IR大阪――深夜12時
闇夜に紛れ、地下の排水管をかけるカイトたち。
不平を言うサラ「くさい!鼻がもげる・・・!」
大道寺「うるせえ、静かにしろ・・・!」
サラ「なんで、ウォンイクはいないのよ・・・!」
大道寺「ジャケットが汚れるのが嫌なんだとよ。
だいたい勝手についてきたのはオメエじゃねえか、安藤と基地で待ってりゃよかったんだよ。」
サラ「まさか、こんなところから侵入するなんて・・・」
大道寺「どうせ、あの翼ちゃんと張り合ってるんだろ、やめとけ。」
サラ「ぶん殴るわよ、大道寺くん」
二人の先で図面を広げて翼と話し合うカイト。
大道寺「しかし、あいつら、潜入のこなれ感がすごいなあ・・・」
サラ「さも当然のようにマンホールに入るもんね・・・」
キャットウォークの上を指差す翼「おそらく、この上が最初の関門だと思います。」
はしごを登るカイト「一体、秀吉はどんなトラップを仕掛けたか・・・」
ハッチを開けるカイト。
カイト「なんだこりゃ・・・」
・
ハッチの先には、巨大なフェンスがそびえ、そのふもとには大勢の人だかりができている。
「ステージ1受付」と書かれたテントには、ガラの悪い男たちが列を作っている。
ハッチからはい出て周囲を見渡すと、観客やテレビカメラも入っていることに気づく。
カイト「これは・・・まるでテレビ番組だ・・・」
カイトの後ろからはい出てくる3人。
館内アナウンスが入る。
豊臣「腕自慢の泥棒諸君!よくぞお足元の悪いなか、我が風雲大阪城にお越しくださいました!ぜひ、全ステージを突破して、金庫に眠る莫大な財宝と世界一の大泥棒の称号をゲットしてください!」
雄叫びを上げる泥棒たち。
豊臣「石川五右衛門なんかに負けるんじゃねえぞ社会のゴミども!!財宝は先着1名だ!」
オレオレ詐欺師「やってやるぜ~!」
万引き主婦「優勝するわよ!」
車上荒らし「きっとやれる・・・!」
大道寺「秀吉の野郎、ほかの泥棒たちも招待したみてえだな・・・」
サラ「これじゃあ、下水道に潜った意味なかったじゃない!!」
監視カメラがカイトを捉える。
豊臣「おやおや~・・・そこにいるのは石川五右衛門さんじゃありませんか!
受付がお済でない方は、あちらのテントにとっとと急げバカヤロウ!」
参加者の目が一斉にカイトに集まる。
空き巣(・・・!あの青年が石川五右衛門・・・!!)
銀行強盗(ただのガキじゃねえか・・・大したことなさそうだな・・・)
スリ(殺す・・・)
翼「と・・・とりあえず、私たちも受付に行きましょう・・・」
カイト「うん・・・」
受付テント
列に並ぶカイトたち。
係員「申し訳ございません、犯罪歴がない方はご参加いただけません。
ご自身の手配書など、犯罪者であることを証明する書類が必要になります。」
ミスターサスケ「え?ダメなの・・・!?」
カイト「ぼくらも、そんな証明書はもってないですけど・・・」
係員「石川五右衛門様御一行ですね。お待ちしておりました。
エントリーナンバーは824になります。」
ナンバーが割り振られた金属製のエントリーリングを渡される。
サラ「あたしらは顔パスみたいね・・・」
カイト「参加者は、これを手首にはめろってさ。」
リングを付けるサラたち。
サラ「いよいよ本当にテレビ番組になってきたわね・・・」
大道寺「実際に放送されてるんだよ。」
インカムから安藤「しかし、これはお互いにフェアな状況だと思います。」
大道寺「どういうことだ?」
基地でテレビを見る安藤
「先輩たちの様子は今、全国ネットで生中継されています。」
カイト「・・・つまり、秀吉の方も仮に財宝が奪われても、ぼくらにムチャはできない・・・」
翼「逆に、絶対にクリアはできないという自信が向こうにはあるわけです・・・」
大道寺「おもしれえ。」
ファンの取り巻きを引き連れてウォンイク「やあ、無事に到着したみたいだね、待っていたよ・・・」
大道寺「てめえ、こっちはドブの中を潜入したってのに・・・!」
ファン「ウォン様、頑張ってー♥」
ファンに手を振るウォンイク。
ウォンイクにリングを渡すサラ「いいから、あんたもこれをつけなさい!」
カイトの近くに寄ってささやく翼。
「カイトさん・・・」
カイト「・・・ああ・・・秀吉はなんでぼくらが石川五右衛門だと知ってるんだ・・・?」
翼「考えたくはありませんが・・・」
カイト「・・・僕らのチームに内通者がいる・・・?」
サラ、大道寺、ウォンイクの方を見つめるカイトと翼。
・
IR大阪天守閣
豊臣「富も権力もあり、人生に退屈しているゲストの皆さん。
さあ、いよいよショーの始まりだぜ」
特別ゲストとして石田内閣の面々や各国の代表が招かれている。
バニーガールのディーラー「大阪城へようこそ!
最初のゲームは“ボーダー・ウォール”です。
1万ボルトの電圧をかけたフェンスを越え、向こう側に行けたらステージクリアです。まもなくベットタイムを締め切ります。」
ルイス・フロイスEU大使「つまり、感電死しない挑戦者に賭ければいいのかね」
バニー「ええ、ステージ1での配当金は次回のステージで全額ベットし、転がすことも可能ですよ~」
フロイス「ようし、私は怪盗ルポンに3000ベットだ」
ハドソン米大統領「わしはビリー・ザ・キッドだ!」
石田総理「え、じゃあ私は石川五右衛門に・・・」
大谷官房長官「賭けるんかい・・・」
片桐「では、最初の挑戦者は、群馬県からお越しの滝川一益さんです!」
滝川一益「信長四天王として、これ以上秀吉に好き勝手はさせん!」
滝川を応援しに来ている、柴田と丹羽。
柴田「よっ元忍者!」
丹羽「がんばれ~」
ワイプの豊臣「何年前のこと話してるんだあいつ・・・」
慣れた様子で鍵縄を回す滝川
「こんなフェンスは忍者にとっちゃわけもない・・・」
鍵縄を放り投げ、フェンスのてっぺんに鉤爪を引っ掛ける滝川
滝川「かかった!」
滝川が大ジャンプして、フェンスに脚をかけようとすると、体に大電圧がかかり吹っ飛ぶ。
滝川「ぎゃああああああああ!」
片桐「滝川さん失格です!」
柴田「あいつは我が四天王の中でも最弱・・・」
丹羽「じゃあ、次は柴田さんがやりますか?」
白旗を上げる柴田「秀吉!ギブア~~~ップ!!」
阿鼻叫喚の参加者たち「ふざけんな!
俺たちは電流が流れているなんて聞いてねえぞ!!」
豊臣「害獣の侵入を防ぐにはこれが一番!どうした?全員ギブアップかい。」
サラ「あのおっさん、ふっとんだわよ・・・!」
ウォンイク「犯罪者がひどい目にあうのを楽しむ番組のようだね」
大道寺「悪趣味なやつらだ」
翼と話し合うカイト「どう攻略したものか・・・」
翼「感電さえしなければいいわけですからね。」
大道寺「あの二人、攻略する前提で話してるぜ・・・」
銀行強盗「ガキども・・・俺が見本を見せてやる・・・」
片桐「続いての挑戦者は、東京都からお越しの銀行強盗レッドギャングさんです!
失敗すれば、そのまま逮捕無期懲役ですが、高圧電流をどう攻略しますか?」
「オレを誰だと思ってやがる・・・」
片桐「お~っと、両手両足に絶縁体のゴムを装着だ!」
ほかの参加者「正解はあれか!」
「よし、オレ達もパクろう!」
強盗「て、てめえら、真似するんじゃねえ!著作権侵害だぞ!
くそが、さすが犯罪者どもめ・・・先に超えるのはオレだ!」
ゴムをつけた泥棒たちがフェンスに殺到する。
片桐「お~っと参加者が次々とフェンスを登り・・・」
参加者たち「ぎゃああああああああ」
片桐「感電しました~~~!」
天守閣で大爆笑の豊臣
サラ「ゴムじゃ防げない・・・!?」
大道寺「ゴムは電気を通さないんじゃねえのか」
安藤「絶縁破壊・・・!電圧が高すぎるんだ・・・!」
ウォンイク「見たまえ、犯罪者たちのローストを・・・」
次々に逮捕されていく失格者。
翼「・・・よし。私が行きます。」
サラ「翼ちゃん!!??」
大道寺「さっきの惨劇見てたんじゃねえのか?」
カイト「頼んだ。チームの場合はメンバーがひとりでもクリアすればいいみたいだから」
翼「了解です。」
片桐「なんと、この状況でまだ挑戦者がいます!
エントリーナンバー824、石川五右衛門チームの百地翼さんです!」
豊臣「さあ、本命だ・・・」
フェンスに駆け寄る翼
片桐「お~っと、ゴムもなしになんのためらいもなくフェンスに駆け寄っていく~!」
フェンスに両手両足で飛びつく。
電線にしがみつくが、感電していない翼。
サラ「感電してない!」
大道寺「なるほど、電線のカラスと一緒だ。
1本だけ掴むぶんには、体に電気は流れねえ。」
2本の電線に接触しないように、体を揺すって、次の電線にしがみつく翼。
次のジャンプで、てっぺんの電線に到達し、そのままジャンプで向こう側に降りてしまう。
片桐「五右衛門チーム、ステージ1クリアです!!」
サラ「すごい!!」
石川五右衛門に賭けていたので喜ぶ石田「やった~!!」
豊臣「まあ、これくらいはいけないとね」
『風と翼:RESET』脚本④
2023-05-14 10:13:51 (1 year ago)
人工島にそびえるIR大阪。
巨大なカジノを視察する官僚たち。
EUの大使や、アメリカの大統領がギャンブルに興じている。
豊臣「どうだい、うちのカジノは払い戻し率98%、あんたらの天下り先のインチキ公営ギャンブルは軒並み廃業ってやつだ」
官僚「ははは・・・では、定年後は是非ともカジノで・・・」
豊臣「一発勝負するんだね。」
SPが豊臣に耳打ちする。
幸村「社長。」
豊臣「・・・何!?石川五右衛門から予告状?」
幸村「いかがいたしますか。」
豊臣「いや、いいよ。面白いじゃないか。
安土城を超える、この難攻不落のIR大阪に挑戦するなんてよ。
“アトラクション”はすべて稼働済みなんだろ?」
幸村「は。」
豊臣「で、いつ来るって?」
幸村「今夜12時。」
嬉しそうに笑う豊臣「よし!攻略の様子を生中継だ!来るなら来い石川!」
幸村「楽しそうですね社長。」
豊臣「当たり前だろ、挑戦者が誰もいねえとよ、殺人アスレチックを作った意味なくなっちまうじゃねえか、へへ」
テレビ
「くだらない番組の途中ですが、ここで急遽番組内容を変更して、今年オープンした、巨大カジノIR大阪から生中継です!」
リポーター「こちら現場の片桐です・・・!なんと、今夜このカジノの金庫に保管されている銀を盗むと、石川五右衛門から犯行予告があったとのことで、急遽警察が厳戒態勢を敷いています!豊臣社長!今をときめく義賊五右衛門からの挑戦状ですが、現在のお気持ちは!?」
豊臣「いいか!石川五右衛門!警察には手は出させねえ!今夜はサシで勝負だ!メインゲートから5つすべての関門を突破して金庫にたどり着けば、財宝は好きなだけお前にくれてやる!
