祝!映画感想記事100本目!
「面白い度☆☆ 好き度☆☆☆☆ なんか楽しい☆☆☆☆☆」
今のは入場料分にはなっただろ。
ドイヒ~な映画。もう構成も雑で展開も荒削りで、ぶっちゃけなにがなにやらわけがわからないんだけどなぜかメチャメチャ楽しい。※とにかくやかましい。
NHKの日曜の朝好きで見てた「ザ・ペンギンズ from マダガスカル」を尺を長くして映画サイズにした感じ。似たような動物捕獲に異様な情熱を燃やす人間が出てくるし・・・
しかしペンギンズってマダガスカル本編でもチート的な強さだよね。ここまで主役のアレックスたちを食っちゃってたっけ?
とにかく3はペンギンズが大活躍。ペンギンズがある種のデウスエキスマキナになってて、展開がやばくなったらとりあえずペンギンズ感がすごかった。
もう自動車は出すわ、金はあるわ、戦闘力ハンパないわでドラえもん状態。
まあ、なんだ。アニメって基本的に絵の動きの面白さで見せる媒体だから、話の理屈とか出来とかよりも動きが楽しかったらそれでいいのかもしれない。
その点クライマックスのサーカスのシーンは、本当シルク・ドゥ・ソレイユみたくて圧巻だったし、圧巻過ぎてよくよく考えるとあいつらなにをどうやってるのかよくわからないんだけど、なんかスゴイ芸的なものをしているのはわかる・・・いや「感じる」と言ったほうが正確か。
よく分からないまま、動きの凄さとむちゃくちゃな展開でゴリ押しされた感じです。
ぶっちゃけ話の筋とか語りようがないので、ここからはキャラごとの感想を。
「アレックス」
ニューヨークの動物園のスターだったライオン。声をイケメンの玉木宏さんがやってるんだけど、これによってアレックスはあんまギャグキャラって感じがしない。英語版ではあのベン・スティラーがやってるから英語版の方が面白いキャラなのかなあ?
なんにせよギャグアニメにしてはけっこうニュートラルなキャラ。ちなみに玉木さんの声の演技が下手というわけではない。むしろうまい。が、このキャラはやっぱりちょっと違うのかも…
「マーティ」
柳沢慎吾さんのはまり役wつーか最近の芸能人の声の出演ってけっこううまいよね。
メインの4頭の中では一番バカ。わかりやすいコミックリリーフでアレックスはどっちかというとツッコミ役かなあ。
シマウマといえばあの特徴的なモヒカンのようなタテガミ。あれが再現されているのが嬉しい。
「グロリア」
気立てのいいメスカバ。キリンのメルマンとどういうことか付き合っているw高島礼子さんも声優うまいよなあ。
「メルマン」
とぼけたキリン。こいつの首はどうなってんだwバグズライフのナナフシに役どころが似ている・・・気がする。
「キングジュリアン」
マダガスカルの王様。つーかおぎやはぎの小木さん超うめえなw普段のローテンションからは想像もつかないほどテンションの高いギャグキャラ。
今作ではサーカスのクマとローマを駆け落ちする!もうそのシーンがバカバカしくて最高wドゥカティが出てくるところで撃沈してしまった・・・
「モーリス」
キングジュリアンの腹心。3ではキングの死を喜び、生還を悲しんだが、スピンオフ作品「ペンギンズ」では、なんだかんだで腐れ縁なのが描かれている。かといってモーリスがキングを心底尊敬しているかはかなり怪しい。2匹の関係は、わがままなのび太に愛想を尽かしたドラえもんが未来に帰るのと似ている。
「モート」
萌えキャラ。でも今回あまり活躍の場がなかったなあ・・・つーかキャラが多すぎるんだよw「ペンギンズ」では新人との絡みが多い印象。
「隊長」
残念ながらアンタッチャブルが降板し、ザキヤマから「ペンギンズ」でも声をやってる飛田展男さんにバトンタッチ。
マダガスカルシリーズのデウスエキスマキナ。こいつなしではアレックスたちは何もできないのかもしれない。相変わらずペンギンズは独自の間とか世界観を持っていて楽しかったなあ。
「コワルスキー」
サル動力飛行機とカーチェイスのシーンで多少喋ったくらいで、そこまで知識をひけらかすシーンはなかった。キャラが多いから・・・(2度目)
「新人」
これもアンタッチャブル柴田さんじゃなくなってしまった・・・新人もほとんどしゃべるシーンがなかったんだけど、彼の進学費でサーカスは買収されたらしいwちなみに本作では彼の独特な「~ッス」の口癖が聞けなかった・・・
「リコ」
口からなんでも出すイカれたペンギン。TNT大砲のシーンでちょっとだけ出てくる。キャラが多いから・・・(3度目)
しかしこれ、もう全然マダガスカル関係ないよねw最後のデュボア警部のコンテナの行き先くらいかな?
