第9地区

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 エイリアンには優しく毅然とした態度で接しましょう。笑顔は銃弾より安いことを忘れずに。

 一言で言うならば『第9地区』は、人とエビの熱い「漢の友情バトル映画」で、「バーチャコップ」や「タイムクライシス」などのアーケード版ガンアクションゲームを「CBSドキュメント」でサンドイッチにしたような構成でした。
 二人で銃を片手にMNUの本社ビルに乗り込むシーンはまさに「バーチャコップ」で、1P・・・軍事兵器開発企業MNUエイリアン課職員ヴィカス氏、2P・・・子持ちのインテリエイリアン、クリストファーで決まりですね!(協力プレイが熱い!)

 この映画、徳光和夫さんが「いや~(人類と異星人の)感動の対面ですね~」って泣く、テレビCMのイメージで見に行くと、良くも悪くも裏切られる展開だと思います。
 そもそも『第9地区』は『未知との遭遇』のような、人類とエイリアンの「ファーストコンタクトもの」ではなく、エイリアンが人類の生活圏にいるのが「前提」で始まる物語なのです。
 よって、エイリアンが地球にやってきた経緯などはあまり多くは語られず、物語の冒頭でドキュメンタリータッチで急ピッチで描かれるだけ。
 なぜエイリアンが地球に来たのかも、実は最後まで不明確で(結局よく分からないまま映画は終わる)それが逆に(嘘)ドキュメンタリー映画としてのリアルさに貢献していたと思います。
 考えてみれば、南アフリカ共和国ヨハネスブルグ上空に巨大UFOが停泊しているなんて荒唐無稽な話なんですけどね。
 まあ「エイリアンたちはみな栄養失調で弱っていた」という関係者のコメントから(こういうのがCBSっぽい)、彼らの星に何かがあって地球に逃れてきたのでしょうが、エイリアンが住むことになった「第9地区」は、まさに難民キャンプの様相を呈していたので、バルタン星人やアルフのように帰るべき場所を失った悲しいエイリアンなのかもしれません。

 で、とても巧いのがドキュメンタリー調の冒頭から、中盤のアクションパートへのスムーズな移行!
 はっきり言って「タイムクライシス」と「CBSドキュメント」のハイブリダイゼーションなんて、鴨とワニのキメラを作るがごとく困難なのに、その交雑に奇跡的に成功しているのがすごい!ここがこの映画の大きな個性になっている事は間違いありません。
 『第9地区』は、映画史に残るキメラもしくは「トランスジェニック映画」と言ってもいいのではないでしょうか?
 普通無理ですよ。冒頭にあんなにリアルな感じのドキュメンタリーにしておいて、中盤からさりげなくアクション映画にしちゃうなんて。アクションパートではCBS的要素バッサリ落としていますからね。

 で、「世界で一番治安が悪い国」と言われた南アフリカ共和国、その国が実際に抱えていた「アパルトヘイト(黒人の隔離政策)」などの社会的問題を「宇宙人隔離政策」に置き換えた、クライトンもびっくりのSF社会派ドキュメンタリーパートもさることながら、クライマックスにかけてのアクションパートも秀逸なんです!熱い!
 人間側を悪に描いて、エイリアンの方に感情移入させる構成は、あの『アバター』とも似ているのですが、こっちのほうが冒頭ドキュメンタリータッチで、カニバリズム信仰のナイジェリアギャングや、エイリアンを差別し虐殺する軍隊など「リアルな」人間を徹底的に描いているので、ずっとエイリアン(クリストファー親子)を応援したくなります。
 そもそも、あの「エビ」と揶揄される不細工な造形が、逆に哀愁があって愛おしさを感じるんですよね(パグを「ぶさかわいい」とか言って可愛がる人の気持ちが分かってきたなあ)。しかも体とかは節足動物みたくて、虫が嫌いな人は嫌悪する造形だと思うけど、意外と目がつぶらなのがラブリー(複眼じゃなくてよかった~)。
 それくらいあのエビに感情移入させるんだからすごい映画。

 とにかく私は「ウルトラマン」でも怪獣を「可哀想」と感情移入し応援するタイプで、『アバター』でも「負けるな大佐!」とあのシブマッチョ大佐を応援したほどのひねくれ者ですが、『第9地区』の大佐にはホント同情の余地もなかったな。
 実際21世紀に入っても、アブグレイブ刑務所とかで米軍はイスラム教の人たちにひどいことをやっているわけで、フィクションだから・・・と突き放して見れないんですよね。
 『アバター』はどっちかというとアメリカ大陸入植や、インディアンと白人の戦いを彷彿とさせる物語で、それは今を生きる私たちにはなじみがないけど(帝国主義とか)、この映画で描いている社会問題は、難民キャンプのスラム化と言い、少数民族や他宗教への差別や虐殺と言い、現代のものだから心に突き刺さるんでしょうね。
 
 かなり長くなっちゃいましたが、最後に一言だけ言わせてください。

 一個大隊をも壊滅させる一騎当千のパワードスーツを猫缶100個で売っちゃダメだろ、エイリアン…!

