回想
千代田区
豪華な邸宅に暮らす中学生のえる
国連の職員たちが今日子の荷物をまとめている。
今日子「じゃあ・・・いい子にしているのよ。」
える「はい。」
今日子「本当に一緒に来ないの?日本の学校なんか行かなくてもいいのよ?」
える「・・・友達もいるから。」
今日子「何かあったら連絡して。」
える「お父さんは?」
今日子「よしなさい。」
練馬区
ボロボロの家の前で待っているえる。
毒蝮三太夫似の汚い作業着姿の男「・・・よう、えるじゃねえか。」
える「お父さん。」
狭い部屋
日本酒の一升瓶を注ぐ父「母さん元気か。」
える「今度はアメリカに行っちゃった。」
酒を飲む父「忙しいやつだな。」
える「3人で暮らしたかった。なんで離婚しちゃったの?」
父「とうちゃんが浮気したからだ。」
える「なんで?」
父「仕事を辞めろってうるせえんだよ、あいつ。」
える「怪獣の解体?」
父「お前の父親としてふさわしい仕事をしろってさ。
それでとうちゃん頭に来てな。」
える「お母さんが悪い。」
父「えるは優しいな。かあちゃんの前だととうちゃんが悪いって言うんだろ?」
苦笑いするえる「・・・・・・。」
父「・・・とうちゃんは、この仕事に誇りを持っている。
あいつが倒し、俺がかたす。
昔は今日子もわかってくれたんだけどな。
お前ができて・・・変わっちまった。」
える「あたしのせい・・・」
父「わりいわりい!そういう意味じゃねえよ。とうちゃんもかあちゃんもお前のことが好きなんだ。ほら、惣菜食えよ。冷めちまうぞ。」
える「うん・・・」
それから、父親と暮らし出すえる。
ご飯を作って父親の帰りを待っているえる。
扉が開く音がする。
笑顔になるえる。
父「よお・・・ごほごほ・・・」
える「お父さんだいじょうぶ?」
父「年には勝てねえな。最近疲れやすくなった。ほら惣菜。
あっためて食え。俺は飯はいいや。」
える「・・・お父さん・・・
少しは休みとったら?」
父「オレの仕事は人手不足なんだ。父ちゃんが休んだら迷惑がかかる。」
える「でも・・・怪獣の死骸って毒ガスや放射能を出すのもあるんでしょう?
お父さんの体が心配だよ・・・」
父「おめえまで今日子みたいなこと言うのか。」
える「せめて病院に・・・」
父「かあちゃんのとこに帰れ!俺の生きがいを奪うな!」
・
マルス(君の体を心配しているんだ!俺はお前に家にいて欲しいんだよ・・・!)
・
朝
アパートのダイニングで目を覚ますえる。
える「・・・ライちゃん・・・」
チャイムが鳴る。
飛び起きて扉を開けるえる。
える「・・・あなた・・・誰ですか?」
バルタ「あなたが深未えるさん?
わたくしグリッドライン社のリクルーター、バルタ・シカーダと言います。」
える「英会話教材とかならうち貧乏ですから・・・」
バルタ「マルスくんが言うとおり、色気のない子ね。」
える「ライちゃんを知ってるんですか??」
バルタ「ええ。この度、マルスくんは我が社のエンジニアに転職しましてね。
急遽アメリカに行くことになりました。」
える「うそですよね?」
バルタ「彼からあなたに伝言を預かっておりますわ。」
手紙を受け取るえる
(俺は君の体を心配するあまり、君の気持ちを無視し続けてしまった。
本当にすまない。君には君の人生があり・・・君のやりたいことがあるはずだ。
・・・別れよう)
頭が真っ白になるえる「うそよ・・・」
バルタ「では私はこれで。」
える「だって・・・約束したもん。これからはずっと一緒にいるって・・・!」
バルタ「学生時代の恋人なんて大体数年続けばいいほうなのだから、持ったほうじゃない?」
号泣するえる「約束したんだも~ん・・・!」
慌てるバルタ「ちょっと、あなた・・・」
える「ライちゃん、あたしがバカだった・・・捨てないで~・・・!」
バルタ(・・・こんなやつがザラを撃破したって言うの・・・?)
過呼吸になるえる「はあはあ・・・」
バルタ「・・・成田空港113便。」
える「・・・え?」
バルタ「まだ間に合う。大切なことは会って直接言いなさい。
ソニックブレイドには二度と乗らないと。」
える「うぐうぐ・・・タクシー代がない~・・・」
バルタ「あなたは本当に一人じゃ生きてけないのね!ほら3万円!」
える「ありがとう、訪問販売のお姉さん・・・」
バルタ「いいから行きなさい・・・」
える「美人なお姉さん・・・」
バルタ「はやく!」
駆けていくえる。
バルタ「・・・計画完了。」
・
奥多摩の湖
ダリア「あなた本気・・・?」
ピット「これじゃあ、会長の玉の輿はあのおっぱいになるのよ!」
ダリア「それはムカつくけど。」
ピット「なら、バルタの計画をめちゃくちゃにしないと。」
ダリア「モートンにバレたら、ただじゃすまないわよ。」
ピット「なら、私とあんたであいつを消せばいい。」
ダリア「あんたが一番怖いわ・・・だから組んだんだけど。」
ピット「懸命な判断よ。さあ、よこしなさい。」
試験管を渡すダリア「エレクトロファルス・レックス。
実験段階だから、うまくいくかは保証できないわよ。」
試験管の中身を湖に入れるピット「だいじょうぶ。失敗したらあんたのせいにする。」
しばらくすると湖に入れた小さなウナギのような生物がみるみる巨大化し、怪獣エレキングとなる。
ピット「よく税関に通ったね。」
ダリア「裏技があるのよ。」
ピット「さあ行きなさい。」
都心へ歩いていくエレキング。
ダリア「ソニックブレイドは電気で動くのよね。」
ピット「ロボットだからそうなんじゃない?」
ダリア「ならば絶対勝てるわ。
この生物は50万ボルトもの電気ショックを相手に与える。
ソニックブレイドの電気回路はすべて焼き焦げるわ。」
・
成田空港
腕時計に目をやるマルス
「えるは一緒にいけないのか。」
アメリカからの黒服「日本政府が手放さないだろ。」
・
永田町 国会
政府高官「いやいや、参りましたよ・・・
先日、ソニックブレイドがロボットたちの暴走を止めたことで霞ヶ関は大混乱です。
あのロボットはアメリカから東京都と文科省が出資して買い上げましたが、もはや科学館のモニュメントじゃない。日本を守った兵器だ。
所管を防衛省に移すべきという声も上がっていて・・・となると特別立法を可決させる必要がある。そんな矢先に奥多摩での怪獣出現だ。」
今日子「議員さんは大切なことを忘れているわ。」
政府高官「ええ。だから急遽あなたを呼んだんです。
あのロボットはあなたの娘さんしか動かせない。
つまり深未えるさんの同意がなければ、戦力・・・いや失敬、実力にはならんのです。」
今日子「あの子を説得しろと?」
政府高官「でなければ、あの怪獣によって東京は今度こそ壊滅です。」
・
空港に急行するタクシー
える「運転手さん急いでください・・・!」
運転手「青春だねえ・・・」
える「ライちゃんと別れたら・・・あたしはもう生きてけない・・・」
運転手「大丈夫。俺に任せろ。間に合うから。
・・・ん?あれ?」
える「どうしたんですか?」
運転手「事故かな・・・渋滞しやがった・・・」
える「そんな・・・!」
えるのケータイが鳴る。
・
国会
政府高官「よかったつながった・・・!」
ケータイを切る今日子
政府高官「娘さんはなんて?」
今日子「今はそんな場合じゃないって。」
政府高官「・・・え?」
・
渋滞中の高速道路
警察「この先は通行止めです!」
運転手「ひと組のカップルの未来がかかってんだぞ!」
警察「怪獣が暴れてるんですよ!」
運転手「それがどうした!もう慣れたわ!
埒があかねえな・・・つかまってろお嬢ちゃん!」
ギアを入れ替えて、バリケードを破壊し強引に下道に出るタクシー。
える「ありがとう、運転手さん・・・でもどうして・・・」
運転手「俺はこれでも、十年前は一部上場の会社の経営者だったんだ。
それがテレスドンの野郎に、自社ビル、従業員全てぶち殺されて、倒産。
俺の金目当てで結婚した妻は出て行った。負債は1000億だ。死ぬまで払えねえ。」
える「・・・・・・。」
運転手「あんたらみたいな若い子には幸せになってもらいたいのさ。」
・
小学生時代のえる。
寝室のベッドの中でうずくまっている。
壁越しに夫婦喧嘩が聞こえる。
今日子「あなたが汚い格好で働いているせいで、あの子が学校でいじめを受けてるのよ!」
父「そんなバカほうっておけ!オレがやらなかったら、誰が町を守るんだ!」
・
タクシーの中のえる
「・・・止めて。」
運転手「え?」
える「引き返してください。」
運転手「彼氏はいいのか?」
える「私がやらなかったら誰が町を守るの・・・!」
・
夜
高級ホテルのスイート。
テレビには「怪獣出現 都内全域に緊急事態宣言」の文字。
バスローブ姿でスマホを握っているバルタ。
バルタ「会長を出しなさいモートン!
一体どういうことなの!あの怪獣のせいでわたしの計画が台無しよ!
