『青春アタック』脚本⑤一騎当千

体育館裏
病田「やめた方がいいです・・・」
海野「大丈夫、先生にブルマーは冗談ですよ・・・」
病田「ちが・・・本気であの大会で優勝する気ですか・・・?」
海野「ま・・・まあ、出るからにはそこを目標にしたいですけど・・・」
病田「・・・正直、あの子たちで全国制覇できる見込みってあるんですか??」
海野「今の段階では・・・ないですけど・・・」
病田「大会なんか出ずに・・・みんなで楽しくバレーをしているだけじゃだめなの・・・?
確かに美帆子ちゃんの技術はプロ並みだし・・・優しくて指導が上手だから・・・
無名の織戸高校でも全国に通用するチームにしてしまった・・・
その結果・・・」
海野「学校側や保護者も介入してきて、練習が厳しくなり、バレーを楽しむ感じではなくなりました・・・
でも・・・勝つことと楽しむことは両立できるはずです・・・」
チラシを眺める病田「・・・いつから学校の部活動はお金のためにやるようになっちゃったんだろう・・・」
海野「その件ですけど・・・もし優勝したら、賞金は学校と花原さんの借金に充ててください。私は高校最後の年にバレーができただけで十分です。これで、心置きなくピーナツ農園に就職できる・・・」
病田「美帆子ちゃん・・・」
海野「でも・・・私はまだ高校生です・・・誰もが一生で一度しかなれない・・・高校生なんだ・・・」
病田「わかりました・・・でも、くれぐれも無理はしないでね・・・
学校の借金のことなんか考えなくていいから・・・」
体育館の中に目をやる海野「大丈夫です・・・あのメンバーは全員修羅場をくぐった経験があります。
花原さんはマッドサイエンティストで逮捕歴があるし、乙奈さんは元アイドルで芸能界の闇を知っている・・・ブーちゃんは厳しい料理人の修業を積んでいるし・・・なにより生原さんは・・・
文字通りの雑草魂・・・
この平成の日本で社会的な支援を一切受けずにたった一人で生き延びてきた・・・
彼女たちは・・・きっとどんな女子高生よりもタフですよ。」
体育館の中からスパイクの轟音が轟く。
花原「よけんな山村!」
病田に海野が微笑む「ね。」

体育館に戻っていく海野を見送る病田
「高校生には一生で一度しかなれない・・・か・・・」



夜。
海野「今日の練習はこれくらいにしよう!みんなお疲れ様!」
コートに倒れている5人。
海野「・・・最初にしてはハードにやっちゃったかな・・・」
花原「・・・マッスル、よく耐えたわね・・・」
山村「痛みとは生きている証拠よ・・・」

帰り道
海野「今日はよく休んでね!」
一同「ばいばーい」
生原「いや~おもしろかったね~」
花原「あんなに体を動かしたの生まれて初めてよ・・・」
乙奈「わたくしもずいぶん久しぶりですわ」
山村「生原さん、6人目のメンバーはどうするんだ?」
花原「なんとかしなさいよーこんだけ練習してても出れないんだから」
生原「う~ん・・・あ!そうだ!!」
花原「なんか思いついたの?」
生原「青春アタックが始まっちゃう!!」
山村「なんと!!学友の諸君さらば!!」
ジェットのように帰宅する山村。
生原「電気屋行かなきゃ!花原さん早く!」
花原「・・・・・・」
乙奈「わたくしたちは、道がこちらですので、ごゆっくり~」

電気屋の前
「閉店しました」の張り紙がシャッターについている。
生原「・・・!!」
花原「あら・・・残念だったわね・・・」
号泣する生原「う・・・うわああああああああああ!!!!!」
花原「そ・・・そんな嗚咽するようなことか!?」
ゲロをする生原「おろおろおろ・・・」
花原「きたねえ・・・!」



ボロアパートの裸電球を付ける花原。
狭い部屋は試験管と借金の督促状と刺激臭で溢れている。
ダイヤル式のテレビをつけてやる花原「あ・・・あれ・・・?」
テレビを蹴飛ばす。
「ほら・・・写った・・・」
『青春アタック』のOPが始まる。
生原「放送に間に合った~!」
花原「これか・・・下手くそな絵のアニメだなあ・・・」
真剣な生原「静かにして!」
花原「失礼・・・」
ブラウン管の中では、しろったま子たちが木材を担いで特訓をしている。
生原「あれ、明日やろうよ」
花原「あれが仮にスギ材でも1本あたり約750kgよ・・・
あれを3本も持ち上げるなら、種目をウエイトリフティングに変更したほうがいいわ・・・メダルが取れるから。」
生原「花原さんって物知り~!」
花原「ありがと・・・」
生原「今週も面白かった~!花原さんちはテレビがあって羨ましいな~」
花原「こんな借金まみれの生活のどこが羨ましいのよ・・・」
生原「でも家にカラーテレビがあるよ?」
微笑む花原「あんたは幸せもんね・・・」
生原「私の家は主にダンボールで出来ているからクオリティの面でちょっと・・・」
昔の花原の写真を見つけるちおり。母親と写っている。
生原「これ花原さん?」
花原「あ・・・」
生原「うわーかわいー!」
花原「・・・これでも昔はフランス人形みたいで可愛いって言われたのよ・・・」
生原「こんな小さなお子さんいたんだね!」
花原「・・・おい、そっちは私の母さんだ・・・」
生原「花原さんに似て美人だね!お母さんはおしごと・・・?」
花原「・・・まあ、そんなところ・・・」
生原「なんの仕事してるの?」
花原「・・・借金を何とかするって言ってベーリング海に行ってから何年も戻ってこない・・・
きっと海に落ちて死んだのよ・・・
見ず知らずの人の借金の連帯保証人になんかなって・・・本当にバカみたい・・・」
生原「優しい人だね!」
涙目になる花原「・・・うん・・・優しいの・・・」
生原「きっと帰ってくるよ!たくさんカニを持ってきて。」



