『ラストパーティ』脚本⑭

神都ハルティロード
大聖堂には、各地から黒死病に感染した人々が列をなして運ばれてくる。
感染者「せめてこの赤ちゃんだけは治療してあげて・・・!」
シスター・スカーレット「現在病床が足りておりません・・・もう少々お待ちください・・・!」
感染者「二時間前からそう言われているわ!赤ちゃんの息があるうちに・・・!」
ほかの感染者「それなら俺は5時間待っている!うちのじいさんのが先だ!」
順番待ちでもめる感染者たち
「なによ!あんたのじいさんより、うちの子の方が未来があるわ!」
「こういうのは年功序列だろ!」
シスター「神よ・・・愚かなこの者たちをお救いください・・・」

大聖堂や医療施設に入れず、路上に病人が転がっている光景を目にするリネット
「な・・・なによこれ・・・」
感染者に罵倒されるリネット「ちょっとあんた、列の順番を守りなさいよ!」
「そうだ!列の最後尾へいけ・・・!」
リネット「ご・・・ごめんなさい・・・」
ゼリーマン「ずいぶん元気な病人だぜ・・・」
リネット「あ・・・あんたは・・・」
ゼリーマン「黒死病に感染したら最後、町や村から追い出される・・・
重症者はフィールドで野垂れ死にモンスターの餌食・・・
歩ける軽症者はここに集まってくる・・・
生にすがるものの最後の希望・・・それがここだ。」
リネット「最後の希望にはとても見えない・・・だって・・・」
大聖堂の裏には膨大な死体の山があり、サイコゴーレムが怪力で穴に転がして土葬している。
鼻をつまむリネット「うえ・・・だって・・・めちゃくちゃ不衛生じゃない・・・」
ゼリーマン「俺は衛生上、死体は燃やしちまえって言ったんだけどな・・・
死体を燃やすのは宗教上アウトなんだってよ。
なんでも復活する際に肉体がないとか・・・
くだらねえ、腐った肉体に魂が戻って嬉しいやつなんかいるか?」
吐き気を抑えるリネット
ゼリーマン「大丈夫か?」
リネット「魔物の情けなんていらないわ・・・」
ゼリーマン「じゃあ、とっとと帰るぞ。お前まで感染したら大変だ。
みんな心配してるぜ・・・」
リネット「この人たちは助かるの・・・?」
ゼリーマン「お前は勘違いしてるな。
ここはホスピタル(病院)じゃねえ、ホスピス(終末医療施設)だ。
聖職者に看取られて安らかに死ねるんだ、幸せなんじゃねえの?」

その時、感染者の母親が叫び声を上げる。
「あああああ!うちの子が息をしなくなってしまった・・・!」
列の後ろの感染者「やった~!一人繰り上がるぜ!どけいオバさん!!」
幼い我が子を失って崩れ落ちる母親。
リネット「そんな・・・」
ゼリーマン「関わるな。キリがないから・・・」
しかし、リネットはその母親のもとに駆け寄る。
リネット「赤ちゃんを貸してください・・・!」
母親「・・・え?」
リネット「・・・まだ間に合うかもしれない・・・!」
意味がわからない母親。
リネット「早く!」
母親から赤ちゃんを受け取るリネット。
ゼリーマン「何をする気だ?」
リネット「静かにして。集中してるんだから・・・
あたしはね・・・昔から少々の怪我や風邪は気合で治せるのよ・・・」
そう言うと、赤ちゃんの胸に手をかざすリネット。
周囲の空気が変わり、リネットの手に小さくも優しい光が灯る。
ゼリーマン「おいおい・・・お前・・・
魔法の中でもっとも難易度が高い白魔術が使えるのか・・・!?」
集中するリネット「はあはあ・・・」
しばらくすると、赤ちゃんが意識を取り戻し、力なく泣く。
涙を流す母親「坊や・・・!」
赤ちゃんを抱きしめる母親。
ぐったりするリネット「ぜえぜえ・・・う・・・うまくいった・・・」
ゼリーマン「うそだろ・・・死者を蘇生した・・・」
リネットを拝む母親「女神さま・・・!」
リネット「そんなんじゃないですよ・・・私は何もできないへそ曲がり・・・」
ゼリーマン「そうだ、こいつは拝む対象じゃねえ。
いいから早く行きな。そして清潔な場所で栄養のあるものを食わせてやるんだ。」
母親に金貨が入った小袋を渡すゼリーマン。
母親「ゼリー神・・・!」
ゼリーマン「神でもなんでもいいが、これは口止め料だ。
ここで見たことは誰にもしゃべるな。」
母親「は・・・はい・・・!」
リネットを抱きかかえて、慌ててハルティロードをあとにするゼリーマン。



ウィンターズ城
リネットを探すヴィンツァーとセレス。
ヴィンツァー「やっぱりどこにもいません!」
セレス「そうですか・・・こうなると残るのは・・・」
城のすべての鍵がついたリングを手に取るセレス。
セレス「封印された地下室・・・」
ヴィンツァー「勝手に開けていいんですか?」
セレス「ことは緊急事態です。参りましょう。」
ヴィンツァー「一体何があるんですか・・・?」
セレス「この城の真実です。」

地下室への扉の鍵を開けるセレス。
扉を開くと、地下に続く石段が闇に伸びている。
ヴィンツァー「本当に隠しダンジョンなんじゃ・・・」
ランタンに火を灯すセレス「足元にお気を付けください・・・」
石段は想像以上に長く、地下深くへ降りていく二人。
最新部までたどり着くと、重い鉄扉がある。
セレス「ランタンを持っていてください・・・この扉はかなり重いんです・・・」
ヴィンツァーにランタンを渡すと、両手で鉄扉を開けるセレス。
ゴゴゴ・・・と鈍い音が鳴り、扉の封印が解かれる。
扉の中を照らすヴィンツァー
「こ・・・これは・・・」
その時、城の外の警鐘が鳴る。
セレス「旦那様の帰還だわ・・・!」
ヴィンツァー「でも、予定よりずいぶん早いですよ・・・」
セレス「わたし・・・出迎えます・・・!
ヴィンツァー様はリネット様を探して・・・!」

階段を駆け上がり、エントランスを横切り、扉を開けるセレス。
しかし、外には誰もいない。
目線を地面に下げると、傷だらけのウィンロードが倒れている。
青ざめるセレス「・・・!旦那様!!」



ウィンロードの書斎
ベッドの上でウィンロードは高熱にうなされている。
必死に看病を続けるセレス。
タオルを洗面器で濡らして替えてやる。

部屋の外で心配そうに立っているヴィンツァーとリネット。
ヴィンツァー「大丈夫だよ・・・旦那様は最強の剣士だもん・・・」
リネット「あの症状は黒死病よ・・・私見てきたんだから・・・」
ヴィンツァー「じゃあ助からないのか?」
リネット「・・・わからないわよ・・・」

