マメンチサウルス科について

 あけましておめでとうございます。

 ギャラリーの「チュアンジエサウルス」のイラストを午前中にささっとかいて、差し替えたのですが、もはやこのギャラリー、中学、高校に描いたイラスト6枚くらいしかなくなっちゃって、全然「主に中学、高校のイラストです」じゃなくなってきましたね。書き直さないと。

 このチュアンジエサウルスのイラスト、実は手抜きで、高校の頃に描いた大型のマメンチサウルスのイラストを使ってたんです。
 チュアンジエサウルス、高校生の頃には幕張に来てないですからね。んで、手抜きはいかんとチュアンジエサウルスが来日した恐竜博のガイドブックで、骨格を調べて描き直してみたんです。年も明けたし、心機一転。

 いや~この手の恐竜は紙にどう入れて描けばいいのか難しい!解説文の通り、大きく入れると首しか入らないし、尻尾の先まで入れると絵のサイズが小さくなって迫力が出ない…
 というわけで、泣く泣く新作は尻尾を根元からバッサリ切ってしまいました。これじゃあ尻尾の長さや形が分からないと思うけど、絵的な表現をとってしまった。勘弁(ちなみにこの恐竜の尻尾の骨の数は詳しく分からないので長さも分かりません。尻尾の形は尻尾の先に骨の固まりのハンマーがあるってこともなく普通だと思います)。
 
 中国の竜脚類って何が悲しいのか、頸がとんでもなく長くて、中には全長の半分を占めているものもいます。最も有名なのが、「マメンチサウルス」だと思うのですが、やっぱりこの恐竜のバランスはおかしいと思います。
 首に対して尻尾が短すぎるのです。これで首はほとんど曲がらず、水平に直線的に伸ばしていたとなれば、やはり尻尾はその首のバランスを取れずに前に倒れてしまうと思います。

 竜脚類の首と尻尾はしばしばシーソーのような関係にたとえられますが、シーソーで重要なのが、物体をシーソーに乗せる位置、中心(てこの原理ならば支点にあたるところ)からの距離です。シーソーで遊ぶときに、体重の小さい子でも中心から遠くに乗せれば、体重が重い人も持ち上げることが出来ることを経験した人は多いと思います(ただし重い人が中心から遠くに乗っちゃうともう駄目ですが)。

 このことをふまえてマメンチサウルスを考えてみましょう。となれば、答えは一つ。「マメンチサウルスの体が想像以上に重ければ前には倒れない」ということです。つまりマメンチサウルスは、首の付け根をシーソーの中心とするならば、中心から(ものすご~く、10メートル以上)遠い場所に軽い頭が乗っていて、その反対側の中心から近い場所にとっても重い体が乗っている状態だったのかもしれません。
 北アメリカのディプロドクス科の竜脚類はその長い頸を、同じくらい長い「尻尾」でバランスを釣り合わせました。ちょうど体から延びる四足は橋脚のようです。しかしマメンチサウルス科は、軽くて長い尻尾でバランスをとるのではなく、私が思うに超重量化した「体」でバランスを取ったのだと思います。

 ちなみにチュアンジエサウルスの体の印象やポーズは松村しのぶさんが作ったカマラサウルスの模型をパク…参考にしました。山本聖士さんの竜脚類は、いくらなんでもちょっと足がガリガリすぎてて…

2009年はいま一つ

 今年は何年かぶりに恐竜のイラストを描いて、その奥深さにノイローゼになった年でした。なんだか漫画に費やした2008年と比べて、中途半端な年になっちゃたなあ。
 来年はバシバシ漫画でも描こう。では。

おそるべし高校教育

 今日の冬期講習での「高校現代文」の文章はなんとカントの『純粋理性批判』を批判してました。こういった認識や観念といった問題って、科学にしろ哲学にしろ究極的に難しい問題(アポリア)なのに、それを読ませて問題を作ってしまうとは…

 この問題文はおそらく、哲学とか少しかじっていないと、理解することすら困難だと思います。それを、あまり本を読まないような高校生にも課すとは…
 もしこの問題が五択のセンター形式でなく、記述式ならば、平均点はぐっと下がること間違いないですね。まぐれ当たりする人がそぎ落とされるんで。
 
 あと国学者の「本居宣長」が文中で引用されていましたが、この人って「“道徳”なんて、物事の本質を考えれば、自然と芽生えるものなんだ!そんなん学ぶもんじゃねえ!」ってずいぶん熱いこと言う人だったんですね。
 小学校の時、この人について調べ学習したはずなのに、何した人か具体的にはさっぱり知りませんでした。

 とにかく高校の勉強がもし完璧にマスターできるのならば、はっきり言って「大学の教養教育っていらなくね?」ってくらい、高校の内容はオタクすぎると思います。遊んでばかりの大学生よりも確実にやっている学習内容が濃い!
 