夜の公園
生原「じゃあちおり帰るね!今夜はおじゃましました。」
花原「本当にダンボールの家に帰るの?」
生原「割とあったかいよ!」
花原「ちょっと見に行ってもいい・・・?
建築学の素養がある私がもっと快適で安全な家を作ってあげるよ・・・」
生原「本当に!?うれし~」
アパートから支柱とモルタルを持ってくる花原「・・・で、あんたの家はどこにあるの・・・?」
指を指す生原「あっちだよ!」
指を指す方角が明るい。
花原「・・・なんか燃えてない・・・?」



ちおりの家が燃えている。
かけよる生原「ちょうろう!」
ホームレスの長老「おじょう、逃げるんじゃ・・・!ホームレス狩りじゃ・・・!」
凶暴なビジネスマン「ひゃっはー!会社をリストラされて家族も財産も何もかも失ったぜ~!
もう何も怖くねえ!野郎ども、金目のもの以外は全て燃やせ~!汚物は消毒じゃー!」
火炎瓶を投げつけるサラリーマンやリクルートスーツの就活生たち。
「わははは燃えろ燃えろ!就職先がどこにもねえ、この絶望感をくらえ!」
花原「・・・年の瀬になると毎年湧いて出てくるバブル崩壊の犠牲者だわ・・・
警察と消防に連絡しないと・・・!」
燃える家に入ろうとする生原「海野さんからもらった私の宝物が・・・!」
生原を慌ててとめる花原「何考えてるのよ!焼け死ぬわよ!」
泣き叫ぶ生原「うわあああああん!私のバレーボールが~!!」
花原「そんなもん諦めなさい・・・!」
生原「おろおろおろ・・・!」
花原「吐くんじゃない!!ええい、わかった・・・!」
自分が着ているダッフルコートにモルタルを塗ったくる花原
「バレーボールね?」
そのまま燃える生原の家に突っ込んでいく。
生原「花原さん・・・!!」
炎の中に消える花原
生原「花原さ~ん!」
生原に気付くサラリーマン「なんだ、この汚ねえガキは?」
就活生「小学生のくせにセーラー服なんか着てやがる」
サラリーマン「待て、高校の制服は高値で売れるぞ!身ぐるみをはげ!」
ホームレス狩りに取り押さえられる生原「にゃ~セーラー服を脱がさないで~」

その時、炎の中から勢いよくバレーボールのスパイクが飛んできて、ホームレス狩りの頭部にぶち当たる。
眼鏡が割れて倒れるリストラサラリーマン。
ホームレス狩り「業務課長・・・!」
振り返ると、炎の中からボロボロの花原が立っている。
花原「・・・わ・・・私の友だちに何をするんだ!!!」
生原「花原さん助けて・・・!」
「思い上がるな・・・希望がなくて苦しいのはお前らだけじゃないんだ~!!」
そう叫ぶと、火の粉をまき散らしながら突っ込んでくる花原。
逃げていくホームレス狩り「業務課長がやられた・・・!撤退だ・・・!」
花原の真っ黒になったコートを脱がせてやる生原「花原さん・・・!」
バレーボールを拾う花原「ほら・・・あなたの宝物・・・」
涙を流す生原「花原さん・・・大好き・・・」
力なく倒れる花原「セメントは燃えにくいだけで・・・燃える・・・」



中学生時代の記憶
母親と一緒に中学校から帰る花原
母親「わかってるわ・・・めぐなちゃんからじゃないんでしょ・・・?」
花原「あいつら・・・母さんを馬鹿にしたの・・・国会議員の愛人だって・・・」
微笑む母親「・・・もしそうだったら、もう少しいい暮らしをしてる・・・」
手をつなぐ2人。
花原「・・・ねえ母さん・・・」
母親「なあに?」
花原「わたし・・・学校で友達ができたよ・・・」



