アイアンマン3

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 それならなんか別なの作れば?

 近年稀に見るスゴイ変な映画。とにかく見てて疲れる!3Dってこともあったんだろうけど、『アイアンマン1』『2』と手堅いプロットと構成で来て、この第3弾はかなり挑発的だ。
 とにかくこれまで積み上げてきたものをここまで全否定しちゃうってなかなかすごい。もう壊す壊す。メタメタ。
 多分、私、この映画見るスタンス間違っちゃったなって。これは、これまでやっていた政治風刺とかヒーロー映画というよりは、まさかのコメディギャグ!

 つーか、なんだあの黒幕は!!wwくそ~かぶった~~~!!ああいう虚構と戦っていたって話はたった今作ったばっかだからなあ・・・『ウォッチメン』といい、なぜ私の作る話はここまでアメコミとかぶる!??全然アメコミとか知らないのにね・・・感性が近いのかな。
 女性生物学者とか、なんでここまでかぶんのかな。言わせてるセリフまでかぶったもんね。もういい、知らん。オレがパクったのは『カーズ2』だけ、それだけだ・・・

 でもさ、アイアンマンって『アベンジャーズ』でかなり美味しい役どころ与えられて、結構キャラを成長させちゃったじゃん(英雄の資質を得た)。だから「あの後どうすりゃいいんだよ」ってのは絶対あったと思うんだよ。
 それに宇宙から来たエイリアン出しちゃったわけで、そんな後で地球の犯罪者なんかと戦わせてもなあ・・・ってw
 つまり、もう壊すしかなかったんだろうなって。自分を苦しめる「悪魔の影」としてアイアンマンのパワードスーツを描いていたんだけど、普通に観れば、このお話って『ガンダム』(ロボットを着て戦っていたけど、いつの間にか操っていたロボットの方に自分のアイデンティティを奪われてしまう)であり、『ジュラシック・パーク』(子供っぽい趣味を大人になってもやめられないオタクが、それを卒業する)なんだよね。

 でも、おそらくスタッフがああいう話を作ったっていうのには、もっと大きな意味合いがあって、とにかく「一度リセットしないと、もうこれ以上は無理です!!」ってのがあったんじゃないかな。
 『1』『2』の完成度を期待していると肩透かしくらっちゃうけど、「いやいや『アベンジャーズ』やっちゃったじゃないですか、あれ以上のものはちょっと勘弁してよ」っていう作り手側の心の叫びみたいなのが聞こえてくるようで、それはそれで興味深かったなあってw
 こういうシリーズ全体のアンチテーゼを公式が堂々とやれちゃうんだから、マーベルって懐深いなあっていうか、なんでもアリなんだな。って思いました。

 何しろスターク社長は今回、ほとんどアイアンマンスーツ着て戦ってないし、最後の方、リモートコントロールで戦わせてるからね。結局AIのジャービスが一番強いんじゃねえかってwスタークいなくていいだろって。
 で、なんか「そうです。私がアイアンマンのメカニックです」って原点に戻ったというかwオレが作ったんだ、壊そうが文句あっかってw
 最後のミス・ポッツがアインアンスーツ叩き壊すところなんて、奥さんが旦那の釣竿取り上げてるようなもんだもんね。「あなたいいかげんにして!」ってwあれは怖かったよなw
 で、アイアンマンをすべて花火に使っちゃうという衝撃のラストなんだけど、まあ順当に観れば、あの描写は、ロボットよりも奥さんとったよってことなんだろうけど、なんか釈然としないよね。

 お前が機械いじり卒業するはずないじゃん。

 あのラストが立つのは、この映画が最後のアイアンマンの映画になる場合だけであって、あれでしょ?『アベンジャーズ2』やるし、『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』にもアイアンマンは参戦するんでしょ?
 つまりアイアンマンシリーズはこれからも続くんでしょ?ってのがあってどうにも納得できなかった。友達と「全体的によくわかんない映画だったよね」ってw

 ポスト911、科学技術への警鐘、英雄の孤独と葛藤・・・そんなもんは実際どうでもよくて、単なるメタレベルのギャグにしちゃっているのがもったいなかったかなあって思う。
 今まではリアルを虚構に取り入れたインテリな感じがあったけど、『3』は冗談じゃねえ、リアルなんかよりも虚構(アメコミ)がオレたちは好きなんだ!っていう虚構の逆襲を描いたようにも感じました。
 まあ、これってある意味本音だよね。教養があるように思ってもらっちゃ困ります、オレたちただのオタクですってねw

 家でも着るようになったの?