意識がもどるウィンロード「う・・・」
セレス「旦那様・・・!」
ウィンロード「はあはあ・・・す・・・スペシャルウィークを死なせちまった・・・
長年連れ添った相棒を・・・騎士・・・失格だな・・・俺はもう引退するよ・・・」
涙目になるセレス「うう・・・」
ウィンロード「すでに王都デゼニーまで邪神は迫っていた・・・想像の数年は早かった・・・
最後の策の判断をする時が来たようだ・・・2人を呼んでくれないか・・・」
頷くセレス。
部屋に入ってくるヴィンツァーとリネット。
ヴィンツァー「旦那様・・・」
リネット「こんなん、ただの風邪でしょう?すぐに治るわよ・・・」
ウィンロード「ただの風邪が一番怖いんだよ、覚えとけ・・・
さて・・・この城の地下室を見たのだろう・・・?」
ヴィンツァー「はい・・・」
ウィンロード「この城の本当の姿は、終末の時に備えた地下シェルターにほかならない・・・
あそこには300人の人間が数ヶ月暮らせるスペースと、食料や物資が貯蔵されている・・・
私は、このスノーフルが邪神の手に落ちたとき、領民全員がここに一時的に避難できるように、あの地下室を作った・・・しかし・・・これは数日で邪神が消え去ると想定した場合の策だ・・・
300人もの領民を何年も食わせるほどの物資はねえ・・・
そこで、もうひとつの策だ・・・それは、我々だけがあの地下室に半永久的に住み続けるというものだ・・・邪神が日光が苦手なのは確認済み・・・
いずれこの世界に再び光がもどるまで・・・地下で暮らし続ける・・・はあはあ・・・我慢比べさ・・・」
リネット「邪神は倒せないの・・・?」
ウィンロード「ああ・・・」
涙目になるリネット
「うそでしょ!あなたは最強の剣士なのよ・・・!どんな強大な敵も倒してきたはず・・・!
気合で何とかしなさいよ・・・!!」
ウィンロード「あいつの討伐はお前ら若い世代に譲るよ・・・ごほごほ・・・
私の考えは・・・領主失格だが・・・お前たち2人だけを地下室に避難させ・・・邪神が過ぎ去るまで生き延びさせたい・・・」
ヴィンツァー「ウィンロードさんは?」
ウィンロード「偏屈なおっさんはここで退場だ・・・セレス・・・こいつらの世話を頼む・・・」
セレス「・・・それはお断りします・・・
私は、旦那様にプロポーズされるまで10年間も待っていました・・・
こんなのあんまりです・・・私は最後まで連れ添う覚悟ですわ・・・」
ウィンロード「困ったメイドだぜ・・・ぜえぜえ・・・」
セレス「結局わたくしが不潔な魔物だから・・・愛してくれないのね・・・」
ウィンロード「そんなんじゃないさ・・・ここで私がお前をめとったら・・・
お前を助けた理由が下心になるじゃねえか・・・」
セレス「下心でいいじゃない・・・この臆病者・・・」
ウィンロード「そうだな・・・」
セレス「旦那様・・・わたし・・・ヘルシング博士の手紙を盗み見してしまいましたの・・・」
ウィンロード「バカ野郎・・・」
セレス「全部ゼリーマンさんがそそのかしたせいなんですけど・・・
黒死病の進行を食い止めるのに、魔物の体液が有効と書いてあったそうです・・・」
ウィンロード「あのクソゼリー・・・読み上げるんじゃねえよ・・・」
セレス「あなたの妻にして欲しいとは言いません・・・一度だけ・・・私とくちづけをしてくれませんか・・・?」
手を叩くリネット「キース!キース!!」
ヴィンツァー「やめろよ・・・ぼくらは出ていこう・・・」
リネットの手を引いて部屋から出ていくヴィンツァー。
ウィンロード「おい、子どもが気を使うな・・・」
主人に顔を近づけるセレス「お願い・・・あたしを怖がらないで・・・」
ウィンロード「怖がるわけないだろ・・・こんなに美しい女神を・・・」

『ラストパーティ』脚本⑬

半年後
城門に愛馬「スペシャルウィーク」を持ってくるヴィンツァー
「馬の準備できました!」
ウィンロード「うむ、手際がいいぞヴィンツァー。」
ヴィンツァーはしっかりたくましくなっている。
リネット「これ、お昼ご飯です。」
お弁当をウィンロードに渡す、あまり変わっていないリネット。
ウィンロード「今度は、焼きたてパンという名の燃えカスじゃねえだろうな・・・」
リネット「なによ!もう作ってあげないんだから・・・!」
セレス「・・・今日は大丈夫です・・・わたくしが見てました・・・」
ウィンロード「それなら安心だ。では行ってくる・・・」
3人「いってらっしゃいませご主人様!」
ウィンロードの後ろ姿を見送る3人。
リネット「毎日毎日・・・朝早くからどこへ出かけてるのかしら・・・」
ヴィンツァー「ならず者と戦っているのかな・・・」
セレス「さあ、風邪をひきます。屋敷に戻りましょう・・・」



屋敷のエントランス
セレス「リネット様・・・階段の手すりの清掃が行き届いていませんでした・・・
で・・・できればもう少し丁寧に仕事をしていただけると・・・その・・・
ウィンターズ城も、より清潔で快適な住環境に・・・」
リネット「は~い。」
セレス「それと、地下室は立ち入り禁止なので・・・好奇心で入ろうとしないでください。
わたくしが旦那様に叱られますわ・・・」
リネット「反省してま~す」
ヴィンツァー「ちゃんとしろよ・・・セレスさん困ってるじゃないか。」
リネット「なによ、あんたいつもセレスさんの味方じゃない。」
ヴィンツァー「掃除をしないのはきみが悪いんだろ。」
リネット「あんたはいいわね、掃除も洗濯も料理も何でもできて・・・
おまけに馬の世話まで・・・これで立派なハウスキーパーよ。おめでとう。
(嫌味ったらしく拍手をする)これで剣士にならずに済むわね。」
ヴィンツァー「ぼくが剣から逃げるために、家事をしてると思ってるのか?」
リネット「あとは、セレスの気が引きたいんでしょう?」
ヴィンツァー「リネット・・・ぼくは・・・」
セレス(まずいな、この関係・・・)
「え~おほん、旦那様は今日から2週間の長期出張です。
ということで、たまにはハメをはずすのもいいかな・・・と。」
ヴィンツァー「え?剣や魔法の修行はないんですか?」
リネット「歴史の勉強も?」
2人「やった~!!」