深未えるはソニックブレイドに乗らなかったし、マルス・ライがうちに来ればソニックブレイドより強大なロボット兵器が開発できた!」
モートン「会長は留守だ。」
バルタ「あんた・・・私をハメたわね・・・」
モートン「私は何も知らん。怪獣がそっちに行ったそうだぞ。直ちに撤退しろ。」
バルタ「覚えておきなさい・・・」
カーテンを開けると、すぐそばでエレキングが暴れている。
涙を浮かべるバルタ「うちの会社は馬鹿よ・・・
あの子の体を元に戻すだけで勝てた戦いなのに・・・」
エレキングがバルタのスイートを攻撃しようとする刹那、ソニックブレイドが飛び出し、宇宙怪獣と格闘を始める。
バルタ「・・・えるちゃん・・・」
ソニックブレイドのコックピット
える「ここで重火器は被害が拡大する・・・
肉弾戦で無力化しないと・・・」
その時、エレキングの体が青白く光る。
える「・・・なに?」
・
国会
テレビ中継を見る議員たち。
政府高官「あれはなんていう怪獣なんですか?」
今日子「・・・知らない。見たこともないわ。
もしかして・・・人工的に造られたのかも・・・」
・
次の瞬間、エレキングが強力な電気ショックをソニックブレイドに浴びせる。
悲鳴を上げるえる「があああああ!」
崩れ落ちるソニックブレイド。
ホテルのスイート
バルタ「うそでしょ・・・ソニックブレイドが負けた・・・」
ピット「あんたは一体どっちを応援してるのよ。」
ぎょっとして振り返るバルタ「ピット・・・!」
小型銃で両膝を撃たれるバルタ
ピット「痛いでしょう?いつも薄着だからよ。」
うつ伏せのバルタ「このぶりっこ野郎・・・
あれはエレキング・・・ダリアを抱き込んだわね・・・」
バルタのブラジャーからメモリーカードを奪うピット
「このエロビデオは彼を脅迫するのに使えるわね。」
バルタ「待って・・・私はまだ利用価値があるわよ・・・」
ピット「ないと思うよ。」
窓ガラスが割れて、ホテルのスイートから外へ落下していくバルタ。
部屋に入ってくるダリア「あんた、やりすぎよ・・・」
ピット「勝手に飛び降り自殺しちゃった。」
・
太平洋を飛行する旅客機
日本のニュースを機内で知るマルス
黒服「ソニックブレイドが負けて東京は壊滅した。いいタイミングで国外脱出できたな。」
絶句するマルス「・・・・・・。」
・
明け方
ボロボロのソニックブレイド
コックピットで目を覚ますえる。
ぐえっと吐いてしまう。
コックピットを降りると、バルタの飛び降り死体が転がっているのに気づく。
ショックを受けるえる「はあはあ・・・」
周囲を見渡すと都市が壊滅しており、死体の山が転がっている。
える「・・・またここに戻ってきたのね。」
・
とぼとぼとガレキと化した東京都を歩くえる。
自分たちのアパートにたどり着く。
当然だがマルスはいない。
ドアを叩く音。
ドアを開けると暗い表情で寺島が立っている。
える「先生・・・」
寺島「・・・あなただったのね・・・」
える「・・・・・・。」
寺島「国会が吹き飛んだのは知ってる?」
える「気絶してたから。」
涙目になる寺島「気をしっかり持ってね・・・あなたのお母さんもいたの。」
ショックで涙も出ないえる「・・・・・・。」
寺島「ロボットの暴走も結局仕組まれていたそうよ。
でも、日本だけえるちゃんが撃退したから、一時的にしらを切ったのよ。
グリッドライン社はとうとう全世界を統治したわ・・・
教えて・・・これから、どうやって生きていけばいいんだろう・・・?」
・
神社
える「山根さん・・・」
勘兵衛「お前か。」
える「力を貸して・・・」
勘兵衛「覚悟は出来たか。なにをする?」
える「あいつらを皆殺しにする。」
『帰ってきたソニックブレイド』脚本③
2025-11-14 22:07:13 (120 days ago)
テレビのニュース
「先日起きたグリッドブレイドの暴走については、第三者委員会とグリッドライン社が原因を解明するとのことです。」
記者会見をするメトロンCEO「開発下請け会社を控訴することに決めました。
今後も世界の安定と平和のためにわが社は全力で取り組むことを約束します。」
幹部会議
モートン「会社の株価は?」
ラップトップをいじるバルタ「許容範囲ね。ザラも死んで責任を取ってくれたし。」
ピット「あいつ、年下のくせに生意気だったから、いなくなってせいせいした。」
白衣のダリア「問題はあの試作機よ。どうする?」
バルタ「パイロットの素性は割れてるから、その女を消せば済む話じゃない?」
ピット「女なの?」
えるの画像を会議室に投影するバルタ「こいつよ。」
ピット「・・・ガキに見えるけど。」
ラップトップをたたむバルタ「こんな小娘、このわたしがひとひねりにしてやるわ。」
モートン「では、お前に任せる。しかし失敗は許さん。」
バルタ「私が失敗したことがあった?」
モートン「ない。」
退室するバルタ。
ダリア「・・・あの子はマグナム弾でも殺せないのに。」
ピット「そうなの?教えてあげたら?」
ダリア「会長の玉の輿になる確率が上がるでしょ?」
ピット「わるいんだ~」
モートン「バルタは手練れだ。パイロットはあいつに任せておけ。
お前たちはロボットの方を当たれ。」
ダリア「はい。」
会議室に映されたままのえるの画像。
・
夜
アパート
えるの手当をするマルス。
「無茶なことをしたもんだ。」
える「ごめんなさい・・・」
マルス「ソニックブレイドには二度と乗らないんじゃなかったのか。」
える「あのロボットが襲ってきたから。」
マルス「君の体はもう戦えるような状態じゃないんだぞ。」
える「じゃあ、センターのみんなを見捨てればよかったの?」
マルス「そうは言ってないけど。」
える「愛野さんがいないの。」
マルス「・・・彼女は亡くなった。」
青くなるえる「・・・うそでしょう?」
マルス「あの子だけじゃない。多くの人が死んだんだ。
きみが気にすることじゃない。
自分のことだけを考えろ。」
える「わたしも人の役に立ちたいの。」
マルス「きみが大けがしたら直せる人間がいないんだぞ?
オレはきみに家にいてほしいんだ。」
える「わたしにはなんにもやらせてくれないんですね。」
マルス「・・・とげのある言い方だな。」
える「わたし・・・あのロボットと戦って確かに怪我しちゃったけど・・・
町のみんなに感謝されたんだ。
いじめられっ子で足手まといな私が感謝されたの。人生で初めて。」
マルス「これが私の生きる道とか言うんじゃないだろうな。」
える「私にはもう時間がないの。なら、残りの時間を人のために・・・」
マルス「みんなが感謝したのはきみじゃない!ソニックブレイドだ!」
部屋を出ていくえる「ライちゃんのバカ!きらい!!」
部屋に入ってくる妹のろな
大学生のろな「お兄ちゃん大丈夫?パパが様子見て来いって。あれ?えるちゃんは?」
マルス「出て行った・・・」
ろなに缶ビールを注いでやるマルス「あいつが初めて怒った・・・」
ろな「あら珍しい。」
マルス「言い過ぎたのかもしれない。」
ろな「お兄ちゃんの気持ちはわかってると思うよ。」
マルス「もう戦ってほしくないんだ。ずっとそばにいてほしい。」
ろな「それは向こうも一緒だって。
ただ、お兄ちゃんに言ってもらいたいの。」
マルス「なにを。」
ろな「ありがとうって。最近言ったことあった?」
・
神社
おさいせんをいれるえる「ライちゃんと仲直りできますように・・・」
浮浪者の老人「こんな夜中に若い女が出歩くんじゃない。」
える「す・・・すいません・・・」
老人「まったくどうなっとるんだ日本の風紀は・・・ぶつぶつ」
える「へんなおじいちゃんに絡まれちゃったな。」
老人「馬鹿者!わしには山根勘兵衛という名前があるわ!
だいたいパジャマのようなかっこうで外出する非行娘に老人扱いされる筋合いはない!家に帰れ!親が心配するじゃろ。」
える「・・・ケンカしちゃったんだもん。」
勘兵衛「ケンカがなんじゃ。
わしが若い頃には戦争で鬼畜米英と命の取り合いをしとったんじゃ。可愛いもんじゃろ。」
える「おじいちゃん、戦争に行ってたんですか?」
無視する勘兵衛「・・・。」
える「山根さん、戦争に行ってたの?」
勘兵衛「これでもガダルカナルの軍神と呼ばれておったわ。」
える「わたしも行きましたよ。戦争。」
勘兵衛「こんな小娘にからかわれるようになるとは・・・死んでいった戦友に申し訳が立たん・・・こんな社会にわしの居場所はない。潔く自決じゃ・・・」
える「社会に居場所がないのも一緒だ。」
勘兵衛「お前にわしの苦労が分かるものか!家に帰れ!」
ブラウスのボタンを外すえる。
勘兵衛「こら!年頃の娘がはしたない!」
えるが胸をさらけ出すと、グロテスクな傷跡とそこに機械が埋め込まれている。
勘兵衛「・・・。すまなかった。」
神社の境内に並んで座る二人。
勘兵衛「あの悪魔のようなロボットを倒したのは、お前さんじゃったか。」
える「それでこっぴどく怒られちゃった。」
勘兵衛「気にするな。
誰かが戦わなければ国は守れない。
お前さんは正しいことをした。胸を張れ。」
目を潤ませるえる
勘兵衛「泣くことないじゃろ・・・」
える「うう・・・」
勘兵衛「老いぼれがひとつ教えてやろう。
これからは自分のことは自分で決めるようにしなさい。
一度きりの自分の人生だ。お前さんが正しいと思ったことをやれ。」
える「・・・」
勘兵衛「もし、お前さんがこれからもあれに乗って戦うというのなら・・・
ここに来い。力になってやろう。」
える「おじい・・・山根さんが?」
勘兵衛「武将には軍師がいるじゃろう?」
遠くからマルスの声がする。
マルス「える~!」
勘兵衛「まずは恋人と仲直りしろ。」
・
マルスに背負われて家に帰るえる。
える「ごめんなさい・・・」
マルス「オレも言い過ぎた。ただ心配なんだ。きみの体が。」
える「うん・・・」
マルス「・・・約束しただろう?えるの体は絶対に直してやる。
だから自分を大事にしてくれよ。オレのために。」
える「ありがとう・・・」
える(その優しさがつらいの。)
・
アパート
ふとんで寝ているえる。
病院の領収書を手に取るマルス「これを見つけたから働きたいと言い出したのか。」
領収書を見ると、えるを延命するための薬が高額であることが分かる。
マルス「確かにこのままじゃ家賃も払えなくなる・・・
時間がないのかもな。」
・
翌日
高校の屋上
愛野沙良に花を手向けるマルス
「ごめんな・・・守ってやれなかった。」
背後から声をかけるセクシーな美女「お優しいのね。」
マルス「・・・お前は?」
美女「わたくしグリッドライン社オーストラリア支社の重役をしております
バルタ・シカーダと言います。」
マルス「真相を知るオレをついに消しに来たか。」
バルタ「お~ほっほ、ご冗談を。わが社も被害者でしてね。
グリッドブレイドの電子頭脳をハッキングされ、あろうことか殺戮マシーンに悪用された。」
マルス「あんたの会社が嫌いな人間がきれいに殺されたのも偶然か?」
バルタ「おほほほ、あなたが生きているでしょう?
メトロン会長は、今回の事件を重く受け止めておりまして・・・
プロトタイプの開発者をアメリカに呼び戻し、原因究明をしたいお考えです。」
マルス「ソニックブレイドのことか。」
バルタ「あなた方があれを作る際に、意図的に人工知能プログラムにバックドアを仕組んだのではないかと、会長は懸念されております。」
マルス「あんた・・・」
バルタ「シカーダよ。」
マルス「頭がいいな。」
バルタ「女が全てあなたよりバカだと思ってたの?」
マルス「いいや。」
バルタ「では、ついてきてくださる?」
・
ロイヤルホテル
高級そうなバー。美しい東京の夜景が広がる。
マルス「何考えてやがる。色仕掛けなんか俺には通用しないぜ。」
頬杖をつくバルタ「ふふ・・・こんなお洒落なところ彼女と来たことないでしょう。」
マルス「えるは酒が飲めないんだ。」
バルタ「可愛い彼女さんよね。」
マルス「えるに手を出してみろ。殺してやる。」
バルタ「まあ、ひどい言い方。むしろあの子を助けに来たのに。」
マルス「オレはアメリカにはいかない。」
バルタ「あの子の手術にかかる費用を負担すると言っても?」
マルス「なんだと・・・?」
バルタ「頭のいいあなたならわかるでしょ?
今の仕事を続けながら彼女の介護をして・・・将来はあるの?」
マルス「介護って言うな。・・・オレたちは支え合って暮らしてるんだ。」
バルタ「失礼。あなたには才能がある。
そして、我が社は才能のあるものに対価を惜しまないわ。」
マルス「オレはもうソニックブレイドなんか作らないぞ。
どうせお前らみたいなのに悪用される。」
胸の谷間から小切手を取り出すバルタ「とんだ陰謀論ね・・・
ではこうしましょう。人間に絶対に危害を与えない人工知能を作ってちょうだい。
それで報酬は1億ドル。どうかしら。」
マルス「・・・・・・。」
立ち上がるバルタ「・・・優柔不断な男ね。さようなら。」
バルタの腕をつかむマルス「・・・待て。」
意地悪に微笑むバルタ「ふふ・・・なあに?」
マルス「・・・確証が欲しい・・・えるを助けられるという確証が・・・」
バルタ「いいわよ。そのまえに乾杯しましょう。」
マルス「・・・・・・。」
・
アパート
える「ライちゃん遅いな・・・ごはん冷めちゃうよ。」
マルスに電話をかける。
・
ホテルのスイートルーム
マルスのケータイが鳴る。
睡眠薬で眠らされたマルスが起きると、ベッドにあおむけになっている。
ぎょっとすると、すぐそばに全裸のバルタが立っている。
マルスのケータイを手に取るバルタ。
バルタ「録音してたのね。賢い子。このやり取りを聞かせれば、あのおバカな彼女も浮気を疑わないものね・・・」
マルス「・・・・・・。」
ケータイをハイヒールでつぶしてしまうバルタ
「あなた・・・色仕掛けなんか通用しないって言ったわよね?」
マルス「うう・・・」
バルタ「私の色仕掛けが通用しないオスはこの宇宙にはいないの。」
そう言うと、マルスにキスをするバルタ。
・
グリッドライン社
会長室
モートン「シカーダが動きました。」
自分が表紙のTIME誌を読んでいるメトロン「ほう。」
モートン「しかし深未えるはサイボーグです。やはり暗殺ならわたしが行くべきでした。」
メトロン「暴力だけが戦いじゃないさ。
きみはシカーダくんの種族を知っているかい?」
モートン「バルタン星人。」
メトロン「多くの惑星があの異星人に乗っ取られたが、それは軍事力によってではない。」
モートン「御教示ください。」
メトロン「繁殖力だよ。」
・
スイートルーム
体を密着させるバルタ「正直になりなさい。えるちゃんは異性として見れないんでしょう?
