ポセイドン・アドベンチャー

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」
 
 上へ行くといいものがあるの?
 ある。命です。


 私は「なんでこの人はこんな映画を作っちゃったんだろう?逆に言えばなぜ今この人はこれを作らざるを得なかったんだろう?」と心に引っかかりを残す作品が好きなんです。
 もちろんどんな作品も商売で作っている以上、マーチャンダイジングの論理が働いているのは確かなんでしょうが、それでも数が出てくると「なんだこれ?」っていう資本主義に真っ向から特攻するような、謎の作品にも出会える。
 そんなクリエイターの不器用な生き様が垣間見れる作品が大好きなんです。私も物語で人を感動させたい人間だから。

 今回、満を持して取り上げる『ポセイドン・アドベンチャー』は、近年の私の心に最もその“引っかかり”を残してくれた映画だと思う。
 映画自体は結構古く、『タイタニック』などの豪華客船転覆もののパイオニアとなった映画なのですが、とにかく描かれている内容が哲学的というか・・・いやなんて言えばいいんだろう?深いというか・・・

 いや!違う!

 こうやって文章を書くのが好きな私が、言語レベルに分解できないような圧倒的なエモーション(※カタルシスではない)を与えてくれるのが、この映画の最大の魅力。そもそも映画っていうのは言語(セリフ)はあるけど、まずもって映像のメディアだし。
 これは『デザーテッド・アイランド』みたいな「なんで作っちゃったんだろう?」っていう時の「なんだろう?」じゃなくて・・・もっと根本的でリアルな「人間ってなんだろう?」ってレベルの「なんだろう?」
 まあどっちにしろ「なんだろう?」なんだけど、この「なんだろう?」を与えてくれる映画ってそうそうないぞって。

 とにかく、マロさんに勧められて最初に見たとき、ラストがとにかく衝撃的で、それは映画的な王道を外したからとかじゃなくて、また、決して脚本が稚拙で作り手の意図がわからないとかじゃなくて、それでも正直なところ、この映画は“わからなかった”。どう評価していいのか。
 つまらないとか面白いを超えた何かだなっていうのは感じた。でもそれがなんなのかわからない。「なんだろう?」ってw
 そんなことを『80日~』最終章のプロットをどうするか打合せしてる時に友人に言ったら「田代がそんなふうにいう映画ってあんまないよな、見てみたくなった」って感じで話題がそれて、正直悔しかったってのはある(オレの漫画の話してるのに!ってw)。あのあと観たんかな?あいつw

 で、あの映画の答えは結局、哲学的な命題と一緒で、答えがあるようなもんじゃないから、この映画の感想記事もしばらく保留していたんだけど、ディザスター映画っぽい『80日宇宙一周 地球より愛をこめて』を完成させて、ツイッターでいろいろやり取りをしていたら、ちょっと感じたことがあって、覚書ってんじゃないけれど残しておこうかと。

 結局、何度も言うように私って一騎当千漫画が嫌なんだ。もちろん多少はそういう演出もやるときあるんだけど、いくらなんでもプロ対プロの戦いで一人の兵士が何百人もの敵を蹴散らすなんてありえないじゃん。
 でさ、じゃあ一騎当千はまったくもってリアリティがない状況なのかなって考えてみると、実はあるんだよ。それは自然災害なんだ。あいつら超強いじゃん。一気に何千、何万人をやっつけちゃう。

 そして地球に住んでいる以上、我々人間はそれに文句も言えない。住まわせてもらってんだからw誰に食わしてもらってんだ!ってw悲しいし、悔しいけど、この現実は受け入れなきゃいけない。
 でもそれじゃあまりにも残酷で厳しいから、人は昔から宗教を作り神を崇めてきた。この映画はそんな信仰心について、立場の異なる二人の聖職者を出し、そのどちらも正しいし、どちらも間違っているよと、かなり突き放して描いているところに特徴があるのではないか。

 話が前後するけど、私は一騎当千キャラは敵として描くべきだという人なんだ。小さい頃に読んだ『スイミー』の影響かもしれないけれど、今回の脚本も結局そういうお話になった。
 絶対敵わないような強大な敵に相対した時に、その人の本当の強さがわかる。いや強ければいいってわけじゃないけど、その人の生き様や人生観といった本質が出ると思うんだ。