庭で雪合戦をして遊んでいる2人を部屋の窓から眺めるセレス。
セレス「2週間はわたしが家事をすればいいや・・・」
ドアがノックされる。
即座に戦闘態勢に入り、ドアの横にレイピアを持って立つセレス。
ドアをゆっくり開ける。
反応がない。
恐る恐るドアの外をのぞくセレス。
廊下の来客にレイピアを向ける。
両手を挙げて微笑むゼリーマン「おおっとお手柔らかに・・・」
セレス「ゼリーマンさんか・・・びっくりさせないでよ・・・」
ゼリーマン「さっき道すがらシドニアに出会ってよ。
しばらく留守にするから、館の様子を見てくれねえかってさ・・・
・・・大変そうだな・・・」
ベッドに腰を下ろすセレス「二人とももう思春期だから・・・」
ゼリーマン「今こそエロメイドの出番だろ。あの少年に異性を教えてやれよ・・・」
セレス「私は旦那様だけを生涯愛するって決めたんです。」
ゼリーマン「お前らしいや。で、修行の方はどうなんだ?」
セレス「ヴィンツァー様は、家事はバッチリです。とうとう私を追い抜きました・・・」
ゼリーマン「そうじゃねえだろ・・・」
セレス「それと旦那様の仕事のスケジュール管理も素晴らしいですわ。
先の先を読むマネジメント能力は戦場でも有効かと。」
ゼリーマン「あんたは秘書でも育ててんのか?
なんにせよ明らかに後方支援キャラだな・・・剣の方はどうなんだい。」
セレス「え・・・?も・・・もう、剣とか勇者とか、そういう時代じゃないんですよ、ゼリーマンさん・・・」
ゼリーマン「ごまかすんじゃねえ・・・
あいつを育てないと、邪神によって、この世界はおしまいなんだろう?」
セレス「センスはありますが・・・ヴィンツァー様は人を傷つけることを極度に嫌います・・・
逆にリネット様は好戦的で・・・憎まれ口ばかりで、触れるもの全てを傷つけてしまう・・・」
ゼリーマン「知ってる。あの狂戦士だろ・・・このオレも殺されかけたことがある。」
セレス「最近では、わたくしに対抗心を・・・」
ゼリーマン「・・・ひと思いにぶっ殺しちゃえば?」
セレス「うふふ・・・ゼリーマンさんは女心がわからないのね・・・」
ゼリーマン「あいつは単なる嫌な奴だと思うが・・・」
セレスの部屋の窓ガラスに雪がぶつかる。
窓の外でヴィンツァー「やめろよリネット・・・!」

ゼリーマン「そうそう・・・もう一つ用があって来たんだ・・・」
「ポストマンパット」のポシェットから手紙を取り出すゼリーマン
「ヘルシング博士からの手紙だ。帰ってから読むからシドニアが書斎に置いておいてくれってさ。」
セレス「ありがとうございます。」
ゼリーマン「なあ・・・何が書いてあるのか、気にならないか?」
セレス「でも、これ封がしてありますし・・・わたくしは字が読めません・・・」
ゼリーマン「モンスターで最も知能が高いオレ様にまかせろ。」
セレス「ダメですよ・・・」
ゼリーマン「バレないって・・・これとまったく同じレターセットも手に入れた・・・
サキュバスって7日に一度は心臓がドキドキしないと死んじゃう魔物なんだろ?
最近の生活・・・刺激は足りてるのか??」
セレス「う・・・」



雪合戦をしているヴィンツァーとリネット
リネット「ねえ・・・あの地下室・・・なにが隠されてると思う?」
ヴィンツァー「ダメだよ・・・立ち入り禁止なんだから・・・」
リネット「もしかして隠しダンジョンが広がっているんじゃ・・・」
ヴィンツァー「あるわけないよ・・・」
リネット「考えても見なさい。仮にもウィンロードさんは最強の剣士よ?
何度も世界の危機を救っているはず・・・つまり資産は莫大なはずよ。」
ヴィンツァー「確かに何も躊躇なく22万ゴールドも学園に払ったもんね・・・」
リネット「それなのに、住んでいるお屋敷はボロくて小さいし、生活レベルも豊かとは言えない・・・むしろ貧しいわ・・・絶対何かあるわよ。」
ヴィンツァー「清貧なんだよ・・・」
リネット「それに外出が多すぎよ。行き先や目的を誰にも言わないし・・・
とにかく、あのおっさんには多くの謎があることは確かよ・・・」
ヴィンツァー「別にいいじゃないか・・・ここでなんの不自由無く暮らせているんだから・・・
あの納屋で一人で暮らしていた頃に比べれば・・・ここは天国さ・・・
ご主人様もセレスさんも優しいし・・・キミもいるしね・・・」
リネット「あんたは、ここで家事の才能を開花させたけど・・・
わたしは何?この屋敷にいる意味がある・・・?」
ヴィンツァー「掃除をしっかりやればいいじゃないか・・・」
リネット「そうじゃない・・・!家族の敵はどうなったの?
私は強くなって・・・黒死病の元凶を倒したいの・・・!」
ヴィンツァー「まだ邪神と戦うつもりなの・・・?」
リネット「まだ・・・?あんたはなんで毎日セレスさんと剣の修行をしてるのよ・・・!」
ヴィンツァー「惰性というか・・・そのうちベオウルフくんが立派な剣士になってぼくらの代わりに討伐してくれるよ・・・」
雪玉ではなくつららを投げるリネット「ばか~!」
ヴィンツァー「うわ!何するんだよ・・・!」
リネット「・・・ヴィンツァー・・・もし・・・あたしが黒死病で死んでも・・・
敵はとってくれないの・・・?」
ヴィンツァー「・・・え?」
リネット「わたしは、あんたが病気で死んだら・・・絶対にニャルラト・カーンを許さない・・・
必ずこの世界から黒死病を根絶するわ。」
ヴィンツァー「リネット・・・」



廃墟となったガリア大陸の王都デゼニー
そこらじゅうに白骨死体が広がる。
一人馬で探索をするウィンロード
「ガリア大陸に上陸してから3日・・・体調の変化はねえ・・・一体何で感染をするんだ・・・?」
その時、ウィンロードの背後を一匹のネズミが駆ける。
ウィンロード「人は死に絶え・・・魔物は絶滅し・・・生き残ったのはお前らだけか・・・」
不気味なことにネズミは足を止めて鼻をひくひくさせながらウィンロードの方へ近づいてくる。
ウィンロード「なんだこいつ・・・」
すると、ネズミが牙を向いてウィンロードの方へ飛びかかる。
咄嗟にネズミを剣で叩き切るウィンロード。
ウィンロード「・・・ここにめぼしい手がかりはないな・・・引き上げよう・・・」
?(ははっ・・・ようこそ・・・我がネズミーランドへ・・・)
ウィンロード「誰だ?」
振り返ると、自分が殺したはずのネズミが起き上がって言葉をしゃべっている。
ネズミ「我々が制圧したエリアにのこのこ戻ってくる愚か者がいたとは・・・」
ウィンロード「・・・ネズミを使って腹話術かい?姿を現したらどうだ。邪神ニャルラト・カーン」
ネズミ「・・・貴様の相手など、ネズミたちで十分さ・・・」
数十匹のネズミが側溝から現れ、ウィンロードに襲い掛かる。
凄まじい剣技ですべてのネズミの攻撃を交わして返り討ちにするウィンロード。
ウィンロード「ドブネズミを何匹召喚しようとも結果は同じだぞ。」
ネズミ「そうかな・・・」
すると、どこからか何千、何万、何億匹もの莫大な数のネズミが王都へ集まってくる。
スペシャルウィークが怯える。
ウィンロード「どうどう・・・」
空は漆黒の雲に覆われ、雲の形が化け物の形に変わっていく。
天地が全てネズミに覆い尽くされる地獄のような光景を目の当たりにするウィンロード
「お前がネズミを大移動させたのか・・・合点がいったよ・・・」
邪神「お前の最期の言葉を聞こうか・・・」
ウィンロード「それはまた今度にしてくれ。愛する者が家で待っているんだ。」
ウィンロードは冷静に現状を分析する。
すると、雲の隙間から日光が漏れているところだけネズミがいない。
ウィンロード「スペシャルウィーク・・・あそこまで飛べるか・・・?」
鼻息を鳴らすスペシャルウィーク。
老騎士に一斉に襲い掛かるネズミのスウォーム(群体)。