あどけないし、全身は機械・・・こんな風にセックスだってできないじゃない。」
涙を流すマルス「・・・卑怯だぞ、お前・・・」
バルタ「うふ、確証をあげるわ。わが社に、えるちゃんを改造した科学者がいる。
あの子ならえるちゃんの体を元に戻せるわよ。」
マルス「・・・!」
バルタ「わたくしはスケベで卑怯だけど正直者よ。」
すると、ビデオカメラのスイッチを切る。
ビデオのメモリーを手に取るバルタ「まあ、あなたたちが破局しなければの話だけど。」
「先日起きたグリッドブレイドの暴走については、第三者委員会とグリッドライン社が原因を解明するとのことです。」
記者会見をするメトロンCEO「開発下請け会社を控訴することに決めました。
今後も世界の安定と平和のためにわが社は全力で取り組むことを約束します。」
幹部会議
モートン「会社の株価は?」
ラップトップをいじるバルタ「許容範囲ね。ザラも死んで責任を取ってくれたし。」
ピット「あいつ、年下のくせに生意気だったから、いなくなってせいせいした。」
白衣のダリア「問題はあの試作機よ。どうする?」
バルタ「パイロットの素性は割れてるから、その女を消せば済む話じゃない?」
ピット「女なの?」
えるの画像を会議室に投影するバルタ「こいつよ。」
ピット「・・・ガキに見えるけど。」
ラップトップをたたむバルタ「こんな小娘、このわたしがひとひねりにしてやるわ。」
モートン「では、お前に任せる。しかし失敗は許さん。」
バルタ「私が失敗したことがあった?」
モートン「ない。」
退室するバルタ。
ダリア「・・・あの子はマグナム弾でも殺せないのに。」
ピット「そうなの?教えてあげたら?」
ダリア「会長の玉の輿になる確率が上がるでしょ?」
ピット「わるいんだ~」
モートン「バルタは手練れだ。パイロットはあいつに任せておけ。
お前たちはロボットの方を当たれ。」
ダリア「はい。」
会議室に映されたままのえるの画像。
・
夜
アパート
えるの手当をするマルス。
「無茶なことをしたもんだ。」
える「ごめんなさい・・・」
マルス「ソニックブレイドには二度と乗らないんじゃなかったのか。」
える「あのロボットが襲ってきたから。」
マルス「君の体はもう戦えるような状態じゃないんだぞ。」
える「じゃあ、センターのみんなを見捨てればよかったの?」
マルス「そうは言ってないけど。」
える「愛野さんがいないの。」
マルス「・・・彼女は亡くなった。」
青くなるえる「・・・うそでしょう?」
マルス「あの子だけじゃない。多くの人が死んだんだ。
きみが気にすることじゃない。
自分のことだけを考えろ。」
える「わたしも人の役に立ちたいの。」
マルス「きみが大けがしたら直せる人間がいないんだぞ?
オレはきみに家にいてほしいんだ。」
える「わたしにはなんにもやらせてくれないんですね。」
マルス「・・・とげのある言い方だな。」
える「わたし・・・あのロボットと戦って確かに怪我しちゃったけど・・・
町のみんなに感謝されたんだ。
いじめられっ子で足手まといな私が感謝されたの。人生で初めて。」
マルス「これが私の生きる道とか言うんじゃないだろうな。」
える「私にはもう時間がないの。なら、残りの時間を人のために・・・」
マルス「みんなが感謝したのはきみじゃない!ソニックブレイドだ!」
部屋を出ていくえる「ライちゃんのバカ!きらい!!」
部屋に入ってくる妹のろな
大学生のろな「お兄ちゃん大丈夫?パパが様子見て来いって。あれ?えるちゃんは?」
マルス「出て行った・・・」
ろなに缶ビールを注いでやるマルス「あいつが初めて怒った・・・」
ろな「あら珍しい。」
マルス「言い過ぎたのかもしれない。」
ろな「お兄ちゃんの気持ちはわかってると思うよ。」
マルス「もう戦ってほしくないんだ。ずっとそばにいてほしい。」
ろな「それは向こうも一緒だって。
ただ、お兄ちゃんに言ってもらいたいの。」
マルス「なにを。」
ろな「ありがとうって。最近言ったことあった?」
・
神社
おさいせんをいれるえる「ライちゃんと仲直りできますように・・・」
浮浪者の老人「こんな夜中に若い女が出歩くんじゃない。」
える「す・・・すいません・・・」
老人「まったくどうなっとるんだ日本の風紀は・・・ぶつぶつ」
える「へんなおじいちゃんに絡まれちゃったな。」
老人「馬鹿者!わしには山根勘兵衛という名前があるわ!
だいたいパジャマのようなかっこうで外出する非行娘に老人扱いされる筋合いはない!家に帰れ!親が心配するじゃろ。」
える「・・・ケンカしちゃったんだもん。」
勘兵衛「ケンカがなんじゃ。
わしが若い頃には戦争で鬼畜米英と命の取り合いをしとったんじゃ。可愛いもんじゃろ。」
える「おじいちゃん、戦争に行ってたんですか?」
無視する勘兵衛「・・・。」
える「山根さん、戦争に行ってたの?」
勘兵衛「これでもガダルカナルの軍神と呼ばれておったわ。」
える「わたしも行きましたよ。戦争。」
勘兵衛「こんな小娘にからかわれるようになるとは・・・死んでいった戦友に申し訳が立たん・・・こんな社会にわしの居場所はない。潔く自決じゃ・・・」
える「社会に居場所がないのも一緒だ。」
勘兵衛「お前にわしの苦労が分かるものか!家に帰れ!」
ブラウスのボタンを外すえる。
勘兵衛「こら!年頃の娘がはしたない!」
えるが胸をさらけ出すと、グロテスクな傷跡とそこに機械が埋め込まれている。
勘兵衛「・・・。すまなかった。」
神社の境内に並んで座る二人。
勘兵衛「あの悪魔のようなロボットを倒したのは、お前さんじゃったか。」
える「それでこっぴどく怒られちゃった。」
勘兵衛「気にするな。
誰かが戦わなければ国は守れない。
お前さんは正しいことをした。胸を張れ。」
目を潤ませるえる
勘兵衛「泣くことないじゃろ・・・」
える「うう・・・」
勘兵衛「老いぼれがひとつ教えてやろう。
これからは自分のことは自分で決めるようにしなさい。
一度きりの自分の人生だ。お前さんが正しいと思ったことをやれ。」
える「・・・」
勘兵衛「もし、お前さんがこれからもあれに乗って戦うというのなら・・・
ここに来い。力になってやろう。」
える「おじい・・・山根さんが?」
勘兵衛「武将には軍師がいるじゃろう?」
遠くからマルスの声がする。
マルス「える~!」
勘兵衛「まずは恋人と仲直りしろ。」
・
マルスに背負われて家に帰るえる。
える「ごめんなさい・・・」
マルス「オレも言い過ぎた。ただ心配なんだ。きみの体が。」
える「うん・・・」
マルス「・・・約束しただろう?えるの体は絶対に直してやる。
だから自分を大事にしてくれよ。オレのために。」
える「ありがとう・・・」
える(その優しさがつらいの。)
・
アパート
ふとんで寝ているえる。
病院の領収書を手に取るマルス「これを見つけたから働きたいと言い出したのか。」
領収書を見ると、えるを延命するための薬が高額であることが分かる。
マルス「確かにこのままじゃ家賃も払えなくなる・・・
時間がないのかもな。」
・
翌日
高校の屋上
愛野沙良に花を手向けるマルス
「ごめんな・・・守ってやれなかった。」
背後から声をかけるセクシーな美女「お優しいのね。」
マルス「・・・お前は?」
美女「わたくしグリッドライン社オーストラリア支社の重役をしております
バルタ・シカーダと言います。」
マルス「真相を知るオレをついに消しに来たか。」
バルタ「お~ほっほ、ご冗談を。わが社も被害者でしてね。
グリッドブレイドの電子頭脳をハッキングされ、あろうことか殺戮マシーンに悪用された。」
マルス「あんたの会社が嫌いな人間がきれいに殺されたのも偶然か?」
バルタ「おほほほ、あなたが生きているでしょう?
メトロン会長は、今回の事件を重く受け止めておりまして・・・
プロトタイプの開発者をアメリカに呼び戻し、原因究明をしたいお考えです。」
マルス「ソニックブレイドのことか。」
バルタ「あなた方があれを作る際に、意図的に人工知能プログラムにバックドアを仕組んだのではないかと、会長は懸念されております。」
マルス「あんた・・・」
バルタ「シカーダよ。」
マルス「頭がいいな。」
バルタ「女が全てあなたよりバカだと思ってたの?」
マルス「いいや。」
バルタ「では、ついてきてくださる?」
・
ロイヤルホテル
高級そうなバー。美しい東京の夜景が広がる。
マルス「何考えてやがる。色仕掛けなんか俺には通用しないぜ。」
頬杖をつくバルタ「ふふ・・・こんなお洒落なところ彼女と来たことないでしょう。」
マルス「えるは酒が飲めないんだ。」
バルタ「可愛い彼女さんよね。」
マルス「えるに手を出してみろ。殺してやる。」
バルタ「まあ、ひどい言い方。むしろあの子を助けに来たのに。」
マルス「オレはアメリカにはいかない。」
バルタ「あの子の手術にかかる費用を負担すると言っても?」
マルス「なんだと・・・?」
バルタ「頭のいいあなたならわかるでしょ?