ただし、すぐに脱落するなよ。お前の挑戦は全て生中継するんだからな。
せいぜいお茶の間を楽しませてくれ。じゃあ、待ってるぜ。
このあとは、クレヨンしんちゃん!」
テレビ画面から振り返るサラ。
サラ「随分な自信ね・・・」
カイト「強力な助っ人が要るな・・・」
大道寺「ミスターサスケでも雇うか?」
・
街中の小さな図書館。
翼が図書館の中をのぞく。
すると、新しい司書が雇われていた。
翼「あの・・・私の内定は・・・」
板部岡館長「はっはっは、もちろん取り消しだ。この猟奇殺人鬼。」
翼「え・・・?」
館長「貴様はもう終わりだ、すでに警察に通報したからな!
殺しの続きは刑務所で楽しみな!
(突然弱気になる)・・・うそです言い過ぎました、ハリーポッターの最新刊を貸出しますんで、命だけは助けてください・・・!」
館内の客が翼を見て怯える。
慌てて図書館から逃げ出す翼。
「正当防衛だって言えば、信じてもらえるかな・・・」
公衆電話をかける翼。
安アパート。
パンツ一枚でだらしのない生活を送っている八重。
壁には「打倒石川五右衛門」「夢は警視総監」などの下手な書き初めが貼ってある。
スマートホンが鳴る。
八重「もしもし・・・え?翼ちゃん!?心配したよ、今どこにいるの?」
翼さん「八重さん助けてください・・・」
慌ててズボンを履く八重「うん、なんとかするから、待ってて・・・すぐにいくから。」
アパートを出て行く八重。
・
学校の体育館裏で八重を待つ翼。
物音が聞こえる。
翼「八重さん・・・?」
すると、自分が倒したはずの殺し屋が再び襲ってくる。
翼「生きてる・・・!!??」
斬撃を必死に避ける翼。
殺し屋「・・・どうあがいても、あんたに普通の人生は歩めない・・・」
翼「うるさい・・・」
殺し屋「今度はしっかり止めを指すことね・・・」
翼「うるさい~~!!!!」
殺し屋に思い切り蹴飛ばされて、壁に叩きつけられる翼。
涙を流す翼「あなたは何者なの・・・」
剣を振りかぶる殺し屋「今度は望月金吾はいないわよ・・・」
翼「なんで、そんなことまで・・・」
その時、無数の手裏剣が飛んでくる。
殺し屋はとっさに避けようとするが、手裏剣に変化がついており腕に突き刺さる。
殺し屋「!!」
カイト「手裏剣で助ける投手はいるぜ。」
翼「カイトさん・・・」
安心して気を失う翼。
翼に駆け寄るカイト「しっかり・・・!安藤くん、いっしょに運び出そう・・・!」
安藤「はい・・・!」
殺し屋ににじり寄る大道寺とウォンイク。
拳をボキボキと鳴らす大道寺「カイトのダチをずいぶん可愛がってくれたようだな・・・ああ?」
ジャケットの襟を整えるウォンイク「女の子に暴力を振るうとは、ちょっと見過ごせないね・・・」
殺し屋は剣を握ろうとするが、しびれてうまく持てない。
手裏剣に毒がついていたのだ。
カイト「キミのやり口を真似してみたよ。」
ウォンイク「さて、誰の差金かな?」
殺し屋のマスクを取ろうと近寄るウォンイク。
殺し屋は最後の力を振り絞って、煙玉を爆発させる。
ウォンイク「!!!」
煙が晴れると殺し屋は消えていた。
大道寺「逃げられたか。」
ウォンイク「すまない、油断した。」
二人に近づく五右衛門「あいつは・・・」
大道寺「知ってるのか、師匠。」
五右衛門「誰だっけ。」
大道寺「おいおい・・・」
ウォンイク「少なくとも、殺し屋は女性だね・・・」
大道寺「なんでわかる?」
口紅をつまむ。
ウォンイク「爆発したのはこれさ・・・」
大道寺「スパイ大作戦みたいなやつだな」
・
「う・・・」
秘密基地のソファで目を覚ます翼。
看病してくれていたサラ「気がついたみたいね、よかった・・・」
「ここは?」
「だいじょうぶ。安全な場所だから。」
「ありがとうございます・・・なんてお礼を言えばいいか・・・」
洗面器でぬれタオルを洗いながらサラ「・・・百地さんでしょ?カイトくんに忍術を教えたくのいちの先生。」
「え?私のことを知ってるんですか?」
「当然よ、だって百地さん、一時期うちの学校に通ってたじゃない。
カイトくんを野球部に復帰させようと、北条監督の前で切腹しようとして、すぐに退学しちゃったけど・・・」
気まずくなる翼「その節はご迷惑をおかけしました・・・」
微笑むサラ「私も同じことしたことあるから・・・」
「え・・・?」
昔話を話し始めるサラ。
「昔々、あるところにいじめられっ子の女の子がいました。
体の弱いその女の子はいつも泣いていました。
しかし、彼女には強い味方がいました。いつも彼女を守ってくれる男の子がいたのです・・・
女の子はある決心をしました。彼が自分の夢を叶えられるように、となりでずっと支えてあげたいと・・・だから、泣き虫をやめて強くなるんだって・・・」
翼「・・・・・・。」
机にあるドラッガーの著作に目をやるサラ。
「私はカイトくんに約束したんだ。
私がマネージャーになって、カイトくんを日本一の野球選手にするって。」
「でも、カイトさんは野球じゃなくて忍者に・・・」
「・・・本心では大学で野球を続けたかったと思うよ?
でも、カイトくんは自分のことよりも、他人のことを優先しちゃうの。
あの時だってそうだった・・・」
回想
監督に頭を下げるカイト
「オレはスタメンから外れてもいい!あいつらをレギュラーにしてやってください・・・!
あんなに野球を愛していて、技術もプロレベルなのに、いじめや差別で試合に出られないなんてあんまりです・・・!
オレはあいつらと甲子園に行きたい・・・!」
サラ「あのあと、先輩にボコボコにされちゃって野球部を退部しちゃったんだけどね・・・
でも・・・私はそんなカイト君が好き。」
翼「・・・・・・」
サラ「あ・・・ごめんね、長々と昔のことを・・・
でもひとつだけ伝えたかったのは、百地さんが責任を感じることはないってこと。
カイトくん、中学3年生まで夢は仮面ライダーだったから。
正義の味方が好きなのよ。」
道具を片付けて部屋から出ていこうとするサラ。
翼「あの・・・」
サラ「サラ。・・・天井サラよ。」
退室するサラ。
扉を閉じると、その扉にもたれかかるサラ。
「なによ、あのいじらしい美少女は・・・カイトくんも惚れるわけだわ・・・」
巨大なカジノを視察する官僚たち。
EUの大使や、アメリカの大統領がギャンブルに興じている。
豊臣「どうだい、うちのカジノは払い戻し率98%、あんたらの天下り先のインチキ公営ギャンブルは軒並み廃業ってやつだ」
官僚「ははは・・・では、定年後は是非ともカジノで・・・」
豊臣「一発勝負するんだね。」
SPが豊臣に耳打ちする。
幸村「社長。」
豊臣「・・・何!?石川五右衛門から予告状?」
幸村「いかがいたしますか。」
豊臣「いや、いいよ。面白いじゃないか。
安土城を超える、この難攻不落のIR大阪に挑戦するなんてよ。
“アトラクション”はすべて稼働済みなんだろ?」
幸村「は。」
豊臣「で、いつ来るって?」
幸村「今夜12時。」
嬉しそうに笑う豊臣「よし!攻略の様子を生中継だ!来るなら来い石川!」
幸村「楽しそうですね社長。」
豊臣「当たり前だろ、挑戦者が誰もいねえとよ、殺人アスレチックを作った意味なくなっちまうじゃねえか、へへ」
テレビ
「くだらない番組の途中ですが、ここで急遽番組内容を変更して、今年オープンした、巨大カジノIR大阪から生中継です!」
リポーター「こちら現場の片桐です・・・!なんと、今夜このカジノの金庫に保管されている銀を盗むと、石川五右衛門から犯行予告があったとのことで、急遽警察が厳戒態勢を敷いています!豊臣社長!今をときめく義賊五右衛門からの挑戦状ですが、現在のお気持ちは!?」
豊臣「いいか!石川五右衛門!警察には手は出させねえ!今夜はサシで勝負だ!メインゲートから5つすべての関門を突破して金庫にたどり着けば、財宝は好きなだけお前にくれてやる!
ただし、すぐに脱落するなよ。お前の挑戦は全て生中継するんだからな。
せいぜいお茶の間を楽しませてくれ。じゃあ、待ってるぜ。
このあとは、クレヨンしんちゃん!」
テレビ画面から振り返るサラ。
サラ「随分な自信ね・・・」
カイト「強力な助っ人が要るな・・・」
大道寺「ミスターサスケでも雇うか?」
・
街中の小さな図書館。
翼が図書館の中をのぞく。
すると、新しい司書が雇われていた。
翼「あの・・・私の内定は・・・」
板部岡館長「はっはっは、もちろん取り消しだ。この猟奇殺人鬼。」
翼「え・・・?」
館長「貴様はもう終わりだ、すでに警察に通報したからな!
殺しの続きは刑務所で楽しみな!
(突然弱気になる)・・・うそです言い過ぎました、ハリーポッターの最新刊を貸出しますんで、命だけは助けてください・・・!」
館内の客が翼を見て怯える。
慌てて図書館から逃げ出す翼。
「正当防衛だって言えば、信じてもらえるかな・・・」
公衆電話をかける翼。
安アパート。
パンツ一枚でだらしのない生活を送っている八重。
壁には「打倒石川五右衛門」「夢は警視総監」などの下手な書き初めが貼ってある。
スマートホンが鳴る。
八重「もしもし・・・え?翼ちゃん!?心配したよ、今どこにいるの?」
翼さん「八重さん助けてください・・・」
慌ててズボンを履く八重「うん、なんとかするから、待ってて・・・すぐにいくから。」
アパートを出て行く八重。
・
学校の体育館裏で八重を待つ翼。
物音が聞こえる。
翼「八重さん・・・?」
すると、自分が倒したはずの殺し屋が再び襲ってくる。
翼「生きてる・・・!!??」
斬撃を必死に避ける翼。
殺し屋「・・・どうあがいても、あんたに普通の人生は歩めない・・・」
翼「うるさい・・・」
殺し屋「今度はしっかり止めを指すことね・・・」
翼「うるさい~~!!!!」
殺し屋に思い切り蹴飛ばされて、壁に叩きつけられる翼。
涙を流す翼「あなたは何者なの・・・」
剣を振りかぶる殺し屋「今度は望月金吾はいないわよ・・・」
翼「なんで、そんなことまで・・・」
その時、無数の手裏剣が飛んでくる。
殺し屋はとっさに避けようとするが、手裏剣に変化がついており腕に突き刺さる。
殺し屋「!!」
カイト「手裏剣で助ける投手はいるぜ。」
翼「カイトさん・・・」
安心して気を失う翼。
翼に駆け寄るカイト「しっかり・・・!安藤くん、いっしょに運び出そう・・・!」
安藤「はい・・・!」
殺し屋ににじり寄る大道寺とウォンイク。
拳をボキボキと鳴らす大道寺「カイトのダチをずいぶん可愛がってくれたようだな・・・ああ?」
ジャケットの襟を整えるウォンイク「女の子に暴力を振るうとは、ちょっと見過ごせないね・・・」
殺し屋は剣を握ろうとするが、しびれてうまく持てない。
手裏剣に毒がついていたのだ。
カイト「キミのやり口を真似してみたよ。」
ウォンイク「さて、誰の差金かな?」
殺し屋のマスクを取ろうと近寄るウォンイク。
殺し屋は最後の力を振り絞って、煙玉を爆発させる。
ウォンイク「!!!」
煙が晴れると殺し屋は消えていた。
大道寺「逃げられたか。」
ウォンイク「すまない、油断した。」
二人に近づく五右衛門「あいつは・・・」
大道寺「知ってるのか、師匠。」
五右衛門「誰だっけ。」
大道寺「おいおい・・・」
ウォンイク「少なくとも、殺し屋は女性だね・・・」
大道寺「なんでわかる?」
口紅をつまむ。
ウォンイク「爆発したのはこれさ・・・」
大道寺「スパイ大作戦みたいなやつだな」
・
「う・・・」
秘密基地のソファで目を覚ます翼。
看病してくれていたサラ「気がついたみたいね、よかった・・・」
「ここは?」
「だいじょうぶ。安全な場所だから。」
「ありがとうございます・・・なんてお礼を言えばいいか・・・」
洗面器でぬれタオルを洗いながらサラ「・・・百地さんでしょ?カイトくんに忍術を教えたくのいちの先生。」
「え?私のことを知ってるんですか?」
「当然よ、だって百地さん、一時期うちの学校に通ってたじゃない。
カイトくんを野球部に復帰させようと、北条監督の前で切腹しようとして、すぐに退学しちゃったけど・・・」
気まずくなる翼「その節はご迷惑をおかけしました・・・」
微笑むサラ「私も同じことしたことあるから・・・」
「え・・・?」
昔話を話し始めるサラ。
「昔々、あるところにいじめられっ子の女の子がいました。
体の弱いその女の子はいつも泣いていました。
しかし、彼女には強い味方がいました。いつも彼女を守ってくれる男の子がいたのです・・・
女の子はある決心をしました。彼が自分の夢を叶えられるように、となりでずっと支えてあげたいと・・・だから、泣き虫をやめて強くなるんだって・・・」
翼「・・・・・・。」
机にあるドラッガーの著作に目をやるサラ。
「私はカイトくんに約束したんだ。
私がマネージャーになって、カイトくんを日本一の野球選手にするって。」
「でも、カイトさんは野球じゃなくて忍者に・・・」
「・・・本心では大学で野球を続けたかったと思うよ?