『走れシンデレラ』が公開されなかったわけ
2012-07-29 20:59:20 (12 years ago)
-
カテゴリタグ:
- 漫画
サイトオープン時から「なんで走れシンデレラは読めなくて続編のイッツアドリームワールドだけ読めるんだ」と突っ込まれていたのですが、その理由はそもそもこのサイトがリア友に向けて作ったもので、友達にまだ見せていない作品から順に公開していこうということだったので、大体の友達が既に読んでいる『走れシンデレラ』は別にいいかな、と後回しにしていたのです。
そして時は流れ、ええと何年目になるんだろう?3年くらいかな、まあいいや、そのまま『走れシンデレラ』はサイト未公開作品として闇に葬られたのです。
というかこのサイトに漫画をアップするのってすっごいしんどい。html書いて、スキャンした画像の縮尺率とコントラストを調整して、あまりに汚いフキダシの字(ほとんど)は写植をうっているわけで、膨大かつ単純な恐るべき作業。
昔はサイト内のコンテンツを増やすので必死だったので100枚以上もある作品も載っけてたんですが、最近はたった27枚の『チンコ伝説』で青息吐息ですよ・・・衰えた・・・
でもこのサイト、いつになるかはわからないけれど最終的には全てのマンガをアップロードしたいな、という気分になったので、一番リクエストの多い『走れシンデレラ』をアップすることにしました。
なんでそんな気になったかというと、私ツイッターでボット作ったじゃないですか、私が今まで描いた漫画のセリフをつぶやくというまったくもってローカルなボットを。
それに使うセリフを確認するために、今まで描いた漫画を昔のやつから何からあるものほとんどに目を通したんですよ。
そしたらまあ絵が下手すぎて凹みはしたんですが、中学高校のノリはノリでなかなかハチャメチャでこれせっかく描いたのに勿体無いなあって思ったんですよ。絵は小学生だけど。
で『走れシンデレラ』もそもそも高校生の頃に考えたお話。懐かしいなあって感じでちょっと愛着がわいてきたんですよね。
それと『走れシンデレラ』の公開を見送っていた理由はもうひとつあって、こっちの方が大きい理由なんですが、続編の『イッツアドリームワールド』のページ数が100枚という、短編らしからぬ長さになっちゃったじゃないですか。
その一作目がたった40枚そこそこの短編じゃシリーズもののとして釣り合いが悪いなあって感じで、もしアップする時が来たら『イッツアドリームワールド』くらい、まあ100枚いかなくても、80枚前後は欲しいなあと思ってボリュームアップ計画を密かにねっていたんです。
で、機は熟した。というか気が向いたw
この『走れシンデレラ』って実は何回も絵を描き直していて(完成原稿は2パターンある)、短編作品にまとめるためにけっこうシーンを切り詰めていたんですよ。泣く泣く。
でも、今回は逆に二倍近くに引き伸ばさなきゃいけないから、そのやりたかったけど見送ったギャグとか展開を入れて(例えばブティックのシーンとか)、で、その追加シーンによって主人公のユッキーが短編漫画ありがちなチェスのコマではなく、けっこう生き生きとしたので、これはいいなあ、と。
ということで明日から夏期講習なんだけど来月から一日少しずつボリュームアップした『走れシンデレラ』のネームをサイトにアップロードしていきます。
アドレスはいつものようにこちらから!