 そうです。アイアンスーツは女性でも大統領でも着こなせます。バッカじゃない?w

ステキな金縛り

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 考えてもみてよ、太古の昔からとてつもない数の人が死んでんのよ?ネアンデルタールなんかもわさわさ歩いてるのよ?

 三谷幸喜さんのコメディって、あの人しか出せない独特の世界観(雰囲気)や人物描写のメソッドみたいなのがあって、すごく好きなんだけど、この映画はなんだかんだでまだ見てなかった・・・映画館はいいやってスルーしちゃった。
 もちろん三谷さんの映画は『ラヂオの時間』からちゃんと見ているんだけど、『ザ・有頂天ホテル』あたりからどんどん尺(と出てくるキャラの数)が長くなってきちゃって、もう映画館で見てて疲れちゃうんだよね。

 笑うのって体力いるんだなあって、この人の映画を見るとつくづく思っちゃうのw

 それと、最近の三谷さんの映画の脚本のつくり方って、キャラの濃い人をいっぱい出して気の向くままにフリートークさせるような、キャラの掛け合いの面白さを前面に出すようなところがあって、映画的な構成はあまり重視していないというか。
 いい意味でグダグダっていうかねw

 作中、被告人のセリフで「なんか最近、落ち武者中心に回ってません?」っていうのがあるんだけど、あれ絶対三谷さん脚本書いてて「あれ?そういや何の話だったんだっけ?」って話の筋を見失ってたと思うんだよw
 落ち武者悪乗りさせるのが楽しくなっちゃってw結局コメディの人だからね。いい話・・・よりは笑える話を作ることを優先させちゃうわけだしw

 和風カルボナーラを何卒お頼み申す・・・!

 んで「そうだったそうだった」って強引に話を元に戻して・・・だから勝手な想像だけど、三谷さん脚本最初っから最後まで順番通りに書いてってんじゃないかなって。
 変に伏線とか構成気にせずに。そりゃあらすじくらいは作ってから書いているんだろうけど、冒頭からラストまで一気にガガガってやってるような。
 そして笑えるところはたとえ物語的にグダつくようでもカットしないというwカットできないよ、コメディ映画なんだからってw
 でも悲しいかな、笑えるネタで意外と話の筋に絡むものってそんなに作れないんだよね。しかも、話の筋と全然関係ないネタのほうが、むしろ笑えるというか。脱構築的なところあるじゃん、笑いって。

 まあ、これは全部私の想像だけど、そういう書き方じゃないと、あんなたくさんいるキャラクター動かしきれないっていうか。
 私もキャラが多い脚本書いたばっかりで、やっぱり綺麗な構成とか意識しててもペンが走らなかったから・・・
 「ライト実は人気者でミグが身を引く」「イルミナが宇宙を救うアイテムをイワンに託して死んじゃう」といった絶対ハズしちゃいけないチェックポイントだけ押さえて、あとはほぼ順番通りに書いてったからね。
 じゃないとなんか書いてる自分も物語に入り込めないんだ。もちベーションが上がっていかないというか(C)劇団ヘロヘロ共和国

 でも三谷さんって面白くて、なんか三谷作品って全体的に“ひょうひょう”としてるんだよね。そんなに本気で作っていませんよ~みたいな。
 そもそも三谷さん自身が、あんまり他人に本音を見せる人じゃない気がするし(家に親戚すらあげないとか!)。
 なんか深層心理のドアがあるとすれば、一番深いところに死ぬまで絶対に開けない一枚があるっていうかさ。
 創作って作家の深層心理を全部丸裸にしてさらけ出すようなところがあるから、その点、三谷さんってシャイっていうか、底を見せてないよなあって。全力でやってないでしょうってw
 だから、中学生くらいでありがちな「知らないうちにこんな恥ずかしいもん作ってたよ!!」みたいな失敗談、この人にはないんじゃないかなってw

 でも、それこそが三谷作品の人気の秘密なんじゃないかって思う。笑いって結構残酷なところがあるけど、三谷さんの笑いってあまりにバカバカしすぎて脱力系というかさ。風刺性がないっていうか。
 誰も傷つかない笑いを描くには、それくらいの冷静さが必要なのかなって。
 
 いや、思いのほか早う見つかりました。ハチ公と並んでおりました。

 まあ、多少落ち武者役の西田敏行さんのアドリブが面白いっていうのもあるんだろうけど、やっぱテキストからして三谷節だもんね。
 作中描かれる小田原が、東洋でも西洋でもない不思議な世界に見えるように、この人の笑いっていうのはなんか抽象的かつ、普遍的なところを追求してるんだろうなあって。

