最近精神を病んで休職する学校の先生が多いらしい。教員評価制度が導入されたからとか言われているんだけど、これ教員に限ったことじゃなくて、生徒もサラリーマンもみんな精神的に厳しい世の中ってことだよね。なんでこんな自殺多いんだろうって思うから。
確かにこの世って、ある種偽善で成り立っていて、自分とあまり関係ない人を無慈悲に切り捨てながらも、こずるく生きていかなきゃいけないところがあるから、本当に優しくて生真面目な人は理論上自殺する。生きるってことはそれだけで罪を背負っているし、その上で居直っていなきゃやってられない。
植物や動物を品種改良して自分たちの食糧に作りかえ、みんなの地球をバシバシ汚して、間接的に他の国の人を見殺しにしているんだから、それでハーバード大学のマイケル・サンデルのように「正義だなんだ」っておこがましい。
今の世の中って、そんなどうしようもないのが人間だって言う前提をふまえずに、他者に要求する人間の理想像がすっごい高くて、それで悩んでいる人が多いんだと思う。
でもそういう風に人を厳しく批判している奴だって大抵ろくなやつじゃないんだから「じゃあお前は何様だよ」って思えばいんだけど、真面目な人は考えちゃうんだよね。
これはクレーム全てを批判しているわけじゃないんだけど、要求する水準があまりに高いのは問題だと思う。
プロは、素人の批判に対して「じゃあお前がやってみろ」って言い返しちゃ絶対ダメっていうのがある。でも心の中では大いに思っておいた方がいい。じゃないと精神的に潰れちゃう。
学校の先生に対する保護者のメチャクチャなクレームも、内心「お前が自分の子どもを家でしつけねえからだろ」くらいに強かに突っ込みを入れといたほうがいいと思う。
もっとラディカルに言えば個人に対する誹謗中傷や批判は、その人の向上にとって何の意味もないと思う。
私は何年か前までは、漫画でもいちいち編集者をはじめ読み手の指摘をしっかり聞いて、それを作品にちゃんと取り入れていた。
だから理論上は、読み手の――少なくともそれを指摘した人にとっては、満足がいく作品になるはずなのに、なぜかいまいちつまらない。指摘した人も「あれ~?おかしいなあ」って言っていたりする。
つまり読み手の指摘って言うのはほとんどの場合あてにならないってこと。その指摘が的確ならば、その人自身が漫画家になって面白い漫画を作れるはずなんだ。
だから私はいい感想しか真に受けないようにしています。モチベーション維持のためにもなるし。三谷幸喜さんも誹謗中傷が嫌だからネットは見ないらしいし。
じゃあクレームは全部スルーなのかよ!ってなるけれど、有効なクレームはシステム批判だ。
つい私たちは個人主義の悪影響で「責任者探し」をしてしまう。でもそこで叩かれる個人は一見責任者っぽいだけでただのスケープゴート(もしくはそのシステムの問題を象徴する事例)である場合が多い。だからそういった問題が起こるようなシステム全体を認識し批判しなければならない。
最近の漫画がつまらなくなったって思うなら作者個人を叩いても仕方がない。編集部や出版体制、また読者の方にも何か構造的な問題があるのだろう。
作家個人に何かメッセージを送りたい場合は、逆にめっちゃ応援して気分良くさせて「よ~しじゃあ、もっと面白いの描いてやるぞ!」って誘導しよう。そうしたほうが面白い漫画が読める確率は作者個人を叩いた場合よりも上がる。
学校教育の質が下がったって言うのも、先生個人の指導能力の問題もあるけど、そういう未熟な先生をベテランの先生がちゃんと一人前に育ててサポートするような組織体制が無いのが問題なのだろう。
民主主義において国民の批判意識はとても大事なことなんだけど、どうもそのベクトルが弱い方向に向かってしまう。本来は権力への監視なんだけど。
人間って根性無しの臆病ものだから、強いものに面と向かって批判はできずに、自分が優位に立ったところで居丈高にそして過剰に批判する。
ネットはそれを助長しているところがあるし、そういった弱い立場の人の不満を吸い上げれば民主主義はうまく機能する気もするけど、ネット上の私的なぼやきや悪口、不満を、公的な「批判」に昇華させ、さらに「建設的な代案」にするのは一体誰がやればいいんだろう??