翌朝
ヴィンツァーを起こしに来るセレス「ヴィンツァー様・・・!」
目をこするヴィンツァー「おはようございます・・・今朝は早いですね・・・すぐに支度します・・・」
息を切らせているセレス「リネット様が屋敷のどこにもいません・・・!」
ヴィンツァー「・・・え?」
ゼリーマン「よう、二人とも食堂に来な。面白いもんがある。」

食堂のテーブルにケーキが乗っかっている。
ケーキにはチョコレートで文字が書かれている。
セレス「・・・ゼリーマンさん、読めますか?」
ゼリーマン「GOODBEE・・・その意味は、つまり“良いハチ”・・・難解な暗号を残したもんだぜ・・・」
ヴィンツァー「たぶんグッドバイの誤字です・・・」
ゼリーマン「なるほど、お前はそう推理したか・・・」
セレス「で、ではリネット様は家出を・・・?
このセレス一生の不覚・・・!旦那様の留守を預かったのに、こんな失態をするなんて・・・」
動揺するセレスをなだめるゼリーマン
「まあ、落ち着け・・・小僧・・・確かヴィンツァーといったな・・・
お前、昨日のリネットになにか異変を感じなかったか?例えば、なにか思いつめていたとか・・・」
ヴィンツァー「黒死病を根絶したいって言ってました・・・」
ゼリーマン「あのバカ・・・ならば外だな。黒死病の感染地図を見て、最も近い感染区域に行ったのかもしれん・・・」
セレス「も・・・もし黒死病にリネット様が感染でもしたら・・・すぐに探しに行かないと・・・!」
ゼリーマン「お前は行くな。」
セレス「しかし・・・!」
ゼリーマン「性格が歪んでいるあいつのことだ。
もしかしたら、まだこの屋敷に隠れているかもしれねえだろ。」
ヴィンツァー&セレス「たしかに・・・」
ゼリーマン「屋敷に一番詳しいのはセレス、あんただ。
ヴィンツァーと一緒にこの屋敷をくまなく探せ。
外は俺が行く。なにしろ顔が広いんでな・・・」
セレス「ゼリーマンさん・・・」
ゼリーマン「心配するな。あの手紙を読んだろう?」
セレス「ありがとうございます・・・」

『ラストパーティ』脚本⑫

雪原地帯を進むウィンロードたち。
雪で立ち往生してしまう馬。
ウィンロード「ガキども力いっぱい押せ!!」
馬のお尻を押す2人「う~ん・・・!」
ウィンロードも馬を降りて、引っ張る。
ウィンロード「頑張れ、スペシャルウィーク・・・!」
馬の蹄が雪から抜ける。
息を切らす3人。
ウィンロード「がんばったな子どもたち・・・」
ヴィンツァー「ここはもう移動手段はトナカイですよ・・・」
リネット「はあはあ・・・辺境伯すぎるわよ・・・一体どこまで歩くの・・・」
2人の背後を指差すウィンロード。
「あそこだ。」
指の先には雪原の古城が見える。
「あれが私の館だ・・・」



ウィンロードの館「ウィンターズ城」
館は古く、近づくと割と小さい。
ヴィンツァー「つ・・・ついた・・・」
リネット「なんかお化け屋敷のような古城ね・・・」
ヴィンツァー「うん・・・」
ウィンロード「文句があるなら、そこでカノッサの屈辱ごっこでもやってな・・・」
リネット「入れてください・・・!」
扉の脇の綱を引っ張ると、鐘塔が鳴る。
ゆっくりと扉が開く。
ウィンロード「入る前に雪を落とせよ?」
すると、ランタンを持った長身のメイドがウィンロードを出迎える。
メイド「お帰りなさいませ、旦那様・・・」
ウィンロードの外套を脱がせてやるメイド。
メイドは口調は優しいものの、目つきが鋭く、表情も冷たいため、異様な威圧感がある。
怯えるヴィンツァーとリネット。
メイド「ロト剣術魔法学園の出張はいかがでしたか。」
ウィンロード「予想通りろくなのはいなかった・・・」
メイド「それはそうでしょう・・・
やはり、旦那様と世界を救うのは、このセレスティアにお任せを・・・」
ウィンロード「なんか腹減ったな。こいつらに温かいもんでも食わせてやってくれないか?」
ヴィンツァーたちをじろりと見るメイド「・・・この子たちは・・・?」
メイドに囁くウィンロード「人食い男爵に食い物にされそうだったから引き取ってきた・・・」
メイド「なんと慈悲深い旦那様・・・かしこまりました。
(膝を曲げて視線を低くするメイド)きみたち・・・好きな献立を教えてくれないかな・・・?」
リネット「・・・え?なんでもいいの??あたしピーチタルトが食べたい!」
困惑するメイド「クックパットに載ってたかな・・・」
ヴィンツァー「・・・遠慮しなよ・・・」
ウィンロード「なんでも好きなものを作ってもらえ・・・明日からお前らはこの館で働くんだからな。」
ヴィンツァー「江戸前寿司が食べたいです・・・」
メイド「(世界観考えろよ・・・)ぜ・・・善処しますわ・・・さあ、坊やたち、食堂へご案内します。」
ヒソヒソ声でリネット(見た目のわりに優しいお姉さんね・・・)
ヴィンツァー(う・・・うん・・・)
ウィンロード「お前らと歳は変わらんぞ。」
リネット「え・・・?セクシーすぎるでしょ・・・」