わが家の歴史

 さんざんテレビで宣伝してたんで見ました。久しぶりですよね、フジテレビのドラマに三谷さんが帰ってくるのは。連続ドラマでは「合い言葉は勇気」以来じゃないかな(あ「HR」があったか)。

 しかし「福岡県ってあんなに有名人いるんだ」って、これ見たほとんどの人が思ったんじゃないでしょうか・・・もうエノケンやらムツゴロウやら、ちょこちょこ「これが後の・・・」って感じで著名人がカットインしてきて、正直煩わしさを覚えたほどですが、ラストの「八女家と高倉健を乗せた汽車は・・・」っていう爆笑ナレーションでどうでもよくなりました。

 『ザ・有頂天ホテル』並に出演者が豪華な本作、そもそも誰が主人公なのかさっぱり分からなかったのですけど、どうやら柴崎コウさん演じる長女みたいですね。
 この柴崎さんの長女が、三谷幸喜さんのドラマのキャラとしてはニュートラルなので(けっこうまともな性格のしっかりした人)、本作の印象が他の三谷作品よりも大人し目になって、家族で安心して見れるようになっているんだと思います。三谷さん今回は結構セーブしましたね。

 このドラマでもっとも魅力的なキャラクターは、私は何を隠そう西田敏行さん演じるオヤジだと思うんですけど、あの娘を信頼しているのか、それとも自分の利をとっているのか解らない、情けない権威0%のオヤジ感は最高でしたね。
 自分の娘が、実業家の愛人になるかもしれない時に「素晴らしいことじゃないですか」は無いだろ(笑)。
 男権が強そうな九州福岡の夫婦なのに、あのドラマでは、奥さんの方がずっとクラシカルで男らしいですもの(そして頑固w)。
 結構三谷さんの描く「父親」キャラって、あんな感じで情けなかったり、どこかぬけたお人よしだったり(小千葉道場の千葉定吉)、または嫌われもの(高級フランス料理店「ベルエキップ」の先代オーナー)ばかりで、厳しく威厳のある父親を描かないのは興味深いと思います。
 というか、「そもそもそんな父親なんて現実にはいないよ。強いのはいつも女」っていうアンチテーゼなのかもしれませんが・・・

 脇を固めるキャラクターも三谷ファミリーと言われる俳優と言うよりも、今旬で若者に人気のありそうな若い俳優、女優を連れてきましたね。これぞ三谷ファミリー!っていう人は(近藤勇をやらせたら日本一の)阿南健治さんくらいじゃないかな。演技上手いなあ。
 正直、堀北真希さんの次女は、クールなキャラとか紹介されていたので、馬鹿な家族を呆れながら突っ込む毒舌キャラかと思っていましたが(「総理と呼ばないで」の賄さんみたいな)、ちょっとインパクトが弱め。第二夜以降に期待しましょう。
 あと三谷さんはどうしょうもない利己的かつ我儘な女性、いわば小悪魔タイプを出すことがありますが、まさか長澤まさみさんにそれをやらせるとは・・・

 いわゆる三谷的ネタや三谷ワールドも今回は抑えめな感じがしますが、唯一三谷さんらしいなと言うのは、あの胡散臭さ2000%のビジネスを持ってくる退役軍人の高田純次さんですね。
 彼がお父さんに持ってくる「髪の毛から醤油製造ビジネス」や「博多にアジアゾウ誘致計画」などの怪しげな話は、「ベランダで飼えるウシ」や「カラーヒヨコ計画」に通じるものがあります。
 というか高田さんって『アイスエイジ2』でも胡散臭いものを売りつける気象学者のアルマジロの役やってたんですけど(しかも吹き替えが結構巧くて、最初高田さんって分からなかった)、それを三谷さんが見て今回のキャスティングに繋がったとか・・・はないか。

ドーナツ所さん!

