デカルトについて

 この記事はdescf氏の疑問の解答です。でも私、哲学研究者じゃないので、大体しか分かりません。あしからず。

 考えてみれば、世の中に確実なものなんてないって気付きます。そうやって「世界の全てを疑って、それでも疑いようのないものを見つけよう」と考えたのが、数学者のデカルトです。
 このやり方を「方法的懐疑」って言って、「じゃあ自分の存在も幻で存在しないかもしれない」って、究極的にデカルトは疑うわけなんですけど、でもそうやって疑っている以上、疑っている自分の存在は、存在していないと疑えないことになるので、「じゃあ自分は存在してるんだな」って結論が「われ思うゆえにわれあり」という言葉です。

 実を言うとデカルトの方法的懐疑とかの思想は、どっちかというと自然科学よりで、まあデカルトって科学者でもあるからなんですけど、以後の科学哲学や、「自己そのもの」の研究に大きな影響を与えています。
 たとえば、量子力学や動物行動学のフィールド研究などで、今はやばい事態になっている「客観的再現性」という科学の考え方があるんですけど、大雑把に言うとこれは「実験や観察をしている研究者は、研究対象とは無関係な、客観的なものとして基本的に疑っちゃダメ」ってことなんですけど、これって「自分の存在は疑わない」デカルトの思想を受け継いでいると思います。

 このように、主体(研究者)と客体(自然)を分けて考える哲学のやり方こそデカルトの哲学で、以後このラインで自然科学の研究や、自己を対象とする哲学(カントとか)が行われていきます。今は不確定性原理とかでくずれました。
 デカルトには他にも「心身二元論」と言う功績もあるのですが、これはバイオロジーの第1回で触れているのでそちらをご覧ください。

作り手は理性、読み手は感性

 日本語ってなかなか難しくて、なんというか曖昧と言うか、はぐらかしてニュアンスを伝える言葉ですよね。こういったはっきりと物事を相手に伝えようとしない「本来の言葉の目的としてはおかしいだろ」って言語使っているから、日本人の恋愛観も、人間関係も、空気読む人がいいとか、なんで気持ちを察しないとか、言葉を深読みしなきゃ伝達がしっかり成立しない場合が多々あるのではないかと思います。

 「人間言葉じゃ伝えきれない想いがある」とか言いますけど、じゃあジェスチャーとか表情でコミュニケーションがそれよりもできるかと言えば、そうでないわけで、やはり言葉を使いこなせなきゃ人間関係はしんどいし、楽しくないわけです。
 しかも、これは自分と他者の双方がある程度言葉をうまく扱えなければいけないので、一生懸命話し手が言葉を正確に述べても、相手が言葉を知らないんじゃ、結局伝わりません。

 芸術作品でも、「別にそれでいいじゃん。その表現媒体が他者に伝える正解が一つだと面白くないよ」とか言う人がいますが、こんな屁理屈、佐賀のがばいばあちゃんでも言いません。正解が一つじゃないからって、送り手が正解を作らなくていいはずはない。こういうコミュニケーション軽視の人がいるから、子供っぽいもめ事が起きてしまうような。

 で、なんでこんなことになったのかな?って考えてみたんですけど、おそらく「現在は映像の世紀だからじゃないか」と思うんです。映像って理屈じゃないし、でも受け手に与えるインパクトは大きいわけで。感性に訴えてくるんですよね。
 そんな映像の社会で生きているから、なんとなくのイメージでしか人は、ものを見なくなっちゃったんじゃないか、と。
 でもそれってやっぱり「なんとなく」しか伝わらないわけだから、結局相手が何が伝えたかったかは分からない。これが齟齬の原因じゃないかと思います。

 仕事とかする上でこのコミュニケーションの力はとても重要だし、漫画だって読み手を感動させるには絵の曖昧なイメージだけじゃなく、なにか明確なメッセージをぶちこまなければいけないと思います。
 で、その受け手に対する明確なメッセージを上手く発射できるかは、ノラネコさんの言葉を借りれば、やはり「ロジック」なんじゃないか、と。
 送り手は物語をロジックで組み立て、受け手に発射、受けてはそれによって感性を揺さぶられるわけで、この議論で大切なのは、「感性を揺さぶるのは感性じゃなく、意外とロジックなんじゃないか」ってことです。
 リードなんかに即して言えば、ロジックを組み立てる想像力を働かせるためには、理性と感性どちらも必要なのは言うまでもないんですが。

 大体感性だけで生きてたら、世の中絶対やっていけない。道徳とかモラルって超自我がなんだって言いますけど、理性の領域だと思うんですよ。
 例えば人に向かって「キミの顔はぼくの美的感覚に合わない。不細工」とか言ったら、こいつ友達できませんよ。

