『ラストパーティ』脚本⑥

ウンディーネ地下水路
発光するキノコをむしり取ってランタンがわりにするゼリーマン。
「もう少し行けばホーン平原の下ですが・・・
やめといたほうがいいっすよ・・・ここら一帯はもはやガリア帝国の縄張りだ・・・
ガリア兵はイナゴみたいな連中でね・・・何もかも奪って食いつぶしちまう・・・」
ヨシヒコ「まいったな・・・一度会社に帰って戦略を立て直したかったが・・・」
ゼリーマン「その会社が邪魔者の旦那を殺すために戦場のど真ん中に送ったんじゃないんですか?
俺が思うに・・・コマキ社は本気で奥様を救出する気はないと思いますよ。
そういう連中がやることは責任逃れの言い訳を考えることだけだ。」
ヨシヒコ「妻の救出に本気なのは出資したGASEだけか・・・」
ゼリーマン「ホーン平原の他にゲートはあるんですか?」
ヨシヒコ「ああ・・・来場者用が6ヶ所と従業員用が2ヶ所・・・」
ゼリーマン「その中で、戦火に巻き込まれていないところを探すとしますか・・・」
ヨシヒコ「・・・お前はずっとついてくるのか・・・??」
ゼリーマン「世話になった旦那が異世界で一人ぼっちなんですよ!力を貸すのはスライムとして当たり前じゃないですか・・・!」
ヨシヒコ「・・・仲間と根城がなくなったから心細いのか?」
ゼリーマン「ばっ・・・冗談じゃない!オレはこれでも雑魚モンスターの王っすよ!
手下はまだまだたくさん・・・」
ヨシヒコ「悪かった・・・私も大切なガイドを失ってね・・・
君のように、人間の言葉もモンスターの言葉もわかる味方は心強い・・・
ついてきてくれると助かる・・・」
ゼリーマン「へへ・・・」
ヨシヒコ「・・・で、どうせ目的は私の世界のゼリーなんだろ?
謝礼はハウス食品ゼリエース1年分でいいのか?」
ゼリーマン「で・・・できればマンナンライフの方も・・・」
ヨシヒコ「わかったよ・・・ウィダーインゼリーも箱で付けてやる・・・」
ゼリーマン「おっしゃあ!これでオレは一生遊んで暮らせる!
ゼリー界の神にオレはなる・・・!」
ヨシヒコ「よ・・・よかったな・・・」
ゼリーマン「旦那、オレに考えがあります・・・」
ヨシヒコ「聞こう。」
ゼリーマン「旦那の会社には味方はいない・・・なら、戻るのは奥様を救出してからだ。
この世界で味方を見つけるんです。」
ヨシヒコ「・・・まあ一理あるな・・・」
ゼリーマン「しかし、凄腕の味方をパーティに加えるには金が必要だ・・・
旦那・・・何ゴールド持ってます?」
ヨシヒコ「・・・現地の通貨は・・・12ゴールド・・・」
ゼリーマン「それ・・・俺によこしてください・・・100倍にしてみせますよ・・・」
ヨシヒコ「どうやって・・・?」
地下水路の隠し通路を開けるゼリーマン「ここです・・・」



通路の奥には、恐ろしいモンスターたちが集まる賭博場がある。
ゼリーマンが賭博場に入ろうとすると、ボディガードのミノタウロスとサイクロプスが入場を阻む。
ゼリーマン「メドの友人のゼリーが来たと伝えろ。」
ミノタウロス「あんた・・・また来たのか・・・」
サイクロプス「帰んな。お前は出禁だ・・・」
ゼリーマン「この俺にそんな口の利き方ができるとは・・・いやはや驚いたぜ。」
ミノタウロス「塩をかけられたくなかったら、とっとと失せろ・・・」
ゼリーマンにヨシヒコ「モンスターの王じゃなかったのか・・・?」
ヨシヒコを見てミノタウロス「あ・・・あんた・・・コマキの人間か!??」
ヨシヒコ「そうだが・・・」
サイクロプス「ひ・・・ひい・・・!この店は見逃してくだせえ・・・!
人間様に虐げられた哀れな魔物が細々とやっているつまらねえ遊戯施設です・・・」
ゼリーマン「ふうん・・・おめえらコマキが怖いのか・・・
この俺はこの方の第一の舎弟だがな。
お前らの態度次第では、コマキを説得してやってもいいが・・・」
ミノタウロス「本当か?」
サイクロプス「どうする兄弟・・・」
ミノタウロス「オーナーに相談だな・・・
コマキの方・・・ど、どうぞこちらへ・・・」
ヨシヒコ「コマキ社を相当恐れているじゃないか・・・」
ゼリーマン「それはそうですよ・・・半年前に完膚無きまでにやられちまったんだから。
地上のモンスターは来場者が怖がるということで、この地下に強制退去ですよ。
ハルみたいな飛行系はここには住めませんでしたがね。」
ヨシヒコ「コマキのせいで難民か・・・」

用心棒の魔物2人に案内されて賭博場を歩いて行くヨシヒコとゼリーマン。
スケルトンの博徒「もう賭けられる骨がねえ・・・!」
ゼリーマン「骨になるまで飲まれるとかバカだろあいつ・・・」