 私も大学時代に数え切れないほど行った(駅の近くにあって早朝も開いていたから)ドーナツチェーン店「ミスタードーナツ」のテレビCMに、偉大なミュージシャン所ジョージさんが帰ってきてるじゃないですか!めちゃ感動!最近は長いこと相武紗季さんが君臨してましたからね。相武さんと共演してからんでも良かったのに。

 この調子で宝くじやスライスチーズや自動車買取チェーンにも復活して欲しいなあ。かつてはCM王の名をほしいままにしてましたからね。んで自身がCMで出ている企業をすべて宣伝した即興の歌を歌っていたこともあったなあ(「♪ドーナツ食べてね~、宝くじ買ってね~」みたいな。うろ覚えですが)。
 歌と言えば、所さんってCM降板した後も、所さん作曲のCMソング(ワンフレーズだけど)が継続使用されるパターン多いですよね。「世界丸見えテレビ特捜部」で「あの曲は使用料とってる」とかラサールさんかなんかに言われてたけど、あれこそ「ミーム」ですよね。

世界警察アメリカはMDを拡散させろ

 アメリカとロシアの核軍縮条約の会議がチェコで行われたそうですが、確か両国ずつ核兵器を三分の一を減らすとか言ってましたけど、「これって数の問題なのかな…」って気もします。まあ、その話自体はいい流れだとは思いますけど、各兵器って一個でも持ってて使ったらエライことになりますからね。
 やっぱり核軍縮じゃなくて、核撤廃じゃないと・・・

 というか、なんだかんだ言って世界のほとんどの核を所有する両国が、核を所有したいイランや北朝鮮に対して「俺たちはいいけど、お前らは持つな」という傲慢さはなんともいえません。
 またロシアがアメリカのミサイルディフェンス(MD)計画に反対しているのは、どうなんだろう・・・?この技術は核のある世界では開発必須の技術だと思うのですが・・・
 アメリカがMDでロシアの核ミサイルを撃ち落とせちゃったら、両国の均衡が崩れるって、その論理、めっちゃ核戦争を想定していて血なまぐさいです。冷戦は終わったのに、なんだかなあ。
 この論理でおかしいのは、ロシアはアメリカのMDに反対するんじゃなくて、ロシアもMDを開発すればいいんです。というかアメリカに教えてもらえばいいじゃないですか。MDの技術。

 もっと言えば、MDの技術をアメリカは北朝鮮やイランなどの全世界の国に教えてやって、世界中に配備させればいいんです!
 なぜ北朝鮮が核開発に執着するかと言ったら、別に核で世界転覆をもくろんでいるわけじゃなくて、イラク戦争においてアメリカによってつぶされたフセイン政権の二の舞にならないか怖いからだと思います(本当のところは分かるはずないですけど)。つまり威嚇の為だと。
 だったらオバマさんもノーベル平和賞とったんだし、MDを世界中に配備させる懐の深さを見せてほしいものです。
 だってこれは別に核兵器を拡散させているわけじゃないんですから。もしくは世界の国に核シェルター作らせるとか・・・

 核保有国は、国を文字通り破滅させる力を持つのだから、これくらいする責任があると思うんですけど、どうでしょうか。

 核拡散防止に対して、面白いのが我が国日本の取り組みですよね。新しい原子力発電の技術を開発して、その技術が万が一他の危険な国に流れても、核開発に応用できないようにしちゃうらしいです。
 その技術を確かビル・ゲイツが注目しているとか。現在は奥さんと財団(基金)を設立し、チャリティーにはまっているゲイツ氏ですが、やはり一代で世界企業を立ち上げたビジネスの申し子。抜け目がないなあ。血が騒ぐんでしょうか。

自民党離党の本当の理由

 与謝野馨さんらが自民党を離党して立ち上げた新党の名前がすごいです。「たちあがれ日本」って・・・長え!語呂悪い!
 石原都知事(←命名者らしい)も流石あんなくだらない小説書いただけあって、すごいネーミングセンスしてます。
 今度の参議院選挙の特番では、画面の下若しくは上にある党の議席数の枠に「たち日」とかって略されて表示されるんだろうな・・・

 んで与謝野さんらの新党が可哀そうなほど、周りの議員さんになめられているけど(老人会とか、囲碁でもしてろとか・・・)、あれって確かに「わしらベテランが自民党離党し、捨て身の覚悟で日本を何とかしよう!」っていう崇高な理念と言うよりも、おそらく自民党の比例区年齢制限への懸念で立ち上げたような気がします。
 この前の衆院選挙でもそれで涙をのんだ自民党のベテラン議員さんがたくさんいましたからね(与謝野さんは現在71歳。自民党の比例区の年齢制限は70歳)。

 まあ本当のところはよく分からないけど、どっちにしろ国政に対する執着は見上げたものだと思います。このバイタリティは若い私たちも見習った方がいいな。いや、皮肉じゃなくて、本当に。

 あと、自民党の谷垣総裁もかわいそう。すこし小沢さんの「すごみ」を分けてあげたい位(舛添さんとかに)なめられている。
 結局リーダーが弱腰でも強権でも、みんな自分が選挙で当選することしか考えてないから、国のことを憂いているように言いながらも、好き勝手なこと言うんだよな。
 谷垣総裁はこういう感じで馬鹿にされている気がします。

「(総理に)落ち度はなかった。でも業績はもっとなかった(『総理と呼ばないで』の事務秘書官のセリフ)」
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