同義置換に対する非同義置換の割合
2010-11-13 19:33:59 (10 years ago)
『分子進化のほぼ中立』の第4章~第7章で鍵となっている重要なモデルをまとめます。
同義置換(synonymous substitution)
生命の設計図と言われるDNAの塩基配列は、タンパク質を作る際のアミノ酸の順番を決めている。塩基配列三文字で一種類のアミノ酸をコードしているんだけど、一種類のアミノ酸をコードする塩基配列のパターンは複数ある。
例えば「ロイシン」って言うアミノ酸を担当する塩基配列(コドン)は「UUA」「UUG」「CUU」「CUC」「CUA」「CUG」と6種類ある。だから「UUA」がなんかの拍子で「UUG」に変わってもできるものはロイシンで一緒。これを同義置換と言う。
非同義置換(nonsynonymous substitution)
非同義置換は同義置換の逆で、タンパク質を作るのにつなげるアミノ酸が変わってしまう塩基配列の置換を言う。例えば「ロイシン」をコードしていた三文字の塩基配列「UUA」が、「UUC」になると別のアミノ酸「フェニルアラニン」をコードしてしまう。
これをふまえると、タンパク質の材料であるアミノ酸の種類を変え、タンパク質の種類を最終的に変えてしまう「非同義置換」は、塩基配列が変わってもできるタンパク質が変わらない「同義置換」に比べて、かかる淘汰圧が高いということになる。
淘汰圧・・・非同義置換(n)>同義置換(s)
また淘汰圧は集団サイズが大きい方が高いから、集団サイズが大きい生物の非同義置換は淘汰されちゃって同義置換に比べて割合が少なくなるはず。
実際に集団サイズが大きいネズミと、集団サイズが小さいウシを比べると、ネズミの方が同義置換に対する非同義置換の割合が少なかったらしい。
非同義置換(n)/同義置換(s)・・・集団サイズ大(淘汰圧大)<集団サイズ小(淘汰圧小)
次に同じ種類の生物同士の集団内(種内)と、異なる種類の生物同士(種間)の二つの場合を考えてみる。
例えば「種内競争」と言ったら首の長いキリンの方がメスキリンにモテモテ(性淘汰)とか、ライオン同士の縄張り争いとかそういうもの。「種間競争」と言ったらライオンVSハイエナの抗争みたいなもの。
非同義置換が生物にとって弱有害な場合、「種内」では中立的に振る舞い(よって様々な遺伝子パターン=「多型」が残される)、「種間」では弱有害淘汰が働く。
しかし非同義置換が有利な変化をもたらす場合は、「種内」では中立ではなく有利に振舞うので、遺伝子パターンを増やす効果は弱有害時に比べて少ない。
一方「種間」では正の淘汰が働き、有利な非同義置換はその生物種内で広まっていくので、種間の遺伝子の違いが際立つことになる。
162ページをふまえてまとめると(同義置換に対する)非同義置換の割り合いは・・・
①非同義置換が弱有害の場合・・・種内>種間
②非同義置換が有利な場合・・・種内<種間
この理屈で言うと種内に比べて種間の方が淘汰圧が高くドリフトの効果が低いと言うことになる。じゃないと①が成り立たない。
93ページにも
種間より種内多型で同義置換に比べ非同義置換が多いと、種間で淘汰が働いているわけだから、非同義置換に対する弱有害淘汰が指摘され、逆に種間で多いと、有利なアミノ酸置換が正の淘汰によって種間の違いをもたらしたと考えられる。
って書いてある。
でも最近は種内競争の方が種間競争よりも淘汰圧が高いと言う説があってややこしい。コレはどう考えればいいのだろう?