戦火の馬
2012-07-26 23:57:26 (12 years ago)
「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」
国に戻るには戦地の上を飛ばねばならん。苦しみと恐怖の上を。それ以上勇敢なことってあるか。
スピルバーグ監督の悲しくも心温まる戦争映画。私はもちろん戦後生まれなんだけれど、世界大戦の最中に生まれなくて本当幸せだったと思う。
もちろん今でも世界中で虐殺や紛争、飢餓は続いていて世界は不平等極まりないとは思うけど、そういった人と人とが争う恐怖や悲しみを実際体験しているのとしていないのとではやっぱり説得力が違う。
スピルバーグ監督は世代的には戦争に参加して戦ったわけではないけれど、親や先生といった周りの大人はやっぱり戦争を知っていて、オレたちユダヤ系はドイツにひどい目にあったんだよとか絶対に聞いているから、ああいったものが作れるのかもしれない。
戦争の悲惨さも知ってるし、矛盾しているけどあの手のミリタリーも結構興味があるんだと思う。つーか無邪気に好きだと思うw
よく深夜アニメで「近未来、世界戦争が始まり日本は滅ぼうとしていた・・・!」みたいなのがあって「リアリティがない」とか「キャラクターがバシバシ死んでいって感情移入できない」とか叩かれているけれど、違和感があるのは日本で今どれだけの人が戦争というものを知っているのかということ。
私だって戦争知らないけど、普通に考えて戦争を題材にしていて人が死なないのはやっぱりおかしい。
その点スピルバーグ監督は戦場の生々しさを撮るのが本当にうまくて、兵士がバッタバッタとあっけなく死んでいく。
キャラとか感情移入とかじゃなくて、もっとメタ的に戦場を見せてしまうから、見ているこっちはゾッとするわけだ。
「ああ、戦争って運のないほとんどの人は、こうやってあっけなく死んじゃうんだろうなあ。自分がここで撃ち殺されて戦況は何か変わったのかな。無駄死になんじゃないのかな。だったらこの塹壕から這い出てすぐに撃たれるこいつはヤダなあ」とか考えると、すっごい虚しさを感じる。この手の虚しさはたけし映画を見た時にも感じるんだけどw
「人は本当にあっけなく死ぬ。昔はよく道端のドブで死んでた」てたけしさんは言うし、「キミたちがこれから出ていこうとする社会はもしかすると戦場よりも厳しいところかもしれない」って金八先生は言うし、「格闘ゲームのノリであんなふうに人間を蹴ったら肋骨が折れて死んでしまいます」って水谷先生は言ってた。
だからこんなものを考えちゃうと、もうテレビゲームなんかのんきにやれないよね。虫けらのように湧いて出てくる雑魚キャラの一人がもし自分だったら冗談じゃないって思っちゃう。実際自分がクリボーでないと誰が言えるのだろうか?
今は逆にテレビゲームを使って兵士の感覚を麻痺させたりもするくらいだから倒錯しているなあとも思うけれど。でもイラクの人はゲーム感覚で殺されていることになる。
とまあ、そんな感じで戦場の恐怖を撮るのがうまいスピ様なんだけど『プライベートライアン』などに比べてそういった陰惨なシーンは控えめ。
いや充分怖いシーンはあるのですが、そんな恐怖の戦場の中でも、馬をきっかけにハートウォーミングなヒューマンドラマがしっかり描かれる。
ただ、決してこの映画の馬「ジョーイ」も「平和の象徴」とか「人々に笑顔を与える天使」とかそんな機械仕掛けの神様じゃなくて、いち馬として戦争に巻き込まれるただの動物キャラに過ぎないんだけれど、それでも戦場にほんの小さな奇跡を起こす。
この映画がハリウッドで一般的な戦争アクション映画と一線を画するのは、連合国=善、同盟国=悪といった単純な勧善懲悪ものにするのではなく、かといってガンダムの少佐のように敵キャラにも魅力を持たせるのでもなく、イギリス兵も敵のドイツ兵も(あと馬も)実際はただの普通の人なんだよって描いている点。
自分が大学時代に論文で調べたH・リードって人は青年時代、この映画のように第一次世界大戦に出兵した経験があって、詳細に手記にまとめているんだけど、読書マニアのリードさん、ドイツ人の捕虜にミーハー丸出しでニーチェのこととか聞いていたらしい。
ただ普通は戦時中敵国の人と仲良く会話することなんかはできない。なにかの罠だと疑われて殺されちゃうかもしれない。人は真に立場や役割からは自由になれないからね。
これはなにも戦争までいかなくても、社会に出るとみんなそれぞれに立場というものがあって、実際は100%同意していないけれどそうせざるを得ないということがある。
若い人はよく「大人は嘘つきだ!」って言うけれど、嘘の一つや二つつけないようじゃ世の中わたっていけないんだと思う。
で、今一番厄介だと思っているのが、みんな自分以外の他人の立場にはなんも興味がなくて、他人には正論や清貧を強いているように見えること。
書生論で飯を食っている評論家や作家とかが言うならまだわかるんだけど、一般の人も自分を棚に上げて相手に完璧な人間を求めていることってよくある。
それがある許容値を突破した時に戦争って起こるのかもしれないなあ・・・
最後に一言。あの農場の凶暴なアヒルデニス・ミューレンのCGだろw
国に戻るには戦地の上を飛ばねばならん。苦しみと恐怖の上を。それ以上勇敢なことってあるか。
スピルバーグ監督の悲しくも心温まる戦争映画。私はもちろん戦後生まれなんだけれど、世界大戦の最中に生まれなくて本当幸せだったと思う。
