おそるべし高校教育

 今日の冬期講習での「高校現代文」の文章はなんとカントの『純粋理性批判』を批判してました。こういった認識や観念といった問題って、科学にしろ哲学にしろ究極的に難しい問題(アポリア)なのに、それを読ませて問題を作ってしまうとは…

 この問題文はおそらく、哲学とか少しかじっていないと、理解することすら困難だと思います。それを、あまり本を読まないような高校生にも課すとは…
 もしこの問題が五択のセンター形式でなく、記述式ならば、平均点はぐっと下がること間違いないですね。まぐれ当たりする人がそぎ落とされるんで。
 
 あと国学者の「本居宣長」が文中で引用されていましたが、この人って「“道徳”なんて、物事の本質を考えれば、自然と芽生えるものなんだ!そんなん学ぶもんじゃねえ!」ってずいぶん熱いこと言う人だったんですね。
 小学校の時、この人について調べ学習したはずなのに、何した人か具体的にはさっぱり知りませんでした。

 とにかく高校の勉強がもし完璧にマスターできるのならば、はっきり言って「大学の教養教育っていらなくね?」ってくらい、高校の内容はオタクすぎると思います。遊んでばかりの大学生よりも確実にやっている学習内容が濃い!
 
 話は変わりますが、昨夜とあるwebコミックについてマロ氏が「この作品は、作者が“私的”に描いてるからこそ、私は感動出来たんだ」と仰っていたのですが、この観点はとても興味深いと思いました。夏目房之介さんが提議した「作者と読者の関係性(“作品”とは作者と読者が存在して初めて成り立つもの)」と合わせて考えていきたいと思います。

 一人で好き勝手に描いた作品でしか、味わえない“何か”って、私もあると思うんですよ。

やりたいことが多すぎる

 年末年始って冬期講習(+予習)が入ったおかげで有意義な分、結構忙しいのかもしれません。論文も進めないといけないし、webコミックなんかもやりたいし、バイオロジーも書きたいし・・・後ろの二つはどうでもいいことなんですけど、やりたい度合いはそっちの方が高いのが、困ったところ。

 それに映画。『アバター』と『カール爺さんの空飛ぶ家』は絶対見たい。特に『アバター』は「映画館で見てなんぼ映画」だと思う。あの映像の迫力を体感するには大スクリーンですよね。
 CMを見る限り「ストーリーの構造自体は結構単純で理解しやすいのかな」って感じですが、ひとつだけ難なのが、その上映時間。三時間近くある。…長い!
 私はどんなに面白い映画でも、二時間以上ぶっ通しでやられちゃうと(テレビみたいにCMないし)疲れてきちゃって「もういい加減終わってくれ~」ってなっちゃうので、私の集中力が続くかどうかが不安です。

 映像を見ながら、話も追うって結構大変なんですよ。そのうえ面白かったら「ここがこうだから、こうしてるんだな。なるほど」とか、作り手視点で考えたりもするし・・・(けっこう損な見方かも)
 とにかく『アバター』って、翼竜みたいな巨大生物に戦闘ロボットって、男の子が大好きなものを贅沢に詰め込んだ映画ですよね。

 でも面白い映画見ちゃったら、自分も面白い漫画描きたくなっちゃうんだよなあ。影響されやすいタイプだから、創作意欲が湧いちゃって。映画、やっぱり見ない方がいいかな。
 だれか論文書く意欲が湧く、映画とかなんか知りませんか?(ねえよ)

作家のブレイクスルー

 神奈川県に行って陶芸家の先生に陶芸を教わって(?)きたんですけど、その先生の著書(伊藤麻沙人著『陶芸家』実業之日本社)で興味深い内容があったのでちょっと引用します。

 自分が芸大を目指していた時「他の仲間たちはなんでこんなにデッサンに時間をかけるんだろう。自分はこの程度のモチーフなら、すぐに描けるし、この人たちよりもずっと形が取れているじゃないか」と思っていたのが、しばらく絵を描き続けていくうちに「今まで一眼レフでモチーフを見ていたのが、両眼になったかのように、自分の絵が周りの仲間が描いた絵よりも劣って見えるようになった」…と言うのです。

