせる方が難しい(悲劇より喜劇の方が難しい)」とかシェイクスピアは言っていましたが、私は感動させて泣かせる方がずっと難しいと思う。
笑いは棚ボタ的ヒットがあるのに対して、感動は計算された演出力と構成力が必要だし、特に映画となると監督だけでなく、俳優さんもその演技力を問われる。
そういう意味で主人公の幼少期を演じた女の子の演技はとってもうまかった。彼女は成長すると、やさぐれてスカレート・ヨハンソンへと進化を遂げるのですが、見事にこの可愛い女の子とミスマッチ。あの有名女優が見事に幼少期担当の歯抜け美少女ラファエラ・バンジャーギちゃんに力負けしちゃってます。
とにもかくにも、この映画に強い印象を残しているのがラファエラちゃんの演技であることは絶対的。
時は第二次世界大戦後1950年代のハンガリー。当時のソ連の支配下に置かれハンガリー人民共和国として、共産主義体制をとっていたハンガリーは、「パンよりも武器」というワルシャワパクトのせいで、とにかく厳しい生活を強いられていた。
主人公の少女「ジュジ」の一家は比較的裕福だったので、自由と民主主義を求めてアメリカ合衆国に亡命を決める。・・・とはいえその亡命方法は、鉄のカーテン20kmを徒歩と言うとんでもなく過酷で危険(ばれたら銃殺)なもので、赤ちゃんのジュジにはとても無理だと判断した一家は、ジュジを別の方法で後から亡命させてもらうように祖母に託し、先にアメリカへ亡命する。
そして赤ちゃんのジュジの亡命方法とは、薬を飲ませてジャガイモ袋の中に入れるというこれまた過酷な方法で、そんなことできなかった祖母はジュジを知り合いの夫婦(?ごめん、ここら辺よく見てなかった)に預けたのち、秘密警察に亡命容疑で逮捕されてしまう。
ということで、本当の家族と離れ一人ハンガリーに残ることになったジュジだったが、生活は地味ながらも、育ての親を本当の親のように慕い幸せな毎日を送っていた。
しかしジュジが(確か)6歳になったある日。アメリカ赤十字の協力で、ジュジにも正式かつ安全な亡命の手筈が整う。
亡命するということがいまいちよく分からないジュジは、里親に「ちょっといってくるけど、すぐ帰ってくるね。学校があるし」と約束し、アメリカに亡命。
アメリカで先に亡命した両親とついに(テレビ的には)感動の再会を果たす。とはいえハンガリーの里親を本当の両親だと思っているジュジ。
本当の母親マージット(ナスターシャ・キンスキー演じる、すっごい美人なママですよ)も「よそのおばさん」よわばりし、常に「ジュジにとっての本当の両親」がいるハンガリーに帰りたがっていた。
そんなジュジに父ピーターは「大きくなったらハンガリーにいってもいいよ」と約束する。パパも故郷ハンガリーに本に携わる仕事をするという夢を置いてきて亡命していて、決して故郷に未練がないわけではないので、ジュジの気持ちは痛いほどわかるのだ。
しかしママはそれを許さなかった。「ハンガリーはすぐに銃殺される恐ろしい国、そんな国に戻るなんてママ絶対許しません!」と猛反対。
そして時は流れジュジ16歳(多分)。見事にアメリカニズムに染まったジュジは、かつての愛らしい歯抜け少女ではなく、立派なやさぐれヤンキーと化していた・・・
ことあるごとに家を抜け出し、友達と深夜遊びまわる毎日。そんなジュジをママはとっても心配するが、相談相手となるべきパパは多忙で、家をあけがち。
困ったママは口で言っても朝帰りをやめない娘の部屋に、鉄格子と鍵をとりつけてジュジを軟禁してしまう。
「なにもやらせてくれない、あんたなんて大嫌い!」と怒ったジュジは、天袋?からショットガンを取り出しドアの鍵を撃破。その銃声を聞いた途端ママは泣き出してしまう。
この騒動中、偶然家に帰ってきたパパはジュジを優しく諭す。そしてかつてジュジと交わした約束をOKする。
ついに再びハンガリーの里親の下に帰ったジュジ。そこで収容所から出所した祖母とも再開し、なぜママが娘のジュジにあそこまで過保護なのか、その理由を知る・・・
深夜に漫画描きながら見たので、細かいところは違っているかもしれませんが、あらすじはこんな感じ。とにかく良くできてます。
この映画は家族を題材にした葛藤劇だと思う。登場人物に一人も悪役はいないのに、それでもジュジは幼少時過ごしたハンガリーに憧憬の念を抱き続け、アメリカの生みの親と上手くいかない。冷戦という国際情勢が、平凡な家族の人間関係にここまで影響を与えてしまう。
もしジュジを軟禁したシーンで「ママ出して!」と叫び続けるジュジにママが掃除機をかけるのをやめて「仕方がないか・・・」と鍵を開けようとドアの前に立っていたら・・・そしてそこをジュジがショットガンで撃っていたら・・・
私は『愛と青春の旅だち』で見事にこの手の映画における「ダークな展開」を見せつけられたので、そんな超悲劇的展開にもなっちゃうんじゃないか!?とハラハラしましたが、そうならなくてよかった。本当に良かった。
それにしてもハンガリーの里親は人間が出来てるなあ。心が大西洋並に広い。ずっと会いたかったジュジがやっとハンガリーに帰ってきてくれたのだから、メチャクチャ嬉しかったはず。
しかしそこでママの気持ちを知ったジュジが「私やっぱアメリカに帰る」って言ってもすんなり送り返してくれたもんなあ(ラファエラちゃんがヨハンソンと化していたからでは絶対にない・・・!)。でもこれ、絶対辛かっただろうなあ。だからおじさん達はジュジが祖母に会うことに怪訝な顔をしたわけだし。
「わしらのこと忘れないでおくれ」っておじさんのセリフで大号泣。なんかママのパートで『ファインディング・ニモ』、里親のパートで『アイスエイジ』を同時にぶちこまれた気分。
そりゃ泣けちゃうよ。それにこの映画は『ニモ』や『アイスエイジ』と違ってギャグはないしね。
とにかく巧い映画。ハンガリーのブダペスト(現地ではブダペシュトと発音するんだって)のシーンでは、おそろしい独裁国家の街並みが御伽の国のように美しいのに対し、自由と平等の国、新天地であるアメリカの町並みのなんて魅力のないこと。
これ絶対狙ってますよ。チェコのプラハといい東欧独裁国家ってなにげに街並みがとても美しいのがすごいギャップ・・・
あ、あとこれ、エヴァ・ガルドス監督の実話だそうです。
科学はヒトの儀式的振る舞いを否定しない
2010-06-11 18:25:23 (15 years ago)
宗教の話になるから敬遠しているのかもしれないのですが、なぜ義務教育で冠婚葬祭のマナーを教えないんだろう・・・?