花原「・・・はっ・・・!」
意識が戻る。あたりを見渡すと、保健室であることに気付く。
花原「保健室・・・?」
視線を下にやると、ベットにちおりが寄りかかって眠っている。
保健室の先生「一晩中あなたを心配してたわよん・・・いい友達がいたのね・・・
というか、あなたって友達がいたのね。」
花原「さくら先生・・・」
さくら先生は、ショートカットのボーイッシュな女性で白衣をだらしなく着ている。
さくら「まったく科学に強いわりに無茶したわね・・・
Ⅱ度の熱傷で感染症が怖かったけど・・・
科学研究部の冷蔵庫に飛び切りよく効く局所抗菌薬があってさ・・・
そのおかげで、やけど痕は残らないと思うよ。」
オーラルクリーナーのアンプルを取り出すさくら。
さくら「これを作ったやつに感謝ね。」
花原「・・・わたしだ。」
煙草に火をつけるさくら「どこで何の発明が役に立つかなんてわからないわね・・・
私は授業を持たないから偉そうなこと言えないけどさ、もっと自分に自信持っていいんじゃない?」
ちおりに目をやる花原。

2024年の目標

タツノオトシゴ.jpg
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。このブログも15年目に突入!※無駄に長寿コンテンツ。

 今年は、まず30代がとうとう終わるので、健康で40代に突入したい。漫画を毎日描いていた20代は病気がちだったのだけど、30代でほとんど描かなくなってからは、一度も大きな病気をしていないという奇跡。コロナ禍も感染してないし。いや、気づかずに感染はしてたかもしれないけど発症してないし。

 次に、今年は朝の連続テレビ小説のようにちびちび書き進めている『青春アタック』を完結させる!しかし、スポーツものって漫画だとある程度長期連載ってイメージがあって、映画みたいにサクって終わるようなものじゃないなっていう。
 『80日間~』から自分の漫画脚本って映画の構成をイメージしてたんだけど、スポーツでそれやるとけっこうダイジェストっぽくなっちゃうなってことで、連ドラや大河ドラマみたいなイメージで制作してます。
 結局ひとの親になって思うのは、日本っていうのは若い世代に金をかけない国だよなっていうこと。で、もしバブル崩壊で本当に日本が経済的に崩壊したら、まずまっさきに切り捨てられるのは子どもたちなんじゃないかっていうコンセプトで、世界観のバックボーンを掘り下げてみたんだ。
 もともと、社会に見放された役たたずの動物たちが集まって一旗揚げようとする『ブレーメンの音楽隊』をイメージしてたっていうのもあるしね。ちおりがネコで、花原がロバで、海野がイヌ、みたいな。
 あとは、『モンモンモン』みたいに、一人ずつ仲間が増えていくみたいにしようとも思ったんだけど(なので主要キャラにクラスを担当させた)、それをやるといつまでたってもバレーボールができないのでやめた。
 しかし、部活動て学校にとっちゃ超負担だからな。時代の流れでなくなっていくと思う。昔は学校で友達と放課後スポーツをやったりして遊べたんだよって思い出話になりそう。そういう青春を謳歌する場が消えちゃうってのもさみしいけど、学校の先生の人数も給料も上げないのなら仕方がない。

 3つめは、メダルゲームのメダルをせめて50万枚くらいに増やす。結局、ハイベットしても今の店長はでかい当たりを出さないということを90万枚以上使って学習したので、今後もローベットで遊び続けちびちびメダルを抜いていけば、意外と達成できるんじゃないか。もう20万枚目前だしね。おそらく、10万枚あれば極悪設定のフォーチュントリニティも安心して遊べそうなんだけど、一度7000枚使ってもステーションチャレンジ突破できないことがあったからね。油断ならない。

2023年は微妙

 純粋に去年が超幸運だっただけなんだけど、やっぱり去年と比較すると今年はどうしても今ひとつだった。
 まず、昨年末77万枚も増やせ、今年は100万枚まで貯めるぞ!とかイキっていた預けメダルがまさかの消滅・・・!0枚・・・!平家の栄華並みにあっけなかった・・・
 結局のところ各ゲーセンには「設定」というイカサマがあるので、いきつけのゲームセンターの店長が配置替えとなり、鬼の店長となったことでアニマボッタされた挙句、メダルバンクのバグ?で預けメダル消滅。補償なし!

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 その後、数ヶ月立ち直れず、ゲーセンを絶っていたが、10月くらいから10ベットでチビチビカラコロッタをハイエナプレイし、3ヶ月ほどでなんとか17万枚くらいまでは戻せた。(ビデスロの糞みたいなイベントやってなかったら20万枚はいってたな・・・)
 でもまあ、ドラマ足利時代の預け枚数にまで回復できたのはすごい。プッシャーで増やしたわけじゃないんだけどね。

 あとは『風と翼』の脚本が完結できたのは良かった。私も最近脳が老化しててさ、昔なんかはわりと記憶力良かったんだけど、この前の研修で「ごんべんのつく漢字を制限時間内にできる限り挙げなさい」って課題があってさ、私も漢検2級くらいは余裕で取れる漢字力があったから自信あったんだけど、まさか「語」と「話」の2個しか出てこなくて、あまりのショックに心中穏やかじゃなかったからね。
 そんな老化した脳みそで、よくまあ書き上げれたな、と。