食堂
お祈りをする4人。
テーブルにピーチタルトと寿司的な何かを並べるメイド。
メイド「旦那様は根菜のスープとパンでいいですか?」
ウィンロード「ああ・・・」
自分たちと違って貧しそうな食事を見てリネット「・・・お金に困ってるの?」
ウィンロード「誰を買ったからだと思ってやがる・・・」
ヴィンツァー「本当にすいません・・・」
料理を置くと食堂の隅にどいて直立不動の姿勢をとるメイド。
リネット「あの人は食べないの?」
ウィンロード「ああ・・・あいつは食べなくてもいいんだ。」
リネット「私たちもやがて飯なしで働くのよヴィンツァー・・・」
ヴィンツァー「え?」
メイド「わたくしは旦那様からミルクさえいただければ結構。」
2人「・・・え?(どういうこと?もしかして下ネタ?)」
ウィンロード「そういうことを言うと誤解されるだろ・・・!」
リネット「はは~ん、実はメイドとか言いながら、男女の関係なんでしょ。
こんな屋敷にこんな絶世の美女と2人きりで住んでるんだ・・・」
ヴィンツァー「やめなよ・・・悪趣味だって・・・」
ウィンロード「このバカが・・・おい、こいつらに言ってもいいよな?」
メイド「わたくしは構いませんわ。」
ウィンロード「こいつはセレスティア。見た目は人間だがモンスターなんだ・・・
身寄りがなかったから私が保護して・・・それから家のことを色々やってもらっている。」
ぺこりとお擬似をするメイドのセレス
「セレスとお呼びくだされば、どんな場所にも駆けつけ、皆様をお守り致します。」
リネット「モンスターなの・・・?どおりで人間離れして綺麗なんだ・・・くそ・・・」
ヴィンツァー「あの・・・セレスさんはなんていうモンスターなんですか?」
セレス「大した魔物ではないですよ・・・サキュバスというマイナーな種族でして・・・」
ピーチパイをほおばりながらリネット「知ってる!エッチな夢を人に見せるド変態よ。」
ヴィンツァー「そ・・・そうなの?」
ウィンロード「ド変態って・・・サキュバスっていちおう堕天使だからな・・・
お前なんか簡単に消し炭にできることを覚えておけ・・・」
リネット「ヴィンツァー気をつけなさい!この人こう見えて、いただき女子の上位互換よ!
これで、ウィンロードさんとただれた関係なことが確定したわ・・・やらしい・・・!」
セレス「そうだと嬉しいのですが・・・私がお勤めしてから10年・・・
旦那様はただの一度もわたくしをひとりの女性として見てはくれません・・・
こんなにもわたくしは旦那様を愛しているのに・・・
きっと旦那様は今なお童貞であらせられると確信しております。」
ウィンロード「小さい子の前でなんつーこと言ってんだ、お前も。」
顔を赤らめるセレス「はっ申し訳ありませんでした・・・!」
ウィンロード「おい、お前らも自己紹介をしなさい。」
ヴィンツァー「は、はい・・・ぼくはスナイデル・ヴィンツァーです・・・」
リネット「あたし、リネット。リネット・アシュレイよ。」
セレス「スナイデルおぼっちゃま、アシュレイお嬢様でよろしいですか?」
ウィンロード「呼び捨てでいいよ・・・お前の方が先輩なんだ・・・
いろいろ教えてやってくれ。」
セレス「銀食器の炙り方なら今すぐにでも・・・」
ウィンロード「家事だけじゃない。剣と魔法もだ・・・」
ヴィンツァー「お姉さんが?」
リネット「教えられるの??」
ウィンロード「私は短気だからな・・・おしとやかなこいつの方が丁寧に教えてくれる。
まあ、頑張れ・・・」
ヴィンツァー「ぼく一生召使でいいです・・・」
セレス「あら、そんな後ろ向きではいけませんわ・・・人生が童貞で終わりますわよ。」
ウィンロード「セレス、いいかげんにしろよ。」
セレス「ダメです・・・久方ぶりにほかの人とお話するので、下ネタが抑えられませんわ。」
リネット(・・・やっぱり変態ね。)



ウィンロードの書斎
壁に貼った世界地図を眺めて物思いにふけるウィンロード
書斎に入ってくるセレス
「お二人はお休みになりました・・・長旅で相当疲れたのでしょうね・・・
私のベッドでぐっすりです・・・」
ウィンロード「そうか・・・世話が焼けるのが増えるがすまないな。」
微笑むセレス「わたくし、顔は怖いですが子どもは大好きなんです。
それに、新しい家族が増えて嬉しいです。ねえ、旦那様。」
ウィンロード「そんなにお前と年は変わらないがな。」
セレス「・・・え?(わたし老けてるのかな・・・)」
ウィンロード「この前、採取した検体はヘルシングの研究所に送った・・・
感染爆発がブリジッドにも起こる前に、あの血液博士が治療法を見つけてくれればいいが・・・」
セレス「なぜ、わたくしたち魔物には感染しないのでしょう・・・」
ウィンロード「解決の糸口はそこだろうが・・・オレは理系じゃねえ。
感染源のニャルラト・カーンを倒すことくらいしか思いつかん・・・」
セレス「わたくしのレイピアの出番ですね・・・」
ウィンロード「それはダメだ。お前は、あのヴィンツァーたちを鍛えてやってくれ。」
感染地図を指さすセレス「時間がありませんわ・・・」
ウィンロード「時間がないからこそ、下手を打ったら取り返しがつかん・・・」
セレス「私の父は大天使サマエルですよ?」
ウィンロード「知ってる。その大天使が邪神ニャルラト・カーンには手も足も出ずに殺された・・・」
ショックを受けるセレス「・・・え・・・」
ウィンロード「・・・邪神はおそらく不死の存在・・・決して殺せない・・・」
セレス「ひどいです、旦那様・・・
10年もお仕えしましたのに、わたしを戦士としても女性としても見てくれないんですか・・・?」
ウィンロード「・・・わかった・・・時が来たら邪神と戦うことを認めよう・・・
だが、一人で戦うことは許さん。あの2人が一人前になったらパーティを組んで補佐して欲しい。」
セレス「ヴィンツァー様は見込みがあると・・・?」
ウィンロード「正直剣技の才能はない。ただ・・・」
セレス「・・・・・・。」
ウィンロード「あの子は優しい・・・暴力以外の解決策を見つけるかもしれない・・・
我々が思いもつかないような解決策をな・・・」




セレスの部屋で寝ているヴィンツァーとリネット。
軍隊のラッパを吹くウィンロード「起きろこのやろう!!仕事だ!」
ヴィンツァー「ねむい・・・」
リネット「筋肉痛が・・・ちょっと勤務開始は明日からで・・・」
ウィンロード「どこの世界に雇い主に起こしてもらう召使がいるんだ!」
セレス「旦那様・・・
朝の仕事はわたくしが済ませますので、お二人はもう少し寝かせてあげても・・・」
ウィンロード「お前は甘い!甘すぎる!こういうのは初日が大事なんだ。
ここでピシッとやらないと、お前はこいつらのお母さんになるぞ!」
セレス「それも悪くないわね・・・」
セレスを睨みつけるウィンロード。
セレス「はいはい朝ですよ!二人とも起きましょう!
井戸で顔を洗ったら、水を汲んで、暖炉に火を入れて、食事の準備ですよ!」
部屋を出ていくウィンロード「お前がしっかりしつけろよ!」
恍惚の表情を浮かべるセレス「ああ・・・まるで4人家族のようだわ・・・」
ウィンロード「聞いてるのか?」
セレス「あ、はい・・・!」