これって人の誕生(=結婚出産)と死(=葬儀)という人生の最初と終わりを担う人生で最も大切なことなんだから、因数分解よりもこういうことこそ優先的に教えるべきだと思う。
年齢を重ねるごとに、吉報も訃報も増えていくだろうしなあ。
西部邁さんは「最悪の宗教なのは無宗教で(宗教のランキングの話をしているなら当たり前だ)、マルクスの唯物論などは人間の精神は物質によって決定されると言っていて最悪である」とか言っていますが、精神と言うか人間の選択が物質(金や名声、異性)で決まるというのは科学的には正しいと私は思う。
ただ、だからといって宗教が必要はないというのはどうだろう・・・宗教というとなんか全体主義的イメージがあるので言葉を変えると、これはつまりは知能の高い動物に見られる「儀式的行動」(チンパンジーのグルーミングとか)。
「そんなことやってなんか意味があるの?」なんてはたから見れば思うことが、その動物(とその社会)にとって重要な振る舞いだったりする。
例えば解りやすいところで「挨拶」。あれって“挨拶自体”に特に意味ないと思う。「部長おはようございます」を「オッパッピー」に変えても成立しそうだし、やらなくても死にはしないし。ただやった方がやった方もやられた方もスッキリ爽やかな気分にはなる。それだけ。
でも社会的な秩序を保持する上で、個人が「なんだよ、こんなん意味あるのかよ!?」っていう行動は、人間が進化の歴史で獲得した大切な振る舞い。
「目ざましテレビ」か何かでやってたんですけど、タイでは一日に二回決められた時刻に国歌がスピーカーから流れて、その間は起立して静かにする風習があるそうです。なんとタクシン派がデモをやっている時でも、この時間中はノーサイドだったようで、タイの人にしてみればこの風習は絶対的。
こういった国ごとで異なる儀式的行動は、他の国からしてみれば「意味わかんねえ」と思うかもしれませんが、それを踏みにじるというのはデリカシーにかけた行為。
大体日本ほど時間にうるさい国もないし、遅刻をするのが当たり前な国はとても多い。でも我々日本人は時間を守るのは当たり前だと思っているから、むかっと来るわけで。
・・・で実はこのような儀式的行動は「創発」だと思う。だから生物学、もしくは進化論で充分扱える。もっと言えば、私は戦争も創発だと思っている。これについては後に詳しく取り上げるかもしれません。
そして生物学はこれらの儀式的振る舞いを決して否定しないと思います。どうも宗教VS科学って図式があるけど、私が思うに科学は宗教的振る舞いすらものみ込んでしまう大きなカテゴリー。
ただ勘弁してほしいのが、この逆。一見科学の話をしているようで、そこに宗教的概念を交えて布教する新興宗教とかは、もう科学じゃなく、科学をダシに使った疑似科学。
これに似ているのが福岡伸一さんや茂木健一郎さん。彼らは科学者だけど、テレビでは科学の話をしていない(場合が多い)。
彼らは私が思うに「生気論(生物には魂という超自然科学的存在があるという説。機械論と対立する)」者なのだと思う。
この生気論については「バイオロジー」第一回目でも扱ったけど、科学的にはちょっとどうしようもない考え方。
ただ私たちの意識や、宗教をはじめとする儀式的な行動が、すべて唯物論が言うように物理的(量子力学的、複雑系数学的)に規定されているとしても、それを否定することにはつながらない。そんな事を言いたかったんです。
この話を扱ったのがマイクル・クライトンの『ロストワールド』(原作小説の方)だと思う。クローン技術で恐竜を再生したはいいが、彼らは恐竜時代(中生代)において代々受け継いできた自身の「歴史」を断絶されて現代に生まれてしまった。
ティラノサウルスなどは儀式的行動が「本能」によるものだったから、現代によみがえっても何事もなく、子育てや家族行動をしていたけれど、悲惨だったのが知能が高いヴェロキラプトル。
彼らの儀式的行動は、おそらく人間と同じ「ミーム」によるもの(遺伝子によって引き起こされるのではなく、教育とそれに伴う学習によって受け継がれているふるまい)であり、教育者(先代、親)なしで育ったクローン第一世代ラプトルは、その社会集団を儀式的行動によって秩序化できない。
だから利己主義に走り好き勝手に仲間を裏切って殺したり、自分が産んだ卵を放置し潰してしまう。これって絶対人間に対するメタファーですよ。
結論:人間の精神活動や儀式的活動は、生気論を持ち出さなくても、進化論や複雑系(=創発現象)で十分説明が出来る。よって科学の話では、霊魂とか魂の存在は「オッカムの剃刀」で切り捨てるべし。
ただそのことは人間の宗教をはじめとする儀式的振る舞いを軽視しない。逆に重要視すると思う。ヒトが社会的な動物だというのは生物学的に研究されているから。
だから多少宗派や地域によって誤差があるものの、冠婚葬祭のマナーは学校で教えてもいいと思う。教育基本法第15条では「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」と言っても、これくらいはいいのではないだろうか。ダメ?マナー教育。
学校の国歌斉唱や国旗掲揚すら、個人の自由を阻害するとか言って、突っぱねる人もいるしなあ・・・まあそれも容認するのが基本的人権の尊重だけど。
これって人の誕生(=結婚出産)と死(=葬儀)という人生の最初と終わりを担う人生で最も大切なことなんだから、因数分解よりもこういうことこそ優先的に教えるべきだと思う。
年齢を重ねるごとに、吉報も訃報も増えていくだろうしなあ。
西部邁さんは「最悪の宗教なのは無宗教で(宗教のランキングの話をしているなら当たり前だ)、マルクスの唯物論などは人間の精神は物質によって決定されると言っていて最悪である」とか言っていますが、精神と言うか人間の選択が物質(金や名声、異性)で決まるというのは科学的には正しいと私は思う。
ただ、だからといって宗教が必要はないというのはどうだろう・・・宗教というとなんか全体主義的イメージがあるので言葉を変えると、これはつまりは知能の高い動物に見られる「儀式的行動」(チンパンジーのグルーミングとか)。
「そんなことやってなんか意味があるの?」なんてはたから見れば思うことが、その動物(とその社会)にとって重要な振る舞いだったりする。
例えば解りやすいところで「挨拶」。あれって“挨拶自体”に特に意味ないと思う。「部長おはようございます」を「オッパッピー」に変えても成立しそうだし、やらなくても死にはしないし。ただやった方がやった方もやられた方もスッキリ爽やかな気分にはなる。それだけ。
でも社会的な秩序を保持する上で、個人が「なんだよ、こんなん意味あるのかよ!?」っていう行動は、人間が進化の歴史で獲得した大切な振る舞い。
「目ざましテレビ」か何かでやってたんですけど、タイでは一日に二回決められた時刻に国歌がスピーカーから流れて、その間は起立して静かにする風習があるそうです。なんとタクシン派がデモをやっている時でも、この時間中はノーサイドだったようで、タイの人にしてみればこの風習は絶対的。
こういった国ごとで異なる儀式的行動は、他の国からしてみれば「意味わかんねえ」と思うかもしれませんが、それを踏みにじるというのはデリカシーにかけた行為。
大体日本ほど時間にうるさい国もないし、遅刻をするのが当たり前な国はとても多い。でも我々日本人は時間を守るのは当たり前だと思っているから、むかっと来るわけで。
・・・で実はこのような儀式的行動は「創発」だと思う。だから生物学、もしくは進化論で充分扱える。もっと言えば、私は戦争も創発だと思っている。これについては後に詳しく取り上げるかもしれません。