 ああいう絶対逃げれない境遇になったとき、その人の本当の強さが出ますよね。今までさんざん革命とかクーデターとか紛争とか暴動とか描いてきたんですが、太陽系が終わる時はそういう部分をあえて描きませんでした(ツイッター)。

 って言ってるように、私『80日間宇宙一周』の最終章では、普通ならあんな世界の終わりが来たら、あの漫画の世界観では絶対暴動起きているはずなのに、あえてそれを描かなかったんだ。
 それは多少意図したところがあって、案外暴動って「未来」や「希望」があるからこそ起きるんじゃないかなって。未来を生きるために、相手を殺し奪っているわけ。
 それが全く希望がなかったら、もう受け入れるしかないじゃんって。だからベタな漫画やアニメだと「希望」は素晴らしいものだって言うけど、それは一面的な見方であって、用法用量を誤れば、それは惨劇の原因にもなるよってw

 これはつまり一作目のアンチテーゼなんだよね。世界が終わるとき、ほんのわずかな希望を求めてあがく人と、運命を受け入れて待つ人がいる・・・
 一作目は「諦めるのは逃げだ!」みたいな内容だったけど、受け入れるって行為も尊いよっていう。人間はみんな強くない。
 そう考えると『ポセイドン・アドベンチャー』の輪郭も多少はっきりしてくるんじゃないのかなって。スコット牧師はリポDなんだよwで、それを諭す神父さんは甘いスウィーツ。
 どっちも必要だけどそれだけ摂取してたら病気になるでしょってw

 しかしドキュメンタリー映画ならともかく、『ポセイドン・アドベンチャー』はフィクションの映画のはずなのに、あそこで描かれる結末はすごい残酷である意味平等。いい人や悪い人・・・そんなものは人間側の勝手な区別だってことを見せ付けられる。
 時には善い人も死ぬし、どうしょうもないやつも生き残る。そこに神の恣意的な救済はない。スコット牧師はニヒルだけど、決して無神論者じゃなかった。だからこそ叫ぶ。

 神よ!もう助けてくれとは言わない、だから邪魔だけはしないでくれ!と。

 人間は理屈で割り切れる存在じゃない。かといって理屈なしでも生きれない。人間は複雑でアンビバレントな存在だ。そんな“人間”を描いた映画だからこそ、この映画は語り継がれているのだろう。キャラじゃねえんだよ!

葛生化石館への旅

 葛生って小さい頃、行ったきりだったんだけど、あれだね、葛生ってすごい家から近かったっていうねw
 葛生って石灰岩がやたら取れて、その鉱山とか切り出し場とかセメント工場(工場マニア感涙のカッコよさ!)とかがあるんだけど、その石灰岩に有孔虫の仲間のフズリナとか、棘皮動物の仲間のウミユリとかの化石がすっごいたくさん混ざってて、それにちなんで(かどうかは分からないけど)図書館の中に化石博物館があるの。
 ここすごいよ。入館料はタダだし、タダで化石もらえるし、タダで余った本もらえるからね。化石と全然関係ないけど『チャーチル伝』とかもらってきちゃったw

 んで葛生化石館自体は小さな博物館なんだけど、その分学芸員さんとの距離が近くて、専門的なことをいろいろ気軽に聞けて、貝に疎い私はなかなか勉強になりました。
 以下は学芸員さんや同行したパキPさんから教えてもらったことのメモ。ノートとかにとってなかったから忘れないうちにここに書き残します。

クーペリナ
全長2ミリほどの腕足類の仲間。葛生では世界で4例目の発見。とても小さい。パッと見ポテトチップス。
腕足類っていうのはシャミセンガイの一種で、貝殻が二枚あるんだけど、二枚貝の仲間ではないし、そもそも貝でもないっていう生き物。じゃあなんなんだって気もするけど、NOクラム、YESワンソクってことなのだろう(私はよくわかっていない)。
腕足類の二枚の貝は、二枚貝のように体の左右についているのではなく、体の上下――つまり腹側と背中側についている点で二枚貝とは異なる。また二枚貝のように貝殻を閉じる蝶番がない。
生態としては、地面に固着し、流れてくる餌を越しとって食べる、待ち伏せ型。この戦略がアダになったかはわからないけれど、ペルム紀の大絶滅で大きく勢力が弱まり、同期の二枚貝に勢力地図を塗り替えられ、現在に至る。