でも、カイトくんは自分のことよりも、他人のことを優先しちゃうの。
あの時だってそうだった・・・」
回想
監督に頭を下げるカイト
「オレはスタメンから外れてもいい!あいつらをレギュラーにしてやってください・・・!
あんなに野球を愛していて、技術もプロレベルなのに、いじめや差別で試合に出られないなんてあんまりです・・・!
オレはあいつらと甲子園に行きたい・・・!」
サラ「あのあと、先輩にボコボコにされちゃって野球部を退部しちゃったんだけどね・・・
でも・・・私はそんなカイト君が好き。」
翼「・・・・・・」
サラ「あ・・・ごめんね、長々と昔のことを・・・
でもひとつだけ伝えたかったのは、百地さんが責任を感じることはないってこと。
カイトくん、中学3年生まで夢は仮面ライダーだったから。
正義の味方が好きなのよ。」
道具を片付けて部屋から出ていこうとするサラ。
翼「あの・・・」
サラ「サラ。・・・天井サラよ。」
退室するサラ。
扉を閉じると、その扉にもたれかかるサラ。
「なによ、あのいじらしい美少女は・・・カイトくんも惚れるわけだわ・・・」
『風と翼:RESET』脚本③
2023-05-14 10:12:39 (1 year ago)
秘密基地
ウォンイク「結局、流しちゃったのかい?」
安藤「僕たちじゃない・・・!勝手に配信されています!」
大道寺「どういうことだオラア!?」
・
大慌ての官邸
石田総理「おい!1000億円は振り込んだはずだぞ!約束が違う!!!
は・・・早くマスコミに圧力をかけて映像を止めさせろ!」
総務大臣「ネット配信は無理です!」
大谷官房長官「あっさり金を振り込んだのが逆効果だったな・・・」
豊臣「困るなあ、うちの会社の電波使って、政界汚職を生中継かい?」
戦慄する一同「!!!」
豊臣の前でひれ伏す閣僚たち「ハハー!」
石田総理「日本の経済界を天下統一した豊臣社長・・・お見えになっていたのですか・・・!」
木下財団――豊臣社長「うん。しかし、愚かだねえ。
だから、聚楽第は早いところ地下核シェルターに変えちまえって言っただろう?」
石田「わ・・・我々はどうすれば・・・」
豊臣「ひとつ頼み事を聞いてくれれば、助けてやってもいいよ」
石田「な・・・なんでもやらせていただきます!」
豊臣「財務大臣はいるかい。」
竹中「は、はい!」
豊臣「お前らは、国民が苦しんでいるのに増税ばっか目論みやがって」
ひれ伏す竹中「へへー!」
豊臣「ここまで来たら、行くところまでいけ。よし、消費税1000%だ。」
竹中「そ・・・そんなにいいんですか!!??」
豊臣「で、法人税を廃止しろ。これで、竹中くんは我社で天下りを確約!」
扇子をパンと叩く豊臣。
竹中「ありがとうございます!!」
石田「ちょっと待ってください!そんなことすれば内閣支持率が消滅します!」
聚楽台の動画を指差す豊臣「この状況じゃそもそも国民の支持率ゼロだろ。一日でも長く総理やりたいんだろう?」
石田「ええ、まあ・・・」
豊臣「なら決まりだ。大丈夫、この動画はなんとかしてやる・・・」
・
首都高でスポーツカーを運転するサラ。
後部座席で、備え付けのテレビを見る老人「いやあ、笑った笑った。
この世に特権階級をコケにする以上の娯楽はないよな」
サラ「おじいちゃんが配信しちゃったの!?」
腕を組む老人「いや~あんちゃんはよくやったよ。さすがオイラが河川敷で見込んだだけあるな。」
助手席のカイト「ど、どうも・・・」
老人「あんちゃんは投球フォームがいいよな、うん。」
サラ「カイトくんを使って石川五右衛門の復活を大々的にPRして、今度は何を考えているの?・・・初代石川五右衛門。」
五右衛門「オイラも、もう後期高齢者だからなあ。体が動かないんだよ。」
サラ「いや、それは知ってるけど・・・」
窓の外を見る五右衛門「ここいらも戦争で焼け野原だったんだぜ、オイラの最初の仕事は鉄屑集めでさ、でかい磁石を闇市やってた朝鮮人から借りてさ・・・」
サラ「だめだこりゃ・・・」
五右衛門「今の日本は、あの頃よりも貧しくなっちまったと思うぜ。」
サラ「で、久々に世直ししたくなったのね。」
五右衛門「なあ、あんちゃん。若者が国をより良くするにはどうすればいいと思うかい?」
カイト「ええと・・・選挙に行く?」
「ろくな候補者がいねえだろ。」
サラ「自分が政治家に立候補する?」
「大企業のパトロンがいねえと出馬は無理だな。ほいで、当選後は大企業に都合のいい政策を通すのかい。」
カイト「・・・不可能な気がしてきました。」
サラ「もったいぶってないで教えてちょうだい。」
五右衛門「・・・国を盗むのさ。」
・
帝国ホテルにスポーツカーを止めるサラ。
その様子を軽自動車の中からアンパンをかじりながらみつめる八重。
八重「・・・ずいぶん金回りがいいな・・・」
スイートルーム
ソファに腰掛ける五右衛門「金がもったいねえが、よそに聞かれたくない大事な話は高級ホテルのスイートに限るんだ、へへ」
サラ「で、政府から振り込まれた1000億円はどうするの?殺し屋が襲ってきた以上、今さら引くに引けないわよ」
五右衛門「いくらなんでも、政府がそんなだいそれたことはしないよ」
サラ「なんで判るの?」
五右衛門「オイラが今なお生きてるからさ。
なあに、人生多少のスリルがねえと物足りねえよな?」
カイト「え?ええ・・・」
荷物をまとめて帰ろうとするカイト「とりあえず、ぼくはこれで・・・」
五右衛門「試験は合格だ。」
カイト「・・・え?」
五右衛門「聚楽第を攻略したあんちゃんこそ、石川五右衛門を継ぐ資格がある!」
サラ「本当にいいの?天下の大泥棒の称号を・・・」
五右衛門「いいよ、そんなもん。あの1000億円は祝儀だ。あんちゃんにやるよ。これで大学で野球もできるだろ」
カイト「野球どころか、球団が買えますよ・・・!いやいやいや、ぼくには荷が重いですって!」
五右衛門「あんちゃん言ってたじゃねえか、高校卒業後の進路は忍者だって」
サラ「その発言、客観的に聞くと、すごいバカっぽい・・・あ、いや、素敵よ、カイト君!」
カイト「でも、オーシャンズ11みたいなのは、僕の考える正義の忍者とはちょっと方向性が・・・」
五右衛門「あの姉ちゃんに憧れるよりはいいと思うけどなあ。」
カイト「え?翼さんを知ってるんですか・・・?」
五右衛門「おいらも、もともとは伊賀者だからね。
長門守って若い衆がいただろ?あいつ、よくピコハンで叩いてたぜ。」
カイト「本当ですか!?」
五右衛門「うん。連中の残酷なやり方に嫌気がさして抜けてきたんだ。あいつら、人を殺しすぎだよな。その点、おいらは暴力反対だから。」
翼が躊躇なく殺し屋を仕留める姿を思い出すカイト。
五右衛門「でだ、正義の忍びが戦うにはうってつけの巨悪を教えてやろうと思ってな。おい。」
うなずくサラ。部屋を暗くして、プロジェクターを付ける。
カイト「悪の秘密結社とか?」
五右衛門「そうそう。」
サラ「今風に言えばディープステートってやつかしら。」
リモコンでパワポのスライドを操作する。
老人の写真が映る。
五右衛門「こいつは木下財団の総裁、豊臣秀吉。」
カイト「この人って経団連の会長じゃ・・・」
五右衛門「詳しいね。」
カイト「先代の会長とはいろいろあって・・・」
サラ「え?あの織田信長と戦ったことがあるの!!??す・・・すごすぎる・・・」
五右衛門「ほらな、すごいんだよ、風間先生は。」
カイト「よしてください・・・」
五右衛門「で、こいつがさ、信長の跡を継いでさ、日本のすべての大企業を買収しちゃったんだよ。もともとは通信会社の雇われ社長だよ?」
サラ「いや正確には、牛タン料理チェーンを展開する伊達フードサービスと、お茶漬けメーカーの小田原食品がまだ残っているから。」
五右衛門「忘れてた。まあ、いいや。
ともかく、日本の殆どの企業はこいつの傘下ってことになる。」
スライドに受給曲線が表示される。
サラ「そうなると、どうなるか・・・市場競争によって物価は変動するけど、カルテル行為が横行し、ある種の不公正な独占市場になるため、価格の下方硬直性が起こり・・・」
ちんぷんかんぷんなカイト。
五右衛門「説明が難しすぎだよ、ばかやろう!」
カイト「すいません・・・」
五右衛門「物価を上げてるのはこいつってことだよ。」
カイト「じゃあ、この秀吉を倒せば物価は下がるんですか?」
サラ「多少強引だけど、まあそうね。そうなるわ。
戦後の財閥解体みたいに、傘下の企業を全部独立させちゃえば、再び価格競争が起きるから。」
五右衛門「なんでも、朝鮮出兵もこいつが政府に圧力をかけたかららしいぜ?
