作家のブレイクスルー

 神奈川県に行って陶芸家の先生に陶芸を教わって(?)きたんですけど、その先生の著書(伊藤麻沙人著『陶芸家』実業之日本社)で興味深い内容があったのでちょっと引用します。

 自分が芸大を目指していた時「他の仲間たちはなんでこんなにデッサンに時間をかけるんだろう。自分はこの程度のモチーフなら、すぐに描けるし、この人たちよりもずっと形が取れているじゃないか」と思っていたのが、しばらく絵を描き続けていくうちに「今まで一眼レフでモチーフを見ていたのが、両眼になったかのように、自分の絵が周りの仲間が描いた絵よりも劣って見えるようになった」…と言うのです。

 これって一種の絵(や対象)に対する見方の“革命”がこの先生に起こったと思うんですけど、こんなことってあるんですね。
 先生自身もその著書で「言葉でうまくは言えないのですが…」と断っている個所なので、なかなか実感は出来ないんですけど、想像力をたくましくするに、おそらく「表面的な形だけをなぞっているだけで、絵に深みや趣がなかったとか、作家の人間模様(←私が推察するにこれが有力候補)が作品に表出しなかったことに気付いた」ってことなのでしょうか?
 著名な達人は皆、そういった境地に達しているんですかね(…こんなことなら本人に聞けばよかった)。

 自分の絵は芸術的にはつまらないし、しょうもない絵だと思うんですけど(骨格などのモルフォロジー重視)、自分自身が納得のいく仕事は、やはりなかなか簡単にはできないのだと思いました。他の人は「別にこんな細かいところ誰も気づかないからいいじゃん」とか言うんですけどね…

帰ってきた現代文

 塾の冬期講習で、高校生の「現代文」を久しぶりに担当することになりました。センター試験の問題を扱うらしいのですが、もう試験本番まであっという間ですよね…
 本当ならば、みんなそこそこ点が取れる5択問題のセンター試験より、記述問題の方が偏差値は上げやすいと思います。
 
 あとはもう文章によりますよね。「現代文」は、とりあえず本文に何が論じられているかを、読みとって理解すればいい教科なんで、何言ってるか分からない下手な文章を出題されると本当に困ります。批評なら「この人の文章はつじつまが合ってない」とか書けるんですけどね。

 だから本来ならば「現代文」は、本が普通に読めるならば、点が取れて当たり前の教科なんです。それでも点が取れなかったら、それはきっと「問題が悪いんだ」と言ってもいいと思いますよ。
 問題をちゃんと作れる賢い人が今年も問題を作成して欲しいですね(もう作っちゃったか)。

うみねこのなく頃に

 このアニメ、後輩の人がすごい好きで、どれどれと見たんですが、ちょっとついていけない(笑)。「劇団ヘロヘロ共和国」の劇並に不条理な展開なんですけど、「スターシップトゥルーパーズ」がアニメになったって考えればいいんですかね?頭とか吹っ飛ぶし。

 しかしなんでこの魔女は「自殺」と「トラップ殺人」は否定するのに「病死」は否定しないのでしょうか…(原作では否定しているのかな?)
 なんか「変なチョウチョの病気に感染かなんかして、頭おかしくなっちゃった人が殺しあって、最後はその病気で病死しっちゃった」って言っちゃえば終わっちゃうような…そんなしょぼいトリックじゃ絶対ないでしょうが。
 
 ラストの魔女が言ったセリフ「この島には貴方しかいませんが、今から私は貴方を殺します」ってのも「私」=病原菌(もしくは「貴方」の臓器?寿命?)と考えれば、いいわけで…
 つまり「私」とは「人間」じゃないと。だから逆に「私は魔女じゃないです。人間で~す」とか言われちゃったら、探偵役のバトラくんは相当困ったと思うけれど…
 