 なにも考えてない気もするけど・・・

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』制作裏話

 いや~終わった。
 終わってしまった・・・長い宇宙旅行が・・・ゴールデンのウィークにw
 なんかもう感無量なんで、とりあえず今まで頑張ってくれたキャラ達にコメント書いて終わりにします。金八先生の卒業式みたくていいでしょう?w

ミグ
 この人って、気丈なように見えてすっごい人間的に脆いというか・・・やってることマッチョな軍人なのに、なぜか強い人間に見えないんだよね。
 なんか昔の恋人出てきてさ、けっこうすぐにその気になっちゃうじゃんwあれって浮気性とかじゃなくて、逆に義理堅いんだと思う。受けた恩は絶対に忘れないって。
 人の善意を確信しているようなところがあって、そういうところ好きだった。お人好しなんだ。
 それにミグって背が高くてスタイリッシュだから、ライトよりはやっぱりイワンの方がお似合いというかカップルとしては映えるよね。ミグってライトよりも背が高いし。
 もともとライトとミグは正反対のキャラとして作ったから相性いいわけないんだよwでも結婚相手って面白いものらしくてさ。「え~あの人と結婚したの?」ってことよくあるんだって。
 それと今回のミグって今までとちょっとキャラを変えたんだ。今までもちょっとずつ変えてったんだけど、最終章ではさらに思い切って丸くした。言葉遣いとか。「~だぞ」とか男性的な口調は、もうあんまし言わせてないと思う。
 それと今までのお約束だった「所さん」と「EM銃でドカン」を封印したんだよね。意図的に。これで今までのミグと差別化できるかなあって。
 でも最後の地球の無線の声、私の脳内では声の出演所さんだからwバズ・ライトイヤーみたいな感じで。まあ仮にアニメになったらそういうふうになるよねていう妄想なんだけど。

ライト
 長い話作ってて面白いのはさ、続き(未来)を作っているのに、それと同時に前(過去)も出来てっちゃうことだよね。いつの間にかw
 マロさんの「ライトの人生って波乱万丈ですね」ってコメントでハッとなったんだけど。 
 んでうまい感じに最終章で、最初の『80日~』のフリが完成したじゃん。このシリーズって冥王星の近くをライトが宇宙船で飛んでるとこから始まるけど、どういう心理状態で飛んでたんだお前はって。
 「80日間で宇宙一周や!」とか言ってたけど、絶対無理だもんねwで、隕石の爆破に巻き込まれちゃって冥王星のミグの家に墜落するんだけど。あれって今思えばある種の“自殺”だったんじゃないの?って思う。
 もちろん最初の話を作っているときはただ夢に向かって冒険しているってだけのシーンで、それ以上の意味はなかったんだけど。
 続編を作っていくうちに、あのシーンの前に恋人が死んで、両親が別れて、友達が逮捕されたってことになって・・・どういう不幸のドミノ倒しだよって。ならあの時ライトは絶対精神的におかしいだろって。
 つまり一作目で、自暴自棄になっていたミグをライトが助けたのは、自分と同じ境遇の人を助けることで、あいつも救われてたんだってことになる。
 最後まで作ってから、一作目を読むと同じシーンのはずなのに全然意味合いが違ってくるんだよね。一作目に全く手を入れず印象変わっちゃうんだから面白いよなあって。

イワン
 私もう確信したことがあって。「かっこいいキャラクターが作れない」んだ。どう考えても。
無理。どうやってもカッコ悪くなっちゃう。自分の中にないものは描けないっていうけど、やっぱ私イケてないからねwそんなヤツが自分のキャラにかっこいいセリフ言わせてもすべっちゃうんだよ。
 じゃあ、いっそハナからそういうキャラにしちゃえってことで、とことん惨めでカッコ悪い人にしたんだ。
 やっぱりね。このキャラがまとまる直前「自分をごまかして生きてる」って言われてね。それがすっごいショックだったんだけど、確かにそうだよなって納得しちゃったんだw馬鹿だからw
 自分ではかっこいいこと言ったりやったりしているつもりなのに、結局その全ては独りよがりな妄想だっていうね。ジェームズ・ボンドの真似してるだけじゃんってコールガールに言われちゃうの。 
 挙げ句の果てには自分が戦っている相手すら自分自身で勝手に作り上げているっていう。まあドン・キホーテなんだけど。これって今の情報化社会のメタファーでもあるよね。お前は一体誰と戦ってるんだ?って人、ネットにいっぱいいるしw
 それとイワンってコールガールは抱けるのに、ミグの時はなんかくさいこと言って逃げちゃうんだよね。結局真剣に人を愛せないんだよね。
 リアルに人を愛するってことは、その人のために生きるってことだから。それは自分が作り上げた独りよがりのスパイ映画の世界が壊れちゃうってことだから。
 本当に情けないやつだよね。でも世の中にスパイ経験したことがある人は少ないけど、こういう嘘ついたことのある人はいっぱいいるから。そういうアプローチでスパイ描いてみたんだ。