 逆に成長著しいのが、あずさくんで、溢れんばかりのアクティブさで、マジで目が離せない。なんなら、このブログを書いている時も、私の膝の上に乗っていて、隙あらばキーボードをいじろうと暴れているからねkhkkfjpbじゃおk@pやめおr

『青春アタック』脚本④鍛冶研磨

体育館
ステージの上でポージングをしているマッチョマン。
マッチョマン「俺は誰よりも強く・・・そしてビューティフル・・・」
コートでネットを設営している海野たちに気付く。

ちおり「わ~ここがたいいくかんか~!」
機具庫からポールを運んでくる海野「織戸高校の体育館と比べるとせまいけどね・・・」
ちおり「わ~海野さん力持ち~すご~い!」
ポールを設置する海野「肉体労働しか私はできないから・・・」
ブーちゃんと一緒にポールを運んでくる乙奈「このポールはこちらに差せばいいかしら?」
海野「うん」
ちおり「だれ?」
海野「ああ、私の古い友人で・・・人数足りないから協力してくれるんだ。」
微笑む乙奈「ごきげんよう、おちびちゃん」
ちおり「よろしくね!」
体育館にすごい気まずそうに入ってくる花原「・・・・・・。」
ちおり「あ!花原さんだ!!」
海野「女子バレー部にようこそ、花原さん!」
花原「バレー部に入部したわけじゃない・・・」
海野「・・・?どうしたの???」
体育着姿が絶妙に似合っていない花原。
花原「このブルマってやつを考えた奴を殴ってやりたいわ・・・」
海野「恥ずかしいなら、ハーフパンツにすれば・・・?」
花原「ハーパンに逃げるのもな・・・」
ちおり「ミニスカートは履くのに、ブルマは恥ずかしいんだ!かわいい!」
花原「うるさいな。」
海野(もしかして、花原さんがスポーツが嫌いな理由って・・・)
花原「・・・で?私は何をすればいいの??1億円のためならドーピングでもするわ。」
海野「そんなことやったら失格になっちゃうから・・・花原さんはバレーボールは・・・?」
花原「もちろん調べてきたわ・・・19世紀末にアメリカマサチューセッツ州で・・・」
海野「歴史・・・!?ルールは・・・?」
花原「え・・・?」

ステージでダブルバイセップスを決めるマッチョマン。誰も眼中にはない。

海野「・・・バレーボールはコートにボールを落とさないように3球以内に相手コートへ返球し合うスポーツです。」
花原「・・・なんで?」
海野「な・・・なんでと言われても・・・そういうゲーム性を大切にしているとしか・・・
・・・まずは基本動作のオーバーハンドパスを練習してみようか・・・」
トスをやって見せる海野。
「こういう感じでボールに手を添えて・・・高く上げるパスです。」
花原「ククク・・・その程度なら運動音痴の私でもできそうね・・・」
ちおり「花原さんすごいね!」
花原「とりゃあ!(ボールを上げる)」「へい!(ボールを掴む)」「ほりゃあ!(もう一度上げる)」
ちおり「かっけー!」
海野「いやいやいや、それだとホールディングだから・・・!」
花原「おかしなことを言うわね・・・同じようにやったつもりだけど・・・?」
海野「ボールをしっかり掴んじゃダメなのよ・・・
だから基本的なパスのわりに初心者には結構難しいの・・・」
花原の手の方にボールを乘せる海野「こう、ボールが来たら肘を軽く曲げて、手首は柔らかくして・・・一番肘が曲がった時にボールに触って・・・体全体の伸びでボールを上げる・・・!」
花原「ああ、そういうことね。」
海野「この動作を一瞬でやるって感じ。じゃあ、私がパスを送るからボールを返してみて!」
海野が花原にボールをトスする。
海野「ボールの下に入ってさっきの動作をすれば返せるよ!」
花原「ええと・・・これは初速Voの斜方投射だから落下点の位置は・・・」
乙奈「すごいですわ・・・物理の計算をしておられます・・・!」
ボールの方へ移動する花原「ここだ!」
思い切りボールを顔面に受ける花原
乙奈「ご自身の身長を計算式に考慮しておられなかったのですわ・・・!」
床に倒れてピクピクしている花原。
海野「だ・・・大丈夫!?花原さん!」
起き上がる花原「・・・私バレーに向いてない。」
海野「練習すればできるって・・・!」
ちおり「できるよ!花原さん天才だもん。」
花原「まあ・・・確かにな。」
海野(そう誘導するのか・・・)