今の仕事を続けながら彼女の介護をして・・・将来はあるの?」
マルス「介護って言うな。・・・オレたちは支え合って暮らしてるんだ。」
バルタ「失礼。あなたには才能がある。
そして、我が社は才能のあるものに対価を惜しまないわ。」
マルス「オレはもうソニックブレイドなんか作らないぞ。
どうせお前らみたいなのに悪用される。」
胸の谷間から小切手を取り出すバルタ「とんだ陰謀論ね・・・
ではこうしましょう。人間に絶対に危害を与えない人工知能を作ってちょうだい。
それで報酬は1億ドル。どうかしら。」
マルス「・・・・・・。」
立ち上がるバルタ「・・・優柔不断な男ね。さようなら。」
バルタの腕をつかむマルス「・・・待て。」
意地悪に微笑むバルタ「ふふ・・・なあに?」
マルス「・・・確証が欲しい・・・えるを助けられるという確証が・・・」
バルタ「いいわよ。そのまえに乾杯しましょう。」
マルス「・・・・・・。」
・
アパート
える「ライちゃん遅いな・・・ごはん冷めちゃうよ。」
マルスに電話をかける。
・
ホテルのスイートルーム
マルスのケータイが鳴る。
睡眠薬で眠らされたマルスが起きると、ベッドにあおむけになっている。
ぎょっとすると、すぐそばに全裸のバルタが立っている。
マルスのケータイを手に取るバルタ。
バルタ「録音してたのね。賢い子。このやり取りを聞かせれば、あのおバカな彼女も浮気を疑わないものね・・・」
マルス「・・・・・・。」
ケータイをハイヒールでつぶしてしまうバルタ
「あなた・・・色仕掛けなんか通用しないって言ったわよね?」
マルス「うう・・・」
バルタ「私の色仕掛けが通用しないオスはこの宇宙にはいないの。」
そう言うと、マルスにキスをするバルタ。
・
グリッドライン社
会長室
モートン「シカーダが動きました。」
自分が表紙のTIME誌を読んでいるメトロン「ほう。」
モートン「しかし深未えるはサイボーグです。やはり暗殺ならわたしが行くべきでした。」
メトロン「暴力だけが戦いじゃないさ。
きみはシカーダくんの種族を知っているかい?」
モートン「バルタン星人。」
メトロン「多くの惑星があの異星人に乗っ取られたが、それは軍事力によってではない。」
モートン「御教示ください。」
メトロン「繁殖力だよ。」
・
スイートルーム
体を密着させるバルタ「正直になりなさい。えるちゃんは異性として見れないんでしょう?
あどけないし、全身は機械・・・こんな風にセックスだってできないじゃない。」
涙を流すマルス「・・・卑怯だぞ、お前・・・」
バルタ「うふ、確証をあげるわ。わが社に、えるちゃんを改造した科学者がいる。
あの子ならえるちゃんの体を元に戻せるわよ。」
マルス「・・・!」
バルタ「わたくしはスケベで卑怯だけど正直者よ。」
すると、ビデオカメラのスイッチを切る。
ビデオのメモリーを手に取るバルタ「まあ、あなたたちが破局しなければの話だけど。」
『帰ってきたソニックブレイド』脚本②
2025-11-13 18:30:04 (121 days ago)
東京都 練馬区生涯学習センター
メインエントランスには、えるが乗っていたソニックブレイドが展示されている。
える「これって・・・」
寺島「あなたのお母さんが寄贈してくれたの。
けっこう小さい子に人気なんだ。」
える「そうなんですね・・・」
寺島「すごいよね、こんなロボットに人が乗りこんで怪獣と戦っていたなんて。
今は人工知能じゃない。」
える「あはは・・・」
寺島「こっちよ。」
学習スペースに案内する寺島
駆け寄る子どもたち「せんせ~」
寺島「今日はあたらしい先生をつれてきたよ。
深未える先生です。」
エプロンをつけるえる「深未えるです。好きな教科は図工です。よろしくお願いします。」
子ども「せんせい・・・この人大人なの・・・?」
寺島「・・・え?」
える「正真正銘のアラサーです。缶ぽっくり作ってあげるね。」
子ども「なにそれ?」
える「昭和の最高の娯楽です。」
寺島「高校の頃もよく遊んでたよね・・・じゃ、えるちゃんよろしくね。」
缶ぽっくりを作ってあげるえる「できた~!」
子ども「なにこれ、ダサい。」
子ども「あれだろ。このロープを振り回して戦う、フレイル系の武器だろ。」
える「え?ちが・・・」
子ども「おら~!」
缶ぽっくりを武器にされ、子どもたちに袋叩きにされるえる
える「ちょっとやめて・・・いたい!いたい!!」
子ども「やっつけろ~!!」
える「ひいい!助けて・・・!」
沙良「こら!」
逃げていく子ども「ひいい!」
子ども「スイッチでもやろうぜ。」
える「助かりました・・・あれ?どこかで・・・」
沙良「深未えるさんですよね?」
える「え~と・・・」
沙良「愛野沙良です。」
える「愛野さんもいじめを・・・?」
沙良「なかなか周囲になじめなくて。」
える「先生に相談しないの?」
沙良「迷惑かけたくないから。」
える「そんなことないと思うよ。」
沙良「それに・・・」
える「?」
沙良「わたし・・・先生のこと好きだから。」
える「青春ですね!」
あきれる沙良「・・・あなたって本当に頭が悪いのね。私は賢い人が好き。」
える「ごめんなさい・・・やっぱりわたし何もできない。
いじめを受けた子の気持ちならわかってあげられると思ったけど。」
沙良「・・・本当にソニックブレイドに乗って戦っていたの?」
える「・・・え?」
沙良「全人類はあなたを恐れていたというの?」
える「何の話でしょうか・・・」
沙良「とぼけないで。
あなたは数年前、世界最強の軍事力を有していた。
それなのになぜ、自分をさげすむ人間に復讐しなかったの?」
える「愛野さん怖い・・・」
沙良「ひどいいじめをうけて・・・なぜ恨みや憎しみを抱かないの?」
える「う~ん・・・守ってくれた人がいたからかな。」
沙良「あなたは甘ったれよ。自分で何とかせず、結局人に守ってもらっている。
わたしにはそんな人はいなかった。今までも・・・これからも。」
える「私でよかったら・・・」
沙良「いじめを受けた小学生にすらいじめられていたあなたになにができるの?」
える「それは・・・」
沙良「わたしはあなたとは違う。あなたは人より劣っていたからいじめられたけど・・・
私は人より優れているからいじめられた。」
アパート
える「ただいま・・・」
台所のマルス「おかえり。オレも今帰ったところだ。初仕事はどうだった?」
える「小学生には暴力を振るわれ・・・高校生には甘ったれだととがめられました・・・」
絶句するマルス「お前はそこでもいじめられたのか・・・!」
泣いてしまうえる「あたし・・・なにもできない・・・年を食っただけ・・・うう・・・」
マルス「まだ、初日だろ・・・ほら温かいスープ。」
える「でもなんで、あの子はわたしがロボットに乗ってたこと知ってたんだろう・・・」
マルス「?・・・今なんて言った?」
える「センターに来てた女の子がソニックブレイドのこと知ってたんです。」
マルス「もしかして・・・愛野沙良か。」
える「え・・・?」
マルス「やっぱり、いじめられていたんだ・・・
ほかになんて言っていた?」
える「・・・忘れちゃった。」
マルス「思い出せ。」
える「やだ。」
マルス「オレの教え子なんだぞ。守ってやらないと。」
える「あの頃のわたしみたいに?」
マルス「何言ってんだよ。」
える「ライちゃんのこと好きなんだって・・・」
マルス「ただの子どもの言うことだ。からかってんだよ。」
える「ちがう。その気持ちだけは私にだってわかるよ・・・本気だって・・・」
・
夜
真っ暗なマンションの部屋。
スマートフォンが鳴る。
沙良「はい・・・
計画の唯一の障壁ですが・・・脅威ではないと断言できます。
マルスライには野心がないし、深未えるは総じて愚かです。
会長に批判的な人間は東京で4万人。
スマートフォンですべて追跡可能です。
ご命令とあらば・・・グリッドブレイドで。」
スマホを切る沙良。
沙良「だから、スマートフォンは嫌い。」
マンションの部屋にはサーバーが所狭しと並んでいる。
・
東京都庁
移民反対のデモ隊が集まっている。
都庁の会議室
寺島「・・・日本の移民政策は失策だと思う?」
今日子「・・・いささか性急すぎたのかもしれないわね。」
寺島「国連がそう言うか。」
今日子「推進派は移民をていのいい労働力としか見ていないし、反対派はすべての移民を侵略者だと思っている。どちらも根底にあるのは差別よ。
そういった感情を無視して、グリッドライン社は世界中に圧力をかけた。
まあ、気持ちはわかるわ。安全圏での判断は、えてして現場の実態を無視したものになる。
ある人にそう言われたことがあったから。」
寺島「誰に?」
今日子「あなたの教え子よ、明日香。」
窓の外では警視庁の機動隊が集まってくる。
寺島「で・・・世界危機管理局WEMAの局長が何の用?」
今日子「うちの職員が不穏なやり取りを傍受して。杞憂だといいのだけど。」
高校
授業をするマルス
生徒全員がスマホをいじっている。沙良は欠席している。
学習センター
子どもたちにもみくちゃにされるえる
える「だからそういう遊び方じゃないって・・・!」
どこかの高い場所に上っている沙良
コントローラーを操作する。
グリッドライン社
受話器を握るモートン「会長。ラブクラフトからです。」
メトロン「やってくれ。」
モートン「グリッドブレイド発進!」
沙良がコントローラーのスイッチを押す。
世界中に配備されたグリッドブレイドが勝手に動き出す。
東京都庁に現れるグリッドブレイド。
巨大ロボットを見上げるデモ隊。
デモ隊「こいつを使って移民を皆殺しにすればいいんだ!」
グリッドブレイドの電子頭脳が、付近のスマホの個人情報を読み取り、粛清対象か否かを計算する。
ブオーという轟音を鳴らし、グリッドビームをチャージする、グリッドブレイド。
あたりが白い光に包まれる。
スマートホンのカメラでその様子を撮影する野次馬。
その直後、グリッドビームが矢のように発射される。
その殺人光線は、グリッドライン社に批判的な人物だけを奇麗に射抜き、白い灰に変えていく。
悲鳴があがる。
逃げ出すデモ隊を一人残らず抹殺していくグリッドブレイド。
会議室
青ざめる寺島「なんてことなの・・・」
冷静に紅茶を飲む今日子「スマホって持ってる?」
IDOの携帯電話を取り出す寺島「ガラケー。」
今日子「なら安心なさい。標的ではないわ。」
ロボット兵器による大虐殺の様子を見下ろす沙良
「人類なんてタダの虫けらね。」
高校
黒板を向いて授業をしているマルス。
生徒は窓の外を見て騒いでいるが、マルスは無視している。
恐怖におののき、教室から逃げ出していく生徒たち。
チャイムが鳴る。
マルス「~というわけで、日直さん、号令。」
教室にはだれもいない。
マルス「とうとうボイコットか。」
学習センター
子どもに叩かれるえる「暴力反対!」
その時、地面が振動する。
怯える子どもたち。