もちろん今でも世界中で虐殺や紛争、飢餓は続いていて世界は不平等極まりないとは思うけど、そういった人と人とが争う恐怖や悲しみを実際体験しているのとしていないのとではやっぱり説得力が違う。
スピルバーグ監督は世代的には戦争に参加して戦ったわけではないけれど、親や先生といった周りの大人はやっぱり戦争を知っていて、オレたちユダヤ系はドイツにひどい目にあったんだよとか絶対に聞いているから、ああいったものが作れるのかもしれない。
戦争の悲惨さも知ってるし、矛盾しているけどあの手のミリタリーも結構興味があるんだと思う。つーか無邪気に好きだと思うw
よく深夜アニメで「近未来、世界戦争が始まり日本は滅ぼうとしていた・・・!」みたいなのがあって「リアリティがない」とか「キャラクターがバシバシ死んでいって感情移入できない」とか叩かれているけれど、違和感があるのは日本で今どれだけの人が戦争というものを知っているのかということ。
私だって戦争知らないけど、普通に考えて戦争を題材にしていて人が死なないのはやっぱりおかしい。
その点スピルバーグ監督は戦場の生々しさを撮るのが本当にうまくて、兵士がバッタバッタとあっけなく死んでいく。
キャラとか感情移入とかじゃなくて、もっとメタ的に戦場を見せてしまうから、見ているこっちはゾッとするわけだ。
「ああ、戦争って運のないほとんどの人は、こうやってあっけなく死んじゃうんだろうなあ。自分がここで撃ち殺されて戦況は何か変わったのかな。無駄死になんじゃないのかな。だったらこの塹壕から這い出てすぐに撃たれるこいつはヤダなあ」とか考えると、すっごい虚しさを感じる。この手の虚しさはたけし映画を見た時にも感じるんだけどw
「人は本当にあっけなく死ぬ。昔はよく道端のドブで死んでた」てたけしさんは言うし、「キミたちがこれから出ていこうとする社会はもしかすると戦場よりも厳しいところかもしれない」って金八先生は言うし、「格闘ゲームのノリであんなふうに人間を蹴ったら肋骨が折れて死んでしまいます」って水谷先生は言ってた。
だからこんなものを考えちゃうと、もうテレビゲームなんかのんきにやれないよね。虫けらのように湧いて出てくる雑魚キャラの一人がもし自分だったら冗談じゃないって思っちゃう。実際自分がクリボーでないと誰が言えるのだろうか?
今は逆にテレビゲームを使って兵士の感覚を麻痺させたりもするくらいだから倒錯しているなあとも思うけれど。でもイラクの人はゲーム感覚で殺されていることになる。
とまあ、そんな感じで戦場の恐怖を撮るのがうまいスピ様なんだけど『プライベートライアン』などに比べてそういった陰惨なシーンは控えめ。
いや充分怖いシーンはあるのですが、そんな恐怖の戦場の中でも、馬をきっかけにハートウォーミングなヒューマンドラマがしっかり描かれる。
ただ、決してこの映画の馬「ジョーイ」も「平和の象徴」とか「人々に笑顔を与える天使」とかそんな機械仕掛けの神様じゃなくて、いち馬として戦争に巻き込まれるただの動物キャラに過ぎないんだけれど、それでも戦場にほんの小さな奇跡を起こす。
この映画がハリウッドで一般的な戦争アクション映画と一線を画するのは、連合国=善、同盟国=悪といった単純な勧善懲悪ものにするのではなく、かといってガンダムの少佐のように敵キャラにも魅力を持たせるのでもなく、イギリス兵も敵のドイツ兵も(あと馬も)実際はただの普通の人なんだよって描いている点。
自分が大学時代に論文で調べたH・リードって人は青年時代、この映画のように第一次世界大戦に出兵した経験があって、詳細に手記にまとめているんだけど、読書マニアのリードさん、ドイツ人の捕虜にミーハー丸出しでニーチェのこととか聞いていたらしい。
ただ普通は戦時中敵国の人と仲良く会話することなんかはできない。なにかの罠だと疑われて殺されちゃうかもしれない。人は真に立場や役割からは自由になれないからね。
これはなにも戦争までいかなくても、社会に出るとみんなそれぞれに立場というものがあって、実際は100%同意していないけれどそうせざるを得ないということがある。
若い人はよく「大人は嘘つきだ!」って言うけれど、嘘の一つや二つつけないようじゃ世の中わたっていけないんだと思う。
で、今一番厄介だと思っているのが、みんな自分以外の他人の立場にはなんも興味がなくて、他人には正論や清貧を強いているように見えること。
書生論で飯を食っている評論家や作家とかが言うならまだわかるんだけど、一般の人も自分を棚に上げて相手に完璧な人間を求めていることってよくある。
それがある許容値を突破した時に戦争って起こるのかもしれないなあ・・・
最後に一言。あの農場の凶暴なアヒルデニス・ミューレンのCGだろw
アキレスと亀
2012-07-25 04:57:00 (12 years ago)
「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」
又三帰ろう。景色は明日もあるからね。
いや~想像通りの全国の美大生震撼の恐ろしい映画だった。
世間に認められようと必死にもがき続けた一人の絵描き小僧の話。自分も大学では美術を専攻してしまったから半分位はわかるんですが、芸術って精神衛生上あまりよくない。
仮に自分が美術の教員になって中学生や高校生に美術を教えることになった時、生徒になんて言えばいいのだろう?