『ラストパーティ』脚本⑪

荷物をまとめて学園を後にするヴィンツァーとリネット。
校門の外で馬をとめて待っているウィンロード。
ウィンロード「荷物を馬に乗せろ。」
荷物をウィンロードの馬に乗せるリネット「はい・・・」
ウィンロード「馬鹿野郎!私の荷物を乗せろ!お前らの荷物など自分で持て!」
ヴィンツァーに耳打ちするリネット「22万ゴールドの逸材にずいぶんな物言いね・・・」
ウィンロード「なんか言ったか?」
リネット「いえ・・・」
ヴィンツァー「ありがとうございます、ウィンロードさん・・・
立派な剣士になれるように頑張ります・・・」
ウィンロード「私がお前らを剣士として買いとったと?(ニヤリと笑う)
まあいい・・・まずは小姓として頑張りなさい・・・」
ヴィンツァー「は、はい・・・!(やったー!剣の修行をしなくて済むぞ・・・!)」
ウィンロード「さあ、出発だ。世話になった学園に礼を言いなさい。」
校舎に向かって頭を下げる二人。



ロト剣術魔法学校職員室
テスタメント「シドニアのやつ、結局何しに来たのかしら・・・
学年最下位の劣等生2人を22万ゴールドの大金で引き取って帰っていったけど。」
ラム隊長「ヴィンツァーくんのことか?私は彼を劣等生だとは思わないが・・・
本校開校以来の天才と言われたベオウルフくんに臆することなく敢然と立ち向かった・・・
あんな勇気のある学生は久しぶりだ。」
テスタメント「で、3秒でズタボロにされたじゃない。」
ラム隊長「勝敗は重要ではないのだ。」
テスタメント「数々の戦場で敵をぶった切った“ツインソードのラム”とは思えないわね・・・
あんたに負けた敵はみんな死んでるじゃない。」
ラム隊長「誇り高い死だ。」
テスタメント「こういう馬鹿がたくさんいるから、葬儀屋は儲かるのよ・・・はっ
そのビジネスいいかも・・・」
職員室に入ってくるピカール「・・・ウィンロード卿のお話ですか?」
テスタメント「学園長・・・」
ピカール「レスター海峡の向こうは邪神によってひどい有様だそうです・・・」
テスタメント「感染の第3波ですか?」
ピカール「大陸の3分の1は死に絶え、元凶のニャルラト・カーンは西に移動を開始したと・・・」
テスタメント(やっぱり今儲かるのは葬儀会社だな・・・)
ラム隊長「邪神がグレートブリジッド島に上陸すると・・・?」
ピカール「もう我々の世界に残された時間はわずかなようです・・・
おそらくウィンロード卿は自分の剣技を有能な若者に継承し・・・邪神を倒そうとしているのでは・・・」




ドリームワールド
小田「こうしてヴィンツァー卿は高名な剣士シドニア・ウィンロードに剣の才能を見出され、彼の生涯唯一の弟子となりました・・・」
桃乃「まさにエリート街道だね・・・この人に挫折とかはないの?」
小田「伝説のチート勇者ですから。ウィンロード卿はなんと22万ゴールドの大金でヴィンツァー卿を引き抜いたそうです・・・現在の価値で2億円だそうですよ。」
缶ビールを飲みながら桃乃「は~・・・サッカー選手みたいだね。」
お菓子を食べる小田「お嬢様の年棒の方が高いですかね。」
桃乃「その10分の1ももらってないわよ。さあ、続きを聞かせてちょうだい。」
古書をめくる小田「はい。」




街や村、平原、山地と旅をしていくウィンロード一行。
馬を引くリネット「どんどん田舎になっていくんだけど・・・」
荷物を担ぐヴィンツァー「ご主人様・・・どこへ向かっているのですか??」
馬に乗っているウィンロード「わたしの領地だ。」
リネット「とんでもない僻地ね・・・」
ウィンロード「今すぐその減らず口をやめないと、みかん箱に入れてここに置いて行くぞ・・・」
リネット「ふふん、やってみなさい。あたしたちに秘められた大いなる力が目的なくせに・・・」
ウィンロード「・・・このガキ・・・」

その時茂みが揺れる。
馬を止めるウィンロード。
怯えるリネット「なに・・・?」
ウィンロード「スナイデル、見てこい。」
茂みに入るヴィンツァー「はい・・・」
茂みの中には何もいない。あるのは水たまりだけだ。
ヴィンツァー「あれ?おかしいなあ。」
水たまりを踏むヴィンツァー。
すると、水たまりが変形し、ヴィンツァーの脚を水たまりがつかむ。
水たまり「もらった~~!!」
ヴィンツァー「!!!」

茂みの中からヴィンツァーの悲鳴が聞こえる。
リネット「ウィンロードさん!ヴィンツァーが!」
落ち着いて馬から降りるウィンロード「わかってるよ・・・まったく・・・」
茂みからヒトの形をしたスライムがヴィンツァーを人質に飛び出してくる。
スライム「はーはは!そこのお父さん!
可愛い我が子を助けたいなら、料金は15ゴールドになります!」
ウィンロード「・・・500ゴールドやるから、このうるせえ娘をひきとってくれねえか、ゼリーマン。」
ゼリーマン「あれ?シドニアかよ。
独身主義だったあんたがいつの間に二人も子どもを作ったんだ??」
ウィンロード「こいつらは小姓だよ・・・」
ゼリーマン「身の回りの世話ならセレスがいるだろ・・・
はは~ん、とうとう弟子を取ったんだな。
セレスが怒るぜ~女性蔑視だって。」
ウィンロード「戦いは男の仕事だ。あいつがどんなに強くてもな。」
ゼリーマン「で、こいつはお前の剣技を受け継ぐ素質があると・・・
どれ、最強のモンスターのオレ様がこの小僧の実力を見てやろう・・・」
ゼリーマンに捕まれたヴィンツァーがじたばた暴れる。
ヴィンツァー「これあげますんで、許してください!!」
そう言うと、ゼリーマンの体に香辛料の入った小袋を入れてしまう。
ゼリーマン「ぎゃああ!馬鹿、お前これ塩コショウじゃねえか!
浸透圧で縮む~~!!」
ヴィンツァーをはなすゼリーマン
「み…見事このオレを倒した・・・貴様は世界一の勇者になる素質があろうぞ・・・」
リネット「さすがヴィンツァー!」
ウィンロード「いや、お前を倒せないやつはいないだろ・・・」
リネット「さあ観念しなさいモンスター!」
そう言うと、ウィンロードから預かった剣を抜いてゼリーマンに振り回す。
慌ててよけるゼリーマン「うわ、あぶねえ!なんだこの狂戦士は!!」
リネット「とどめを刺してあげるわ!成敗!!」
ウィンロード「やめろリネット!相手はもう降参している!」
リネット「だからチャンスじゃない!憎き魔物はこの世から一匹残らず殺戮・・・」
一喝するウィンロード「愚か者!
剣を今すぐ捨てろ!命をいたずらに奪うものに剣を握る資格はねえ!!」
びっくりして剣を落としてしまうリネット。
リネット「だ・・・だって・・・私たちの村は魔物に・・・」
ヴィンツァー「だからって一緒くたにしちゃいけないよリネット・・・」
リネット「ヴィンツァー・・・」
ウィンロード「・・・うむ、スナイデルが正しい。」
ゼリーマン「オレはお前らの村を滅ぼした覚えはないぜ・・・」
リネット「う・・・」
ゼリーマン「さあ、こういう時はなんて言うんだい?」
リネット「・・・ごめんなさ・・・」
ウィンロード「謝る必要はない。そもそも最初に襲ってきたのはこいつだからな。」
ゼリーマン&リネット「・・・え?」
ゼリーマンの方を向いてウィンロード「・・・弟子を取ったのかと言ったな・・・」
ゼリーマン「お、おう・・・」
ウィンロード「あたりだ。世界が滅ぶ前に最後の戦いを挑む。」
ゼリーマン「誰が?あんたはいい年だろ・・・」
ヴィンツァーの肩に手を置くウィンロード「この子かもしれん。」