ここら辺の問題は最後の最後の132ページにちょろっとふれているんだけど、記述が少なくてどうにも解釈できない。
あと最後のページの化石動物の進化について(急激な進化を示す化石が見つからないのは、急激な進化は大集団よりも小集団で起こりやすいから、化石が残る確率が漸進的な進化に比べて低い)は、もう少し具体例をあげていろいろ説明して欲しかったけど、そこらへん(古生物学)は専門外なのかな。
同義置換(synonymous substitution)
生命の設計図と言われるDNAの塩基配列は、タンパク質を作る際のアミノ酸の順番を決めている。塩基配列三文字で一種類のアミノ酸をコードしているんだけど、一種類のアミノ酸をコードする塩基配列のパターンは複数ある。
例えば「ロイシン」って言うアミノ酸を担当する塩基配列(コドン)は「UUA」「UUG」「CUU」「CUC」「CUA」「CUG」と6種類ある。だから「UUA」がなんかの拍子で「UUG」に変わってもできるものはロイシンで一緒。これを同義置換と言う。
非同義置換(nonsynonymous substitution)
非同義置換は同義置換の逆で、タンパク質を作るのにつなげるアミノ酸が変わってしまう塩基配列の置換を言う。例えば「ロイシン」をコードしていた三文字の塩基配列「UUA」が、「UUC」になると別のアミノ酸「フェニルアラニン」をコードしてしまう。
これをふまえると、タンパク質の材料であるアミノ酸の種類を変え、タンパク質の種類を最終的に変えてしまう「非同義置換」は、塩基配列が変わってもできるタンパク質が変わらない「同義置換」に比べて、かかる淘汰圧が高いということになる。
淘汰圧・・・非同義置換(n)>同義置換(s)
また淘汰圧は集団サイズが大きい方が高いから、集団サイズが大きい生物の非同義置換は淘汰されちゃって同義置換に比べて割合が少なくなるはず。
実際に集団サイズが大きいネズミと、集団サイズが小さいウシを比べると、ネズミの方が同義置換に対する非同義置換の割合が少なかったらしい。
非同義置換(n)/同義置換(s)・・・集団サイズ大(淘汰圧大)<集団サイズ小(淘汰圧小)
次に同じ種類の生物同士の集団内(種内)と、異なる種類の生物同士(種間)の二つの場合を考えてみる。
例えば「種内競争」と言ったら首の長いキリンの方がメスキリンにモテモテ(性淘汰)とか、ライオン同士の縄張り争いとかそういうもの。「種間競争」と言ったらライオンVSハイエナの抗争みたいなもの。
非同義置換が生物にとって弱有害な場合、「種内」では中立的に振る舞い(よって様々な遺伝子パターン=「多型」が残される)、「種間」では弱有害淘汰が働く。
しかし非同義置換が有利な変化をもたらす場合は、「種内」では中立ではなく有利に振舞うので、遺伝子パターンを増やす効果は弱有害時に比べて少ない。
一方「種間」では正の淘汰が働き、有利な非同義置換はその生物種内で広まっていくので、種間の遺伝子の違いが際立つことになる。
162ページをふまえてまとめると(同義置換に対する)非同義置換の割り合いは・・・
①非同義置換が弱有害の場合・・・種内>種間
②非同義置換が有利な場合・・・種内<種間
この理屈で言うと種内に比べて種間の方が淘汰圧が高くドリフトの効果が低いと言うことになる。じゃないと①が成り立たない。
93ページにも
種間より種内多型で同義置換に比べ非同義置換が多いと、種間で淘汰が働いているわけだから、非同義置換に対する弱有害淘汰が指摘され、逆に種間で多いと、有利なアミノ酸置換が正の淘汰によって種間の違いをもたらしたと考えられる。
って書いてある。
でも最近は種内競争の方が種間競争よりも淘汰圧が高いと言う説があってややこしい。コレはどう考えればいいのだろう?