こんなもん教えて万が一絵に目覚めた子が出てきちゃったとして、それでその子は果たして幸せなんだろうか?創作に真摯であればあるほど、この映画のようにその人生は茨の道なんじゃないか?
とりあえず私は美術の最初の授業でこの映画を見せようと思いました。
美術やっている人って、よく言えば個性が強い、悪く言えばキチガイの人もいるし、才能の限界を社交性の高さでうまくカバーして世間に器用にコミットする人もいる。
プライドだけ高くて不平不満ばかり言っている人もいるし、自分の才能に見切りをつけて諦めちゃう人もいる。
なんにせよ結局のところ自己表現だから、アキレスと亀のパラドクスのようにエンドレスな自分探しに出発してしまう。
かつてコラムで才能について書いたことがあるんだけれど、自分に才能があるかどうかは結局のところ死ぬまでわからない。それがポジティブな人には自信や希望になるし、ネガティブな人には泥沼になってしまう。
私にとってもひとごとじゃないけれど、これはある種の人生をかけたチキンレースなんだ。
そしてこの映画の主人公は最後の最後まで描くことをやめずに突き進んだ。ヤクザ映画でもないのにやたら多い様々な人間の死を見つめながら。
もちろん映画だからかなりカリカチュアライズはされていて、中でも最大の編集は、創作することの楽しさや喜びをほとんど割愛して、創作の辛さ、苦しみ、もがき、あがき、狂気、そういったネガティブな面を強調した点だと思う。
そこらへんはやっぱり映画としてうまいなあって。テーマがぶれちゃうからね。
でもディティール、例えば絵は恵まれた環境でしか描けないことはないけどやっぱりお金がかかることとか、美術の予備校が金だけ取るだけであまり役に立たないこと(デッサン力は身につく)、画家を目指す若者が自分には人と違った突出した個性があるんだと何かを勘違いして迷走しちゃうところなどは、けっこう真実味があるし間違っていないと思う。
というかたけしさんは幼少期は野球少年で、その後お笑いという大衆芸能の世界に行ったのに、何でこんな美術の世界に生きる人間の心理とか事情に詳しいのだろう?なにか通じるものがあるのかな。
あと、この映画は創作のネガティブな面を強調した映画って言ったけれど、そのため作中に出てくる画商はどちらも嫌な奴で、最後まで主人公倉持マチスを苦しめる大森南朋は、なんというかまるで新人漫画家に意地悪な編集者のようでダメ出しばっかりして、自分のストレスのはけ口にしている感アリアリ。
結局この人も美術の世界にしがみついていて人をけなすことで自分の精神の安定を保っているんだろうなあって思う。画商じゃないけどこの手のタイプの人って確かにすっごいたくさんいる。
で、純粋なマチスは健気に編集者…じゃなかった画商のダメ出しをアドバイスとして受け入れ、次の作品でそれを鵜呑みにしたものを作って持っていく。で、その作品にまた画商がケチをつけて・・・そんな繰り返しが作中ドライかつ滑稽に描かれる。が、笑えない。こんな辛く厳しい映画はないw
マチスは画商の言っていることがアドバイスじゃなくてただの意地悪であることに早く気づけばよかったんだけど、愚直なまでに信頼してしまう。
しかし悲しいのはマチスの絵って本人の知らないところでちゃんと売れてるんだよね。狡猾な画商共にいいように搾取されてるだけでさ。
漫画の編集者が実際はもっと協力的で親切であるように、実際の画商もあんなのばっかりじゃないとは思うけど、これは映画の嘘・・・ですよねたけしさん?
ではそんな創作やっている人が100%凹む悪徳画商の名台詞集をどうぞ。
バカ。こういう絵が案外儲かるんだよ。こういう絵騙して売るのが画商だからよ。
技術があれば誰でもこんな絵は描けますよ。
よほどの天才じゃない限り学校行かなきゃダメですよ。
これは一歩間違えたら銭湯にある絵じゃないですか。
私勉強しろといったけど真似しろとは言ってないよ。
これ何?