支配人室
メガネをかけたショートカットの美女が大きなデスクで帳簿をつけている。
美女は下半身がガラガラヘビのそれで、しっぽの先っちょはデスクの陰に隠れている。
ヘビ女「ようこそ、裏カジノ「ハリーハウゼン」へ!ここのオーナーをさせてもらっているメド・ゴルゴーンです。
コマキさんへの上納金は先月送金したはずですが?」
ヨシヒコ「・・・うちの会社はモンスターになんてことさせてるんだ・・・」
ゼリーマン「相変わらず美人だなメドちゃん。海神が入れ込んだのも分かるぜ。」
メド「・・・あんたとは口もききたくないわ。」
ゼリーマン「無視は愛の裏返しってね・・・」
メド「キモイ・・・うちのカジノでゴト行為をやって黒服にボコボコにされたのに、よく懲りずに来れたものね・・・店が汚(けが)れるから出ていってちょうだい。」
ヨシヒコ「おたく・・・めちゃくちゃ嫌われてないか?」
ヨシヒコの方を向いて微笑むメド「もちろん泉様はVIP待遇で遊戯を楽しんでいただけますわ・・・
ルーレット、バカラ、ポーカーなんでもござれ。
差し支えなければ、このわたくしがディーラーを・・・」
ひそひそ声でゼリーマン「ここのルーレットには電磁石が仕込んであります・・・」
メド「おだまり、石にするわよ。」
ゼリーマン「コマキに髪を切られちまったからできないだろ。」
メド「あんたに牛乳を混ぜるわ。」
ゼリーマン「おれはフルーチェか・・・」
金貨が入った袋を取り出すヨシヒコ「元手がこれしかないんだが・・・」
メド「あらまあ・・・うちの最低ベットは20ゴールドなので厳しいですわね・・・
ただし、賭け金を貸し出すことはできますわ。
コマキの社員様には、それこそ低金利で・・・(歯車式の計算機を叩く)トイチでどうかしら?」
ヨシヒコ「・・・おいゼリー・・・破滅への扉が今開いた気がするんだが・・・」
ゼリーマン「何をおっしゃいます!
冷血動物のメデューサにしちゃ甘々のデレデレ!
ここで勝負しなきゃ男じゃねえっすよ旦那!」
ヨシヒコ「ぼくはリスクが高いことには手を出さない主義なんだ。
トイチは年利換算で3100%・・・悪魔的だ。今じゃ武富士だってやらない・・・」
ゼリーマン「おい、その金利で乗った!いくらまで借りれる!?」
メド「あんたには貸さないわよ?私が貸すのはそちらの紳士・・・」
ゼリーマン「わかってらい!
旦那、こちらの羊皮紙にサインを・・・上限いっぱいまで借りましょう!」
サインをするヨシヒコ「お前・・・大丈夫なんだろうな・・・
で、貸し出し上限はいくらなんだ?」
メド「24000ゴールド・・・コマキ様ならはした金ですわ。」
青ざめるゼリーマン「・・・え?」
ヨシヒコ「お・・・おい・・・!!24000ゴールドって一体どれくらいの金額なんだ!」
ゼリーマン「武器屋で一番高い装備が・・・ちがうな。武器屋が買えます。」
ヨシヒコ「やっぱり貸出額は240ゴールドで・・・」
メド「あら残念ね。お客様はすでにサインをしてしまった。
魔界で契約は絶対・・・こちらが24000ゴールド相当のチップです。」
メドがレバーを引くと、金庫が開いて大量のチップがあふれ出す。
チップに埋まってしまうゼリーマン「うあ~!」
メド「さあ、頑張ってくださいまし。
10日で少なくとも2400ゴールド分は勝たないと利子も払えませんわよ・・・
お~っほっほ・・・!」
ゼリーマン「くそう!はめられたぜ・・・!!」
ヨシヒコ「馬鹿野郎!どうすんだこのチップ・・・!」
メド(・・・くくく・・・まんまとコマキのバカ社員を毒牙にかけてやったわ・・・
今まであの会社に奪われた分をふんだくってやるんだから・・・)
ゼリーマン「おいラミア!」
メド「種族名で呼ばないでくれる・・・?」
ゼリーマン「このカジノで青天井のギャンブルは何だ!!」
ヨシヒコ「お前本物のバカだろ・・・!」
ゼリーマン「このチップの量をチビチビかけてたら間に合いませんよ・・・!
こうなりゃハイリスクハイリターンの大勝負をして勝ち逃げするっきゃねえ!」
ヨシヒコ「パチンカスがよく言うセリフだ・・・!」
メド「そりゃあもちろんジュ―スティングに決まってるじゃない。」
ヨシヒコ「ジュースティング?」
ゼリーマン「よっしゃあ!血がたぎるぜ・・・!!」
ヨシヒコ「もしかして・・・馬上槍試合じゃないだろうな・・・!
俺たちはランサーなんか用意できないぞ!」
ゼリーマン「ランサーはここにいる。」
ヨシヒコ「は??」
ゼリーマン「このオレが出場します。」
ヨシヒコ「なんだって?お前馬に乗れるのか??」
かっこつけてニヤリと微笑むゼリーマン「サー・ウィリアム・マーシャル並みにはね。」
メド「あら勇敢なこと・・・!(黒服に)あんたたち、この愚かなスライムに槍と馬を用意してあげなさい。」
ゼリーマンにコンピテンシーリーダーをあてるヨシヒコ。
「ゼリーマン。レベル1、HP5、攻撃力0、防御力0、乗馬経験も0」
ヨシヒコ「・・・終わった・・・」



ジュ―スティングの円形コロシアム
――ジュ―スティング(一騎撃ち)とは、馬に乗った2人の騎士が双方から突進し、相手の胸に木製のランスを当てる競技である。
胸にランスを当てられればベット額の2倍、そのまま落馬させればなんと5倍の配当が得られる、脳汁まちがいなしの中世を代表するギャンブルだ・・・!

メド「さあ、皆さんお待ちかね・・・!
我がカジノ「ハリーハウゼン」にジュ―スティングが帰ってきました!
赤コーナーはディフェンディングチャンピオン!ミスタースリーピーホロウ、サー・デュラハン!
いざ入場です!!」
大歓声を受けて、下半身が馬になった首なし騎士がコロシアムに入場する。

大人気のデュラハンを眺めるヨシヒコ達。
ヨシヒコ「おい・・・めちゃくちゃ強そうだぞ・・・」
ゼリーマン「笑止。試合の前にすでに首が取れてるじゃないですか。
それ、すなわち雑魚キャラ・・・」
デュラハンにコンピテンシーリーダーをあてるヨシヒコ「死を予言する魔物らしいぞ・・・」
ゼリーマン「ふふ・・・この顔が、死にゆくゼリーの表情に見えますか?」
ジャケットを脱ぐヨシヒコ「逆になんでそんな自信満々なんだよ・・・試合には私が出る。」
ゼリーマン「旦那が?死ぬつもりですか?」
ヨシヒコ「お前は馬にも乗れないだろうが・・・!
私は妻に無理やり乗馬に付き合わされたことがある・・・だから少なくとも馬には乗れる・・・
それに・・・ここの連中はコマキを心底恐れている・・・コマキ社員のぼくに手荒な真似はしないだろう。」
ゼリーマン「忖度させるわけっすね!」

メド「対する挑戦者は青コーナー!
トウキョウトチュウオウクという異世界からお越しの株式会社コマキアミューズメント開発部主任、泉ヨシヒコ様!」
観客のモンスターたちは応援していいのか迷って、もじもじしている。
まばらな拍手。
ゼリーマン「おう!てめえらの薄汚ねえ賭博行為、誰が公認していると思ってるんだ!!」
慌てて大歓声をヨシヒコに浴びせるモンスターたち。
スケルトン兵士「最後の骨をミスターイズミに賭けるぜ~!!」

デュラハンに近づいて耳打ちするミノタウロス
「デュラハン卿・・・姐さんからの伝言だ。」
デュラハン「わかってる・・・殺しやしないさ・・・
そんなことしたら、それこそモンスターは皆殺しにされる・・・」
ミノタウロス「とはいえ・・・槍で軽くつついとけってさ・・・
試合中の事故なら何とでもごまかせる・・・
それで俺たち魔物の溜飲もいくらかは下がるだろ。」
デュラハン「面白い・・・」