フズリナ
ご存知、古生代の示準化石。石灰石の中では円形の状態で見つかることが多いが、これは断面の図であり、実際は紡錘型というか、亀田の柿ピーというか・・・まあそんな形。
周りの岩石が風化すると、炭酸カルシウムの硬い殻を持つフズリナは、それこそ柿の種のようにポロポロ取れる。
なんと葛生ではごく普通の川原でもゴロゴロ見つかる。私ももらった。

ウミユリ
なんと葛生ではごく普通の川原でもゴロゴロ見つかる(二回目)。
ウミユリも茎の部分の断面が化石になっていることが多いが、結構な率で茎を横から見た状態でも見つかるし、中には親指くらいのとんでもなく太い茎を持つ化石も見つかる。
そしてそれがフツーに河川敷の石段になっている。
ウミユリの茎の部分は五円玉を上下につなげたような構造になっていて(レジで使う前の硬貨的なアレ)それが節ごとにバラバラと剥がれるらしい。し・・・知らなかった・・・!!

イノストランケビア
でけえこええ。

ヤベオオツノジカ
でけえこええ。

葛生原人
一時期話題になったんだけど、すごいよこの人、原人どころか15~17世紀の人だったんだってwしかも化石にはもはや人でもない動物の骨が混ざっていて・・・ええとなんだったけかな、クマとニホンザルとトラだったっけ・・・葛生原人フォーエバー。

 あと石灰岩ってセメントや肥料の他、すっごい色々な用途があるんだなあって勉強になった。特に鋼鉄を作るのにコークスと一緒に入れて不純物を取り除くとか知らなかった。そもそも地学ってそうだよね、工業的な分野にも生かされる学問だもんね。
 運動会でライン引くだけじゃないぞっていう。塩酸垂らしたら二酸化炭素出すだけじゃないぞっていう。ありがとう石灰岩。

アイアンマン3

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 それならなんか別なの作れば?

 近年稀に見るスゴイ変な映画。とにかく見てて疲れる!3Dってこともあったんだろうけど、『アイアンマン1』『2』と手堅いプロットと構成で来て、この第3弾はかなり挑発的だ。
 とにかくこれまで積み上げてきたものをここまで全否定しちゃうってなかなかすごい。もう壊す壊す。メタメタ。
 多分、私、この映画見るスタンス間違っちゃったなって。これは、これまでやっていた政治風刺とかヒーロー映画というよりは、まさかのコメディギャグ!

 つーか、なんだあの黒幕は!!wwくそ~かぶった~~~!!ああいう虚構と戦っていたって話はたった今作ったばっかだからなあ・・・『ウォッチメン』といい、なぜ私の作る話はここまでアメコミとかぶる!??全然アメコミとか知らないのにね・・・感性が近いのかな。
 女性生物学者とか、なんでここまでかぶんのかな。言わせてるセリフまでかぶったもんね。もういい、知らん。オレがパクったのは『カーズ2』だけ、それだけだ・・・

 でもさ、アイアンマンって『アベンジャーズ』でかなり美味しい役どころ与えられて、結構キャラを成長させちゃったじゃん(英雄の資質を得た)。だから「あの後どうすりゃいいんだよ」ってのは絶対あったと思うんだよ。
 それに宇宙から来たエイリアン出しちゃったわけで、そんな後で地球の犯罪者なんかと戦わせてもなあ・・・ってw
 つまり、もう壊すしかなかったんだろうなって。自分を苦しめる「悪魔の影」としてアイアンマンのパワードスーツを描いていたんだけど、普通に観れば、このお話って『ガンダム』(ロボットを着て戦っていたけど、いつの間にか操っていたロボットの方に自分のアイデンティティを奪われてしまう)であり、『ジュラシック・パーク』(子供っぽい趣味を大人になってもやめられないオタクが、それを卒業する)なんだよね。