イルミナ
 刑務所に恐ろしい犯罪者が捕まっているってシーンは木星編から考えてたんだ。で、入っているのはもともとマルドゥクだったんだよ。
 宇宙一危険な犯罪者をピカさんが脱獄させちゃうっていうアイディアで。でもそれだとまんま『MIB3』のパクリになっちゃうからボツにしたんだけど。
 それでもあの映画の「月の刑務所」ってアイディアいいなって。だから意表をついて、そこにか弱い女性が捕まっているのはどうだって。
 イルミナについてはキャラの設定が二転三転したのはご存知のとおり。当初の設定ではライトの姉さんだったんだけど、最終的にレオナ、ヴィンに続く、ライトの第三の幼馴染ってことになった。
 この人が宇宙を救う大事なアイテムを残して、不幸な死を遂げるっていうのははじめから決まってたから、ライトの姉ってなるとライトの家族で一人だけ死者がでちゃうことになってそれはまずいなあってw最後の戦いの前にさらにライトを追い込んでどうするっていうのがあったから、できる限りライトから遠い存在にし直した。
 私『人魚姫』って好きなんだ。あれって本当に救いようないじゃんwああいうのってなんで感動するのかな。「コイツに比べればオレはマシだ」ってことなのかなw
 イルミナもライトに思いを伝えられないままあっさり死んじゃうんだけど、宇宙一の知能を持つ怪獣とか言われてて、でも最後は意外とあっけないって妙でリアルでよかったな。
 結局彼女は怪物でもなんでもなくて、怪物って思っていたのは周りの人間だったっていうね。死んじゃったあとに、普通の恋する女の子だったって分かるっていう。あれ?いい人じゃんってw
 なんか『人魚姫』っていうよりは『ごんぎつね』みたいになっちゃったなw

ゴダード
 このジジイ三人組って『ナイトミュージアム』の夜警トリオだよねw
 あのロケット作ってるのって『ライトスタッフ』をイメージしたつもりだったんだけど、どっちかというと夏休みに秘密基地で悪ガキが集まって工作しているような感じになっちゃって、それはそれで素敵だなってw私は“かっこいい”が描けないからね(二回目)

ミュウ
 恋愛ドラマを動かすのには、こういう第三項って絶対必要だよね。
 わかりやすい例だと三角関係だけど、ミュウがライトに恋心を抱いているって感じにはしたくなかった。それじゃコテコテになっちゃうしwとはいえビジネスライクって感じでもないんだよな。
 この人がライトのことを好きなのは確かだと思うよ。ただ恋愛感情っていうわけではなくて。

アリエル
 ごめんあまり出なかったwほとんど登場シーンカットしちゃったからねw
 本来はミグの心情に大きな変化を与える鍵になる役割があったんだよアリエル。アリエルは一生懸命ミグを励ましてやるんだけど、彼女自身は、もう機械としてガタが来ていて、くしゃみをすると口から歯車やネジが出てきて・・・w
 でもそんなことをファンの誰にも知られないように笑顔でステージにかけていく・・・その姿をミグが見て「なにやってんだろ」って・・・でもやめた。
 木星で出てきて死ぬはずだったイルミナがこっち(最終章)に来ちゃったから、悲しい展開は彼女だけにしようってことで、アリエルは今回も元気いっぱいの女の子でした。

ルヴェリエ王子
 ルヴェリエとアリエルをセットで出すのは初期から決まってたんだ。
 なんか作劇上のポジションもふたりは似てたし、なんか二人を並べると可愛い兄弟みたいじゃん。賢い弟とドジなお姉ちゃんって感じで。なんかスピンオフやるならこのコンビ面白い気がするな。パラソルのシーンあたりでなんか手応えあったしw
 あと会議のシーンの兄貴よかったなあw

フレミング
 この人が一応今回の悪役・・・ってことになるのかな?でもこの人そんなに悪かったのかって感じはあるよね。イワンと何がちがかったんだろうって。
 女の子殺しちゃったかどうかってだけなんじゃないのって。殺すのがおっさんならいいのかっていう。