海沿いを進んでいくウィンロードたち。
気候が変わり、針葉樹林が増えてくる。
不満そうなリネット「黒死病はああいう不潔な魔物がばらまいてるのよ・・・」
ウィンロード「そういう説もあるな・・・」
リネット「なら、なんでやっつけないのよ・・・!」
ウィンロード「・・・こんな話がある・・・
黒死病を恐れたとある王が勇敢な剣士に王都周辺のモンスターをすべて駆除させた・・・
コボルトからセイレーン、ヒュドラ、ケルベロスまで・・・
相手がどんなに手ごわくとも・・・剣士はモンスターなら一匹残らず殺戮した・・・
どうなったと思うね?」
リネット「・・・・・・。」
ウィンロード「王都で感染爆発が起きた・・・
魔物は王都に侵入するどころか、近づきすらしなかったのに・・・
住民はパニックになった・・・
感染症は魔物を滅ぼせば解決すると思っていたからな。
そして、恐怖に囚われた住民たちはこう考えた・・・
魔物の返り血を浴びた剣士が王都に入って病気をばら撒いたのだと・・・
国家の英雄は一転して国賊となり・・・海を越え・・・姿を消した・・・
剣士は確信した・・・黒死病の流行にモンスターは無関係であったと。
王の命令とは言え取り返しのつかない殺戮をしてしまったと・・・」
ヴィンツァー「・・・なんで、そこまで分かるんですか?」
ウィンロード「10年間モンスターと暮らしていても、黒死病を発症しなかったからだ・・・」
リネット「・・・え?」
海の向こう岸に目をやるウィンロード「見ろ。」
二人も海峡の向こうに目をやる。漆黒の雲が広がっている。
ウィンロード「わたしの故郷の末路だ・・・」
リネット「分厚い雲・・・」
ウィンロード「雲じゃない・・・あれは鳥だよ。死体をついばんでいるのさ・・・」
そう言うと、先を進んでいくウィンロード。

『ラストパーティ』脚本⑩

ピカール「紳士淑女の皆様・・・本日はロト剣術魔法学校の年度末発表会にようこそおいでくださりました・・・!本校の生徒の日々の鍛錬の成果をぜひ最後までご覧ください!
発表会の最後には学生のオークションもあります!
それでは、まずは魔法学部の発表です!
学部長のテスタメント先生よろしくお願いします!」
魔女のテスタメント「魔法学部 黒魔術学科 攻撃魔法専攻の学生の総合火力演習となります。
ピカチュウのように強い光を放ちますのでくれぐれもご注意を・・・」
テスタメントが杖を振ると、来場者の手元に遮光板が現れる。
テスタメント「第一小隊整列!!」
魔法学部の学生が競技場の中心に整列し、遠くの山の方へ腕を上げる。
テスタメント「PKファイヤー 方位角3032 射角119 3連続 斉射!!」
そういうと、学生たちが一斉に山の山頂に向けて火炎弾を撃ち込む。
爆撃と轟音。
来場者の歓声。
山火事が起こる。
テスタメント「続いて第二小隊前へ!
PKアイスストーム 同一目標 斉射!!」
今度は別の学生が一斉に山火事に向けて氷系の魔法を放つ。
鎮火される山火事。
テスタメント「演習は以上となります。
来年度はより難易度の高い落雷系の全体攻撃魔法を履修させますわ・・・」
会場内が拍手に包まれる。
来場者「ブラボー!!」

来賓席の方へ引き上げる講師のテスタメント
「あら・・・そのマッシュルームヘアーはウィンロードじゃない。来てたんだ。」
ウィンロード「まあな。」
テスタメント「しばらく見ないうちに老けたわね~・・・」
ウィンロード「お前は変わらないな・・・美容魔法か。」
テスタメント「PKドモホルンリンクルよ。あんたもやる?」
ウィンロード「くだらねえ。」
テスタメント「で?うちの子たちの魔法はどうだった?
せっかく来たんだから一人くらい買って帰りなさいよ。」
ウィンロード「使い物にならんよ、あれじゃあ・・・」
テスタメント「いつも憎まれ口ばっか。だから結婚できないのよ・・・」
ウィンロード「では聞こう。火炎魔法と氷結魔法を放つ学生を入れ替えたのはなぜだ?」
テスタメント「・・・え?」
ウィンロード「あの威力だ。消費MPが高すぎて詠唱できるのは一度きりだからじゃないのか?」
テスタメント「なによ、あんたバトル・オブ・ナガシノを知らないの?」
ウィンロード「じゃあ、魔法使いを3000人もパーティに加えろというんだな。
いずれにせよ、あれでは必殺の一撃をかわされたらおしまいだ・・・
実践では役には立たんよ・・・」
テスタメント「はいはいそうですか・・・あんたは一体なにと戦おうとしてんのよ・・・」
ウィンロード「だが・・・一人だけファイアとアイスを打っていたやつがいたな・・・」
テスタメント「ああ・・・あの子は消費MPが少ないから・・・
でも、アルコールランプ程度の着火と冷えピタ程度の冷却しかできない落第生よ・・・」
ウィンロード「じゃあ、お前のクラスは全員落第だ。」
テスタメント「・・・くっ・・・!バーカバーカ!」
悪口を言って立ち去っていくテスタメント。
ため息をつくウィンロード「精神年齢も変わりやしねえ・・・」

ピカール「続きまして、勇者学部です!
剣術学科フェーデ専攻の学生によるトーナメント試合を開催します!」
諸侯たち「いよいよですな・・・」
「今年は即戦力の剣士がいるかな・・・」
ラム隊長「それではAブロック第一試合を始める!両選手の土俵入り!
はっけよい、残った!」