花原「ねえ・・・もっと天才の私にあったカッコいいやつってないの?」
海野「・・・じゃあスパイクでもやってみる?
となると、レシーブ役がほしいなあ・・・」
ステージを降りてくるマッチョマン「この体育館も変わらねえなあ・・・」
乙奈「あ・・・!あの方は・・・!誰もいない体育館で毎日ポージングにいそしむ孤高のナルシスト・・・マッスル山村さんですわ・・・!」
小声で花原「・・・あいつは関わっちゃいけない系の人じゃない?」
乙奈「自分の腹筋を見せつけたいだけで基本的には人畜無害ですわ・・・」
筋肉をつつくちおり「かっこい~」
海野「山村君・・・バレーボールできる?」
マッスル山村「俺にできないスポーツはない・・・特にバレーボールはボディビルに次いで我が得意とするき・・・」
海野「じゃあレシーブお願い」
無視されるマッスル山村「御意・・・」
海野「生原さん、わたしにこの前みたいなトスを送ってくれる?」
トスを上げる生原「いいよ。やっ」
海野「じょうずよ!」
飛び上がって、勢いよくボールを叩き込む海野。
海野が放った剛速球をレシーブする山村「馬鹿な・・・おなごにこのような力が・・・!」
後ろに吹っ飛ぶ山村「うわああああ!」
生原「かっこいー!」
海野「これがスパイクです。で、生原さんがくれたパスをトス。山村くんが受けたのをレシーブというの。」
花原「・・・ちょっと待って。ということはさっきのあれを我々も受けなきゃいけないってこと・・・?」
乙奈「あれ、痛そうですわね・・・」
海野「・・・え?ええ・・・まあそういうことに・・・」
乙奈「あざとかできないんですか・・・?」
気まずそうに海野「それは日常茶飯事・・・」
花原「冗談じゃないわ・・・!これは球技の名を借りた暴力に他ならない・・・!」
得意げなちおり「花原さん。知らなかったの?すべてのスポーツは暴力だよ。
もともとバレーはボールじゃなくて敗北した武将の生首でやってたらしいし。
しろったま子さんがそう言ってた。」
花原「誰だよ、それ!」
山村「あのアニメは今季一番面白いよな。特にボールが爆弾になっていてコートに落ちると起爆するというアイディアは秀逸であった・・・」
生原「青春アタックを知ってるんですか!?ぜひ、我がチームに・・・!」
山村「よかろう・・・!これでメンバーの数は6人・・・!はーはは、喜べ!これで6億円の大会に出場できるぞ!」
海野「知ってたんだ、それ・・・」
花原「あんたはムキムキだからいいけど、こっちはか弱い乙女なのよ・・・」
山村「心配するな。私がカール・ゴッチ式スクワットを伝授するので、3か月後には諸君らも立派なレスラーだ。」
海野「・・・冗談はさておき、両手でちゃんとボールを受ければ大丈夫だし、練習ではもっと弱く打つから・・・乙奈さんやってみる?」
乙奈「・・・え?」
花原「やめときなさい、これは放課後のレクリエーションの域を超えているわ・・・」
ブ-ちゃんが手を挙げる。
海野「ブーちゃん・・・!」
乙奈「ブーちゃんが挑戦するって言ってます・・・!」
山村「道開くもの・・・勇者・・・」
海野「よし、ブーちゃんやろっ!」
すごい弱くブーちゃんにボールを送る海野。
たやすくレシーブをするブーちゃん。
海野「じょうず!」
花原「な~んだ・・・あんなに弱く打つのか・・・あれなら私にも楽勝ね・・・」
山村(俺への剛速球はいったい・・・)
花原「はいはいは~い!次、わたし!」
海野「よ~し・・・じゃあいくよ!えい!」
みぞおちにボールを受ける花原「ぐえええ!」
海野「だ・・・大丈夫!?花原さん・・・!」
山村「何故かがまない、長身の少女よ・・・!!」
海野「か・・・花原さんはボールを受けるよりも打つ方が向いてるよ!」
花原「そ・・・そうかな・・・」
海野「そうよ・・・!バレーの花形スターはアタッカーよ!その背の高さはアタッカー向きよ!」
花原「アタッカー・・・スター・・・?」
気を使う海野「うん!そうよ!スーパースター!バレー界の主役!」
花原「やってみるか・・・」
海野(・・・)

海野「じゃあ、私がトスを上げるのでさっきの私のようにジャンプしてボールをはたいてみて!」
花原「む・・・難しそうね・・・」
海野「スターなら簡単!」
ちおり「スター!」
花原「・・・楽勝・・・」
トスを上げる海野「はいっ!」
走り出す花原
海野「ボールの方に走りこんで・・・そこでジャンプ!」
山村「おおっ!」
ちおり「かっこいい!!」
花原「くらえ!これがスーパースター・・・はたき!!」
力任せにボールをたたきつける花原
海野「すごい・・・!」
一同「・・・ってボールがこっちにくる・・・!」
剛速球をよける乙奈たち。
やっぱり山村にぶち当たる「馬鹿な・・・理系女子にこのような力が・・・うわああああああ!!」
海野「すごいわ!花原さん本当にアタッカーの才能があるかも・・・!」
乙奈「思い切りアウトですけどね・・・」
遠くで倒れている山村を眺めるブーちゃん。
花原「へ・・・へへ・・・バレーがんばっちゃうぞ~~!!」