そして生物学はこれらの儀式的振る舞いを決して否定しないと思います。どうも宗教VS科学って図式があるけど、私が思うに科学は宗教的振る舞いすらものみ込んでしまう大きなカテゴリー。
ただ勘弁してほしいのが、この逆。一見科学の話をしているようで、そこに宗教的概念を交えて布教する新興宗教とかは、もう科学じゃなく、科学をダシに使った疑似科学。
これに似ているのが福岡伸一さんや茂木健一郎さん。彼らは科学者だけど、テレビでは科学の話をしていない(場合が多い)。
彼らは私が思うに「生気論(生物には魂という超自然科学的存在があるという説。機械論と対立する)」者なのだと思う。
この生気論については「バイオロジー」第一回目でも扱ったけど、科学的にはちょっとどうしようもない考え方。
ただ私たちの意識や、宗教をはじめとする儀式的な行動が、すべて唯物論が言うように物理的(量子力学的、複雑系数学的)に規定されているとしても、それを否定することにはつながらない。そんな事を言いたかったんです。
この話を扱ったのがマイクル・クライトンの『ロストワールド』(原作小説の方)だと思う。クローン技術で恐竜を再生したはいいが、彼らは恐竜時代(中生代)において代々受け継いできた自身の「歴史」を断絶されて現代に生まれてしまった。
ティラノサウルスなどは儀式的行動が「本能」によるものだったから、現代によみがえっても何事もなく、子育てや家族行動をしていたけれど、悲惨だったのが知能が高いヴェロキラプトル。
彼らの儀式的行動は、おそらく人間と同じ「ミーム」によるもの(遺伝子によって引き起こされるのではなく、教育とそれに伴う学習によって受け継がれているふるまい)であり、教育者(先代、親)なしで育ったクローン第一世代ラプトルは、その社会集団を儀式的行動によって秩序化できない。
だから利己主義に走り好き勝手に仲間を裏切って殺したり、自分が産んだ卵を放置し潰してしまう。これって絶対人間に対するメタファーですよ。
結論:人間の精神活動や儀式的活動は、生気論を持ち出さなくても、進化論や複雑系(=創発現象)で十分説明が出来る。よって科学の話では、霊魂とか魂の存在は「オッカムの剃刀」で切り捨てるべし。
ただそのことは人間の宗教をはじめとする儀式的振る舞いを軽視しない。逆に重要視すると思う。ヒトが社会的な動物だというのは生物学的に研究されているから。
だから多少宗派や地域によって誤差があるものの、冠婚葬祭のマナーは学校で教えてもいいと思う。教育基本法第15条では「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」と言っても、これくらいはいいのではないだろうか。ダメ?マナー教育。
学校の国歌斉唱や国旗掲揚すら、個人の自由を阻害するとか言って、突っぱねる人もいるしなあ・・・まあそれも容認するのが基本的人権の尊重だけど。
人為的排出二酸化炭素温暖化説について
2010-06-09 19:32:34 (15 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 気象学
「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」を基に、「人為的排出二酸化炭素温暖化説」(人間が排出する二酸化炭素が現在の地球温暖化の主な原因になっているという説)を整理したいと思います。
ちなみに言うまでもなく以下の文章は私の“感想”でもあり、しっかりと読み込みたい方は原文をご覧になってくださいね。
①人為的排出二酸化炭素温暖化説は世界中の学会で合意がほぼできている
一部「この説の証拠を出せ!」という否定派がごく少数ながらいるものの、彼らが要求するのは対照実験による証拠の提示であり、それには地球がもう一個とタイムマシンが必要です(5ページ)。
このつっこみは笑ってしまった。この問題って本当に「進化論VS創造論」と似ていると思う。地球温暖化も大進化も膨大な時間スケールによる複雑なメカニズムの「結果」なので、対照実験などはできないものの、複数のデータが地球温暖化の存在を示しているし、それを全否定するというのはいくらなんでもデータ無視の暴論。科学の話ではないと思います。
建設的な議論と言うのは、地球温暖化問題の是か非かではなく、その現象が起きているという前提の上で、どれだけ(人類の都合のいい)環境にとって深刻なのかを詳しく調査することだと思う。
「はじめに」でもしっかり書かれているように「地球温暖化問題にはいくつかの不確実性が残っている」。しかしだからと言って、地球温暖化を否定するのはおかしいんです。
※ただ私の立場は前の記事でも書いたように、地球温暖化にどれだけ二酸化炭素が影響しているか・・・その因果関係は分からない。というスタンスです。
②アメリカの温暖化懐疑派を裏で操っているのは石油メジャー「エクソンモービル社」(7ページ)
ブッシュ政権の時、アメリカは地球温暖化の“問題”に懐疑的な立場・・・「そこまで地球は深刻でもないだろ?」みたいなスタンスをとっていた記憶があるのですが、やはり石油会社にとっては、化石燃料の使用量削減を国際レベルでやられちゃうと厳しいから、資金をばらまいて懐疑派に運動をさせていたんでしょうね。
経済問題や政治的問題と科学の問題は厳密には不可分ではないかもしれませんが、私は分けて考えないとわけが分からなくなると思います。
科学のデータに特定の思想はありません。問題は人間の先入観(肯定的だろうと否定、懐疑的だろうと)。先入観によって同じグラフを観ても「影響は大きい」と言う人もいれば「影響は相対的には微々たるものだ」と言う人もいる。
しかしデータ自体は、基本的には客観的。厳密には研究者及び観察者のデータ収集の方法にも関係するから、これも難しいんだけど・・・
そのために製薬の現場などで行われる「二重盲検法」(患者はおろか医師=観察者にも実験の内容を秘密にした上で実験をやらせて、先入観や手心を排除すること。プラセボ効果や、教育で言うなら教師期待効果=ピグマリオン効果を排除する)や、学会や「ネイチャー誌」があるのでしょう。
③ヨーロッパは日米に比べて、温暖化懐疑論をメディアがあまり取り上げない
この姿勢はジャーナリズの精神「客観・公平」「少数意見を尊重し、多様な意見を取り上げる」を考えるとダメなのでは?という感じもしますけど、地球温暖化が実際起きているという説が、もはや学会で充分なコンセンサスを得られているのに、懐疑論も同じく取り上げてしまうと、視聴者は「なるほど。温暖化の問題は肯定も否定もどっこいどっこいか」と感じてしまう場合があるそうです。
個々の論文は最新のものであっても、必ずしも現在の科学知識を代表するものではない。ということを胸において報道してほしいと言っています。本当恐竜の論文なんかもそうかもなあ・・・
④温暖化グラフには「不確実性」はあるものの、いきすぎた懐疑論はよくない
温暖化の原因には太陽の活動や、人間登場以前から続く地球の自然な活動、ヒートアイランド現象も関わっていることは確かだけど、だからといって温暖化を過小評価してはいけないということ。
また懐疑論はいきすぎた批判どころか、事実誤認(データの読み違い)をしている場合も多いようです。
以下は懐疑論者に対する詳細な反論で面白いものをピックアップ。
1.「全球(=地球全体のこと)平均気温」を算出する時には、陸地だけでなくちゃんと海上の海面水温の観測データも用いている。
2.ヒートアイランド現象などのローカル(=局地的)な現象を補正してデータは出している。全球平均気温上昇に対するヒートアイランド現象の貢献度は小さいらしい(12ページ)。