 でも、おそらくスタッフがああいう話を作ったっていうのには、もっと大きな意味合いがあって、とにかく「一度リセットしないと、もうこれ以上は無理です!!」ってのがあったんじゃないかな。
 『1』『2』の完成度を期待していると肩透かしくらっちゃうけど、「いやいや『アベンジャーズ』やっちゃったじゃないですか、あれ以上のものはちょっと勘弁してよ」っていう作り手側の心の叫びみたいなのが聞こえてくるようで、それはそれで興味深かったなあってw
 こういうシリーズ全体のアンチテーゼを公式が堂々とやれちゃうんだから、マーベルって懐深いなあっていうか、なんでもアリなんだな。って思いました。

 何しろスターク社長は今回、ほとんどアイアンマンスーツ着て戦ってないし、最後の方、リモートコントロールで戦わせてるからね。結局AIのジャービスが一番強いんじゃねえかってwスタークいなくていいだろって。
 で、なんか「そうです。私がアイアンマンのメカニックです」って原点に戻ったというかwオレが作ったんだ、壊そうが文句あっかってw
 最後のミス・ポッツがアインアンスーツ叩き壊すところなんて、奥さんが旦那の釣竿取り上げてるようなもんだもんね。「あなたいいかげんにして!」ってwあれは怖かったよなw
 で、アイアンマンをすべて花火に使っちゃうという衝撃のラストなんだけど、まあ順当に観れば、あの描写は、ロボットよりも奥さんとったよってことなんだろうけど、なんか釈然としないよね。

 お前が機械いじり卒業するはずないじゃん。

 あのラストが立つのは、この映画が最後のアイアンマンの映画になる場合だけであって、あれでしょ?『アベンジャーズ2』やるし、『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』にもアイアンマンは参戦するんでしょ?
 つまりアイアンマンシリーズはこれからも続くんでしょ?ってのがあってどうにも納得できなかった。友達と「全体的によくわかんない映画だったよね」ってw

 ポスト911、科学技術への警鐘、英雄の孤独と葛藤・・・そんなもんは実際どうでもよくて、単なるメタレベルのギャグにしちゃっているのがもったいなかったかなあって思う。
 今まではリアルを虚構に取り入れたインテリな感じがあったけど、『3』は冗談じゃねえ、リアルなんかよりも虚構(アメコミ)がオレたちは好きなんだ!っていう虚構の逆襲を描いたようにも感じました。
 まあ、これってある意味本音だよね。教養があるように思ってもらっちゃ困ります、オレたちただのオタクですってねw

 家でも着るようになったの?

 そうです。アイアンスーツは女性でも大統領でも着こなせます。バッカじゃない?w

ステキな金縛り

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 考えてもみてよ、太古の昔からとてつもない数の人が死んでんのよ?ネアンデルタールなんかもわさわさ歩いてるのよ?

 三谷幸喜さんのコメディって、あの人しか出せない独特の世界観(雰囲気)や人物描写のメソッドみたいなのがあって、すごく好きなんだけど、この映画はなんだかんだでまだ見てなかった・・・映画館はいいやってスルーしちゃった。
 もちろん三谷さんの映画は『ラヂオの時間』からちゃんと見ているんだけど、『ザ・有頂天ホテル』あたりからどんどん尺(と出てくるキャラの数)が長くなってきちゃって、もう映画館で見てて疲れちゃうんだよね。

 笑うのって体力いるんだなあって、この人の映画を見るとつくづく思っちゃうのw

 それと、最近の三谷さんの映画の脚本のつくり方って、キャラの濃い人をいっぱい出して気の向くままにフリートークさせるような、キャラの掛け合いの面白さを前面に出すようなところがあって、映画的な構成はあまり重視していないというか。
 いい意味でグダグダっていうかねw

 作中、被告人のセリフで「なんか最近、落ち武者中心に回ってません?」っていうのがあるんだけど、あれ絶対三谷さん脚本書いてて「あれ?そういや何の話だったんだっけ?」って話の筋を見失ってたと思うんだよw
 落ち武者悪乗りさせるのが楽しくなっちゃってw結局コメディの人だからね。いい話・・・よりは笑える話を作ることを優先させちゃうわけだしw

 和風カルボナーラを何卒お頼み申す・・・!