海野「それでは、2つのグループに分かれて練習しましょう。
乙奈さん、ブーちゃん、私の3人でパスとレシーブの練習をしましょう。
花原さん。生原さん、山村くんは引き続きスパイクの練習をしててね。」
生原「は~い!」
海野さん「生原さんがトスを上げて・・・花原さんがスパイクを打って・・・山村くんが・・・受けてね」
山村「い・・・いやだ・・・!」
花原「山村・・・すべてのスポーツは暴力よ・・・腹をくくりなさい。」



日が落ちてくる。
外から体育館の中の様子を盗み見ている病田先生。

ちおりが気づく「海野さん、なんか知らない女の子がこっちを覗いているよ?
仲間に入れていい?お~い、おいで~怖くないよ~」
海野「あ・・・あれ顧問の先生なんだ・・・」
乙奈「病田代和香先生は、体が弱すぎて受け持ったすべての学級を崩壊させてきた伝説の教師ですわ・・・」
花原「なんでそんな人が運動部の顧問しているのよ・・・」
乙奈「さあ・・・」
ちおり「あたしと同い年じゃないの?」
花原「あの見た目で28歳らしいよ・・・」
おどおどしている気弱な病田「あ・・あの・・・美帆子ちゃん・・・華白崎さんから聞きました・・・
本当にあの大会に出場するんですか・・・?」
海野「はい。みんなバレーは初めてなんですけど素質があると思うんです。」
病田「でも・・・このままでは大会には出場できないと思いますよ・・・」
パイプいすを出してやる山村「先生いすどうぞ」
病田「あ・・・ありがとうございます・・・」
花原「なんで出場できないのよ先生」
病田「に・・・人数が足りません・・・」
山村「はっはっは・・・おかしなことをおっしゃる・・・ここにいるのはどう数えても6人・・・」
病田「あ・・あの・・・今更こんなことを打ち明けるのもなんですけど・・・あの大会は女子しか出場できません・・・」
ショックを受ける山村「!!!」
ちおり「え~マッスル出れないの?」
花原「・・・じゃあ、もう用無しね。じゃあねマッスル。」
山村「た・・・たのむ!俺を見捨てないでくれたもう・・・!」
花原「仕方ないでしょう、ちんちんあるんだから!」
山村「うう・・・そーだ!俺をせめてこのチームのマネージャーにしてくれ・・・!」
花原「なぜ、そこまでして参加したいんだ!賞金はやらねえぞ・・・!」
山村「・・・入学してこの日まで体育館でずっとポーズを決めていたのに、話しかけてくれたのは諸君らだけだった・・・その恩に報いたいのだ・・・!」
ちおり「・・・なんか可愛そうだから混ぜてやろうよ。」
花原「あんたがそう言うなら・・・」
乙奈「しかし・・・こうなると代わりの女子が一名必要になりますよね・・・」
花原「あの病田先生にブルマーはかせれば誤魔化せない?」
ちおり「いけるいける。」
乙奈「まあ、なんて破廉恥な。ブルセラですわ」
困る病田「あ・・・あはは・・・美帆子ちゃん・・・ちょっといいかな・・・」
海野「あ、はい・・・みんなは練習を続けてて。」

『青春アタック』脚本③轗軻不遇

職員室
紅茶をかき混ぜるロングヘアーの美女が隣の席の海野に話しかける。
3組芸能クラス担当、乙奈ひろみ(音楽科担当)「海野さん、お聞きになりました?
また4組の授業で担任と生徒が衝突したらしいですわ・・・」
2組フィジカルクラス担当、海野美帆子(体育科担当)「またか・・・生原さん大丈夫かなあ・・・」
乙奈「あの方の理科の授業は毎週クレームの嵐みたいですし・・・
どうでしょう校長先生・・・4組の担当生徒を変更することも考えてはいかがかしら・・・」
禿げた中年サラリーマンのような羽毛田校長が情けなくつぶやく「とはいえ私たちには理科が教えられないんだよね・・・」
京冨野先生(社会科担当)「・・・病田お前いけるか?」
首を横に振る病田先生(国語科担当)は、気弱そうなボブヘアーの若い女性で詩集を持っている。
1組プロフェッショナルクラス担当、華白崎桐子(数学及び生徒会担当)「・・・校長、花原さんは研究資金とか言って、いくら学校に借金してるんです?」
はぐらかす羽毛田校長「え?い、いや、それは・・・まあ。」
乙奈「まあ、学校からお金を借りてるんですの??」
羽毛田校長「授業の難易度をもう少し下げるように私からも伝えるので・・・」
華白崎「我が校の経営状態を知ってるんですか?そもそもうちには部活動がありすぎるんです!
部員が一人しかいない、科学研究部に始まり、女子バレー部、死せる詩人の会、任侠同好会、育毛クラブ・・・」
慌てて職員室を出ていく面々。
海野を呼び止める華白崎「海野さん・・・ちょっと。」
振り返る海野「・・・・・・」
華白崎「例の大会の見通しは?」
乙奈「昔のチームメイトには会えたのですか・・・?」
海野「うん・・・やっぱり協力は無理だって・・・」
華白崎「そうですか・・・では、女子バレー部は約束通り廃部の流れで破産申請を・・・」
海野「で、でも・・・素晴らしい逸材を見つけたんだ・・・!お願い、もう少しだけ待って・・・!」
華白崎「約束は約束です。」
乙奈「まあ、もう少し待ってあげてもいいじゃないですか。
・・・大会さえ優勝すれば、この学校は一点大幅な黒字なのでしょう?」
海野「乙奈さん・・・ありがとう」
乙奈「昔からの仲じゃないですか。」
華白崎「乙奈さんが言うなら・・・分かりました・・・しかし・・・バレーボールをやるには最低でも6人は必要・・・あと4人をなんとしても見つけてください・・・」