選手控室
控室の外からは競技中の歓声が聞こえる。
緊張でベンチにへたり込んで震えているヴィンツァー「始まってしまった・・・もうだめだ・・・」
ベオウルフ「いよいよだね、ヴィンツァーくん。
ぼくはどんな相手にも敬意をもって接する。わかるかね?
つまり、手加減をせずに全力で行かせてもらうということさ・・・」
ヴィンツァー「それはちょっと・・・
ぼく、わざと負けますので剣でたたくのは勘弁してもらえますか?」
ベオウルフ「なぜあの姫君はこんな腰抜けが好きなのか、さっぱり分からん・・・
きみにはプライドはないのか?愛する女性を守るために戦おうとは思わないのかね。」
ヴィンツァー「誰かを傷つけるくらいなら、ぼくは愛なんていりません・・・」
ベオウルフ「哀しい奴だな・・・愛のない人生に何の意味がある?
ようし、騎士の情けだ。君の無意味な人生を終わらせてやろう。
ボコボコにしてやる。」
ヴィンツァー「ひいいい!」
控室に入ってくる少女「ヴィンツァー・・・」
少女の顔は暗い。
ヴィンツァー「・・・ど、どうしたの?」
少女「あたし・・・攻撃魔法ぜんぜんできなかった・・・せっかくの発表会だったのに・・・
あたし・・・剣もダメ・・・魔法もダメ・・・字も読めない・・・
何もできない・・・」
ヴィンツァー「そ、そんなことないよ・・・」
涙を浮かべる少女「でも・・・あんたは違う・・・あんたは剣の才能がある・・・
あの時・・・あたしを守ってくれたじゃない・・・」




数年前――感染症で壊滅した村。
村人の死体を狙って舞い降りるハルピュイア。
少女「やめて!こないで!!」
ハル「チョーダイ。チョーダイ。」
少女「パパ!ママ!お姉ちゃん!!誰か助けて~~!!」
少女に向けてかぎづめを向ける。
その時、木の棒を持ってハルピュイアに向かっていく幼いヴィンツァー。
ヴィンツァー「うあああああ!!お前なんか怖くないぞ!あっちいけえええ!!」
そう言うと、泣きながら木の棒を振り回す。
その太刀筋を難なくかわしてしまうハル。
しかし、木の棒の速度があまりにも速く、風圧でハルの胸当てが外れてポロリしてしまう。
ポロリに気づいて一瞬意識が切れるハル。
そのチャンスを逃さず、木の棒でハルの脚を叩き、少女をかぎづめから守るヴィンツァー。
たまらず、少女を諦めて飛び去って行くハル。
恐怖でガタガタ震えて、失禁してしまう少女。
少女に近づくヴィンツァー「だいじょうぶ・・・もう戻ってこない・・・
も、もし・・・もう一度襲ってきたら・・・今度は墓を作って埋めてやる・・・」
ヴィンツァーに抱き着く少女「う・・・うわああああ!」




選手控室
少女「・・・だから、あなたは絶対に勝てる。わたしの・・・勇者様なんだから・・・」
ヴィンツァー「・・・リネット・・・」
そう言うと、何かを決心して立ち上がるヴィンツァー。
ベオウルフ(・・・こいつ、顔つきが変わった・・・)
ヴィンツァー「ベオくん。ぼくは、どんな相手にも敬意をもって接する。」
ベオウルフ「ほう・・・」
ヴィンツァー「つまり、お互い手加減をせずに全力で戦おう・・・騎士道精神に則って。」
ヴィンツァーと握手をするベオウルフ「いい試合にしよう。」

土俵に入場し、剣を握って向かい合うヴィンツァーとベオウルフ。
ラム隊長「はじめ!!」




学生のオークションが始まる。
ステージに並ぶ剣士と魔法使いの卵たち。
ボコボコにされているヴィンツァー。
ピカール「アダムス大臣が10万ゴールドを上げた!他はいないか?他はいませんね?
・・・ベオウルフ・レイセオンくん、王立騎士団がハンマープライス!!」
ハンマーを叩くピカール。
学生たち「さすがベオくんだ・・・6ケタをつけたぞ・・・オレなんか4ケタなのに・・・」
「オレは3ケタだぞ・・・」
「まあ、あそこで売れ残っている2人よりは幸せだろ・・・まがりにも騎士の従者になれるからな。」
そう言うと、ヴィンツァーとリネットに目をやる学生たち。
ピカール「残るは、黒死病で滅んだ貧しい農村から拾った孤児二人です!スキルは特に無し!
言い値でお売りしますが・・・」
しらける会場。
心細そうにヴィンツァーの手を握るリネット。
ヴィンツァー「大丈夫だよ、売れ残ったら学園に戻れる・・・」
リネット「それは成績のいい学生だけよ・・・あたしたち無能な在庫は処分される・・・」
ヴィンツァー「ごめん・・・ぼくがベオくんに負けたばっかりに・・・」

リネットに目をやるベオウルフ。
自分を買い取ったアダムスに声をかける。
ベオウルフ「あの・・・あそこにいる2人も買い取ってほしいのですが・・・」
アダムス「競争率の高い君を買い取ってもう予算がないよ・・・」
ベオウルフ「ぼくの友だちなんです・・・どうか・・・」
アダムス「これはわたしのポケットマネーじゃないんだ。国民の税金だ。
残念だが、私一人の判断でそんなことをしたら暴動が起こるよ。」
2人に向かって首を振るベオウルフ。

すると、太っていて下品そうな領主が名乗りを上げる。
領主「私が引き取ろう。」
ピカール「マンイーター男爵から30ゴールドが上がりました!
他にいないか?」
マンイーター男爵に向かってウィンロードが話しかける。
「あんた・・・あれを本当に騎士として雇うのか?」
男爵「ぶひひ・・・あの子たち・・・よく見ればなかなかのロリロリじゃないですか。
ぼくのリカちゃんハウスのコレクションにしようかな、と・・・」
ウィンロード(性的虐待をされた後に殺されちまうか・・・)
ピカール「それではマンイーター男爵がハンマープ・・・」
札を上げるウィンロード「二人まとめて20万ゴールドだ。」
ざわつく会場。
ピカール「・・・え?なんですって?みなさん静粛に!!」
ウィンロード「・・・22万ゴールドのがいいか?」
ピカール「な・・・なんと22万ゴールドが出ました!今回のオークションの最高額です!!」
参加者たち「おいおい・・・!あの最強の剣士ウィンロード卿が競り落とすということは、あの二人、もしかしてとんでもない逸材なんじゃ・・・!」
「買っときゃよかった!」
「でも、22万ゴールド以上も出せないぞ・・・!」
悔しがる男爵「ぶひょ~!ぼくの着せ替え人形が奪われたブー!」
ピカール「それでは、22万ゴールドでシドニア・ウィンロード卿がハンマープライス!!」
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