『ラストパーティ』脚本⑤

茂みの地中に小田を埋葬してやるヨシヒコ
十字を切るヨシヒコ「王子様の夢を見ろ・・・」
立ち上がって西の空を振り返る。



ストレイシープ村
見た目は中世の農村だが、中央の廃屋にはコマキ社のロゴが入ったモニターやコンソールが並んでいる。
その管理デスクには、人の形をしたゼリー状の生命体が椅子の背もたれにふんぞり返っている。
ストレイシープ村に舞い降りてくるハルピュイア。
翼をたたんでゼリーマンのいるドリームワールドの管制塔にひょこひょこと入ってくる。
マジックキングダムのロゴが入ったポップコーンを口に放り込んでゼリーマン
「・・・どうだ?金目のものはあったか?」
複雑な表情をするハルピュイア。
ゼリーマン「ミスリルメイルは?ラストエリクサーは?じゃあ骨付き肉でいいや。」
すると、ハルピュイアが小田が履いていたパンツを差し出す。
ゼリーマン「バカ野郎!ビキニアーマーの上じゃなく下を持ってくる奴がどこにいるんだ!!
まったく、せっかく戦争に乗じて火事場泥棒を命じたのに、この役たたず!」
落ち込むハルピュイア。
ゼリーマン「・・・これでも私はゼウスの親戚だって??姉ちゃんは虹の女神のイリス・・・?」
出自を聞いて臆するゼリーマン
「・・・わ・・・悪かったよ。この異世界の豆菓子を食って元気を出しなさい。」
嬉しそうにポップコーンをついばむハルピュイア。
ゼリーマン「え?この村は人間に攻め込まれないのかだと?
ここを統治しているのは誰だと思ってるんだ!?
雑魚キャラの王である偉大なるスライム、ゼリーマン閣下ぞ!?
人間なぞこのプルプルの触手でひとひねり・・・」

小屋に入ってくるヨシヒコ「・・・相変わらずよくしゃべるモンスターだ・・・」
飛び上がって驚くゼリーマン「ひいいいい!!!」
ヨシヒコ「まだ、こんなセコイ商売をしているのか・・・」
椅子から立ち上がって両手を揉むゼリーマン「・・・い・・・泉の旦那じゃないっすか・・・!
嫌だなあ・・・こっちに来るときは連絡してくださいよ~・・・」
ヨシヒコ「その怪鳥はお前の仲間か・・・」
ゼリーマン「悪い奴じゃあないんですが・・・いかんせん頭が良くなくてね・・・
で、一体なんのようです?」
ヨシヒコ「・・・こちらの言葉がわかるお前がいるなら話は早い・・・先月この村で何があった?」
ゼリーマン「それですよ・・・!旦那の会社の連中がこの村を拠点に開発工事を進めましてね・・・
このハルの住処も伐採されちゃって大変だったんすから。
旦那の世界のアミューズメン・・・パク?には、うちの世界は採用されなかったんじゃないんすか?」
ヨシヒコ「私が退社したあとに、予定が変わったらしい。で、あんたらモンスターが報復に打って出た、と?」
ゼリーマン「はっはっは!我々魔物も見くびられたもんだ!
鋼鉄のドラゴンやメラゾーマもびっくりの火力を持つ異世界の皆さんに喧嘩を売るほど、モンスターはバカじゃないっすよ。」
ヨシヒコ「では、先月2日にこの村を攻撃したのは誰だ?」
ゼリーマン「俺たち野生の魔物は利口ですが・・・召喚獣は魔王の命令に忠実だ・・・
この魔法の小箱(監視カメラ)によれば、ハデスの奴がジャヴァウォッキーをたたき起こして使役したと・・・」
ヨシヒコ「オディオサウルスを!?この世界で最強の魔物じゃないか。」
ゼリーマン「旦那の世界で言う・・・なんて言いましたっけ?アトミックボム?
しかし、ご安心を。この小屋をやっこさんが焼かなかったのが幸いでね・・・」
コンソールをいじるゼリーマン。
ゼリーマン「ええと・・・2日ですよね・・・この小箱に記録が残ってますよ。
しかし・・・時間を保存できる魔法ってどう発動するんですか?」
ヨシヒコ「レンズとCCDとフィルムがあれば・・・(説明がめんどくさくなる)なんでもいいだろ・・・
魔法なんだから・・・」

監視カメラの映像を真剣に見つめるヨシヒコ。
ゼリーマン「この日は、コマキさんのスタッフが視察に来て、村の連中に最後の研修を行っていたようっすね・・・旦那・・・誰かを探してるんですか?」
ヨシヒコ「しっ・・・」
ハルの方を向いてゼリーマン「おい、お前だぞ!静かにしろ!旦那は集中してるんだ!」

モニターには、コマキの社員が村民に風船の配り方をレクチャーしている様子が写っている。
コマキ社員「まず村民の皆さんに確認していただきたいのは、手首のブレスレットです。このブレスレットが付いている来村者(エトランジェ)は、我々ドリームワールドの大切なお客様ということになります。
その際は「お帰りなさいませ勇者様!」と笑顔で出迎え、お辞儀の角度は45度・・・」

ヨシヒコ「・・・ここは飛ばしていい。ジャバウォッキーが襲ってくる映像は?」
映像を早送りするゼリーマン「夕方だと思います・・・」

モニターの村の様子が暗くなり、逃げ惑う村民が現れる。
音声は絶叫しか聞こえない。

ゼリーマン「この時点でもう何個かの魔法の箱は破壊されてますね・・・」
ヨシヒコ「ストップ!!」
パチスロのように一時停止ボタンを叩くゼリーマン「あたあ!!」
ヨシヒコ「・・・桃乃だ・・・」

村民を逃がしながらマスケット銃を構えている女性を指差す。

ゼリーマン「随分勇敢な姉ちゃんですね。全長18mのドラゴンとやりあってらあ。」

スロー再生をするゼリーマン。
ドラゴンは巨大な後ろ足で女性に掴みかかる。
一瞬でフレームアウトする両者。

ヨシヒコ「・・・この怪物にさらわれたのか・・・
ジャバウォッキーを使役しているのは暗黒皇帝ハデスで間違いないのか?」
肩をすくめるゼリーマン「このレベルの召喚獣は魔王の称号を手に入れなければ、逆に食われちまいますよ旦那・・・」
ヨシヒコ「捜索が少し前進したな・・・ありがとう・・・」
ゼリーマン「この女騎士は誰なんですかい?」
ヨシヒコ「うちの妻だ・・・」



ストレイシープ村から北に6km――プランダル村
村の中央広場に陣を敷くガリア軍。
騎士階級の宿舎を急ピッチで設営している。
陣には簡易的な道具屋や鍛冶屋、賭博場も設営されている。
ガリア軍の隊長「え~・・・今日は皆さんご苦労様でした。
ここを我が軍の野営地とします。
それでは、ここからボーナスタイムに突入です。
日頃の疲れを癒していただき、明日以降も頑張って進軍しましょう!」
歓声を上げる兵士たち。
すると、村の畑を荒らし、家の中のツボや宝箱を破壊して略奪行為をする。
兵士「なんだよ、10ゴールドしかねえぞ」
兵士に襲われて逃げ惑う村民。