チャイムが鳴る。
男子「は~馬鹿らし・・・おい、飯にしようぜ。」
女子「生原さんはお弁当持ってきてる?」
ちおり「草むらさえあれば現地調達できます。」
男子「・・・おい、ブーちゃんの学食を案内してやれよ・・・」
女子「おいで・・・」
ちおり「私、あの先生と食べたい!」
男子「あいつと・・・?」
女子「そういえば花原さんってランチタイムに姿を見たことがない・・・」
男子「お友だちがいないんだろ」
駆け出すちおり「じゃあさがしてくるね!」



薄暗い校舎の奥にある科学研究部の部室。
扉には「詐欺師」「クソ授業」「金返せ」などの張り紙がたくさんついている。
出資者に片っ端に電話をかける花原「自己増殖型ワクチンに投資しませんか?ワクチンは接種ではなく感染させる時代です・・・!」
別の機関に電話をかけなおす。
「21世紀には化石燃料の時代は終わります!一家に一台小型原子炉!もしもの時は自爆装置としても使えます・・・!」
受話器を置く花原「くそ・・・だめか・・・
財布に26円しかなかったから、さんま定食の食券が買えなかった・・・」
ため息をつく「なんで天才のこの私が、こんなひもじい目に・・・」



茂みの中で雑草を食べているちおり。
「うん、うめえ・・・」
後ろから声をかける花原。
ちょっと引いている花原「あんた・・・本当にそんな害獣みたいな食生活を送っているのね・・・」
生原「鳥が食べた形跡があったので、野鳥を信じました。」
花原「・・・お前本当に現代人か・・・」
生原「花原さんの分もあるよ!」
草の束を差し出す。
花原「私は人間としての尊厳を捨てたくない・・・」
生原「タラの芽、山ウド、コゴミもあるよ。」
花原「山菜の??」
生原「うん、裏の山からとってきたの!」
花原「でかした・・・!」



学食
キッチンでは肝っ玉母さんのようなぽっちゃりの女の子がプロ顔負けの調理をこなしている。
ランチタイムもピークを超えて、学生の数はまばら。
花原「ブーちゃん・・・」
ブーちゃん(学食及び家庭科担当)は無言で花原に包丁を突きつける。
花原「え・・・?ツケはいつ返すんだ??それは、来週必ず・・・
でさ・・・ブーちゃんって天ぷらあげれる・・・?」



芝生の上で並んで座る二人。
山菜の天ぷらをかじる花原「さすが私・・・これでフリーランチが料亭クオリティに・・・
ほら、あんたも食べなさい」
感動する生原「こんな美味しいもの食ったことないっす・・・!ありがとうございます!」
花原「ねえ・・・あんたはなんでこんな学校に来たの?」
生原「みんなとバレーボールをしに来たんだよ!」
花原「バレーボールって、ああ、海野さんがやってたってやつか・・・
で、バレーやって何がしたいの・・・?プロにでもなるの?」
生原「プロを目指さないとやっちゃダメなの・・・?」
花原「いや・・・そういうわけじゃないけど・・・
海野さんってほら、プロチームのスカウトが来てたくらい上手かったらしいから・・・よく知らないけど」
生原「まじで!?かっけー!そんな人にスカウトされちゃった、わ~い!」
花原「あんたを・・・?そんなにチビなのに?」
生原「花原さんはおっきいよね!アタッカーでいい?」
花原「なんで私もやることになってんのよ・・・」
生原「大親友のために人肌脱いでよ!」
花原「いつあんたの大親友になったのよ・・・私はね、スポーツが嫌いなの。
大の大人がボールで遊んでて・・・恥ずかしくないのかしら・・・」
葉っぱで口をふく生原「花原さんは、なんでこの学校にいるの??」
花原「・・・こんな学校、好きで通っているやつなんかいないわ・・・」
生原「すごいよね、理科の先生もやってて!」
花原「教師を雇う金がないから、いいように使われているだけよ・・・
ここはダメ人間のふきだまりよ・・・
いじめ、不登校、貧困、病気、障害・・・普通の学校に通えない子どものね・・・」
生原「花原さんは・・・?」
花原「私は違う・・・こんなところにいるべきじゃないんだ・・・絶対に抜け出して・・・
ひとかどの大人になるんだ・・・絶対・・・」
生原「いい学校だと思うけどなあ・・・」
立ち上がる花原「まあ・・・私は恩を忘れない人間よ・・・
友だちは要らないけど・・・家来になら・・・してやってもいいわ。」
生原「ホントに!?わ~い!花原さんの家来だ~!うれし~!!」
悪い顔をする花原(コイツさえいれば当分食事には困らなさそうだからな・・・)