ここら辺の問題は最後の最後の132ページにちょろっとふれているんだけど、記述が少なくてどうにも解釈できない。
あと最後のページの化石動物の進化について(急激な進化を示す化石が見つからないのは、急激な進化は大集団よりも小集団で起こりやすいから、化石が残る確率が漸進的な進化に比べて低い)は、もう少し具体例をあげていろいろ説明して欲しかったけど、そこらへん(古生物学)は専門外なのかな。
ほぼ中立説について
2010-11-13 18:00:46 (10 years ago)
おさらい。
①中立的な遺伝子
生存競争に有利にも不利にもならないので淘汰圧がかからない。中立的な遺伝子は遺伝子浮動(=ドリフト。どうでもいい中立的な遺伝子が“偶然”次の世代に伝わること)の効果が大きいので一般的に進化スピードは速い。
②どうでもよくない遺伝子(私が考えたので学術用語ではありません)
その生物が生きる上で大切な機能を担う遺伝子。これが変異して機能を失えば生存競争に不利になりその個体は淘汰される。遺伝子浮動の効果は少ないので進化の速度は漸進的。
③ほぼ中立な遺伝子
集団サイズによって①になったり②になったりする遺伝子。集団サイズが小さいと生存競争がそこまで厳しくなく淘汰圧が低いので中立的に振舞う。逆に集団サイズが大きいと生存競争が厳しいので、その遺伝子が弱有害な場合、淘汰される可能性がある。
分子進化時計
アミノ酸配列の変化率はほぼ一定なことから(すなわち中立的)、異なる生物種のアミノ酸を比べて変化の度合いを調べれば、その二つの種類が分岐した時代が分かるという考え方。
元祖中立説
元祖中立説の木村資生さんは、タンパク質の進化速度がこれまで考えられていた以上にとても速く、一世代あたりの突然変異の数がすごく多くなっちゃうことを発見した。
自然淘汰にイチイチかかっていたらタンパク質の進化がこんなに速いはずはない。だからタンパク質の突然変異は中立的だとして「分子進化の中立説」を発表。
元祖中立説は、進化の速度は中立的遺伝子の突然変異率と同じとモデルを単純化した。しかしこのモデルでは、タンパク質の種類によって進化のスピードが異なることを説明できない。
たとえば血液を固めるフィブリノペプチドはイヌとウマではその材料(アミノ酸)の半分が違っているのに、染色体のクロマチン繊維を構成するヒストンはイヌとウマでもまったく同じアミノ酸配列だった。
この事実はアミノ酸の変化率が一定だと言う「分子進化時計」の考え方と矛盾してしまう。アミノ酸が数珠つなぎになってできているのがタンパク質だから。
ほぼ中立説
そこで「ほぼ中立進化説」では元祖中立説の中立な突然変異を「中立」と「ほぼ中立」の二種類に分けて、ほぼ中立な突然変異は場合によっては自然淘汰の影響を受けるとした。
これによればフィブリノペプチドはドリフトの効果が大きくいろんなタイプが残ったけど、ヒストンはドリフトよりも自然淘汰の力が強く、他のものは厳しい戦いに敗れて姿を消すことになった。
この違いは生物集団の大きさが大きく影響しているらしい。
集団サイズが大きい・・・競争が厳しく淘汰圧が高い。ドリフトの世代効果は低い。進化速度は遅い。
集団サイズが小さい・・・競争が緩く淘汰圧が低い。ドリフトの世代効果は高い。進化速度は速い。
ちなみに提唱者の太田朋子さんによれば「中立突然変異のほとんどはほぼ中立」だと言う。確かにそうかもしれない。どのような突然変異が自然淘汰を受けるかは、その時代の自然環境や競争相手によっても違うから普遍的ではないのだろう。
そうなるとごく僅かな「全く中立」としている突然変異も「ほぼ完全に中立」とした方がいいかもしれない。
①中立的な遺伝子
生存競争に有利にも不利にもならないので淘汰圧がかからない。中立的な遺伝子は遺伝子浮動(=ドリフト。どうでもいい中立的な遺伝子が“偶然”次の世代に伝わること)の効果が大きいので一般的に進化スピードは速い。
②どうでもよくない遺伝子(私が考えたので学術用語ではありません)
その生物が生きる上で大切な機能を担う遺伝子。これが変異して機能を失えば生存競争に不利になりその個体は淘汰される。遺伝子浮動の効果は少ないので進化の速度は漸進的。
③ほぼ中立な遺伝子
集団サイズによって①になったり②になったりする遺伝子。集団サイズが小さいと生存競争がそこまで厳しくなく淘汰圧が低いので中立的に振舞う。逆に集団サイズが大きいと生存競争が厳しいので、その遺伝子が弱有害な場合、淘汰される可能性がある。