あとこの映画では芸術に対する様々な見解がキャラクターのセリフとして描かれていて結構楽しい。とりわけ大竹まことさん演じるおでん屋のセリフは印象的で、このような話はたけしさん自身も著書で書いている。
アフリカの飢えた人の前にピカソとおにぎり置いてみろ。誰だっておにぎり取るだろ。
本当そうだよな。人はパンだけでは生きていけないかもしれないけど、パンがなきゃ生きることすらできないもんなあ。
その点自分は、学生の頃も授業中漫画描き続けられて幸せだったのかもしれない。先生に見限られてただけかもしれないけど、私はマチスのように大富豪の坊ちゃんじゃなかったからね。先生は私をぶっ飛ばしても別に良かったんだけど、なんか黙認してくれた。
だからそれはありがたいと思わないといけない。自分で決めたこの道を茨の道なんていう資格はないのかもなあ。実際楽しいことのほうが多いし。
創作って実は楽しいことも辛いことも悲しいことも全部無駄にならないってところが素晴らしい点なんだよね。
辛いことがあっても「あ、これ次の漫画に使おう」って思えば、物事を突き放せて考えられるんだ。でもやっぱり未来のある高校生に積極的にすすめるようなもんじゃねえなw
又三帰ろう。景色は明日もあるからね。
いや~想像通りの全国の美大生震撼の恐ろしい映画だった。
世間に認められようと必死にもがき続けた一人の絵描き小僧の話。自分も大学では美術を専攻してしまったから半分位はわかるんですが、芸術って精神衛生上あまりよくない。
仮に自分が美術の教員になって中学生や高校生に美術を教えることになった時、生徒になんて言えばいいのだろう?
こんなもん教えて万が一絵に目覚めた子が出てきちゃったとして、それでその子は果たして幸せなんだろうか?創作に真摯であればあるほど、この映画のようにその人生は茨の道なんじゃないか?
とりあえず私は美術の最初の授業でこの映画を見せようと思いました。
美術やっている人って、よく言えば個性が強い、悪く言えばキチガイの人もいるし、才能の限界を社交性の高さでうまくカバーして世間に器用にコミットする人もいる。
プライドだけ高くて不平不満ばかり言っている人もいるし、自分の才能に見切りをつけて諦めちゃう人もいる。
なんにせよ結局のところ自己表現だから、アキレスと亀のパラドクスのようにエンドレスな自分探しに出発してしまう。
かつてコラムで才能について書いたことがあるんだけれど、自分に才能があるかどうかは結局のところ死ぬまでわからない。それがポジティブな人には自信や希望になるし、ネガティブな人には泥沼になってしまう。
私にとってもひとごとじゃないけれど、これはある種の人生をかけたチキンレースなんだ。
そしてこの映画の主人公は最後の最後まで描くことをやめずに突き進んだ。ヤクザ映画でもないのにやたら多い様々な人間の死を見つめながら。
もちろん映画だからかなりカリカチュアライズはされていて、中でも最大の編集は、創作することの楽しさや喜びをほとんど割愛して、創作の辛さ、苦しみ、もがき、あがき、狂気、そういったネガティブな面を強調した点だと思う。
そこらへんはやっぱり映画としてうまいなあって。テーマがぶれちゃうからね。
でもディティール、例えば絵は恵まれた環境でしか描けないことはないけどやっぱりお金がかかることとか、美術の予備校が金だけ取るだけであまり役に立たないこと(デッサン力は身につく)、画家を目指す若者が自分には人と違った突出した個性があるんだと何かを勘違いして迷走しちゃうところなどは、けっこう真実味があるし間違っていないと思う。
というかたけしさんは幼少期は野球少年で、その後お笑いという大衆芸能の世界に行ったのに、何でこんな美術の世界に生きる人間の心理とか事情に詳しいのだろう?なにか通じるものがあるのかな。
あと、この映画は創作のネガティブな面を強調した映画って言ったけれど、そのため作中に出てくる画商はどちらも嫌な奴で、最後まで主人公倉持マチスを苦しめる大森南朋は、なんというかまるで新人漫画家に意地悪な編集者のようでダメ出しばっかりして、自分のストレスのはけ口にしている感アリアリ。
結局この人も美術の世界にしがみついていて人をけなすことで自分の精神の安定を保っているんだろうなあって思う。画商じゃないけどこの手のタイプの人って確かにすっごいたくさんいる。
で、純粋なマチスは健気に編集者…じゃなかった画商のダメ出しをアドバイスとして受け入れ、次の作品でそれを鵜呑みにしたものを作って持っていく。で、その作品にまた画商がケチをつけて・・・そんな繰り返しが作中ドライかつ滑稽に描かれる。が、笑えない。こんな辛く厳しい映画はないw
マチスは画商の言っていることがアドバイスじゃなくてただの意地悪であることに早く気づけばよかったんだけど、愚直なまでに信頼してしまう。
しかし悲しいのはマチスの絵って本人の知らないところでちゃんと売れてるんだよね。狡猾な画商共にいいように搾取されてるだけでさ。
漫画の編集者が実際はもっと協力的で親切であるように、実際の画商もあんなのばっかりじゃないとは思うけど、これは映画の嘘・・・ですよねたけしさん?