村の長に近づいていく隊長。
親しげにフレンチキスをする。
「村長、ここはなかなか結構な村だな。気に入ったぜ、この村の人口は何人だ?」
長老「・・・242人です・・・」
葉巻を吸う隊長「そんなに人間がいて、この村には教会の一つもねえのか・・・神様も気の毒に・・・
ブリジッドの連中はどいつも信仰心がねえよ・・・
王が離婚したいがために新しい宗教を作りやがるような国だからな。
若い女は、裸みてえなみっともねえかっこうしやがって・・・そう思うだろう?」

兵士「はいはい、持ち物はすべてこの袋に入れて・・・
老人はあっち、若い女はそっち、それ以外はこっち・・・列を作って並びましょう!」
村人「許してください・・・今年は不作で・・・私たちは何を食べて冬を越せば・・・」
兵士「大丈夫だ!お前ら村民に来年はねえ!」
村民「え?」
兵士「老人は武器の試し切り、若い女は死ぬまで強姦、それ以外の子どもや赤ちゃんはミンチにして軍馬とヘルゴートの餌にします!」

長老「そんな・・・!村民の命だけは・・・!」
隊長「神に祈るんだな。」
長老「あんたらの神はこんな虐殺を許すのか!」
長老にビンタする隊長「・・・うるせえ!俺の立場にもなってみろい、こっちも駐屯する兵士を養わなきゃいけねえんだ!
おい、軍曹!このじいさんから試し切りだ!極上グラディウスをよこせ!」
軍曹「はっ!」
目隠しをされてガリア兵に連れて行かれる長老「地獄に落ちろ~!!」

葉巻をポイ捨てする隊長
「さすがハデス様・・・収穫が始まるこの時期に進軍したのは非常に賢い・・・
長弓が得意なブリジッドの兵士どもは、農村に戻っておるわ・・・
この調子で周辺の村を滅ぼせば、エゼルバルドの篭城戦も厳しかろう・・・」
偵察兵「隊長!南にも村がありました・・・!」
隊長「ほう・・・?うまいもんはありそうか?」
偵察兵「それが・・・奇妙なことに住民は一人もおらず・・・見たこともない魔法装置がたくさんあり・・・」
表情が変わる隊長「・・・魔法装置・・・?なんて名前の村だい?」
偵察兵「ストレイシープ村です・・・」
立ち上がる隊長「・・・半年前、ガリアが奇襲を仕掛けたとブリジッドの野郎が言いがかりをつけた村じゃねえか・・・!魔法装置があって住民がいねえだと?
どう考えてもライオンハーテドの罠だ!上等だ、罠ごと叩き潰してやる。
軍曹、ボーナスタイムは終了だ!兵を集めろ!!」
軍曹「でも・・・極上グラディウスの試し切りは?」
隊長「ストレイシープの連中をみじん切りにしろ!2分で進軍開始!!」
軍曹がラッパを鳴らす。
長老(・・・助かった~・・・)



ストレイシープ村
電子レンジでタコスを温めるヨシヒコ
ゼリーマン「それ・・・食えるんですか?」
ヨシヒコ「美味いらしいぞ。キミも。」
ハルにタコスを投げるヨシヒコ。後ろ足の鉤爪でタコスを握るハル。
バックパックに食料とミネラルウォーターを詰め込むヨシヒコ「世話になったな・・・」
ゼリーマン「旦那、正気ですか?魔王ハデスから奥様を取り戻すって・・・」
立ち上がるヨシヒコ「子どもが家で待ってるんだ。」
ゼリーマン「家庭って魔王と戦って取り戻すほど大切なんすか?」
ヨシヒコ「君にも親や子どもがいるだろう?」
ゼリーマン「ええ・・・愛する子どもが2億人ほどね・・・ほとんどはお腹が減ったので食っちゃいましたけど。」
ヨシヒコ「スライムの道徳観念はわからん・・・」

その時、村に警報がなる。
ヨシヒコ「なんだ?」
ゼリーマン「エレメント・センサーが反応した。村に侵入者だ。」
ゼリーマンの方に目をやるハル。
頷くゼリーマン。
ハルが勢いよく上空へ飛んでいく。
遠くに、軍隊のかがり火が見える。
すぐに、地上付近まで下降し、村周辺の草原に浮いているウィル・オー・ウィスプの明かりを消す。

管制塔から出てくるゼリーマン。
ゼリーマン「なんだ!またガーニーのブタ野郎か!
先週泣かしてやったのに、まだこの縄張りを諦めねえとは・・・」
首を振るハル。
ゼリーマン「え?関東オーク組の奴らじゃない・・・?ガリア軍だって!??」
ヨシヒコ「それは本当か?
そもそも先月、この村を滅ぼしたのはガリア帝国のハデスじゃなかったのか?」
ゼリーマン「きっと、この村のお宝を嗅ぎつけて引き返してきやがったんだ・・・!」
ヨシヒコ「お宝・・・?」
ゼリーマン「この魔法の箱ですよ!相手の戦力は?」
困った顔をするハル。
ヨシヒコが管制塔にあった夜間ゴーグルを持ってくる。
ハルにゴーグルを取り付けるヨシヒコ「これをつけてやる・・・!」
ハルの背中を叩くゼリーマン「ようし行って来い!」
もう一度上空に飛び上がるハル。

ストレイシープ村に進軍するガリア軍。
上空を飛ぶ魔物を指差す兵士「うわあああ!バケモノだ・・・!」
軍曹「うろたえるな・・・!こんなこともあろうかと、我が軍には先生がいる・・・!先生!!」
すると、ローブをまとった修道士のような男が現れる。
ゴート大学の歴史学の教授、ローワン・ウイリアムである。
軍曹「先生・・・!一発お願いします・・・!」
分厚い魔道書を取り出すローワン「飛行系モンスターに効果的な魔法は高いよ。」
軍曹「金はいくらでも・・・」
メガネを直して、ページをめくるローワン「ま、美味いエールでも飲ませてくれればいいよ。」

上空を見上げるゼリーマン「どうだ!?」
目を凝らすハル。
すると、地上からキラリと光るものが何本かこちらに発射されてくる。
ゼリーマン「!!危ない!なんか飛んできたぞ!」
翼を翻し、慌ててその発光物体をかわすハル。
ゼリーマンの方に目をやり叫ぶハル。
ヨシヒコ「なんて言ってる・・・!!??」
ゼリーマン「まずい・・・!相手は旅団クラスだ・・・!
もういい、戻ってこいハル!ずらかるぞ!!」
すると、かわしたはずの光の矢がUターンをして、ハルの体を貫いてしまう。
落下するハル。村の納屋の屋根につっこみ姿を消す。