 これって一種の絵(や対象)に対する見方の“革命”がこの先生に起こったと思うんですけど、こんなことってあるんですね。
 先生自身もその著書で「言葉でうまくは言えないのですが…」と断っている個所なので、なかなか実感は出来ないんですけど、想像力をたくましくするに、おそらく「表面的な形だけをなぞっているだけで、絵に深みや趣がなかったとか、作家の人間模様(←私が推察するにこれが有力候補)が作品に表出しなかったことに気付いた」ってことなのでしょうか?
 著名な達人は皆、そういった境地に達しているんですかね(…こんなことなら本人に聞けばよかった)。

 自分の絵は芸術的にはつまらないし、しょうもない絵だと思うんですけど(骨格などのモルフォロジー重視)、自分自身が納得のいく仕事は、やはりなかなか簡単にはできないのだと思いました。他の人は「別にこんな細かいところ誰も気づかないからいいじゃん」とか言うんですけどね…

帰ってきた現代文

 塾の冬期講習で、高校生の「現代文」を久しぶりに担当することになりました。センター試験の問題を扱うらしいのですが、もう試験本番まであっという間ですよね…
 本当ならば、みんなそこそこ点が取れる5択問題のセンター試験より、記述問題の方が偏差値は上げやすいと思います。
 
 あとはもう文章によりますよね。「現代文」は、とりあえず本文に何が論じられているかを、読みとって理解すればいい教科なんで、何言ってるか分からない下手な文章を出題されると本当に困ります。批評なら「この人の文章はつじつまが合ってない」とか書けるんですけどね。

 だから本来ならば「現代文」は、本が普通に読めるならば、点が取れて当たり前の教科なんです。それでも点が取れなかったら、それはきっと「問題が悪いんだ」と言ってもいいと思いますよ。
 問題をちゃんと作れる賢い人が今年も問題を作成して欲しいですね(もう作っちゃったか)。

うみねこのなく頃に

 このアニメ、後輩の人がすごい好きで、どれどれと見たんですが、ちょっとついていけない(笑)。「劇団ヘロヘロ共和国」の劇並に不条理な展開なんですけど、「スターシップトゥルーパーズ」がアニメになったって考えればいいんですかね?頭とか吹っ飛ぶし。

 しかしなんでこの魔女は「自殺」と「トラップ殺人」は否定するのに「病死」は否定しないのでしょうか…(原作では否定しているのかな?)
 なんか「変なチョウチョの病気に感染かなんかして、頭おかしくなっちゃった人が殺しあって、最後はその病気で病死しっちゃった」って言っちゃえば終わっちゃうような…そんなしょぼいトリックじゃ絶対ないでしょうが。
 
 ラストの魔女が言ったセリフ「この島には貴方しかいませんが、今から私は貴方を殺します」ってのも「私」=病原菌(もしくは「貴方」の臓器?寿命?)と考えれば、いいわけで…
 つまり「私」とは「人間」じゃないと。だから逆に「私は魔女じゃないです。人間で~す」とか言われちゃったら、探偵役のバトラくんは相当困ったと思うけれど…
 
 まあちゃんと観ていたわけじゃないので、原作みっちりやってる人には、肩すくめて「やれやれ」って言われちゃうでしょうけど。
 あとはまあ、量子論の「エヴェレット解釈」なんかを持ってきちゃう可能性もありますよね。観測するまでは「決まっていない」という「ボルンの確率解釈」の一つの解答として有名なあれです。でもそんなオチだったらファンは怒るだろうな…なんとでも言えちゃうから…
 
 でも量子論の難題を拡大解釈して(実はマクロの世界では、観測行為による「波の収縮」は起こらないから)SFではなく、ミステリーに使うとは面白いと思います。

 ちなみに私が一番好きなキャラは関西弁のおじさん。すぐ死んじゃったけど。餅ベーション!
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