ゲオルグ警部
 イルミナが閉じ込められた強化ガラスの球体はこの人がパンチで叩き割る予定でした。ジャンプ的に考えるなら、オレこのオヤジが一番強いと思うんだ。防弾ガラス割ってたからねw

ケプラー
 ここまで正直に言われると一周して腹も立たないよね。

ピカール博士
 騙されちゃダメだよね。こいつ悪い奴だよw本当に悪い奴はラストまで生き残るっていうのが私の考えだから。
 作中死んじゃう悪役って結局悪になりきれなかったってことなんじゃないかなって思ってる。悪としても未熟だったから主人公ごときにやられちゃうんだ、お前は!みたいなw

ミスターアップル
 何も手をくださず情報だけで世界を動かすってすごいけど、考えてみればそうなるよね。だってこいつただの板だもんw手出せないんだよ。まず手がないからw
 神って案外そんな存在のような気がするんだよ、私たちの世界になにかちょっかい出すには存在がでかすぎるというかw



 最後の最後に・・・読んでくれた方本当にありがとう。特にマロさんがいなかったらこの一大叙事詩は完結しませんでした。心からの感謝を。それでは地球で!
完結記念イラストラフ.jpg

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本⑯

太陽系を飛ぶライトアロー号。
これで最後になるかもしれない、馴染みのある惑星たち。
コックピット
ライト「手順はわかっとるな」
ミグ「私は隕石解体のプロだよ?たとえ相手が銀河になろうと変わらんさ・・・」
ライト「・・・怖いか?」
ミグ「怖くないよ・・・
いや、ごめん嘘・・・
でも・・・キミと一緒だから・・・」
にやりと笑うライト「ほんじゃあ、宇宙一周旅行の始まりや・・・!」
スイッチを押す。
リニアエクシードエンジンが起動し、ライトアロー号が徐々に光に変わっていく。
コックピットで手を握るライトとミグ。
すべてが光へ――


虚無


ミグは夢を見た・・・
揺り籠の中にいるミグ
ミグを覗き込む父親と母親
父親「幸せに生きてほしいな」
母親「大切な人に出会ってね・・・」

立ち上がる幼少期のミグ。
屋敷のダンスホールを見渡す。
将校「大変だ・・・チオルコフスキー夫妻が作戦中の事故で亡くなった・・・!」

養父「ひとりぼっちか可哀想に・・・うちにおいで・・・可愛がってあげるから」
養父に手を引かれる少女時代のミグ。

養父に虐待されるミグ。胸に傷を負わされる。
家を裸足で飛び出す。深い針葉樹の森に駆けていく・・・

イワン「この子は私が引き取る。屋敷も買い上げよう・・・」
養父「冗談じゃない!この子はウチの養子だ・・・!!」
養父の腹を殴るイワン
養父「ぐっ・・・!!」
イワン「彼女が受けた傷はこんなもんじゃないぞ・・・」

20歳くらいのミグ。
イワンを屋敷のドアで引き止める「なんで出て行っちゃうんですか!?
私が若いから・・・?」
イワン「いや・・・」
ミグ「じゃあなんで・・・私が嫌いなら理由を言ってください!」
イワン「・・・その傷かな・・・」
ミグ「え・・・??」
イワン「その胸の傷・・・ずっと気持ち悪いって思ってた・・・これでいいか?」

またひとりぼっちになってしまうミグ
デニス「あなたも結婚したらどう?子育てって大変だけど楽しいわよ~」
バーニー「お前はいいよな。両親が早くに死んでよ。こちとら介護で地獄を見てるぜ」

キャロット軍曹「チオルコフスキー!貴様オレが女だからって手心を加えると思っているな!軌道歩兵隊ではそうはいかんぞ!!その胸以上の傷を覚悟しておけ!!」
ナッシュ・ストライカー軍曹「ご両親は残念な事をしたな・・・
しかし我々ディープインパクトの任務は誰かがやらなければならないものだ。
太陽系に住む多くの人たちが安心して眠れるように・・・」

小惑星の上で凍りついていくミグ
ミグ(もう・・・わからない・・・私は一体何のために生きているの・・・??
大切な人なんて誰もいないのに・・・)

ライト「な~んやここ姉ちゃんちか!」
ミグ「え・・・?」
ライト「オレは地球一の天才発明家ライト・ケレリトゥス!
太陽系最速の男や!どうや惚れたか~~!!??」
ミグ(なんだこの人・・・)