 んで「そうだったそうだった」って強引に話を元に戻して・・・だから勝手な想像だけど、三谷さん脚本最初っから最後まで順番通りに書いてってんじゃないかなって。
 変に伏線とか構成気にせずに。そりゃあらすじくらいは作ってから書いているんだろうけど、冒頭からラストまで一気にガガガってやってるような。
 そして笑えるところはたとえ物語的にグダつくようでもカットしないというwカットできないよ、コメディ映画なんだからってw
 でも悲しいかな、笑えるネタで意外と話の筋に絡むものってそんなに作れないんだよね。しかも、話の筋と全然関係ないネタのほうが、むしろ笑えるというか。脱構築的なところあるじゃん、笑いって。

 まあ、これは全部私の想像だけど、そういう書き方じゃないと、あんなたくさんいるキャラクター動かしきれないっていうか。
 私もキャラが多い脚本書いたばっかりで、やっぱり綺麗な構成とか意識しててもペンが走らなかったから・・・
 「ライト実は人気者でミグが身を引く」「イルミナが宇宙を救うアイテムをイワンに託して死んじゃう」といった絶対ハズしちゃいけないチェックポイントだけ押さえて、あとはほぼ順番通りに書いてったからね。
 じゃないとなんか書いてる自分も物語に入り込めないんだ。もちベーションが上がっていかないというか(C)劇団ヘロヘロ共和国

 でも三谷さんって面白くて、なんか三谷作品って全体的に“ひょうひょう”としてるんだよね。そんなに本気で作っていませんよ~みたいな。
 そもそも三谷さん自身が、あんまり他人に本音を見せる人じゃない気がするし(家に親戚すらあげないとか!)。
 なんか深層心理のドアがあるとすれば、一番深いところに死ぬまで絶対に開けない一枚があるっていうかさ。
 創作って作家の深層心理を全部丸裸にしてさらけ出すようなところがあるから、その点、三谷さんってシャイっていうか、底を見せてないよなあって。全力でやってないでしょうってw
 だから、中学生くらいでありがちな「知らないうちにこんな恥ずかしいもん作ってたよ!!」みたいな失敗談、この人にはないんじゃないかなってw

 でも、それこそが三谷作品の人気の秘密なんじゃないかって思う。笑いって結構残酷なところがあるけど、三谷さんの笑いってあまりにバカバカしすぎて脱力系というかさ。風刺性がないっていうか。
 誰も傷つかない笑いを描くには、それくらいの冷静さが必要なのかなって。
 
 いや、思いのほか早う見つかりました。ハチ公と並んでおりました。

 まあ、多少落ち武者役の西田敏行さんのアドリブが面白いっていうのもあるんだろうけど、やっぱテキストからして三谷節だもんね。
 作中描かれる小田原が、東洋でも西洋でもない不思議な世界に見えるように、この人の笑いっていうのはなんか抽象的かつ、普遍的なところを追求してるんだろうなあって。

 なにも考えてない気もするけど・・・

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』制作裏話

 いや~終わった。
 終わってしまった・・・長い宇宙旅行が・・・ゴールデンのウィークにw
 なんかもう感無量なんで、とりあえず今まで頑張ってくれたキャラ達にコメント書いて終わりにします。金八先生の卒業式みたくていいでしょう?w

ミグ
 この人って、気丈なように見えてすっごい人間的に脆いというか・・・やってることマッチョな軍人なのに、なぜか強い人間に見えないんだよね。
 なんか昔の恋人出てきてさ、けっこうすぐにその気になっちゃうじゃんwあれって浮気性とかじゃなくて、逆に義理堅いんだと思う。受けた恩は絶対に忘れないって。
 人の善意を確信しているようなところがあって、そういうところ好きだった。お人好しなんだ。
 それにミグって背が高くてスタイリッシュだから、ライトよりはやっぱりイワンの方がお似合いというかカップルとしては映えるよね。ミグってライトよりも背が高いし。
 もともとライトとミグは正反対のキャラとして作ったから相性いいわけないんだよwでも結婚相手って面白いものらしくてさ。「え~あの人と結婚したの?」ってことよくあるんだって。
 それと今回のミグって今までとちょっとキャラを変えたんだ。今までもちょっとずつ変えてったんだけど、最終章ではさらに思い切って丸くした。言葉遣いとか。「~だぞ」とか男性的な口調は、もうあんまし言わせてないと思う。
 それと今までのお約束だった「所さん」と「EM銃でドカン」を封印したんだよね。意図的に。これで今までのミグと差別化できるかなあって。
 でも最後の地球の無線の声、私の脳内では声の出演所さんだからwバズ・ライトイヤーみたいな感じで。まあ仮にアニメになったらそういうふうになるよねていう妄想なんだけど。