分子進化時計
アミノ酸配列の変化率はほぼ一定なことから(すなわち中立的)、異なる生物種のアミノ酸を比べて変化の度合いを調べれば、その二つの種類が分岐した時代が分かるという考え方。
元祖中立説
元祖中立説の木村資生さんは、タンパク質の進化速度がこれまで考えられていた以上にとても速く、一世代あたりの突然変異の数がすごく多くなっちゃうことを発見した。
自然淘汰にイチイチかかっていたらタンパク質の進化がこんなに速いはずはない。だからタンパク質の突然変異は中立的だとして「分子進化の中立説」を発表。
元祖中立説は、進化の速度は中立的遺伝子の突然変異率と同じとモデルを単純化した。しかしこのモデルでは、タンパク質の種類によって進化のスピードが異なることを説明できない。
たとえば血液を固めるフィブリノペプチドはイヌとウマではその材料(アミノ酸)の半分が違っているのに、染色体のクロマチン繊維を構成するヒストンはイヌとウマでもまったく同じアミノ酸配列だった。
この事実はアミノ酸の変化率が一定だと言う「分子進化時計」の考え方と矛盾してしまう。アミノ酸が数珠つなぎになってできているのがタンパク質だから。
ほぼ中立説
そこで「ほぼ中立進化説」では元祖中立説の中立な突然変異を「中立」と「ほぼ中立」の二種類に分けて、ほぼ中立な突然変異は場合によっては自然淘汰の影響を受けるとした。
これによればフィブリノペプチドはドリフトの効果が大きくいろんなタイプが残ったけど、ヒストンはドリフトよりも自然淘汰の力が強く、他のものは厳しい戦いに敗れて姿を消すことになった。
この違いは生物集団の大きさが大きく影響しているらしい。
集団サイズが大きい・・・競争が厳しく淘汰圧が高い。ドリフトの世代効果は低い。進化速度は遅い。
集団サイズが小さい・・・競争が緩く淘汰圧が低い。ドリフトの世代効果は高い。進化速度は速い。
ちなみに提唱者の太田朋子さんによれば「中立突然変異のほとんどはほぼ中立」だと言う。確かにそうかもしれない。どのような突然変異が自然淘汰を受けるかは、その時代の自然環境や競争相手によっても違うから普遍的ではないのだろう。
そうなるとごく僅かな「全く中立」としている突然変異も「ほぼ完全に中立」とした方がいいかもしれない。
過去を使って未来を中和
2010-11-13 02:56:23 (10 years ago)
vicさんの『ジュラシック・パーク』論を読んでいて、ふと思いついたことを。
これは勝手な想像なんですが、原作者のクライトンさんがなんで恐竜を使ったかっていう理由が解った。遺伝子工学への警鐘だけなら別に恐竜じゃなくてもいいわけで。クローン人間の話でもいいわけで。ミュータントタートルズでもいいわけで。
おそらく大むかしの動物である恐竜を使うことで、作中のテーマ進歩主義への批判を際立たせたかったのかな、と。
進歩主義(=近代合理主義的な科学観)に基づけば「昔=劣っているもの」「未来=素晴らしいもの」というかなり直線的な価値判断になります。
だから恐竜ルネサンス以前は恐竜を「今の動物よりも愚鈍だったから絶滅した」とバカにしていた。
でも恐竜を実際に現代に蘇らせてみたら、今の動物と振る舞いはほとんど変わらず、むしろでかい分強かったわけで(人間を騙すほど賢いのもいた)人間を恐怖のズンドコにたたき落してしまう。
vicさんが指摘する『ジュラシック・パーク』の過剰な恐怖演出は「昔=劣」とバカにする進歩主義の愚かさ?への皮肉かもしれない。
これとは逆にマルカムは、80年代当時には素晴らしい未来の技術であるとされた「遺伝子工学」や「コンピュータネットワーク」をケチョンケチョンに批判する。そんな技術大したものじゃないと。ネットなんてまだ一般普及してない時代だぜ。なのにもう批判しているw。つええ。はええ。
大体科学が進歩するにつれて生活が豊かになっていくならば、なぜ労働時間は現代の方が全然長いんだ、と原作では突っ込んでいる。
この意見は別に『クレヨンしんちゃん モーレツオトナ帝国の逆襲』のように「だから昔は良かった」的なことを言いたいわけじゃない。
じゃなくて「昔=劣っている」「未来=優れている」というのはかなり短絡的な価値判断だよって言うことを伝えたくて、進歩主義がバカにする「過去」を持ち上げ、進歩主義が素晴らしいとする「未来」を批判したんだと思う。これでやっと五分五分だろ、と。