3.世界中を探せば、気温の下がっているところ(アメリカ南東部、グリーンランド南東沖)もあるけど、全体的に見れば地球の平均気温は確実に上がっている。南極の気温上昇は他の地域に比べて遅れる(南極周辺の海域は深層との海水の混じりが大きいため)というのは専門家の間では常識。
4.衛星による観測データでは温度上昇がみられない・・・というのは最近の研究では覆っている。
5.地球温暖化の原因が二酸化炭素だけなんて誰も言っていない。
6.過去150年の平均気温上昇のグラフを見ると、自然要因(火山活動+太陽変動)だけでは明確な気温上昇は確認できないが、これに人為的要因をプラスすると平均気温が急激に上がっていることが解る(14ページ)。
7.平均気温が急上昇した20世紀では太陽活動は活発化していない。
8.宇宙線が雲の形成に影響を及ぼし、その雲が温暖化のメカニズムの原因になっているというのは、理論的証明が不十分でちょっとわからない。
9.グローバル・ディミング(日射量減少による地球の気温低下)はローカルな現象である。
10.大気汚染も温暖化に貢献はしているものの、影響は二酸化炭素に比べて小さい。むしろ汚染された大気は、雲のアルベド―や寿命に影響を与え、地表気温を下げる効果もある(負のフィードバックと正のフィードバックのことだと思う)。
11.海面水位は付近の海流の自然変動や、地盤変動によっても影響を受けるので、単純な話じゃない。海面水位が起きていない局所的な事例をもとに、全体的海面上昇傾向を否定するのは無茶。
12.二酸化炭素が増えたから気温が上昇しているのではなく、気温が上昇したから二酸化炭素量が上がったという説は、ちょっとおかしい。
100年程度のタイムスケールで自然状態(人間が化石燃料を燃やす前)の二酸化炭素量の増大は平均気温上昇に全く影響を与えてないわけでないが微小である。
13.人間がほとんどいないようなハワイのマウナロアでも平均気温は上がっている。これは地球全体の平均気温が上がっている事を示す。
14.アイスコアのサンプルを調べると過去40万年間の間で20世紀が急激に二酸化炭素量が増えている事が解る。
15.海ではエルニーニョが起こると、海面温度は上がるが、二酸化炭素は減る。よって海面温度が上がり、それにより二酸化炭素が増え、地球温暖化が起きている・・・という解釈はおかしい。
16.「気温が原因で二酸化炭素の量が変わる」と「二酸化炭素が原因で気温が変わる」と「近年100年の気温上昇は二酸化炭素が主な原因」の三つのテーゼは矛盾しない。
17.エルニーニョによって二酸化炭素が増える・・・ように見えるのは、エルニーニョが森林火災をもたらすため。
18.海はまだ大気中の二酸化炭素を吸収してくれている(海洋プランクトンが二酸化炭素を吸収し、海の底に持ってっちゃうから)過渡期なだけ。表層水と深層水が入れ替わるのは1000年ほどかかる。短時間では分からないってこと。
19.産業革命からの人為的排出二酸化炭素量の累計350ギガトンは、産業革命以前の大気中二酸化炭素量の約7割。つまり僅かずつだが着実に大気中の二酸化炭素の貯金残高は増えている。これは自然界での炭素循環過程では処理しきれない量であるらしい。
20.化石燃料由来で排出された二酸化炭素は炭素14の含有量が自然排出に比べて少ないので、炭素14の濃度変化を見れば、どれだけ人間が関わっているかが解る。
※二酸化炭素が熱放射に影響しているというのは、前の記事で取り上げたので割愛。
しかしもはや人為的排出二酸化炭素温暖化説は有力な説であるということみたいですね。問題はこのままいくと環境に何が起きるかということ。
これまで起きていた自然な氷期、間氷期のバランスが崩れるという話もあるらしいですけど・・・そこまで話のスケールが大きくなっちゃうと私にはついていけない・・・
この論文でなぜか「億年スケール」の話がカットされていたのは残念。中生代ジュラ紀は超地球温暖化だったけど、恐竜は適応してましたからね。人間には適応できないってことなのかな?
追記:このサイトも解りやすくてオススメです。なにしろ慎重だし。独立行政法人万歳!
http://www-cger.nies.go.jp/qa/4/4-1/qa_4-1-j.html
ちなみに言うまでもなく以下の文章は私の“感想”でもあり、しっかりと読み込みたい方は原文をご覧になってくださいね。
①人為的排出二酸化炭素温暖化説は世界中の学会で合意がほぼできている
一部「この説の証拠を出せ!」という否定派がごく少数ながらいるものの、彼らが要求するのは対照実験による証拠の提示であり、それには地球がもう一個とタイムマシンが必要です(5ページ)。
このつっこみは笑ってしまった。この問題って本当に「進化論VS創造論」と似ていると思う。地球温暖化も大進化も膨大な時間スケールによる複雑なメカニズムの「結果」なので、対照実験などはできないものの、複数のデータが地球温暖化の存在を示しているし、それを全否定するというのはいくらなんでもデータ無視の暴論。科学の話ではないと思います。
建設的な議論と言うのは、地球温暖化問題の是か非かではなく、その現象が起きているという前提の上で、どれだけ(人類の都合のいい)環境にとって深刻なのかを詳しく調査することだと思う。
「はじめに」でもしっかり書かれているように「地球温暖化問題にはいくつかの不確実性が残っている」。しかしだからと言って、地球温暖化を否定するのはおかしいんです。
※ただ私の立場は前の記事でも書いたように、地球温暖化にどれだけ二酸化炭素が影響しているか・・・その因果関係は分からない。というスタンスです。
②アメリカの温暖化懐疑派を裏で操っているのは石油メジャー「エクソンモービル社」(7ページ)
ブッシュ政権の時、アメリカは地球温暖化の“問題”に懐疑的な立場・・・「そこまで地球は深刻でもないだろ?」みたいなスタンスをとっていた記憶があるのですが、やはり石油会社にとっては、化石燃料の使用量削減を国際レベルでやられちゃうと厳しいから、資金をばらまいて懐疑派に運動をさせていたんでしょうね。
経済問題や政治的問題と科学の問題は厳密には不可分ではないかもしれませんが、私は分けて考えないとわけが分からなくなると思います。
科学のデータに特定の思想はありません。問題は人間の先入観(肯定的だろうと否定、懐疑的だろうと)。先入観によって同じグラフを観ても「影響は大きい」と言う人もいれば「影響は相対的には微々たるものだ」と言う人もいる。
しかしデータ自体は、基本的には客観的。厳密には研究者及び観察者のデータ収集の方法にも関係するから、これも難しいんだけど・・・
そのために製薬の現場などで行われる「二重盲検法」(患者はおろか医師=観察者にも実験の内容を秘密にした上で実験をやらせて、先入観や手心を排除すること。プラセボ効果や、教育で言うなら教師期待効果=ピグマリオン効果を排除する)や、学会や「ネイチャー誌」があるのでしょう。
③ヨーロッパは日米に比べて、温暖化懐疑論をメディアがあまり取り上げない
この姿勢はジャーナリズの精神「客観・公平」「少数意見を尊重し、多様な意見を取り上げる」を考えるとダメなのでは?という感じもしますけど、地球温暖化が実際起きているという説が、もはや学会で充分なコンセンサスを得られているのに、懐疑論も同じく取り上げてしまうと、視聴者は「なるほど。温暖化の問題は肯定も否定もどっこいどっこいか」と感じてしまう場合があるそうです。
個々の論文は最新のものであっても、必ずしも現在の科学知識を代表するものではない。ということを胸において報道してほしいと言っています。本当恐竜の論文なんかもそうかもなあ・・・