える「・・・ダメ!慌てないで!机の下に隠れるの!」
泣き叫ぶ子ども「せんせ~!」
子どもを抱きしめるえる「だいじょうぶ!みんなは先生が守るから・・・!」
人々を蹂躙するグリッドブレイド。
誰もいない高校
屋上
遠くには火の手が上がっており、グリッドブレイドが進撃している。
沙良「・・・終わったわね。」
マルス「やっぱりここにいた。」
沙良「・・・マルス先生・・・」
マルス「学校になじめない卑怯者は大体ここに行く。」
沙良「いつから気付いていたんですか?」
マルス「これでもコンピュータは強いんだ。」
沙良「・・・あ~あ・・・バレちゃった。先生のこと好きだったのに。」
マルス「ぼくらが開発したロボットが悪用されるのは胸が痛いな。」
沙良「いじめっ子を黙らせただけです。」
マルス「きみがいじめを受けたのは、優秀だからじゃない。高慢だからだ。」
沙良「いじめを生徒本人のせいにするなんて、ひどい教師ね。」
マルス「ああ・・・
とはいえ、クラスの連中がきみをいじめていい理由にはならないし・・・
それを防げなかったのは、教師である私の責任だ。すまなかった。」
沙良「先生がいじめを止めても、私はこのスイッチを押しましたよ。」
マルス「そうか・・・かわいそうな子だな。」
沙良「そんな風に言うのはやめて。警察に突き出すなら突き出してよ・・・!」
マルス「そんなことするわけないだろ。
可愛い教え子は守ってやる。」
沙良「4万人殺したのよ・・・!」
マルス「それがどうした。オレのフィアンセは10万人殺した。」
すると、ソニックブレイドが現れ、暴れるグリッドブレイドを破壊する。
沙良「うそでしょ・・・
あ・・・あたしの・・・グリッドブレイドが・・・」
膝をついて崩れる沙良。
マルス「きみにそのボタンを押させた奴に言え。
世界は一部の金持ちの思い通りにはならないって。」
・
夕暮れ
グリッドブレイドから守られた学習センター
ソニックブレイドのコックピットでふうと息を吐くえる。
コックピットを降りると、子どもたちが駆け寄ってくる。
「せんせ~こわかったよ~!」
子どもの頭をなでる「わたしにはこの仕事しかないのかな。」
・
都庁
テレビニュースでソニックブレイドに倒されるグリッドブレイドのニュースが流れる。
寺島「いったい誰がソニックブレイドに乗ったの?」
立ち上がる今日子「あなたに預けて正解だったわ。」
寺島「どこへ行くの、今日子。」
微笑む今日子「侵略者の後始末。」
・
夜
マンションの部屋を引き払う沙良。
サーバーのすべてのハードディスクを叩き壊し、証拠隠滅を図る。
マンションから野外に出ると、腕だけになったグリッドブレイドにつかまれる。
沙良「・・・やめて離して!」
今日子「あなたのロボットに殺された人の気持ちがわかったかしら?」
沙良「・・・誰なの?」
今日子「ごあいさつがおくれましたわ。世界危機管理局局長の深未今日子と言います。」
沙良「深未・・・」
今日子「くだらないラジコンでとんでもない虐殺をしてくれたわね。」
沙良「くだらないラジコンを世界にばらまいたのはあなたでなくて?」
今日子「だから怒っているの。
私はソニックブレイドを世界平和のために提案した。」
握り締められる沙良「いたい・・・!」
今日子「周到な計画だったわ・・・証拠がないから、あなたの罪は裁かれない。
でもね・・・わたくしはマルスくんと違って甘くないの。
だって、あなたの本当の正体を知っているから。」
沙良「もう許して・・・差別主義者を粛正したほうがいい星になるでしょう?」
今日子「この異星人の面汚し。
あなたの悪行でザラブ星人すべてが今後、いわれのない差別や偏見を受けるのよ。」
沙良「ふふふ・・・悪行って・・・」
今日子「何がおかしいのかしら?」
沙良「あなたの娘も一緒じゃない・・・!」
鬼の形相になる今日子「死ね。」
グリッドブレイドに握りつぶされる沙良「ぎゃああああ!」
グリッドブレイドの指のあいだからピンク色の血液が流れる。
・
グリッドライン社本社
モートン「世界各地で反逆者は粛清完了。
ただし・・・日本だけが蜂起しました。」
メトロン「失敗したか・・・ザラくんは。
ソニックブレイド・・・まさか帰ってくるとはね。」
メインエントランスには、えるが乗っていたソニックブレイドが展示されている。
える「これって・・・」
寺島「あなたのお母さんが寄贈してくれたの。
けっこう小さい子に人気なんだ。」
える「そうなんですね・・・」
寺島「すごいよね、こんなロボットに人が乗りこんで怪獣と戦っていたなんて。
今は人工知能じゃない。」
える「あはは・・・」
寺島「こっちよ。」
学習スペースに案内する寺島
駆け寄る子どもたち「せんせ~」
寺島「今日はあたらしい先生をつれてきたよ。
深未える先生です。」
エプロンをつけるえる「深未えるです。好きな教科は図工です。よろしくお願いします。」
子ども「せんせい・・・この人大人なの・・・?」
寺島「・・・え?」
える「正真正銘のアラサーです。缶ぽっくり作ってあげるね。」
子ども「なにそれ?」
える「昭和の最高の娯楽です。」
寺島「高校の頃もよく遊んでたよね・・・じゃ、えるちゃんよろしくね。」
缶ぽっくりを作ってあげるえる「できた~!」
子ども「なにこれ、ダサい。」
子ども「あれだろ。このロープを振り回して戦う、フレイル系の武器だろ。」
える「え?ちが・・・」
子ども「おら~!」
缶ぽっくりを武器にされ、子どもたちに袋叩きにされるえる
える「ちょっとやめて・・・いたい!いたい!!」
子ども「やっつけろ~!!」
える「ひいい!助けて・・・!」
沙良「こら!」
逃げていく子ども「ひいい!」
子ども「スイッチでもやろうぜ。」
える「助かりました・・・あれ?どこかで・・・」
沙良「深未えるさんですよね?」
える「え~と・・・」
沙良「愛野沙良です。」
える「愛野さんもいじめを・・・?」
沙良「なかなか周囲になじめなくて。」
える「先生に相談しないの?」
沙良「迷惑かけたくないから。」
える「そんなことないと思うよ。」
沙良「それに・・・」
える「?」
沙良「わたし・・・先生のこと好きだから。」
える「青春ですね!」
あきれる沙良「・・・あなたって本当に頭が悪いのね。私は賢い人が好き。」
える「ごめんなさい・・・やっぱりわたし何もできない。
いじめを受けた子の気持ちならわかってあげられると思ったけど。」
沙良「・・・本当にソニックブレイドに乗って戦っていたの?」
える「・・・え?」
沙良「全人類はあなたを恐れていたというの?」
える「何の話でしょうか・・・」
沙良「とぼけないで。
あなたは数年前、世界最強の軍事力を有していた。
それなのになぜ、自分をさげすむ人間に復讐しなかったの?」
える「愛野さん怖い・・・」
沙良「ひどいいじめをうけて・・・なぜ恨みや憎しみを抱かないの?」
える「う~ん・・・守ってくれた人がいたからかな。」
沙良「あなたは甘ったれよ。自分で何とかせず、結局人に守ってもらっている。
わたしにはそんな人はいなかった。今までも・・・これからも。」
える「私でよかったら・・・」
沙良「いじめを受けた小学生にすらいじめられていたあなたになにができるの?」
える「それは・・・」
沙良「わたしはあなたとは違う。あなたは人より劣っていたからいじめられたけど・・・
私は人より優れているからいじめられた。」
アパート
える「ただいま・・・」
台所のマルス「おかえり。オレも今帰ったところだ。初仕事はどうだった?」
える「小学生には暴力を振るわれ・・・高校生には甘ったれだととがめられました・・・」
絶句するマルス「お前はそこでもいじめられたのか・・・!」
泣いてしまうえる「あたし・・・なにもできない・・・年を食っただけ・・・うう・・・」
マルス「まだ、初日だろ・・・ほら温かいスープ。」
える「でもなんで、あの子はわたしがロボットに乗ってたこと知ってたんだろう・・・」
マルス「?・・・今なんて言った?」
える「センターに来てた女の子がソニックブレイドのこと知ってたんです。」
マルス「もしかして・・・愛野沙良か。」
える「え・・・?」
マルス「やっぱり、いじめられていたんだ・・・
ほかになんて言っていた?」
える「・・・忘れちゃった。」
マルス「思い出せ。」
える「やだ。」
マルス「オレの教え子なんだぞ。守ってやらないと。」
える「あの頃のわたしみたいに?」
マルス「何言ってんだよ。」
える「ライちゃんのこと好きなんだって・・・」
マルス「ただの子どもの言うことだ。からかってんだよ。」
える「ちがう。その気持ちだけは私にだってわかるよ・・・本気だって・・・」
・
夜
真っ暗なマンションの部屋。
スマートフォンが鳴る。
沙良「はい・・・
計画の唯一の障壁ですが・・・脅威ではないと断言できます。
マルスライには野心がないし、深未えるは総じて愚かです。
会長に批判的な人間は東京で4万人。
スマートフォンですべて追跡可能です。
ご命令とあらば・・・グリッドブレイドで。」
スマホを切る沙良。
沙良「だから、スマートフォンは嫌い。」
マンションの部屋にはサーバーが所狭しと並んでいる。
・
東京都庁
移民反対のデモ隊が集まっている。
都庁の会議室
寺島「・・・日本の移民政策は失策だと思う?」
今日子「・・・いささか性急すぎたのかもしれないわね。」
寺島「国連がそう言うか。」
今日子「推進派は移民をていのいい労働力としか見ていないし、反対派はすべての移民を侵略者だと思っている。どちらも根底にあるのは差別よ。
そういった感情を無視して、グリッドライン社は世界中に圧力をかけた。
まあ、気持ちはわかるわ。安全圏での判断は、えてして現場の実態を無視したものになる。
ある人にそう言われたことがあったから。」
寺島「誰に?」
今日子「あなたの教え子よ、明日香。」
窓の外では警視庁の機動隊が集まってくる。
寺島「で・・・世界危機管理局WEMAの局長が何の用?」
今日子「うちの職員が不穏なやり取りを傍受して。杞憂だといいのだけど。」
高校
授業をするマルス
生徒全員がスマホをいじっている。沙良は欠席している。
学習センター
子どもたちにもみくちゃにされるえる
える「だからそういう遊び方じゃないって・・・!」
どこかの高い場所に上っている沙良
コントローラーを操作する。
グリッドライン社
受話器を握るモートン「会長。ラブクラフトからです。」
メトロン「やってくれ。」
モートン「グリッドブレイド発進!」
沙良がコントローラーのスイッチを押す。
世界中に配備されたグリッドブレイドが勝手に動き出す。
東京都庁に現れるグリッドブレイド。
巨大ロボットを見上げるデモ隊。
デモ隊「こいつを使って移民を皆殺しにすればいいんだ!」
グリッドブレイドの電子頭脳が、付近のスマホの個人情報を読み取り、粛清対象か否かを計算する。
ブオーという轟音を鳴らし、グリッドビームをチャージする、グリッドブレイド。