軍曹に電気ショック与えるライト「えい」
軍曹「ちんぎゃああああ!」
伸びをするライト「あ~オレもう飽きたわこの星。オレ帰るから」
ミグ「え~~~!」
ライト「夢なんか?地球へいくの。そうだ!オレが連れてったる!」
ミグ「え・・・?」
ライト「次は絶対に地球に連れてったるからな!」

ライト「無理やない!!オレを信じろ!!!!」
ミグ(ライト・・・)
冥王星、海王星、天王星・・・様々な星でのライトの笑顔・・・




何億光年も果の宇宙。
強烈な光を出すフレッドホイル銀河
フレッドホイル銀河が何十億年も前に放射した衝撃波の射程圏内に入るライトアロー号
ライト「・・・グ!ミグ・・・!」
ミグ「ん・・・」
ライト「目を開けろ・・・!おったぞ!!」
目を疑うミグ。
目の前には空間自体をグロテスクにえぐりねじまげる、発光するアメーバーのような巨大な天体が広がっている。
ライト「こいつは・・・銀河やない・・・クエーサーやったんや・・・」
ミグ「クエーサー・・・?」
ライト「やつの心臓はブラックホールや・・・戦うでミグ!準備はええな!!」

機体を安定させるライト
機体に取り付けられた宇宙望遠鏡の映像を送るモニターにターゲットが映る。
実際には機体よりも何億光年も先・・・宇宙の果てにいる怪物
装置を操作して、ジオメトリカルホウサンチュウの入った弾頭を切り離す。
衝撃波の第一波が襲いかかってくる。
コックピットにアラートが鳴りひびく。
メイルシュトローム砲の発射レバーに手をかけるミグ。
ホウサンチュウの弾頭に照準を合わせる。
ミグ「私が撃ったら、すぐに撤退する・・・!」
ライト「任せろ!」
ミグ「カウント3でいくぞ・・・!」
「3」
「2」



「1!!」

目の前が真っ白になり、メイルシュトローム砲が弾頭を貫く。
宇宙にばらまかれたジオメトリカルホウサンチュウがメイルシュトローム砲のエネルギーを喰らい、猛スピードで繁殖していく。そのさまは透明なクリスタルのドームが早回しで建設されていくようだ。
オリハルコンの結晶体はエネルギー砲をつたってライトアロー号にも襲いかかる。
すかさずリニアエクシードエンジンを起動し別の次元に飛んでいくライトアロー号。
次の瞬間衝撃波が襲いかかる。
衝撃波の強大な熱エネルギーはさらにジオメトリカルホウサンチュウのドームに置き換えられていく。
マトリョーシカをしまっていくように、どんどんできるドームの大きさが巨大化していく。
衝撃波が太陽系を襲うたびに・・・

そして・・・





エッジワース・カイパーベルト周辺宙域
太陽系に帰還してくるライトアロー号。
コックピット
無言の二人「・・・・・・。」

窓の外の小さな星を指差すライト。
ライト「あ・・・あれもしかして冥王星ちゃうか?」
ミグ「え・・・?」
身を乗り出すミグ。
かつての自分の星を見てショックを受ける。
ミグ「そんな・・・」

冥王星は氷の惑星に変わっている・・・

ミグ「これが・・・冥王星?私の星・・・??」
ライト「んなバカな・・・」
計器を確認するライト。
太陽系の温度がグッと下がっていることがわかる。

ライト「太陽の方向はあっちや・・・太陽を目指そう・・・」

海王星を通り過ぎるライトアロー号。海王星もメタンで出来た氷の星と化していた。
ライト「どの星も逆に凍てついちまったのか・・・?」
ミグ「いや・・・そうじゃない・・・」

目の前に土星と木星が現れる。
ミグ「ガスになってる・・・蒸発してしまった・・・」

茫然自失するミグ。
ミグ「これが・・・私たちの太陽系・・・」

沈黙。




口を開くライト「・・・帰ろう・・・」
ミグ「帰るってどこに??
私たちは結局何も出来なかった・・・!!」
ライト「できる限りのことはやったやろ・・・」
号泣するミグ「惑星はすべてガスになってしまったんだぞ・・・!?
私たちは誰も助けられなかった・・・!誰ひとり・・・!!」
ライト「まだ決まったわけやないやろ。
それに・・・もし仮に宇宙でオレとお前の二人きりになったとしても・・・オレは生きていく。
あんたが死ぬまでな、ミグ。死ぬまでずっと守り続けてやるから」
ミグを抱きしめるライト。