④温暖化グラフには「不確実性」はあるものの、いきすぎた懐疑論はよくない
温暖化の原因には太陽の活動や、人間登場以前から続く地球の自然な活動、ヒートアイランド現象も関わっていることは確かだけど、だからといって温暖化を過小評価してはいけないということ。
また懐疑論はいきすぎた批判どころか、事実誤認(データの読み違い)をしている場合も多いようです。
以下は懐疑論者に対する詳細な反論で面白いものをピックアップ。
1.「全球(=地球全体のこと)平均気温」を算出する時には、陸地だけでなくちゃんと海上の海面水温の観測データも用いている。
2.ヒートアイランド現象などのローカル(=局地的)な現象を補正してデータは出している。全球平均気温上昇に対するヒートアイランド現象の貢献度は小さいらしい(12ページ)。
3.世界中を探せば、気温の下がっているところ(アメリカ南東部、グリーンランド南東沖)もあるけど、全体的に見れば地球の平均気温は確実に上がっている。南極の気温上昇は他の地域に比べて遅れる(南極周辺の海域は深層との海水の混じりが大きいため)というのは専門家の間では常識。
4.衛星による観測データでは温度上昇がみられない・・・というのは最近の研究では覆っている。
5.地球温暖化の原因が二酸化炭素だけなんて誰も言っていない。
6.過去150年の平均気温上昇のグラフを見ると、自然要因(火山活動+太陽変動)だけでは明確な気温上昇は確認できないが、これに人為的要因をプラスすると平均気温が急激に上がっていることが解る(14ページ)。
7.平均気温が急上昇した20世紀では太陽活動は活発化していない。
8.宇宙線が雲の形成に影響を及ぼし、その雲が温暖化のメカニズムの原因になっているというのは、理論的証明が不十分でちょっとわからない。
9.グローバル・ディミング(日射量減少による地球の気温低下)はローカルな現象である。
10.大気汚染も温暖化に貢献はしているものの、影響は二酸化炭素に比べて小さい。むしろ汚染された大気は、雲のアルベド―や寿命に影響を与え、地表気温を下げる効果もある(負のフィードバックと正のフィードバックのことだと思う)。
11.海面水位は付近の海流の自然変動や、地盤変動によっても影響を受けるので、単純な話じゃない。海面水位が起きていない局所的な事例をもとに、全体的海面上昇傾向を否定するのは無茶。
12.二酸化炭素が増えたから気温が上昇しているのではなく、気温が上昇したから二酸化炭素量が上がったという説は、ちょっとおかしい。
100年程度のタイムスケールで自然状態(人間が化石燃料を燃やす前)の二酸化炭素量の増大は平均気温上昇に全く影響を与えてないわけでないが微小である。
13.人間がほとんどいないようなハワイのマウナロアでも平均気温は上がっている。これは地球全体の平均気温が上がっている事を示す。
14.アイスコアのサンプルを調べると過去40万年間の間で20世紀が急激に二酸化炭素量が増えている事が解る。
15.海ではエルニーニョが起こると、海面温度は上がるが、二酸化炭素は減る。よって海面温度が上がり、それにより二酸化炭素が増え、地球温暖化が起きている・・・という解釈はおかしい。
16.「気温が原因で二酸化炭素の量が変わる」と「二酸化炭素が原因で気温が変わる」と「近年100年の気温上昇は二酸化炭素が主な原因」の三つのテーゼは矛盾しない。
17.エルニーニョによって二酸化炭素が増える・・・ように見えるのは、エルニーニョが森林火災をもたらすため。
18.海はまだ大気中の二酸化炭素を吸収してくれている(海洋プランクトンが二酸化炭素を吸収し、海の底に持ってっちゃうから)過渡期なだけ。表層水と深層水が入れ替わるのは1000年ほどかかる。短時間では分からないってこと。
19.産業革命からの人為的排出二酸化炭素量の累計350ギガトンは、産業革命以前の大気中二酸化炭素量の約7割。つまり僅かずつだが着実に大気中の二酸化炭素の貯金残高は増えている。これは自然界での炭素循環過程では処理しきれない量であるらしい。
20.化石燃料由来で排出された二酸化炭素は炭素14の含有量が自然排出に比べて少ないので、炭素14の濃度変化を見れば、どれだけ人間が関わっているかが解る。
※二酸化炭素が熱放射に影響しているというのは、前の記事で取り上げたので割愛。
しかしもはや人為的排出二酸化炭素温暖化説は有力な説であるということみたいですね。問題はこのままいくと環境に何が起きるかということ。
これまで起きていた自然な氷期、間氷期のバランスが崩れるという話もあるらしいですけど・・・そこまで話のスケールが大きくなっちゃうと私にはついていけない・・・
この論文でなぜか「億年スケール」の話がカットされていたのは残念。中生代ジュラ紀は超地球温暖化だったけど、恐竜は適応してましたからね。人間には適応できないってことなのかな?
追記:このサイトも解りやすくてオススメです。なにしろ慎重だし。独立行政法人万歳!
http://www-cger.nies.go.jp/qa/4/4-1/qa_4-1-j.html
地球温暖化問題懐疑論へのコメント
2010-06-09 02:18:01 (15 years ago)
久々に気象学の記事を。非常に興味深いpdfファイルを見つけました。
http://www.cir.tohoku.ac.jp/~asuka/地球温暖化問題懐疑論へのコメント21.pdf
こんな文章をタダで読めるとはネット万歳。この50ページの論文?は2007年のもので、現在はさらにどれほど研究が進んでいるのかはわかりませんが、地球温暖化について興味のある人はけっこう面白いと思います。
なんでこういう情報をテレビはとりあげないのかなあ?少なくとも私は、こんな情報テレビで見たことないもの。せめて本にまとめてほしいなあ。
この人たち(共同執筆)は温暖化研究の最前線で戦われている方々で、地球の謎と同時に、なまじ中途半端に知識のある始末の悪い懐疑論者(私だ)とも闘っていて、そんな人たちの懐疑論を次々にプロの立場から反論しているのですが、これ・・・やっぱり面白いから重要な部分をかいつまんで、このブログにも取り上げたいなあ。
こういう見解って少しでも多くの人に知ってもらいたいし、著作権があるかもしれないけど、そんなの(←暴言)より、この人たちは地球温暖化否定論者をなんとかしたいと思っているだろうから・・・
まあ、とりあえずクライトンのように地球温暖化問題に対する私の立場を整理します。
①地球温暖化は確実に起きている。
②地球温暖化の原因の一つにおそらく二酸化炭素が関わっている。
③ただし地球の平均気温の上昇に、人間の活動がどれだけ関係しているのかは分からない。
④過去400年を考えれば20世紀に入って平均気温の上昇スピードは急激に上がっている。

⑤とはいえ万年スケールのグラフで見ると、2万年前ごろから(人類が化石燃料を使用する以前)から急激に二酸化炭素濃度が上がっている。
しかし1990年の二酸化炭素濃度をふまえると、その現象の2倍近い二酸化炭素の増加が超急激に起きていることも分かる(人間のせい・・・?)。

⑥億年スケールになると二酸化炭素濃度の増減のグラフから規則性を見出すことは私にはできない。だってメチャクチャだもの。

(これらのグラフは大学でもらったものです。)
⑦億年スケールの二酸化炭素濃度には地質学的に大規模な地殻変動が関係している。
⑧古生代石炭紀の二酸化炭素濃度のべらぼうな高さ(0.3%!)を考えると、現在の二酸化炭素濃度は地球の歴史でも最低に近い。
⑨・・・とはいえ過去に遡れば遡るほどデータの精度はアバウトになると思う。