あたりが白い光に包まれる。
スマートホンのカメラでその様子を撮影する野次馬。
その直後、グリッドビームが矢のように発射される。
その殺人光線は、グリッドライン社に批判的な人物だけを奇麗に射抜き、白い灰に変えていく。
悲鳴があがる。
逃げ出すデモ隊を一人残らず抹殺していくグリッドブレイド。
会議室
青ざめる寺島「なんてことなの・・・」
冷静に紅茶を飲む今日子「スマホって持ってる?」
IDOの携帯電話を取り出す寺島「ガラケー。」
今日子「なら安心なさい。標的ではないわ。」
ロボット兵器による大虐殺の様子を見下ろす沙良
「人類なんてタダの虫けらね。」
高校
黒板を向いて授業をしているマルス。
生徒は窓の外を見て騒いでいるが、マルスは無視している。
恐怖におののき、教室から逃げ出していく生徒たち。
チャイムが鳴る。
マルス「~というわけで、日直さん、号令。」
教室にはだれもいない。
マルス「とうとうボイコットか。」
学習センター
子どもに叩かれるえる「暴力反対!」
その時、地面が振動する。
怯える子どもたち。
える「・・・ダメ!慌てないで!机の下に隠れるの!」
泣き叫ぶ子ども「せんせ~!」
子どもを抱きしめるえる「だいじょうぶ!みんなは先生が守るから・・・!」
人々を蹂躙するグリッドブレイド。
誰もいない高校
屋上
遠くには火の手が上がっており、グリッドブレイドが進撃している。
沙良「・・・終わったわね。」
マルス「やっぱりここにいた。」
沙良「・・・マルス先生・・・」
マルス「学校になじめない卑怯者は大体ここに行く。」
沙良「いつから気付いていたんですか?」
マルス「これでもコンピュータは強いんだ。」
沙良「・・・あ~あ・・・バレちゃった。先生のこと好きだったのに。」
マルス「ぼくらが開発したロボットが悪用されるのは胸が痛いな。」
沙良「いじめっ子を黙らせただけです。」
マルス「きみがいじめを受けたのは、優秀だからじゃない。高慢だからだ。」
沙良「いじめを生徒本人のせいにするなんて、ひどい教師ね。」
マルス「ああ・・・
とはいえ、クラスの連中がきみをいじめていい理由にはならないし・・・
それを防げなかったのは、教師である私の責任だ。すまなかった。」
沙良「先生がいじめを止めても、私はこのスイッチを押しましたよ。」
マルス「そうか・・・かわいそうな子だな。」
沙良「そんな風に言うのはやめて。警察に突き出すなら突き出してよ・・・!」
マルス「そんなことするわけないだろ。
可愛い教え子は守ってやる。」
沙良「4万人殺したのよ・・・!」
マルス「それがどうした。オレのフィアンセは10万人殺した。」
すると、ソニックブレイドが現れ、暴れるグリッドブレイドを破壊する。
沙良「うそでしょ・・・
あ・・・あたしの・・・グリッドブレイドが・・・」
膝をついて崩れる沙良。
マルス「きみにそのボタンを押させた奴に言え。
世界は一部の金持ちの思い通りにはならないって。」
・
夕暮れ
グリッドブレイドから守られた学習センター
ソニックブレイドのコックピットでふうと息を吐くえる。
コックピットを降りると、子どもたちが駆け寄ってくる。
「せんせ~こわかったよ~!」
子どもの頭をなでる「わたしにはこの仕事しかないのかな。」
・
都庁
テレビニュースでソニックブレイドに倒されるグリッドブレイドのニュースが流れる。
寺島「いったい誰がソニックブレイドに乗ったの?」
立ち上がる今日子「あなたに預けて正解だったわ。」
寺島「どこへ行くの、今日子。」
微笑む今日子「侵略者の後始末。」
・
夜
マンションの部屋を引き払う沙良。
サーバーのすべてのハードディスクを叩き壊し、証拠隠滅を図る。
マンションから野外に出ると、腕だけになったグリッドブレイドにつかまれる。
沙良「・・・やめて離して!」
今日子「あなたのロボットに殺された人の気持ちがわかったかしら?」
沙良「・・・誰なの?」
今日子「ごあいさつがおくれましたわ。世界危機管理局局長の深未今日子と言います。」
沙良「深未・・・」
今日子「くだらないラジコンでとんでもない虐殺をしてくれたわね。」
沙良「くだらないラジコンを世界にばらまいたのはあなたでなくて?」
今日子「だから怒っているの。
私はソニックブレイドを世界平和のために提案した。」
握り締められる沙良「いたい・・・!」
今日子「周到な計画だったわ・・・証拠がないから、あなたの罪は裁かれない。
でもね・・・わたくしはマルスくんと違って甘くないの。
だって、あなたの本当の正体を知っているから。」
沙良「もう許して・・・差別主義者を粛正したほうがいい星になるでしょう?」
今日子「この異星人の面汚し。
あなたの悪行でザラブ星人すべてが今後、いわれのない差別や偏見を受けるのよ。」
沙良「ふふふ・・・悪行って・・・」
今日子「何がおかしいのかしら?」
沙良「あなたの娘も一緒じゃない・・・!」
鬼の形相になる今日子「死ね。」
グリッドブレイドに握りつぶされる沙良「ぎゃああああ!」
グリッドブレイドの指のあいだからピンク色の血液が流れる。
・
グリッドライン社本社
モートン「世界各地で反逆者は粛清完了。
ただし・・・日本だけが蜂起しました。」
メトロン「失敗したか・・・ザラくんは。
ソニックブレイド・・・まさか帰ってくるとはね。」
『帰ってきたソニックブレイド』脚本①
2025-11-13 18:29:03 (121 days ago)
イエローストーン国立公園。
火山地帯で暮らしている怪獣アーストロン。
MRFが怪獣の生態を調査している。
双眼鏡を構えるリサ「いました。アーストロンです。地震計の数値は?」
計器を見るクラウス「問題なし。当分住処を失うことないだろ。」
ジャック「なら、人間の居住区に移動することもない。
性質もおとなしいし、保護しましょう。」
すると、ソニックブレイドに似た巨大ロボットが現れ、いきなりアーストロンと戦闘を始める。
クラウス「なんだあれは!」
リサ「ソニックブレイド・・・!」
ジャック「いや・・・アメリカが量産したグリッドブレイドです!」
一方的にアーストロンをいたぶり、グリッドビームで息の根を止めると、死骸を火口に落とす。
クラウス「地震計が反応したぞ・・・」
リサ「な・・・なんてことするのよ!動物虐待!」
ジャック「よしましょう・・・!」
すると、MRFのジープを踏み潰して立ち去るグリッドブレイド。
リサ「二度と帰ってくるな~!!」
帰ってきた超音速ソニックブレイド
2013年――
国連によってソニックブレイドの人工知能データは世界中に公開され、オープンソースとなった。
これにより、世界各国が怪獣に対処することができ、つかの間の平和が訪れると思われた。
しかし、ソニックブレイドを開発し配置できたのは、経済的に豊かなわずかな国だけだった。
そこで躍進したのが、アメリカの世界的ITベンチャー企業のグリッドライン社(GL)だった。GL社はソニックブレイドの量産化とコストダウンに成功、安価な兵器「グリッドブレイド」として世界中に売りつけた。GL社はアメリカにとって代わり世界の警察、救世主となろうとしていた・・・
グリッドブレイドの背中に石を投げつけるリサ。
・
日本 東京
芹沢高校
黒板を使って授業をする教師マルス
「万物は流転するとはヘラクレイトスの言葉だが、その変化に限界はあるのか・・・
歩留まりはあるのだろうか?
ここ数世紀で人類の科学技術は飛躍的に進歩した。ワクチン、核兵器、遺伝子工学、インターネット、そして・・・人工知能・・・
とうとう人類は自発的に進化する新たな生命体を手に入れた。それは我々旧来の生命体よりも急速に進化する・・・
誰もが、その進化が人類を凌駕すると危惧しているが・・・
問題はその進化に終着地点はあるのか、あるとしたらそれはどういったものなのかということだ。」
しかしみんな授業中にスマホをいじっており聞いていない。
マルス「・・・私は独り言をしゃべっているのか?」
男子生徒「なんで授業を聞く必要があるんですか?」
女子生徒「スマホが全部教えてくれるもん。」
マルス「そのスマホの人工知能を開発したのは誰か知っているのか?」
女子「そんなの興味ないも~ん。あ!ビーリアルだ!」
マルス「・・・。」
職員室で帰り支度をするマルス
同僚教師「マルス先生、また娘さんが校門で待ってますよ。」
マルス「・・・どうも。」
職員室を出ていくマルス
別の教師「おい、その子、マルス先生のフィアンセだぞ・・・」
同僚教師「・・・え?どう見ても十代・・・ロロ・・・ロリコン・・・」
別の教師「見えないよな・・・」
校門
マルス「学生も変わったもんだ・・・」
笑顔のえる「おつかれさま、ライちゃん・・・」
マルス「夜風が冷えるだろ・・・ごめんな。待たせて。」
える「どんぐり集めてたからあっという間だったよ。」
マルス「きみは一体いくつだ・・・あ、俺と一緒だから28なのか・・・」
える「松ぼっくりもあるよ。」
微笑むマルス「君だけは何も変わらないな・・・」
どんぐりをポシェットに入れて、手を差し出すえる「一緒に帰りましょう。」
マルス「生徒見てるから・・・」
える「何がダメなの?」
季節は冬で並木道は枯葉が落ちる。
マルス「高校の頃・・・担任の寺島先生がコンピュータをいじる俺を見て当惑していたのがわかったよ・・・どいつもこいつもスマートフォンにご執着だ。」
える「でも学校に通ってるだけましじゃないですか。
ライちゃんあんまり学校に来なかったし。さみしかったな。」
マルス「・・・そうだっけ?」
咳をするえる「けほけほ・・・」
マルス「ほら・・・風邪をひいたんじゃないか?
家で待ってればいいのに。」
える「早く会いたいんだもの。」
マルス「・・・・・・。」
・
回想
撤収するロスアラモスの実験施設
えるが乗り捨てたソニックブレイドが荒野に転がっている。
エディ・ロイド「やれることはやった。そうだろ。」
マルス「ええ・・・」
エバリスト・カレル「どうするざんすか、これは。」
マルス「えるが爆破したいそうです。嫌な思い出しかないから。」
ロイド「残念だが、これを破壊できる爆弾がこの世にはねえ。」
カレル「少なくとも、あんたの恋人が乗り込まない限り、このロボットは安全ざんすよ。」
マルス「えるは絶対乗りませんよ・・・ぼくが乗らせない。」
近づくフェイ・ヤーメイ「ボス・・・ちょっといいかな・・・」
マルス「ん?」
二人に気を使って離れるカレルとロイド。
フェイ「・・・あの子を大切にしてあげてね。」
マルス「なんだよ。」
フェイ「それだけ。」
気付くマルス「・・・長生きできないのか。」
頷くフェイ
マルス「それでもぼくはあいつと結婚する。」
フェイ「彼女を手術した人間を探し出せば・・・延命手術ができるかも。」
マルス「アメリカ陸軍の人間かな。」
フェイ「あなたならハッキングできるでしょう。
結婚式の招待状楽しみにしてるわ。行かないけどね。」
・
安アパート