 でも逆に理性を総動員して、相手に自分の意見を的確に言うのもまずいのかな?私なんかは的確に切り込んでくるとかTくんやKO氏に言われたし、もうちょっと曖昧なニュアンスでしゃべるようにしよう。それが日本人のあるべき態度かもしれないし。
 女性も結構自分の意見言わない、奥ゆかしい男性の方が好きな人多いらしいですからね。で、自分の思いつきはやたら言うんだけど。
 結論:日本語は相手にわざわざ自分の想いを汲み取らせる厄介な言葉。

定滑車と動滑車について

 今年度から中途半端に副教材として復活した中学校の理科の分野は、イオン、てこの原理、月の軌道、遺伝子などがありますが、定滑車と動滑車もカムバックしました。
 滑車を上手く使うと、重い物を少ない力(仕事の量は結局一緒)でこなすことができるって話なんですが、一時期消えた分野の中で、滑車だけはテキストから学習がいのページにもほとんど姿を消していて、まあその内テキストにもしっかり載ると思うんですけど、今は塾で教える時ちょっとテキストにないのは不便なんで要点をまとめます。

 まず「定滑車」なんですが、これは天井に滑車が固定されていて、その滑車にロープを取り付けて、そのロープの片方に荷物を吊るし、もう片方のロープを下に引っ張って、荷物を持ち上げるという方法です。
 これは結局荷物の位置エネルギー分、頑張って引っ張らなきゃいけないので、けっこうしんどいです。

 で、「動滑車」というのはロープの片方を天井にくっつけて、ロープの真ん中に滑車をぶらさげて、その“滑車”に荷物を取りつけて、ロープのもう片方を上に引っ張る方法です。
 この場合、引っ張る人と天井が半分ずっこで荷物を持ち上げてくれることになるので、半分の力で仕事ができます。
 でも結局、動滑車の時の二倍ロープを引っ張る必要があるので、最終的にこなす仕事の量は一緒です。

 滑車の数をガンガン増やすと、とんでもなく重いものも(ロープを引っ張る時間はかかりますが)持ち上げることができます。建設現場のクレーンなどは滑車をうまく組み合わせていて、何トンもの荷物を吊り上げています。
 「定滑車×5、動滑車×5」の組み合わせの場合、引っ張る力は10分の1になってくれますが、ワイヤーを引っ張る距離は10倍になるので、けっこうのろのろです。
 
 まとめ
「仕事(ジュール)=力の大きさ×その力を動かした距離(動滑車の場合は荷物でなくロープを引っ張った長さ!)」
「仕事率(W)=仕事(ジュール)/かかった時間(秒)」

バルールについて

 学校の授業で先生が「バルールがどうこう」とか何気なく言ってたんですけど、結局さっぱり意味が分からなかった思い出があります。
 バルールとは「色価」とも言うそうで、色に関係する絵画の概念の言葉なんでしょうけれど、私の眼は赤と緑の区別がつかないので、まあ色がちゃんと分からないんです(花火茶色で塗ったり、人の肌を緑で塗ったりします)。だから色の話をされても、クオリアとして理解や納得が出来ないから、どうにもならないというか・・・
 それでも頑張ってイメージしてみるに、色と言うのは色相や彩度、明度によって、奥まって見えたり、飛び出して見えるので(分かりやすい例は、影の明度の暗いところ)そこをふまえた上で、画家の人は色の選択して立体感や空間を出しているのかな、と。
 調べてみたら「バルールとは色の相関関係が重要」とか描いてあって、まあ青のとなりに補色の黄色置いたら、かなり黄色が強調されて見えるとかそういうことかもしれません。違うかな?

 色に関しては私は正確に見えていない・・・というか、何を持って正確に色が見えているかは他人の目になれない以上、確認のしようがないですけど、とにかく他の人はもっと青と赤が明確に区別できるらしいですね。
 だから色に関係する絵画技法の話をされても、私はなかなか実感が出来ないのかもしれないです。まあ画家になるつもりはないし、バルールを考えてどこにどの色をのせるかは、色がちゃんと解っていても、その人のセンスの問題もあるし難しいですよね。
 すごい画家の作品って形が取れてるどうこうもありますけど、鑑賞者の心を打つのは、やっぱり色遣いの巧みさだと思います。バルール・・・解れば面白いんだろうなあ。

トリケラトプスについて

 ちびっ子の人気が最も高いであろう恐竜が、最大の角竜「トリケラトプス」だと思うのですが、この恐竜、復元図をかっこよく描くのが最も難しい部類に入るんじゃないでしょうか?
 でかい頭に角が三本生えているというデザインは秀逸で、派手なもの好きな子にはたまらなくかっこいいんでしょうけど(私の周りにもとてもファンが多いです)、よ~く骨格を観察してみると、私はこの恐竜さほどかっこよくないと思うんです。少なくとも骨は。
 まあ私は小さい頃から「でかくてのろま」と言うイメージのブロントサウルス派だったんで、トリケラトプスにはあんまり思い入れが無かったからなんでしょうけど・・・。

 トリケラトプスは、かつて複数の種類に分類されていましたが、現在ではそれは「個体差」と言うことになり、小型種のT.プロルススとT.ホリドゥスの二種類に統合されているようです。で、この個体差がなかなか曲者で、標本によっては同じトリケラトプスだけれども受ける印象が全然違うんです。正直かっこよくない奴もいます。特に頭の形にかなりの差があって、いきすぎた馬面もいたみたいですね。
 ちなみに襟飾りの縁のギザギザが無い標本がありますが、あれは昔の人が標本を作る際にギザギザをとって、滑らかにしちゃったらしいです。・・・なぜに?