無線「・・・・」
ライト「なんか聞こえないか?」
ミグ「え?」
ライト「地球からの通信電波や!」
無線周波数を合わせるライト。
無線「・・・こちら地球、ライトアロー号応答せよ」
ミグ「!!!」
無線機を掴むライト
ライト「こちらライトアロー・・・生存者は二名・・・ライト・ケレリトゥスとミグ・チオルコフスキー。
そっちは無事なのか!?」
ミグ「助かった・・・?」
ライト「あ、ああ・・・」
ミグ「助かった・・・!」
ミグと抱き合うライト「助かったんや!!!!」

無線「現在地の座標を送る。直ちに帰還せよ。」
ライト「了解、進路を326に取る」
地球に向けて進路を取るライト。

ミグ「あれが・・・」

ミグの目の前にある青い美しい星――地球。
奇跡的に災厄をまぬがれ太陽系で唯一生命が存在する星・・・

ライト「これがずっと見せたかったんや」
涙を流すミグ。
小さく頷くミグ「うん・・・」
ライト「さあ・・・家に帰ろう・・・」
地球に向かうライトアロー号。

神よ 変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。


『80日間宇宙一周』おしまい

『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本⑮

コード601を発令!!
「各惑星から最高の科学者を集めろ!!
宇宙学者、核物理学者、量子物理学者、天体物理学者・・・!」

各惑星の住人が巨大な輸送船に乗って地球へ運ばれていく

火星の前線基地
作戦室のモニターを見上げる男たち。
机では計算尺を使ってデニスが衝撃波の被害が最も少ない場所を算出している。
ピカール「エヴァンジェリスタ先生の計算では地球が最も安全であることが確認されました。」
オペレーター「ノア計画は28%進行中・・・」
青ヒゲ「この日のために方舟を集めておいてよかったわ・・・
あなたの基金のおかげよレイちゃん」
メガネがずれてキスマークだらけのヴィン「もうなんでもいいっス・・・」
ピカール「TIAもあなたがサーペンタリウスの最後の幹部だったとは気づかなかったようですね」
青ヒゲ「オカマですから」

センチネルに振り返るナッシュ「なんだかんだいって太陽系の全人口70億人くらいお前の星に入るじゃねえか」
センチネル「私は来期は落選だ・・・」
デニス「まだ選挙のこと考えてるわよ?」
装備を調整するバーニー「幸せなやつ。あんたの旦那と子供は何番だった?」
デニス「14091番かな・・・まさか人生で地球に行けるなんて思ってなかったもん」
バーニー「しかもタダでな。あんた歴史に名を残すぜ。偉大な大統領として。」
ため息をつくセンチネル
センチネルの肩に手を乗せるヴィン「今度うちが応援するよ・・・」



冥王星
衝撃波を相殺しようとすべての軍事基地が迎撃態勢に入る
ハデス城
バルコニーで兵士に演説をするハデス。
ハデス天皇「我々は古くから太陽系の盾として侵略者を迎え撃った。
そして今ついに史上最大の敵が太陽系を滅ぼそうと接近している。
冥王軍のプライドにかけてこれに打ち勝たねばならない!
私とともに戦う者はいるか!?」
大歓声
執事「陛下・・・わたしく生まれて初めてあなたを尊敬しました」
ハデス「一度これやってみたかったんだ~」
執事(やっぱバカだ)

クレーターバレー訓練基地
ヘルメットをかぶる大佐「貴様は訓練教官だろ。」
キャロット軍曹「俺も戦わせてください!
いつも威張っている奴が真っ先に戦わなければ新兵にしめしがつきません!」
大佐「勝手にしろ・・・!」
どさくさに紛れて逃げようとするハーシェル隊長
大佐「お前は待て!」
ハーシェル「え」



海王星
王族が海賊船に乗り込んでいる。
ナイアド元女王の手を取って船に乗せるアラゴ国王「母上、船にお乗りください」
ルヴェリエ「兄さん・・・」
アラゴ「お前も早く乗れ。引越しだ」
ルヴェリエ「兄さんは?」
アラゴ「冥王星が命捨ててしんがりつとめてんだ。
国王のオレが逃げるわけいかねえだろ。
お前にだけにかっこいい真似させてたまるか。今度はオレにやらせろ。」
ロジャー「全員乗り込みました」
アラゴ「よし、お前も民とともにできるだけ遠くへ逃げろ。
オレは近衛隊とともに冥王星に加勢しに行く。」
ロジャー「私もお供します」
アラゴ「お前がいなくて誰が宇宙海賊をまとめるんだよ」
ロジャーが海賊船の方を振り返る。
海賊たちに指示を出すルヴェリエ
ロジャー「彼です・・・」
アラゴ「あいつめ」
ロジャー「私も近衛隊の騎士・・・戦わせてください」
エガリテ将軍がコンパスを差し出す「戻ったか戦友・・・」
ロジャー「またお前と戦えるとはな」