ヨシヒコ「や・・・やられたぞ!!」
ゼリーマン「なんてこった!ホーミング式ダイヤミサイルだ!!
あんな上級魔法が使える奴がいるのか!!」
ヨシヒコ「逃げ道はあるのか?」
ゼリーマン「ハル・・・!お前はバカで臭かったけどいいやつだった!
敵はとってやる・・・!」
そう言うと、とある小屋の中に駆けていくゼリーマン。
ヨシヒコ「お・・・おい!!」

軍曹「よ~し!空の魔物は倒した!!突撃だ!!」
ローワン「お気を付けて。」
村になだれ込むガリア兵。
すると、小屋の一つが突然爆発して、中からブリキで出来た巨大ロボットが現れる。
肝を潰すガリア兵。
「な・・・なんだあれは!!」

ラジコンを操作するゼリーマン「機動戦士サイコゴーレム発進!!
愚かな人間どもをタコ殴りにしろ!」
悲鳴を上げる兵士「うあわあああ!巨人だ!!」
軍曹「か・・・カタパルトだ!カタパルト用意・・・!」
村に3基のカタパルトが突入してくる。
カタパルトを引っ張るヘルゴートごと、ゴーレムは横倒しに放り投げてしまう。
ゼリーマン「モンスターナメんなコラー!!」
すると、もう一基のカタパルトが回転し、ゴーレムに巨石をぶつける。
大きく凹んでしまうゴーレムのボディ。
ゼリーマン「うわあああ!何てことするんだこら!!任意保険入ってねえんだぞ!!
ぶち殺す!!」
兵士たちを踏みつぶそうと、突進するゴーレム。

ゼリーマンに怒鳴るヨシヒコ「もういいやめろ!多勢に無勢だ!!村から逃げるぞ!」
ゼリーマン「ちくしょう、いいところなのに・・・(コントローラーのスイッチを入れる)オートプレイモード起動!」
2人は村の古井戸に飛び込む。

カタパルトの二発目がゴーレムに直撃し、やがてゴーレムは膝を付き倒れてしまう。
兵士たち「バンザーイ!バンザーイ!!」
納屋に入る隊長。
絶命したハルピュイアが大事そうにタコスを握っている。
タコスの包み紙をひろう隊長
「見たことのない文字だ・・・
軍曹!ウイリアム先生を呼べ・・・!!」
軍曹「古ブリジットのルーン文字では・・・?」
隊長「いや・・・この戦争・・・そんな単純なものではないのかもしれん。」
そう言うと、タコスをかじる。

『ラストパーティ』脚本④

転送エリアに続く廊下を歩く、ヨシヒコと湯浅。
湯浅「そもそもだが・・・どういった技術で人間を異世界に送っているのかね・・・」
ヨシヒコ「・・・量子テレポーテーションという言葉を聞いたことは?」
湯浅「ああ・・・全く新しい情報通信技術の一種だろう?
量子もつれを利用して、一切のタイムラグなしで情報を遠方に転送できる・・・」
ヨシヒコ「我々もある種の情報ですからね・・・マシンスペックさえあればなんでも転送できる・・・
実際、2003年にアメリカ軍はドローン兵器をイラクに転送していたそうです・・・
しかし、物体の転送は世界経済に与えるデメリットがメリットよりも大きいということで国際的に禁止された・・・」
湯浅「では、どうやって特許を・・・」
ヨシヒコ「実は禁止されたのは、この世界での量子転送なんです・・・」
湯浅「・・・?」
ヨシヒコ「10年前、ぼくは、量子テレポーテーションが、「コマキ・アミューズメントパス」というIDカードの暗号化技術に応用できると考えていた・・・
本社は、このアミュパスを使って、プレイヤーのプレイ履歴や課金額のデータを集め、分析し、さらに依存性の高いゲームを開発したかったわけですが、そこで絶対に防ぎたかったのが情報流出と、不正アクセスです。
この仕事は正直なにも楽しくなかったですけど・・・興味深い現象が起きた・・・
量子テレポーテーションの際に用いる周波数によって、アミュパスのデータが勝手に変わってしまったんです。」
湯浅「外部からのハッキングかね?」
ヨシヒコ「それは原理上ありえません。
しかし、現実問題としてデータが外部から干渉されたように書き換わってしまう・・・
わたしたちの開発チームは落胆しましたよ・・・
そして、とある実験を思いつきました・・・いつもデータが変わってしまう周波数を控えて、今度はメッセージを送ったんです。すると、地球上のどの言語とも異なる暗号文が送られてきた・・・」
湯浅「なるほど・・・異世界との量子転送は・・・」
ヨシヒコ「禁じられていない・・・すぐさま本社は特許を取ったってわけですね・・・
さあ、つきました・・・」
「マジックキングダム」と書かれたゲートの中に入ると、さらにトンネルの石段が続いている。



マジックキングダムの最終転送ルームに小田が入ってくる。
ヨシヒコ「君も同行してくれるのか?」
小田「私は臆病だから正直嫌なんですが・・・
泉さんが退職してから、最もマジックキングダムに入ったのはガイドのわたしなので・・・」
ヨシヒコ「現地の現在の様子は?」
小田「半年前のコマキ社によるキャッスルヴァニア侵攻を、ブリジッド王ライオンハーティドは、ガリア大陸の暗黒皇帝ハデス・モルドレッドによる奇襲攻撃だと決めつけ宣戦布告。
現在、レスター海峡を挟んで全面戦争が起きています。
皇帝ハデスは、この宣戦布告はブリジッド王が大陸領土を手中に収めたいがための、大義のないでっちあげだとして、先月大規模な報復攻撃に打って出ました。
特に、ブリジッド王国内の神都ハルティロードの大神官、イノストランケヴィア3世を捕囚し、大陸側のパーガトリーに教皇庁を強制移転したことは、信仰心の厚いブリジッド民の恐怖と怒りを買い、事態をさらに悪化させる結果になりました。」
首を振るヨシヒコ「開戦理由がうちの会社とはね・・・」
現地の地図を指さして小田。
小田「先月2日、姫川部長はキャッスルヴァニア地方のここ・・・ストレイシープ村のコンセッションで販売するポップコーンのフレーバーの最終確認のため現地入りしました。
キャッスルヴァニア地方をドリームワールドのメインエントランスに選んだ理由は、治安がそこそこ安定しており、野生モンスターの生息数も少なかったためですが、この時すでに皇帝ハデスはブリジッド領内に侵略的外来モンスターを3000頭もはなしており・・・
この平和な村はまっさきに魔物の餌食になりました。」
ヨシヒコ「保安部員は同行してなかったのか?」
小田「まさか戦争がはじまると思っていなかったので、軽武装で・・・
その混乱に乗じて姫川部長はさらわれてしまいました。」
ヨシヒコ「では、どの勢力が桃乃を誘拐したかはわからないのか・・・」
袖をめくって腕のブレスレットを見せる小田「手掛かりは、この入場パスです。
ここにバイタル測定器と発信機がついているので、これを頼りに何度か救助隊を送ったのですが・・・」
ヨシヒコ「つまり、桃乃はまだ生きていると。」
頷く小田。
ヨシヒコ「だいたい分かった。まずはその被害現場のストレイシープ村に向かおう。」
小田「あそこはもう崩壊してモンスターの巣ですが・・・」
ヨシヒコ「モンスターの種類は分るか?」
図鑑をめくる小田「ええと・・・キャプラ・メガロセラス・・・ホモ・オルニトゥス・・・
なんて読むんだ、これ・・・パラメシウム・ファンエヴァンドレイラス・・・?」
ヨシヒコ「ヘルゴートにハルピュイア・・・それに・・・グレート・スライム・・・こいつは珍しいな。」
小田「どれも危険な怪物です・・・」
ヨシヒコ「なんてことはない、ただのでかいヤギとハトとゾウリムシだ・・・
見た目が不気味なだけで、この種族は人間は襲わない。」
「安全第一!装備は常に最強装備にすること」と書かれた看板のある武器庫の方を指差して、小田「で・・では・・・武器は持っていかないんですか?」
ヨシヒコ「そんなものを持って行ったことは一度もないよ。」
小田「危険な世界だから閉鎖したんじゃないんですか?」
ヨシヒコ「“だから”だ。武装したところで我々には勝ち目はないのさ。」
腕にブレスレットをはめて、背広をはおうヨシヒコ。