日本の次は中国市場を支配するんだとさ。世界はモノポリーじゃねえぞ。」
スイッチを押すサラ。
部屋の照明がもどる。
カイト「でも、秀吉を倒すって言ったって、どうすれば・・・」
五右衛門「やつが日本を買えたのは、戦後の焼け野原で無尽蔵の銀鉱脈を見つけたからだ。その銀を使って、通信革命を起こし、IT時代の覇者となった。」
サラ「随分詳しいのね。それは知らなかった。」
五右衛門「年寄りの体験談も大切だろ?つまり、やつの財源はその銀だ。
こいつをごっそりいただく。」
サラ「無尽蔵にある銀を!!!??」
カイト「一体どこに、その銀は??」
五右衛門「ワクワクしてきただろう?3億円事件から、給料は銀行振込になっちまったから、今の若い泥棒はオレオレ詐欺くらいしかできなく・・・」
サラ「そんなことはいいから・・・!」
カイト「どこにあるんですか??」
にやりと笑う五右衛門「IR大阪だ。」
・
聚楽台のニュース
ナレーター「画像解析の専門家は、今回の動画を見て――」
明智光秀博士「これはフェイク動画ですね。」
石田総理の会見
「政府を中傷する極めて悪質な行為であり、誠に遺憾に思います。」
秘密基地で、そのニュースを見つめる安藤。
安藤「この科学者、絶対に政府の御用学者ですよ・・・!」
ウォンイク「世の中カネさえあれば、なんだってもみ消せるのさベイビー」
大道寺「その発言、お前のファンに聞かせてやりてえな。」
秘密基地に戻ってくるカイトとサラ。
サラ「ただいま~」
安藤「あ、おかえりなさい」
大道寺「おう、昔の彼女とは会えたか?」
カイト「そういうのじゃないって・・・」
ウォンイク「大道寺くん、そういう質問は野暮ってもんさ」
サラ「そうそう、カイトくんの彼女は私だから。」
大道寺「やめろ、こっちが恥ずかしい。」
サラ「あんたたちだって、カイトくんに恩があるでしょ?」
大道寺「お、おう、まあな・・・」
安藤「風間先輩は僕らのために野球部の先輩たちと戦ってくれました。」
カイト「いいよ、そんな昔のことは・・・それよりも・・・」
サラ「ああ、チーム五右衛門、次のターゲットが決まったわよ。」
IR大阪のパンフレットを広げるサラ。
大道寺「スロットでもやりに行くのか?」
サラ「狙うは、IR大阪の金庫に豊臣秀吉が溜め込んだ大量の銀。」
ウォンイク「伝説の埋蔵金が存在するというのかい?」
安藤「でも、さすがに1000億円仕事のあとには、どんなお宝もかすむような・・・」
サラ「総額200兆円。」
安藤「に・・・にひゃくちょ・・・」
サラ「それこそ、国を買えるお宝よ。どうする?」
大道寺「おもしれえ、乗ったぜ。」
ウォンイク「待ちたまえ。そもそも怪盗の真似事は聚楽第の一回きりのはずだ。
我らがリーダーの意見を聞こうじゃないか。」
ボーっとするカイト。
回想。
翼(カイトさんには野球をやってほしかった・・・)
カイトの親(すまん、カイト・・・!父さんの会社がM&Aにあってリストラされた!大学進学は諦めてくれ・・・!)
五右衛門(物価を上げてるのは秀吉ってことだよ。)
安藤「先輩?」
カイト「こんないびつな社会で一体何人の人が自分の夢を諦めているんだろう・・・」
サラ「カイトくん・・・?」
カイト「ぼくらのしていることは間違ってないよね・・・?」
お金を振り込んだ人からの感謝の手紙を読むウォンイク。
「石川五右衛門様。あなたがくださった200万円で、難病の息子は命を取り留めることができました。五右衛門さん、温かい食事とクリスマスプレゼントをありがとう。」
カイトの肩に手を置くウォンイク「・・・自信を持ちたまえ、同志よ。」
大道寺「どこまでも付き合うぜ。」
カイト「よしやろう。狙うは大阪城だ・・・!」
一同「オー!」
ウォンイク「結局、流しちゃったのかい?」
安藤「僕たちじゃない・・・!勝手に配信されています!」
大道寺「どういうことだオラア!?」
・
大慌ての官邸
石田総理「おい!1000億円は振り込んだはずだぞ!約束が違う!!!
は・・・早くマスコミに圧力をかけて映像を止めさせろ!」
総務大臣「ネット配信は無理です!」
大谷官房長官「あっさり金を振り込んだのが逆効果だったな・・・」
豊臣「困るなあ、うちの会社の電波使って、政界汚職を生中継かい?」
戦慄する一同「!!!」
豊臣の前でひれ伏す閣僚たち「ハハー!」
石田総理「日本の経済界を天下統一した豊臣社長・・・お見えになっていたのですか・・・!」
木下財団――豊臣社長「うん。しかし、愚かだねえ。
だから、聚楽第は早いところ地下核シェルターに変えちまえって言っただろう?」
石田「わ・・・我々はどうすれば・・・」
豊臣「ひとつ頼み事を聞いてくれれば、助けてやってもいいよ」
石田「な・・・なんでもやらせていただきます!」
豊臣「財務大臣はいるかい。」
竹中「は、はい!」
豊臣「お前らは、国民が苦しんでいるのに増税ばっか目論みやがって」
ひれ伏す竹中「へへー!」
豊臣「ここまで来たら、行くところまでいけ。よし、消費税1000%だ。」
竹中「そ・・・そんなにいいんですか!!??」
豊臣「で、法人税を廃止しろ。これで、竹中くんは我社で天下りを確約!」
扇子をパンと叩く豊臣。
竹中「ありがとうございます!!」
石田「ちょっと待ってください!そんなことすれば内閣支持率が消滅します!」
聚楽台の動画を指差す豊臣「この状況じゃそもそも国民の支持率ゼロだろ。一日でも長く総理やりたいんだろう?」
石田「ええ、まあ・・・」
豊臣「なら決まりだ。大丈夫、この動画はなんとかしてやる・・・」
・
首都高でスポーツカーを運転するサラ。
後部座席で、備え付けのテレビを見る老人「いやあ、笑った笑った。
この世に特権階級をコケにする以上の娯楽はないよな」
サラ「おじいちゃんが配信しちゃったの!?」
腕を組む老人「いや~あんちゃんはよくやったよ。さすがオイラが河川敷で見込んだだけあるな。」
助手席のカイト「ど、どうも・・・」
老人「あんちゃんは投球フォームがいいよな、うん。」
サラ「カイトくんを使って石川五右衛門の復活を大々的にPRして、今度は何を考えているの?・・・初代石川五右衛門。」
五右衛門「オイラも、もう後期高齢者だからなあ。体が動かないんだよ。」
サラ「いや、それは知ってるけど・・・」
窓の外を見る五右衛門「ここいらも戦争で焼け野原だったんだぜ、オイラの最初の仕事は鉄屑集めでさ、でかい磁石を闇市やってた朝鮮人から借りてさ・・・」
サラ「だめだこりゃ・・・」
五右衛門「今の日本は、あの頃よりも貧しくなっちまったと思うぜ。」
サラ「で、久々に世直ししたくなったのね。」
五右衛門「なあ、あんちゃん。若者が国をより良くするにはどうすればいいと思うかい?」
カイト「ええと・・・選挙に行く?」
「ろくな候補者がいねえだろ。」
サラ「自分が政治家に立候補する?」
「大企業のパトロンがいねえと出馬は無理だな。ほいで、当選後は大企業に都合のいい政策を通すのかい。」
カイト「・・・不可能な気がしてきました。」
サラ「もったいぶってないで教えてちょうだい。」
五右衛門「・・・国を盗むのさ。」
・
帝国ホテルにスポーツカーを止めるサラ。
その様子を軽自動車の中からアンパンをかじりながらみつめる八重。
八重「・・・ずいぶん金回りがいいな・・・」
スイートルーム
ソファに腰掛ける五右衛門「金がもったいねえが、よそに聞かれたくない大事な話は高級ホテルのスイートに限るんだ、へへ」
サラ「で、政府から振り込まれた1000億円はどうするの?殺し屋が襲ってきた以上、今さら引くに引けないわよ」
五右衛門「いくらなんでも、政府がそんなだいそれたことはしないよ」
サラ「なんで判るの?」
五右衛門「オイラが今なお生きてるからさ。
なあに、人生多少のスリルがねえと物足りねえよな?」
カイト「え?ええ・・・」
荷物をまとめて帰ろうとするカイト「とりあえず、ぼくはこれで・・・」
五右衛門「試験は合格だ。」
カイト「・・・え?」
五右衛門「聚楽第を攻略したあんちゃんこそ、石川五右衛門を継ぐ資格がある!」
サラ「本当にいいの?天下の大泥棒の称号を・・・」
五右衛門「いいよ、そんなもん。あの1000億円は祝儀だ。あんちゃんにやるよ。これで大学で野球もできるだろ」
カイト「野球どころか、球団が買えますよ・・・!いやいやいや、ぼくには荷が重いですって!」
五右衛門「あんちゃん言ってたじゃねえか、高校卒業後の進路は忍者だって」
サラ「その発言、客観的に聞くと、すごいバカっぽい・・・あ、いや、素敵よ、カイト君!」
カイト「でも、オーシャンズ11みたいなのは、僕の考える正義の忍者とはちょっと方向性が・・・」
五右衛門「あの姉ちゃんに憧れるよりはいいと思うけどなあ。」
カイト「え?翼さんを知ってるんですか・・・?」
五右衛門「おいらも、もともとは伊賀者だからね。
長門守って若い衆がいただろ?あいつ、よくピコハンで叩いてたぜ。」
カイト「本当ですか!?」
五右衛門「うん。連中の残酷なやり方に嫌気がさして抜けてきたんだ。あいつら、人を殺しすぎだよな。その点、おいらは暴力反対だから。」
翼が躊躇なく殺し屋を仕留める姿を思い出すカイト。
五右衛門「でだ、正義の忍びが戦うにはうってつけの巨悪を教えてやろうと思ってな。おい。」
うなずくサラ。部屋を暗くして、プロジェクターを付ける。
カイト「悪の秘密結社とか?」
五右衛門「そうそう。」
サラ「今風に言えばディープステートってやつかしら。」
リモコンでパワポのスライドを操作する。
老人の写真が映る。
五右衛門「こいつは木下財団の総裁、豊臣秀吉。」
カイト「この人って経団連の会長じゃ・・・」
五右衛門「詳しいね。」
カイト「先代の会長とはいろいろあって・・・」
サラ「え?あの織田信長と戦ったことがあるの!!??す・・・すごすぎる・・・」
五右衛門「ほらな、すごいんだよ、風間先生は。」
カイト「よしてください・・・」
五右衛門「で、こいつがさ、信長の跡を継いでさ、日本のすべての大企業を買収しちゃったんだよ。もともとは通信会社の雇われ社長だよ?」
サラ「いや正確には、牛タン料理チェーンを展開する伊達フードサービスと、お茶漬けメーカーの小田原食品がまだ残っているから。」
五右衛門「忘れてた。まあ、いいや。
ともかく、日本の殆どの企業はこいつの傘下ってことになる。」
スライドに受給曲線が表示される。
サラ「そうなると、どうなるか・・・市場競争によって物価は変動するけど、カルテル行為が横行し、ある種の不公正な独占市場になるため、価格の下方硬直性が起こり・・・」
ちんぷんかんぷんなカイト。
五右衛門「説明が難しすぎだよ、ばかやろう!」
カイト「すいません・・・」
五右衛門「物価を上げてるのはこいつってことだよ。」
カイト「じゃあ、この秀吉を倒せば物価は下がるんですか?」
サラ「多少強引だけど、まあそうね。そうなるわ。
戦後の財閥解体みたいに、傘下の企業を全部独立させちゃえば、再び価格競争が起きるから。」
五右衛門「なんでも、朝鮮出兵もこいつが政府に圧力をかけたかららしいぜ?