だから『ジュラシック・パーク』って昔も未来も今とあんまり変わらないよって言う、極めて構造主義的なテーマの映画だったように思える。
う~んやはり原作小説は思想書としても面白いな。
これは勝手な想像なんですが、原作者のクライトンさんがなんで恐竜を使ったかっていう理由が解った。遺伝子工学への警鐘だけなら別に恐竜じゃなくてもいいわけで。クローン人間の話でもいいわけで。ミュータントタートルズでもいいわけで。
おそらく大むかしの動物である恐竜を使うことで、作中のテーマ進歩主義への批判を際立たせたかったのかな、と。
進歩主義(=近代合理主義的な科学観)に基づけば「昔=劣っているもの」「未来=素晴らしいもの」というかなり直線的な価値判断になります。
だから恐竜ルネサンス以前は恐竜を「今の動物よりも愚鈍だったから絶滅した」とバカにしていた。
でも恐竜を実際に現代に蘇らせてみたら、今の動物と振る舞いはほとんど変わらず、むしろでかい分強かったわけで(人間を騙すほど賢いのもいた)人間を恐怖のズンドコにたたき落してしまう。
vicさんが指摘する『ジュラシック・パーク』の過剰な恐怖演出は「昔=劣」とバカにする進歩主義の愚かさ?への皮肉かもしれない。
これとは逆にマルカムは、80年代当時には素晴らしい未来の技術であるとされた「遺伝子工学」や「コンピュータネットワーク」をケチョンケチョンに批判する。そんな技術大したものじゃないと。ネットなんてまだ一般普及してない時代だぜ。なのにもう批判しているw。つええ。はええ。
大体科学が進歩するにつれて生活が豊かになっていくならば、なぜ労働時間は現代の方が全然長いんだ、と原作では突っ込んでいる。
この意見は別に『クレヨンしんちゃん モーレツオトナ帝国の逆襲』のように「だから昔は良かった」的なことを言いたいわけじゃない。
じゃなくて「昔=劣っている」「未来=優れている」というのはかなり短絡的な価値判断だよって言うことを伝えたくて、進歩主義がバカにする「過去」を持ち上げ、進歩主義が素晴らしいとする「未来」を批判したんだと思う。これでやっと五分五分だろ、と。
だから『ジュラシック・パーク』って昔も未来も今とあんまり変わらないよって言う、極めて構造主義的なテーマの映画だったように思える。
う~んやはり原作小説は思想書としても面白いな。
水戸黄門 第27部 第6話 瞼の母がついた嘘 天童
2010-11-12 18:28:41 (10 years ago)
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カテゴリタグ:
- テレビ
水戸黄門って天童が物語の舞台になると必ず変化球投げてくるのかな?
私殺陣のない回って初めて見たよ!
この回って悪役が出てこないんですよ。あれ~?40分になっても悪役が出ないなあって思ったら、格さんがKYな役人にこっそり印籠を見せて、ひそひそ声で「この紋どころが目に入らんか」って言って、おっぱらっちゃうだけw。
お話自体は、息子と生き別れたおばさんが息子についたウソをつきとおすために、おせっかいやきな旅のじいが協力するって言う・・・まあベタな話なんですけど、貴重な回を見てしまった感じで満足。
やっぱり佐野浅夫さんの御老公、あおい輝彦さんの助さんと、伊吹吾郎さんの格さんが私の中ではベスト配役。助さん格さんは御老公よりも大きくてガタイがよくなきゃ。
あと飛猿いいね。弥七と違った雰囲気でニヒルでカッコイイ。萌え。
私殺陣のない回って初めて見たよ!
この回って悪役が出てこないんですよ。あれ~?40分になっても悪役が出ないなあって思ったら、格さんがKYな役人にこっそり印籠を見せて、ひそひそ声で「この紋どころが目に入らんか」って言って、おっぱらっちゃうだけw。
お話自体は、息子と生き別れたおばさんが息子についたウソをつきとおすために、おせっかいやきな旅のじいが協力するって言う・・・まあベタな話なんですけど、貴重な回を見てしまった感じで満足。
やっぱり佐野浅夫さんの御老公、あおい輝彦さんの助さんと、伊吹吾郎さんの格さんが私の中ではベスト配役。助さん格さんは御老公よりも大きくてガタイがよくなきゃ。
あと飛猿いいね。弥七と違った雰囲気でニヒルでカッコイイ。萌え。
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