コントロールルーム
結城「転送地点をMK42になさい・・・」
オペレータ「泉さんが指定したポイントと違いますが・・・」
結城「あの子、この私をぶったのよ!
会長にも殴られたことがないに・・・!
許せないわ・・・マジックキングダムでならず者の騎士にちょんぎられちゃえばいいわ。」
オペレータ「会長の娘さんの救出はどうするんです・・・!?」
結城「シャラップ言うとおりになさい・・・!
あんたたちの賞与の査定をしているのはこのあたくしよ!」



最終転送ゲートの前に立つヨシヒコと小田。
名刺入れを確認するヨシヒコ。
小田「・・・ホントにスーツで行くんですか?」
ヨシヒコ「どのみち、我々はエトランジュ(よそ者)・・・なら正装で尋ねるのが筋だろ?
冗談はさて置き・・・スーツほど機能的な防寒着はないのさ・・・
現地はもう秋になる・・・夜は冷えるぞ。」
オペレータ「現地に接続中・・・完了、ゲートを開放します・・・!」
アナウンス「勇者のみなさん、マジックキングダムへようこそ!
ここは剣と魔法の世界。エゼルバルト城に囚われたプリンセスを仲間と共に救出しましょう!」
微笑む小田「この声、あたしなんです。」
腕時計に目をやるヨシヒコ「滞在時間は20分だ。
現地は戦時中・・・ストレイシープ村を探索したらすぐに引き返そう。」
小田「了解です。」
ゲートが開き出すと、転送エリアに日が差し込む。
心地よい風と木漏れ日、そして小鳥のさえずりが聞こえる。
ゲートの向こうに足を踏み入れる2人。
アナウンス「さあ、スリルとロマンスいっぱいの大冒険の始まりです!」



コントロールルームに戻ってくる湯浅
オペレータ「泉さんら2名がマジックキングダムに転送されました。」
結城「専務のお気に入りの泉ちゃんはうまくやるかしら・・・」
湯浅「含みを持たせるじゃないか・・・
行ってしまったら最後、こちらから現地の様子はわからない・・・祈ろう。」



ドリームワールド
キャッスルヴァニア地方ホーン平原
のどかな草原を歩くヨシヒコと小田。
ヨシヒコの持つポータブルセンサーを見て小田
「それはなんなんですか、泉さん。」
ヨシヒコ「これはコンピテンシーリーダー・・・
こうやって人にかざすと、その人材の経験やスキル、強みや積極性が読み取れる。
人事採用の最終兵器さ・・・」
小田「ほえ・・・」
そう言うと、小田にコンピテンシーリーダーを当てる。
ヨシヒコ「小田順子・・・20歳・・・本名は響琴音・・・きみ、本名の方が芸名っぽいな。」
小田「どういう原理なんですか??」
ヨシヒコ「ドリームワールドのスタッフの名簿データを入れているだけさ・・・
もともと子役で16歳で声優デビュー・・・
メルヘンが好きで夢見がちな性格・・・
記憶力に優れ、アニメの台本の他、異世界の言語も数日で習得・・・
ほう、これはすごいスキルだ。」
小田「へへ、褒められちゃった。
私の夢は、この世界で白馬の騎士様の玉の輿に乗ることですから。
言語習得は古魔族語からエスカイヤ階級のアクセントまでばっちりです。」
自分が作った機械を見つめてヨシヒコ「・・・けっこう正確だな、これ。
・・・で、ストレイシープ村はどこだ?」
小田「あれれ・・・そろそろ目印の水車小屋が見えるはずですが、おかしいな・・・転送位置がずれちゃったのかも・・・」

その時、遠くの丘から馬に乗った騎士が現れる。
ヨシヒコ「君の花婿が来たぞ。」
感動する小田「うわ、甲冑騎士って初めて見ました・・・!」
ヨシヒコ「つまり、非常時ってことだな・・・あれはどっちの勢力だ?」
双眼鏡を取り出す小田「鎧の紋章が小さくて・・・」
すると、小田を抱きしめるヨシヒコ。
ドキっとする小田「泉さん・・・?」
ヨシヒコ「しっ!!」

大地が振動する。
ヨシヒコ「ブリジッドだ・・・旗を見ろ・・・」
小田「へ?」
丘の向こうから軍旗が見え隠れする。
しばらくすると丘の向こうから騎馬戦士の大群がこちらに押し寄せてくる。
ヨシヒコ「こっちに来るぞ・・・!まずい・・・!!」
逃げ出そうとすると、向こう側からはガリア帝国の重装歩兵軍団が突進してくる。
ガリア帝国は調教された巨大なヤギにカタパルト(投石器)などの攻城兵器をひかせている。
小田「挟まれました・・・!」