日本の次は中国市場を支配するんだとさ。世界はモノポリーじゃねえぞ。」
スイッチを押すサラ。
部屋の照明がもどる。
カイト「でも、秀吉を倒すって言ったって、どうすれば・・・」
五右衛門「やつが日本を買えたのは、戦後の焼け野原で無尽蔵の銀鉱脈を見つけたからだ。その銀を使って、通信革命を起こし、IT時代の覇者となった。」
サラ「随分詳しいのね。それは知らなかった。」
五右衛門「年寄りの体験談も大切だろ?つまり、やつの財源はその銀だ。
こいつをごっそりいただく。」
サラ「無尽蔵にある銀を!!!??」
カイト「一体どこに、その銀は??」
五右衛門「ワクワクしてきただろう?3億円事件から、給料は銀行振込になっちまったから、今の若い泥棒はオレオレ詐欺くらいしかできなく・・・」
サラ「そんなことはいいから・・・!」
カイト「どこにあるんですか??」
にやりと笑う五右衛門「IR大阪だ。」
・
聚楽台のニュース
ナレーター「画像解析の専門家は、今回の動画を見て――」
明智光秀博士「これはフェイク動画ですね。」
石田総理の会見
「政府を中傷する極めて悪質な行為であり、誠に遺憾に思います。」
秘密基地で、そのニュースを見つめる安藤。
安藤「この科学者、絶対に政府の御用学者ですよ・・・!」
ウォンイク「世の中カネさえあれば、なんだってもみ消せるのさベイビー」
大道寺「その発言、お前のファンに聞かせてやりてえな。」
秘密基地に戻ってくるカイトとサラ。
サラ「ただいま~」
安藤「あ、おかえりなさい」
大道寺「おう、昔の彼女とは会えたか?」
カイト「そういうのじゃないって・・・」
ウォンイク「大道寺くん、そういう質問は野暮ってもんさ」
サラ「そうそう、カイトくんの彼女は私だから。」
大道寺「やめろ、こっちが恥ずかしい。」
サラ「あんたたちだって、カイトくんに恩があるでしょ?」
大道寺「お、おう、まあな・・・」
安藤「風間先輩は僕らのために野球部の先輩たちと戦ってくれました。」
カイト「いいよ、そんな昔のことは・・・それよりも・・・」
サラ「ああ、チーム五右衛門、次のターゲットが決まったわよ。」
IR大阪のパンフレットを広げるサラ。
大道寺「スロットでもやりに行くのか?」
サラ「狙うは、IR大阪の金庫に豊臣秀吉が溜め込んだ大量の銀。」
ウォンイク「伝説の埋蔵金が存在するというのかい?」
安藤「でも、さすがに1000億円仕事のあとには、どんなお宝もかすむような・・・」
サラ「総額200兆円。」
安藤「に・・・にひゃくちょ・・・」
サラ「それこそ、国を買えるお宝よ。どうする?」
大道寺「おもしれえ、乗ったぜ。」
ウォンイク「待ちたまえ。そもそも怪盗の真似事は聚楽第の一回きりのはずだ。
我らがリーダーの意見を聞こうじゃないか。」
ボーっとするカイト。
回想。
翼(カイトさんには野球をやってほしかった・・・)
カイトの親(すまん、カイト・・・!父さんの会社がM&Aにあってリストラされた!大学進学は諦めてくれ・・・!)
五右衛門(物価を上げてるのは秀吉ってことだよ。)
安藤「先輩?」
カイト「こんないびつな社会で一体何人の人が自分の夢を諦めているんだろう・・・」
サラ「カイトくん・・・?」
カイト「ぼくらのしていることは間違ってないよね・・・?」
お金を振り込んだ人からの感謝の手紙を読むウォンイク。
「石川五右衛門様。あなたがくださった200万円で、難病の息子は命を取り留めることができました。五右衛門さん、温かい食事とクリスマスプレゼントをありがとう。」
カイトの肩に手を置くウォンイク「・・・自信を持ちたまえ、同志よ。」
大道寺「どこまでも付き合うぜ。」
カイト「よしやろう。狙うは大阪城だ・・・!」
一同「オー!」
『風と翼:RESET』脚本②
2023-05-14 10:07:59 (1 year ago)
警視庁
警視総監「なにが警視庁大勝利だね!!」
怒られている八重警視。
八重「で・・・でも、五右衛門は犯行に失敗したわけで・・・」
警視総監「五右衛門のターゲットはそもそも聚楽第の売上金じゃない!」
八重「へ?」
警視総監「“聚楽第という存在そのもの”なんだ!なぜ、君にはそれがわからん!」
八重「・・・??」
・
石田内閣緊急閣僚会議
閣僚たちが総理の前で正座をしている。
石田内閣総理大臣がリモコンのボタンを押し、動画を閣僚に見せる。
石田総理「これが先日、石川五右衛門から送られてきた・・・」
動画は聚楽台の内部の様子だった。
石田総理「この箸でおねえちゃんのスカートをめくっているのは黒田孝高日銀総裁、となりで拍手しているのは竹中重治財務大臣、ここでイチボを焼いているのは前田利家幹事長かな・・・」
バツが悪そうな閣僚たち。
プルプル震える石田総理「どいつもこいつもバカ丸出しで鼻の下を伸ばしやがって・・・この動画が世に出たらどうなるかわかっているのか!!!!」
大谷官房長官「お言葉ですが、聚楽第プラチナ会員の総理が何を言っても説得力がありません。」
石田総理「私は、五右衛門が予告する日には来店しない!それくらいの危機管理能力はお前らにもあるだろ!!」
閣僚たち「し・・・しかし、聚楽第は政財界のごく一部の権力者しか存在を知らなかったわけですし・・・五右衛門も68年の3億円事件から何十年も姿を消していたわけで・・・なぜ突然現れたのか・・・」
閣僚たち「2代目かな?」
「それはありそうだね」
石田総理「んなことは、どうでもいい!!」
大谷長官「で?五右衛門の要求は?」
石田総理「内閣官房機密費から1000億円をケイマン諸島の口座に振り込まなければ、ツイッター、インスタグラム、ティックトック、アマゾンプライム等で世界同時配信をすると言っている・・・」
大谷長官「確かに、内閣官房機密費は使途を公表しなくていいわけですけど・・・というかなんで、そんなに内部情報に詳しいんだ??」
床を叩く石田総理「おのれ石川五右衛門・・・!なんて卑劣な奴なんだ・・・!」
大谷長官「で、どうしますか、総理。内閣官房機密費も公金ですからね。ここはいさぎよく全員で腹を切るのも・・・」
石田総理「ケイマン諸島に1000億でも1兆でも振込みなさい!!」
・
石川五右衛門の秘密基地――
パソコンやジャンクが並んだガレージの地下で若者たちが何やら集まっている。
メガネを外すウォンイク。
「キミに返すよ。しかし、あんな品性下劣な店に足を踏み入れただけでもボクにとっちゃ人生の汚点だね、格好の週刊誌ネタだよ、いやはや・・・」
メガネを受け取る肥満の少年、安藤夏博。
安藤「まさか、このメガネで店内を録画をしているとは気がつかなかったようですね」
ウォンイク「あの様子では、怪盗五右衛門が実は五人組だってことも気づかなかっただろうねえ・・・」
安藤「しかし、ハッキングしといてなんですけど、この国では本当にあんな接待が行われてるんですね・・・大丈夫なんでしょうか、僕たち・・・」
ショートカットの利発そうな美少女が部屋に入ってくる。
天井サラ「安藤くん、もしかしてビビっちゃったの?・・・な~に大丈夫よ、絶対に警察沙汰にはならないから。だって贈収賄でまとめて逮捕されちゃうもん。も~司法試験に合格した私を信じなさい!」
安藤の肩を思い切り叩く。
安藤「とはいえ、1000億円の要求はさすがに法外ですよ。いくらなんでも振り込まれ・・・」
パソコンのモニターに目をやる安藤。
安藤「ケイマン諸島の口座に1000億円振り込まれています・・・」
ヘラヘラしていたのが青ざめるサラ「どうしよう・・・」
ウォンイク「いたずらじゃ済まなくなってきたみたいだね、ベイビー・・・」
安藤「どうするんですか?このお金・・・」
サラ「本当に振り込むとは思ってなかったもんね・・・とりあえずリーダーに相談しようか・・・」
ウォンイク「ベイビーいやはや・・・」
サラ「そういや大道寺は?」
安藤「となりで五右衛門応援リツイートキャンペーンの選考してます。」
ダイレクトメールを涙ぐんで読むヤンキーの大道寺「東京都在住のM・Cさん、私は子どもの養育費とボケた父親の世話で家計が苦しく、我が子にランドセルも買ってあげられません、義賊の五右衛門さん、どうかお金を恵んでください・・・くぅ~泣かせるじゃねえか、1等の1000万円はこの人に決めたぜ・・・!」
部屋に入ってくるサラ「あんたバカ?職歴に丸の内の外資系企業勤務って書いてあるじゃない。そんな勝ち組がどうしてお金に困るのよ。絶対嘘だって・・・」
慌てて涙を拭う大道寺「なっ・・・!てめえ、ノックもせずに入ってくるんじゃねえ!!やんのか、コラ!」
サラ「もう応募総数が1000万人を超えているんだから、所得額に応じて当選額を公平に配分すればいいじゃない。安藤くんがそういうAI作ってくれたんでしょう?」
大道寺「お前は人の心がねえな。そんな機械的な作業のどこに感動があるかよ。」
サラ「ねえ、リーダーは?あんた一緒だったんじゃないの?」
大道寺「何か人に会うとか言ってたぜ。」
サラ「ふうん・・・」
・
石川五右衛門のニュース。
伝説の義賊石川五右衛門令和に復活!