布団で眠るえるに毛布をかけてやるマルス。
マルス(えるを改造した人間はどうやっても探し出せなかった。
おそらく軍の重要な情報は電子化されていなかったのだ。
それに、失敗した実験の証拠隠滅は早いものだ・・・
失敗作か・・・)
眠るえるの顔に優しく手を当てるマルス「今日は怖い夢を見なければいいな・・・」
・
学校
マルスの授業
やっぱりほとんどがスマホをいじっている。
その中でスマホを持たず、真剣に授業を聞いている利発そうなロングヘアの女の子。
チャイムが鳴る。
マルス「君はスマホをいじらないんだな。」
女子「私持ってないんです。」
マルス「今時の若い子で珍しい・・・」
女子「それに、先生の授業楽しいですし。」
マルス「ありがとう・・・ええと・・・」
女子「愛野。愛野沙良です。」
中庭で話す二人
沙良「実は、先生の授業を受けたくて転校してきたの。」
マルス「わたしの?」
沙良「現在の人工知能の原型となった適応プログラムを開発したのは先生なんですよね?」
マルス「ま・・・まあ・・・」
沙良「なんで特許を取らなかったんですか?そうすれば今ごろ、グリッドライン社の会長になっていたのは先生だったのに。」
マルス「商売として開発してなかったからな。」
沙良「ロスアラモス?」
マルス「きみ、詳しいな。」
沙良「先生の大ファンですから。」
夜
校門
える「今日はずいぶん遅かったですね。どんぐり取り尽くしちゃった。」
マルス「える・・・風邪ひいてるんだから家にいろって言ったじゃないか。」
える「だって・・・会いたいんだもん。残業?」
マルス「補習が長引いて・・・」
沙良「先生の彼女さんですか?」
マルス「え?ああ・・・」
沙良「すごい若い・・・ふ~ん。先生はそういうタイプが好きなんですね。」
マルス「いや・・・」
マルスに微笑む沙良「バイバイ、先生。」
帰っていく沙良。
える「生徒さんですか?」
マルス「いい子なんだよ。」
える「賢そう。」
マルス「学年トップだ。」
える「私はバカだけど捨てないでね。」
マルス「お前は本当にバカだな・・・あの子は教え子だぞ?」
ムッとするえる「だって・・・はっくしょん!」
手を差し出すマルス「ほら帰るぞ。」
える「生徒が見てますよ。」
手をつなぐマルス「構うもんか。」
手を繋いで帰る二人
える「私も働きに出たいな。」
マルス「・・・え?」
える「家にいてもつまらないし。家計も助かるでしょ。」
マルス「そうだけど・・・できるのか?」
える「また子ども扱いして~バイトくらいしたことあります。」
マルス「大損害を与えて、すぐクビになってただろ。」
える「私もライちゃんを助けたいの。
守ってもらうだけは嫌。」
・
コンビニエンスストア
えるの履歴書を見る店長
「高校卒業後、陸上自衛隊入隊、国際連合に転職し、アメリカ陸軍に出向・・・
第五次中東戦争に参加・・・」
履歴書の内容と見た目がまったくつながらず困惑する店長。
店長「・・・なぜコンビニでバイトを・・・?」」
える「もういやになったんです。人殺しが。」
店長「・・・面接でふざけないでくれるかな?」
える「・・・へ?」
コンビニを出るえる。
える「これで十社全滅だ・・・」
寺島「あれ・・・?もしかしてえるちゃん?」
える「・・・せ・・・先生・・・」
ファミレス
寺島「さあ、なんでも頼んでちょうだい。」
える「ありがとうございます。」
寺島「ちゃんと食べてる?やせたんじゃない?」
える「先生は変わりませんね・・・」
寺島「あなたも。マルスくん元気?うまくやれてる?」
える「授業誰も聞いてないって。」
寺島「ははは。きっと授業が難しいのよ。だから大学教員の方がいいって言ったのに。」
える「先生に憧れたって言ってました。」
寺島「あのマルスくんが高校教師か・・・えるちゃんはなにを?」
える「やることがなくて・・・主に木の実を拾ってます。」
寺島「そ・・・そっか・・・」
える「先生はまだ教育委員会ですか?」
寺島「うん。都庁で働いてる。
日本政府が移民受け入れを解禁したじゃない。
それで、移民の子のいじめが問題になってて・・・」
える「かわいそう。」
寺島「ねえ・・・仕事に困っているなら、あなたにうってつけの仕事があるけど、どうかな?」
アパート
ネクタイを外すマルス「生涯学習センター?あの科学館にくっついてるところか。」
える「学校でいじめを受けた子がそこで勉強するんですって。
あたしは勉強は教えられないけど・・・いじめの辛さはわかるから。」
マルス「たしかに君なら世界の誰よりもいじめられてるし。」
える「下には下がいるんだって教えてあげます。」
マルス「本来は学校で対処しなきゃいけないことなんだけどな・・・」
・
高校
屋上でいじめられる転校生の沙良
女子「先生の前でいい子演じるんじゃないわよ、この外人。」
沙良「・・・。」
女子「なによ、その目。文句あるの?」
沙良「悪いことは言わない。スマートフォンは捨てた方がいいわ。」
女子「余計なお世話よ。」
沙良「標的が自ら発信機をつけてくれるのだから世話はない。」
女子「何言ってんだ、こいつ。」
屋上に入ってくるマルス「おいおい、屋上で青春か?」
女子たち「いこう。」
マルス「だいじょうぶか、愛野。」
微笑む沙良「ただおしゃべりしてただけです。」
マルス「きみも周囲となじんだ方がいいんじゃないか。」
沙良「先生の授業を聞く子が誰もいなくなっちゃいますよ。」
マルス「別にいいよ。」
沙良「私は勉強をするために学校に通ってるんです。
それに・・・先生のこと、もっと知りたい。
適応プログラムのこと、量子コンピュータのこと、BMIのこと・・・そして・・・
ソニックブレイドのこと・・・」
マルス「きみはいったい・・・」
・
アメリカ
グリッドライン本社
ヘリポートにヘリコプターが着陸する。
それを出迎える女性幹部たち。
ヘリから降りるメトロン・ゲティスバーグCEO
「地球は小さいねえ。」
幹部たち「おかえりなさいませ。」
メトロン「世界は今日も平和かい。」
軍服のモートン「は。グリッドブレイドは全世界に配置完了。」
メトロン「医療。」
白衣のダリア「DNAワクチンを全人類に強制接種させておりますわ。」
メトロン「環境。」
あどけないピット「超光合成植物マンモスフラワーを世界中に植えてます。」
メトロン「移民。」
セクシーなバルタ「各国の排外主義者が課題ですわ。」
メトロン「・・・情報。」
モートン「ラブクラフトが会長の反乱分子を解析中。特に日本の保守勢力が厄介で・・・」
メトロン「人口減少に歯止めがかからないというのに、移民を拒むのか。」
モートン「会長の御命令さえあれば、いつでも実行可能とのこと。」
メトロン「粛清はやぶさかではないが・・・世界平和を阻むものには消えてもらうか。」
火山地帯で暮らしている怪獣アーストロン。
MRFが怪獣の生態を調査している。
双眼鏡を構えるリサ「いました。アーストロンです。地震計の数値は?」
計器を見るクラウス「問題なし。当分住処を失うことないだろ。」
ジャック「なら、人間の居住区に移動することもない。
性質もおとなしいし、保護しましょう。」
すると、ソニックブレイドに似た巨大ロボットが現れ、いきなりアーストロンと戦闘を始める。
クラウス「なんだあれは!」
リサ「ソニックブレイド・・・!」
ジャック「いや・・・アメリカが量産したグリッドブレイドです!」
一方的にアーストロンをいたぶり、グリッドビームで息の根を止めると、死骸を火口に落とす。
クラウス「地震計が反応したぞ・・・」
リサ「な・・・なんてことするのよ!動物虐待!」
ジャック「よしましょう・・・!」
すると、MRFのジープを踏み潰して立ち去るグリッドブレイド。
リサ「二度と帰ってくるな~!!」
帰ってきた超音速ソニックブレイド
2013年――
国連によってソニックブレイドの人工知能データは世界中に公開され、オープンソースとなった。
これにより、世界各国が怪獣に対処することができ、つかの間の平和が訪れると思われた。
しかし、ソニックブレイドを開発し配置できたのは、経済的に豊かなわずかな国だけだった。
そこで躍進したのが、アメリカの世界的ITベンチャー企業のグリッドライン社(GL)だった。GL社はソニックブレイドの量産化とコストダウンに成功、安価な兵器「グリッドブレイド」として世界中に売りつけた。GL社はアメリカにとって代わり世界の警察、救世主となろうとしていた・・・
グリッドブレイドの背中に石を投げつけるリサ。
・
日本 東京
芹沢高校
黒板を使って授業をする教師マルス
「万物は流転するとはヘラクレイトスの言葉だが、その変化に限界はあるのか・・・
歩留まりはあるのだろうか?
ここ数世紀で人類の科学技術は飛躍的に進歩した。ワクチン、核兵器、遺伝子工学、インターネット、そして・・・人工知能・・・
とうとう人類は自発的に進化する新たな生命体を手に入れた。それは我々旧来の生命体よりも急速に進化する・・・
誰もが、その進化が人類を凌駕すると危惧しているが・・・
問題はその進化に終着地点はあるのか、あるとしたらそれはどういったものなのかということだ。」
しかしみんな授業中にスマホをいじっており聞いていない。
マルス「・・・私は独り言をしゃべっているのか?」
男子生徒「なんで授業を聞く必要があるんですか?」
女子生徒「スマホが全部教えてくれるもん。」
マルス「そのスマホの人工知能を開発したのは誰か知っているのか?」
女子「そんなの興味ないも~ん。あ!ビーリアルだ!」
マルス「・・・。」
職員室で帰り支度をするマルス
同僚教師「マルス先生、また娘さんが校門で待ってますよ。」
マルス「・・・どうも。」
職員室を出ていくマルス
別の教師「おい、その子、マルス先生のフィアンセだぞ・・・」
同僚教師「・・・え?どう見ても十代・・・ロロ・・・ロリコン・・・」
別の教師「見えないよな・・・」
校門
マルス「学生も変わったもんだ・・・」
笑顔のえる「おつかれさま、ライちゃん・・・」
マルス「夜風が冷えるだろ・・・ごめんな。待たせて。」
える「どんぐり集めてたからあっという間だったよ。」
マルス「きみは一体いくつだ・・・あ、俺と一緒だから28なのか・・・」
える「松ぼっくりもあるよ。」
微笑むマルス「君だけは何も変わらないな・・・」
どんぐりをポシェットに入れて、手を差し出すえる「一緒に帰りましょう。」
マルス「生徒見てるから・・・」
える「何がダメなの?」
季節は冬で並木道は枯葉が落ちる。
マルス「高校の頃・・・担任の寺島先生がコンピュータをいじる俺を見て当惑していたのがわかったよ・・・どいつもこいつもスマートフォンにご執着だ。」
える「でも学校に通ってるだけましじゃないですか。
ライちゃんあんまり学校に来なかったし。さみしかったな。」
マルス「・・・そうだっけ?」
咳をするえる「けほけほ・・・」
マルス「ほら・・・風邪をひいたんじゃないか?