ではそんな創作やっている人が100%凹む悪徳画商の名台詞集をどうぞ。
バカ。こういう絵が案外儲かるんだよ。こういう絵騙して売るのが画商だからよ。
技術があれば誰でもこんな絵は描けますよ。
よほどの天才じゃない限り学校行かなきゃダメですよ。
これは一歩間違えたら銭湯にある絵じゃないですか。
私勉強しろといったけど真似しろとは言ってないよ。
これ何?
あとこの映画では芸術に対する様々な見解がキャラクターのセリフとして描かれていて結構楽しい。とりわけ大竹まことさん演じるおでん屋のセリフは印象的で、このような話はたけしさん自身も著書で書いている。
アフリカの飢えた人の前にピカソとおにぎり置いてみろ。誰だっておにぎり取るだろ。
本当そうだよな。人はパンだけでは生きていけないかもしれないけど、パンがなきゃ生きることすらできないもんなあ。
その点自分は、学生の頃も授業中漫画描き続けられて幸せだったのかもしれない。先生に見限られてただけかもしれないけど、私はマチスのように大富豪の坊ちゃんじゃなかったからね。先生は私をぶっ飛ばしても別に良かったんだけど、なんか黙認してくれた。
だからそれはありがたいと思わないといけない。自分で決めたこの道を茨の道なんていう資格はないのかもなあ。実際楽しいことのほうが多いし。
創作って実は楽しいことも辛いことも悲しいことも全部無駄にならないってところが素晴らしい点なんだよね。
辛いことがあっても「あ、これ次の漫画に使おう」って思えば、物事を突き放せて考えられるんだ。でもやっぱり未来のある高校生に積極的にすすめるようなもんじゃねえなw
メリダとおそろしの森
2012-07-21 23:30:53 (12 years ago)
「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」
伝説は教訓よ。真実に満ちている。
おそらくピクサー初のフェアリーテイルもの。ピクサーってマンネリが嫌いなのか、毎回いろいろ新しい方向性を打ち出してくるけれど、今回はその中でもかなり異色なイメージ。
なんというかいつものピクサーっぽくないというか、じゃあいつものピクサーっぽさってなんだって言ったら、なかなか難しいんだけど、自分の好みで考えるならば、それはウェルメイドなプロットだけでなく、そこに案外シビアな社会風刺やひねりを毎回加えていた点のような気がする。あとギャグ。
でも今回のメリダはまったくひねりなし。こんな直球投げてきたのは『WALL・E』以来かもしれぬ。
トラディショナルなおとぎ話の構造をしっかり踏襲していて、その点ではディズニープリンセスアニメぽくあり(『プリンセスと魔法のキス』とか『塔の上のラプンツェル』とか)、森の不思議な人魂「鬼火」やエキセントリックなババアが出てくる点では、宮崎アニメぽくもあり、マッチョな体育会系の困ったオヤジが出てくる点では、ライバルのドリームワークスぽくもある(つーか『ヒックとドラゴン』にかなり似てる)。
つまりピクサー以外のアニメにいろいろ似ている部分があったから、これピクサーアニメなの?って感じてしまったのかもしれない。
でもピクサーぽさどうこうじゃなくて、なんか今回のはイマイチ心に引っかからなかったんだよなあ。それは結局感情移入っていうのが、結局その人の経験や思い出に左右されるもので、自分は女の子に生まれてこなかったし、王女でもないから、メリダの気持ちにあまり入っていけなかった。案外愛子様あたりが一番感動する映画だったりして・・・
いやまあ、私だって理屈ではわかるんだけど、心が持ってかれなかったというか。思春期によくある母親と子供のすれ違いだよなあ、と。
で、この手の親子の絆の話って(おそらくどんな人も多かれ少なかれ経験していることだから)映画の世界ではすっごいやられていて、名作もたくさんあるから、幸か不幸かか相対化できちゃう。
何より親子がテーマといえばピクサーにも『ファインディング・ニモ』があるし、だいたい主人公のメリダよりもクマになった(※された)お母様のほうがキャラが濃いってそりゃないよw
なんにせよ、このお話はまずフェアリーテイルとしての完成度を優先させたのだろうか、キャラやドラマはちょっと薄いイメージ。
あとは舞台設定なのかな。中世のイギリスとかそこらへんが舞台だったっぽいんだけれど(スコットランドらしい。確かにケルト系w)、その時代の生活や文化ってなかなか現代と違うから価値観が共有しにくいんだよな。
ファンタジーってその世界に行ってみたいって思わせたら勝ちっていうのがあって、『ヒックとドラゴン』の世界なんかはけこう魅力的だったんだけど、メリダの世界はその点、中世の閉塞感をかなり実際の歴史通りにやっていて、こんな時代はいやだなあ、とw