 話は変わりますが、昨夜とあるwebコミックについてマロ氏が「この作品は、作者が“私的”に描いてるからこそ、私は感動出来たんだ」と仰っていたのですが、この観点はとても興味深いと思いました。夏目房之介さんが提議した「作者と読者の関係性(“作品”とは作者と読者が存在して初めて成り立つもの)」と合わせて考えていきたいと思います。

 一人で好き勝手に描いた作品でしか、味わえない“何か”って、私もあると思うんですよ。

やりたいことが多すぎる

 年末年始って冬期講習(+予習)が入ったおかげで有意義な分、結構忙しいのかもしれません。論文も進めないといけないし、webコミックなんかもやりたいし、バイオロジーも書きたいし・・・後ろの二つはどうでもいいことなんですけど、やりたい度合いはそっちの方が高いのが、困ったところ。

 それに映画。『アバター』と『カール爺さんの空飛ぶ家』は絶対見たい。特に『アバター』は「映画館で見てなんぼ映画」だと思う。あの映像の迫力を体感するには大スクリーンですよね。
 CMを見る限り「ストーリーの構造自体は結構単純で理解しやすいのかな」って感じですが、ひとつだけ難なのが、その上映時間。三時間近くある。…長い!
 私はどんなに面白い映画でも、二時間以上ぶっ通しでやられちゃうと(テレビみたいにCMないし)疲れてきちゃって「もういい加減終わってくれ~」ってなっちゃうので、私の集中力が続くかどうかが不安です。

 映像を見ながら、話も追うって結構大変なんですよ。そのうえ面白かったら「ここがこうだから、こうしてるんだな。なるほど」とか、作り手視点で考えたりもするし・・・(けっこう損な見方かも)
 とにかく『アバター』って、翼竜みたいな巨大生物に戦闘ロボットって、男の子が大好きなものを贅沢に詰め込んだ映画ですよね。

 でも面白い映画見ちゃったら、自分も面白い漫画描きたくなっちゃうんだよなあ。影響されやすいタイプだから、創作意欲が湧いちゃって。映画、やっぱり見ない方がいいかな。
 だれか論文書く意欲が湧く、映画とかなんか知りませんか?(ねえよ)

作家のブレイクスルー

 神奈川県に行って陶芸家の先生に陶芸を教わって(?)きたんですけど、その先生の著書(伊藤麻沙人著『陶芸家』実業之日本社)で興味深い内容があったのでちょっと引用します。

 自分が芸大を目指していた時「他の仲間たちはなんでこんなにデッサンに時間をかけるんだろう。自分はこの程度のモチーフなら、すぐに描けるし、この人たちよりもずっと形が取れているじゃないか」と思っていたのが、しばらく絵を描き続けていくうちに「今まで一眼レフでモチーフを見ていたのが、両眼になったかのように、自分の絵が周りの仲間が描いた絵よりも劣って見えるようになった」…と言うのです。

 これって一種の絵(や対象)に対する見方の“革命”がこの先生に起こったと思うんですけど、こんなことってあるんですね。
 先生自身もその著書で「言葉でうまくは言えないのですが…」と断っている個所なので、なかなか実感は出来ないんですけど、想像力をたくましくするに、おそらく「表面的な形だけをなぞっているだけで、絵に深みや趣がなかったとか、作家の人間模様(←私が推察するにこれが有力候補)が作品に表出しなかったことに気付いた」ってことなのでしょうか?
 著名な達人は皆、そういった境地に達しているんですかね(…こんなことなら本人に聞けばよかった)。

 自分の絵は芸術的にはつまらないし、しょうもない絵だと思うんですけど(骨格などのモルフォロジー重視)、自分自身が納得のいく仕事は、やはりなかなか簡単にはできないのだと思いました。他の人は「別にこんな細かいところ誰も気づかないからいいじゃん」とか言うんですけどね…
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