ブリジッド騎士「カタパルトの射程まで要塞に接近させるな!ここで撃破する!!」
ガリア帝国兵士「ヘルゴートを5頭放て!!愚かな騎兵を蹂躙しろ!!」

すると、2人の方に矢の雨が降ってくる。
小田を押し倒すヨシヒコ「危ない!!」
小田の盾になるように彼女にのしかかる。付近の地面にドスドスと矢が突き刺さる。
ヨシヒコ「だ・・・だいじょうぶか小田さん!?」
見ると、小田の肩に矢が突き刺さっている。
泣き叫ぶ小田「あああ・・・!痛い!!」
ヨシヒコ「急所は外れてる・・・!」
小田「熱い熱い・・・体が溶けちゃう・・・!」
ヨシヒコ(・・・マジックアローか?)
苦しさのあまりに、ここから逃げ出そうと体を起こしてしまう。
小田「王子様、助けて・・・!!」
ヨシヒコ「バカ!頭を上げるな・・・」
すると、ブリジットの騎士がすれ違いざまに、小田の体を真っ二つにしてしまう。
宙を舞う、小田の首。
血を吹き出し、地面に倒れる胴体。
その直後、ガリア軍のヘルゴートが突進し、小田の死体を踏んづけてぺちゃんこにしてしまう。
一瞬で跡形もなく消えてしまった小田順子。
頭を抱えて丸くなるヨシヒコのすぐそばでぶつかり合う両軍。
騎士「喧嘩上等!やってやらあ!」
重装歩兵「ガリア軍なめんなよ!!ぶち殺す!!」
戦に巻き込まれないように、戦場を転がるヨシヒコ。

ガリア兵「隊長!カタパルト行けます!」
ガリア隊長「目標マイヤー砦第一隔壁!撃てえ!!」
カタパルトが回転し、燃えさかる巨石を砦に向かって放つ。
暴走したヘルゴートの第一陣は、城門に突進し突き破ろうとする。



ヨシヒコは戦場を離れて斜面を降り、草むらに飛び込む。
ふらふらと立ち上がって、戦場の様子を振り返る。
爆発音がとどろき、砦のあちこちで火の手が上がる。
息を整えるヨシヒコ「あいつ・・・わざと戦場のど真ん中に転送しやがった・・・!!」
すると、ヨシヒコの隣に、若く美しい女性の顔が現れる。
ヨシヒコ「・・・小田さん??」
しかし、よく見ると、若い人間の女性なのは上半身だけで、体のほとんどは巨大な怪鳥になっている怪物が、ヨシヒコに顔を近づけていたのだ。
肝を潰すヨシヒコ「うわああああ!!」
怪物は、ヨシヒコとともに草むらに転がってきた小田の死体に群がり、死肉をあさり出す。
ヨシヒコ「あ・・・あっちいけ!!」
怪鳥「チョーダイ。チョーダイ?」
ヨシヒコ「そんな言葉ばっかり覚えやがる!!やめろ!
その人はお前らの餌じゃない!!」
埒があかないので、石を怪鳥の羽にぶつけるヨシヒコ。
怪鳥は西の空に飛び去っていく。
ヨシヒコ「待てよ・・・ハルピュイアは壊滅した村の食料を狙う・・・
あいつを追えば・・・」

『ラストパーティ』脚本③

ドリームワールド城の地下にあるコントロールルーム
たくさんのモニターはパーク内の様子を映し出している。
着陸態勢に入るジェット機を眺めるサングラスの男。
ドリームワールド開発責任者にして、コマキの天才ゲームクリエイター結城秀夫である。
結城「ちょっと・・・会長の最終視察は来月じゃなかったかしら?」
オペレータ「ああ・・・違いますよ・・・」
結城「じゃあ誰?」
オペレータ「泉さんです。」
結城「泉!!??なんであの坊やが?
労働組合を作ろうとしてクビになったはずでしょう。」
湯浅「私が呼んだんだよ・・・」
結城「よその会社が余計なことをしてもらっちゃ困るわ・・・!
泉ちゃんがどういう人間か知ってるの?」
湯浅「・・・転送ゲームの開発に最初から携わっていたのは彼じゃないか・・・」
結城「正確には、夫妻よ・・・桃ちゃんはともかく、泉ちゃんをこのタイミングで呼ぶのはミステイクもいいところよん。泉ちゃんは転送ゲームの実装には反対していたんだから。」
湯浅「・・・今となってはそれが正解だったな・・・」
結城「冗談じゃないわ!ドリームワールドのオープンは来月なのよ!
ソー、だから、あんたはとっととマジックキングダムから桃ちゃんを連れ出してちょうだい。
来月の会長視察であのじいさんに“事故”がバレたら、このドリームワールドは閉鎖。
あたしたち開発陣の苦労は水の泡・・・
それどころか、あの守銭奴は責任をあたしたちに押し付けて損害賠償請求をするわ・・・」
湯浅「そんなメチャクチャな・・・会長の判断でこのテーマパークは建設されたのだろう?」
結城「コマキを舐めないでちょうだいな。この会社にそんな道理は通じないのよ。
自分の知らないところで現場スタッフが暴走し、大切な一人娘を奪った!って裁判を起こすに違いないわ。」
湯浅「私たちの出資した資金は回収できるのか?」
結城「フール!掛け捨てに決まっているでしょう!お花畑もいいかげんにして!
インショート、つまり、私たちはドリームワールドをオープンさせるしかないのよ・・・
そして、あなたが呼んだ泉ちゃんはその妨害こそすれ、協力は決してしないわ。
あのコンピューター坊やはね・・・スリルというものが大嫌いなの。
どんなにバイオレンスなことが起きても、プレイヤーはセーフティ・・・それがテレビゲームなんですって。」
湯浅「君の見解は違うのか?」
結城「おほほほ!あたくしは、音楽体感ゲームのパイオニアよん!
画面の中のクリボーを踏むよりも実際にダンレボのパネルを踏んづけたほうが楽しいじゃない!」

その時、コントロールルームの扉が勢いよく開き、ヨシヒコが入ってくる。
ヨシヒコ「妻に会わせろ、レゲエ・ユーキ。」
結城「あらあら・・・お久しぶりだこと、泉ちゃん。我がドリームワールドへようこそ・・・!
残念だけどオープンは9月なの。遊びたいなら来月またいらっしゃい。」
ヨシヒコ「くだらない冗談はやめろ。
この島で一体何が起きている?」
結城「計画は順調よ。何も問題は無し。」
ヨシヒコ「資金繰りに行き詰まっているんじゃないのか?
だから、そこにGASEの湯浅さんがいるんだろう。」
結城「随分な言い方ね泉ちゃん・・・あなたが途中で投げ出したプロジェクトの尻拭いをこっちはしてるのよ。感謝して欲しいくらいだわ・・・」
ヨシヒコ「お前が私を会社から追い出して、プロジェクトを奪っただけだろう。
いいから、妻を出すんだ。」
結城「いつまで旦那のつもり?あんたたちが離婚したのは何年前よ。」
ヨシヒコ「コマキアミューズメント第二開発部の姫川桃乃に会わせろ。」
湯浅「・・・君を呼んだのはほかでもない、その彼女の件なんだ。」
ヨシヒコ「・・・桃乃に何かあったんですね。」
結城「おほほ・・・バイザウェイ、ところで園内のキッチンカーにはいったかしら?
あそこのタコスは絶品よん。」
湯浅「・・・結城さん、もう隠すのは無理だ。ラストパーティ作戦を彼に話すぞ。」
ヨシヒコ「ラストパーティ?」