ライト
 長い話作ってて面白いのはさ、続き(未来)を作っているのに、それと同時に前(過去)も出来てっちゃうことだよね。いつの間にかw
 マロさんの「ライトの人生って波乱万丈ですね」ってコメントでハッとなったんだけど。 
 んでうまい感じに最終章で、最初の『80日~』のフリが完成したじゃん。このシリーズって冥王星の近くをライトが宇宙船で飛んでるとこから始まるけど、どういう心理状態で飛んでたんだお前はって。
 「80日間で宇宙一周や!」とか言ってたけど、絶対無理だもんねwで、隕石の爆破に巻き込まれちゃって冥王星のミグの家に墜落するんだけど。あれって今思えばある種の“自殺”だったんじゃないの?って思う。
 もちろん最初の話を作っているときはただ夢に向かって冒険しているってだけのシーンで、それ以上の意味はなかったんだけど。
 続編を作っていくうちに、あのシーンの前に恋人が死んで、両親が別れて、友達が逮捕されたってことになって・・・どういう不幸のドミノ倒しだよって。ならあの時ライトは絶対精神的におかしいだろって。
 つまり一作目で、自暴自棄になっていたミグをライトが助けたのは、自分と同じ境遇の人を助けることで、あいつも救われてたんだってことになる。
 最後まで作ってから、一作目を読むと同じシーンのはずなのに全然意味合いが違ってくるんだよね。一作目に全く手を入れず印象変わっちゃうんだから面白いよなあって。

イワン
 私もう確信したことがあって。「かっこいいキャラクターが作れない」んだ。どう考えても。
無理。どうやってもカッコ悪くなっちゃう。自分の中にないものは描けないっていうけど、やっぱ私イケてないからねwそんなヤツが自分のキャラにかっこいいセリフ言わせてもすべっちゃうんだよ。
 じゃあ、いっそハナからそういうキャラにしちゃえってことで、とことん惨めでカッコ悪い人にしたんだ。
 やっぱりね。このキャラがまとまる直前「自分をごまかして生きてる」って言われてね。それがすっごいショックだったんだけど、確かにそうだよなって納得しちゃったんだw馬鹿だからw
 自分ではかっこいいこと言ったりやったりしているつもりなのに、結局その全ては独りよがりな妄想だっていうね。ジェームズ・ボンドの真似してるだけじゃんってコールガールに言われちゃうの。 
 挙げ句の果てには自分が戦っている相手すら自分自身で勝手に作り上げているっていう。まあドン・キホーテなんだけど。これって今の情報化社会のメタファーでもあるよね。お前は一体誰と戦ってるんだ?って人、ネットにいっぱいいるしw
 それとイワンってコールガールは抱けるのに、ミグの時はなんかくさいこと言って逃げちゃうんだよね。結局真剣に人を愛せないんだよね。
 リアルに人を愛するってことは、その人のために生きるってことだから。それは自分が作り上げた独りよがりのスパイ映画の世界が壊れちゃうってことだから。
 本当に情けないやつだよね。でも世の中にスパイ経験したことがある人は少ないけど、こういう嘘ついたことのある人はいっぱいいるから。そういうアプローチでスパイ描いてみたんだ。

イルミナ
 刑務所に恐ろしい犯罪者が捕まっているってシーンは木星編から考えてたんだ。で、入っているのはもともとマルドゥクだったんだよ。
 宇宙一危険な犯罪者をピカさんが脱獄させちゃうっていうアイディアで。でもそれだとまんま『MIB3』のパクリになっちゃうからボツにしたんだけど。
 それでもあの映画の「月の刑務所」ってアイディアいいなって。だから意表をついて、そこにか弱い女性が捕まっているのはどうだって。
 イルミナについてはキャラの設定が二転三転したのはご存知のとおり。当初の設定ではライトの姉さんだったんだけど、最終的にレオナ、ヴィンに続く、ライトの第三の幼馴染ってことになった。
 この人が宇宙を救う大事なアイテムを残して、不幸な死を遂げるっていうのははじめから決まってたから、ライトの姉ってなるとライトの家族で一人だけ死者がでちゃうことになってそれはまずいなあってw最後の戦いの前にさらにライトを追い込んでどうするっていうのがあったから、できる限りライトから遠い存在にし直した。
 私『人魚姫』って好きなんだ。あれって本当に救いようないじゃんwああいうのってなんで感動するのかな。「コイツに比べればオレはマシだ」ってことなのかなw
 イルミナもライトに思いを伝えられないままあっさり死んじゃうんだけど、宇宙一の知能を持つ怪獣とか言われてて、でも最後は意外とあっけないって妙でリアルでよかったな。
 結局彼女は怪物でもなんでもなくて、怪物って思っていたのは周りの人間だったっていうね。死んじゃったあとに、普通の恋する女の子だったって分かるっていう。あれ?いい人じゃんってw
 なんか『人魚姫』っていうよりは『ごんぎつね』みたいになっちゃったなw