中世ヨーロッパにとって森は現実問題として恐怖そのもので、妖精や魔法使いが本当にいるって信じられていたそうな。人間が立ち入るべきではない場所。それが森。
だから「おそろしの森」なんだろうけど、原題は『Brave(勇気)』なんだよね。勇気・・・う~ん・・・この映画のテーマにそこまで勇気を感じられなかったなあ。
勇気を出すってけっこう怖くてそれこそ勇気のいることだから、もっとためらったり悩んでも良かったんじゃないのかなあって思うけど、そこらへんメリダはお父様に似て行動が早いからなあw案外勇気を出したのは娘を守るためにお上品を捨てて巨大グマと戦ったお母様だったのかもw
そういえば、このメリダ、今日が公開初日だったんですが私を入れてたった5人しか見てなかった。カップル、カップル、私。興行収入大丈夫なのかなあ・・・13作目って不吉だからなあ・・・
伝説は教訓よ。真実に満ちている。
おそらくピクサー初のフェアリーテイルもの。ピクサーってマンネリが嫌いなのか、毎回いろいろ新しい方向性を打ち出してくるけれど、今回はその中でもかなり異色なイメージ。
なんというかいつものピクサーっぽくないというか、じゃあいつものピクサーっぽさってなんだって言ったら、なかなか難しいんだけど、自分の好みで考えるならば、それはウェルメイドなプロットだけでなく、そこに案外シビアな社会風刺やひねりを毎回加えていた点のような気がする。あとギャグ。
でも今回のメリダはまったくひねりなし。こんな直球投げてきたのは『WALL・E』以来かもしれぬ。
トラディショナルなおとぎ話の構造をしっかり踏襲していて、その点ではディズニープリンセスアニメぽくあり(『プリンセスと魔法のキス』とか『塔の上のラプンツェル』とか)、森の不思議な人魂「鬼火」やエキセントリックなババアが出てくる点では、宮崎アニメぽくもあり、マッチョな体育会系の困ったオヤジが出てくる点では、ライバルのドリームワークスぽくもある(つーか『ヒックとドラゴン』にかなり似てる)。
つまりピクサー以外のアニメにいろいろ似ている部分があったから、これピクサーアニメなの?って感じてしまったのかもしれない。
でもピクサーぽさどうこうじゃなくて、なんか今回のはイマイチ心に引っかからなかったんだよなあ。それは結局感情移入っていうのが、結局その人の経験や思い出に左右されるもので、自分は女の子に生まれてこなかったし、王女でもないから、メリダの気持ちにあまり入っていけなかった。案外愛子様あたりが一番感動する映画だったりして・・・
いやまあ、私だって理屈ではわかるんだけど、心が持ってかれなかったというか。思春期によくある母親と子供のすれ違いだよなあ、と。
で、この手の親子の絆の話って(おそらくどんな人も多かれ少なかれ経験していることだから)映画の世界ではすっごいやられていて、名作もたくさんあるから、幸か不幸かか相対化できちゃう。
何より親子がテーマといえばピクサーにも『ファインディング・ニモ』があるし、だいたい主人公のメリダよりもクマになった(※された)お母様のほうがキャラが濃いってそりゃないよw
なんにせよ、このお話はまずフェアリーテイルとしての完成度を優先させたのだろうか、キャラやドラマはちょっと薄いイメージ。
あとは舞台設定なのかな。中世のイギリスとかそこらへんが舞台だったっぽいんだけれど(スコットランドらしい。確かにケルト系w)、その時代の生活や文化ってなかなか現代と違うから価値観が共有しにくいんだよな。
ファンタジーってその世界に行ってみたいって思わせたら勝ちっていうのがあって、『ヒックとドラゴン』の世界なんかはけこう魅力的だったんだけど、メリダの世界はその点、中世の閉塞感をかなり実際の歴史通りにやっていて、こんな時代はいやだなあ、とw
中世ヨーロッパにとって森は現実問題として恐怖そのもので、妖精や魔法使いが本当にいるって信じられていたそうな。人間が立ち入るべきではない場所。それが森。
だから「おそろしの森」なんだろうけど、原題は『Brave(勇気)』なんだよね。勇気・・・う~ん・・・この映画のテーマにそこまで勇気を感じられなかったなあ。
勇気を出すってけっこう怖くてそれこそ勇気のいることだから、もっとためらったり悩んでも良かったんじゃないのかなあって思うけど、そこらへんメリダはお父様に似て行動が早いからなあw案外勇気を出したのは娘を守るためにお上品を捨てて巨大グマと戦ったお母様だったのかもw
そういえば、このメリダ、今日が公開初日だったんですが私を入れてたった5人しか見てなかった。カップル、カップル、私。興行収入大丈夫なのかなあ・・・13作目って不吉だからなあ・・・
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