天王星
惑星連合放送のテレビ局
ディレクター「ジュリエッタ・・・プロデューサーが番組内容を変えろと・・・」
ジュリエッタ「いいえ、私のチャンネルだけはいつものように歌っていつものように踊るだけ。」
ディレクター「太陽系が消滅するかもしれないんだぞ!?」
ジュリエッタ「だからこそいつもの日常を望んでいる人がいる・・・そうよね相棒?」
アリエル「はい!」

ジュリエッタ&アリエル「♪右側を走る自転車~左をきちんと走らない~」

定年退職したゲオルグ警部が自宅のリビングでジュリエッタの番組を見ている
「ふん、相変わらずバカみてえな歌うたってやがる・・・」
ガーデニングしている奥さん「ねえお父さん見て、空があんなに明るいわよ・・・」
庭に出て空を見上げる老夫婦。
ゲオルグ「こういう老後も悪くねえな・・・」



土星
ハイペリオン教会
大勢の民衆が大聖堂に集まって祈りを捧げている。
シスターのサーシャが星に残る貧しく弱い人々に説教をする。
サーシャ「終わりは誰にでも来るのです。ひとは一人で生まれ一人で死ぬ孤独な存在です。
しかし・・・私たちはその孤独から解放されるのです。
終わりは新たな世界の始まりなのですから・・・」



木星
エウロパ大学
学生や職員が宇宙船に避難している。
事務員「先生!早くしてください!論文ならいつでも読めるでしょう!」
研究室で紅茶を飲みながら論文に目を通すマーガレット
「うるさいわね・・・急かされるの嫌なのよ・・・」
紅茶を飲み干して、キャビネットの方に歩き、この前撮影した写真立てを手に取るマーガレット
事務員「先生・・・お願いしますよ!!」
写真立てを事務員が持つダンボールの中に入れるマーガレット
マーガレット「うちの人は?」
事務員「現在行方不明です・・・!」
マーガレット「ま、あの人ならだいじょぶか。行きましょう」
写真にはライトとマーガレット、クリス・・・そしてミグが写っている。






火星。
航空機の格納バンカーにライトアロー号が格納されている。
ライトアロー号を最終調整するライト。
機体にはノーチラス号のメイルシュトローム砲が取り付けられている。
ライト「ミグ・・・ええか・・・?」
ミグ「うん・・・」
首にかけているネックレスを外すミグ。
リアクターに“希望の海”をセットするライト。
ライト「すぐに返してやるから」

作業台にはサーペンタリウスの黒幕・・・スタータブレットのミスターアップルが置かれている。
アップル「・・・どうも理解できません。光速を超えるということは時間の文脈――すなわち因果律すら超えてしまうということです。
仮にこの太陽系を救えたとしても、救いたかった大切な人たちがどうなったか知ることができないんですよ。そんな行動に何の意味があるんですか?」
作業しながらライトが答える「いいか、オレたちには自分たちの結末を選ぶ自由がある。
最後までお前の言いなりになってたまるかい」
アップル「ああなんて、かわいそうな人類!
・・・たった80年程度しか生きられないのに・・・自ら自滅するなんて・・・」
ライト「あんたも災難やな。たった137億年しか生きてへん。未来は果てしないんや」
ピコピコしているミスターアップル



滑走路
ライトアロー号の周りにはライトとミグを見送りに多くの人が集まっている。
ルナ・マイヤース「あなたとのレースの決着はお預けらしいわね」
ライト「続きはまた今度な」
イワン「いよいよだなライト・・・」
イワンと握手するライト「あなたはオレの中では今もヒーローや。
いままでも、そしてこれからもな。」
イワン「光・・・超えろよ。ヴェルヌもそう願っている・・・」
ライト「わかった・・・」
ミグ「ライト・・・」
ライト「ああ・・・行こう!!」

ライトアロー号に乗り込む二人。
コックピットから手を振る二人
エンジンを作動させ滑走路を離陸していく。
観衆の声援
空を見上げるミュウ「行ってしまったわね・・・」
イワン「ああ・・・」
コインを取り出すイワン。トスしようとするが、やめてコインを握り締める。
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