⑩人間の活動がどれだけ関係しているのか分からないからと言って、私は環境破壊は肯定してません。
⑪このまま二酸化炭素の排出を放っておけば、環境はおかしなことにはなると思う。
⑫ただ経済問題や資本主義などの国際社会の構造に大きな変革が起こらない限り、こんなスケールの大きな問題はどうにもならないと思う(研究を否定はしてない)。
⑬・・・で私の予想では、人類はいつか深刻な異常気象が起こってとっても痛い目に逢って、初めて世界が真剣にこの問題に取り組むと思う。
⑭この問題には複雑系(予測不可能性)の概念が重要である。
⑮「地球温暖化はどうにもならないかもしれない。予測ができないかもしれない・・・」と言って、ニヒリズムや厭世主義に陥って、気象学の研究や、環境問題への取り組みを放棄することはよくない。
私たちもいずれ死んでしまうが、だからといって人生を放棄しろなんて思想はおかしいから。
⑰でもそのうち人類も滅んで、人類がメチャクチャにした?環境が再び安定するのは、過去の大絶滅をふまえれば、ほぼ確実だと思う。
⑱地球を制御なんてできない。だが地球の謎を解明するのは意義がある。人類の科学は「無知の知」から「出来ないことの知」にステップアップすると思う。つまり分を知るのだ。
⑲どれだけ地球温暖化に人間が関係しているか分からないからこそ、気象学の研究はとても重要だと思う。
⑳そして不確定性原理を考えれば、地球温暖化に人間が関与していないという見解は大間違いだ。
かつて私のテーゼをK氏が誤解しちゃって慌てて訂正したことがあるのですが「私は地球温暖化にまつわる一部の問題には懐疑的だが、地球温暖化を全否定はしていない」ということ。
このpdfファイルの執筆者は、地球温暖化問題の懐疑論者に本当にうんざりしていて、懐疑することそのものにも批判をしちゃっていますが、私は科学において疑うことは大切だと思う。
でもダーウィニズムを全否定するように、まったく建設的でない懐疑論って言うのはあるw。そういう人たちのことを執筆者は問題だと言っているのでしょう。
地球温暖化を研究するってことは、この論文でも書かれているように、エネルギーの多様化や技術の進歩にもつながりますし、環境よりも進歩をとった「いきすぎた工業化」で、しっぺ返しを食らったドイツは今やエコ先進国。
ただエコをダシに使った企業の資本主義は私は嫌い。偽善の環境保護論者は絶対にいます。そして資本主義、市場原理主義を何とかしない限り、地球の問題ってどうにもならないと思う。
貧しい国は日々の生活の為に森林伐採するわけで、そういう国の為に、できる限り環境に影響を与えない科学技術の開発にこそ、積極的に予算を投入すればいいのに。
でも恐怖の「ハイリスク・ノーリターン」って場合もあるから頭の中のソロバンがちらついちゃって厳しいんだろうなあ・・・長期的な視野こそこの問題は必要なのに。
この論文で私が一番為になったのは、二酸化炭素、メタン、フロン、一酸化二窒素は、赤外線吸収の王様「水蒸気」があまり吸収しない波長の電磁波を吸収するということ!(36ページ)
ならば二酸化炭素のふるまいは地球温暖化問題において、確実にその存在感を主張していることになります。
http://www.cir.tohoku.ac.jp/~asuka/地球温暖化問題懐疑論へのコメント21.pdf
こんな文章をタダで読めるとはネット万歳。この50ページの論文?は2007年のもので、現在はさらにどれほど研究が進んでいるのかはわかりませんが、地球温暖化について興味のある人はけっこう面白いと思います。
なんでこういう情報をテレビはとりあげないのかなあ?少なくとも私は、こんな情報テレビで見たことないもの。せめて本にまとめてほしいなあ。
この人たち(共同執筆)は温暖化研究の最前線で戦われている方々で、地球の謎と同時に、なまじ中途半端に知識のある始末の悪い懐疑論者(私だ)とも闘っていて、そんな人たちの懐疑論を次々にプロの立場から反論しているのですが、これ・・・やっぱり面白いから重要な部分をかいつまんで、このブログにも取り上げたいなあ。
こういう見解って少しでも多くの人に知ってもらいたいし、著作権があるかもしれないけど、そんなの(←暴言)より、この人たちは地球温暖化否定論者をなんとかしたいと思っているだろうから・・・
まあ、とりあえずクライトンのように地球温暖化問題に対する私の立場を整理します。
①地球温暖化は確実に起きている。
②地球温暖化の原因の一つにおそらく二酸化炭素が関わっている。
③ただし地球の平均気温の上昇に、人間の活動がどれだけ関係しているのかは分からない。
④過去400年を考えれば20世紀に入って平均気温の上昇スピードは急激に上がっている。

⑤とはいえ万年スケールのグラフで見ると、2万年前ごろから(人類が化石燃料を使用する以前)から急激に二酸化炭素濃度が上がっている。
しかし1990年の二酸化炭素濃度をふまえると、その現象の2倍近い二酸化炭素の増加が超急激に起きていることも分かる(人間のせい・・・?)。

⑥億年スケールになると二酸化炭素濃度の増減のグラフから規則性を見出すことは私にはできない。だってメチャクチャだもの。

(これらのグラフは大学でもらったものです。)
⑦億年スケールの二酸化炭素濃度には地質学的に大規模な地殻変動が関係している。
⑧古生代石炭紀の二酸化炭素濃度のべらぼうな高さ(0.3%!)を考えると、現在の二酸化炭素濃度は地球の歴史でも最低に近い。
⑨・・・とはいえ過去に遡れば遡るほどデータの精度はアバウトになると思う。
⑩人間の活動がどれだけ関係しているのか分からないからと言って、私は環境破壊は肯定してません。
⑪このまま二酸化炭素の排出を放っておけば、環境はおかしなことにはなると思う。
⑫ただ経済問題や資本主義などの国際社会の構造に大きな変革が起こらない限り、こんなスケールの大きな問題はどうにもならないと思う(研究を否定はしてない)。
⑬・・・で私の予想では、人類はいつか深刻な異常気象が起こってとっても痛い目に逢って、初めて世界が真剣にこの問題に取り組むと思う。
⑭この問題には複雑系(予測不可能性)の概念が重要である。
⑮「地球温暖化はどうにもならないかもしれない。予測ができないかもしれない・・・」と言って、ニヒリズムや厭世主義に陥って、気象学の研究や、環境問題への取り組みを放棄することはよくない。
私たちもいずれ死んでしまうが、だからといって人生を放棄しろなんて思想はおかしいから。
⑰でもそのうち人類も滅んで、人類がメチャクチャにした?環境が再び安定するのは、過去の大絶滅をふまえれば、ほぼ確実だと思う。
⑱地球を制御なんてできない。だが地球の謎を解明するのは意義がある。人類の科学は「無知の知」から「出来ないことの知」にステップアップすると思う。つまり分を知るのだ。
⑲どれだけ地球温暖化に人間が関係しているか分からないからこそ、気象学の研究はとても重要だと思う。
⑳そして不確定性原理を考えれば、地球温暖化に人間が関与していないという見解は大間違いだ。
かつて私のテーゼをK氏が誤解しちゃって慌てて訂正したことがあるのですが「私は地球温暖化にまつわる一部の問題には懐疑的だが、地球温暖化を全否定はしていない」ということ。
このpdfファイルの執筆者は、地球温暖化問題の懐疑論者に本当にうんざりしていて、懐疑することそのものにも批判をしちゃっていますが、私は科学において疑うことは大切だと思う。
でもダーウィニズムを全否定するように、まったく建設的でない懐疑論って言うのはあるw。そういう人たちのことを執筆者は問題だと言っているのでしょう。