家で待ってればいいのに。」
える「早く会いたいんだもの。」
マルス「・・・・・・。」
・
回想
撤収するロスアラモスの実験施設
えるが乗り捨てたソニックブレイドが荒野に転がっている。
エディ・ロイド「やれることはやった。そうだろ。」
マルス「ええ・・・」
エバリスト・カレル「どうするざんすか、これは。」
マルス「えるが爆破したいそうです。嫌な思い出しかないから。」
ロイド「残念だが、これを破壊できる爆弾がこの世にはねえ。」
カレル「少なくとも、あんたの恋人が乗り込まない限り、このロボットは安全ざんすよ。」
マルス「えるは絶対乗りませんよ・・・ぼくが乗らせない。」
近づくフェイ・ヤーメイ「ボス・・・ちょっといいかな・・・」
マルス「ん?」
二人に気を使って離れるカレルとロイド。
フェイ「・・・あの子を大切にしてあげてね。」
マルス「なんだよ。」
フェイ「それだけ。」
気付くマルス「・・・長生きできないのか。」
頷くフェイ
マルス「それでもぼくはあいつと結婚する。」
フェイ「彼女を手術した人間を探し出せば・・・延命手術ができるかも。」
マルス「アメリカ陸軍の人間かな。」
フェイ「あなたならハッキングできるでしょう。
結婚式の招待状楽しみにしてるわ。行かないけどね。」
・
安アパート
布団で眠るえるに毛布をかけてやるマルス。
マルス(えるを改造した人間はどうやっても探し出せなかった。
おそらく軍の重要な情報は電子化されていなかったのだ。
それに、失敗した実験の証拠隠滅は早いものだ・・・
失敗作か・・・)
眠るえるの顔に優しく手を当てるマルス「今日は怖い夢を見なければいいな・・・」
・
学校
マルスの授業
やっぱりほとんどがスマホをいじっている。
その中でスマホを持たず、真剣に授業を聞いている利発そうなロングヘアの女の子。
チャイムが鳴る。
マルス「君はスマホをいじらないんだな。」
女子「私持ってないんです。」
マルス「今時の若い子で珍しい・・・」
女子「それに、先生の授業楽しいですし。」
マルス「ありがとう・・・ええと・・・」
女子「愛野。愛野沙良です。」
中庭で話す二人
沙良「実は、先生の授業を受けたくて転校してきたの。」
マルス「わたしの?」
沙良「現在の人工知能の原型となった適応プログラムを開発したのは先生なんですよね?」
マルス「ま・・・まあ・・・」
沙良「なんで特許を取らなかったんですか?そうすれば今ごろ、グリッドライン社の会長になっていたのは先生だったのに。」
マルス「商売として開発してなかったからな。」
沙良「ロスアラモス?」
マルス「きみ、詳しいな。」
沙良「先生の大ファンですから。」
夜
校門
える「今日はずいぶん遅かったですね。どんぐり取り尽くしちゃった。」
マルス「える・・・風邪ひいてるんだから家にいろって言ったじゃないか。」
える「だって・・・会いたいんだもん。残業?」
マルス「補習が長引いて・・・」
沙良「先生の彼女さんですか?」
マルス「え?ああ・・・」
沙良「すごい若い・・・ふ~ん。先生はそういうタイプが好きなんですね。」
マルス「いや・・・」
マルスに微笑む沙良「バイバイ、先生。」
帰っていく沙良。
える「生徒さんですか?」
マルス「いい子なんだよ。」
える「賢そう。」
マルス「学年トップだ。」
える「私はバカだけど捨てないでね。」
マルス「お前は本当にバカだな・・・あの子は教え子だぞ?」
ムッとするえる「だって・・・はっくしょん!」
手を差し出すマルス「ほら帰るぞ。」
える「生徒が見てますよ。」
手をつなぐマルス「構うもんか。」
手を繋いで帰る二人
える「私も働きに出たいな。」
マルス「・・・え?」
える「家にいてもつまらないし。家計も助かるでしょ。」
マルス「そうだけど・・・できるのか?」
える「また子ども扱いして~バイトくらいしたことあります。」
マルス「大損害を与えて、すぐクビになってただろ。」
える「私もライちゃんを助けたいの。
守ってもらうだけは嫌。」
・
コンビニエンスストア
えるの履歴書を見る店長
「高校卒業後、陸上自衛隊入隊、国際連合に転職し、アメリカ陸軍に出向・・・
第五次中東戦争に参加・・・」
履歴書の内容と見た目がまったくつながらず困惑する店長。
店長「・・・なぜコンビニでバイトを・・・?」」
える「もういやになったんです。人殺しが。」
店長「・・・面接でふざけないでくれるかな?」
える「・・・へ?」
コンビニを出るえる。
える「これで十社全滅だ・・・」
寺島「あれ・・・?もしかしてえるちゃん?」
える「・・・せ・・・先生・・・」
ファミレス
寺島「さあ、なんでも頼んでちょうだい。」
える「ありがとうございます。」
寺島「ちゃんと食べてる?やせたんじゃない?」
える「先生は変わりませんね・・・」
寺島「あなたも。マルスくん元気?うまくやれてる?」
える「授業誰も聞いてないって。」
寺島「ははは。きっと授業が難しいのよ。だから大学教員の方がいいって言ったのに。」
える「先生に憧れたって言ってました。」
寺島「あのマルスくんが高校教師か・・・えるちゃんはなにを?」
える「やることがなくて・・・主に木の実を拾ってます。」
寺島「そ・・・そっか・・・」
える「先生はまだ教育委員会ですか?」
寺島「うん。都庁で働いてる。
日本政府が移民受け入れを解禁したじゃない。
それで、移民の子のいじめが問題になってて・・・」
える「かわいそう。」
寺島「ねえ・・・仕事に困っているなら、あなたにうってつけの仕事があるけど、どうかな?」
アパート
ネクタイを外すマルス「生涯学習センター?あの科学館にくっついてるところか。」
える「学校でいじめを受けた子がそこで勉強するんですって。
あたしは勉強は教えられないけど・・・いじめの辛さはわかるから。」
マルス「たしかに君なら世界の誰よりもいじめられてるし。」
える「下には下がいるんだって教えてあげます。」
マルス「本来は学校で対処しなきゃいけないことなんだけどな・・・」
・
高校
屋上でいじめられる転校生の沙良
女子「先生の前でいい子演じるんじゃないわよ、この外人。」
沙良「・・・。」
女子「なによ、その目。文句あるの?」
沙良「悪いことは言わない。スマートフォンは捨てた方がいいわ。」
女子「余計なお世話よ。」
沙良「標的が自ら発信機をつけてくれるのだから世話はない。」
女子「何言ってんだ、こいつ。」
屋上に入ってくるマルス「おいおい、屋上で青春か?」
女子たち「いこう。」
マルス「だいじょうぶか、愛野。」
微笑む沙良「ただおしゃべりしてただけです。」
マルス「きみも周囲となじんだ方がいいんじゃないか。」
沙良「先生の授業を聞く子が誰もいなくなっちゃいますよ。」
マルス「別にいいよ。」
沙良「私は勉強をするために学校に通ってるんです。
それに・・・先生のこと、もっと知りたい。
適応プログラムのこと、量子コンピュータのこと、BMIのこと・・・そして・・・
ソニックブレイドのこと・・・」
マルス「きみはいったい・・・」
・
アメリカ
グリッドライン本社
ヘリポートにヘリコプターが着陸する。
それを出迎える女性幹部たち。
ヘリから降りるメトロン・ゲティスバーグCEO
「地球は小さいねえ。」
幹部たち「おかえりなさいませ。」
メトロン「世界は今日も平和かい。」
軍服のモートン「は。グリッドブレイドは全世界に配置完了。」
メトロン「医療。」
白衣のダリア「DNAワクチンを全人類に強制接種させておりますわ。」
メトロン「環境。」
あどけないピット「超光合成植物マンモスフラワーを世界中に植えてます。」
メトロン「移民。」
セクシーなバルタ「各国の排外主義者が課題ですわ。」
メトロン「・・・情報。」
モートン「ラブクラフトが会長の反乱分子を解析中。特に日本の保守勢力が厄介で・・・」
メトロン「人口減少に歯止めがかからないというのに、移民を拒むのか。」
モートン「会長の御命令さえあれば、いつでも実行可能とのこと。」
メトロン「粛清はやぶさかではないが・・・世界平和を阻むものには消えてもらうか。」
『帰ってきたソニックブレイド』登場人物
2025-11-13 18:27:51 (121 days ago)
なんか後半戦もいけそうなのでアップしてみた。
前作が怪獣なら、今作は宇宙人。そして地上最大の痴話喧嘩勃発。女同士の醜い争い。
リアリティラインは結構下がった。蛇足かもしれない。そしたら漫画にはしない。
間流守来
元世界危機管理局職員でソニックブレイド計画のリーダーを務めた人物。
現在は高校の教師をしてえるの治療費を稼いでいる。
柔軟で寛容な性格なので、彼を慕う人間が増えていき、えるの嫉妬を買う。
最終的に地球の統治者となり、全人類の厄介ごとを押し付けられる。
深未える
元ソニックブレイドのテストパイロットを務めた人物。
サイボーグなので年を取らず、年齢に不相応な見た目と言動を取るため、マルスとすれ違う。人工知能を搭載されたソニックブレイドが市民を虐殺するさまを見て、かつて操縦した試作機に乗り込み、戦う決心をする。
山根勘兵衛
近所の博識の老人。もともと太平洋戦争の英雄で、えるの軍師として活躍する。
寺島明日香
元高校教員。現在は都の職員。48歳独身。
須藤マサル
天才ゲーマー。
軍でドローン兵器の操縦を行なっていた。
間流守ろな
マルスの妹。
エバリスト・カレル博士
マルスの元同僚の天才数学者で、生粋の女好き。
フェイ・ヤーメイ
マルスの元同僚の医学者で、元彼女。
エディ・ロイド
マルスの元同僚の工学者で、職人気質。
メトロン・ゲティスバーグ
アメリカ合衆国世界変革庁の長官。
巨大ITベンチャー「グリッドライン社」のCEO。世界の企業のほとんどの株式を独占する世界一の金持ちで、アメリカ政府から委託を受けてソニックブレイドを量産した。
地球をより良くしようと余計なことをする。
女なんていくらでもいるが口癖。
グリッドライン社の幹部
全員美女。えるのソニックブレイドを止めるため計画を練る。
ザラ・ラブクラフト
情報分析担当。グリッドライン社日本支社の社長。
天才女子高生愛野沙良としてマルスの高校に転校する。
グリッドブレイドを操り、メトロンに批判的な国民を見せしめに処刑する。
バルタ・シカーダ
移民担当。オーストラリア支社。人口減少に悩む国に異星人の移民を受け入れさせる。
セクシーな美女でマルスを誘惑する。
ピット・エバーハート
環境担当。ヨーロッパ支社。ソニックブレイドの電気系統を破壊するためエレキングを差し向ける。花が好きな愛らしい見た目の少女で、無茶な環境政策を立案する。
ダリア・アンダーソン
科学技術担当。中国支社。白衣の女性。人間を標本にして非人道的な改造技術を研究する。
ソニックブレイドの戦闘方法を分析し、人工的に生み出した怪獣「バギラ」を差し向ける。
ゼッター・モートン
最高幹部。軍事担当。アメリカ本社。最終的に自身を強化改造し、新型ソニックブレイド「ジャスティスブレイド」に乗り込み戦う。
深未今日子
世界危機管理局局長。世界から戦争をなくすことだけに人生をかける革命家。
前作が怪獣なら、今作は宇宙人。そして地上最大の痴話喧嘩勃発。女同士の醜い争い。
リアリティラインは結構下がった。蛇足かもしれない。そしたら漫画にはしない。
間流守来
元世界危機管理局職員でソニックブレイド計画のリーダーを務めた人物。
現在は高校の教師をしてえるの治療費を稼いでいる。
柔軟で寛容な性格なので、彼を慕う人間が増えていき、えるの嫉妬を買う。
最終的に地球の統治者となり、全人類の厄介ごとを押し付けられる。
深未える
元ソニックブレイドのテストパイロットを務めた人物。
サイボーグなので年を取らず、年齢に不相応な見た目と言動を取るため、マルスとすれ違う。人工知能を搭載されたソニックブレイドが市民を虐殺するさまを見て、かつて操縦した試作機に乗り込み、戦う決心をする。
山根勘兵衛
近所の博識の老人。もともと太平洋戦争の英雄で、えるの軍師として活躍する。
寺島明日香
元高校教員。現在は都の職員。48歳独身。
須藤マサル
天才ゲーマー。
軍でドローン兵器の操縦を行なっていた。
間流守ろな
マルスの妹。
エバリスト・カレル博士
マルスの元同僚の天才数学者で、生粋の女好き。
フェイ・ヤーメイ
マルスの元同僚の医学者で、元彼女。
エディ・ロイド
マルスの元同僚の工学者で、職人気質。
メトロン・ゲティスバーグ
アメリカ合衆国世界変革庁の長官。
巨大ITベンチャー「グリッドライン社」のCEO。世界の企業のほとんどの株式を独占する世界一の金持ちで、アメリカ政府から委託を受けてソニックブレイドを量産した。
地球をより良くしようと余計なことをする。
女なんていくらでもいるが口癖。
グリッドライン社の幹部
全員美女。えるのソニックブレイドを止めるため計画を練る。
ザラ・ラブクラフト
情報分析担当。グリッドライン社日本支社の社長。
天才女子高生愛野沙良としてマルスの高校に転校する。
グリッドブレイドを操り、メトロンに批判的な国民を見せしめに処刑する。
バルタ・シカーダ
移民担当。オーストラリア支社。人口減少に悩む国に異星人の移民を受け入れさせる。
セクシーな美女でマルスを誘惑する。
ピット・エバーハート
環境担当。ヨーロッパ支社。ソニックブレイドの電気系統を破壊するためエレキングを差し向ける。花が好きな愛らしい見た目の少女で、無茶な環境政策を立案する。
ダリア・アンダーソン
科学技術担当。中国支社。白衣の女性。人間を標本にして非人道的な改造技術を研究する。
ソニックブレイドの戦闘方法を分析し、人工的に生み出した怪獣「バギラ」を差し向ける。
ゼッター・モートン
最高幹部。軍事担当。アメリカ本社。最終的に自身を強化改造し、新型ソニックブレイド「ジャスティスブレイド」に乗り込み戦う。
深未今日子
世界危機管理局局長。世界から戦争をなくすことだけに人生をかける革命家。
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