 まあちゃんと観ていたわけじゃないので、原作みっちりやってる人には、肩すくめて「やれやれ」って言われちゃうでしょうけど。
 あとはまあ、量子論の「エヴェレット解釈」なんかを持ってきちゃう可能性もありますよね。観測するまでは「決まっていない」という「ボルンの確率解釈」の一つの解答として有名なあれです。でもそんなオチだったらファンは怒るだろうな…なんとでも言えちゃうから…
 
 でも量子論の難題を拡大解釈して(実はマクロの世界では、観測行為による「波の収縮」は起こらないから)SFではなく、ミステリーに使うとは面白いと思います。

 ちなみに私が一番好きなキャラは関西弁のおじさん。すぐ死んじゃったけど。餅ベーション!

少年漫画の編集者について

 『マンガ学への挑戦』にもふれてありましたが、漫画の編集者って、作家に「こういうの描け!」って強要してきて、作家と編集の対立構造みたいなのがあるってイメージを持っている人が結構いるらしいのですが、おそらく「いしかわじゅん」さんの言うように「全然違う」と思います。

 ジャンプはジャンプっぽい漫画(=バトルものとか)を書かなきゃダメってことはなく、逆に「もっとこんなの描いてよ」って提案して欲しかったくらいだったと思います。
 ただ、描くべき漫画の方向性が定まったら、これをより面白くするために二人で徹底的に意見を出し合うってことはありましたが。
 だから編集者が「ここ、こうした方がいいんじゃない?」ってギャグを考えることもあるし、でもそれがイマイチつまらなかったら(ギャグの好みは仕方が無い)作家も採用しなければいいわけで。逆も然りです。

 よく考えれば編集者が「こういうの描け」って話のアイディアを考えつくなら、漫画家はいらないわけで。けっこう漫画家志望の人って、“漫画”と言うよりも“絵を描くこと”が好きな人が多いらしいですから「ストーリーが思いつかないなら、うちの雑誌に載っているこういう漫画を参考にしたら?」って感じで、打ち合わせ喫茶フロアに置いてある自社雑誌を持ってくるんじゃないですか?
 描く内容を強制してくるなんて聞いたことないですけど…ウ~ン…

 まあ、編集者さんについてはそんな感じで分かるんですけど、私ごときがどうにも分からないのが、連載するか否かを決める編集会議のプレゼンです。あれは最終的に雑誌の売り上げに全責任を持つ、編集長様の独断で決定するらしいのですが、私の漫画は絵がド下手なので「こいつ、ちゃんと絵が描けるんかい?」って言われちゃってダメでした。う~ん、もっともです・・・

 つまりは、担当さんが気に入る漫画ではなく、編集長さん好みの漫画をはなから描けばいいんじゃないか?と随分悩んだことがありました。いい思い出です。

 今日は「ジャンプはジャンプっぽい漫画を強要してくる」って話を聞いたので「そうかな?」と、こんな話を唐突に書いちゃいました。

これぞエンターテイメント!

 昨夜、大団円を迎えたフラッシュアニメ「秘密結社鷹の爪カウントダウン」は本当に構成がうまいなあ、と恐れ入りました。
 この作品は、風刺のきいたギャグやキャラクターのセンスが絶妙で、適当に作っているようで、かなり作り込んでいることがうかがえます。

 最終回では、記念すべき第一話における吉田君が戦闘員に教育をする件や、第一シリーズ最終話の総統の名台詞を引用したり、本作のOP、EDのアーティストもゲスト出演してたりと、ファンには嬉しいであろうサービスが満載。

 「鷹の爪」は第一シリーズでも感じましたが、クライマックスを盛り上げる力は天才的で、絵が適当でも(失礼だろ。でも実は時折見せる画力はすごいと思う)ぐいぐい脚本に引き込まれてしまいます。
 その秘密は、普段は馬鹿馬鹿しいことを徹底的にやっていることによる、熱い展開とのギャップ効果、脚本の構成で王道とされている展開を惜しみもなく緻密に計算して投入しているからだと思います。
 しかし、こういう画風のギャグ作品って最近少なくなったような…
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