科学研究部の部室に戻ろうとすると、部室の前にガラの悪い男が立っている。
「出てこい!この野郎!レオタード着せてCMで躍らせるぞバカヤロウ」
花原「・・・!」
とっさに身を隠す花原。
花原「あいつら・・・学校にも来やがった・・・!!」
生原「親分のお友達?」
花原「しっ!」

京冨野が近づいてきて男に話しかける「よう・・・ここは学校なんで勘弁してくれねえか・・・」
借金取り「ここの学生が借金を焦げ付かせてましてね・・・」
頭を下げる京冨野「とりあえず今日は俺の顔を立てて帰ってくれねえかな、生徒も怖がってる・・・」
借金取り「京冨野さん・・・あんたももうカタギなんだから、兄貴ヅラするのはやめてくれませんか・・・こっちも仕事でやってんだよ・・・あんま甘っちょろいこと言ってると・・・ただじゃおかねえぞ。」
微笑む京冨野「偉くなっちゃったなあ・・・」
振り向きざまに借金取りをぶん殴る京冨野
吹っ飛んで科学研究部のドアを突き破る借金取り
借金取り「やめてくださいよ・・・教師がこんな暴力ふるって・・・問題になりますよ・・・」
借金取りの口をこじ開け、花原の開発したアンプルを無理矢理飲ませる京冨野
痙攣して泡を吹く借金取り
生原の目を覆いながら、部室を覗き込む花原「あ・・・やっぱり、失敗作だった・・・」
京冨野「花原・・・ちょっと職員室に来なさい・・・」
花原「は・・・はい・・・」



廊下
花原「生徒指導ですか・・・」
京冨野「そんな野暮なことはしねえよ・・・俺の仕事は生徒を守ることだけだ・・・」
扉を開ける京冨野「だが・・・生徒会はあんたに話があるらしい・・・」



借金の明細書を机に置く華白崎
「こんな悪質な金貸しにお金を借りるなんて・・・十日で5割利息って・・・年利で・・・」
電卓を叩く「1825%ですよ?」
華白崎「あなたも理数系なら、こんな計算くらいできるでしょう・・・」
花原「・・・私がした借金じゃない・・・」
華白崎「孤高のあなたが他人の借金の肩代わりを・・・?」
花原「・・・・・・。」
華白崎「いずれにせよ・・・借金返済のために、お金を借りてリスクの高い研究開発をするのは、悪循環だと思いますよ・・・」
暗い表情のまま口角を上げる花原「それくらいしないと、歴史に私の名が刻めないじゃない・・・」
華白崎「ならば・・・なぜ学会に学位論文を発表しないのかしら?」
花原「・・・・・・。」
華白崎「・・・あなたは恐れているんだ。自分の評価が社会にくだされることを。」
立ち上がる花原「そんなことない・・・!私の母さんは私を天才だって・・・」
華白崎「ほかには・・・?」
花原「それは・・・」
華白崎「・・・なら、現実を教えてあげます。
あなたは天才でもなければ、とりわけ頭がいいわけでもない。
趣味嗜好が少し人と変わっていただけだ。」
花原「・・・言ってくれるじゃない委員長。」
華白崎「私は委員長じゃない・・・
しかし・・・あなたには誰もが認める絶対的な才能が一つある・・・」
・・・それはその身長です。」
とあるチラシを前に出す。
華白崎「あなたは、その身長を活かしてこの大会に出場するべきだ・・・」
花原「高校バレー春のバトルロイヤル大会・・・あなた、この私に球技をやれっていうの・・・??」
華白崎「高体連は・・・いずれやってくる少子化に向けて部活動を縮小しようとしている・・・
理想としては部活動廃止だが、高校の部活動からプロスポーツ選手が出てくることもある・・・
そこで・・・優秀な成績を残す学校の部以外は廃部にすることにしたのです・・・」
花原「プロが出てくる見込みのない部活は潰すということね・・・」
華白崎「その部を決める大会が3ヶ月後にある・・・」
花原「くだらない・・・なんで私が・・・」
華白崎「あなたにも旨みがありますよ。この大会の優勝校以外のバレー部はすべて廃部ということは・・・全国のバレー部の運営予算の一部は・・・」
花原「もしかして・・・」
チラシのウラ面をめくる花原。
華白崎「優勝賞金となる・・・」
“優勝賞金6億円”と書いてある。
華白崎「部員で山分けしても、一人あたり1億円・・・どうかしら?」
花原「・・・ノーベル賞の賞金額だ・・・」
華白崎「才能とは・・・自分が決めるものではない・・・社会が決めることです。
あなたはでかい。それに発想力もある・・・
科学という枠にこだわらず、スポーツにもそれは活かせると思いますが・・・」
花原「・・・・・・。」



女子更衣室に入ってくる華白崎
練習着に着替えている海野「・・・どうだったかな・・・?」
華白崎「・・・あと3人。」
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