SNSを駆使して全国の生活困窮者に現金給付。
実際に五右衛門から現金が振り込まれた町の人々の声です。
「コロナ禍で苦しい時に本当に救われました。これで会社をたたまずに済みます!」
「物価高を放置した挙句に、増税を考えている石田政権よりもずっと頼もしいです」
スタジオ
キャスター「五右衛門の意図は一体何なんでしょうか」
解説委員「現政権に対する批判のつもりでしょうが悪趣味が過ぎますね。今回の事件が五右衛門本人によるものなのか、それとも模倣犯なのかはわかりかねますが、かつての五右衛門と大きく異なる点は、SNSといった最新テクノロジーを駆使している点です。日本の警察組織はことサイバー犯罪に弱い。そのため、未だに足をつかめずにいるのでしょう。」
キャスター「資金源は何だと考えますか?」
解説委員「石川五右衛門は3億円事件をはじめ、かつて強奪した多くの財宝を今なお隠し持っていると思われます。それをヘリコプターマネーのようにばらまいているのでしょう。まったく許しがたい!私も応募したのに一銭も振り込まれません!」
・
夜。高層ビルの屋上。
高層ビルに備え付けられたマルチビジョンのへりに立っている翼。
「・・・って、何してるんですかカイトさん!」
マルチビジョンの五右衛門のニュースを指差して、こちらに振り返る翼。
カイト「あれは、金持ちは当たりにくくなってるんだよ」
スタバのシアトルラテを翼に渡すカイト。
「ひさしぶり、翼さん」
「高校卒業後は大学行って野球やるんじゃ・・・」
「分数の通分ができない僕の学力で大学に行けると思う?」
「え?い、いや・・・まあ。」
「でも、こっちもびっくりしちゃったよ、翼さんが警察官になっているなんて」
「いや、あれは頼まれてやっているだけで・・・私は図書館に内定が・・・」
「えっ?翼さんともあろう忍者が司書さん?」
「それはお互い様ですよ!カイトさんみたいな優秀なピッチャーが大泥棒やっているなんて・・・!どこで道を間違っちゃったんですか??」
「どこと言ったら、あなたに会ったときかな・・・」
「え?」
「翼さんとの冒険で僕は天職を見つけたと思ったよ。僕が就職すべきは野球選手なんかじゃなくて忍者だ。翼さんみたいに正義の忍びの道を究めたい。」
「う・・・そう言われると、スカウトした私にも責任が・・・
でも、あんなこと間違ってます・・・!今ならまだ間に合います、わたしと八重さんに謝りに行きましょう・・・」
「・・・警視庁ってどこにあるの?」
「ええと、千代田区だから・・・あそこかな?」
夜景を指さす翼。
「あっちは夜景がきれいだよね」
「?」
「僕の育った神奈川県はあっち」
三浦半島の方を指さすカイト。そこは闇に包まれていた。
「朝鮮出兵のせいで電気代は10倍。もう、この日本ではごく一部の政令指定都市しか電気の恩恵が受けられない・・・望月村は?」
「・・・記録的インフレでマッハで廃村になりました・・・」
「こんな状況絶対おかしいってみんな思っている・・・でも誰も立ちあがらない・・・誰かがやらなきゃいけないのに。」
「で・・・でも・・・」
「翼さんが逮捕しなきゃいけないのは、税金でホルモン焼いているおじさんたちなんじゃないの?」
「う・・・でも、私が心配しているのは・・・」
「だいじょうぶ、泥棒稼業は今回だけだから」
「・・・ほんとう?」
「うん。こっちも忍者をやってたことを買われて、昔の友達に頼まれちゃったんだよ・・・盗むのがいくら犯罪者のお金とは言え、泥棒は泥棒だもんね・・・」
「それならいいですけど・・・たった一回でも・・・」
その時、二人にくないが投げつけられる。
咄嗟に避ける二人。
翼「命を狙われるのが、この業界だから・・・!」
カイト「殺し屋か・・・!」
カイトをかばって殺し屋と闘う翼「今のうちに逃げてください!」
カイト「いや、二人でやっつけよう!」
その途端、殺し屋にオーバーヘッドキックを喰らうカイト。
ぶっ倒れるカイト「・・・無理かもしれない!」
細身の割に怪力で、二人を戦闘で圧倒する殺し屋。
カイト「くっ見かけによらずなんて馬鹿力だ・・・」
翼「くないに毒が塗ってあります!気をつけて!」
カイト「あ、だから体がしびれているのか・・・」
翼「カイトさん・・・!」
倒れるカイト。
翼に狙いを定める殺し屋「あなたは血の匂いがする・・・必死に殺気を消しているようだけど・・・」
翼「狙いは私ですか・・・」
殺し屋「平和な世の中に不要な驚異は排除する・・・」
西洋式の刃渡りが広いブレードを背中から出して斬りつけてくる殺し屋。
翼「!・・・疾い!」
忍刀の二刀流で応戦する翼。
翼「どこの流派かわからないけど、めちゃくちゃ強い・・・!殺す気で行かないと、こっちが本当に殺される・・・・!」
戦いをためらう翼が押されていく。殺し屋は本気で翼の首をとろうとする。
回し蹴りを避ける翼。ブーツにも毒の刃がついている。
刀で殺し屋の脚を切断し、そのブーツの刃で殺し屋の顔を突き刺す翼。
殺し屋の頭部から大量の血が吹き出す。
殺し屋「さすがね・・・こんな残酷なこと普通の司書にはできないわ・・・」
動揺する翼。
殺し屋は倒れて、ビルから落下していく。
翼「はあはあ・・・」
ふらふらしながらなんとか立ち上がるカイト「翼さん・・・」
翼「見てましたか?正義の忍びなんて現実にはいないんです・・・」
返り血を浴びる翼を呆然と見つめるカイト。
パトカーのサイレンが聞こえる。
「これで殺人罪で私もお尋ね者ですね・・・」
カイト「さ、さっきのは飛び降り自殺ってことにしようよ・・・」
涙ぐんで首を振る翼「カイトさんには野球をやってほしかった・・・」
ビルから飛び降り姿を消す翼。
カイト「翼さん・・・!」
ビルの屋上にかけてくるサラ
「カイト君!こんなところにいた・・・!」
「サラちゃん・・・」
「ちょっと、何があったの?怪我してるじゃない!」
「殺されかけた・・・」
「え?」
カイトに肩を貸すサラ。
カイト「翼さんにも襲いかかってきたということは、政府は聚楽第を知る人間は全て抹殺するつもりなんだ・・・」
マルチビジョンを振り返ると、聚楽第の様子が映し出されている。
カイト「これは殺しに来るわな・・・」
警視総監「なにが警視庁大勝利だね!!」
怒られている八重警視。
八重「で・・・でも、五右衛門は犯行に失敗したわけで・・・」
警視総監「五右衛門のターゲットはそもそも聚楽第の売上金じゃない!」
八重「へ?」
警視総監「“聚楽第という存在そのもの”なんだ!なぜ、君にはそれがわからん!」
八重「・・・??」
・
石田内閣緊急閣僚会議
閣僚たちが総理の前で正座をしている。
石田内閣総理大臣がリモコンのボタンを押し、動画を閣僚に見せる。
石田総理「これが先日、石川五右衛門から送られてきた・・・」
動画は聚楽台の内部の様子だった。
石田総理「この箸でおねえちゃんのスカートをめくっているのは黒田孝高日銀総裁、となりで拍手しているのは竹中重治財務大臣、ここでイチボを焼いているのは前田利家幹事長かな・・・」
バツが悪そうな閣僚たち。
プルプル震える石田総理「どいつもこいつもバカ丸出しで鼻の下を伸ばしやがって・・・この動画が世に出たらどうなるかわかっているのか!!!!」
大谷官房長官「お言葉ですが、聚楽第プラチナ会員の総理が何を言っても説得力がありません。」
石田総理「私は、五右衛門が予告する日には来店しない!それくらいの危機管理能力はお前らにもあるだろ!!」
閣僚たち「し・・・しかし、聚楽第は政財界のごく一部の権力者しか存在を知らなかったわけですし・・・五右衛門も68年の3億円事件から何十年も姿を消していたわけで・・・なぜ突然現れたのか・・・」
閣僚たち「2代目かな?」
「それはありそうだね」
石田総理「んなことは、どうでもいい!!」
大谷長官「で?五右衛門の要求は?」
石田総理「内閣官房機密費から1000億円をケイマン諸島の口座に振り込まなければ、ツイッター、インスタグラム、ティックトック、アマゾンプライム等で世界同時配信をすると言っている・・・」
大谷長官「確かに、内閣官房機密費は使途を公表しなくていいわけですけど・・・というかなんで、そんなに内部情報に詳しいんだ??」
床を叩く石田総理「おのれ石川五右衛門・・・!なんて卑劣な奴なんだ・・・!」
大谷長官「で、どうしますか、総理。内閣官房機密費も公金ですからね。ここはいさぎよく全員で腹を切るのも・・・」
石田総理「ケイマン諸島に1000億でも1兆でも振込みなさい!!」
・
石川五右衛門の秘密基地――
パソコンやジャンクが並んだガレージの地下で若者たちが何やら集まっている。
メガネを外すウォンイク。
「キミに返すよ。しかし、あんな品性下劣な店に足を踏み入れただけでもボクにとっちゃ人生の汚点だね、格好の週刊誌ネタだよ、いやはや・・・」
メガネを受け取る肥満の少年、安藤夏博。
安藤「まさか、このメガネで店内を録画をしているとは気がつかなかったようですね」
ウォンイク「あの様子では、怪盗五右衛門が実は五人組だってことも気づかなかっただろうねえ・・・」
安藤「しかし、ハッキングしといてなんですけど、この国では本当にあんな接待が行われてるんですね・・・大丈夫なんでしょうか、僕たち・・・」
ショートカットの利発そうな美少女が部屋に入ってくる。
天井サラ「安藤くん、もしかしてビビっちゃったの?・・・な~に大丈夫よ、絶対に警察沙汰にはならないから。だって贈収賄でまとめて逮捕されちゃうもん。も~司法試験に合格した私を信じなさい!」
安藤の肩を思い切り叩く。
安藤「とはいえ、1000億円の要求はさすがに法外ですよ。いくらなんでも振り込まれ・・・」
パソコンのモニターに目をやる安藤。
安藤「ケイマン諸島の口座に1000億円振り込まれています・・・」
ヘラヘラしていたのが青ざめるサラ「どうしよう・・・」
ウォンイク「いたずらじゃ済まなくなってきたみたいだね、ベイビー・・・」
安藤「どうするんですか?このお金・・・」
サラ「本当に振り込むとは思ってなかったもんね・・・とりあえずリーダーに相談しようか・・・」
ウォンイク「ベイビーいやはや・・・」
サラ「そういや大道寺は?」
安藤「となりで五右衛門応援リツイートキャンペーンの選考してます。」
ダイレクトメールを涙ぐんで読むヤンキーの大道寺「東京都在住のM・Cさん、私は子どもの養育費とボケた父親の世話で家計が苦しく、我が子にランドセルも買ってあげられません、義賊の五右衛門さん、どうかお金を恵んでください・・・くぅ~泣かせるじゃねえか、1等の1000万円はこの人に決めたぜ・・・!」
部屋に入ってくるサラ「あんたバカ?職歴に丸の内の外資系企業勤務って書いてあるじゃない。そんな勝ち組がどうしてお金に困るのよ。絶対嘘だって・・・」
慌てて涙を拭う大道寺「なっ・・・!てめえ、ノックもせずに入ってくるんじゃねえ!!やんのか、コラ!」
サラ「もう応募総数が1000万人を超えているんだから、所得額に応じて当選額を公平に配分すればいいじゃない。安藤くんがそういうAI作ってくれたんでしょう?」
大道寺「お前は人の心がねえな。そんな機械的な作業のどこに感動があるかよ。」
サラ「ねえ、リーダーは?あんた一緒だったんじゃないの?」
大道寺「何か人に会うとか言ってたぜ。」
サラ「ふうん・・・」
・
石川五右衛門のニュース。
伝説の義賊石川五右衛門令和に復活!