地球温暖化を研究するってことは、この論文でも書かれているように、エネルギーの多様化や技術の進歩にもつながりますし、環境よりも進歩をとった「いきすぎた工業化」で、しっぺ返しを食らったドイツは今やエコ先進国。
ただエコをダシに使った企業の資本主義は私は嫌い。偽善の環境保護論者は絶対にいます。そして資本主義、市場原理主義を何とかしない限り、地球の問題ってどうにもならないと思う。
貧しい国は日々の生活の為に森林伐採するわけで、そういう国の為に、できる限り環境に影響を与えない科学技術の開発にこそ、積極的に予算を投入すればいいのに。
でも恐怖の「ハイリスク・ノーリターン」って場合もあるから頭の中のソロバンがちらついちゃって厳しいんだろうなあ・・・長期的な視野こそこの問題は必要なのに。
この論文で私が一番為になったのは、二酸化炭素、メタン、フロン、一酸化二窒素は、赤外線吸収の王様「水蒸気」があまり吸収しない波長の電磁波を吸収するということ!(36ページ)
ならば二酸化炭素のふるまいは地球温暖化問題において、確実にその存在感を主張していることになります。
『系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに』
2010-06-08 01:59:29 (15 years ago)
科学雑誌『Newton』でもお馴染み?の進化生物学者、三中信宏氏の新書。
要約すると「人は個々の多様な事例を整理、体系化する際には、“樹”のようなイメージを持つと理解がしやすいよ」ってことだと思う・・・
それは生物進化、生物の分類についても系統学、分岐分類学があるし、実験や検証が困難な歴史や人文科学においても、系統樹思考を使えば「科学的」にそれらを扱うことができる。
そしてその考えは「セフィロトの樹」(なんとブックカバーの裏側に描いてあるのだ!)のように宗教でも使われていて、つまり系統樹思考は科学の分野におさまらず、人間が複雑かつ多様な個別事例(トークン)を解り易くまとめる際に、昔からお世話になってた考え方だと。私たちは樹が好きだったんだと。
この思考のパターンは「樹」ってしちゃうとちょっと神秘的だけど、つまりさまざまな個別事例の枝々が、さらにもう一段階カテゴリーが上位であるちょっと太い枝から出ていて、その枝はさらに太い枝から出て・・・そんなマトリョーシカの連続を解釈するならば、それは「フラクタル」ってことなんだと思います。
これは確かにぱっと見「樹」なんだけど、これは樹がすごいんじゃなくて、我々が目にする樹がフラクタルなどの複雑系、数学的規則に則って生成されているから、樹もあのような形になっているわけで、樹を作る普遍的な法則(複雑系)がいかにすごいかってこと。
うん。系統樹思考ばんざい!
・・・で、この本の後半にも、系統樹思考よりもさらにランクが高く、複雑なものを複雑なままとらえる「包括ネットワーク」っていう思考パターンが登場するのですが、これはドゥルーズ=ガタリ的に言うならば「リゾーム(地下茎型)」。
個々の事例が複雑な網の目のようなネットワークを結んじゃってしまい、なにとなにが関係しているのかごちゃごちゃしちゃって、処理しにくい。というか私たちには処理できません。
もっといえばNP問題ってのがあって、コンピューターにも無理なんです。ネットワークをそのまま理解させて、その中で最善の手段をしらみつぶしに導き出すのは・・・
結局この問題の対応策としてコンピューターにやらせているのが「枝の剪定」・・・なんと系統樹思考。
私は『超音速ソニックブレイド』で、ちょっとここら辺の話を扱ったことがあって、コンピューターに「巡回セールスマン問題」と言った超難問を解かせる時、しらみつぶしじゃなくて取るべき攻略法をコンピューターに限定させるために、系統樹思考のようなものをやらせているという話は知っていました。
ただこの「系統樹思考」と言う言葉は初耳。三中さんのオリジナルな言葉なのか・・・それともプロの研究者が知っている専門用語なのかは、ちょっとわからないですが、これって福岡伸一さんの「動的平衡」級、いやそれ以上に使い勝手がいい言葉。流行語大賞決定!
しかしこの本、決して内容は難しくはないんだけど、福岡伸一さんや佐倉統さんの本に比べてなんか読みにくい。とっつきづらいというか・・・
「タイプとトークン」「アブダクション(=現時点における最善の説明の選択のこと)」・・・と初耳なプログラミング用語のオンパレード。もう少し解り易くは書けなかったのかな?トークンなんて「個々の事例」とか「最小単位」とかでいいじゃん。ダメ?
でも数学が得意な理系の人には、全然ついていける内容なんでしょうね。単純な数理モデルが結構出てくるから。私は数理モデルがダメなんで・・・ひいこら解釈し「な~んだ、そういうことかあ」の連続でかなり疲れました。
ただ、この本は私の嫌いなポストモダンの思想をばっさり切り捨てる良本であります。それはどういうことかというと、相対主義を扱いながらも「どんな意見もそれはそれでいいじゃん」と価値の相対化に短絡的に走らずに、相対的に優先順位を決めよう。それがもっとも科学的な態度だよ、とか言うんです。この概念で行けば歴史だって進化論だって科学的に扱えるよ、と。
このテーゼが書いてあるだけで『構造と力』の100倍は為になる本だと思う。この意見は、当たり前っちゃ当たり前なんですが、80年代の思想家や知識人はなぜここにいかなかったのだろう?って思っちゃいます。いや、行きついていた人もいたかもしれませんが・・・
この「アブダクション」と言う方法を取ると、「相対的にこれよりはこの理論の方がまだまし・・・というように、その優先順位を決める基準はじゃあなによ?」って話に自ずとなっていくと思うのですが、これは「その理論はたくさんの人が信じているから正しい」という悪しき(?)民主主義的発想じゃなくて、ここで武器になるのが実験であり、テスト。
実験データーに照らし合わせて相互比較し、その理論の解像度(これは私の造語)を上げていく・・・
私は科学も思想の一つだ。という意見はあまり賛成していません。だって科学って事あるごとに私たちの先入観や幻想を見事に裏切ってくれるからw。そこが痛快。リンゴが万有引力で地面に落ちるのって思想じゃないですからね(「万有引力のせいだ」ってところが思想なのか?)。
そもそも科学的な行為は古代からやっていたわけで、昔の人だって空を動く星を観て「なんで動いてるんだろ?」と科学的に疑問を持ったはず。
でもその理由の解像度が今に比べてぼけていた。「あの星は神様が動かしている」とか「動く全てのものに命が宿っている」とか、ちょっと前では「空が地球中心に動いているから」とか・・・
今の科学者は、同じ星を動く現象を観ても「神様」を使わずに、さらに合理的に目の前の現象の理由を理論化、体系化できます。
現代の科学が絶対正しいとは言っていません。ただ「相対的に強いて言うなら今の理論の方が精度がいい」というだけです。この繰り返しが科学だと思います。
三中氏は「この世界には完全無欠の本質がある」というグールド等の「本質主義」を批判します(三中さんはデビット・ハルの学問系統学寄り)。
これは本質があるかどうかは知らないが、安易にそれに飛びつき絶対視してしまうと、科学的な相互比較の精神がまずいことになるから、三中氏はそう言っているのかもしれません。
この相互比較を繰り返すことで理論の解像度をあげて、「本質たるもの」に近づくことはできそうですが、それは反比例のグラフ(双曲線)がXY軸にすれすれまで近づいても絶対にくっつかないように不可能なことなのかもしれません。
でもそれってもはや、ほぼ本質・・・?