ゴダード
 このジジイ三人組って『ナイトミュージアム』の夜警トリオだよねw
 あのロケット作ってるのって『ライトスタッフ』をイメージしたつもりだったんだけど、どっちかというと夏休みに秘密基地で悪ガキが集まって工作しているような感じになっちゃって、それはそれで素敵だなってw私は“かっこいい”が描けないからね(二回目)

ミュウ
 恋愛ドラマを動かすのには、こういう第三項って絶対必要だよね。
 わかりやすい例だと三角関係だけど、ミュウがライトに恋心を抱いているって感じにはしたくなかった。それじゃコテコテになっちゃうしwとはいえビジネスライクって感じでもないんだよな。
 この人がライトのことを好きなのは確かだと思うよ。ただ恋愛感情っていうわけではなくて。

アリエル
 ごめんあまり出なかったwほとんど登場シーンカットしちゃったからねw
 本来はミグの心情に大きな変化を与える鍵になる役割があったんだよアリエル。アリエルは一生懸命ミグを励ましてやるんだけど、彼女自身は、もう機械としてガタが来ていて、くしゃみをすると口から歯車やネジが出てきて・・・w
 でもそんなことをファンの誰にも知られないように笑顔でステージにかけていく・・・その姿をミグが見て「なにやってんだろ」って・・・でもやめた。
 木星で出てきて死ぬはずだったイルミナがこっち(最終章)に来ちゃったから、悲しい展開は彼女だけにしようってことで、アリエルは今回も元気いっぱいの女の子でした。

ルヴェリエ王子
 ルヴェリエとアリエルをセットで出すのは初期から決まってたんだ。
 なんか作劇上のポジションもふたりは似てたし、なんか二人を並べると可愛い兄弟みたいじゃん。賢い弟とドジなお姉ちゃんって感じで。なんかスピンオフやるならこのコンビ面白い気がするな。パラソルのシーンあたりでなんか手応えあったしw
 あと会議のシーンの兄貴よかったなあw

フレミング
 この人が一応今回の悪役・・・ってことになるのかな?でもこの人そんなに悪かったのかって感じはあるよね。イワンと何がちがかったんだろうって。
 女の子殺しちゃったかどうかってだけなんじゃないのって。殺すのがおっさんならいいのかっていう。

ゲオルグ警部
 イルミナが閉じ込められた強化ガラスの球体はこの人がパンチで叩き割る予定でした。ジャンプ的に考えるなら、オレこのオヤジが一番強いと思うんだ。防弾ガラス割ってたからねw

ケプラー
 ここまで正直に言われると一周して腹も立たないよね。

ピカール博士
 騙されちゃダメだよね。こいつ悪い奴だよw本当に悪い奴はラストまで生き残るっていうのが私の考えだから。
 作中死んじゃう悪役って結局悪になりきれなかったってことなんじゃないかなって思ってる。悪としても未熟だったから主人公ごときにやられちゃうんだ、お前は!みたいなw

ミスターアップル
 何も手をくださず情報だけで世界を動かすってすごいけど、考えてみればそうなるよね。だってこいつただの板だもんw手出せないんだよ。まず手がないからw
 神って案外そんな存在のような気がするんだよ、私たちの世界になにかちょっかい出すには存在がでかすぎるというかw



 最後の最後に・・・読んでくれた方本当にありがとう。特にマロさんがいなかったらこの一大叙事詩は完結しませんでした。心からの感謝を。それでは地球で!
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