SNSを駆使して全国の生活困窮者に現金給付。
実際に五右衛門から現金が振り込まれた町の人々の声です。
「コロナ禍で苦しい時に本当に救われました。これで会社をたたまずに済みます!」
「物価高を放置した挙句に、増税を考えている石田政権よりもずっと頼もしいです」
スタジオ
キャスター「五右衛門の意図は一体何なんでしょうか」
解説委員「現政権に対する批判のつもりでしょうが悪趣味が過ぎますね。今回の事件が五右衛門本人によるものなのか、それとも模倣犯なのかはわかりかねますが、かつての五右衛門と大きく異なる点は、SNSといった最新テクノロジーを駆使している点です。日本の警察組織はことサイバー犯罪に弱い。そのため、未だに足をつかめずにいるのでしょう。」
キャスター「資金源は何だと考えますか?」
解説委員「石川五右衛門は3億円事件をはじめ、かつて強奪した多くの財宝を今なお隠し持っていると思われます。それをヘリコプターマネーのようにばらまいているのでしょう。まったく許しがたい!私も応募したのに一銭も振り込まれません!」
・
夜。高層ビルの屋上。
高層ビルに備え付けられたマルチビジョンのへりに立っている翼。
「・・・って、何してるんですかカイトさん!」
マルチビジョンの五右衛門のニュースを指差して、こちらに振り返る翼。
カイト「あれは、金持ちは当たりにくくなってるんだよ」
スタバのシアトルラテを翼に渡すカイト。
「ひさしぶり、翼さん」
「高校卒業後は大学行って野球やるんじゃ・・・」
「分数の通分ができない僕の学力で大学に行けると思う?」
「え?い、いや・・・まあ。」
「でも、こっちもびっくりしちゃったよ、翼さんが警察官になっているなんて」
「いや、あれは頼まれてやっているだけで・・・私は図書館に内定が・・・」
「えっ?翼さんともあろう忍者が司書さん?」
「それはお互い様ですよ!カイトさんみたいな優秀なピッチャーが大泥棒やっているなんて・・・!どこで道を間違っちゃったんですか??」
「どこと言ったら、あなたに会ったときかな・・・」
「え?」
「翼さんとの冒険で僕は天職を見つけたと思ったよ。僕が就職すべきは野球選手なんかじゃなくて忍者だ。翼さんみたいに正義の忍びの道を究めたい。」
「う・・・そう言われると、スカウトした私にも責任が・・・
でも、あんなこと間違ってます・・・!今ならまだ間に合います、わたしと八重さんに謝りに行きましょう・・・」
「・・・警視庁ってどこにあるの?」
「ええと、千代田区だから・・・あそこかな?」
夜景を指さす翼。
「あっちは夜景がきれいだよね」
「?」
「僕の育った神奈川県はあっち」
三浦半島の方を指さすカイト。そこは闇に包まれていた。
「朝鮮出兵のせいで電気代は10倍。もう、この日本ではごく一部の政令指定都市しか電気の恩恵が受けられない・・・望月村は?」
「・・・記録的インフレでマッハで廃村になりました・・・」
「こんな状況絶対おかしいってみんな思っている・・・でも誰も立ちあがらない・・・誰かがやらなきゃいけないのに。」
「で・・・でも・・・」
「翼さんが逮捕しなきゃいけないのは、税金でホルモン焼いているおじさんたちなんじゃないの?」
「う・・・でも、私が心配しているのは・・・」
「だいじょうぶ、泥棒稼業は今回だけだから」
「・・・ほんとう?」
「うん。こっちも忍者をやってたことを買われて、昔の友達に頼まれちゃったんだよ・・・盗むのがいくら犯罪者のお金とは言え、泥棒は泥棒だもんね・・・」
「それならいいですけど・・・たった一回でも・・・」
その時、二人にくないが投げつけられる。
咄嗟に避ける二人。
翼「命を狙われるのが、この業界だから・・・!」
カイト「殺し屋か・・・!」
カイトをかばって殺し屋と闘う翼「今のうちに逃げてください!」
カイト「いや、二人でやっつけよう!」
その途端、殺し屋にオーバーヘッドキックを喰らうカイト。
ぶっ倒れるカイト「・・・無理かもしれない!」
細身の割に怪力で、二人を戦闘で圧倒する殺し屋。
カイト「くっ見かけによらずなんて馬鹿力だ・・・」
翼「くないに毒が塗ってあります!気をつけて!」
カイト「あ、だから体がしびれているのか・・・」
翼「カイトさん・・・!」
倒れるカイト。
翼に狙いを定める殺し屋「あなたは血の匂いがする・・・必死に殺気を消しているようだけど・・・」
翼「狙いは私ですか・・・」
殺し屋「平和な世の中に不要な驚異は排除する・・・」
西洋式の刃渡りが広いブレードを背中から出して斬りつけてくる殺し屋。
翼「!・・・疾い!」
忍刀の二刀流で応戦する翼。
翼「どこの流派かわからないけど、めちゃくちゃ強い・・・!殺す気で行かないと、こっちが本当に殺される・・・・!」
戦いをためらう翼が押されていく。殺し屋は本気で翼の首をとろうとする。
回し蹴りを避ける翼。ブーツにも毒の刃がついている。
刀で殺し屋の脚を切断し、そのブーツの刃で殺し屋の顔を突き刺す翼。
殺し屋の頭部から大量の血が吹き出す。
殺し屋「さすがね・・・こんな残酷なこと普通の司書にはできないわ・・・」
動揺する翼。
殺し屋は倒れて、ビルから落下していく。
翼「はあはあ・・・」
ふらふらしながらなんとか立ち上がるカイト「翼さん・・・」
翼「見てましたか?正義の忍びなんて現実にはいないんです・・・」
返り血を浴びる翼を呆然と見つめるカイト。
パトカーのサイレンが聞こえる。
「これで殺人罪で私もお尋ね者ですね・・・」
カイト「さ、さっきのは飛び降り自殺ってことにしようよ・・・」
涙ぐんで首を振る翼「カイトさんには野球をやってほしかった・・・」
ビルから飛び降り姿を消す翼。
カイト「翼さん・・・!」
ビルの屋上にかけてくるサラ
「カイト君!こんなところにいた・・・!」
「サラちゃん・・・」
「ちょっと、何があったの?怪我してるじゃない!」
「殺されかけた・・・」
「え?」
カイトに肩を貸すサラ。
カイト「翼さんにも襲いかかってきたということは、政府は聚楽第を知る人間は全て抹殺するつもりなんだ・・・」
マルチビジョンを振り返ると、聚楽第の様子が映し出されている。
カイト「これは殺しに来るわな・・・」
『風と翼:RESET』脚本①
2023-05-14 10:02:50 (1 year ago)
相模高校さくら組。
三年生は進路相談が行われている。
担任の寺島先生「で、風間くんは、大学で野球を続けるんだよね?」
カイト「いや、それは周りの人が敷いたレールというか・・・」
寺島「え?じゃあ、他にやりたいことがあるの?
いいじゃない。自分の進路は自分で決めなきゃ。どんな進路でも先生は応援するよ。
いや~青春っていいなあ・・・」
カイト「ぼくは忍者になります。」
三歳児のような発言に絶句する寺島。
・
犯行予告状
「銀行と官僚のバカども 聚楽第の売上金はいただくぜ 怪盗五右衛門」
夜。
霞ヶ関の地下。
政財界のVIP御用達の高級店「聚楽第」
ジュリアナ東京のようなお立ち台で踊り狂うコンパニオン。
ホルモンを焼きながらスカートの下をオペラグラスで覗く大蔵官僚。
店長がマイクパフォーマンスをしながら会場を練り歩く。
徳川店長「エスコート3番シート、ご新規2名様ご案内。コールナンバー11番ヒメちゃん、フラワータイムスタンバイ」
エレベータの扉が開く。
ツインテールの女の子と、分厚いレンズのメガネをかけていて、みるからに臆病そうな黒いスーツの女性が店内に入ってくる。
店員「当店のコンパニオンの面接なら・・・」
ツインテール「絶対嫌です」
そう言うと、懐から取り出した警察手帳を見せる。
店員がピンマイクで店長を呼ぶ。
徳川店長「どうした本多。」
本多正信「・・・警察が来てます。」
自信なさげに喋るスーツの女性「ご・・・5000円以上の接待は国家公務員倫理法に違反するのでは・・・」
毅然としたツインテール「風営法的にも、今の時代のコンプライアンス的にも完全アウトなんで、女の子にはパンツを履かせてください。」
徳川「黙れ公僕のメスブタども!」
女性「な、なんてひどい暴言を・・・!」
徳川「こちとら、おめーらの警視総監様も常連のノーパンホルモン店「聚楽第」の店長、徳川家康である!フェミニズムなんぞに屈しはせんわ!!おっぱい!おっぱい!!」
本多「よっ店長!」
ドン引きするツインテール「八重さん、もう帰りましょうよ・・・」
スーツの女性:八重警視「翼ちゃん、もう少し耐えよう・・・」
もめているところに、金持ちそうなメガネのイケメンが来店する。
イケメン「1名。サラちゃんを指名で。」
そう言うと、札束をばら撒く。
札束を慌ててひろう本多「ご新規1名様~!!」
徳川「うちにサラちゃんなんていたっけ・・・?」
イケメンの素性に気づく八重「あ・・・あれって、韓流アイドルのイ・ウォンイク様じゃ・・・」
翼「誰?」
八重「知らないの?世界的人気アイドル!ウォン様もこんな下品なお店に来るのね・・・夢も希望もない!私死にたい!!」
翼「八重さん、もう少し耐えましょう・・・!」
徳川「なんだ、君らまだいたのか、ご覧のとおり各界のセレブの相手で忙しいんだ、帰ってくれ、さもないとパンツ脱がすぞこのやろう」
涙目になる八重「わたしもうこんなセクハラ発言に耐えられない・・・!怪盗五右衛門の予告状のことなんて教えずに、家に帰ってフールーでも見よう・・・」
徳川「おいちょっと待て、今なんて・・・?」
メガネをかけた肥満気味の少年がキーボードを叩く。聚楽台のシステムをハッキングする。
その瞬間、店内の照明が全て落ちる。暗闇。
徳川「!!??」
どこからか声が上がる「あちち、ホルモンで火傷した!」
本多「すぐに照明を復旧しろ!」
徳川「お客様大変申し訳ございません、フラワータイムはもう少々お待ちください!」
コンパニオン達の悲鳴が上がる。
照明がもどる。
本多「な・・・なんてことだ・・・!」
翼「??」
本多「すべての女の子にパンツがはかされている~~~!!!」
翼「しかもヒートテックだ・・・!」
崩れ落ちる徳川「誰だこんなノーパン接待を全否定するような嫌がらせをしやがった奴は!!!」
?「は~はっは~!聚楽台の売上は全て頂いたぜ~!」
徳川「誰だ!!??」
本多「あそこだ・・・!」
お立ち台のてっぺんに、ガスマスクをつけた男が風呂敷に札束を大量に包んで立っている。
徳川「誰だ貴様!」
八重「現れたわね、怪盗石川五右衛門・・・!」
徳川「なんだって?もしかして3億円事件のか??」
五右衛門「先生方、もうバブルは終わりだぜ!あばよ!」
徳川「あ・・・あいつを捕まえろ!!」
本多たち店員が五右衛門のいるお立ち台に駆けていく。
ホルモンを焼くロースターに煙玉をばら撒く五右衛門。
煙玉が引火し爆発する。
むせる店員たち「ごほごほ!!」
徳川「お前たち何をやっとるか!」
八重「この八重かをりにお任せを!怪盗五右衛門逮捕だ~!」
五右衛門に向かってダッシュする八重。
お立ち台のコンパニオンの一人が扇子を八重に投げつける。
回転する扇子が脚に当たり、転ぶ八重。
コンパニオン「あら、ごめんあそばせ。」
床を滑ってテーブルを豪快にひっくり返す八重「翼ちゃん・・・お願い・・・」
翼が素早い身のこなしで五右衛門に迫る。
五右衛門「おっと、警察に構っている暇はないんでね!」
徳川「逃げられんぞ!この店はエレベータかこの非常階段しか出口はない!!」
五右衛門「さいですか」
マッチをすって、シャンパンタワーに投げつける。
燃えさかるシャンパンタワー。
五右衛門「絶景かな、絶景かな」
翼「まさか・・・!」
振り返る翼「八重さん、みんなを避難させて!!」
手裏剣を天井のミラーボールに投げつけて落とし、それを真下のシャンパンタワーにぶつけて崩す五右衛門。
店内が炎に包まれる。
大騒ぎの店内。非常階段に殺到する客たち。
排煙ダクトが起動し、煙を強力に吸い込んでいく。
五右衛門「あそこね。」
徳川「おのれ~・・・!・・・平八郎!!」
用心棒「お呼びで。」
革ジャンを着てサングラスをした屈強な男が現れる。
徳川「あのコソ泥を成敗しちゃいなさい!!」
用心棒「ラジャー」
そう言うと、ターミネーターのように巨大なショットガン「ドラゴンカッター」を、躊躇なくぶっぱなす。
すんででよける五右衛門。弾丸は柱に命中し爆発する。
客を避難させる八重「ちょっと!店が崩れちゃう!!」
徳川「うるせえ、ハッスルタイムだ!!」
五右衛門「なんか、すごいのが来ちゃったなあ・・・柴田勝家を思い出すよ・・・」
黒服たちに取り囲まれる五右衛門。
(無線)「先輩、そろそろ逃げたほうがいいです。」
五右衛門「じゃあ、よろしく。」
キーボードを叩く肥満の少年。
店内のスプリンクラーが作動し、火をすべて消していく。
五右衛門は巨大な排煙ダクトに向かう。
しかし排煙ダクトの前には翼が立ちふさがっていた。
五右衛門「逃走経路はお見通しってわけ?」
翼「私も同業者ですから。」
そう言うと、五右衛門が投げた手裏剣を見せる。
翼「伊賀流ですね。」
五右衛門「まあそんなところかな。」
刀を構える翼「あなたを逮捕します・・・」
五右衛門「あなたと戦っても勝ち目はなさそうだ・・・」
風呂敷に手をかける五右衛門。
五右衛門「・・・これで見逃してくれい、翼さん!」
自分の名前を言われて動揺する翼「・・・え??」
そう言うと、風呂敷をひらき、札をばら撒く五右衛門。
舞い散る札によって視界が一瞬ふさがれる翼「!」
視界がもどると、そこには石川五右衛門の姿はなかった。
・
霞ヶ関の地上で、五右衛門をピックアップする暴走族風の男。
スロットルをひねり、バイクを発進させる。
サイドカーでくつろぐ五右衛門。
暴走族「売上金の1億円がねえじゃねえか、ああん??」
五右衛門「失敗しちゃったよ、警視庁がとんでもない凄腕を雇っててさ・・・」
暴走族「けっ、SNSの総額1億円キャンペーンの企画はどうするんだよ」
懐からクレジットカードの束を取り出す五右衛門
「スケベなお客の財布はくすねたよ・・・」
・
鎮火した聚楽第
翼の方へ駆け寄る八重「翼ちゃん・・・!」
翼「逃げられた・・・」
八重「でもすごいよ・・・!あの怪盗五右衛門から売上金を守ったんだもん・・・!」
翼「・・・・・・。」
八重「警視庁大勝利~!ばんざーい!ばんざーい!!」
傍らではスプリンクラーで濡れながら徳川たちが必死に金を拾っている。
徳川「お前ら、早く拾うんだ!!あと、平八郎!柱代は弁償!」
用心棒「ラジャー」
三年生は進路相談が行われている。
担任の寺島先生「で、風間くんは、大学で野球を続けるんだよね?」
カイト「いや、それは周りの人が敷いたレールというか・・・」
寺島「え?じゃあ、他にやりたいことがあるの?