 で、トリケラトプスは骨がそもそも想像よりもかっこよくないと思うので、出来る限り骨をふまえながら復元でかっこよくするしかないんじゃないか、と私は思いました。
 例えば、肉食恐竜と違って、目の穴なんかはただの丸い穴だし、あの長い角もどうやって生えていたんだか、いまだに分かっていません。前衛的な説では、角と頭の境界が骨格では明確ではないことから、角の根元から堅い角が生えていて、他は普通の皮膚・・・という従来の復元でなく「もう頭全部硬質化されてたんじゃないか」っていう復元もあります。確かすっごいマニアな雑誌だった『恐竜学最前線』か『ディノプレス』かなんかで、試みられていたような・・・でもこの説、私の感性ではビジュアル的に今ひとつなので、保守的な復元を取りました(新しい説からって正しいとは限らないですし)。「頭全部硬質化復元」は結局流行らなかったのか、最近見なくなってますしね。
 まあとにかく恐竜の復元描く人も、学説と絵的な表現、かっこよさの間で悩んでいるんでしょうね。

トリケラトプスのモルフォロジー
・襟飾りや鼻づら、角に多様な個体差がある。
・鼻腔の穴が広い。
・鼻づらは薄いが、体はとんでもなく厚みがあってボリューム満載。特に腰の幅は広い。
・広い腰を持ち、そこに大腿がくっつくので相当後ろ脚には筋肉がついていたと思われる。腰の形はちょっとウシっぽい。
・足の指は短く、蹄は横に平たい。後ろ脚の方が若干指が長い。
・指の数は前が5本。後が4本。
・前脚の手は外側をむいている。
・前脚の指の外側の二本は他の指よりも短く、一番外側はかなり小さい。
・後ろ脚の指の一番内側の指は、関節が最も少なく他の指よりも短い。蹄もあまり平らではない。
・総じて脚の横幅(厚み、奥行き)はかなり広い。
・尻尾は短い。
・頸の骨は「想像よりも」細く長い。あのでかい頭をどうやって支えていたのか謎。襟飾りの裏と肩にどう筋肉がついていたかが気になる。

 トリケラトプスはティラノサウルスと同じく、恐竜時代の最後の最後に登場した、究極進化系です。もうトカゲ、爬虫類っていうイメージがほとんど払しょくされていて、かといって鳥でもない、独特の生物と化しています。
 ワニなどの爬虫類は、基本的に生きている時も、骨のイメージそのままって感じで、復元もそういう意味では楽なんですが、それに対して哺乳類って骨のイメージと、肉や毛がついて、生きている時のイメージがかなり異なっていて、ゾウやサイなんか骨が御本人のイメージと全然違うんです。人もそうですよね。人知らない生物が人の骨だけ見て、恐竜のていで復元したら、宇宙人見たくなるんじゃないですか?解剖学のプロでさえ、ライオンやトラ、ヒョウなどの食肉類を、骨だけ見て正確に言い当てるのはかなり難しいと言う話がありますし。
 で、何が言いたいかというと、トリケラトプスも哺乳類と同じじゃないか、と。骨はあれでも、目の穴とかけっこうウシの骨っぽいし、生きてた時は、哺乳類のように骨とはかなり違う印象だったのかもしれませんね。他の恐竜以上に。
 というか、なんかウシくさいですよね。トリケラトプス。もう骨ばっかり見ていると、でかいウシにしか見えないぞトリケラトプス。
 トリケラトプスファンの方ごめんなさい。

 追記:チョコラザウルスのモデラーの菅谷中さんの角竜のイラストってメチャクチャ上手いですね!この方、フィギュアの原型も超うまい(特にテリジノサウルス)ですけど、角竜をここまでかっこよく描けるとはすごいです。体つきも、ちょうどいいがっしりさで。

 さらに「古代王者恐竜キング」のトリケラトプスもかっこいい!頭と体のバランスがバッチリ。首が長すぎじゃないし、背中のラインも私好みです。このトリケラトプスのラジコン、前橋駅の待合所になぜか置いてあって欲しいけど、もはや店頭に売ってないんだよなあ。
 ぶっちゃけ恐竜キングなんて子供だましでいいのに、復元しかっりやるところがさすがSEGA。ロストワールドのアーケードゲームのカルノタウルスもカメレオンっぽい目以外は骨格をふまえていたし。あのBOSS戦のBGMはいいですよね。
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