壁の巨大モニターの前に立つ湯浅。
モニターには園内マップが映っている。
湯浅「まあ、座りたまえ・・・ご推察のとおり、資金は底をついている・・・
深未今日子教授の量子転送技術の権利買収で300億・・・その特許申請に12億・・・
土地買収に1兆、転送ポートの設置に1000億×7・・・」
ヨシヒコ「7基・・・!?アトラクションエリアは4つのはずでは・・・」
湯浅「井伊会長が7つの方がキリがいいということで増やしたそうだ・・・
そして、7つめの追加エリアで事故が起きた・・・」
結城「事故という表現が良くないわね。ちょっとしたトラブルよ・・・」
湯浅「追加エリアは、異世界に飛べばカジノ規制は治外法権だということで設置されたギャンブルエリアのビリオンパラダイスと、連続猟奇殺人の犯人を名探偵と推理するゴシックホラーの世界、ホーンテッドレジデンス・・・
そして・・・あなたが初期探検であまりに危険だと閉鎖した・・・」
ヨシヒコ「マジックキングダムか・・・」
結城「オープンまでに新しい転送先(リージョン)を探す時間がなかったのよ。」
ヨシヒコ「嘘はやめろ。最も安全なヴィーナス・スプリングスが閉鎖されているじゃないか。」
湯浅「取締役会に、そのエリアは集客が見込めないと判断された。
そして、なぜ剣と魔法の世界であるマジックキングダムを加えないんだとお叱りを受けたらしい。」
ヨシヒコ「役員たちに初期探検のレポートは見せなかったのか!」
結城「見せたわよ。」
ヨシヒコ「会長は客が虐殺されるテーマパークを許可したのか?」
結城「あのじいさんはこう言ったわ・・・危険なら安全にすればいいってね。」
湯浅「ということらしい。コマキはさらに5000億円を追加して保安設備を揃えた。」
ヨシヒコ「保安設備?」
湯浅「わかりやすく言えば兵器の類だ。対戦車誘導弾に迫撃砲・・・
そういったものを装備した傭兵をマジックキングダムに送り込んで転送ポータル周辺を無力化したんだ・・・転送ポータルのサイズを拡張したのも、武装ヘリや戦車を転送できるようにするためで・・・」
ヨシヒコ「異世界を侵略したのか!?」
結城「お客を受け入れるエリアだけよ・・・つまり、5つの村と2つの砦、1つの城は現代兵器によってデストロイ!陥落させたわ・・・
野生のモンスターどもも、さすがに機関銃には敵わなかったわ。
これで、安全なファンタジー世界の完成よ。」
ヨシヒコ「なんという暴挙を・・・
マジックキングダムの社会情勢を知らないのか!?ブリジット王国とガリア大陸は王位継承権を巡って一触即発の状況・・・そんな中、王国領がひとつ滅ぼされたら・・・!」
結城「そんな難しいこと、あの会長がわかるわけないわ。」
ヨシヒコ「戦争犯罪だぞ・・・!」
結城「天井法務部長いわく、異世界に法は適用されないわ。だいじょうぶよ。」
湯浅「実際、キャッスルヴァニア地方を攻略して3か月は治安が劇的に改善されたらしい。
我々が封建制を廃止し、農奴を開放・・・民主化させたことが功を奏したと・・・
そして最終チェックで・・・姫川開発部長が現地に入った・・・」
ヨシヒコ「それはいつことですか?」
湯浅「先月の・・・2日かな・・・」
ヨシヒコ「で・・・今も現地にいると・・・?」
結城「ええ。」
ヨシヒコ「では、今すぐ帰ってこさせてくれ。子どもたちが会いたがっている・・・」
結城「まあまあ、落ち着いて・・・ほら、小田順子!タコスよ!タコスを買ってきなさい!
まったく気が利かない子ね!」
駆け出す小田「!す・・・すいません・・・!!」
ヨシヒコ「そんなものはいらない!
キャッスルヴァニアのどこにいるんだ!エゼルバルド城か?クヌート砦か?」
結城「わからないのよ。」
ヨシヒコ「わからない・・・!?」
結城「あの世界のやつら・・・圧倒的武力を前に従順になったと思ったら・・・
あたしたちの世界の有力者がやってくるのを待っていたのよ・・・」
ヨシヒコ「おまえは何を言っているんだ・・・」
湯浅「姫川部長は・・・拉致されたんだよ。」

ヨシヒコに殴られて吹っ飛ぶ結城。
慌ててあいだに入る小田「ぼ・・・暴力はやめましょう・・・!」
ヨシヒコ「馬鹿かこの会社は!!
いきなり軍事侵攻して恨みの一つも買わないと思っていたのか!!
異世界は都合のいいオモチャじゃないんだぞ!
ああ・・・まったく・・・なんて短絡的なんだ・・・!
会長の狂った命令を役員連中が誰も止めないのも愚か極まりない・・・!」
結城「うちの役員はイエスマンばかりだもの。あなたも知ってるでしょう?」
ヨシヒコ「・・・で、この件を会長は知っているのか?」
結城「バカ正直に話すわけ無いでしょう!
長期滞在のロケテストをやってるってことになってるわ。」
湯浅「井伊会長が現地を訪れるのは、オープン直前の来月5日・・・
つまり、それまでに姫川部長を救出しなければ・・・この事故は会長にも知れてしまう・・・
君は現地の風俗に詳しい・・・
ぜひ、最後の救助隊ラストパーティを指揮して欲しいのだ・・・」
ヨシヒコ「1200万円のギャラの理由が分かりましたよ・・・
おい、結城・・・最後ということは、何回か救助隊は送っていたのだろう?」
結城「ええ・・・」
ヨシヒコ「その資料をすべてよこすんだ・・・」
湯浅「ということは・・・」
ヨシヒコ「桃乃が拉致されて35日も経っている・・・すぐに現地に飛びます・・・」

液タブを買う

GMKbuC9bIAELEd9.jpg
 とうとう手に入れた。

 これで、紙がかさばらない、消しカスが発生しないなどが期待されるが、40代になるまでデジタル機器でお絵かきをしたことがないため(マリオペイント除く)、どうしたらよいかわからず、未だに箱の中に眠っています。そのうち使ってみて、その文明開化的な性能をレポートしてみます!
 まあ、当分はラストパーティの脚本の制作になりそうだけどね。漫画制作の依頼も進みそうで、結局進んでないし。同じモチーフをたくさん描くのがイラストレーターさんにはできないようだ。・・・出来ると思うけどなw
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