いいじゃない。自分の進路は自分で決めなきゃ。どんな進路でも先生は応援するよ。
いや~青春っていいなあ・・・」
カイト「ぼくは忍者になります。」
三歳児のような発言に絶句する寺島。
・
犯行予告状
「銀行と官僚のバカども 聚楽第の売上金はいただくぜ 怪盗五右衛門」
夜。
霞ヶ関の地下。
政財界のVIP御用達の高級店「聚楽第」
ジュリアナ東京のようなお立ち台で踊り狂うコンパニオン。
ホルモンを焼きながらスカートの下をオペラグラスで覗く大蔵官僚。
店長がマイクパフォーマンスをしながら会場を練り歩く。
徳川店長「エスコート3番シート、ご新規2名様ご案内。コールナンバー11番ヒメちゃん、フラワータイムスタンバイ」
エレベータの扉が開く。
ツインテールの女の子と、分厚いレンズのメガネをかけていて、みるからに臆病そうな黒いスーツの女性が店内に入ってくる。
店員「当店のコンパニオンの面接なら・・・」
ツインテール「絶対嫌です」
そう言うと、懐から取り出した警察手帳を見せる。
店員がピンマイクで店長を呼ぶ。
徳川店長「どうした本多。」
本多正信「・・・警察が来てます。」
自信なさげに喋るスーツの女性「ご・・・5000円以上の接待は国家公務員倫理法に違反するのでは・・・」
毅然としたツインテール「風営法的にも、今の時代のコンプライアンス的にも完全アウトなんで、女の子にはパンツを履かせてください。」
徳川「黙れ公僕のメスブタども!」
女性「な、なんてひどい暴言を・・・!」
徳川「こちとら、おめーらの警視総監様も常連のノーパンホルモン店「聚楽第」の店長、徳川家康である!フェミニズムなんぞに屈しはせんわ!!おっぱい!おっぱい!!」
本多「よっ店長!」
ドン引きするツインテール「八重さん、もう帰りましょうよ・・・」
スーツの女性:八重警視「翼ちゃん、もう少し耐えよう・・・」
もめているところに、金持ちそうなメガネのイケメンが来店する。
イケメン「1名。サラちゃんを指名で。」
そう言うと、札束をばら撒く。
札束を慌ててひろう本多「ご新規1名様~!!」
徳川「うちにサラちゃんなんていたっけ・・・?」
イケメンの素性に気づく八重「あ・・・あれって、韓流アイドルのイ・ウォンイク様じゃ・・・」
翼「誰?」
八重「知らないの?世界的人気アイドル!ウォン様もこんな下品なお店に来るのね・・・夢も希望もない!私死にたい!!」
翼「八重さん、もう少し耐えましょう・・・!」
徳川「なんだ、君らまだいたのか、ご覧のとおり各界のセレブの相手で忙しいんだ、帰ってくれ、さもないとパンツ脱がすぞこのやろう」
涙目になる八重「わたしもうこんなセクハラ発言に耐えられない・・・!怪盗五右衛門の予告状のことなんて教えずに、家に帰ってフールーでも見よう・・・」
徳川「おいちょっと待て、今なんて・・・?」
メガネをかけた肥満気味の少年がキーボードを叩く。聚楽台のシステムをハッキングする。
その瞬間、店内の照明が全て落ちる。暗闇。
徳川「!!??」
どこからか声が上がる「あちち、ホルモンで火傷した!」
本多「すぐに照明を復旧しろ!」
徳川「お客様大変申し訳ございません、フラワータイムはもう少々お待ちください!」
コンパニオン達の悲鳴が上がる。
照明がもどる。
本多「な・・・なんてことだ・・・!」
翼「??」
本多「すべての女の子にパンツがはかされている~~~!!!」
翼「しかもヒートテックだ・・・!」
崩れ落ちる徳川「誰だこんなノーパン接待を全否定するような嫌がらせをしやがった奴は!!!」
?「は~はっは~!聚楽台の売上は全て頂いたぜ~!」
徳川「誰だ!!??」
本多「あそこだ・・・!」
お立ち台のてっぺんに、ガスマスクをつけた男が風呂敷に札束を大量に包んで立っている。
徳川「誰だ貴様!」
八重「現れたわね、怪盗石川五右衛門・・・!」
徳川「なんだって?もしかして3億円事件のか??」
五右衛門「先生方、もうバブルは終わりだぜ!あばよ!」
徳川「あ・・・あいつを捕まえろ!!」
本多たち店員が五右衛門のいるお立ち台に駆けていく。
ホルモンを焼くロースターに煙玉をばら撒く五右衛門。
煙玉が引火し爆発する。
むせる店員たち「ごほごほ!!」
徳川「お前たち何をやっとるか!」
八重「この八重かをりにお任せを!怪盗五右衛門逮捕だ~!」
五右衛門に向かってダッシュする八重。
お立ち台のコンパニオンの一人が扇子を八重に投げつける。
回転する扇子が脚に当たり、転ぶ八重。
コンパニオン「あら、ごめんあそばせ。」
床を滑ってテーブルを豪快にひっくり返す八重「翼ちゃん・・・お願い・・・」
翼が素早い身のこなしで五右衛門に迫る。
五右衛門「おっと、警察に構っている暇はないんでね!」
徳川「逃げられんぞ!この店はエレベータかこの非常階段しか出口はない!!」
五右衛門「さいですか」
マッチをすって、シャンパンタワーに投げつける。
燃えさかるシャンパンタワー。
五右衛門「絶景かな、絶景かな」
翼「まさか・・・!」
振り返る翼「八重さん、みんなを避難させて!!」
手裏剣を天井のミラーボールに投げつけて落とし、それを真下のシャンパンタワーにぶつけて崩す五右衛門。
店内が炎に包まれる。
大騒ぎの店内。非常階段に殺到する客たち。
排煙ダクトが起動し、煙を強力に吸い込んでいく。
五右衛門「あそこね。」
徳川「おのれ~・・・!・・・平八郎!!」
用心棒「お呼びで。」
革ジャンを着てサングラスをした屈強な男が現れる。
徳川「あのコソ泥を成敗しちゃいなさい!!」
用心棒「ラジャー」
そう言うと、ターミネーターのように巨大なショットガン「ドラゴンカッター」を、躊躇なくぶっぱなす。
すんででよける五右衛門。弾丸は柱に命中し爆発する。
客を避難させる八重「ちょっと!店が崩れちゃう!!」
徳川「うるせえ、ハッスルタイムだ!!」
五右衛門「なんか、すごいのが来ちゃったなあ・・・柴田勝家を思い出すよ・・・」
黒服たちに取り囲まれる五右衛門。
(無線)「先輩、そろそろ逃げたほうがいいです。」
五右衛門「じゃあ、よろしく。」
キーボードを叩く肥満の少年。
店内のスプリンクラーが作動し、火をすべて消していく。
五右衛門は巨大な排煙ダクトに向かう。
しかし排煙ダクトの前には翼が立ちふさがっていた。
五右衛門「逃走経路はお見通しってわけ?」
翼「私も同業者ですから。」
そう言うと、五右衛門が投げた手裏剣を見せる。
翼「伊賀流ですね。」
五右衛門「まあそんなところかな。」
刀を構える翼「あなたを逮捕します・・・」
五右衛門「あなたと戦っても勝ち目はなさそうだ・・・」
風呂敷に手をかける五右衛門。
五右衛門「・・・これで見逃してくれい、翼さん!」
自分の名前を言われて動揺する翼「・・・え??」
そう言うと、風呂敷をひらき、札をばら撒く五右衛門。
舞い散る札によって視界が一瞬ふさがれる翼「!」
視界がもどると、そこには石川五右衛門の姿はなかった。
・
霞ヶ関の地上で、五右衛門をピックアップする暴走族風の男。
スロットルをひねり、バイクを発進させる。
サイドカーでくつろぐ五右衛門。
暴走族「売上金の1億円がねえじゃねえか、ああん??」
五右衛門「失敗しちゃったよ、警視庁がとんでもない凄腕を雇っててさ・・・」
暴走族「けっ、SNSの総額1億円キャンペーンの企画はどうするんだよ」
懐からクレジットカードの束を取り出す五右衛門
「スケベなお客の財布はくすねたよ・・・」
・
鎮火した聚楽第
翼の方へ駆け寄る八重「翼ちゃん・・・!」
翼「逃げられた・・・」
八重「でもすごいよ・・・!あの怪盗五右衛門から売上金を守ったんだもん・・・!」
翼「・・・・・・。」
八重「警視庁大勝利~!ばんざーい!ばんざーい!!」
傍らではスプリンクラーで濡れながら徳川たちが必死に金を拾っている。
徳川「お前ら、早く拾うんだ!!あと、平八郎!柱代は弁償!」
用心棒「ラジャー」
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