とにかく「科学とは何ぞや?」って興味のある人にはお勧めの本かも。あとは数学に強い人ですね。数学よりも文学が好きな人は、この人よりも福岡伸一さんの方がとっつきやすいのだろうなあ・・・(でも福岡さんの進化論の記述はアブダクション的に信じちゃダメ!)
要約すると「人は個々の多様な事例を整理、体系化する際には、“樹”のようなイメージを持つと理解がしやすいよ」ってことだと思う・・・
それは生物進化、生物の分類についても系統学、分岐分類学があるし、実験や検証が困難な歴史や人文科学においても、系統樹思考を使えば「科学的」にそれらを扱うことができる。
そしてその考えは「セフィロトの樹」(なんとブックカバーの裏側に描いてあるのだ!)のように宗教でも使われていて、つまり系統樹思考は科学の分野におさまらず、人間が複雑かつ多様な個別事例(トークン)を解り易くまとめる際に、昔からお世話になってた考え方だと。私たちは樹が好きだったんだと。
この思考のパターンは「樹」ってしちゃうとちょっと神秘的だけど、つまりさまざまな個別事例の枝々が、さらにもう一段階カテゴリーが上位であるちょっと太い枝から出ていて、その枝はさらに太い枝から出て・・・そんなマトリョーシカの連続を解釈するならば、それは「フラクタル」ってことなんだと思います。
これは確かにぱっと見「樹」なんだけど、これは樹がすごいんじゃなくて、我々が目にする樹がフラクタルなどの複雑系、数学的規則に則って生成されているから、樹もあのような形になっているわけで、樹を作る普遍的な法則(複雑系)がいかにすごいかってこと。
うん。系統樹思考ばんざい!
・・・で、この本の後半にも、系統樹思考よりもさらにランクが高く、複雑なものを複雑なままとらえる「包括ネットワーク」っていう思考パターンが登場するのですが、これはドゥルーズ=ガタリ的に言うならば「リゾーム(地下茎型)」。
個々の事例が複雑な網の目のようなネットワークを結んじゃってしまい、なにとなにが関係しているのかごちゃごちゃしちゃって、処理しにくい。というか私たちには処理できません。
もっといえばNP問題ってのがあって、コンピューターにも無理なんです。ネットワークをそのまま理解させて、その中で最善の手段をしらみつぶしに導き出すのは・・・
結局この問題の対応策としてコンピューターにやらせているのが「枝の剪定」・・・なんと系統樹思考。
私は『超音速ソニックブレイド』で、ちょっとここら辺の話を扱ったことがあって、コンピューターに「巡回セールスマン問題」と言った超難問を解かせる時、しらみつぶしじゃなくて取るべき攻略法をコンピューターに限定させるために、系統樹思考のようなものをやらせているという話は知っていました。
ただこの「系統樹思考」と言う言葉は初耳。三中さんのオリジナルな言葉なのか・・・それともプロの研究者が知っている専門用語なのかは、ちょっとわからないですが、これって福岡伸一さんの「動的平衡」級、いやそれ以上に使い勝手がいい言葉。流行語大賞決定!
しかしこの本、決して内容は難しくはないんだけど、福岡伸一さんや佐倉統さんの本に比べてなんか読みにくい。とっつきづらいというか・・・
「タイプとトークン」「アブダクション(=現時点における最善の説明の選択のこと)」・・・と初耳なプログラミング用語のオンパレード。もう少し解り易くは書けなかったのかな?トークンなんて「個々の事例」とか「最小単位」とかでいいじゃん。ダメ?
でも数学が得意な理系の人には、全然ついていける内容なんでしょうね。単純な数理モデルが結構出てくるから。私は数理モデルがダメなんで・・・ひいこら解釈し「な~んだ、そういうことかあ」の連続でかなり疲れました。
ただ、この本は私の嫌いなポストモダンの思想をばっさり切り捨てる良本であります。それはどういうことかというと、相対主義を扱いながらも「どんな意見もそれはそれでいいじゃん」と価値の相対化に短絡的に走らずに、相対的に優先順位を決めよう。それがもっとも科学的な態度だよ、とか言うんです。この概念で行けば歴史だって進化論だって科学的に扱えるよ、と。
このテーゼが書いてあるだけで『構造と力』の100倍は為になる本だと思う。この意見は、当たり前っちゃ当たり前なんですが、80年代の思想家や知識人はなぜここにいかなかったのだろう?って思っちゃいます。いや、行きついていた人もいたかもしれませんが・・・
この「アブダクション」と言う方法を取ると、「相対的にこれよりはこの理論の方がまだまし・・・というように、その優先順位を決める基準はじゃあなによ?」って話に自ずとなっていくと思うのですが、これは「その理論はたくさんの人が信じているから正しい」という悪しき(?)民主主義的発想じゃなくて、ここで武器になるのが実験であり、テスト。
実験データーに照らし合わせて相互比較し、その理論の解像度(これは私の造語)を上げていく・・・
私は科学も思想の一つだ。という意見はあまり賛成していません。だって科学って事あるごとに私たちの先入観や幻想を見事に裏切ってくれるからw。そこが痛快。リンゴが万有引力で地面に落ちるのって思想じゃないですからね(「万有引力のせいだ」ってところが思想なのか?)。
そもそも科学的な行為は古代からやっていたわけで、昔の人だって空を動く星を観て「なんで動いてるんだろ?」と科学的に疑問を持ったはず。
でもその理由の解像度が今に比べてぼけていた。「あの星は神様が動かしている」とか「動く全てのものに命が宿っている」とか、ちょっと前では「空が地球中心に動いているから」とか・・・
今の科学者は、同じ星を動く現象を観ても「神様」を使わずに、さらに合理的に目の前の現象の理由を理論化、体系化できます。
現代の科学が絶対正しいとは言っていません。ただ「相対的に強いて言うなら今の理論の方が精度がいい」というだけです。この繰り返しが科学だと思います。
三中氏は「この世界には完全無欠の本質がある」というグールド等の「本質主義」を批判します(三中さんはデビット・ハルの学問系統学寄り)。
これは本質があるかどうかは知らないが、安易にそれに飛びつき絶対視してしまうと、科学的な相互比較の精神がまずいことになるから、三中氏はそう言っているのかもしれません。
この相互比較を繰り返すことで理論の解像度をあげて、「本質たるもの」に近づくことはできそうですが、それは反比例のグラフ(双曲線)がXY軸にすれすれまで近づいても絶対にくっつかないように不可能なことなのかもしれません。
でもそれってもはや、ほぼ本質・・・?
とにかく「科学とは何ぞや?」って興味のある人にはお勧めの本かも。あとは数学に強い人ですね。数学よりも文学が好きな人は、この人よりも福岡伸一さんの方がとっつきやすいのだろうなあ・・・(でも福岡さんの進化論の記述はアブダクション的に信じちゃダメ!)
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